二胡を始めたばかりの頃、「内弦と外弦はどちら?」「弓をどう動かせば、それぞれの音が出るの?」と迷うことがありますよね。
二胡は2本の弦の間に弓毛が通っている、ちょっと独特な楽器です。バイオリンのように弓を持ち上げて別の弦へ移動させるのではなく、右手の指の働きで弓毛を当てる弦を切り替えます。
結論から言うと、内弦は中指と薬指を使って弓毛を内側へ働かせ、外弦は弓棹を支える指の操作によって弓毛を外側へ働かせることが基本です。
大切なのは、弓を左右に動かす方向と、弓毛をどちらの弦へ接触させるかを区別すること。この2つが整理できると、内弦と外弦の弾き分けが理解しやすくなります。
最初から滑らかな換弦を目指す必要はありません。まずは左手で弦を押さえない「開放弦」を使い、内弦と外弦をそれぞれ安定して鳴らすところから始めましょう。
この記事では、二胡の内弦と外弦の違いから、右手の具体的な動かし方、引弓と推弓、弦の切り替え、初心者向けの練習方法まで、順番に解説していきます。
音がかすれる、雑音が出る、両方の弦が鳴ってしまうといった問題への対処法も紹介しますので、あなたの練習で気になるところを確認してみてくださいね。
この記事でわかること
- 二胡の内弦と外弦の位置・音の高さ・音色の違い
- 内弦と外弦を弾き分ける右手の指の使い方
- 引弓・推弓の違いと滑らかな換弦のコツ
- 開放弦を使った段階別の練習方法
- 音がかすれる、雑音が出るときの原因と対処法
二胡の内弦と外弦の違い
二胡には、音の高さや役割が異なる2本の弦があります。
それが「内弦(ないげん)」と「外弦(がいげん)」です。
二胡を正面から見ただけでは、どちらが内弦でどちらが外弦なのか、少しわかりにくいかもしれません。
名前だけを見ると、楽器の右側と左側を表しているようにも感じますよね。しかし、内弦と外弦は、演奏者から見た位置によって区別します。
まずは2本の弦の位置と音の関係を理解しましょう。ここがわかると、右手でどちらの弦を鳴らそうとしているのか、イメージしやすくなりますよ。
内弦・外弦の位置と音の高さ
二胡の内弦と外弦は、演奏者から見た位置によって区別します。
内弦は演奏者に近い側の弦、外弦は演奏者から遠い側の弦です。
内弦は低い音を担当し、外弦は高い音を担当します。
標準的な調弦では、内弦をD4(レ)、外弦をA4(ラ)に合わせます。
| 比較項目 | 内弦 | 外弦 |
|---|---|---|
| 読み方 | ないげん | がいげん |
| 英語表記 | Inner string | Outer string |
| 位置 | 演奏者に近い側 | 演奏者から遠い側 |
| 標準的な音 | D4(レ) | A4(ラ) |
| 音の高さ | 低い | 高い |
| 弦の太さ | 一般的に太い | 一般的に細い |
| 音色の傾向 | 柔らかく落ち着いた響き | 明るく輪郭のある響き |
| 弓毛の操作 | 内弦側へ引き寄せる | 外弦側へ押し当てる |
内弦のD4と外弦のA4は、音楽理論でいう「完全5度」の関係です。半音7つ分の音程差があります。
D4は中央のド(C4)より全音高いレ、A4はそのD4より完全5度高いラです。
音楽理論に慣れていなければ、最初は「内弦が低いレ、外弦が高いラ」と覚えておけば十分です。
なお、A4を440Hzとする基準では、内弦D4は約293.66Hz、外弦A4は440Hzになります。
Hz(ヘルツ)は音の振動数を表す単位で、数値が大きいほど基本的に高い音になります。
ただし、これらは標準的な音程を数値で表したものです。実際の音は調弦状態によって変わるため、練習前にはチューナーなどで確認しましょう。
内弦と外弦では音色も違う?
内弦は比較的柔らかく、落ち着いた音色として説明されることが多い弦です。
低音側の響きを担当するため、ゆったりした旋律では温かみや深みのある印象につながることがあります。
一方、外弦は明るく輪郭のある響きが特徴として挙げられます。高い音を使った旋律では、音の存在感や明瞭さを感じやすいでしょう。
ただし、こうした違いは絶対的なものではありません。
同じ内弦でも、弓を動かす速度や弓毛の接触圧が変われば、音の印象は変化します。
さらに、弦の材質、駒の状態、胴や皮の特性なども音色に関係します。
そのため、「内弦なら必ず柔らかい音」「外弦なら必ず鋭い音」と決めつけないことが大切です。
開放弦で音を聞き比べてみよう
音の違いを確認するなら、まずは開放弦で聞き比べてみましょう。
- 左手で弦を押さえず、内弦のD4をゆっくり鳴らす
- 音の高さと響きを確認する
- 次に外弦のA4を同じくらいの音量で鳴らす
- 音の高さと響きの違いを聞き取る
- 交互に鳴らしながら、それぞれの音を覚える
ここで注意したいのは、開放弦の比較では、弦の構造だけでなく音の高さそのものも異なることです。
聞こえ方の違いを、すべて弦の材質や構造によるものと考える必要はありません。
初心者の段階では、まずD4とA4を聞き分けられるようになることが、換弦の確認にも役立ちます。
内弦と外弦を覚えるポイント
内側が低いレ、外側が高いラ。まずは2本の位置と開放弦の音を結び付けましょう。
弾いている途中でどちらの弦かわからなくなったら、いったん運弓を止めて位置を確認しても大丈夫ですよ。
弓毛の仕組みと音が出る原理
二胡の運弓を理解するときに欠かせないのが、弓毛の位置です。
二胡では、弓毛が内弦と外弦の間を通っています。
弓毛とは、弓に張られている馬の尾毛などでできた部分のこと。弓棹は、その弓毛を支える竹製などの棒です。
弓には弓毛の張り具合を調整するスクリューもあります。
二胡の弓は、構造も使い方もバイオリンの弓とは異なります。
バイオリンは弦の上から弓毛を接触させますが、二胡では2本の弦の間にある弓毛を、右手の操作で内弦側または外弦側へ働かせます。
通常の運弓では、弓を弦から完全に持ち上げて移動させる必要はありません。
二胡はどうして弓を動かすと音が出る?
