上野耕平のサックス経歴と魅力|代表的な活動をわかりやすく紹介

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テレビやラジオ、コンサートなどで上野耕平さんの演奏を知り、「どんなサックス奏者なんだろう」「クラシックの世界ではどんな評価を受けているの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。

上野耕平さんは、国内外のコンクールで実績を残しながら、ソロ、サクソフォン四重奏、吹奏楽、新作の委嘱・世界初演、教育活動、メディア出演、さらに近年は指揮まで活動を広げているクラシック・サクソフォン奏者です。

サックスと聞くとジャズを思い浮かべる人も少なくありませんが、上野さんの活動の中心はクラシック。しかも、アルトサックスだけを演奏しているわけではなく、ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンと、作品に応じてさまざまな種類のサクソフォンを扱っています。

この記事では、上野耕平さんのプロフィール、経歴、受賞歴、所属団体、使用楽器、アルバム、演奏の魅力、2026年以降の主な活動予定までまとめて紹介します。

「名前は知っているけれど、どんな奏者なのかはまだよく分からない」というあなたでも、最後まで読めば、経歴だけでなく「まずどの演奏を聴けばよさそうか」まで整理できるはずですよ。

  • 上野耕平のプロフィールと国内外での主な実績
  • ソロ・四重奏・吹奏楽・指揮にまたがる現在の活動
  • 使用するサックスの種類と確認できる楽器・セッティング
  • ソロアルバム6作品と2026年以降の主な公演予定

上野耕平はどんなサックス奏者?

上野耕平さんを一言で整理するなら、クラシック・サクソフォンを軸にしながら、この楽器で表現できる範囲そのものを広げ続けている奏者です。

国内外のコンクールで評価された高度な演奏技術はもちろんですが、それだけを見てしまうと上野さんの活動の一部しか見えません。既存のクラシック作品を演奏するだけでなく、他楽器のために書かれた名曲をサクソフォンで演奏したり、現代の作曲家へ新曲を委嘱したり、ソプラニーノからバリトンまで複数種類のサックスを使い分けたりしています。

さらに、The Rev Saxophone Quartetではサクソフォン四重奏、PANDA Wind Orchestraでは吹奏楽、大学では教育、テレビやラジオではクラシック音楽を伝える役割も担っています。近年は指揮活動も加わりました。

つまり「サックスがうまいソリスト」というだけではなく、演奏・新作・アンサンブル・教育・発信を横断して活動している人物と考えると分かりやすいです。

先に結論をまとめると、上野耕平さんはクラシック・サクソフォン奏者です。ジャズ専門の奏者でも、アルトサックスだけを専門とする奏者でもありません。ソロから四重奏、吹奏楽まで幅広い場所でサクソフォンの魅力を伝えていることが大きな特徴です。

プロフィールとサックスを始めた経緯

上野耕平さんは1992年7月10日生まれ、茨城県東海村出身です。2026年8月27日時点では34歳。サクソフォンを始めたのは8歳のときで、きっかけは吹奏楽部でした。

現在の活動だけを見ると、幼少期からクラシックの英才教育を受けてきたようなイメージを持つ人もいるかもしれません。ですが、出発点には吹奏楽があります。学校の吹奏楽を通じてサックスに触れ、その後クラシック・サクソフォンの世界へ進んでいった経歴です。

その後、東京藝術大学器楽科へ進学し、卒業。須川展也さん、鶴飼奈民さん、原博巳さんに師事しました。

項目 内容
氏名 上野 耕平(うえの こうへい)
英字表記 Kohei Ueno
生年月日 1992年7月10日
出身 茨城県東海村
サクソフォン開始 8歳、吹奏楽部で始める
学歴 東京藝術大学器楽科卒業
師事 須川展也、鶴飼奈民、原博巳
活動の中心 クラシック・サクソフォン

サクソフォンという楽器について少し整理しておくと、見た目は金属製ですが、リードを振動させて発音するため分類上は木管楽器です。アドルフ・サックスによって1840年代に考案され、1846年に特許を取得した比較的新しい楽器でもあります。

ヴァイオリンやピアノなどと比べると歴史が新しく、クラシックで演奏されるオリジナル作品の蓄積も異なります。そのためクラシック・サックス奏者には、サクソフォンのために書かれた作品を演奏するだけでなく、他の楽器の作品を編曲して演奏したり、新しい作品を作曲家に依頼したりする活動も重要になります。

