セルマーのサックスマウスピース比較|定番モデルの違いを解説

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セルマー・パリのサックス用マウスピースを選ぼうとすると、S80、S90、Concept、Soloistなど候補が多く、「名前は聞いたことがあるけれど、結局どれが自分に合うの?」と迷いますよね。

さらに、S80のC*とS90の170・180・190では番手の表し方が違い、同じ数字や記号だけを見ても実際のティップオープニングや吹奏感までは判断できません。

アルトだけを見ても、クラシック系の定番からジャズ向けのJazz FlowやSpirit、独自構造のClaude Delangleまで選択肢が広く、価格差もかなりあります。

先に結論を言うと、セルマーのマウスピースは、人気モデルや番手だけで決めず、使用するサックス、演奏ジャンル、欲しい音色、ティップオープニング、リードとの組み合わせまで含めて選ぶことが大切です。

S80 C*のような定番から始めるのもよいですし、Conceptの反応や柔軟性、Soloistの温かさ、Jazz FlowやSpiritのジャズ向けの鳴り方を求める選び方もあります。

この記事では、セルマーのサックス用マウスピースを初めて比較する人でも判断しやすいように、モデル名だけでは分かりにくい違いを順番に整理していきます。

  • S80・S90・Concept・Soloistなど現行モデルの違い
  • C*や170・180・190など番手とティップオープニングの見方
  • クラシック・吹奏楽・ジャズに合わせたモデル選び
  • リードとの組み合わせや試奏・価格・メンテナンスの注意点

セルマーのマウスピース選びの結論

金色のサックスを背景に、セルマーのマウスピース選びでは目的とリードまで含めて組み合わせを選ぶと示す画像

セルマーのサックス用マウスピースには多数の現行モデルがありますが、価格が高いモデルほど上位で、誰にでも吹きやすいという関係ではありません。

長年の基準として考えやすいS80、より音色感や投射力を意識したS90、現代的な反応と均一性を重視するConcept、温かさと柔軟性を持つSoloistなど、それぞれ狙っている方向が違います。

さらにアルトにはPrologue、Density、Claude Delangle、Jazz Flow、Spiritがあり、同じセルマーでも初心者向けからソロ、現代ジャズまでかなり幅があります。

ソプラノではSuper Session、テナーではJazz Tributeのように、ジャズ方向を明確に意識したモデルもあります。

迷ったら「どのモデルが一番人気か」ではなく、「今のマウスピースから何を変えたいか」を考えてください。

発音を楽にしたいのか、音を前へ飛ばしたいのか、温かい音が欲しいのか、ジャズでより自由に音色を変えたいのか。

目的が決まると、候補はかなり絞れます。

私なら、最初に現在使っているマウスピースのモデルと番手を書き出し、その横に「もっと欲しいもの」を一つだけ書きます。

たとえば「S80 C*を使っていて、クラシックの方向性は変えずにもう少し音を前へ出したい」ならS90が比較候補になります。

「今の音はまとまるけれど、もっと自然に息が入り、音色を柔軟に変えたい」と感じるならConceptも試してみる価値があります。

反対に、アルトでクラシック用の小さめの開きからジャズへ方向転換したいなら、Jazz FlowやSpirit、Soloistの大きめの番手を比較することになります。

このとき大事なのは、モデルを替えるとティップオープニングまで大きく変わる場合があることです。

「新しいマウスピースが吹きにくい」と感じても、実際にはマウスピースそのものではなく、今までのリードとのバランスが合っていない可能性もあります。

モデル、番手、リードを別々に考えず、一つの組み合わせとして確認する。

これがセルマーのマウスピース選びで一番外しにくい考え方かなと思います。

Henri SELMER Parisの公式サイトでは、2026年8月時点で通常ラインのサックス用マウスピースとして23製品が掲載されています。

(出典:Henri SELMER Paris公式「Saxophone mouthpieces」)

マウスピース選びそのものの基本を整理したい場合は、サックスマウスピースの選び方もあわせて確認すると、オープニングやリードとの関係を理解しやすいですよ。

使用楽器とジャンルを先に決める

まず確認したいのは、使用しているサックスの種類です。

セルマーにはソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バス用のマウスピースがあります。

同じC*という表記でも、サックスの種類によってティップオープニングは違います。

たとえばS80 C*は、ソプラノでは1.17mm、アルトでは1.55mm、テナーでは1.90mm、バリトンでは2.05mmです。

ソプラニーノS80 C*は1.10mm、バスS80 C*は2.10mmなので、同じ「S80 C*」という名前だけを取り出して比較することにもあまり意味はありません。

つまり、「C*だから同じ開き」と考えることはできないんですね。

通販や中古で購入するときは、番手だけでなく対応するサックスの種類まで確認してください。

特に中古市場では商品名が短く書かれていることもあるため、「Selmer C*」だけで購入判断をせず、ソプラノ用なのかアルト用なのか、現行品なのか旧型なのかまで確認したほうが安心です。

次にジャンルを考えます。

クラシックや吹奏楽であればS80、S90、Conceptなどが比較しやすく、アルトで現代的なジャズやポップスを演奏するならJazz Flow、Spirit、Soloistの大きめの番手などが候補になります。

ソプラノでジャズを演奏するならSuper Session、テナーで本格的なジャズ向けのメタルマウスピースを探すならJazz Tributeという選択肢もあります。