二胡は、弓毛と弦の摩擦を利用して音を出す擦弦楽器です。
弓毛には松ヤニを使い、弦との間に適切な摩擦が生まれるようにします。
音が出る仕組みを順番にすると、次のようになります。
- 弓毛を内弦または外弦へ接触させる
- 松ヤニが付いた弓毛と弦の間に摩擦が生まれる
- 弓を動かすことで弦が振動する
- 振動が駒を通じて胴へ伝わる
- 胴や皮の働きによって音が響く
つまり、弓毛を弦へ接触させるだけでは、通常の持続音は生まれません。
接触した状態で弓を横へ動かすことが必要です。
逆に、弓を動かしていても、弓毛が弦に適切に接触していなければ音は安定しません。
ここが、運弓を理解するうえで大切なポイントです。
弓の移動方向と弦の選択は別の操作
弓を左右に動かす操作と、鳴らす弦を選ぶ操作は別です。
内弦を鳴らすときは、弓毛を演奏者側の内弦へ接触させます。
外弦を鳴らすときは、弓毛を外側の弦へ接触させます。
そして、選んだ弦に弓毛を接触させたまま、弓を左右に動かして音を出します。
このため、右へ弓を引いたら内弦、左へ押したら外弦という関係にはなりません。
内弦でも外弦でも、弓の往復運動を使って演奏できます。
弓圧と弓速のバランスも大切
音を安定させるには、弓毛と弦の間に適切な接触圧が必要です。
これを一般に「弓圧」と呼びます。
弓圧が弱すぎると、弓毛が弦を十分に振動させられず、音がかすれたり途切れたりする場合があります。
反対に、弓圧が強すぎると、硬い音や摩擦音が出ることがあります。
また、弓を動かす速度は「弓速」と呼ばれます。
弓圧と弓速は互いに関係するため、音が出にくいからといって力だけを強くするのは適切ではありません。
安定した音が出る接触状態を探しながら、弓を滑らかに動かすことを意識しましょう。
なお、弓毛の張り具合にも注意が必要です。張りすぎると操作が硬くなり、緩すぎても接触が安定しにくくなります。
すべての二胡の弓に共通する張力の数値はありません。弓の状態に合った調整が必要です。
二胡の内弦と外弦の弾き方
内弦と外弦を弾き分けるときは、右手の指の働きが重要になります。
ただし、弦を変えるたびに弓の持ち方を大きく変える必要はありません。
基本の持ち方を保ちながら、指で加える力の方向を調整して、弓毛が接触する弦を選びます。
まずは姿勢を安定させ、右手が無理なく動く状態をつくりましょう。
椅子に座り、二胡の胴を左脚の付け根付近に置きます。背中は自然に伸ばし、肩を持ち上げないようにします。
弓を持つ右手だけに意識が集中すると、肩や肘にも力が入りがちです。
指先、手首、前腕が自然に連動できる姿勢を意識してください。
内弦の弾き方と中指・薬指の使い方
二胡の内弦を弾くときは、右手の中指と薬指の働きがポイントです。
弓棹と弓毛の間に置いた中指と薬指を使い、弓毛を演奏者側の内弦へ引き寄せるように操作します。
その状態で弓を横方向へ動かすと、内弦が振動して音が出ます。
内弦を鳴らす基本手順
- 椅子に安定して座り、二胡の胴を左脚の付け根付近に置く
- 右手で弓を自然に持ち、肩や手首の力を抜く
- 中指と薬指が弓毛を操作できる位置にあることを確認する
- 中指と薬指の働きで弓毛を内弦側へ引き寄せる
- 弓毛が内弦に接触した状態を保ちながら、弓をゆっくり右方向へ動かす
- 弓を左方向へ戻し、音が途切れたりかすれたりしないか確認する
最初は左手で弦を押さえず、内弦の開放弦D4だけを鳴らすと、右手の操作に集中できます。
弓を動かし始める前に、弓毛が内弦に接触しているか確認するのもよい方法です。
音が出る瞬間を急がず、ゆっくりした動作から始めてください。
中指と薬指は何をしている?
