相対音感とは?絶対音感との違いと音楽で役立つ理由

音楽体験ノート
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「絶対音感は聞いたことがあるけれど、相対音感って何?」

音楽をやっていると、この2つの言葉を目にすることがあります。

絶対音感は、基準になる音がなくても「これはド」「これはF♯」のように音名を判断する能力です。

それに対して相対音感は、基準となる音や前後の音との関係から、音の高さや音程を判断する能力です。

少し地味に聞こえるかもしれませんが、実際に歌ったり、演奏したり、調を変えたりするときには、かなり実用的な音感です。

今回は、相対音感とは何なのか、絶対音感と何が違うのか、どんな場面で役立つのか、そして私自身がどのように音を聞いているのかも交えながら紹介します。

相対音感とは?

相対音感とは、簡単にいえば「音と音の距離や関係を聞き取る力」です。

たとえば、最初に鳴った音が「ド」だとわかっているとします。

その次に鳴った音を聞いて、「これはドより長3度上だからミ」「完全5度上だからソ」というように判断します。

これが相対音感の基本的な考え方です。

大切なのは、最初の音が実際にはCでなくても成立することです。

基準になる高さそのものが変わっても、音と音の関係が同じなら、同じ旋律として聞くことができます。

つまり、絶対的な音の高さよりも、「前の音からどれくらい動いたか」「その調の中でどんな役割の音なのか」を感じ取る能力です。

私の場合、どんな音階でも「ドレミファソラシド」に聞こえる

これは私自身の感覚なのですが、調が変わっても、音階そのものは同じ「ドレミファソラシド」として聞こえます。

たとえば、ハ長調ならそのまま「ドレミファソラシド」です。

では、ホ長調ではどう聞こえるのか。

実際の音は、「ミファ♯ソ♯ラシド♯レ♯ミ」です。

でも私の中では、これも「ドレミファソラシド」として聞こえます。

ト長調でも同じです。

実際の音は「ソラシドレミファ♯ソ」ですが、私にはそれも「ドレミファソラシド」として聞こえます。

つまり、「この音が実際には何の音名なのか」よりも、その音が調の中で何番目の音なのかという関係で聞いている感覚です。

主音ならド。

その次ならレ。

第3音ならミ。

というように、調が変わっても役割が同じなら、同じ階名として聞こえます。

相対音感という言葉だけでは少し分かりにくいかもしれませんが、私自身の感覚としては、これがいちばん近い説明です。

絶対音感との違いは?

絶対音感と相対音感の違いは、「何を基準に音を判断するか」です。

絶対音感の場合は、基準になる音を聞かなくても、その音そのものを「G」「B♭」などと判断できます。

一方、相対音感では、基準になる音や調性、前後の音との関係から判断します。

たとえば、突然1音だけ鳴らされて「これは何の音?」と聞かれた場合、相対音感だけでは実際の音名を特定できないことがあります。

でも、最初に基準となる音がわかれば、そのあとの旋律を音程関係で追っていくことができます。

イメージとしては、絶対音感が「音の住所を直接知っている能力」なら、相対音感は「音と音の距離や位置関係がわかる能力」です。

どちらが優れているという話ではなく、音を聞く方法が違うと考えたほうが分かりやすいと思います。

絶対音感って何?でも詳しく説明しています。

相対音感があると何ができる?