上野さんの活動には、その両方がはっきり見えます。バッハの無伴奏作品のような既存の名曲をサクソフォンで演奏する一方、現代作曲家への委嘱や世界初演も続けています。

「サックス=ジャズ」というイメージが強い人は、ここを押さえておくと上野耕平さんの活動が理解しやすくなります。サクソフォンはジャズだけの楽器ではなく、クラシックでもソロ、室内楽、吹奏楽、オーケストラなどで使われています。

私がここで強調したいのは、「クラシックなのにサックス」という見方より、サックスだからこそクラシックでどこまで表現できるのかを追い続けている奏者と見ることです。そう考えてアルバムや演奏会を追うと、それぞれの活動が一本につながって見えてきますよ。

主な受賞歴とこれまでの経歴

上野耕平さんの経歴の中でも特に大きな実績が、2011年の第28回日本管打楽器コンクールです。サクソフォーン部門で第1位を獲得し、さらに特別大賞として内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、東京都知事賞を受賞しました。

この結果は、上野さんが大学在学中の若い時期から高い評価を受けていたことを示す代表的な実績です。

翌2012年には、スコットランドで開催された第16回世界サクソフォンコングレスへソリストとして出演。2014年にはベルギー・ディナンで行われた第6回アドルフ・サックス国際コンクールで第2位に入賞しました。

アドルフ・サックス国際コンクールは、楽器の発明者アドルフ・サックスの名を冠する国際コンクールです。そこで第2位という結果を残したことは、国内だけでなく国際的な舞台でも評価を受けた経歴として押さえておきたいポイントです。

同じ2014年10月22日には、ソロCD「アドルフに告ぐ」でCDデビュー。コンクールを中心とした活動から、録音作品や一般のコンサートを通じて演奏を届ける活動へと広がっていきました。

主な経歴・受賞
2011年 第28回日本管打楽器コンクール サクソフォーン部門第1位、特別大賞受賞
2012年 第16回世界サクソフォンコングレスにソリストとして出演
2014年 第6回アドルフ・サックス国際コンクール第2位
2014年 「アドルフに告ぐ」でCDデビュー
2015年 日本フィルハーモニー交響楽団定期公演にソリストとして出演
2016年 東京オペラシティ「B→C」で全曲無伴奏のプログラムに挑戦
2017年度 第28回出光音楽賞受賞
2018年 第9回岩谷時子賞 奨励賞受賞
2023年 デュビュニョン「アルトサクソフォン協奏曲《英雄的》」を世界初演
2025年 6枚目のソロアルバム「eclogue」発売
2026年 逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」ピアノリダクション版を世界初演

2015年には山田和樹さんの指揮による日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演にソリストとして出演。オーケストラと共演するクラシック・サクソフォン奏者としても活動を広げました。

2016年の東京オペラシティ「B→C」では、全曲無伴奏というプログラムに挑戦しています。ピアノやオーケストラに支えてもらうのではなく、サクソフォン1本だけで演奏会全体を構成するわけです。

無伴奏では、旋律の流れ、呼吸、音色、間の取り方など、一人の奏者が担う要素が非常に多くなります。後にバッハの無伴奏作品を録音したアルバム「BREATH −J.S.Bach×Kohei Ueno−」へつながる活動として見ることもできます。

2017年度には第28回出光音楽賞を受賞しました。この賞はプロフィールによって「2018年」と記載されることがありますが、出光興産の公式な歴代受賞者一覧では「第28回(2017年度)」として掲載されています。

2018年には第9回岩谷時子賞の奨励賞を受賞。クラシック・サクソフォン奏者として新しいプログラムに挑み、楽器の可能性を伝えている姿勢も評価されています。

上野耕平さんについて調べると、「2018年第28回出光音楽賞」といった表記を見ることがあります。受賞自体が異なるわけではなく、年と年度の表記差です。公式記録に合わせるなら「2017年度 第28回出光音楽賞」と整理するのが分かりやすいです。

こうした経歴を見ると、上野さんの評価は単に「テレビでよく見る人気奏者」というだけではありません。日本管打楽器コンクール、アドルフ・サックス国際コンクール、出光音楽賞、岩谷時子賞といった複数の客観的な実績があります。

一方で、受賞歴だけを並べても現在の活動は説明しきれません。近年は既存レパートリーの演奏に加えて、新しい作品の委嘱や世界初演が非常に重要な柱になっています。

上野耕平の現在の活動

現在の上野耕平さんを理解するには、ソロ活動だけを見るのではなく、いくつかの活動軸を並べて考えるのがおすすめです。

大きく分けると、ソリストとしての活動、新作委嘱、The Rev Saxophone Quartet、PANDA Wind Orchestra、教育・アウトリーチ、メディア出演、指揮があります。

