ギターは独学でも上達できる
ギターは、独学でも弾けるようになることができます。現在は書籍や動画、オンライン教材など、自宅で基礎から学べる手段が多く、教室へ通わなくても練習を進めることは可能です。
ただし、ここでいう独学は「誰にも習わず、思いついたことだけを練習する」という意味ではありません。ギターが上手くなるには、目標を決め、今の自分に必要な課題を選び、反復し、演奏を確認して問題点を修正していく流れが必要です。
独学でも上達できるかどうかを左右しやすいのは、「自分で問題を見つけて修正できる仕組み」があるかどうかです。動画を見ることや練習時間を増やすことだけではなく、練習→確認→修正の流れを作ることを意識してみてください。
特に初心者のうちは、左手で弦を押さえる、右手でピッキングやストロークをする、一定のリズムを保つ、コードを切り替える、TAB譜を見るといった複数の動作を同時に行います。そのため、説明を読んで「分かった」と感じても、すぐには手が動かないことがあります。
これはギターに向いていないからとは限りません。頭で理解することと、指や腕を使って実際に動作できることは別だからです。まずは一つずつ動作を分け、できる範囲を増やしていきましょう。
「ギターを独学で始めたけれど、全然上達しない」「このまま自己流で続けてもいいのかな」と不安になっているなら、独学を続けるか教室を利用するかを今すぐ二者択一にする必要もありません。大切なのは、現在の練習で少しずつ前に進めているかを確認することです。
独学で上達できる人の特徴
独学で上達しやすいのは、自分で練習内容を決め、問題点を確認しながら修正できる人です。
たとえばコードがきれいに鳴らないとき、「もっと強く押さえればいい」と決めつけるのではなく、鳴っていない弦を探し、その原因を一つずつ確認します。指がフレットから離れすぎていないか、指先に近い部分で押さえられているか、隣の弦に触れていないか、手首に無理がないか、といった具合です。
フレーズが弾けないときも同じです。最初から最後まで何度も弾くより、止まる場所を1〜2小節程度に分け、さらに必要なら数音単位に分解します。「どこで失敗しているか」が分かれば、独学でも練習内容をかなり絞りやすくなります。
自分で調べることが苦にならない人も独学との相性がよいでしょう。ただし、情報をたくさん集められることと、上達に必要な情報を選べることは少し違います。初心者向け動画を次々に見ても、それぞれの内容を少しずつ試すだけでは、何が自分に必要なのか分からなくなることがあります。
「今日はコードチェンジ」「今日は右手のリズム」のように課題を絞り、調べたことを実際の練習へ落とし込める人は独学を進めやすいです。
また、録音や録画で自分の演奏を確認できる人も独学向きです。演奏中は左手のコードに集中していて、右手のリズムが乱れていることに気付かない、といったことがあります。スマートフォンで録画してあとから見るだけでも、自分では気付きにくかった動きが見えることがあります。
独学に向いているかは「意志が強いか」だけで判断する必要はありません。練習予定を自分で管理できる、分からないことを調べられる、録音や録画で確認する習慣を作れるなど、独学を支える仕組みを用意できるかも重要です。
時間や場所の自由度を重視したい人にとっても独学は魅力的です。仕事や家庭の予定が不規則で決まった時間に通いにくい場合でも、自分の生活に合わせて練習できます。好きな曲を自分のペースで進められるのもメリットです。
一方、自分で課題を決めること自体が負担になり、「今日は何をすればいいのか」で毎回迷ってしまう場合は、独学だけにこだわらない方がよいこともあります。独学が向いていないのではなく、練習の優先順位を決めてくれる仕組みがある方が続けやすいということです。
初心者が挫折しやすい理由
ギター初心者が挫折しやすい理由は一つではありません。想像していたより音がきれいに鳴らない、コードチェンジが間に合わない、Fコードが押さえられない、左右の手を同時に動かせない、何を練習すればよいか分からないなど、さまざまな原因があります。
特に始めたばかりの時期は、動画で見る演奏と自分の演奏との差が大きく感じられます。経験者が自然に行っている動作でも、初心者にとっては複数の課題の組み合わせです。
たとえば簡単に見えるコード伴奏でも、左手で正しい形を作り、不要な弦を鳴らさず、右手では一定のリズムでストロークし、次のコードへ時間内に移動する必要があります。一つずつならできても、同時になると難しい。ここで「自分には才能がない」と感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、最初から複数の動作を完全に同時処理できなくても不自然ではありません。コードの形だけ、右手のストロークだけ、コードチェンジだけと分けて練習し、最後に組み合わせる方法があります。ギターが向いている人の特徴や才能について考えるときも、最初にできないことだけで適性を決めないことが大切です。
