ドラムのフィルインとは?初心者向け基本パターンと練習方法

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ドラムを始めて8ビートが少し叩けるようになると、次に気になりやすいのが「フィルイン」です。

曲を聴いていると、AメロからBメロへ移る直前や、サビへ入る直前などで、それまで続いていたリズムとは違う「タカタカ」「ドコドコ」といった短いフレーズが入ることがあります。こうした、普段のグルーヴの途中に挟まれる短いフレーズがフィルインです。

ただし、初心者のうちは「フィルになると急に速くなる」「タムへ移動すると手が止まる」「フィルの後にどこへ戻ればよいか分からない」といったことが起こりやすいですよ。

フィルインという言葉から派手なタム回しを想像するかもしれませんが、最初から難しいことをする必要はありません。スネアを2回叩くだけでも、曲の流れの中で正しい位置に入れば十分にフィルインとして機能します。

初心者が最初に優先したいのは、フィルを複雑にすることではなく、決められた長さで終えて次の小節の1拍目へ正確に戻ることです。

この記事では、「ドラムのフィルインとは何か」という意味から、フィル・フィルイン・オカズの違い、入れるタイミング、8分音符と16分音符の基本パターン、タムへの移動、基本ビートへ戻る練習まで順番に解説します。

最初に結論

フィルインは、基本ビートを崩して好きなだけ叩く時間ではありません。フィルを叩いている間も「1・2・3・4」という拍は進み続けています。「基本ビート → フィル → 次の1拍目 → 基本ビート」までを一つの流れとして考えるのが大切です。

ドラムのフィルインとは

ドラムのフィルインとは、一定のリズムパターンを演奏している途中に挟む、通常のグルーヴとは異なる短いフレーズです。

たとえば4/4拍子の8ビートを繰り返している途中で、4拍目だけスネアを2回叩く、スネアからタムへ移動する、16分音符を4打入れる、といった変化を加えます。

英語の「fill in」には「埋める」「補う」といった意味があります。ドラムでは、小節やフレーズの区切り、セクションが変わる直前などを埋めるように演奏される短いフレーズを指します。

フィルインに使う楽器も決まっていません。スネアだけでも成立しますし、タム、バスドラム、シンバルなどを組み合わせることもあります。「フィル=タムをたくさん叩くもの」と考えなくて大丈夫です。

また、フィルインは毎回即興で演奏しなければならないわけではありません。曲のアレンジとしてあらかじめ決められたフィルを毎回同じように叩くケースもあります。

ドラム譜でも、フィルの内容が音符として具体的に書かれている場合と、「Fill」「Fill in」などとだけ記載され、具体的な内容が奏者に任されている場合があります。

フィルインの役割は「目立つこと」だけではありません。曲を盛り上げるために使うこともあれば、逆に音数を減らして静かな展開へつなぐこともあります。

フィル・フィルイン・オカズの違い

ドラムを始めると、「フィル」「フィルイン」「オカズ」という似たような言葉が出てきます。別々の奏法なのかと迷うかもしれませんが、初心者の段階ではほぼ同じ対象を指していると考えて問題ありません。

「フィル」は「フィルイン」を短くした呼び方として一般的に使われます。

そのため、「サビ前にフィルを入れて」「ここはフィルインを入れよう」と言われた場合、言葉が違うから別の技術が必要というわけではありません。

「オカズ」は、日本のバンド現場などで使われてきた俗称です。こちらも基本的にはフィルインを意味します。

呼び方 主な意味 初心者の覚え方
フィルイン 基本ビートの途中や曲の節目に入る短いフレーズ 基本となる呼び方
フィル フィルインを短くした呼び方 フィルインとほぼ同じ
オカズ 日本で使われるフィルインの俗称 意味する対象は基本的に同じ

ここで大切なのは名称を細かく分けることではなく、「何拍分のフィルを、曲のどこに、どのような目的で入れるのか」を理解することです。

たとえば同じ「フィルを入れて」という指示でも、4拍目だけの短いフレーズかもしれませんし、3〜4拍目を使う2拍のフレーズかもしれません。場合によっては1小節全体を使います。