中指と薬指には、弓毛を内弦へ接触させるだけでなく、必要な接触圧を調整する役割もあります。
弓毛の張り具合や弓の位置に応じて、指の働きを細かく変えることになります。
例えば、弓元から弓先へ移動すると、腕の位置や弓の操作感が変わります。
その際に、指の力をまったく変えずにいると、音量や音色が変化する場合があります。
ただし、中指と薬指で弓毛を強く引っ張り続ければよいわけではありません。
必要以上に力を入れると手首まで固くなり、弓を滑らかに動かしにくくなります。
意識したいのは、弓毛を内弦に安定して接触させるための力を使うことです。
音の出方を確かめながら、必要以上の力を抜くことも練習の一部ですよ。
内弦を弾くときに起こりやすい失敗
内弦を弾くときによく問題になるのが、接触圧の不足と力の入れすぎです。
中指と薬指の働きが不足すると、弓毛が内弦に十分接触せず、音がかすれることがあります。
一方、弓毛を強く引き寄せすぎると、弦との摩擦が過剰になり、硬い音や雑音につながる場合があります。
さらに、手首を固定したまま弓を左右へ動かすと、弓の折り返しがぎこちなくなることもあります。
音が乱れたら、次の順番で確認しましょう。
- 中指と薬指が弓毛を操作できる位置にあるか
- 弓毛が内弦へ適切に接触しているか
- 弓を動かす速度が急に変化していないか
- 肩や手首へ余分な力が入っていないか
- 弓先で音が弱くなっていないか
特に、弓先へ進むにつれて音が小さくなる場合は、腕の位置に合わせた接触圧の調整ができていない可能性があります。
最初から弓全体を使わなくても大丈夫です。
扱いやすい範囲で音を安定させ、少しずつ運弓の幅を広げていきましょう。
内弦で力を入れすぎないために
音がかすれたとき、すぐに指の力を強くするのは避けましょう。弓の速度、弓毛の接触状態、松ヤニの状態なども音に影響します。
強く引き寄せても音が改善しない場合は、いったん力を緩めて、弓の動かし方から確認してみてください。
外弦の弾き方と右手の力加減
外弦を弾くときは、内弦とは反対に、弓毛を演奏者から遠い側へ働かせます。
右手の親指や人差し指などで弓棹を支持しながら、弓毛が外弦に適切に接触するように調整します。
中指や薬指も自然な位置に保ち、弓全体の制御に関わります。
内弦との大きな違いは、弓毛に加える力の方向です。
基本の持ち方を大きく崩さずに、右手の指の働きを切り替えます。
外弦を鳴らす基本手順
- 右手で弓棹を安定して支える
- 中指と薬指を自然な位置に保つ
- 内弦側へ弓毛を引き寄せる力を必要に応じて緩める
- 弓棹を支持する指の働きで弓毛を外弦へ接触させる
- 外弦だけが鳴る状態を確認する
- 弓をゆっくり左右へ動かし、A4の音を安定させる
外弦の練習でも、左手で弦を押さえない開放弦を使うと操作を確認しやすくなります。
最初は弓の動きを小さくし、A4が安定して鳴る接触状態を探してみてください。
外弦では親指を強く押し込まない
外弦を鳴らそうとして、親指で弓を強く押し込んでしまうことがあります。
しかし、必要以上に押し付けると、音が鋭くなったり、摩擦による雑音が出たりする原因になります。
また、弓棹を強く握り込んでしまうと、指と手首の細かな調整が難しくなります。
外弦では、弓棹を安定して支持しながら、弓毛が外弦へ適切に接触するように力の方向と量を調整します。
中指と薬指を不自然に伸ばしたり、弓棹と弓毛の間から抜いたりする必要もありません。
右手全体の自然な形を保つことが大切です。
外弦の音を確認するポイント
外弦が適切に鳴っているかどうかは、音の高さと発音の安定性で確認できます。
- 標準調弦のA4が鳴っているか
- 音の出始めが極端にかすれていないか
- 引弓と推弓で音量が大きく変わらないか
- 硬い摩擦音が目立っていないか
- 内弦のD4が意図せず強く混ざっていないか
外弦は内弦より高い音が鳴るため、音が明瞭に聞こえることがあります。
ただし、明るい音を出そうとして弓圧を強めすぎる必要はありません。
弓を強く押している感覚よりも、安定して音が鳴っているかどうかを判断材料にしましょう。
内弦と外弦の右手操作を比較
| 右手の働き | 内弦 | 外弦 |
|---|---|---|
| 弓毛の方向 | 内側へ働かせる | 外側へ働かせる |
| 中心となる操作 | 中指・薬指による弓毛の操作 | 弓棹の支持と外向きの圧力調整 |
| 親指の働き | 弓棹を支える | 弓棹の支持と圧力調整に関わる |
| 中指・薬指 | 弓毛の接触圧を調整する | 自然な位置で弓の制御に関わる |
| 弓の横方向への動き | 必要 | 必要 |
| 注意点 | 弓毛を引き寄せすぎない | 弓棹を押し込みすぎない |
なお、指の配置や力の分担については、二胡の指導方法によって説明が異なる場合があります。
そのため、ここで紹介した操作を基礎として理解しつつ、習っている指導者がいる場合は、その指導方法との整合性も確認してください。
独学では右手の細かな動きを判断しにくい場合は、EYS音楽教室の二胡レッスンの特徴も確認し、実際の演奏を見てもらう選択肢を検討できます。
重要なのは、どの指を何度動かすかを細かく決めることよりも、内弦と外弦を安定して鳴らせる状態をつくることです。
引弓・推弓と内弦・外弦の切り替え
二胡の弾き方で混乱しやすいのが、「引弓・推弓」と「内弦・外弦」の違いです。
引弓と推弓は、弓を動かす方向の名称です。一方、内弦と外弦は、どちらの弦を鳴らすかという区別になります。
この2つを分けて理解できると、弓の切り替えも整理しやすくなりますよ。
さらに、内弦から外弦へ演奏する弦を変更する操作は「換弦」と呼びます。