初心者が挫折するもう一つの理由が、目標の大きさと現在の課題が合っていないことです。「ギターが上手くなりたい」という目標だけでは、今日やることが決まりません。それより「この曲のサビで使う3つのコードを止まらず切り替える」など、具体的な目標に変える方が練習しやすくなります。
難しすぎる曲を最初の1曲に選んでしまうこともあります。好きな曲を選ぶのは続けるうえで大切ですが、現在の技術との差が大きすぎると、どこから手を付けてよいか分からなくなります。その場合は、好きな曲を諦めるのではなく、簡単な部分だけ取り出したり、並行して弾きやすい曲を練習したりするとよいでしょう。
さらに、教材や動画を見すぎて練習内容を絞れなくなるケースもあります。Aという動画では「最初にコード」、Bという動画では「まず単音練習」、Cという教材では別の順番が紹介されていると、「どれが正しいの?」と迷いますよね。
ジャンルや目標によって優先順位は変わるため、すべての教材が同じ順番である必要はありません。弾き語りが目標ならコードとストロークを早めに練習する意味がありますし、ロックのリフを弾きたいなら単音ピッキングやパワーコードが早めの課題になる場合もあります。
アコースティックギターでコード伴奏や弾き語りを目指していて、Fコードやコードチェンジを含めた練習順序を自分で組み立てにくい場合は、初心者向けに段階を追って学べるギター教材を使う方法もあります。
ギター初心者の離脱率については、「約90%が1年以内にやめる」という数字が紹介されることがあります。Fenderは2015年の調査について、初めてギターを手にした人の90%超が12か月以内に離脱したと説明しています。ただし、これはFenderによる市場調査であり、現在の日本人初心者全体にそのまま当てはまる公的統計ではありません。調査の位置づけはFenderの公式発表でも確認できます。
「初心者はほとんど挫折する」と考える必要はありません。挫折率の数字は個人の未来を決めるものではなく、続けにくくなる原因を先に知り、対策を考える材料として捉えるのがよいでしょう。
仕事や家庭との両立、練習場所の問題も無視できません。特に大人になってからギターを始める場合、毎日まとまった時間を確保できるとは限りません。大きな練習目標を決めすぎると、できなかった日に「今日は失敗」と感じやすくなります。
10分しか取れない日は10分でできる課題にする。疲れている日は好きな曲を少し弾くだけにする。こうした柔軟さも、ギター挫折を防ぐためには大切です。
初心者向けギター上達方法
初心者がギターを上達させるには、難しい技術を一度に覚えるより、基本動作を順番に身につけていく方が進めやすくなります。
そして、練習時間の長さだけを意識するのではなく、「今日は何を改善するのか」を明確にすることが大切です。長時間ギターを持っていても、何度も同じ場所で同じミスをしているだけでは、改善点が見えにくいからです。
ギターの上達方法で迷ったら、「できない場所を小さくする→ゆっくり正確に弾く→確認する→少しずつ難易度を戻す」という流れを基本にしてみてください。
最初に身につけたい基礎
初心者は、まずギターの持ち方や姿勢、チューニング、ピックの持ち方や指弾きの基本、左手の押さえ方などを確認します。
そのうえで、単音をきれいに鳴らす練習、基本的なオープンコード、一定のテンポでのストロークやピッキング、コードチェンジへ進んでいくと、曲の練習につなげやすくなります。
毎回チューニングを確認する
練習を始める前に優先したいのがチューニングです。音程がずれたままでは、正しい位置を押さえているのに音が違って聞こえます。その状態で練習を続けると、自分の押さえ方が悪いのか、ギターの音程がずれているのか判断しにくくなります。
チューナーを使って毎回チューニングすることを、練習前の準備として習慣化するとよいでしょう。もし調弦してもすぐ音程が変わる場合は、ギターのチューニングがすぐ狂う原因と対処法も確認してみてください。
単音をきれいに鳴らせるか確認する
いきなり複雑なコードを押さえる前に、1本の弦を押さえてきれいな音が出るか確認するのも役立ちます。
音がビリつく場合は、指の位置がフレットから離れすぎていないか、押さえる位置や指の角度を確認します。力だけで解決しようとすると、必要以上に握り込む癖につながる可能性があります。