ただ、ジャンル名だけで機械的に決める必要はありません。

クラシック奏者でも、求める抵抗感や音色によってS80とConceptで好みが分かれますし、ジャズでもSoloistのような温かい方向を好む人もいます。

同じ「ジャズ」でも、ビッグバンド、コンボ、ポップスのサポート、ファンク、録音などでは必要な音の出方が違います。

ライブでバンドの中を抜ける音が欲しい人と、録音で丸く密度のある音を作りたい人では、選ぶ基準も変わって当然です。

「ジャズなら必ずメタル」「クラシックなら必ずエボナイト」という決まりはありません。

素材だけでは音色は決まらず、ティップ、フェイシング、チェンバー、バッフル、ボアなどを含めた設計全体と、奏者やリードとの組み合わせで変化します。

商品名や素材のイメージだけで決めず、実際の吹奏感を確かめることが大切です。

もう一つ見落としやすいのが、所属する吹奏楽団や学校の方針です。

個人では気に入った音でも、合奏ではセクション全体の音色をそろえる必要があり、指導者からモデルや番手を指定される場合があります。

その場合は、自分の好みだけでなくアンサンブル全体の条件も選択材料にしましょう。

セルマーの現行モデルを比較

金色のサックスを背景に、セルマーの現行マウスピースを用途と個性の違いから比較することを示す画像

セルマー・パリの現行マウスピースは、同じメーカーの製品でもかなり性格が違います。

特に比較されやすいのがS80、S90、Conceptですが、アルトではPrologue、Soloist、Density、Claude Delangle、Jazz Flow、Spiritまで候補が広がります。

ソプラノ、テナー、バリトンまで含めるとモデル構成がさらに変わるため、「セルマーならどの楽器でも同じラインナップ」と考えないほうが分かりやすいです。

モデル 主な方向性 特徴 選びやすい人
S80 クラシック・吹奏楽 丸さ、温かさ、バランス、発音のしやすさ セルマーの定番を基準にしたい人
S90 クラシック・吹奏楽・ソロ ダイレクトな反応、均一性、投射力 S80系からさらに音を前へ出したい人
Concept クラシック・吹奏楽 反応の良さ、丸さ、均一性、柔軟性 現代的な吹奏感を求める人
Soloist クラシック~ジャズ 温かさ、芯、豊かさ、音色変化の幅 ジャンルをまたいで使いたい人
Prologue アルト入門 発音しやすく価格を抑えやすい 初めてセルマーを選ぶ初心者
Jazz Flow アルトのジャズ・ポップス パワフルさ、深さ、柔軟性 現代的なジャンルを吹きたい人
Spirit アルトのジャズ 豊かな低次倍音、抜け、明瞭なアタック 大きめの開きでジャズ方向を狙いたい人
Density アルト 丸さ、深さ、コントロールされた投射力 Concept系の扱いやすさと存在感を両立したい人
Claude Delangle アルト・ソロ 密度、豊かさ、強い投射力 ソロで存在感を出したい人
Super Session ソプラノ・ジャズ 丸さ、パワー、投射力、柔軟性 ソプラノでジャズを吹く人
Jazz Tribute テナー・ジャズ メタル製、明るさ、密度、投射力 本格的なジャズ用テナーマウスピースを探す人

この表を見ると、S80からJazz Tributeまで単純な価格順や上位・下位の関係ではないことが分かります。

まず用途の方向を決め、その中でオープニングと吹奏感を比較するのが基本です。

たとえばアルトでクラシックが中心なら、S80、S90、Concept、Soloist C*・C**、Density、Claude Delangleあたりを比較できます。