ですから、バンドで合わせるときには「フィルかフィルインか」より、「何拍目から始めるか」「次のどこへ戻るか」を共有した方が実際の演奏では分かりやすいですよ。

基本ビートとの違い

基本ビートとフィルインの違いを理解すると、フィルが急に難しいものではなくなります。

基本ビートやグルーヴは、曲の土台として一定のリズムを継続する役割があります。ロックやポップスの8ビートなら、ハイハット、スネア、バスドラムなどを組み合わせて、曲が進むための安定した流れを作ります。

一方、フィルインはその基本ビートから一時的に変化し、小節の区切りや次の展開を分かりやすくする役割があります。

ただし、フィルへ入った瞬間に拍子やテンポがなくなるわけではありません。

4/4拍子なら、1小節の中には「1・2・3・4」という4つの拍があります。4拍目でハイハットをやめてスネアやタムを叩いたとしても、4拍目そのものが長くなったり短くなったりするわけではありません。

たとえば4拍目を16分音符4打で叩くなら、「4 e & a」の4つの位置へ音を置きます。「a」を叩いたあとに来るのは、次の小節の「1」です。

フィルは「好きなだけ叩いてよい空白」ではありません。1拍フィルなら1拍、2拍フィルなら2拍という決められた時間の中へフレーズを収めます。

初心者がフィルで迷いやすいのは、基本ビートを叩いているときは拍を感じているのに、フィルへ入った瞬間に「覚えた手順を最後まで叩くこと」だけに集中してしまうからです。

フィル中も頭の中では「1・2・3・4」が続いていると考えてください。

この感覚が身につくと、フィルを叩いた後に「今どこ?」となりにくくなります。

なお、フィルインとドラムソロも同じではありません。フィルインは通常、曲のグルーヴやセクションをつなぐ比較的短いフレーズです。ドラムソロはドラム自体を前面に出し、より長い時間を使って演奏する場面を指します。フィルが少し派手だからといって、それだけでドラムソロになるわけではありません。

フィルインとブレイクも完全な同義ではありません。フィルインは基本ビートから別のフレーズへ変化する演奏を指し、ブレイクは演奏を一時的に止めたり、編成全体でリズムを切ったりする意味でも使われます。同じ場所でフィルとブレイクが関係することはありますが、言葉としては分けて考えておくと理解しやすいです。

フィルインの役割と入れるタイミング

フィルインは、単にドラマーが目立つために入れるものではありません。

曲のセクション同士をつないだり、小節やメロディの区切りを分かりやすくしたり、次の展開を予告したりと、楽曲全体の流れを補助する働きがあります。

特にロックやポップスでは、同じ8ビートが続いている中で短いフィルを入れると、「ここで一区切り」「次からサビ」といった変化を感じ取りやすくなります。

一方で、フィルを入れれば入れるほど良くなるわけではありません。あえて何も入れず、安定したグルーヴをそのまま続けることも大切な選択肢です。

フィルを考えるときは、「何を叩けば派手になるか」ではなく、「次の展開へどうつなぎたいか」を先に考えると整理しやすくなります。

曲の区切りで使う代表的な場面

フィルインが入りやすい代表的な場所は、曲のまとまりが変わる直前です。

たとえばAメロからBメロ、Bメロからサビへ移る直前。メロディのフレーズが一区切りするところ。ブレイクやキメへ入る直前。曲の最後を締める場所などがあります。

4小節や8小節などのまとまりの最後にフィルが入ることもあります。ただし、「4小節ごとに必ずフィル」「8小節ごとに必ずタム回し」といった決まりがあるわけではありません。