初心者は「音が出ない=握力不足」と考えやすいですが、指の位置や角度、隣の弦への接触などを変えるだけで改善する場合もあります。
目標に合う基礎を優先する
すべての初心者が、まったく同じ順番で練習する必要はありません。弾き語りを目指す人なら、少数のコード、コードチェンジ、一定のストロークを優先すると目標へつながりやすいでしょう。
一方、ロックのリフを弾きたい場合は、単音ピッキング、パワーコード、ミュートなどが早めの課題になることもあります。
スケールや音楽理論も役立つ知識ですが、初心者全員が最初からすべて覚えなければ曲を弾けないわけではありません。今の目標に必要なことから始めると、練習の目的が分かりやすくなります。
また、楽器自体が弾きにくい状態になっていないかも確認したいところです。弦高が極端に高い、ネックの状態に問題があるなど、楽器側の条件によって初心者には必要以上に押さえにくく感じる場合があります。
「自分の手が小さいから」「握力が弱いから」と決めつける前に、フォームだけでなく楽器の状態も確認してみてください。
イスに座って練習するなら、ギターを自然に構えられる環境も大切です。肘掛けが身体やギターに当たるなど、無理な姿勢を作りやすい環境では、正しい動きを覚えにくくなります。
短時間でも続けやすい練習法
初心者の練習では、長時間まとめて弾くことだけを目標にするより、無理なく継続できる形を作ることが重要です。「1日○分練習すれば必ず○か月で弾ける」という万人共通の基準は確認されていません。
そのため、練習時間の数字だけを追いかけるより、限られた時間を何に使うかを決めた方が実践的です。Fenderも初心者向け情報で、長時間を不定期に行うより短い練習を継続し、目的を持って取り組む考え方を紹介しています。練習時間の考え方はFender公式の練習ガイドでも確認できます。
たとえば、ある日の練習を次のように分ける方法があります。
- 最初にチューニングと軽いウォームアップ
- 現在できない技術を集中して練習
- コードチェンジやリズムを確認
- 好きな曲の一部分を練習
- 最後に一度録音または録画して確認
これは必須メニューではありません。10〜15分ほどしか時間が取れない日は、今いちばん困っている課題と好きな曲だけでも構いません。
重要なのは、「今日は30分練習した」という時間だけで終わらず、「CからGへのコードチェンジを止まらずできるようにする」「この2小節をゆっくり正確に弾く」のように、改善したい内容を決めることです。
できない場所だけを切り出す
曲を最初から最後まで弾く練習も必要ですが、毎回それだけでは苦手箇所に使える時間が少なくなります。
たとえば4分の曲の中で、いつも同じ2小節だけ間違えるなら、その部分を集中的に練習した方が原因を確認しやすくなります。
さらに難しい場合は、2小節を1小節へ、1小節を数音へと小さくします。左手だけ確認する、右手だけ動かす、コードチェンジだけ繰り返す、と分けてもかまいません。
原曲より遅いテンポから始める
好きな曲を聴いていると、つい原曲と同じ速さで弾きたくなります。しかし、まだ動作が安定していない段階で速度だけを上げると、毎回同じミスを繰り返しやすくなります。
まずは正確に動ける速度まで落とし、必要な音が鳴っているか、リズムが崩れていないかを確認します。その速度で安定してから少しずつ速くしていく方が、どこで崩れたのか分かりやすいです。
メトロノームを利用すれば、感覚だけでは分かりにくいテンポの揺れも確認できます。
録音・録画で過去の自分と比べる
ギターを毎日弾いていると、少しずつ変化していても本人には気付きにくいものです。
そこで、同じコードチェンジやフレーズを定期的に録音・録画しておくと、前回との違いを確認できます。以前はコードを変えるたびに止まっていたのに、今は少し流れがつながっている。テンポは同じでも、余計な弦の音が減っている。こうした変化も立派な上達です。
上級者の動画と比較すると差ばかり目に入りますが、比較対象を過去の自分にすると、小さな改善を見つけやすくなりますよ。
Fコードで止まったときの対処
Fコードをはじめとするバレーコードは、初心者が難しさを感じやすいポイントの一つです。しかし、最初から6本すべての弦を完璧に鳴らすことだけを目標にする必要はありません。
「Fコードができないから先へ進めない」と考えると、ギターそのものが嫌になってしまうことがあります。Fコードが弾けなければギターを楽しめないわけではありません。Fコードは一つの課題として練習しつつ、ほかのコードや曲を並行してもかまいません。
まず鳴っていない弦を特定する