一方、ジャズやポップスが中心なら、Jazz Flow、Spirit、Soloist D~Gのように候補が変わります。

同じアルト用でも、ティップオープニングは1.5mm前後から2.1mmまで差があるため、モデル名だけを比較すると吹奏感の差を誤解しやすいんですね。

S80・S90・Conceptの違い

S80はセルマーを代表するロングセラーモデルです。

丸みや温かさ、全体のバランスを重視した性格で、クラシックや吹奏楽の基準として長く使われてきました。

「セルマーのマウスピースを初めて試すけれど、何を基準にすればいいか分からない」という人なら、S80を一度吹いておくと他モデルとの違いを判断しやすくなります。

S80は多くの楽器でスクエアチェンバーを採用しており、複数のティップオープニングから選べることも特徴です。

アルトならC=1.45mm、C*=1.55mm、C**=1.65mm、D=1.75mm、E=1.85mm、F=1.95mmというように段階的に選べます。

つまり、S80が好きでもC*が自分に合わなければ、同じモデル内で開きを変える余地があります。

S90もクラシックや吹奏楽で比較される定番ですが、S80とは同じものではありません。

S90はダイレクトな反応や均一性を持ちながら、S80よりも音色感や投射力を意識した方向です。

オーケストラや大きな編成の中で、自分の音をもう少し前へ届けたいと感じる人には比較する価値があります。

S90のアルト用は170=1.35mm、180=1.45mm、190=1.55mm、200=1.65mmです。

S80と同じスクエアチェンバーでも、内部設計が同一ではないため、同じティップオープニングにそろえても吹いた感触や音のまとまり方は変わります。

Conceptはさらに設計思想が異なります。

ラウンドチェンバーを採用し、反応の良さ、豊かさ、均一性、丸さ、柔軟性を重視した現代的なシリーズです。

S80やS90のように多数の番手から選ぶのではなく、基本的に各サックスで一つのティップオープニングが設定されています。

アルトConceptならティップオープニング1.52mm、フェイシング長24mm、ラウンドチェンバーです。

テナーConceptは2.10mm、バリトンConceptは2.03mmなので、「Conceptは全部1.52mm」という意味ではありません。

アルトの場合、S80 C*は1.55mm、S90 190も1.55mmです。

一方、Conceptは1.52mmです。

近い開きで試奏すれば、単純な「開きの差」ではなく、モデルごとの設計や反応の違いを比較しやすくなります。

私ならS80、S90、Conceptを比較するとき、最初から「どれが上位か」という見方はしません。

同じフレーズを同じリードで吹き、低音の立ち上がり、高音のつながり、弱音、強奏時の安定性を順番に確認します。

たとえば弱音では吹きやすいのに、強く吹くと自分の求める音色から外れるマウスピースもあります。

逆に最初は少し抵抗を感じても、音量を上げたときに芯が残り、自分の演奏では使いやすいと感じることもあります。

数分だけの第一印象で「吹きやすい=最適」と決めず、普段使う音量やフレーズまで確認すると失敗しにくいですよ。

Soloist・Prologueの違い

Soloistは、S80やConceptとは少し違う方向で考えたいモデルです。

1950年代のSoloistの思想を受け継いだモデルで、温かさや芯を持ちながら、音色を変化させやすい柔軟性があります。

アルトとテナーで展開され、C*、C**、D、E、F、Gと幅広いオープニングを選べます。

アルトではC*=1.55mm、C**=1.65mm、D=1.75mm、E=1.85mm、F=1.95mm、G=2.05mmです。

テナーではC*=1.90mmからG=2.40mmまで選べます。

特徴的なのがホースシュー、つまり馬蹄形のチェンバーです。

S80やS90のスクエア、Conceptのラウンドとは異なるため、近いティップオープニングでも音色や抵抗感の方向が変わります。

比較的小さなC*やC**ならクラシック寄りの使い方も考えやすく、D~Gではジャズを含めた幅広い演奏に対応しやすくなります。

アルトSoloistではC*が1.55mm、Fが1.95mm、Gが2.05mmです。

同じSoloistでも番手によって吹奏感はかなり変わるため、「Soloistが自分に合うか」だけでなく、「Soloistのどの開きが合うか」まで試したいところですね。

特にクラシック系のC*からFやGへ移ると、モデルは同じでもリードにかかる負荷は大きく変わります。

そのため、番手違いを試奏するときはリード硬度まで固定しすぎないほうが比較しやすくなります。

一方、Prologueはアルト用の入門モデルです。

ティップオープニングは1.55mm、フェイシング長24mm、スクエアチェンバーで、発音しやすさと製品の安定性を重視しています。

素材はTPEと呼ばれる熱可塑性ポリマー系で、リガチャーとキャップが付属します。

S80などより価格を抑えやすく、これからアルトサックスを始める人がセルマーのマウスピースを試したい場合にも候補になります。

ただし、PrologueとSoloistは単純な価格差で選ぶものではありません。

初心者が扱いやすさと予算を重視するならPrologue、温かい音色や将来的な表現の幅まで考えるならSoloistも含めて比較する、と考えると分かりやすいでしょう。

Prologueが安いから「下位で音が悪い」、Soloistが高いから「上位で必ず良い」という考え方は避けてください。

マウスピースは価格ではなく、あなたが無理なく音をコントロールできるかで選ぶものです。

ジャズ向けモデルの違い

セルマーにはクラシック系だけでなく、ジャズを明確に意識したモデルもあります。

アルトのJazz Flowは5が1.95mm、7が2.05mmで、フェイシング長は30mm、ラウンドチェンバーです。

パワフルさだけでなく、音の豊かさや深さ、柔軟性を持たせたモデルで、ジャズ、ポップス、ファンクなど現代的なジャンルを意識して比較しやすいです。

初めてクラシック系からジャズ系へ移る場合は、5と7の数字だけを見ず、今のマウスピースとの開きの差を確認してください。

たとえばアルトS80 C*の1.55mmからJazz Flow 5の1.95mmへ移れば、0.40mm開きが大きくなります。

この差は数字だけでは小さく見えても、実際にリードを振動させたときの負荷や息の使い方にはかなり影響します。

Spiritはアルト用で、ティップオープニングは2.10mm、フェイシング長27mm、ラウンドチェンバーです。

低次倍音の豊かさを残しながら音を前へ出す方向と、全音域での音色のまとまり、明瞭なアタックを意識した設計です。

Jazz Flow 5やS80 C*と比べればかなり開きが大きくなります。

S80 C*からSpiritへ変更すると、モデルの設計だけではなくティップオープニングも大幅に変わるため、今まで使っていたリードが急に重く感じることもあります。

SoloistもD~Gになるとジャズ方向の候補として比較できます。

たとえばSoloist Fは1.95mmでJazz Flow 5と同じティップオープニングなので、同じ開きで設計差を感じやすい組み合わせです。

Soloist Gは2.05mmでJazz Flow 7と同じ開きです。

近い条件で試せば、「大きく開いたから音が変わった」のか「モデルの設計によって音が変わった」のかを切り分けやすくなります。

ソプラノではSuper Sessionがジャズ向けの代表候補です。

E=1.35mm、F=1.45mm、G=1.55mm、H=1.65mmと複数のオープニングが用意されています。

S80、S90、Conceptよりも明確にジャズ方向を意識して選びたいときに比較しやすいモデルです。

テナーのJazz Tributeは真鍮に金メッキを施したメタルモデルで、7*が2.67mm、8が2.80mm、8*が2.92mmです。

フェイシング長も36mmあり、S80、S90、Conceptなどのクラシック系テナーマウスピースとはかなり条件が違います。

Jazz Tributeのような大きな開きへ変更するときは、現在のリードをそのまま使える前提で考えないほうが安全です。

マウスピースそのものの良し悪しを判断する前に、リード硬度を含めた組み合わせを調整してください。

「吹けなかったから合わない」と結論を急がず、リードを変えた状態でもう一度確認すると判断しやすくなります。

ジャズ用マウスピースでは、音量や抜けの良さだけに注目しがちですが、弱音で音が痩せないか、サブトーンが扱いやすいか、タンギングのニュアンスが付けやすいかも大切です。