初心者のうちは、弓を返す動作と換弦する動作を同じものと考えてしまうことがあります。
しかし、弓を返さずに換弦することも、同じ弦のまま弓を返すこともできます。
引弓と推弓の動かし方
二胡の運弓には、大きく分けて引弓と推弓があります。
一般的な右利き用の構えでは、引弓は弓を演奏者の右方向へ引く動作、推弓は左方向へ押し戻す動作です。
引弓は「拉弓」とも呼ばれ、推弓は「押し弓」と説明されることもあります。
| 項目 | 引弓 | 推弓 |
|---|---|---|
| 基本動作 | 弓を引く | 弓を押し戻す |
| 弓の方向 | 右方向 | 左方向 |
| 演奏できる弦 | 内弦・外弦 | 内弦・外弦 |
| 重要な点 | 接触圧と弓速を保つ | 接触圧と弓速を保つ |
ここで間違えたくないのが、引弓なら内弦、推弓なら外弦という関係ではないことです。
内弦も外弦も、引弓と推弓の両方で演奏できます。
例えば、内弦のD4を右方向へ引いて鳴らしたら、次は左方向へ押し戻して同じD4を鳴らせます。
外弦のA4についても同じです。
つまり、二胡の右手では、弓をどちらへ進めるかと、どちらの弦を鳴らすかを組み合わせて演奏しているわけです。
引弓と推弓を同じ弦で練習する
まずは内弦の開放弦D4を使い、引弓と推弓を交互に練習してみましょう。
- 内弦へ弓毛を接触させる
- ゆっくり右方向へ弓を引く
- 弓の動きを滑らかに反転させる
- 左方向へ弓を押し戻す
- 引弓と推弓で音量が大きく変わらないか確認する
内弦で安定してきたら、外弦でも同じ練習を行います。
この練習では換弦しないため、弓の進行方向を切り替える動作だけに集中できます。
音の出始めだけ強くなったり、折り返しで音が途切れたりする場合は、弓圧と弓速が急に変化していないか確認してください。
弓を返す瞬間に注意したいこと
弓の方向を反転させる動作を「弓を返す」と呼びます。
弓を返す瞬間に手首が固くなったり、弓圧が急に変化したりすると、雑音や音切れが生じる場合があります。
特に、弓を引き終えたところで急に力を入れ直すと、次の音の出始めが強くなることがあります。
反対に、弓を返すときに弓毛の接触が弱くなると、音が途切れる原因にもなります。
最初は一定の音量を意識しながら、ゆっくりと方向を切り替えてみましょう。
手首と前腕を自然に連動させることで、無理のない運弓につながります。
なお、音を意図的に区切る演奏では、弓の折り返しで音が途切れることもあります。
ただし、滑らかにつなぐ練習をしている場合は、不必要な音切れを減らすことが目標です。
内弦から外弦へ切り替えるコツ
演奏する弦を内弦から外弦へ、または外弦から内弦へ切り替えることを「換弦(かんげん)」といいます。
二胡の換弦は、弓毛を別の弦へ移動させるというより、右手で加える力の方向を切り替える操作と考えるとわかりやすいでしょう。
換弦がうまくいかない場合、弓を大きく動かすことに意識が向いているかもしれません。
しかし、二胡では弓毛が2本の弦の間にあります。
右手の指を中心に、接触圧の方向を調整することが基本です。
内弦から外弦へ切り替える手順
- 中指と薬指を使い、内弦のD4を安定して鳴らす
- 内弦へ弓毛を引き寄せる力を適切に弱める
- 弓棹を支える指の働きを調整する
- 弓毛を外弦側へ接触させる
- 外弦のA4が鳴ることを確認する
- その状態で運弓を続け、音を安定させる
初心者のうちは、内弦の音をいったん区切ってから外弦を鳴らしても構いません。
まずは接触する弦を正確に変更できることを優先しましょう。
音をつなげる練習は、2本の弦を個別に安定して鳴らせるようになってからでも大丈夫です。
外弦から内弦へ戻る手順
反対に、外弦から内弦へ戻るときは、外弦への接触圧を調整し、中指と薬指によって弓毛を内側へ働かせます。
- 外弦A4を安定して鳴らす
- 外弦側への圧力を調整する
- 中指と薬指で弓毛を内側へ働かせる
- 内弦に適切に接触していることを確認する
- 内弦D4をゆっくり鳴らす
- 音の出始めが乱れないように運弓を続ける
外弦から内弦へ戻るときは、中指と薬指の操作を急に強くしすぎないようにします。
接触圧が急激に増えると、音が硬くなったり雑音が出たりする場合があります。
音がきれいに切り替わる範囲で、必要な力を調整してください。
換弦では腕を大きく振らない
換弦では、右手の指による小さな圧力調整を中心にすることが大切です。
肩から腕全体を大きく動かす必要はありません。
指の操作を主体として、手首と前腕を自然に連動させます。
切り替えの瞬間だけ大きな力を入れるのではなく、次に鳴らす弦へ弓毛を滑らかに接触させましょう。
換弦で意識したい3つのポイント
- 弓を大きく振らず、右手の指の操作を中心にする
- 切り替えの前後で弓の速度を急変させない
- 速さよりも、次の弦に正しく接触することを優先する
弓を返す換弦と、返さない換弦
換弦には、弓を返すタイミングで弦を切り替える方法と、同じ方向へ弓を動かしながら途中で弦を切り替える方法があります。
初心者の場合は、まず弓を返すタイミングで換弦する練習から始めると、操作を確認しやすいでしょう。
内弦を鳴らしていったん音を区切り、外弦に切り替えてから次の音を出す方法でも構いません。
慣れてきたら、音の間隔を少しずつ短くし、滑らかな換弦を目指していきます。
一方、同じ弓方向のまま換弦する場合は、弓を動かし続けながら弓毛への力の方向を切り替えます。
弓速を保ちつつ接触する弦を変える必要があるため、最初は難しく感じることもあるでしょう。
この練習は、各弦の開放弦と基本的な換弦が安定してから進めるとよいでしょう。
手首と肘の動きはどの程度必要?