Fコードを押さえたら、まとめてストロークするだけではなく、弦を1本ずつ鳴らしてみてください。
どの弦が鳴っていないのか分かれば、人差し指のセーハ部分に問題があるのか、ほかの指が隣の弦に触れているのかなど、原因を絞りやすくなります。
必要以上に握力を使う前に、次の点を確認します。
- 指がフレットから離れすぎていないか
- 人差し指の当て方を少し変えると鳴りやすくならないか
- ほかの指が隣の弦へ触れていないか
- 手首を極端に曲げていないか
- 親指の位置に無理がないか
- ギターの弦高が極端に高くないか
動作を分けて練習する
最初から「Fコードを一瞬で作って6本全部鳴らす」という完成形だけを練習する必要はありません。
人差し指だけでセーハする練習、残りの指を順番に置く練習、別のコードからFへ移動する練習など、動作を分ける方法があります。
また、曲によっては簡略化したフォームや別ポジションを利用して練習を進められることもあります。Fコードの完成を待ってすべての曲を止める必要はありません。
数週間練習しても音の状態がほとんど変わらず、「なぜ鳴らないのか」が自分で分からない場合は、同じ方法を続けるだけでは停滞しやすくなります。こうしたときは、一度フォームを第三者に見てもらうことも有力な選択肢です。
自分だけでは原因を絞れない場合は、自分の目的に合わせてマンツーマンで習える音楽教室を選択肢に入れ、現在のフォームや次に取り組む課題を確認してもらう方法もあります。
なお、ギターを始めた直後は弦を押さえる指先に負担を感じることがありますが、痛いほど長時間練習すれば早く上手くなるというわけではありません。
鋭い痛み、関節の痛み、しびれなどを我慢して練習するのは避けましょう。手首を極端に曲げる、肩を上げたまま弾く、身体を強くひねるといった姿勢になっていないかも確認してください。初心者の指先の負担については、ギターで指が痛いときの考え方と対策も参考になります。痛みが強い、長引く、しびれや動かしにくさがある場合は練習を中断し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
ギターが上手くならない原因
「練習しているのにギターが上手くならない」と感じるときは、練習時間そのものより、現在の練習方法を確認してみましょう。
上達が止まっている原因を特定できれば、必要な練習も見つけやすくなります。反対に、原因が分からないまま練習量だけを増やすと、同じ失敗を繰り返してしまうことがあります。
練習しても伸びない原因を探す
上達しにくい原因として、毎回練習内容が決まっていない、難しすぎる曲だけを選んでいる、最初から原曲と同じ速さで練習しているといったことが考えられます。
また、曲を最初から最後まで何度も弾くだけでは、苦手な場所に使う時間が少なくなります。間違える場所が決まっているなら、その部分だけを取り出して練習した方が問題点を確認しやすくなります。
コードが鳴らない場合も、原因を特定せずに握る力だけを強くするのは避けたいところです。フォーム、指の位置、手首や親指の位置、ギターの調整状態など、複数の可能性を確認します。
練習内容が毎回変わっている
今日はコード、明日はスケール、その次は難しいソロ、その後は別の初心者動画というように、毎回課題が大きく変わると、同じ技能を繰り返して定着させる時間が少なくなります。
いろいろ試すこと自体が悪いわけではありません。ただ、現在の課題を一つか二つ決め、その変化を数回の練習で追ってみると、何が改善したのか分かりやすくなります。
難しすぎる曲だけを練習している
好きな曲を弾くことはモチベーションにつながりますが、現在のレベルとの差が大きすぎると、練習すべき技術が一度に増えます。
速いコードチェンジ、複雑なリズム、バレーコード、ミュートなどを同時に要求される曲では、「どこが原因で弾けないのか」が分かりにくくなります。
そんなときは、その曲の簡単な部分だけを練習したり、必要な技術を身につけやすい別の曲を並行したりする方法があります。
間違ったまま速度を上げている
テンポを上げると弾けたような気分になることもありますが、正確に弾けない状態で速度だけ上げると、ミスした動きを何度も反復することになります。
「速く弾く」の前に「遅くても正確に動ける」を確認しましょう。その後、少しずつテンポを上げ、崩れ始める地点を探します。
リズムのずれに気付いていない
左手のコードが合っていても、リズムが安定しなければ曲としては不自然に聞こえます。
初心者のうちは、コードを押さえることに集中するあまり、コードチェンジ直前でテンポが遅くなることがあります。自分では気付きにくいので、メトロノームや伴奏、録音を利用して確認するとよいでしょう。