あなたが実際に演奏する曲で使う音域とダイナミクスを試すと、カタログ上の特徴よりも自分との相性が見えてきます。

番手とティップオープニング

金色のサックスを背景に、番手や記号だけでなくティップオープニングの実寸を基準に比較すると示す画像

セルマーのマウスピース選びで特に混乱しやすいのが番手です。

C*やC**、D、Eといった表記もあれば、S90では170、180、190、200という数字が使われています。

ここで大切なのは、番手名ではなく公式のティップオープニング実寸を見ることです。

ティップオープニングは、マウスピース先端とリード先端の間にある隙間です。

一般的には開きが大きいほどリードを大きく振動させる余地があり、音量や音色を変化させやすくなる一方、息やアンブシュアのコントロールも求められます。

逆に開きが小さければ比較的コントロールしやすい傾向がありますが、小さければ必ず初心者向け、大きければ必ず上級者向けという意味ではありません。

ここでさらに重要なのが、ティップオープニングだけで吹奏感を決めないことです。

リードがマウスピースから離れて振動する曲線部分であるフェイシングの長さ、チェンバー、バッフル、ボアなども一緒に影響します。

たとえば同じ1.95mmでも、Soloist FとJazz Flow 5ではフェイシングやチェンバーの設計が違います。

数字が同じだから同じ息の入れ方になるとは限らないんですね。

ティップオープニングは「比較を始めるための共通尺度」と考えると分かりやすいです。

同じ開きに条件をそろえてモデル差を確認し、そのあと必要なら開きを変えると、自分に合う理由を整理しやすくなります。

また、別メーカーまで比較するときは、C*や5、7などの記号だけを横並びにしないでください。

ブランドごとに番手の付け方が異なるため、実寸を確認する必要があります。

C*と170・180・190の見方

S90の数字は特に注意してください。

たとえば「S90 190」と書かれていると、1.90mmだと思ってしまいそうですよね。

しかし、実際にはサックスの種類によって違います。

楽器 S80 C* S90 190 実際の開き
ソプラノ C* 190 1.17mm
アルト C* 190 1.55mm
テナー C* 190 1.90mm
バリトン C* 190 2.05mm

テナーS90 190は実際に1.90mmですが、アルトS90 190は1.55mmです。

ソプラノなら1.17mm、バリトンなら2.05mmになります。

同じようにアルトS90 180は1.45mmなので、S80 C*の1.55mmより狭い設計です。

アルトではS80 C=1.45mmとS90 180=1.45mm、S80 C*=1.55mmとS90 190=1.55mm、S80 C**=1.65mmとS90 200=1.65mmという対応で比較できます。

「S80 C*とS90 180は定番同士だから同じくらいだろう」と考えて比較すると、モデル差だけでなく0.10mmのオープニング差まで一緒に感じることになります。

0.10mmという数字だけを見るとわずかに思えるかもしれません。

でも、サックスのマウスピースではリードとの組み合わせによって体感差が出るため、無視しないほうがよいです。

モデルそのものの違いを比較したいなら、できるだけ近いティップオープニング同士を試してください。

アルトならS80 C*=1.55mmとS90 190=1.55mmは分かりやすい比較例です。

そこでS80とS90の設計差を確認してから、必要に応じて180や200へ広げると判断しやすくなります。

もちろん、最終的には数字が一致することより、自分が演奏しやすいことのほうが重要です。

同じ1.55mmでも「こちらのほうが息が入る」「こちらのほうが音がまとまる」という違いが出るのは普通です。

数字は答えではなく、試奏条件をそろえるための道具として使ってください。

クラシック・吹奏楽向けの選び方

金色のサックスを背景に、クラシックや吹奏楽では全音域のまとまりと合奏での扱いやすさを確かめる画像

クラシックや吹奏楽なら、まずS80、S90、Conceptを中心に考えると整理しやすいです。

S80は丸さ、温かさ、バランスを重視した定番で、長年使われてきた基準が欲しいなら有力候補です。

S90はS80と近いクラシック系ながら、よりダイレクトな反応や投射力を求めたいときに比較したいモデルです。

Conceptは反応の良さ、均一性、丸さ、柔軟性を重視した現代的な設計です。

「番手をいくつも選ぶより、設計された一つの開きで自分との相性を確かめたい」という人にも比較しやすいでしょう。

アルトならDensityやClaude Delangleも候補になります。

Densityはティップオープニング1.55mmで、Concept系の丸さや扱いやすさに、より深い音色やコントロールされた投射力を加えたい人が比較しやすい方向です。