換弦の際に、手首や肘で小さな円を描くような動きを意識する指導方法もあります。
ただし、これは大きく円を描くように腕を振るという意味ではありません。
指の操作を中心にしながら、手首や前腕が自然に動くことが重要です。
また、換弦角度について一律の正解があるわけでもありません。
一部の指導方法では約30度といった目安が紹介されていますが、すべての楽器や演奏者に共通する固定角度ではありません。
何を基準に角度を測るかによっても意味が変わります。
無理に特定の角度を作るより、音がきれいに切り替わるかどうかを確かめながら練習しましょう。
二胡の開放弦を使った練習方法
内弦と外弦の弾き分けを身に付けるなら、開放弦での練習が役立ちます。
開放弦とは、左手の指で弦を押さえずに音を鳴らすことです。
左手の音程操作を加えないため、右手の運弓や換弦に集中しやすくなります。
二胡には一般的なギターのようなフレットがないため、左手の指の位置によって音程が変わります。
最初から右手と左手を同時に練習しようとすると、音が乱れたときに原因を判断しにくいかもしれません。
開放弦なら、右手の動かし方や弓毛の接触に問題がないかを確認しやすくなります。
まずは2本の弦をそれぞれ安定して鳴らし、その後に交互に切り替える練習へ進みましょう。
内弦と外弦を安定して鳴らす練習
開放弦の練習を始める前に、楽器の状態を確認してください。
標準調弦では、内弦をD4、外弦をA4に合わせます。
チューナーなどを使って音程を確認し、弦が大きく緩んでいたり、強く張られすぎたりしていないかも注意しましょう。
また、弓毛の張り具合や松ヤニの状態も発音に関係します。
練習前の姿勢と楽器の準備
開放弦を鳴らす前に、次の項目を確認しましょう。
- 椅子に安定して座れているか
- 二胡の胴が左脚の付け根付近で安定しているか
- 背中を自然に伸ばせているか
- 両肩へ余分な力が入っていないか
- 右手で弓を自然に保持できているか
- 弓毛の状態や松ヤニに問題がないか
- 内弦と外弦が標準的な音程に調弦されているか
楽器が不安定だと、右手の細かな操作もしにくくなります。
特に弓を動かすたびに二胡の胴が大きく動く場合は、姿勢や構え方を確認してみましょう。
開放弦のチューニングを確認する
内弦と外弦を弾き分ける前に、調弦も確認しておきたいところです。
標準調弦は内弦D4、外弦A4で、両者は完全5度の関係です。
チューナーを使う場合は、外弦のA4を基準に合わせ、続いて内弦D4を合わせる方法があります。
ただし、先にどちらの弦を合わせるかは指導方法によって異なります。
調弦するときは、糸巻きを少しずつ回してください。
一般的な木製糸巻きの二胡では、内弦は上側、外弦は下側の糸巻きで調整します。
ただし、金属軸の糸巻きなどでは構造や操作方法が異なる場合があります。
糸巻きを急に大きく回すと弦へ負担がかかるため、無理に締め込まないよう注意しましょう。
練習1:内弦D4を長く伸ばす
まずは内弦の開放弦だけを使います。
左手で弦を押さえず、右手の中指と薬指で弓毛を内弦に接触させましょう。
4拍程度かけて弓を右方向へ引き、続けて4拍程度かけて左方向へ戻します。
4拍という長さは練習の一例です。無理なく一定の音を保てる長さに調整して構いません。
確認したいのは、音の出始めから終わりまで音量や音色が大きく乱れないかという点です。
途中で音がかすれる場合は、弓毛の接触圧と運弓速度を確認しましょう。
音が出ないからといって、いきなり指の力を強めないことも大切です。
また、弓を返す瞬間に音量が急に変わらないかも聞いてみてください。
一定の音を長く伸ばす練習は、ロングトーンとも呼ばれます。
単純な練習に感じるかもしれませんが、弓圧や弓速を確認するうえで役立ちます。
練習2:外弦A4を長く伸ばす
次は外弦の開放弦を鳴らします。
弓棹を支えながら弓毛を外弦へ接触させ、内弦の練習と同じように、ゆっくり弓を往復させます。
外弦のA4が安定して鳴るかを確認してください。
このとき、親指などで強く押し込みすぎていないか、内弦側へ弓毛を引く力が残りすぎていないかを意識します。
内弦と外弦では必要な力の向きが異なるため、まったく同じ力のかけ方を再現しようとしなくて大丈夫です。
それぞれの弦に合った接触状態を探すことが、安定した発音につながります。
内弦と外弦の両方を同じくらいの時間鳴らしてみると、右手の操作の違いを比較しやすくなります。
練習3:弓の位置を変えて鳴らす
内弦と外弦の両方で音を伸ばせるようになったら、弓を使う範囲を変えてみましょう。
二胡の運弓では、弓全体を広く使う「全弓」、弓元側を使う「元半弓」、弓先側を使う「先半弓」、中央付近を使う「中弓」などの練習があります。
| 練習する範囲 | 内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 全弓 | 弓を広く使う | 音量や音色を安定させられるか |
| 元半弓 | 弓元側を中心に使う | 弓元で力を入れすぎていないか |
| 先半弓 | 弓先側を中心に使う | 弓先で接触圧が不足していないか |
| 中弓 | 中央付近を使う | 短い範囲で音を安定させられるか |
弓の位置が変わると腕の位置も変わるため、同じ感覚で動かしていても音量や音色が変化する場合があります。
特に弓先で音が弱くなる場合は、弓毛が弦に十分接触しているか確認してください。
無理に腕を伸ばしきらず、自然に使える範囲から練習しましょう。
練習の長さはどう決める?