楽器側の問題を見落としている
フォームを何度直しても押さえにくい場合は、楽器の状態も確認したいところです。弦高が極端に高いなど、初心者にとって必要以上に弾きにくい状態になっている可能性があります。
「手が小さい」「握力がない」と自分だけを原因にする前に、演奏環境全体を見直してみてください。
疑問点を放置している
コードがなぜ鳴らないか、ピックがなぜ引っ掛かるか、なぜテンポが崩れるか。こうした疑問を「そのうちできるだろう」と放置すると、同じところで長く止まりやすくなります。
自分で調べて解決できれば問題ありません。それでも原因が分からない場合は、第三者からフィードバックを受けることを検討するタイミングです。
上達しないと感じたときに見るべきなのは「練習時間が足りないか」だけではありません。何を改善する練習なのか、ミスの原因が分かっているか、以前と比較して何が変わったかを確認してみましょう。
上達を細かく確認する方法
ギターの上達は、「1曲を完璧に弾けるようになったか」だけでは判断できません。
曲を最初から最後まで演奏できるようになるまでには、いくつもの小さな技能が必要です。その途中段階にも、上達のサインはたくさんあります。
たとえば、次のような変化です。
- 以前より少ない力で音が出る
- ミュートしてしまう弦が減った
- コードを押さえるまでの時間が短くなった
- コードチェンジで止まりにくくなった
- 同じフレーズを以前より速いテンポで正確に弾ける
- メトロノームからずれにくくなった
- 余計な弦を鳴らさなくなった
- 曲の一部分を安定して弾けるようになった
- TAB譜を以前より早く追えるようになった
- 録音を聞いたときリズムの乱れが減っている
こうした変化を記録しておくと、「何も上達していない」という感覚だけで判断しにくくなります。
たとえば、同じフレーズを週に一度同じテンポで録音しておきます。完成度を点数化する必要はありません。「前回より止まる回数が減った」「音がつぶれなくなった」といった簡単なメモでも十分です。
久しぶりに以前苦労した曲を弾いて、「前より簡単に感じる」と気付くこともあります。これも複数の基礎技能が少しずつ身についた結果と考えられます。
上達を確認するときは、上級者ではなく過去の自分を比較対象にするのがおすすめです。演奏レベルが大きく違う相手との比較では、小さな改善が見えにくくなります。
そして、上達が遅いと感じるときほど、「全部できるか、全部できないか」で判断しないことが大切です。コードがまだ完全に鳴らなくても、押さえるまでの時間が短くなっていれば前進しています。
独学と教室の違いを比較する
ギターは独学でも上達できますが、すべての人に独学が適しているわけではありません。反対に、初心者だから必ず教室へ通わなければならないわけでもありません。
判断するときは、「自分が現在の問題を自力で発見し、修正できているか」を基準にすると分かりやすくなります。
独学のメリットは、時間や場所を自由に選びやすく、好きな曲やジャンルを自分のペースで進められることです。教室のメリットは、現在の演奏を第三者に確認してもらい、問題点と次の練習内容を整理できることにあります。
| 項目 | 独学 | 対面教室 |
|---|---|---|
| 費用 | 低く抑えやすい | 月謝・入会金などが必要な場合がある |
| 時間 | 自由に決めやすい | 固定日時の場合が多い |
| 場所 | 自宅を中心に練習できる | 教室への移動が必要 |
| 練習内容 | 自分で選ぶ | 講師がレベルに合わせて調整できる |
| フォーム確認 | 録画などで自己確認 | 講師が直接確認できる |
| 質問 | 自分で調べて解決する | その場で質問しやすい |
| 進捗管理 | 自己管理が中心 | 定期レッスンで区切りを作りやすい |
| ジャンル | 自由に選びやすい | 講師の得意分野も確認が必要 |
| 向いている人 | 自己管理・自己分析がしやすい人 | 迷いを減らして進みたい人 |
独学は費用を抑えやすいのもメリットです。ただし、独学でも教則本、有料動画、アプリなどを利用する場合があります。そのため、「独学なら必ず無料」「教室なら必ず高い」と単純に分ける必要はありません。
教室も、費用だけで比較すると本質が見えにくくなります。教室の価値は情報量だけではなく、本人の演奏を見て「今どこを直すべきか」を判断してもらえるところにあります。
反対に、すでに自分で問題点を見つけ、練習内容を調整できている人にとっては、定期的なレッスンが必須とは限りません。
教室を検討したいタイミング