一見すると別々の活動に見えますが、共通しているのは「サクソフォンをどんな場所で、どんな形で聴いてもらえるか」という広がりです。

ソリストと新作委嘱・世界初演

上野耕平さんはソリストとして、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団など、国内の多数のオーケストラと共演してきました。

サクソフォンとピアノによる一般的なリサイタルだけでなく、無伴奏、弦楽器との共演、11人の室内アンサンブル、バンドネオンとの共演など、編成の幅が広いことも特徴です。

「サックス奏者のコンサート」と聞くと、ピアノ伴奏でサックスが旋律を吹く形をイメージするかもしれません。もちろんその編成もありますが、上野さんの場合は作品によってサックスの立ち位置そのものが変わります。

ソロで前面に出る場合もあれば、室内楽の一員として他の楽器と音を組み合わせることもあります。オーケストラを背景に協奏曲を演奏することもあれば、サックス1本だけで無伴奏作品を演奏することもあります。

その中でも活動上の大きな特徴が、新しい作品を作曲家へ委嘱し、自ら世界初演することです。

2023年12月2日には、上野さん自身が委嘱したリシャール・デュビュニョン作曲「アルトサクソフォン協奏曲《英雄的》」を東京都交響楽団と世界初演しました。

委嘱というのは、すでに存在する楽譜を選んで演奏するのとは違い、新しい作品そのものを作曲家に依頼することです。そして世界初演は、その曲が公の場で初めて演奏される機会になります。

サクソフォンはヴァイオリンやピアノなどと比べると歴史が新しいため、こうした活動には大きな意味があります。一人の奏者が新作を委嘱することで、将来的に別の奏者も演奏できる新しいレパートリーが生まれるからです。

2026年5月16日には、浜離宮朝日ホールで行われたリサイタルで、逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」のピアノリダクション版を世界初演しました。

このように、新作への取り組みは一度だけの特別企画ではありません。過去の名曲を演奏する一方で、これからクラシック・サクソフォンのレパートリーになる可能性を持つ作品も生み出しています。

上野耕平さんを見るときは、速いフレーズを吹ける技巧派という部分だけでなく、「サックスで演奏される作品そのものを増やしている奏者」という視点も重要です。

クラシックでは演奏家というと「作曲家が残した楽譜を再現する人」という印象を持つこともありますが、現代の演奏家には作曲家との共同作業によって新しい音楽を生み出す役割もあります。

上野さんの活動は、その役割が分かりやすく表れている例です。

The Rev Saxophone Quartet

The Rev Saxophone Quartetは、2013年に結成されたサクソフォン四重奏です。東京藝術大学で再会した4人によって結成されました。

現在のメンバーは、上野耕平さんがソプラノ・サクソフォン、宮越悠貴さんがアルト・サクソフォン、都築惇さんがテナー・サクソフォン、田中奏一朗さんがバリトン・サクソフォンを担当しています。

メンバー 担当
上野耕平 Soprano Saxophone
宮越悠貴 Alto Saxophone
都築惇 Tenor Saxophone
田中奏一朗 Baritone Saxophone

グループ名の「Rev」は、エンジンの回転数を表す言葉に由来しています。4人の音が一方向へ疾走していくようなイメージが込められている名称です。

サクソフォン四重奏では、音域の異なる4本の楽器がそれぞれの声部を担当します。一般的にはソプラノが高音域、アルトとテナーが中音域、バリトンが低音域を支えますが、曲の中では旋律や伴奏の役割が次々に入れ替わります。

そのため、ソロの上野さんしか知らない人がThe Rev Saxophone Quartetを聴くと、印象がかなり変わるかもしれません。上野さんが常に主旋律を吹くわけではなく、4人のアンサンブルの中でソプラノを担当するからです。

The Rev Saxophone Quartetが扱うのは、サクソフォン四重奏のために書かれたオリジナル作品だけではありません。新作の委嘱、クラシック作品の編曲、ピアノや邦楽器との共演などにも取り組んでいます。

2024年3月27日には、3rdアルバム「for」を発売しました。ドビュッシー、ラヴェル、ブラームスの編曲作品に加えて、グラズノフ、デザンクロ、フローラン・シュミットなどサクソフォン四重奏と関係の深い作品も収録されています。

「クラシック・サックスってソロ以外にどんな演奏があるの?」と気になった人にとって、四重奏は非常に分かりやすい入口です。

4本ともサクソフォンなのに、音域が違うことで一つの小さなオーケストラのような厚みが生まれます。曲によっては、木管楽器らしい柔らかさも、金属的な鋭さも感じられるでしょう。

2026年もリサイタル活動が続いており、2027年1月17日には東京、2月21日には大阪でThe Rev Saxophone Quartetのリサイタルが予定されています。