Claude Delangleは1.65mmで、ボア内部に金属リングを配置したバイマテリアル構造が特徴です。

密度や豊かさ、強い投射力を重視しており、特にソロで存在感のある音を求める人が比較しやすいモデルです。

クラシック用のマウスピースを選ぶとき、私は「きれいな音が出るか」だけでは足りないと思っています。

弱音の立ち上がり、レガートで音域をまたいだときのつながり、強奏で音色が広がりすぎないか、タンギングが狙った位置で反応するかまで確認したいところです。

特に吹奏楽では、一人で吹いたときの華やかさよりも、セクションの中へ自然に溶け込めるかが重要になる場面があります。

自分では少し地味に感じるマウスピースでも、合奏に入ると音程と音色がまとまり、結果的に使いやすいこともあります。

クラシック・吹奏楽では「単音の第一印象」より「全音域を同じ質感でコントロールできるか」を重視してください。

ロングトーン、スケール、タンギング、実際の曲の一節まで吹くと、モデルの違いをつかみやすくなります。

学校や楽団で指定されているマウスピースがある場合は、その条件も優先してください。

個人で選べる場合でも、可能なら合奏の中で吹いたときの音色まで確認できると理想的です。

また、「ConceptはS80より新しいから上位」という選び方もしないほうがよいです。

両者は設計の方向が違うため、S80の抵抗感やまとまりが好きな人にConceptが必ず合うわけではありません。

逆にS80で少し息が詰まるように感じる人が、Conceptでは自然に息を入れやすいと感じる可能性もあります。

あなたが今困っていることを基準に比較しましょう。

ジャズ・ポップス向けの選び方

金色のサックスを背景に、ジャズやポップスでは音色の変化や抜け、弱音まで操作性を比べると示す画像

ジャズやポップスでは「大きな音が出るか」だけでなく、音色の変化、アタック、抜け、弱音から強音までのコントロールを見たいところです。

アルトならJazz Flow、Spirit、SoloistのD~Gあたりが比較しやすい候補です。

Jazz Flow 5は1.95mmで、Soloist Fも1.95mmです。

ティップオープニングが同じなので、チェンバーやフェイシングなど設計の違いを比較する組み合わせとして面白いですよ。

Jazz Flow 7とSoloist Gも2.05mmでそろえられます。

Soloistは温かさや芯を重視しつつジャンルをまたいで使いやすい方向、Jazz Flowはより現代的なジャズやポップスを意識した方向と考えると、試奏時の目的を決めやすくなります。

Spiritは2.10mmとさらに大きめです。

開放感やジャズ方向の鳴り方を求める人には候補ですが、S80 C*などから替える場合はリードも含めた調整が重要になります。

ソプラノならSuper Session、テナーならJazz TributeやSoloist D~Gが候補になります。

Jazz Tributeはメタル製ですが、「メタルだから必ず明るい」と決めつけないでください。

実際の音色は内部形状、リード、アンブシュア、息のスピードなどにも左右されます。

ジャズで選ぶときは、自分が普段どんな演奏をするかを具体的に思い浮かべると分かりやすいです。

小編成で歌うような音を出したいのか、バンドの中で輪郭を出したいのか、ファンクでアタックを強くしたいのか。

同じ「ジャズ向け」でも必要な性格は違います。

ジャズ用だから大きな開きを選ばなければならないわけではありません。

大きなティップオープニングは表現の幅につながる場合がありますが、息やアンブシュアへの負荷も増えます。

長時間吹いて疲れず、低音から高音まで自分の表現を安定して再現できるかを優先してください。

試奏では、強く吹いたときだけでなくppやサブトーンも確認してみてください。

大音量では気持ちよく鳴るのに、小さな音でコントロールしにくいなら、実際の演奏では扱いづらいかもしれません。

逆に派手さは控えめでも、音量を変えても音色の芯が残るマウスピースなら、長く使いやすいことがあります。

初心者が選びやすいモデル

金色のサックスを背景に、初心者が無理なく発音でき疲れにくいセルマーのモデルを選ぶことを示す画像

初心者がセルマーを選ぶなら、クラシックや吹奏楽ではS80 C*やS90 170が比較しやすい候補です。

アルトで予算を抑えたいならPrologue、ジャズへ初めて挑戦するアルト奏者ならJazz Flow 5も候補になります。

ただし、初心者だから必ずS80 C*を買わなければならないわけではありません。

S80 C*が定番であることと、あなたの口や息に必ず合うことは別です。

大切なのは、無理に噛まなくても発音できること、低音から高音までつながること、数分吹いただけで口が疲れすぎないことです。

初心者の場合はマウスピースの違いだけでなく、サックス本体やリード、アンブシュアの状態でも吹奏感が大きく変わります。

最初から細かな音色差を完全に判断するのは難しくても、「息が入りやすい」「低音が出しやすい」「高音で噛みすぎなくても鳴る」といった身体的な違いは感じやすいです。

そこを手がかりにしてください。

また、初心者ほど極端に開きの大きなマウスピースへ急いで移る必要はありません。

大きな開きで音が派手に感じられても、長く吹いたときに疲れて音程が崩れるなら、現在の段階では扱いにくい可能性があります。

「高いマウスピースに替えれば初心者でもすぐ良い音になる」とは限りません。

今使っているマウスピースで無理なく音が出ているなら、買い替える目的を決めてから比較したほうが違いを判断しやすいですよ。

学校の吹奏楽部で使う場合は、先生や指導者へ確認してから購入するのもおすすめです。

セクションでS80 C*など特定の組み合わせを基準にしている場合、個人だけ大きく違う方向へ変えると音色をそろえにくくなることがあります。

これから楽器本体も含めて選ぶ場合は、初心者向けサックスの選び方も確認しておくと、マウスピースだけに予算や判断が偏るのを防ぎやすいです。

リードとの組み合わせ

金色のサックスを背景に、マウスピースとリードの硬度を組み合わせて吹奏感を確かめることを示す画像

マウスピースを替えるときに忘れやすいのがリードです。

マウスピースとリードは一緒に振動して音を作るため、マウスピースだけを交換して「吹きにくくなったから失敗だった」と判断するのは少し早いことがあります。

一般的には、ティップオープニングを大きくすると、今までと同じ硬さのリードが重く感じられる場合があります。

たとえばS80 C*からJazz Flow、Spirit、Soloistの大きな番手、Jazz Tributeなどへ変更した場合、硬度違いのリードを試すことでバランスが取りやすくなることがあります。