教室を利用するかどうかは、単純に「何週間続けたか」だけで決める必要はありません。技能の習得速度には個人差があり、「○週間できなければ必ず教室へ行くべき」という統一基準は確認されていません。
それよりも、改善が起きているか、原因を自分で説明できるかを見る方が判断しやすいです。
たとえばFコードがまだ鳴らなくても、「3弦が鳴らない原因は人差し指の位置だと思う。今は位置を変えて試している」という状態なら、課題を自分で認識して修正を試せています。
一方で、数週間同じコードやフレーズを練習しているのにほとんど変化がなく、「何が悪いのかまったく分からない」という状態なら、追加の動画を探し続けるより、演奏を直接見てもらう価値が高くなります。
教室を検討しやすい状態を整理すると、次のようになります。
- 同じコードやフレーズを何週間も練習しているが、ほとんど変化しない
- なぜできないのか自分で説明できない
- 姿勢や押さえ方が正しいか不安
- 手首、肩、指などに無理を感じる
- 動画によって説明が異なり、どれを採用するか判断できない
- 毎回練習内容が変わり、基礎が定着しない
- リズムが合っているか自分では分からない
- 録音や録画をしても改善点を特定できない
- 一人だと練習を先延ばしにしてしまう
- ライブや発表など、一定の期限までに練習したい
講師に習う大きな利点は、現在の演奏を見たうえで問題点を特定し、「次に何を練習するか」を調整できることです。
たとえば同じ「コードが鳴らない」という悩みでも、原因は指の位置かもしれませんし、手首の角度かもしれません。あるいはギターの状態が関係している場合もあります。本人が原因を一つに絞れないときに、第三者の視点が役立ちます。
教室を使う基準は「初心者だから」ではなく、「自力で問題を修正できなくなっているか」と考えると分かりやすいです。
ギター初心者で、こうした個別の課題を講師と整理しながら進めたい場合は、講師や日時などを選びながらマンツーマンで学べるEYS音楽教室も比較候補の一つです。
また、教室へ行くことを「長期契約をしなければならない」と考える必要もありません。利用形態によっては、体験や単発、短期などを選べる場合があります。まず問題点を確認するために利用し、その後また独学へ戻るという考え方もあります。
なお、講師に習えば自宅練習が不要になるわけではありません。レッスンでフォームや練習内容を修正してもらったら、その内容を次回までに自宅で練習する、という流れになります。
対面とオンラインの違い
ギターレッスンには、対面だけでなくオンラインという選択肢もあります。
対面レッスンは、講師が手元だけでなく身体全体の姿勢を直接確認しやすい点が特徴です。カメラに映らない角度からも確認できるため、細かなフォームの問題を見つけてもらいやすい場合があります。
一方、オンラインレッスンは自宅から受講できるので、教室まで移動する必要がありません。仕事や家庭の予定があり、移動時間を取りにくい人にとっては利用しやすいでしょう。
リアルタイム型のオンラインレッスンなら、その場で質問しながら練習できます。自分の演奏を講師に見てもらい、次の課題を決めてもらうという点では、録画教材を見るだけの学習とは異なります。
| 項目 | 対面レッスン | リアルタイム型オンライン |
|---|---|---|
| 移動 | 教室まで必要 | 基本的に不要 |
| フォーム確認 | 複数方向から直接確認しやすい | カメラに映る範囲が中心 |
| 質問 | その場で可能 | その場で可能 |
| 通信環境 | 基本的に影響を受けない | 通信品質の影響を受ける |
| 同時演奏 | 行いやすい | 通信遅延による制約がある |
| 受講場所 | 教室 | 自宅など |
オンラインでは、カメラの位置によって左手は見えても右手が見えない、身体全体の姿勢が分かりにくいといったことがあります。そのため、必要に応じてカメラ位置を変えられる環境があると確認しやすくなります。
また、通信による音声の遅延があるため、講師と受講者がオンラインで完全に同時演奏することには制約があります。これは対面との分かりやすい違いです。
なお、「オンラインでギターを学ぶ」といっても、録画動画を見るオンライン教材と、講師とリアルタイムでつながる個人レッスンでは性質が違います。
体系化された録画教材は、自分の好きな時間に何度も見返せるのが利点です。一方で、教材そのものがあなたの手の形や演奏を直接見て「ここを直してください」と個別判断することはできません。
そのため、自由度を重視するなら録画教材、個別のフィードバックを求めるならリアルタイム型、フォームを直接細かく確認してもらいたいなら対面、といった考え方ができます。