上野耕平さんのアルトサックスを聴いたあとにThe Rev Saxophone Quartetを聴くと、今度はソプラノ・サクソフォン奏者としての役割を確認できます。同じ奏者でも、楽器と編成が変わると聴こえ方が大きく変わるところが面白いですよ。

PANDA Wind Orchestraと指揮

上野耕平さんのもう一つの大きな活動軸が吹奏楽です。

PANDA Wind Orchestraではサクソフォン奏者として演奏するだけでなく、コンサートマスターとしても公式メンバーに掲載されています。

上野さん自身が8歳のときに吹奏楽部でサクソフォンを始めていることを考えると、現在も吹奏楽と継続的な接点を持っているのは興味深いところです。

クラシックのソリスト活動ではオーケストラやピアノとの共演が中心になりますが、PANDA Wind Orchestraでは吹奏楽という別の編成の中にサクソフォンが入ります。

吹奏楽ではサクソフォンは木管セクションの一員として、旋律を担当したり、ハーモニーの内声を担当したり、低音を支えたりします。ソロ奏者として前面に出るときとは異なる役割が求められます。

2026年4月には、PANDA Wind OrchestraのLIVE CD「不死鳥レクイエム」の発売が公式サイトで告知されました。

さらに2026年8月16日には「上野耕平&PANDA Wind Orchestra プロデュース 河口湖吹奏楽塾 大演奏会」に出演しています。

ここからも分かるのは、上野さんが演奏会に出演するだけでなく、吹奏楽を通した教育や育成につながる活動にも関わっていることです。

そして近年、もう一つ加わったのが指揮活動です。

上野さんは指揮を湯浅勇治さんに師事し、東京混声合唱団、横浜シンフォニエッタ、東京フィルハーモニー交響楽団を指揮した実績が紹介されています。

サントリーホールのオープンハウスでは、山田和樹さんの推薦を受けて横浜シンフォニエッタを指揮し、自身のサクソフォン演奏も行うプログラムが組まれました。

ただし、現在の活動を説明するときに「サックス奏者から指揮者へ転向した」と考えるのは正確ではありません。

現在も活動の中心はサクソフォンです。指揮は、長く続けてきたサックス演奏に加えて近年広がった新しい活動領域と整理すると分かりやすいでしょう。

演奏家としてオーケストラの中へ入り、ソリストとしてオーケストラの前に立ち、さらに指揮者として全体を見る。それぞれ立場は異なります。

今後、指揮活動がどの程度広がっていくかは注目したいところですが、2026年時点では「サクソフォン奏者・上野耕平」の活動の一部として見るのが自然です。

教育活動とメディア出演

上野耕平さんは、演奏活動だけでなく教育にも関わっています。

2026年時点の昭和音楽大学の教員紹介では、「上野 耕平/講師/サクソフォーン」と掲載されています。

過去の日本コロムビア公式プロフィールでは「2016年4月から昭和音楽大学の非常勤講師」と記載されていました。一方、現在の大学公式ページでは「講師」という表記です。

ここで注意したいのは、現在の公開情報だけから常勤・非常勤という雇用区分まで断定しないことです。「昭和音楽大学でサクソフォーンの講師として掲載されている」と整理するのが確実です。

また、学生や子どもを対象にしたアウトリーチ活動にも取り組んでいます。

2018年に放送された「情熱大陸」では、中高生の吹奏楽部を指導する活動にも密着されました。コンクールだけで音楽との関係を終わらせず、卒業後も楽器を続けられる環境について考えていることが伝えられています。

吹奏楽部では、どうしても大会やコンクールの結果が大きな目標になりやすいものです。ですが、楽器は学校を卒業したあとも続けられます。

上野さん自身が吹奏楽部からサックスを始め、その後プロのクラシック奏者になったことを考えると、次の世代へ音楽をつなぐ活動も経歴の重要な部分と言えます。

メディア出演も多く、クラシック音楽に普段あまり触れない人が上野さんを知るきっかけになっています。

NHK-FM「×(かける)クラシック」では、市川紗椰さんとともにMCを担当。2026年3月の放送回にも出演が確認されており、2026年時点でも番組への出演が続いています。

2018年9月16日にはMBS「情熱大陸」でサックス奏者として特集されました。

2026年4月16日には、NHK Eテレ「クラシックTV」の「The Artist サクソフォーン奏者 上野耕平」で特集されました。番組では「くまばちは飛ぶ」の演奏、サクソフォンの種類や音色、吹奏楽との関係などが扱われています。