反対に、開きの小さなマウスピースに柔らかすぎるリードを合わせると、強く吹いたときの安定感や音程、音色をコントロールしにくい場合があります。

マウスピースを替えたら、まず普段使っているリードで吹き、その後に必要に応じて前後の硬さを試すと違いを整理しやすいです。

一度にマウスピースもリードも大幅に変えてしまうと、どちらが吹奏感へ影響しているのか判断しにくくなります。

リードの2.5や3といった数字も、ブランドやシリーズを超えて完全に同じ硬さを示すものではありません。

同じ2.5でもカットやブランドが変われば、抵抗感や反応が違うことがあります。

「S80 C*なら必ず2.5」「Jazz Flow 7なら必ず2」というような全員共通の固定対応表は作れません。

サックスの種類、リードのカット、息の量、アンブシュアによって変わります。

硬すぎる場合は、数音吹いただけで疲れる、息が入りにくい、低音が立ち上がりにくいといった感覚が出ることがあります。

必要以上に噛み込まないと音がまとまらない場合も、リードとのバランスを見直すきっかけになります。

柔らかすぎる場合は、強奏で音がつぶれるように感じる、音程や音色を安定させにくい、といったことがあります。

ただし、これらの感覚は奏者によって違うので、「この症状なら必ずリードを一段柔らかくする」と機械的に判断する必要はありません。

私なら新しいマウスピースを試すとき、普段の硬さだけでなく、前後の硬さを少数用意して比較します。

特にティップオープニングが大きく変わる場合、この方法のほうがマウスピース本来の吹奏感を判断しやすいです。

同じリードを無理に使い続けて、「このモデルは息が入らない」と決めつけるのはもったいないんですよね。

新しいマウスピースを選ぶときは「今のリードを使えるか」ではなく、「そのマウスピースに合うリードも含めて調整できるか」と考えるのがおすすめです。

なお、リードは天然素材の場合、同じ箱の中でも個体差があります。

試奏に使う1枚だけが極端に状態の悪いリードだと、マウスピースの評価まで変わってしまいます。

できれば普段から安定して使えているリードを基準にし、必要に応じて硬度違いも追加して比較してください。

試奏で確認したいポイント

金色のサックスを背景に、試奏では普段の楽器で発音や音程、疲労まで比べて確認することを示す画像

セルマーのマウスピースを本気で選ぶなら、可能な範囲で実際に試奏するのがおすすめです。

写真やスペック表ではティップオープニングや素材は分かりますが、あなたの息に対する反応までは分かりません。

試奏できるなら、できるだけ普段使用している自分のサックスを持っていきましょう。

別のサックスでマウスピースだけを比べると、楽器本体の違いまで評価に混ざってしまいます。

最初は同じ状態の良いリードを使い、近いティップオープニングの2~4モデル程度を比較すると違いが分かりやすいです。

一つのマウスピースを長時間吹き込んでから次へ進むと、口や息が疲れて比較条件が変わります。

最初は1本あたり2~3分程度で順番に吹き、候補を絞ってから長めに確認する方法が使いやすいですよ。

確認項目 見るポイント
発音 無理に噛まず自然に音が立ち上がるか
低音 小さな音でもアタックできるか
中音域 音色や抵抗感が急に変わらないか
高音域 噛み込まずに出せるか
アーティキュレーション タンギングが明確に反応するか
ダイナミクス ppからffまでコントロールできるか
音色 自分が求めるジャンルに合うか
投射力 必要な距離まで音を届けやすいか
音程 チューニング後に全音域が安定するか
疲労 長く吹いても口や息への負担が大きすぎないか

マウスピースによってネックへ差し込む位置は変わります。

試奏前にチューニングを合わせず、「このモデルだけ音程が高い」と判断しないようにしてください。

まず基準音でチューニングを合わせ、それから低音、中音、高音の傾向を比べるほうが正確です。

また、大幅にオープニングが変わる場合は、同じリードだけで比較しても正確な判断が難しくなることがあります。

その場合は硬度を変えてもう一度試奏しましょう。

試奏では、単音だけで終わらせないことも大切です。

ロングトーンでは気持ちよくても、実際の曲を吹くとタンギングが遅れたり、跳躍で音がつながりにくかったりする場合があります。

普段吹いている曲から、低音、高音、速いタンギング、弱音、強奏が含まれる短い部分を用意しておくと比較しやすいです。

可能なら自分の演奏を少し離れた位置で録音するのも役立ちます。

吹いている本人が感じる音と、前へ飛んでいる音は同じとは限りません。

特に投射力を比べたいときは、録音や第三者の意見が参考になることがあります。

あなたが一番大きな音を出せたモデルではなく、必要な音を何度でも再現できるモデルを選ぶ。

この視点はかなり大切です。

最初の一音で気持ちよく鳴るモデルに惹かれるのは自然です。

でも、長時間の練習や本番で使うことを考えるなら、疲労や音程、弱音の扱いやすさまで含めて選びましょう。

価格と購入先の注意点

金色のサックスを背景に、セルマーのマウスピースは価格差だけでなく付属品や購入条件も確認すると示す画像

セルマーのマウスピース価格は、モデル、サックスの種類、販売店、番手、在庫、選定品かどうかで変わります。

2026年夏時点で国内販売例を見ると、アルト用Prologueは約1万円前後、S80は約2.5万~2.8万円台、S90は約2.6万~2.8万円台、Conceptは約3.1万~3.7万円台、Jazz Flowは約2.9万~3.1万円台が一つの目安です。