開放弦の練習は、長く続ければ必ずよいというものではありません。
すべての初心者に共通する最適な練習時間は確認されていないため、自分の集中力や身体の状態に合わせて調整することが大切です。
例えば、内弦の音を数回確認し、次に外弦を数回鳴らすなど、目的を分けて練習すると取り組みやすいでしょう。
音が乱れたまま無理に続けるより、いったん姿勢や右手の位置を確認するほうが、問題を整理しやすくなります。
開放弦練習で大切なこと
長い時間続けることよりも、音をよく聴きながら原因を確認することが大切です。
肩や手首に疲労や痛みが出る場合は無理に続けず、姿勢や楽器の構え方を見直してください。
換弦を滑らかにする段階別練習
内弦と外弦をそれぞれ安定して鳴らせるようになったら、換弦の練習に進みます。
最初から速く切り替えようとすると、弓毛が正しい弦に接触する前に弓を動かしてしまい、音がかすれることがあります。
そのため、練習はゆっくりした動作から段階的に進めていきましょう。
片方ずつ安定して鳴らしてから換弦へ進むことが、練習を整理するための基本です。
ステップ1:内弦と外弦を交互に鳴らす
最初は、内弦D4と外弦A4を交互に鳴らします。
音の順番は次のとおりです。
D4(内弦)→ A4(外弦)→ D4(内弦)→ A4(外弦)
各音をゆっくり伸ばし、音と音の間はいったん区切っても構いません。
内弦から外弦へ移るときは、弓毛を内側へ引く力を調整し、外弦に接触させます。
反対に外弦から内弦へ戻るときは、中指と薬指の操作で弓毛を内側へ働かせます。
大切なのは、鳴らそうとした弦だけがきちんと発音しているかを確認することです。
内弦を弾いているつもりなのに外弦が混ざる場合は、弓毛の接触方向を見直しましょう。
慌てず、一音ずつ確かめながら進めてください。
ステップ2:2拍ずつ切り替える
次は、各音を2拍ずつ鳴らしてみましょう。
D4(2拍)→ A4(2拍)→ D4(2拍)→ A4(2拍)
弓の折り返しと換弦のタイミングを合わせると、最初は整理しやすいでしょう。
切り替える瞬間に、指や手首へ急に力が入っていないかを確認します。
弓が大きく上下に振れてしまう場合は、いったん動作を小さくしてみてください。
2拍の間に音がかすれる場合は、換弦だけでなく、各弦での運弓そのものも確認するとよいでしょう。
ステップ3:1拍ずつ切り替える
2拍ずつ安定して切り替えられるようになったら、1拍ずつの換弦に挑戦します。
D4 → A4 → D4 → A4
各音を1拍ずつ鳴らし、音のつながりを確認しましょう。
速く弾こうとして雑音が増える場合は、テンポを落として構いません。
まずは正確に弦を切り替えることを優先し、慣れてから少しずつ速度を上げていきます。
一定のテンポで練習したい場合は、メトロノームを使って拍を確認する方法もあります。
ただし、テンポの数値を上げること自体が目的ではありません。
右手に余分な力が入らず、意図した弦から音が出ていることを優先しましょう。
ステップ4:同じ弓方向のまま換弦する
最後は、弓の進行方向を変えずに弦を切り替える練習です。
例えば、右方向へ弓を引きながら、内弦D4から外弦A4へ切り替えます。
途中で弓を返さず、右手の指による接触圧の方向を変えることで、鳴らす弦を切り替える練習です。
次は外弦A4から内弦D4へ戻る操作も確認します。
この段階では、弓の速度と弦への接触圧を同時に調整する必要があります。
最初の段階で難しく感じても不思議ではありません。
片方の弦だけを安定して鳴らす練習へ戻り、操作を整理してから再び試してみましょう。
ステップ5:換弦と弓の使用範囲を組み合わせる
同じ弓方向での換弦に慣れてきたら、弓を使う範囲も意識してみましょう。
例えば、中弓で内弦と外弦を交互に鳴らし、次に扱いやすい範囲で運弓を広げます。
弓元付近と弓先付近では腕の位置が変わるため、接触圧の調整も必要になります。
どの位置でもまったく同じ感覚で動かそうとするのではなく、音の状態を聞きながら調整してください。
換弦練習の進め方
内弦だけで安定した音を出す → 外弦だけで安定した音を出す → ゆっくり交互に切り替える → 音を短くする → 同じ弓方向で換弦する、という順番で進めると、操作を整理しやすくなります。
開放弦から旋律へ進む目安
開放弦での換弦が安定してきたら、左手の押弦を少しずつ加えていきます。
押弦とは、左手の指で弦に触れ、振動する部分の長さを変えて音程を調整する操作です。
二胡にはギターのようなフレットがないため、左手の指の位置によって音程が変化します。
右手と左手の両方を同時に意識する必要があるので、短い音階や簡単な旋律から始めると取り組みやすいですよ。
次のような状態を目安にしてみてください。
- 内弦と外弦を区別して鳴らせる
- 引弓と推弓で音量が大きく乱れない
- 換弦時の雑音が少ない
- 各弦を数拍程度、安定して伸ばせる
- 肩や手首へ無理な力を入れずに演奏できる
これらは練習を進めるための目安であり、数値による一律の合格基準ではありません。
うまくいかない部分が残っていても、必要に応じて開放弦の練習へ戻れば大丈夫です。
音がかすれる・雑音が出る原因と対処
