「音楽科って、朝から晩までずっと音楽をやっているの?」
音楽科に通っていたという話をすると、そんなイメージを持たれることがあります。
確かに、普通科と比べれば音楽の授業はかなり多いです。
でも、実際に音楽科で高校生活を送った私の感覚では、「音楽だけをやる学校」というのは、ちょっと違います。
私が通っていた音楽科では、授業全体のうち音楽関係の授業はだいたい3分の1。残りの3分の2は、国語や数学などの一般的な授業でした。
ただし、おもしろいのはここです。
時間割全体で見れば音楽は3分の1くらいなのに、毎日何かしら音楽の専門授業が入っていました。
つまり、「今日は普通の高校生の日」「明日は音楽科の日」と分かれているわけではありません。
一般科目の授業を受けながら、その日のどこかには専攻、副科、音楽理論、ソルフェージュ、合奏・合唱などの音楽の授業がある。
そんな毎日でした。
今回は、私自身の記憶をもとに、「音楽科って実際には何を勉強しているの?」というところを書いてみたいと思います。
音楽科だからといって、3分の1ずっと演奏しているわけではない
私が通っていた音楽科では、授業全体の約3分の1が音楽関係でした。
そして残りの約3分の2は一般科目です。
こう聞くと、
「じゃあ3分の1は、ずっと楽器を弾いたり歌ったりしているの?」
と思うかもしれません。
でも、これも少し違います。
音楽の授業といっても、全部が実技ではありません。
自分の楽器を演奏する授業もあれば、音楽理論のように机に向かって勉強する授業もあります。ソルフェージュのように、音を聴いたり、楽譜を読んだり、音楽の基礎能力を身につけるための授業もありました。
つまり、音楽科の「音楽の時間」は、単純に楽器の練習時間が増えただけではありません。
音楽そのものを、いろいろな角度から勉強する時間が増えるという感覚のほうが近いと思います。
音楽の授業は一つではなく、いくつもの科目に分かれていた
普通の学校で「音楽」と聞くと、一つの教科をイメージすると思います。
ところが音楽科に入ると、その「音楽」が細かく分かれます。
私の記憶では、音楽に関係する授業は7科目くらいに分かれていました。
今覚えているものでは、次のような授業があります。
- 専攻
- 副科
- 音楽理論
- ソルフェージュ
- 合奏・合唱
こうやって並べてみると、同じ「音楽」でも中身が全然違うことがわかります。
専攻では自分の専門を深く学び、副科では専門とは別の楽器にも触れます。
音楽理論では、演奏するだけではなく、音楽がどうできているのかを頭で理解していきます。
ソルフェージュでは、耳や読譜力など、演奏をするうえで必要になる基礎的な力を鍛えます。
そして合奏や合唱になると、一人で完結する音楽ではなく、周囲の音を聴きながら全体を作る力も必要になります。
「音楽が好きだから音楽科に行く」という入口は同じでも、入ってみると、想像以上にいろいろな種類の音楽を勉強することになるわけです。
専攻だけを練習しているわけではない
音楽科と聞くと、ピアノ専攻なら毎日ピアノ、管楽器専攻なら毎日その楽器、というように、自分の専門だけをひたすら勉強するイメージを持つ人もいるかもしれません。
もちろん専攻は大切です。
でも、実際には専攻だけをやっているわけではありません。
私が通っていた音楽科では「副科」がありました。
そして、この副科の仕組みが少しおもしろいところです。
ピアノ専攻の人は、副科として学ぶものをいろいろ選ぶことができました。
一方で、ピアノ以外を専攻している人は、副科が必ずピアノでした。
たとえば、管楽器や声楽などを専門にしている人であっても、専門の勉強だけをすればいいわけではなく、ピアノも勉強することになります。
今振り返ると、これは音楽科らしい仕組みだったと思います。
自分の専門だけができれば終わり、という世界ではありません。
専門を深く勉強しながら、それ以外の音楽にも触れていく。
そのため、「自分はこの楽器の専攻だから、この楽器だけ弾いていればいい」という感覚ではなかったと思います。
毎日どこかに音楽の専門授業が入っていた
授業全体の割合だけを見ると、音楽関係は約3分の1。