実際には曲の構成やアレンジを優先します。同じ4小節目でも、フィルを入れる場合もあれば、何も変えずグルーヴを続ける場合もあります。

入れやすい場所 フィルの役割
AメロからBメロの直前 次のセクションへの移行を分かりやすくする
Bメロからサビの直前 次の展開への期待感を作る
4小節・8小節などのまとまりの最後 フレーズの区切りを示す
ブレイクやキメの直前 演奏の変化を予告する
曲の最後 フレーズや楽曲を締める

また、フィルは盛り上げる方向だけに使うものでもありません。

音数を増やしながらタムを下降させれば勢いを作りやすい一方で、音数や音量を減らせば静かな展開へ導くこともできます。

そのため、「フィルなのだから強く叩かなければならない」「必ず音数を増やさなければならない」という考え方は必要ありません。

ボーカルや他の楽器が大切なフレーズを演奏している場所なら、ドラムがあえてシンプルにする方が自然なこともあります。

初心者のうちは、まず好きな曲を聴きながら、フィルそのものをコピーする前に「どこでフィルが入っているか」を探してみるのもよい練習です。

「サビの直前」「メロディが終わった場所」「4小節の最後」のように位置を確認すると、フィルの役割が見えやすくなります。

初心者は1拍から始める

フィルインの長さには絶対的な決まりがありません。

1拍だけのフィルもあれば、2拍、1小節、2小節程度にわたるものもあります。曲によっては、さらに長いフレーズが使われることもあります。

ただし、初心者が最初から長いフィルに挑戦すると、拍の位置を見失いやすくなります。

そこで最初は、4拍目だけを使う1拍フィルから始めると分かりやすいです。

4/4拍子なら「1・2・3・4」と数えます。1〜3拍目までは普段どおり8ビートを叩き、4拍目だけスネアなどでフィルを入れます。そして次の小節の1拍目から再び基本ビートへ戻ります。

この方法のよいところは、1小節のほとんどを普段のビートで演奏できることです。フィルに使う時間が1拍だけなので、「いつ始めて、いつ終わるか」を確認しやすくなります。

段階は「1拍 → 2拍 → 1小節」で十分です。長いフィルを覚える前に、短いフィルから正確に次の1拍目へ戻れるようにしましょう。

1拍フィルが安定したら、次は3〜4拍目を使う2拍フィルへ広げます。その後で1小節全体をフィルにすると、拍の感覚を保ったまま少しずつ長くできます。

「短いフィルでは物足りない」と感じるかもしれませんが、曲の中では1拍だけのシンプルなフィルでも十分に機能します。

むしろ初心者のうちは、長いフィルを何とか叩き切るより、短いフィルを正確な位置へ置き、何事もなかったように次のビートへ戻れる方が実践的です。

フィルの最後をゴールにするのではなく、次の「1」までを一つのまとまりとして覚えてください。

初心者向けフィルイン基本パターン

フィルインにはたくさんのパターンがありますが、最初から何十種類も丸暗記する必要はありません。

初心者は、まず「リズム」と「どの太鼓を叩くか」を分けて考えると整理しやすくなります。

たとえば「4 e & a」という16分音符4打のリズムを決めたら、最初は4打すべてをスネアで叩きます。それが安定した後で、3打目をハイタム、4打目をフロアタムへ移します。

リズム自体は同じでも、叩く場所を変えるだけで音色が変化し、別のフィルのように聞こえます。

この考え方を覚えると、大量のパターンを一つずつ覚えなくても、自分でフィルのバリエーションを増やしやすくなります。

1拍の8分・16分フィル

最初に覚えたいのは、4拍目だけを使った8分音符のフィルです。

8分音符は、4/4拍子では1拍を2つに分けます。1拍目なら「1 &」、2拍目なら「2 &」というように数えられます。日本語で「1と、2と」と数えても構いません。

4拍目だけ8分音符のフィルにする場合は、「4・&」の2か所で音を出します。

右手から始めるなら基本手順はR(右)→L(左)です。まずは2打ともスネアで叩いてください。

パターン 位置 カウント 打数 基本手順 使用例
1拍・8分音符 4拍目 4 & 2打 R L スネア → スネア
1拍・16分音符 4拍目 4 e & a 4打 R L R L スネア4打

