エレキベースの楽譜を開いたとき、五線譜や数字、見慣れない記号がずらっと並んでいて、「いったいどこから読めばいいの?」と戸惑うことがありますよね。
私も音楽を学び始めたころは、音符の高さを追うだけで精いっぱいでした。さらにベースの場合は、五線譜だけでなくTAB譜も使われるため、最初は情報が二重に並んでいるように見えるかもしれません。
ただし、楽譜に書かれている内容をすべて一度に覚える必要はありません。初心者の段階では、どの弦の何フレットを押さえるのか、いつ音を鳴らすのか、どのくらい伸ばすのか、どこで音を止めるのかという4点を順番に確認できれば、十分に練習を始められます。
特にエレキベースでは、正しい音を鳴らすことと同じくらい、音の長さや休符が重要です。フレット番号が合っていても、音を伸ばしすぎたり、休符で弦が鳴り続けたりすると、ドラムと合わず、フレーズ全体がぼやけて聞こえてしまいます。
つまり、エレキベース楽譜の読み方を覚える目的は、音楽理論の試験に合格することではありません。あなたが曲の流れを理解し、バンドや音源とタイミングを合わせ、効率よく練習できるようになることです。
この記事では、エレキベースで使われる楽譜の種類、TAB譜と五線譜の読み方、初心者が優先して覚えたい記号、練習への生かし方まで、できるだけ具体的に解説します。
- エレキベースで使われる楽譜の種類と役割
- TAB譜の線、数字、リズムの読み方
- 五線譜とヘ音記号の基本的な見方
- 初心者が覚えたい音符、休符、奏法記号
- 楽譜を実際の練習へ結び付ける手順
- 無料楽譜を利用するときの注意点
最初に覚えておきたい結論
楽譜を完璧に読めなくても、TAB譜で音の位置を確認し、音符と休符でタイミングを読めれば、エレキベースの練習は進められます。最初から全部を暗記するのではなく、今練習している曲に出てきた記号から一つずつ覚えていきましょう。
エレキベース楽譜の基本
エレキベースの楽譜には、五線譜、TAB譜、コード譜など複数の形式があります。楽譜の種類によって記載されている情報が異なるため、まずは「その譜面から何が読み取れるのか」を知っておくことが大切です。
楽譜は、演奏を細かく指定する設計図のようなものです。ただし、すべての楽譜に同じ量の情報が書かれているわけではありません。音の高さや長さまで詳しく記載された譜面もあれば、押さえる場所だけが簡略化されている譜面もあります。
そのため、同じ「エレキベースの楽譜」でも、五線譜だけの譜面、TAB譜だけの譜面、五線譜とTAB譜を併記した譜面では、読むときの順番や注意点が変わります。
楽譜の種類と読む順番
エレキベースで使用する主な楽譜は、次の4種類です。
| 楽譜の種類 | 主にわかること | 初心者にとっての特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 五線譜 | 音の高さ、長さ、休符、強弱、奏法 | 曲の内容を詳しく理解できる | 指板上の位置を自分で選ぶ必要がある |
| TAB譜 | 使用する弦とフレット位置 | 押さえる場所が直感的にわかる | リズムが省略されている場合がある |
| 五線譜+TAB譜 | 音程、リズム、演奏位置 | 演奏位置と音楽的な情報を同時に確認できる | 上下の譜面を対応させて読む必要がある |
| コード譜・リードシート | コード進行、拍数、曲の構成 | セッションや伴奏で使いやすい | ベースラインを自分で考える必要がある |
初心者が最初に使いやすいのは、五線譜とTAB譜が上下に並んでいる楽譜です。TAB譜で弦とフレットを確認しながら、五線譜で音の長さや休符を確認できます。
五線譜とTAB譜が併記されている場合、上下に並んだ音は基本的に同じタイミングを示しています。五線譜に8分音符が4つ並び、その下のTAB譜に数字が4つ並んでいれば、それぞれを対応させて演奏します。
TAB譜だけでも簡単な曲を演奏できることはあります。ただし、数字しか書かれていない簡易TAB譜では、正確なリズム、音を切る位置、休符、強弱などがわからない場合があります。原曲を知らなければ、数字どおりに押さえてもフレーズとして再現できないことがあるんですね。
コード譜には、「C」「Am」「F」「G」といったコード名が、小節や歌詞に沿って書かれています。コード譜を使う場合、ベーシストはコードのルート音を中心に、曲調やドラムのリズムに合うベースラインを考えます。