独学か教室かを判断する基準
独学を続けるか教室を利用するか迷ったときは、現在の練習が前に進んでいるかを確認します。
先月より改善している記録があり、できない原因を自分で特定でき、疑問も教材などを使って解決できているなら、独学を続ける選択には十分な合理性があります。
一方で、数週間同じ場所から進めず、何が原因なのか分からない、フォームが正しいか不安、リズムが合っているか判断できない、教材選びだけで時間を使っているといった状態なら、一度レッスンを利用する価値があります。
独学継続が合理的な状態
- 練習内容を自分で決められる
- 以前より改善している実感や記録がある
- できない原因をある程度特定できる
- 疑問が生じても教材などで解決できる
- フォームに強い違和感や痛みがない
- 練習そのものを楽しめている
この状態なら、教室へ通っていないこと自体を不安に思う必要はありません。独学で前に進めているなら、その学び方が現在のあなたに合っている可能性があります。
一度レッスンを受ける価値が高い状態
- 数週間同じ箇所で完全に止まっている
- 複数の方法を試しても原因が分からない
- 押さえ方や姿勢に強い不安がある
- 手首や指に無理を感じる
- リズムが合っているか判断できない
- 教材を探すだけで練習時間が減っている
- 練習の優先順位が分からない
- 一人ではほとんど練習しなくなった
ここで重要なのは、独学と教室を二者択一にしないことです。
たとえば、普段は独学で進め、分からない技術だけ単発で確認する方法があります。最初の一定期間だけ基礎やフォームを習い、その後は独学に切り替える方法もあります。独学で曲を進めながら、ときどき第三者に演奏を確認してもらう形でもかまいません。
独学か教室かの判断基準は、「どちらが正しいか」ではなく、「今の自分が問題を発見して修正できる環境になっているか」です。
教室を選ぶ場合も、講師の演奏が上手いかだけではなく、初心者への説明が分かりやすいか、自分の目標を聞いてくれるか、自分が弾きたいジャンルに対応しているかなどを確認すると判断しやすくなります。
体験レッスンを利用できる場合は、「今のフォームで優先して直す場所はどこか」「この曲を弾くために何から練習すればよいか」「自宅ではどの課題を練習すればよいか」など、現在の悩みを具体的に質問すると相性を判断する材料になります。
また、料金を比べる際は月謝だけで判断せず、月の回数、1回の時間、個人かグループか、入会金、施設費や運営管理費、教材費、振替制度、休会制度なども確認した方が比較しやすいです。
同じ月額でも、回数や1回あたりの時間、個人・グループの違いによって内容は変わります。費用だけを見て「高い・安い」と結論を出すのではなく、自分が何を解決したいかと合わせて考えてみてください。
そして、教室に通えば自動的に上手くなるわけでもありません。レッスンで教わった内容を復習しない、分からないことを質問しない、目標と指導内容が合わないまま続けると、期待した変化を感じにくいことがあります。
理想は、講師にずっと依存することではなく、少しずつ自分でも問題点を見つけ、修正できるようになることです。「最初は習って基礎を確認し、あとから独学力を高める」という使い方も十分に考えられます。
ギター独学のよくある質問
Q. ギターは完全独学でも弾けるようになりますか?
A. 可能です。現在は書籍、動画、オンライン教材などを利用して基礎から学べます。ただし、独学では自分で練習順序を決め、演奏を確認し、問題点を修正する必要があります。少しずつ改善できているなら、教室へ通っていないことだけを理由に不安になる必要はありません。
Q. 初心者は毎日練習した方がいいですか?
A. 継続的にギターへ触れる習慣を作ることは大切ですが、「毎日必須」「1日○分必須」という万人共通の基準はありません。長時間の練習をたまにすることしか選択肢がないわけではなく、生活の中で続けられる頻度を見つけることが重要です。
Q. 1日15分でも練習になりますか?
A. 短時間でも、改善したい課題を決めて練習すれば意味があります。たとえばコードチェンジだけ、苦手な2小節だけと課題を絞れば、15分でも目的を持った練習にできます。ただし、15分という数字そのものが上達を保証するものではありません。
Q. 何か月で曲が弾けるようになりますか?
A. 曲の難易度、過去の音楽経験、練習頻度、目標とする完成度などによって大きく変わるため、一律には言えません。数個のコードで弾ける曲と、速いギターソロを含む曲では必要な技能が大きく違います。「何か月」という期限だけでなく、現在できることが増えているかを確認してみてください。