8分音符の2打が安定したら、次に16分音符へ進みます。

16分音符は1拍を4つに分けます。代表的な英語式の数え方なら「1 e & a」です。4拍目なら「4 e & a」となり、4つの位置へ均等に音を置きます。

基本手順はR→L→R→Lです。

ここで「16分音符だから速く叩かなければ」と考える必要はありません。テンポが遅ければ16分音符もゆっくりです。

重要なのは、4打の間隔が均等になっていることです。

「タカタカ」と勢いだけで覚えると、最初の2打がゆっくりで最後だけ速くなるなど、打点が不均等になることがあります。必ず「4 e & a」とカウントし、4つの位置を意識してください。

さらに大切なのが、4打目の「a」で演奏を終えないことです。

「4 e & a」の直後には次の小節の「1」が来ます。

練習するときは、「4 e & a、1」と続けて数え、次の1拍目でバスドラムを踏む、あるいは基本ビートへ戻るところまで演奏してください。

16分音符の4打そのものを叩けても、その後に止まってしまうなら、まだ曲中で使える状態とは言いにくいです。

逆に、多少ゆっくりでもフィルから次の1へ自然に戻れるなら、練習の方向は合っています。

2拍フィルとタム移動

1拍フィルが安定したら、3〜4拍目を使う2拍フィルへ広げていきます。

2拍の8分音符なら「3 & 4 &」で4打です。基本手順をR→L→R→Lとすると、4打をそのままスネアで叩くところから始められます。

スネアだけで安定したら、たとえば「スネア → スネア → ハイタム → フロアタム」のように打面を移動してみましょう。

リズムはまったく変わっていません。変わったのは、どの太鼓を叩くかだけです。

2拍の16分音符なら「3 e & a 4 e & a」で8打になります。

代表的な配置として、「スネア2打 → ハイタム2打 → ロータム2打 → フロアタム2打」のように、高い音から低い音へ流す形が考えられます。

長さ 音符 カウント 打数 配置例
2拍 8分音符 3 & 4 & 4打 スネア → スネア → ハイタム → フロアタム
2拍 16分音符 3 e & a 4 e & a 8打 スネア2打 → ハイタム2打 → ロータム2打 → フロアタム2打

ただし、ロータムがないドラムセットなら、そのとおりに再現する必要はありません。スネア、ハイタム、フロアタムなど、自分が使える太鼓へ置き換えて大丈夫です。

ドラムセットによってタムの数や配置は異なります。高い音から低い音へ下降する流れは分かりやすいですが、必須のルールでもありません。

タム移動で止まりやすい場合は、いきなり「リズムを覚える」「手順を覚える」「太鼓を移動する」の3つを同時に行わないことが大切です。

まずスネアだけでリズムを正確に叩きます。次にRLRLの手順を崩さず、同じテンポで打面だけを移します。

タム移動で難しくなったら、スネアへ戻す。スネアだけなら叩ける場合、問題はリズムではなく移動にあると切り分けられます。

右手始動のRLRLは基本練習として分かりやすいですが、右手から始めることが絶対のルールではありません。

フレーズや、その直後にどの楽器を叩くかによって左手始動が使われることもあります。ただ、初心者のうちは手順の種類まで増やしすぎず、まず一定のRLRLでタイミングを安定させる方が整理しやすいですよ。

タムを叩くときは、目の前の太鼓だけに集中して次の拍を忘れないようにしてください。腕の移動中もカウントは止まりません。

スネアでは叩けても実際のセット上でタムへ移動すると止まってしまう場合は、ドラムを習えるEYS音楽教室のように、講師に動きを確認してもらいながら練習する方法もあります。