初心者のうちは、コード譜を見てすぐに自由なベースラインを作れなくても問題ありません。まずは各コードのルート音を1小節に1回、または1拍ずつ弾くだけでも、伴奏として成立する場合があります。
初心者が楽譜を確認する順番

- 曲名と使用する音源のバージョンを確認する
- 4弦用か5弦用かを確認する
- チューニングを確認する
- 拍子とテンポを確認する
- イントロやサビなどの曲構成を確認する
- 反復記号や演奏順を確認する
- 音符と休符の長さを読む
- TAB譜の弦とフレット番号を読む
- 奏法記号や強弱記号を確認する
楽譜を左上からいきなり1音ずつ読むよりも、先に曲全体の地図を確認した方が効率的です。リピート記号やコーダを見落としていると、一つひとつの音は合っていても、曲の演奏順についていけなくなります。
また、同じ曲でもスタジオ録音版、ライブ版、短縮版、初心者向けアレンジでは、小節数やベースラインが異なることがあります。楽譜と音源が合わないときは、演奏技術の問題だと決めつけず、同じバージョンを使っているか確認してみてください。
楽譜を開いたら最初に見る場所
譜面の左上や最初の小節付近には、テンポ、拍子、調号、チューニング、カポ、使用楽器などの重要な情報がまとめられていることがあります。数字を読み始める前に、数十秒だけ全体を眺める習慣を付けると、途中でのやり直しを減らせます。
◆音高卒バンドマンのワンポイント
私がバンドで合わせるときも、最初に確認するのは細かなフレット番号より、テンポ、曲構成、休符です。ベースは正しい音を出すだけではまとまりません。初心者ほど「いつ鳴らして、いつ止めるか」を先に意識すると、同じフレーズでもぐっとベースらしく聞こえますよ。
TAB譜の読み方
TAB譜は、ベースの弦とフレット位置を図のように表した楽譜です。五線譜の音名をまだ覚えていなくても演奏位置を確認できるため、初心者向けの教則本、バンドスコア、楽譜配信サービスなどで広く使われています。
TABは「タブ」または「タブラチュア」と読みます。エレキベースの指板を横向きにしたような見た目になっており、何弦の何フレットを使うのかが数字で示されます。
ただし、TAB譜は「押さえる場所を教えてくれる楽譜」であり、必ずしも音楽のすべてを教えてくれるわけではありません。リズム、強弱、音の長さ、曲の構成などは、五線譜や補助記号、実際の音源から読み取る必要があります。
線と数字が示す意味
一般的な4弦ベースのTAB譜は、4本の横線で表されます。
G|---------------- D|---------------- A|---------------- E|----------------
一番上の線は細くて高い音のG弦、一番下の線は太くて低い音のE弦です。
| TAB譜上の位置 | 弦 | 開放弦の音 | ベースを構えたときの位置 |
|---|---|---|---|
| 一番上 | 1弦 | G | 床側に近い細い弦 |
| 上から2番目 | 2弦 | D | 1弦の上 |
| 上から3番目 | 3弦 | A | 4弦の下 |
| 一番下 | 4弦 | E | 顔側に近い太い弦 |
ベースを構えた状態では、太いE弦が自分から見て上側にあります。そのため、実際の弦の見え方とTAB譜の上下が逆に感じられる点に注意してください。
最初は混乱しやすいですが、TAB譜は「演奏者側から見た指板」ではなく、「正面から見た指板を横に置いた図」のように考えると覚えやすいかなと思います。
5弦ベース用のTAB譜では、一般的に一番下へ低いB弦が加わります。
G|---------------- D|---------------- A|---------------- E|---------------- B|----------------
6弦ベースでは、低いB弦に加えて、高いC弦が追加される構成が一般的です。使用するベースの弦数とTAB譜の線の本数が一致しているか、演奏前に確認しましょう。
線の上に書かれた数字は、押さえるフレットを表します。「0」は弦を押さえない開放弦、「3」は3フレット、「12」は12フレットです。
G|---------------- D|---------------- A|----3---5------- E|0---------------
この例では、左から順番にE弦の開放弦、A弦の3フレット、A弦の5フレットを弾きます。
TAB譜の数字は指番号ではありません。「7」と書いてあっても7番目の指という意味ではなく、7フレットを押さえる指示です。どの指を使うかは、前後の音、手の大きさ、ポジション移動に合わせて決めます。