さらに2026年6月13日には、テレビ朝日「題名のない音楽会」の「自分と同じ年だった頃の師匠から学ぶ休日」に出演。師匠・須川展也さんとの関係につながる内容が放送されました。

2026年9月21日には「LIVE! NHK Classic Fes.2026」への出演も予定されています。

テレビで上野耕平さんを知って検索した人は、メディア出演だけで人物像を判断するより、アルバムやリサイタル、四重奏の演奏まで追ってみると、活動の全体像がかなり見えやすくなります。

使用するサックスとセッティング

上野耕平さんについて調べていると、「何のサックスを使っているの?」「アルトサックスの機種は?」「マウスピースやリードは?」という疑問も出てきますよね。

使用楽器については公式情報で確認できるものがありますが、注意したいのは楽器本体とマウスピース、リガチャー、リードの情報が同じ時期のものとは限らないことです。

特にセッティングは奏者が変更する可能性があります。過去に公式プロフィールへ掲載されていたからといって、2026年現在も完全に同じ組み合わせとは断定できません。

ソプラニーノからバリトンまで

上野耕平さんは、アルトサックスだけを専門にしている奏者ではありません。

ヤマハの2026年のインタビューでは、ソプラニーノからバリトンまでを自在に扱う奏者として紹介されています。中でも多く使用しているのはアルトとソプラノで、近年はソプラニーノの登場機会も増えています。

一般によく知られているサクソフォンを高い音域から並べると、ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バスなどがあります。

種類 おおまかな特徴 上野耕平の活動での位置づけ
ソプラニーノ 非常に高い音域 近年使用が増え、「eclogue」で初録音
ソプラノ 高音域 使用頻度が高く、The Revでも担当
アルト 中高音域 特に使用頻度が高い主要楽器
テナー 中低音域 過去の録音やセッティング情報で使用を確認
バリトン 低音域 「eclogue」などで使用

2025年発売のアルバム「eclogue」では、本人にとって初録音となるソプラニーノを含め、ソプラニーノからバリトンまで複数種類のサクソフォンを使っています。

一人の奏者が複数の種類を演奏すると聞くと、「同じサックスならサイズが違うだけでは?」と思うかもしれません。

ですが、音域はもちろん、響き方、音の立ち上がり、曲の中で担う役割が異なります。高音域のソプラニーノと低音域のバリトンを聴き比べると、同じサクソフォン族でもかなり印象が違います。

さらに上野さん自身は、サクソフォンについて、美しい音だけではなく、暗い音や悲鳴のような音、空から降ってくるような音など、瞬時に音色を変化させられる趣旨の説明をしています。

これは上野さんの演奏を聴くときの大切なポイントです。

速いパッセージや高音が目立つ曲では、つい「指が速い」「難しい曲を吹いている」と技巧だけに注目してしまいがちです。しかし、同じ楽器の中で音色がどのように変化しているかまで聴いてみると、演奏の印象はかなり変わります。

特に複数種類のサックスを使う「eclogue」は、そうした違いを確かめやすい作品です。

使用楽器と過去のセッティング

2023年にヤマハが確認した上野耕平さんの使用楽器として、ソプラノはYAMAHA YSS-875EXG、アルトはYAMAHA YAS-875EXG、バリトンはYAMAHA YBS-82が挙げられています。

この中で本人が特に使用頻度が高いと説明しているのが、アルトのYAS-875EXGです。

種類 確認されている使用楽器 情報の扱い
ソプラノ YAMAHA YSS-875EXG 2023年ヤマハ確認
アルト YAMAHA YAS-875EXG 2023年ヤマハ確認、使用頻度が特に高い
バリトン YAMAHA YBS-82 2023年ヤマハ確認

ヤマハのインタビューでは、YAS-875EXGに至るまでの使用歴についても本人が語っています。楽器を固定的なスペックだけで見るのではなく、演奏家が長い期間の中でどのようなモデルを選んできたのかを見ると興味深いですね。

(出典:ヤマハ「Yamaha CUSTOM SAXOPHONE YAS-875EX 20th GALA CONCERT/上野耕平インタビュー」

一方、以前の日本コロムビア公式プロフィールでは、以下のセッティングが掲載されていました。

項目 過去に公式プロフィールで掲載されていた内容
ソプラノ YAMAHA YSS-875EXG
アルト YAMAHA YAS-875EXG
テナー YAMAHA YTS-875EXG
マウスピース SELMER S90 180
リガチャー HARRISON 復刻GP
リード VANDOREN TRADITIONAL 3.5

マウスピース、リガチャー、リードについては「2026年現在の最新セッティング」と断定できません。以前の公式プロフィールで公開されていた情報として見る必要があります。