音符を組み合わせる簡単な変化

フィルインは、16分音符で1拍のすべてを埋める必要はありません。

同じ1拍でも、8分音符と16分音符を組み合わせれば、音数を増やさずフレーズ感を変えられます。

例として、4拍目に「16分音符+16分音符+8分音符」を置くパターンがあります。

打点は「4・e・&」です。基本手順をR→L→Rとすると、擬音では「タカタン」に近い感覚になります。

もう一つは「8分音符+16分音符+16分音符」です。こちらは「4・&・a」の位置で音が鳴り、擬音では「タンタカ」のような感覚です。

パターン 打点 音価 基本手順例 擬音例
パターンA 4・e・& 16分+16分+8分 R L R タカタン
パターンB 4・&・a 8分+16分+16分 R L R タンタカ

どちらも3打ですが、音が鳴る位置が違うため、フレーズの聞こえ方も変わります。

このようなパターンを覚えると、「フィルとはすべての隙間を連打で埋めるものではない」と理解しやすくなります。

休符を入れるのも同じ考え方です。音を鳴らさない位置があることで、逆に次の音が目立つ場合もあります。

フィルのバリエーションを作るときは、次のように分けて考えると簡単です。

  1. まずリズムを決める
  2. スネアだけで正確に叩く
  3. スネア、ハイタム、フロアタムなどへ音を割り振る
  4. 必要に応じて休符やアクセントを加える

同じ「4 e & a」という16分4打でも、すべてスネア、前半をスネアで後半をタム、4打すべて違う太鼓と配置を変えれば音色が変わります。

つまり、最初から大量のフィルを暗記するより、一つのリズムをいろいろな場所へ配置する方が仕組みを理解しやすいわけです。

8分音符と16分音符に慣れたら、3連符を加えることもできます。3連符は1拍を均等な3つに分ける音型です。

ただし、8分系や16分系とは1拍の分割方法が変わります。見た目の手数だけで覚えず、カウントと音の位置を理解することが重要です。

さらに上達すると、6連符、アクセント、バスドラム、フラム、ドラッグ、ダブルストローク、パラディドル、クレッシェンドやデクレッシェンド、シンコペーションなどもフィルへ応用できます。

とはいえ、初心者の段階ではそこまで急がなくて大丈夫です。まず8分と16分を一定のテンポで叩き、次の1拍目へ戻れる状態を作る方が優先です。

フィルインの練習方法

フィルインの練習でありがちなのが、フィル単体だけを何度も繰り返す方法です。

もちろん、手順を覚えるためにフィルだけを反復する練習には意味があります。しかし、実際の曲ではフィルの前にも後にも演奏があります。

そのため、最終的には「基本ビート → フィル → 次の1拍目 → 基本ビート」を途切れず演奏できるようにする必要があります。

フィルだけなら叩けるのに曲へ入れると崩れる場合は、この「前後をつなぐ練習」が不足している可能性があります。

次の1拍目へ戻る練習

初心者にとって特に重要なのが、フィル後の次の1拍目へ正しく戻る練習です。

4/4拍子では、4拍目の後に必ず次の小節の1拍目が来ます。

そこで、4小節を一つのまとまりにして練習してみましょう。

  • 1小節目:通常の8ビート
  • 2小節目:通常の8ビート
  • 3小節目:通常の8ビート
  • 4小節目の1〜3拍目:通常の8ビート
  • 4小節目の4拍目:フィル
  • 次の小節の1拍目:基本ビート、またはクラッシュ+バスドラム
  • そのまま8ビートを継続

この練習では、フィルを叩いたところで止まらないことが最重要です。

4拍目が16分音符4打なら「4 e & a」で終わらず、「4 e & a、1」と続けて数えます。

ロックやポップスでは、フィル直後の新しいセクションの1拍目でクラッシュシンバルを鳴らし、バスドラムを同時に入れる形もよく使われます。

そのため練習では、「フィル → 次の1拍目のクラッシュ+バスドラム」までをセットにすると、着地点を確認しやすくなります。

ただし、実際の曲で毎回クラッシュを鳴らす必要はありません。アレンジに合わせて、ハイハットへ戻る場合もあれば、ライドシンバルへ移る場合もあります。

「次の1」をフィルの一部だと考えると、戻りやすくなります。フィル最後の音ではなく、その後の1拍目をゴールにして練習してみてください。

メトロノームも有効です。

メトロノームを使う目的は、ただ一定速度で手を動かすことではありません。基本ビートからフィルへ移った瞬間に速くなったり、タム移動で遅れたりしていないかを確認するためです。