内弦と外弦を練習していると、音がかすれたり、「ギーギー」という雑音が出たりすることがあります。
そんなときは、力任せに弾くのではなく、どのような状態で問題が起きているかを確認することが大切です。
二胡の音には、弓毛の接触圧、弓の速度、松ヤニの状態、弦や弓毛の状態などが関係しています。
同じような雑音でも、原因は一つとは限りません。
まずは症状を整理して、確認するポイントを絞りましょう。
| 症状 | 考えられる原因 | 確認・対処方法 |
|---|---|---|
| 内弦の音がかすれる | 弓毛の接触不足、運弓速度の不安定さ | 中指・薬指の位置と接触圧を確認する |
| 外弦の音が出にくい | 外弦への接触不足、内弦側の力が残っている | 弓棹の支持と外弦への接触を確認する |
| ギーギーという雑音 | 弓圧の過剰、弓速との不均衡 | 力を緩め、ゆっくり一定の速度で動かす |
| 両方の弦が鳴る | 弓毛の接触方向が不安定 | 片方ずつ鳴らす開放弦練習に戻る |
| 換弦で音が途切れる | 切り替え時の接触不足、動作の遅れ | 音を区切りながらゆっくり切り替える |
| 弓を返すと雑音が出る | 弓圧や弓速の急な変化 | 手首を柔らかく使い、折り返しを滑らかにする |
| 弓先で音が弱くなる | 弓先側で接触圧が不足する | 弓先付近だけを使って発音を確認する |
内弦の音がかすれる場合
内弦の音がかすれる場合、中指や薬指の操作が不足して弓毛の接触が弱くなっている可能性があります。
しかし、同じ症状でも、弓を動かす速度が一定でなかったり、松ヤニが不足していたりする場合があります。
まずは右手の指の位置を確認し、弓毛が内弦に接触しているかを確かめます。
次に、ゆっくりした一定の速度で弓を動かしてみましょう。
それでも音が安定しない場合は、弓毛や松ヤニの状態も確認します。
原因を一つに決めつけず、順番に確認することが大切です。
外弦の音が出にくい場合
外弦の音が出にくい場合は、内弦を弾くときの力のかけ方が残っていないかをチェックします。
特に、内弦側へ弓毛を引き寄せる力を強く保ったままだと、外弦へうまく接触できない場合があります。
いったん弓の動きを止め、指の力を調整してから外弦を鳴らしてみてください。
外弦だけを使ったロングトーンに戻るのもよい方法です。
弓棹を支える指の働きと、弓毛が外弦に接触する状態を確認しましょう。
ギーギーという雑音が出る場合
耳障りな摩擦音が出る場合は、弓圧が強すぎる可能性があります。
ただし、弓圧だけが原因とは限りません。
弓速とのバランスが合っていなかったり、松ヤニの量が適切でなかったり、弓毛や弦に汚れが付着していたりする場合もあります。
まずは右手の余分な力を緩め、弓を一定の速度で動かしてみましょう。
弓の角度や接触位置も確認してください。
雑音が出るからといって、弓をさらに強く押し付けると、かえって悪化する場合があります。
内弦と外弦が同時に鳴る場合
内弦と外弦が同時に鳴る場合は、弓毛が両方の弦へ不安定に接触している可能性があります。
換弦時に弓毛へ加える力の方向が曖昧になっていることも考えられます。
初心者が単音の旋律を練習するときは、意図した片方の弦を明確に鳴らすことが基本です。
両方の弦を使う特殊な表現もありますが、まずは内弦と外弦を区別する練習を優先しましょう。
対処法としては、片方の弦だけを鳴らす開放弦練習に戻ることです。
内弦で安定したD4、外弦で安定したA4を確認してから、再び交互に切り替えてみましょう。
換弦すると音が途切れる場合
換弦時に音が途切れる場合は、次の弦へ弓毛が接触するまでに時間が空いている可能性があります。
また、切り替えの瞬間に接触圧が弱くなりすぎたり、弓速が急に変化したりする場合もあります。
最初は音を区切りながら、正確に弦を切り替える練習へ戻りましょう。
次の弦を安定して鳴らせるようになってから、音の間隔を短くしていきます。
手首や指が固くなっていないかも確認してください。
弓を返すと雑音が出る場合
引弓から推弓、または推弓から引弓へ切り替える瞬間に雑音が出る場合は、弓圧や弓速の急な変化が関係している可能性があります。
弓の折り返しで手首が固くなると、滑らかに方向を変えにくくなります。
小さな音量でゆっくり往復し、手首と前腕が自然に連動しているか確認しましょう。
同じ弦での引弓と推弓を安定させてから、換弦を組み合わせると問題を整理しやすくなります。
弓先で音が小さくなる場合
弓先へ進むにつれて音が弱くなる場合は、弓毛の接触圧が十分に維持できていない可能性があります。
弓先では腕の位置が変わるため、右手の指による調整も必要です。
まずは弓先側だけを使った短い運弓で、音が安定するか確認しましょう。
ただし、音を大きくしようとして無理に腕を伸ばしきる必要はありません。
身体に負担のない範囲で、弓毛の接触と音の変化を確認してください。
松ヤニ・弓毛・弦の状態も確認しよう
運弓を見直しても音が改善しない場合は、楽器自体の状態も確認する必要があります。
例えば、松ヤニの不足、弓毛の汚れ、弦の劣化、駒や千斤の状態などが発音へ影響することがあります。
松ヤニは弓毛と弦の間に摩擦を生むために使用します。