Q. Fコードが弾けないのは才能がないからですか?
A. Fコードが弾けないことだけで才能不足とは判断できません。バレーコードは初心者が難しさを感じやすい課題の一つです。弦を1本ずつ確認し、人差し指のセーハ、ほかの指の配置、コードチェンジを分けて練習できます。
Q. Fコードが弾けるまで他の曲へ進んではいけませんか?
A. そのような決まりはありません。Fコードを練習しながら、ほかのコードで弾ける曲を並行しても大丈夫です。曲によっては簡略化したフォームや別ポジションを利用できる場合もあります。
Q. ギター教室は初心者でも利用できますか?
A. 初心者向けのレッスンでは、ギターの構え方やチューニングなど基礎から扱う形式があります。利用を検討する際は、初心者指導に対応しているか、自分が弾きたいジャンルに対応しているかを確認するとよいでしょう。
Q. 教室はいつから通うべきですか?
A. 最初からでも、独学で行き詰まってからでも構いません。独学で順調に改善しているなら必須ではありません。一方、原因が分からない停滞やフォームへの不安が数週間続く場合は、一度講師に確認してもらう価値が高くなります。
Q. 何週間できなければ教室へ行くべきですか?
A. 「○週間で必ず教室へ」という統一基準はありません。期間より、「改善が起きているか」「原因を自分で説明できるか」を見て判断しましょう。数週間同じ課題に取り組んでもほとんど変化せず、原因も分からないなら、第三者に確認してもらう有力なタイミングです。
Q. オンラインと対面のどちらが初心者向けですか?
A. フォームを複数の方向から直接確認してもらいやすいのは対面です。一方、オンラインは移動せず自宅から受講できます。どちらが向いているかは、フォーム確認をどれだけ重視するか、移動時間を取れるか、通信環境を用意できるかなどで変わります。
Q. 独学と教室を途中で切り替えてもいいですか?
A. 問題ありません。最初だけ基礎を習って独学へ移る、普段は独学して停滞したときだけレッスンを利用するなど、柔軟に組み合わせる方法があります。
Q. 一度挫折していても再開できますか?
A. 再開できます。以前できなかった曲へいきなり戻る必要はありません。難易度を下げた曲から始めたり、以前の挫折原因を具体的に整理したりすると再開しやすくなります。
たとえば「Fコードで止まった」「曲が難しすぎた」「何を練習すればよいか分からなかった」「生活の中で練習時間を確保できなかった」など、原因を細かく分けてみましょう。
原因が分かれば、簡単な曲へ変える、短時間練習にする、練習順を決める、必要な部分だけ第三者に見てもらう、といった対策を考えられます。
ブランク後は、以前の最高速度からいきなり始めなくても大丈夫です。最初は指が思うように動かなくても、無理のない速度から基本を確認していきましょう。
練習環境も挫折に関係します。集合住宅などで音量が気になる場合、エレキギターならヘッドホン対応機器を利用する方法があります。ただしギター本体の生音まで完全な無音になるわけではありません。アコースティックギターも含め、住宅環境や建物のルール、練習時間帯への配慮は必要です。自宅での音量対策をさらに考えたい場合は、楽器練習向け防音室の選び方も参考にしてください。
練習に便利なものとしては、チューナーまたはチューナーアプリ、メトロノーム、必要に応じてピック、譜面を置くためのスタンド、録音・録画できるスマートフォン、替え弦、自分のレベルに合った教材などがあります。
ただし、大量の機材をそろえること自体が上達条件ではありません。今の練習で必要なものから少しずつ用意すれば十分です。
まとめ
ギターは独学でも上達できます。書籍や動画、オンライン教材などを使い、自分で練習課題を決めて演奏を確認し、問題点を修正できるなら、独学でも着実に進められます。
ただし、「長く練習すれば自然に上手くなる」とは限りません。ギターが上手くなるには、できない場所を小さく分け、正確に弾ける速度から練習し、録音や録画などで結果を確認する流れが大切です。
初心者が挫折しやすいのは、Fコードやコードチェンジなどの難所だけが理由ではありません。何を練習すればよいか分からない、成果を確認する方法がない、難しすぎる曲ばかり選んでいる、フォームやリズムの問題に自分で気付けないといったことも原因になります。
「自分は上達していない」と感じたら、曲を完全に弾けるかどうかだけで判断しないでください。以前より少ない力で音が鳴る、コードチェンジが少し速くなった、ミスする弦が減った、一定のテンポを保ちやすくなった。こうした小さな変化も上達です。
独学を続けるか教室を利用するかは、現在の問題を自分で発見して修正できているかで考えると分かりやすいです。
少しずつでも改善しており、できない原因を自分で探して修正できているなら、独学を続ける余地があります。反対に、数週間同じ課題からほとんど動けず、複数の方法を試しても原因が分からない場合は、一度講師など第三者にフォームや練習順を確認してもらう価値があります。
独学と教室は、どちらか一方だけを選ぶ必要もありません。普段は独学を続け、行き詰まったときだけレッスンを利用する。最初に基礎を習ってから独学へ切り替える。オンラインを利用して自宅からフィードバックを受ける。そんな組み合わせ方もできます。
大切なのは「独学にこだわること」でも「教室へ通うこと」でもなく、あなたが音楽を楽しみながら少しずつ前へ進める方法を選ぶことです。
一度ギターを挫折したことがあっても、以前とまったく同じ練習方法へ戻る必要はありません。難易度を下げる、短時間から再開する、練習内容を一つに絞る、必要な部分だけ誰かに確認してもらうなど、やり方を変えて再スタートできます。
始める時期や上達の速さを他人と比べる必要もありません。今日できる課題を一つ決め、前回より少しでも弾きやすくなった部分を見つけながら続けていきましょう。