初心者は「速く叩けるテンポ」から始める必要はありません。

一度も止まらず、正しい位置でフィルを終え、次の1拍目へ戻れるテンポを基準にしてください。

そのテンポで安定したら少しずつ速くします。テンポを上げた瞬間に手順やフォーム、戻るタイミングが崩れるなら、少し遅いテンポへ戻しましょう。

声に出して数える練習も効果的です。

音符 カウント例
4分音符 1・2・3・4
8分音符 1 & 2 & 3 & 4 &
16分音符 1 e & a 2 e & a 3 e & a 4 e & a

手順だけを暗記すると、フィルの途中で拍の位置が分からなくなることがあります。

一方、「今は3拍目」「ここが4の&」「次が1」と音の位置を理解していれば、少し間違えても次の拍へ戻りやすくなります。

練習パッドも使えます。

パッドでは、8分音符、16分音符、3連符などのタイミング、RLRLのオルタネート・スティッキング、左右の音量をそろえる練習、アクセントなどに集中できます。

一方で、パッドだけではスネアからタムへの移動や、フィル後にハイハット・ライドへ戻る動きまでは練習できません。

ドラムセットでは、タム間を移動する腕や身体の動き、クラッシュとバスドラムを組み合わせた1拍目、各太鼓の音量バランスなども確認する必要があります。自宅にセットがない場合は、音楽スタジオなど自宅以外の練習場所を利用して、実際のセット上で移動を確認する方法もあります。

パッドでできた手順がセットでは難しく感じても不思議ではありません。リズムを覚える練習と、セット上を移動する練習は役割が少し違うためです。

自宅で打撃音や振動を抑えながら練習環境を作りたい場合は、静かに音楽を練習するための選択肢や、楽器練習の防音・防振の基本も確認しておくと、練習方法を考えやすくなります。

初心者なら、次のような順番で進めると整理しやすいでしょう。

  1. スネアだけで4分音符を数える
  2. スネアだけで8分音符を均等に叩く
  3. スネアだけで16分音符を均等に叩く
  4. 4拍目だけ8分音符のフィルを入れる
  5. 4拍目だけ16分音符のフィルを入れる
  6. フィル後の次の1拍目へ戻る
  7. 2拍フィルへ広げる
  8. スネアでできたフレーズをタムへ移す
  9. 1小節フィルへ広げる
  10. 休符、アクセント、バスドラムなどを加える