不足していると、弓毛が弦の表面を滑りやすくなり、音が出にくくなる場合があります。
一方、多く塗ればよいというものでもありません。
松ヤニを塗りすぎると粉末が付着しやすくなり、雑音につながる場合もあります。
弓毛についても、素手で頻繁に触ると油分や汚れが付着する可能性があるため注意しましょう。
また、弦の取り付け状態や駒の位置などに問題がある場合は、右手の操作だけでは改善しないことがあります。
無理な調整は避けましょう
弓毛の張力や弦の調弦を急激に変えると、弓や弦に負担がかかる場合があります。特に糸巻きや弓のスクリューは少しずつ操作してください。
楽器や弓の取り扱い方法を確認し、異常が疑われる場合や自己判断が難しい場合は、二胡に詳しい指導者や専門家に相談しましょう。
自分では右手の力加減や弓毛の接触状態を判断しにくい場合は、EYS音楽教室の特徴と注意点を確認し、二胡のレッスンで演奏を見てもらう方法もあります。
原因を切り分けるための確認順序
音がうまく出ないときは、毎回すべてをやり直す必要はありません。
まず、内弦だけなら安定して鳴るか確認します。
次に、外弦だけでも同じように確認してください。
両方の弦を個別に鳴らせるなら、換弦の操作に問題がある可能性を考えます。
反対に、どちらの弦でも音が出にくいなら、弓の保持、運弓速度、松ヤニ、弓毛や弦の状態などを確認する必要があります。
「どの弦で」「どの動作のときに」「どのような音になるか」を分けて考えることが、改善の手がかりになります。
焦らず、一つずつ確認していきましょう。
二胡の内弦と外弦のよくある質問
最後に、二胡の内弦と外弦について、初心者が疑問に感じやすいポイントを整理します。
右手の動かし方や開放弦の練習について、気になるところから確認してください。
二胡の内弦と外弦に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 二胡の内弦と外弦はどちらが高い音ですか?
A. 外弦のほうが高い音です。標準調弦では、内弦がD4(レ)、外弦がA4(ラ)で、完全5度の音程差があります。
内弦は演奏者に近い側、外弦は遠い側にあります。位置と音の高さをセットで覚えると、弾き分けの練習がしやすくなりますよ。
Q2. 内弦はどの指を使って弾きますか?
A. 内弦を弾くときは、右手の中指と薬指による弓毛の操作が重要です。
中指と薬指を使って弓毛を内弦側へ働かせ、適切な接触圧を保ちながら弓を左右へ動かします。親指や人差し指による弓棹の支持も必要です。
指先だけに力を入れすぎず、手首や腕の動きと協調させましょう。
Q3. 内弦は引弓、外弦は推弓で演奏するのですか?
A. いいえ。内弦も外弦も、引弓と推弓の両方向で演奏できます。
引弓と推弓は弓を左右に動かす方向の違いです。一方、内弦と外弦の弾き分けは、弓毛をどちらの弦に接触させるかという操作です。
この2つを区別すると、右手の動きが理解しやすくなります。
Q4. 内弦と外弦を切り替えるとき、弓を大きく動かす必要はありますか?
A. 大きく動かす必要はありません。右手の指による接触圧の調整を中心に、手首や前腕を自然に連動させて切り替えます。
弓を大きく振ると、接触位置や運弓速度が不安定になることがあります。
まずはゆっくりした換弦で、意図した弦に正しく接触していることを確認しましょう。
Q5. 二胡の開放弦はどちらから練習すればよいですか?
A. 指導方法によって練習の順番は異なるため、必ずどちらから始めなければならないという決まりはありません。
大切なのは、内弦と外弦をそれぞれ安定して鳴らせるようにすることです。
この記事では、内弦D4、外弦A4の順に確認し、その後に両方を交互に切り替える練習方法を紹介しました。自分の理解度や習っている教材に合わせて進めてください。
まとめ
二胡の内弦と外弦を弾き分けるには、右手の指の働きと弓毛の接触方向を理解することが大切です。
内弦と外弦は、弓を動かす方向によって決まるのではありません。
どちらの弦へ弓毛を接触させるかを右手で調整し、その状態で弓を左右に動かして演奏します。
今回のポイントを振り返りましょう。
- 内弦は演奏者に近い側の弦で、標準調弦ではD4(レ)
- 外弦は演奏者から遠い側の弦で、標準調弦ではA4(ラ)
- 内弦では中指と薬指を使い、弓毛を内側へ働かせる
- 外弦では弓棹を支持する指の働きで、弓毛を外側へ接触させる
- 引弓と推弓は弓の進行方向であり、内弦・外弦の区別とは別
- 換弦では腕を大きく振らず、指と手首、前腕を協調させる
- 開放弦で均一な音を出せるようになってから、段階的に換弦へ進む
- 雑音が出るときは弓圧・弓速・松ヤニ・楽器の状態を確認する
二胡は右手の小さな操作によって音が変わるため、最初は内弦と外弦の切り替えが難しく感じるかもしれません。
でも、急いで速い曲を弾く必要はありません。
まずは内弦のレと外弦のラを、ゆっくり、安定した音量で鳴らせることを目指しましょう。
その後、2本の弦を交互に切り替え、少しずつ短い音や簡単な旋律へ進めていけば大丈夫です。
うまく音が出ない日があっても、開放弦に戻って一つずつ確認すれば、練習の課題を整理できます。