特にリードの硬さやマウスピース、リガチャーは奏者によって変更される可能性がある部分です。

「上野耕平さんが使っていたから、同じものを使えば同じ音が出る」と考えるのも避けた方がよいでしょう。楽器本体だけでなく、マウスピース、リード、奏法、息の使い方、演奏する場所などさまざまな要素が音に関係します。

使用機材は、あくまで奏者の音づくりを知るための一つの情報です。

ソプラニーノについては、本人が新しい楽器の開発に数年間携わったことをインタビューで説明しています。ただし、確認できる公式メーカー情報からは、市販型番や正式な商品名まで特定できません。

そのため、ソプラニーノの型番を推測して「これを使っている」と書くのは避けるべきです。

使用楽器を調べるときは、「公式情報か」「いつ公開された情報か」「現在も同じと確認できるか」の3点を分けて見ると、古いセッティング情報を現在のものと取り違えにくくなります。

アルバムから知る演奏の魅力

上野耕平さんがどんな奏者なのかを知るなら、プロフィールや受賞歴だけでなく、実際の演奏を聴くのが一番分かりやすいです。

2026年8月時点では、ソロアルバムが6作品あります。

面白いのは、6枚が似た内容ではないことです。クラシック・サクソフォンの主要レパートリー、有名曲、バッハの無伴奏作品、現代作品、ソプラニーノを含む複数種類のサックスなど、作品ごとに焦点が変わっています。

そのため「一番おすすめはどれ?」とランキングで考えるより、あなたが何を聴きたいかで選んだ方が分かりやすいですよ。

ソロアルバム6作品と最新作eclogue

2026年8月時点で確認できる上野耕平さんのソロアルバムは、以下の6作品です。

作品 発売日 主な特徴
アドルフに告ぐ 2014年10月22日 デビュー作。クラシック・サクソフォンの重要レパートリーを収録
Listen to… 2016年8月24日 有名曲を含み、ソプラノ・アルト・テナーを使用
BREATH −J.S.Bach×Kohei Ueno− 2017年12月20日 バッハの無伴奏作品にサクソフォンで挑戦
アドルフに告ぐⅡ 2019年12月21日 現代作品を含む幅広いクラシック作品を収録
Eau Rouge 2023年9月27日 サクソフォンのオリジナル・定番作品を中心に収録
eclogue 2025年4月16日 ソプラニーノからバリトンまで使用した2026年8月時点の最新作

1枚目の「アドルフに告ぐ」は2014年10月22日発売。上野さんのデビューアルバムです。

吉松隆「ファジーバードソナタ」、クレストン「サクソフォン・ソナタ」、モーリス「プロヴァンスの風景」など、クラシック・サクソフォンを知るうえで重要なレパートリーが収録されています。

上野さんの初期の録音を聴きたい人だけでなく、「クラシックのサックスではどんな作品が演奏されるの?」という人にも分かりやすい内容です。

2枚目の「Listen to…」は2016年8月24日発売。

「カルメン・ファンタジー」「熊蜂の飛行」「家路」「ラプソディー・イン・ブルー」「ニュー・シネマ・パラダイス」など、クラシック音楽に詳しくなくても耳にしたことがある可能性の高い作品が並びます。

このアルバムではソプラノ、アルト、テナー・サクソフォンを使用しています。「難しいクラシック作品から入るのは少し構えてしまう」という人には比較的入りやすい一枚です。

3枚目の「BREATH −J.S.Bach×Kohei Ueno−」は2017年12月20日発売。

バッハの無伴奏チェロ組曲第1番、無伴奏フルート・パルティータ、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番など、本来サクソフォンのために書かれたわけではない作品を演奏しています。

ここでは伴奏がありません。そのため、音の始まりと終わり、呼吸、旋律のつなぎ方など、サックス1本の表現を集中して聴けます。

4枚目の「アドルフに告ぐⅡ」は2019年12月21日発売。

藤倉大「ブエノ ウエノ」、逢坂裕「ソプラノサクソフォンとピアノのためのソナタ エクスタシス」、デュクリュック、マルタン、トマジなどの作品を収録しています。

ピアノは山中惇史さんが担当し、藤倉作品では太鼓奏者の林英哲さんも参加しています。

5枚目の「Eau Rouge」は2023年9月27日発売。

ミヨー「スカラムーシュ」、デュボワ「ディヴェルティスマン」、ボザ「アリア」、プラネル「プレリュードとサルタレロ」、デザンクロ作品など、サクソフォンのオリジナル作品や定番レパートリーを中心に収録しています。