この順番なら、「リズム」「長さ」「移動」「音色変化」を一度に覚えず、一つずつ難易度を上げられます。

走る・止まるときの改善方法

フィルインでは、基本ビートでは問題なかったテンポやフォームが急に崩れることがあります。

ただ、崩れ方によって原因はある程度切り分けられます。

まず多いのが、フィルだけ速くなるケースです。

「フィルは速く叩くもの」「16分音符だから急がなければ」という意識があると、基本ビートより前へ走りやすくなります。

対処するときは、メトロノームを使い、16分音符を声で数えます。それでも速くなるなら、テンポを落とすか、8分音符2打のフィルへ戻してください。

音数を減らしても走るなら、フィルの内容ではなく「フィルへ入ると急ぐ」という意識そのものが原因かもしれません。

次に多いのが、フィルの後で1拍目へ戻れないケースです。

これはフィルの手順だけを一つのかたまりとして暗記し、何拍分のフレーズなのか理解していないと起こりやすくなります。

4拍目だけの16分フィルなら「4 e & a → 1」、2拍なら「3 e & a 4 e & a → 1」と数えてください。

フィル最後の音をゴールにせず、その先の1拍目まで覚えるのがポイントです。

フィルの途中で手が止まる場合は、手順が難しすぎるか、タム移動とリズムを同時に処理しようとしている可能性があります。

一度すべてスネアへ戻してみましょう。

スネアだけなら止まらない場合、リズム自体は理解できています。次は同じフレーズの一部だけをタムへ移し、移動量を少しずつ増やします。

自分では走る原因や止まる原因を切り分けにくい場合は、EYS音楽教室でドラムを習う選択肢もあり、実際の演奏を講師に見てもらいながら確認できます。

フィルだけ極端に大きな音になるケースもあります。

「サビ前だから盛り上げたい」と思うと、無意識に力んでしまうことがあります。しかし、盛り上げることと強く叩くことは同じではありません。

まず基本ビートと大きく変わらない音量でフィルを叩き、必要に応じてアクセントやクレッシェンドを加える方がコントロールしやすくなります。

録音できる環境なら、基本ビートとフィルの音量差を確認する方法もあります。

難しいフィルを詰め込むほど良い演奏になるわけではありません。音数より「いつ始まり、いつ終わり、どこへ戻るか」を優先してください。

フィルを毎回入れたくなる場合にも注意が必要です。

4小節ごと、8小節ごとなど規則的な位置が見えてくると、毎回何か入れたくなるかもしれません。しかし、フィルは必ず一定間隔で入れなければならないものではありません。

同じ位置でも、1回目は何も入れず、2回目だけフィルを入れるといったアレンジも考えられます。

何も叩き足さず基本ビートを維持することも、曲を支える立派な判断です。

ドラム譜を使って練習するときにも一つ注意があります。

ドラム譜では五線譜を使いますが、どの高さにどの太鼓やシンバルを記すかは教材や楽譜によって差がある場合があります。

そのため、楽譜を見ただけで「この位置は必ずこのタム」と決めつけず、その楽譜に用意されている凡例やドラムキーを確認してください。

楽譜に書かれているタム数と自分のドラムセットが違う場合もあります。その場合は、音の高低関係を意識しながら手持ちのタムへ置き換える方法があります。

フィルインのよくある質問

Q1. ドラムのフィルとフィルインは違うものですか?

A. 基本的には同じものです。「フィル」は「フィルイン」を短くした呼び方として使われます。日本のバンド現場では「オカズ」と呼ばれることもあります。初心者がフィルとフィルインを別々の奏法として覚える必要はありません。

Q2. 初心者はどのフィルインパターンから覚えればよいですか?

A. 最初は4拍目だけに入れる8分音符2打が分かりやすいです。「4・&」と数え、R・Lでスネアを2回叩きます。重要なのは2打そのものより、その後の次の小節の1拍目へ正しく戻ることです。

8分音符が安定したら、「4 e & a」の16分音符4打へ進みます。その後でタム移動を加えると、一度に覚える要素を増やさずに済みます。

Q3. フィルインでは必ずタムを使いますか?

A. 必ずしもタムを使う必要はありません。スネアだけでもフィルインは成立します。バスドラムやシンバルを組み合わせることもできます。

初心者は、まずスネアだけで正確なリズムを作り、それが安定してから一部をタムへ移すと練習しやすいです。

Q4. 8分音符と16分音符のフィルはどう数えますか?

A. 8分音符は1拍を2つに分けるため、「1 & 2 & 3 & 4 &」のように数えられます。4拍目だけなら「4 &」です。

16分音符は1拍を4つに分けるので、「1 e & a」のように数えます。4拍目だけなら「4 e & a」です。フィル中も声や頭の中のカウントを止めないようにしてください。

Q5. フィルインで次の1拍目を見失うときはどうすればよいですか?