左手の指番号が指定される場合は、TAB譜の数字とは別に、小さな数字や記号で示されることがあります。一般的には、人差し指を1、中指を2、薬指を3、小指を4として表します。
フレット番号は金属部分を直接押さえる指示ではありません。
例えば3フレットなら、2本目と3本目のフレット金属の間を押さえます。音がびびる場合は、3フレット側の金属に近い位置を押さえると、少ない力でも音を出しやすくなります。
フレットの中央より少し高い側を押さえると、弦がフレットへしっかり接触しやすくなります。ただし、金属の真上を押さえると音が詰まることがあるため、フレットのすぐ手前を狙ってください。
数字が大きくなるほど、ボディ側の高いフレットへ移動します。1フレットから12フレットへ向かうにつれて、音は半音ずつ高くなります。12フレットでは開放弦より1オクターブ高い同名の音が鳴ります。
| TAB譜の表記 | 意味 | 演奏方法 |
|---|---|---|
| 0 | 開放弦 | 左手でフレットを押さえずに弾く |
| 1~24など | フレット番号 | 指定された弦のフレットを押さえる |
| x、× | デッドノート | 弦へ軽く触れ、音程を消して鳴らす |
| 数字が縦に並ぶ | 同時発音 | 複数の弦を同じタイミングで鳴らす |
| 数字が横に並ぶ | 順番に演奏 | 左から右へ一音ずつ弾く |
リズムと同時発音の見方
TAB譜は左から右へ読みます。ただし、数字同士の横幅だけを見てリズムを判断するのは危険です。数字の間隔が広くても、その音が長いとは限りません。
正確なリズムは、TAB譜の上にある五線譜、数字に付いた符尾や横線、拍の区切り、テンポ表示などから確認します。リズムが省略されているTAB譜では、原曲を聴きながら弾くタイミングを判断する必要があります。
例えば、次のTAB譜に4つの数字が等間隔で並んでいても、それが4分音符なのか8分音符なのかは、数字だけでは判断できません。
G|---------------- D|---------------- A|---------------- E|0---0---0---0---
4分の4拍子で4分音符なら「1、2、3、4」と1拍ずつ弾きます。8分音符なら「1と、2と」のように、1拍を2つへ分けて弾くことになります。
4分の4拍子で8分音符を数えるときは、次のように声に出すとわかりやすくなります。
1 と 2 と 3 と 4 と
数字が表拍、「と」が裏拍です。表拍だけでなく裏拍も均等に数えることで、8分音符の間隔が安定しやすくなります。
16分音符の場合は、1拍をさらに4つへ分けます。
1・タ・ト・タ 2・タ・ト・タ 3・タ・ト・タ 4・タ・ト・タ
数え方の言葉は「1・イ・ト・オ」などでも構いません。大切なのは、1拍の中を均等な4つへ分けることです。
音を弾く部分だけでなく、弾かない場所も声に出して数えることがポイントです。ベースを持たずに手拍子だけでリズムを確認してから弾くと、左右の手に意識を取られにくくなります。
リズムで迷ったときの分解方法
- ベースを置いて、口だけで拍を数える
- 音を鳴らす場所で手をたたく
- 休符の場所では手を止める
- 開放弦だけでリズムを弾く
- 最後にTAB譜のフレット番号を加える
複数の数字が縦に並んでいる場合は、原則として同時に鳴らします。
G|--5-- D|--5-- A|----- E|-----
この例では、G弦5フレットとD弦5フレットを同時に鳴らします。ベースでは単音を弾く場面が多いものの、ダブルストップ、コード、ハーモニーなどで複数の弦を同時に鳴らすことがあります。
複数弦を同時に弾くときは、不要な弦まで共鳴しないようにミュートすることが大切です。左手の使っていない指や、右手の親指などを利用して、鳴らさない弦へ軽く触れておきます。
「x」や「×」が書かれている場合は、はっきりした音程を出さないデッドノートを表すのが一般的です。弦へ軽く触れ、打楽器のようなアタック音を出します。
デッドノートでは、弦をフレットへ完全に押し付けません。ただし、触れる位置によってはハーモニクスが鳴ることがあります。特定の倍音が出てしまう場合は、左手の複数の指で弦へ触れると、音程を消しやすくなります。
TAB譜上の記号は、出版社や楽譜サイトによって表し方が異なることがあります。譜面の冒頭や巻末に奏法記号の説明、凡例、Legendがある場合は、演奏を始める前に必ず確認しましょう。