数字だけで見ると、「意外と少ない」と感じる人もいるかもしれません。
でも実際の学校生活では、音楽科にいるという感覚はかなり強くありました。
その理由の一つが、毎日、何かしらの音楽分野・専門分野の授業があったことです。
数学や国語などの一般科目を受けて、そのあとにソルフェージュ。
別の日には一般科目の合間に音楽理論。
また別の日には専攻や副科、合奏や合唱。
そんな形で、時間割の中に音楽が自然に組み込まれていました。
ですから、「週に一度だけ音楽の授業がある」という普通の高校とは、やはり日常の感覚が違います。
一般科目を勉強していても、どこかで音楽に切り替わる。
毎日の生活の中に必ず音楽がある。
これが音楽科の特徴の一つだったように思います。
一般科目もちゃんとある
とはいえ、音楽科だから一般科目をやらなくていい、というわけではありません。
私の場合、授業全体の約3分の2は一般科目でした。
ですから、音楽科に入ったからといって、机に向かう勉強から解放されるわけではありません。
「音楽が好きだから、もう数学をやらなくていいだろう」
……とはならないわけです。
ただし、一般科目の進め方については、普通科とは違う部分もありました。
私の記憶に特に残っているのが数学です。
当時は、通常なら高校1年生で勉強するような数学の内容を、高校3年間に分けて学んでいくような形になっていました。
音楽の専門科目にかなりの授業時間を使うので、そのぶん一般科目の授業時間や進み方も調整されていたのだと思います。
もちろん、これは私が通っていた当時の学校での経験です。
現在の音楽科や、ほかの学校でもまったく同じカリキュラムとは限りません。
それでも、「音楽科では一般科目をほとんどやらない」というイメージとはかなり違っていました。
「音楽を勉強する」の意味が、入る前より広くなる
音楽科に入る前に想像する「音楽の勉強」は、どうしても演奏が中心になりやすいと思います。
ピアノを弾く。
歌を歌う。
楽器を吹く。
もちろん、それも音楽の勉強です。
でも音楽科に入ると、それだけではないことがわかります。
音楽理論を勉強する。
ソルフェージュで耳や読譜力を鍛える。
自分の専攻とは違う副科に取り組む。
合奏や合唱で、他人と音を合わせる。
こうして考えてみると、音楽科は単に「楽器をたくさん練習できる高校」というより、音楽を専門分野として勉強する高校だったのだと思います。
普通の高校生でもあり、音楽科の生徒でもある
音楽科での学校生活を一言で表すなら、私はこの感覚が近いと思います。
普通の高校生として一般科目を勉強しながら、毎日どこかで音楽の専門教育を受けている。
音楽しかやらないわけではありません。
かといって、普通科の中に音楽の授業が少し増えただけ、という感じでもありません。
授業の3分の2は一般科目でも、毎日必ず何かしら音楽の専門授業がある。
そして、その音楽の授業も、専攻だけではなく、副科、音楽理論、ソルフェージュ、合奏・合唱などに細かく分かれている。
この「普通の高校生活」と「専門的な音楽教育」が同時に存在しているところが、音楽科のおもしろいところだったのだと思います。
まとめ:音楽科は「音楽だけ」ではない。でも毎日音楽がある
「音楽科って音楽だけやるの?」
今の私なら、こう答えます。
音楽だけをやるわけではない。でも、毎日必ず音楽がある。
私が通っていた音楽科では、授業の約3分の1が音楽関係で、残りの約3分の2が一般科目でした。
ただし、その3分の1の中身はとても濃く、専攻、副科、音楽理論、ソルフェージュ、合奏・合唱など、いくつもの専門科目に分かれていました。
さらに、副科もあり、ピアノ専攻の人はいろいろな選択肢がある一方、ピアノ以外を専攻している人は必ずピアノを学んでいました。
つまり、自分の専門だけをひたすらやる場所でもありません。
一般科目を勉強しながら、毎日少しずつ専門的な音楽の世界に入っていく。
それが、私の経験した音楽科でした。
これから音楽科への進学を考えている人が、「音楽科に入ったらどんな毎日になるんだろう?」と想像するときの、一つの参考になればと思います。