A. フィル最後の音をゴールにしないことがポイントです。16分音符なら「4 e & a → 1」と、次の1まで声に出してください。

また、長いフィルを使っているなら、一度4拍目だけの1拍フィルへ戻します。短いフィルで次の1へ戻れるようになったら、2拍、1小節へ伸ばしていくと整理しやすいです。

Q6. フィルになるとテンポが速くなります。どう直せばよいですか?

A. 「フィルは速く叩くもの」という意識をいったん外し、メトロノームに合わせてゆっくり練習します。16分音符なら各打点を「4 e & a」と数え、4つの間隔を均等にしてください。

それでも走る場合は、16分4打より音数の少ない8分2打へ戻るのも有効です。速く叩けるテンポではなく、ビートからフィルへ移っても速度が変わらないテンポを基準にしましょう。

Q7. フィルインは必ずサビ前に入れますか?

A. 必ずサビ前に入れるものではありません。AメロからBメロへの移行、小節やメロディの区切り、ブレイクの直前、曲の最後などにも使われます。

反対に、サビ前でもフィルを入れず基本ビートを続けるアレンジもあります。曲の構成や雰囲気に合わせることが優先です。

Q8. フィルインは派手で複雑な方がよいですか?

A. 複雑さと音楽的な良さは同じではありません。短い8分音符2打でも、正しい場所で入り、次の小節へ自然につながれば十分に役割を果たします。

初心者のうちは「何をたくさん叩くか」より、「いつ始め、何拍使い、どこで終わり、次の1へどう戻るか」を優先してください。

Q9. フィルインは毎回即興で考えるものですか?

A. 毎回即興である必要はありません。楽曲のアレンジとしてフィルが決められ、同じ場所で同じフレーズを演奏することもあります。

初心者なら、まず短いフィルをいくつか安定して演奏できるようにして、曲の中で正しい場所へ入れる練習をすると分かりやすいです。

Q10. 練習パッドだけでもフィルインは練習できますか?

A. リズムや手順の練習には使えます。8分音符、16分音符、3連符、RLRLの交互打ち、左右の音量、アクセントなどは練習パッドでも取り組めます。

一方、スネアからタムへの移動、フィル後のハイハットやライドへの復帰、クラッシュとバスドラムを組み合わせる動きなどはドラムセットで確認する必要があります。両方の練習にはそれぞれ役割があります。

まとめ

ドラムのフィルインとは、一定の基本ビートを演奏している途中に挟み、曲の区切りや次の展開を示す短いフレーズです。

「フィル」はフィルインを短くした呼び方として使われ、日本のバンド現場では「オカズ」と呼ばれることもあります。別々の奏法として覚える必要はありません。

初心者がフィルインを覚えるときに大切なのは、派手なタム回しを増やすことではなく、拍を見失わず次の小節へ戻ることです。

  • 最初は4拍目だけの8分音符2打から始める
  • 次に4拍目の16分音符4打へ進む
  • スネアで安定してから同じリズムをタムへ移す
  • 1拍フィルが安定したら2拍、1小節へ広げる
  • フィル中もカウントを止めない
  • メトロノームで基本ビートとフィルのテンポをそろえる
  • フィルだけを練習せず、前後の基本ビートとつなげる
  • フィル最後の音ではなく、次の1拍目までを一つのフレーズとして練習する

フィルインは16分音符の高速連打である必要も、必ずタムを使う必要もありません。1拍だけの8分音符、休符を含むフレーズ、スネアだけのフィルでも成立します。

また、毎小節フィルを入れる必要もありません。曲によっては何も加えず、基本ビートを安定して続ける方が自然です。

フィルインで最も大切なのは、曲の流れを保ったまま次の小節やセクションへつなぐことです。

まずは8ビートを叩きながら、4拍目だけ「4・&」とスネアを2打してみてください。そしてそこで止まらず、次の「1」から再び基本ビートへ戻ります。

この短い流れが安定したら、「4 e & a」の16分音符、タム移動、2拍フィルへ少しずつ広げていきましょう。複雑さを増やすのは、タイミングを保って戻れるようになってからで十分ですよ。