クラシック・サクソフォンの代表的な曲をまとめて聴きたい人には、内容を理解しやすいアルバムです。

そして6枚目が、2025年4月16日に発売された「eclogue」です。

2026年8月時点では、この「eclogue」が最新のソロアルバムです。

上野耕平さんの公式プロフィール本文には「最新作は5枚目のソロアルバム『Eau Rouge』」という記述が残っている場合がありますが、公式ディスコグラフィにはその後の「eclogue」が掲載されています。

「eclogue」は品番em-0045、発売時価格3,000円(税込)。本人にとって初録音となるソプラニーノを含み、ソプラニーノからバリトンまで複数種類のサクソフォンを使用しています。

収録曲には、イベール「アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲」、旭井翔一「Eclogue」、ジョン・ウィリアムズ「エスカペイド」、ピアソラ作品、ニーノ・ロータ、山田耕筰などが含まれます。

共演は山中惇史さん、三浦一馬さんのほか、11人のアンサンブルも参加しています。

特にアルバムタイトルにもなっている旭井翔一「Eclogue」は、ソプラニーノ・サクソフォンとピアノのための作品です。

近年、上野さんが取り組む機会を増やしているソプラニーノの音を録音作品で確認できるため、「現在の上野耕平さんの演奏を聴きたい」という人には重要な作品です。

(出典:上野耕平オフィシャルサイト「eclogue」

「最新アルバムはEau Rouge」という情報は2026年時点では古くなっています。公式ディスコグラフィを基準にすると、2025年4月16日発売の「eclogue」が6枚目のソロアルバムで最新作です。

「eclogue」が気になった方は、各通販サイトで現在の取扱状況を確認してみてください。

初めて聴く人向け作品の選び方

ここまでアルバムを見て、「結局どれを最初に聴けばいいの?」と思ったかもしれません。

上野耕平さんの作品は方向性が違うため、一律のランキングを作るより、聴きたい内容から選ぶ方が自然です。

現在の上野耕平と多種類のサクソフォンを聴きたい
→「eclogue」

クラシック・サクソフォンの定番作品を中心に聴きたい
→「Eau Rouge」

無伴奏でサックス1本の表現を聴きたい
→「BREATH −J.S.Bach×Kohei Ueno−」

有名曲から入りたい
→「Listen to…」

サクソフォン四重奏を聴きたい
→The Rev Saxophone Quartet「for」など

まず分かりやすい技巧を聴いてみたいなら、「熊蜂の飛行」も入口になります。

細かな音符が高速で続くため、指の動きや発音の正確さを耳で感じやすい曲です。「Listen to…」に収録されており、2026年の「クラシックTV」でも披露されました。

ただ、上野さんの魅力を「速く吹ける」という一点だけで捉えるのはもったいないです。

バッハの無伴奏作品では、伴奏のない状態で旋律をどう組み立てるかが聴きどころになります。

デュビュニョン「アルトサクソフォン協奏曲《英雄的》」のような委嘱作品に注目すれば、新しいレパートリーを作り出す活動が見えてきます。

「eclogue」では、アルトだけでなくソプラニーノからバリトンまで、複数種類のサクソフォンを聴くことができます。

The Rev Saxophone Quartetでは、ソロとは違い、4本のサクソフォンが一体になったアンサンブルの中で上野さんのソプラノを聴けます。

つまり、同じ上野耕平さんでも、作品と編成によって注目する部分が変わるわけです。

知りたい・聴きたいこと 作品例 注目ポイント
現在の活動 eclogue 多種類のサックス、近年のレパートリー
クラシック・サックスの定番 Eau Rouge オリジナル・主要レパートリー
無伴奏 BREATH 呼吸、旋律、音色
親しみやすい曲 Listen to… 有名曲と複数種類のサックス
四重奏 The Rev「for」 ソプラノ・アルト・テナー・バリトンのアンサンブル

初めて聴くときに「クラシックの知識がないと分からないのでは」と心配する必要はありません。

まずは、音色が好きか、曲が好きか、サックスの種類の違いが面白いか、といった素直なところから聴けば十分です。

そこから「この曲は何のために書かれたんだろう」「この高いサックスは何?」と疑問が出てきたら、作品や楽器について調べていけば、クラシック・サクソフォンの世界も自然に広がっていきますよ。

2026年以降の公演予定

録音作品を聴いて上野耕平さんの演奏が気になったら、次に確認したくなるのが生演奏の予定ではないでしょうか。

2026年8月27日時点でも、ソロ、オーケストラとの共演、The Rev Saxophone Quartet、PANDA Wind Orchestraなど、さまざまな形の公演が予定されています。