相対音感があると、音楽の中で特に便利だと感じることがいくつかあります。

私自身の経験から考えると、大きく3つあります。

1. 調を変えても、すぐ同じ曲として対応できる

これは私が声楽をやっていたときに、実際によく感じたことです。

歌の場合、その日の体調や声の出方によって、歌いやすい高さが変わることがあります。

たとえば、

「今日は高い声がよく出るから、少し調を上げよう」

あるいは、

「今日は低いほうが声が出しやすいから、少し調を下げよう」

ということがあります。

そんなときでも、相対的に音を聞いていれば、調が変わっても旋律そのものは変わりません。

私の感覚では、ホ長調でもト長調でも、その曲の「ドレミ」の関係が保たれていれば、同じ曲としてすぐに対応できます。

実際、調をその場で変えて歌うこともありました。

ところが、私の絶対音感を持っている友人の中には、こうした突然の移調にうまく対応できない人もいました。

もちろん、これはすべての絶対音感保持者に当てはまる話ではありません。

ただ、私の身近な体験としては、実際の音高そのものを強く認識している人ほど、元の高さから変わったときに違和感を覚えることがあるのだと感じました。

その点、相対音感では「この音は主音から何度上か」「次の音との関係はどうなっているか」で聞くので、調が丸ごと変わっても対応しやすいのです。

2. 音楽を「音名」ではなく「流れ」で聞きやすい

相対音感では、一つ一つの音を「C」「E」「G」と単独で認識するよりも、音同士の流れとして聞きます。

たとえば、

「前の音から少し上がった」

「ここは主音に戻ってきた」

「この音は少し不安定で、次に解決しそう」

といった感覚です。

メロディーでもコード進行でも、実際の音名が変わっても関係が同じなら、同じ構造として聞くことができます。

そのため、キーが変わっても「違う曲になった」という感覚にはなりにくいです。

むしろ、音楽の形そのものを聞いている感覚に近いと思います。

3. 歌やハモリ、アンサンブルで周囲に合わせやすい

相対音感は、自分一人で音を出すときだけでなく、周囲の音を聞きながら演奏するときにも役立ちます。

歌の場合、伴奏を聞きながら自分の音程を合わせます。

ハモリでは、主旋律に対して3度上、6度上など、周囲の音との関係を保つ必要があります。

楽器でも同じで、自分の音だけを聞くのではなく、ほかの演奏者との響きの中で音程を調整します。

こうした場面では、「今出している音が何という音名か」よりも、周囲の音とどういう関係になっているかを聞くことのほうが重要になります。

相対音感と移動ドは相性がいい

相対音感を学ぶときによく登場するのが「移動ド」です。

移動ドでは、どの長調でも主音を「ド」として歌います。

たとえば、ハ長調ではCがド。

ト長調ではGがド。

ホ長調ではEがドです。

つまり、実際の音の高さが違っていても、調の中で同じ役割を持つ音に同じ「ド・レ・ミ」を当てます。

私がホ長調の「ミファ♯ソ♯ラシド♯レ♯ミ」も、ト長調の「ソラシドレミファ♯ソ」も「ドレミファソラシド」と感じるのは、まさにこの相対的な聞き方に近いと思います。

ただし、相対音感と移動ドは同じものではありません。

移動ドは相対的な音の関係を学ぶ方法の一つです。

固定ドで音名を読んでいる人でも、相対音感を身につけることはできます。

私の声楽の先生は「声楽家に絶対音感はいらない」と言っていた

これは、私が声楽を専攻していたときの話です。

当時、私の声楽の先生は「声楽家には絶対音感はいらない」と言っていました。

もちろん、これは「絶対音感があってはいけない」という意味ではありません。

ただ、声楽では、その日の声の状態や声域に合わせて調を変えることがあります。

伴奏者や周囲の音を聞きながら、相対的に自分の音程を取る場面もたくさんあります。

そう考えると、先生は「絶対的な音名を当てる力よりも、周囲の音との関係を聞く力が重要」という意味で言っていたのかもしれません。

実際、私自身も声楽を学ぶ中で、調が変わってもすぐ対応できることのほうが大切だと感じる場面がありました。

絶対音感と声楽については、私自身にもう少し具体的な体験があります。

この話はまた別の機会に書いてみたいと思います。

相対音感は大人になってからでも鍛えられる?

相対音感は、大人になってからでもイヤートレーニングによって伸ばしていくことができます。

音程を聞き分けたり、基準音から指定された音程を歌ったり、短い旋律を書き取ったりする練習を重ねることで、少しずつ精度を上げていけます。

絶対音感の場合は、幼少期の音楽経験との関連がよく話題になります。

一方、相対音感は成人向けの音楽教育でも普通にトレーニングされています。

ただし、「毎日10分やれば30日で完成」といった共通の期間があるわけではありません。

楽器経験、歌唱経験、練習頻度、これまでどれくらい音楽に触れてきたかなどによって、伸び方は変わります。

相対音感は「ある・ない」というより、どこまで細かく聞き分けられるかという熟練度で考えたほうが分かりやすいでしょう。

絶対音感と相対音感はどちらが上?

これはよくある疑問ですが、単純にどちらが優れているとは言えません。

基準音なしで音名を当てるのであれば、絶対音感はとても便利です。

一方、移調、コード進行、和声、アンサンブル、旋律の構造などを捉えるときには、相対音感が重要になります。

実際には、絶対音感を持っている人でも相対音感を使います。

反対に、絶対音感を持っていなくても、相対音感をしっかり身につけていれば、実際の音楽活動で困らない場面はたくさんあります。

絶対音感と相対音感はライバルではなく、それぞれ役割の違う能力と考えたほうが自然です。

相対音感は特別な人だけの能力ではない

「私は相対音感がありません」と思っている人もいるかもしれません。

でも、日常的にメロディーの違いが分かったり、「さっきより音が高くなった」と感じたりできるのであれば、すでに相対的な音高関係をある程度処理しています。

そこから、より細かく音程を判断したり、音程名として答えたり、声や楽器で再現したりできるようにしていくのが相対音感のトレーニングです。

つまり、完全なゼロから特殊能力を手に入れるというより、もともと使っている音の比較能力を、より音楽的に育てていくというイメージのほうが近いと思います。

まとめ:相対音感は音と音の「関係」を聞く力

相対音感とは、基準となる音や前後の音、調性などを手掛かりに、音同士の関係を判断する能力です。

絶対音感が「この音はG」と音そのものを特定する力だとすれば、相対音感は「基準音から完全5度上」「この音は主音から第3音」といった関係を捉える力です。

私自身も、ホ長調の「ミファ♯ソ♯ラシド♯レ♯ミ」や、ト長調の「ソラシドレミファ♯ソ」を、どちらも「ドレミファソラシド」と感じています。

また、声楽をやっていたときには、その日の声の状態に合わせて調を上げたり下げたりすることもありました。

そんなときでも、音同士の関係が同じなら、すぐに同じ曲として対応できます。

一方で、絶対音感を持つ友人が突然の移調に対応しにくそうにしていたこともありました。

もちろん、これは個人差のある話です。

それでも私自身の体験からすると、相対音感は、実際に歌ったり演奏したりするときに非常に使いやすい音感だと感じています。

絶対音感がないからといって、「自分には音感がない」と考える必要はありません。

音楽では、音の名前そのものを当てる力だけではなく、音と音がどうつながり、どこへ向かっているのかを聞く力も重要です。

その力が、相対音感です。