Soloistは約3.2万~3.4万円前後、Claude Delangleでは約4.3万~4.6万円台の販売例があります。

テナー用ではS80が3万円台、S90が3.1万円前後から、Conceptが約3.4万~3.6万円台、メタル製Jazz Tributeは約7.5万~8万円前後の販売例があります。

バリトンではS80が4万円台半ば、Conceptでは5万円台後半の販売例もあります。

これらは固定価格ではなく、あくまで販売例をもとにした一般的な目安です。

国内では価格改定も行われているため、購入時の正確な価格、在庫、付属品については販売店やメーカーの公式情報を確認してください。

同じモデルでも、旧価格の在庫と価格改定後の在庫が同時に流通すると、一時的に店舗間の差が大きく見えることがあります。

価格だけを見て「この店だけ高い」「この価格が定価」と判断せず、販売時点の表示を確認しましょう。

また、付属品もモデルごとに異なります。

Prologueはリガチャーとキャップ付き、Jazz Tributeも専用リガチャーとキャップ付きですが、すべてのセルマー製マウスピースへ同じ付属品が付くとは限りません。

ネット購入では、本体だけなのか、リガチャーやキャップまで含むのかを商品ページで確認してください。

サックス全体の予算も整理したい場合は、初心者向けサックスの値段相場も参考になります。

リードなどの消耗品を含めて予算を考えると、マウスピースだけに費用を使いすぎるのを避けやすくなります。

購入先は、正規取扱の管楽器専門店、楽器量販店、国内オンライン楽器店、中古楽器専門店、海外販売店などがあります。

試奏を重視するなら、複数モデルや番手をそろえている専門店が便利です。

ネットで買う場合は、サックスの種類、番手、付属品、返品・交換条件を事前に確認してください。

マウスピースは衛生上の理由などから返品条件が通常の商品と異なる場合もあるため、「合わなければ返せばいい」と思い込まないほうが安全です。

「選定品」として販売されるマウスピースもあります。

プロ奏者などが複数個体から選んだものですが、選定者にとって良い個体であることと、あなたのサックス、リード、吹き方に合うことは別の話です。

選定品だから試奏不要というわけではありません。

自分で比較できる環境があるなら、通常品も含めて吹き比べたほうが納得して選びやすいでしょう。

中古やヴィンテージ品では、さらに注意が必要です。

旧型Soloistなど、同じ名称でも年代によって仕様が異なるモデルがあります。

リフェイスされていれば、刻印から想像するティップオープニングと実測値が違う場合もあります。

中古品を検討するときは、ティップの欠け、左右のレール、テーブル、歯形、クラック、シャンク、リフェイス歴などを確認しましょう。

テーブルが摩耗して平面性を失うと、リードとの密閉性に影響し、レスポンスが変わることがあります。

ヴィンテージ品だから現行品より必ず優れているわけでもありません。

状態と自分との相性を分けて判断してください。

中古楽器全体のチェックポイントは、中古サックスの選び方でも詳しく整理しています。

マウスピースのメンテナンス

金色のサックスを背景に、マウスピースのティップやレールを守り正しい洗浄と保管を行うことを示す画像

気に入ったマウスピースを長く使うには、日常の扱いも大切です。

高価なモデルを買ったあとでティップやレールをぶつけてしまうと、見た目だけでなく吹奏感へ影響する可能性があります。

特にティップとレールは薄く精密な部分なので、洗浄やリード交換のときも硬い物へ当てないよう注意してください。

Henri SELMER Parisの公式FAQでは、マウスピースを長持ちさせるため、内部を毎日拭きすぎないこと、約週1回を目安に常温の水と刺激の少ない石けんで洗うこと、ハードラバー製品には熱湯を使わないことなどが案内されています。

(出典:Henri SELMER Paris公式「FAQ mouthpieces」)

熱湯はハードラバーやエボナイト製品の変形につながる可能性があるため避けてください。

また、マウスピース内部を毎日強くこすればきれいになるとは限りません。

内部形状のエッジまで少しずつ摩耗させてしまうと、長期的には吹奏感へ影響する可能性があります。

使用後は水分を適切に取り、リードをマウスピースへ付けっぱなしにせず保管します。

濡れたリードを長時間付けたままにすると、リード自体の状態管理もしにくくなります。

マウスピースをケースへ戻す前に、外側の水分も軽く拭き取っておくと扱いやすいです。

歯が当たる部分が気になる場合は、マウスピースパッチを使うことで傷や歯形を抑えやすくなります。

パッチには厚さやサイズの違いがあるため、単に傷防止だけでなく、噛んだときの感触も確認して選んでください。

厚いパッチへ替えると、歯が当たる感覚やアンブシュアの位置が少し変わることもあります。

マウスピースには「何年使ったら必ず交換」という一律の寿命はありません。

使用年数だけではなく、ティップやレール、テーブルの摩耗、密閉性、レスポンスの変化を見て判断してください。

同じモデルを長年使っていて吹奏感が変わったと感じる場合は、新品との比較も一つの確認方法です。

セルマーが示す一例では、1日4~5時間演奏する学生の場合、4~5年程度で交換が必要になる場合があるとされています。

ただし、これは全員共通の交換周期ではありません。

演奏時間、歯の当たり方、リードとの接触、洗浄方法、保管環境などで摩耗の進み方は変わります。

年数だけを見て捨てる必要はありませんし、逆に「まだ3年だから大丈夫」と決める必要もありません。

違和感が強い場合や、ティップ・レール・テーブルに大きな損傷がある場合は、自分で削ったり加工したりせず、管楽器専門店や専門家に相談するほうが安全です。

特にリフェイスはマウスピースの寸法や反応そのものを変える作業なので、初心者が紙やすりなどで自己流に調整するのはおすすめできません。

セルマーのサックスマウスピースに関するよくある質問(FAQ)