また、TAB譜に書かれた運指が絶対に唯一の正解とは限りません。同じ高さの音を別の弦でも出せる場合があるため、手の大きさ、音色、前後の移動に合わせて弾きやすい場所を選べます。
ただし、初心者向けの楽譜では、無理なポジション移動を避けるためにTAB譜の位置が工夫されていることもあります。まずは書かれた位置で練習し、慣れてから別の運指を試すと混乱しにくいですよ。
チューニングの確認方法
TAB譜を読む前に、必ずチューニングを確認します。同じ弦の同じフレットを押さえても、チューニングが違えば鳴る音は変わります。
一般的な4弦ベースの標準チューニングは、太い弦から順番に次の並びです。
E-A-D-G
日本語の音名では、Eがミ、Aがラ、Dがレ、Gがソです。ベースを構えた状態で顔側にある太い弦から、ミ、ラ、レ、ソと並びます。
隣り合う弦は、標準チューニングでは完全4度の関係です。4弦Eの5フレットはAになり、3弦の開放弦と同じ高さになります。同様に、3弦Aの5フレットはD、2弦Dの5フレットはGです。
| 基準にする音 | 同じ高さになる位置 |
|---|---|
| 3弦開放のA | 4弦5フレット |
| 2弦開放のD | 3弦5フレット |
| 1弦開放のG | 2弦5フレット |
この関係を知っておくと、チューナーがないときに弦同士の音程を確認したり、同じ音を別のポジションで探したりできます。ただし、練習を始める前の正確な調弦には、クリップチューナーやペダルチューナーを使う方が確実です。
5弦ベースでは、低いB弦が追加されることが一般的です。
B-E-A-D-G
5弦ベースのTAB譜を4弦ベースで演奏する場合、低いB弦にしか存在しない音はそのままでは出せません。1オクターブ上へ置き換える、別のアレンジを使う、チューニングを変更するなどの対応が必要です。
ロックやメタルなどでは、4弦だけをEからDへ下げるドロップDもよく使われます。
D-A-D-G
ドロップDでは、4弦の開放音だけでなく、4弦上のすべての音が標準チューニングより全音低くなります。標準チューニングの感覚で4弦のフレットを押さえると、TAB譜と音が合わなくなるため注意してください。
すべての弦を半音下げる場合は、次のようになります。
E♭-A♭-D♭-G♭
楽譜によっては「Half Step Down」「Tune Down 1/2 Step」などと記載されます。表記上は通常のフレット番号が使われていても、実際に鳴る音は標準チューニングより半音低くなります。
さらに、Dスタンダード、Cスタンダード、B-E-A-Dなど、曲やジャンルによってさまざまなチューニングが使われます。ヤマハの公式解説でも、4弦ベースの一般的なE-A-D-Gや5弦ベースのB-E-A-D-G、ドロップDなどの変則チューニングが紹介されています。
(出典:Yamaha Music「Alternate Bass Tunings」)
譜面の最初に「Tuning」「Drop D」「Half Step Down」などの記載がないか確認してください。曲を弾いていて「TABどおりなのに原曲と音が合わない」と感じたときは、採譜ミスを疑う前にチューニングを見直してみましょう。
チューニングを大きく変えると、弦の張り、ネックの状態、弦高、オクターブ調整、ナットへの収まり方も変化する可能性があります。特殊なチューニングを継続して使用する場合や、太さの違う弦へ交換する場合は、無理に自己判断せず楽器店やリペア担当者へ相談してください。
チューニングの確認は、毎回の練習前に行うのがおすすめです。昨日合わせたから今日も合っているとは限りません。室温、湿度、弦の状態、ペグへの接触などによって、少しずつ音程が変化します。
チューナーを使うときは、弦を強く弾きすぎず、普段演奏するときに近い強さで鳴らします。強く弾いた直後は一時的に音程が高く表示されることがあるため、音が少し落ち着いてから針や表示を確認しましょう。
五線譜とヘ音記号の読み方
エレキベースの五線譜では、主にヘ音記号が使われます。TAB譜が押さえる場所を示すのに対し、五線譜は音の高さ、長さ、休符、強弱、フレーズのまとまりなどを詳しく伝える役割があります。
五線譜を読めるようになると、TAB譜のない譜面にも対応しやすくなります。また、「何弦の何フレット」という位置だけでなく、「今どの音を弾いているのか」を理解できるようになります。