日程 主な公演・活動
2026年8月30日 長野市芸術館、日本フィルハーモニー交響楽団「フランス人はサックスがお好き!?」オーケストラ・レクチャー・コンサート
2026年9月9日 住友生命いずみホール「ランチタイム・コンサート Vol.32」
2026年9月16日 東京芸術劇場「名曲リサイタル・サロン第39回 上野耕平」
2026年9月19日 セントラル愛知交響楽団 第220回定期演奏会
2026年9月21日 「LIVE! NHK Classic Fes.2026」出演予定
2026年9月23日 神奈川フィルハーモニー管弦楽団「ヨコハマ・ネクストコンサート2026」
2026年10月2日 仙台クラシックフェスティバルでThe Rev Saxophone Quartet公演、上野耕平ソロ公演
2026年10月18日 上野耕平・住谷美帆サクソフォンデュオ・リサイタル
2026年11月8日 三鷹で上野耕平×山中惇史×石若駿
2026年12月20日 PANDA Wind Orchestra Christmas Concert
2027年1月17日 The Rev Saxophone Quartet 東京リサイタル
2027年2月21日 The Rev Saxophone Quartet 大阪リサイタル
2027年3月28日 茨城県で「上野耕平 SAXOPHONE CROSSING」

2026年8月30日の長野市芸術館では、日本フィルハーモニー交響楽団と「フランス人はサックスがお好き!?」オーケストラ・レクチャー・コンサートに出演予定です。

9月には大阪、東京、愛知、神奈川と各地で公演が続きます。

10月2日の仙台クラシックフェスティバルでは、The Rev Saxophone Quartetとしての公演と上野耕平さんのソロ公演が予定されています。同じ奏者をソロと四重奏という違う形で聴ける機会としても興味深いですね。

10月18日には上野耕平さんと住谷美帆さんによるサクソフォンデュオ・リサイタル。11月8日には山中惇史さん、石若駿さんとの共演が予定されています。

12月20日はPANDA Wind Orchestra Christmas Concert。ソロだけでなく吹奏楽での活動も引き続き確認できます。

2027年には、The Rev Saxophone Quartetの東京・大阪リサイタルが予定されています。

さらに2027年3月28日には、故郷の茨城県で「上野耕平 SAXOPHONE CROSSING」が予定され、上野耕平さん、山中惇史さん、The Rev Saxophone Quartetが出演する予定です。

ソロと四重奏を一つの流れで知りたい人にとっても注目しやすい公演でしょう。

また、2026年9月21日には「LIVE! NHK Classic Fes.2026」への出演が予定されています。コンサートホールへ行く機会がなくても、放送を通じて演奏を聴ける可能性があります。

公演日程、出演者、曲目、放送時間などは今後変更・追加・中止となる可能性があります。実際に公演へ行く場合や番組を視聴する場合は、上野耕平さんの公式サイトや各主催者の最新情報を確認してください。

ここまで見てきたように、上野耕平さんは、コンクールで実績を残したクラシック・サクソフォン奏者というだけではありません。

ソリストとしてオーケストラと共演し、無伴奏作品を演奏し、作曲家へ新作を委嘱する。その一方で、The Rev Saxophone Quartetではソプラノ・サクソフォン、PANDA Wind Orchestraではサクソフォン奏者兼コンサートマスターとして活動しています。

さらに、教育やアウトリーチ、テレビ・ラジオ出演、近年は指揮へも活動を広げています。

使用する楽器もアルトだけではなく、ソプラニーノからバリトンまで幅広く、最新ソロアルバム「eclogue」では複数種類のサクソフォンを一枚の作品の中で聴くことができます。

上野耕平さんを初めて知った人なら、まずは気になるアルバムから演奏を聴いてみるのがおすすめです。

現在の活動を知りたいなら「eclogue」、クラシック・サクソフォンの定番を知りたいなら「Eau Rouge」、無伴奏に興味があるなら「BREATH −J.S.Bach×Kohei Ueno−」、親しみやすい有名曲から入りたいなら「Listen to…」、四重奏ならThe Rev Saxophone Quartet「for」というように選べます。

「サックス 上野耕平」と検索して人物像が気になったなら、経歴を読むだけで終わらず、ぜひ実際の音まで聴いてみてください。

アルト、ソプラノ、ソプラニーノ、バリトン、無伴奏、四重奏、オーケストラとの共演。それぞれを聴き比べることで、「サックスという楽器はこんなに違う表情を持っているのか」と感じられるかもしれません。

上野耕平さんの活動を追うことは、一人の奏者を知るだけでなく、クラシック・サクソフォンという楽器の広さを知る入口にもなります。