Q1. セルマーのサックスにはセルマーのマウスピースを使うべきですか?

A. 必須ではありません。

セルマーのマウスピースは他ブランドのサックスでも使用できます。

ただし、ネックコルクへの差し込み具合やチューニング位置、音程、吹奏感には組み合わせによる違いがあるため、可能なら実際の楽器で確認してください。

「セルマーのサックスだからセルマー以外は使えない」と考える必要はありません。

Q2. S80 C*とS90 180は同じくらいの開きですか?

A. サックスの種類によって異なりますが、アルトの場合は同じではありません。

S80 C*は1.55mm、S90 180は1.45mmです。

アルトでティップオープニングを同じ1.55mmにそろえて比較したいなら、S90 190が近い組み合わせになります。

番手名だけでなく公式寸法を確認してください。

Q3. 初心者ならS80 C*を選べば間違いありませんか?

A. S80 C*は初心者が比較しやすい代表的な候補ですが、全員にとって唯一の正解ではありません。

S90 170や、アルトならPrologueなども候補です。

所属する吹奏楽団の指定や、現在のリード、本人の息の量も含めて判断してください。

可能なら複数モデルを吹き比べ、無理に噛まず全音域をコントロールできるものを選ぶのがおすすめです。

Q4. 開きの大きなマウスピースに替えたらリードも替える必要がありますか?

A. 必ず交換するとは限りませんが、同じリードが重く感じる場合があります。

まず普段のリードで確認し、息が入りにくい、すぐ疲れる、低音が反応しにくいなどの違和感があれば硬度違いも試してください。

反対に柔らかすぎる場合は、強奏での安定感や音程をコントロールしにくく感じることもあります。

「このマウスピースなら必ず何番」という固定対応ではありません。

Q5. 高価なセルマーのマウスピースほど吹きやすいですか?

A. 価格と本人への適合は別です。

Claude DelangleやJazz Tributeなどには独自の構造や設計がありますが、S80より全員に吹きやすいという上下関係ではありません。

高価なモデルでも、あなたの息、リード、ジャンルに合わなければ扱いにくく感じることがあります。

使用楽器、ジャンル、リードとの組み合わせをそろえて試奏することが大切です。

自分に合うセルマーを選ぶまとめ

金色のサックスを背景に、人気だけでなく自分の息と音楽に合うセルマーのマウスピースを選ぶと示す画像

セルマーのサックス用マウスピースは、モデルによって狙っている音色や吹奏感がかなり違います。

そのため、「セルマーならこれを買えば正解」という一つの答えはありません。

  • S80は丸さとバランスを重視した長年の定番
  • S90はクラシック系で音色感や投射力も求める人の候補
  • Conceptは反応、均一性、丸さ、柔軟性を重視した現代的モデル
  • Soloistは温かい芯と幅広い音色表現を求める人の候補
  • Prologueは価格を抑えてアルト用セルマーを使いたい初心者向け候補
  • Jazz FlowやSpiritはアルトのジャズ・ポップス方向で比較しやすい
  • Super Sessionはソプラノのジャズ、Jazz Tributeはテナーのジャズ向け候補
  • C*や170・180・190という番手だけでなくティップオープニングの実寸を見る
  • 開きを変えたらリード硬度も含めて吹奏感を確認する
  • 最終判断は可能な限り自分のサックスで試奏して行う

特に覚えておきたいのは、人気の番手を選ぶことと、自分に合うマウスピースを選ぶことは同じではないという点です。

S80 C*が吹きやすい人もいれば、Conceptの反応がしっくりくる人もいます。

Soloistの温かさが好きな人もいれば、Jazz FlowやSpiritの鳴り方が自分の音楽に合う人もいます。

S90を選ぶ場合も、180や190といった数字だけでなく、自分のサックスで実際に何mmのティップオープニングなのかを確認してください。

そして、ティップオープニングが大きく変わるなら、リードも一緒に見直しましょう。

マウスピースを替えた直後に吹きにくくなっても、リード硬度を変えるだけでバランスが大きく改善する可能性があります。

逆に、今のリードで無理なく吹けるからといって、その組み合わせが最良とも限りません。

硬度違いを少し試すだけで、新しいマウスピースの良さが見えてくることもあります。

あなたが欲しいのは、カタログ上で一番すごく見えるマウスピースでしょうか。

それとも、自分の息を自然に音へ変えられて、演奏したい音楽を表現しやすいマウスピースでしょうか。

私は後者を基準に選ぶのがよいと思います。

使用するサックス、ジャンル、現在のマウスピース、ティップオープニング、リードを一つずつ整理し、条件をそろえて吹き比べてください。

そのうえで、音色、反応、音程、疲労まで含めて判断すれば、自分に合うセルマーのマウスピースを見つけやすくなります。