とはいえ、最初から五線譜を見て即座にすべての音名を答える必要はありません。まずは開放弦のE、A、D、Gを目印として覚え、そこから上下の音を数える方法で十分です。
音名と開放弦の位置
ヘ音記号は、低い音域を読みやすくするための記号です。記号の右側にある2つの点は、第4線を挟むように配置されており、この第4線がF、つまりファであることを示しています。
五線の線上にある音は、下から順番に次のように読みます。
| 線の位置 | 英語音名 | 日本語の読み |
|---|---|---|
| 第1線 | G | ソ |
| 第2線 | B | シ |
| 第3線 | D | レ |
| 第4線 | F | ファ |
| 第5線 | A | ラ |
覚えるときは「ソ・シ・レ・ファ・ラ」と下から順番に声へ出すと整理しやすくなります。
線と線の間にある音は、下から「ラ・ド・ミ・ソ」です。
| 間の位置 | 英語音名 | 日本語の読み |
|---|---|---|
| 第1間 | A | ラ |
| 第2間 | C | ド |
| 第3間 | E | ミ |
| 第4間 | G | ソ |
音はA、B、C、D、E、F、Gの順番で繰り返します。日本語ではラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソです。Gの次は再びAへ戻ります。
最初から五線上のすべての音を暗記する必要はありません。まずは、4弦ベースの開放弦であるE・A・D・Gを基準にするのがおすすめです。
| 弦 | 開放弦 | 五線譜上の位置 | 覚え方 |
|---|---|---|---|
| 4弦 | E | 五線より下の第1加線 | 最も低い開放弦 |
| 3弦 | A | 第1間 | 五線内の最初の間 |
| 2弦 | D | 第3線 | 五線の中央 |
| 1弦 | G | 第4間 | 五線内の上側の間 |
例えば、五線譜上でAを見つけたら、3弦の開放弦を基準にできます。Aの一つ上はB、さらに上はCです。ベースの指板では、A弦の2フレットがB、3フレットがCになります。
フレット付きのエレキベースでは、1フレット移動するごとに半音ずつ音が変わります。ただし、BとC、EとFの間には黒鍵に相当する音がないため、隣り合うフレットになります。
| 3弦Aを基準にした位置 | 音名 |
|---|---|
| 開放弦 | A |
| 1フレット | A♯・B♭ |
| 2フレット | B |
| 3フレット | C |
| 4フレット | C♯・D♭ |
| 5フレット | D |
楽譜に♯が付いている場合は、その音を半音高くします。♭が付いている場合は半音低くします。ナチュラル記号は、その小節内で付いていた♯や♭の効果を元へ戻す記号です。
楽譜の最初にまとめて書かれている♯や♭は調号です。調号は、原則として該当する高さの同名音へ継続して適用されます。一方、音符の直前に書かれた臨時記号は、基本的に同じ小節内の同じ高さの音へ適用されます。
ベースでは、同じ高さの音を複数の場所で出せることがあります。例えば、4弦5フレットのAと3弦開放のAは同じ高さです。
ただし、同じ高さでも音色は完全に同一ではありません。太い弦で弾くと厚みのある音になりやすく、細い弦で弾くと輪郭が明るく感じられる場合があります。また、開放弦は響きが長くなりやすく、押弦した音は長さを制御しやすい傾向があります。
どちらの場所を使うかは、前後のフレーズ、音色、ポジション移動、ミュートのしやすさ、奏法記号などを見て決めます。TAB譜がある場合は、まず指定された位置を参考にしてください。
一般的なエレキベースの五線譜は、実際に鳴る音より1オクターブ高く記譜されます。ただし、通常のベース譜を演奏するときに、自分で音を1オクターブ下げて読み替える必要はありません。書かれた音に対応するベースの位置をそのまま弾けば大丈夫です。
五線譜を読めるようになると、コードの構成音やベースラインの動きも理解しやすくなります。例えば、CからE、Gへ動いているとわかれば、Cメジャーコードの構成音を使っていることに気付けます。
音名がわからないままTAB譜の数字だけを覚えると、別のキーや別のポジションへ応用しにくいことがあります。練習中に余裕が出てきたら、「3弦3フレット」だけでなく「C」と声に出してみてください。指板と音名が少しずつ結び付いていきますよ。
初心者が見るべき記号
エレキベース楽譜には、音の高さ以外にも多くの情報が書かれています。初心者は、すべての記号を一度に覚えるのではなく、演奏するタイミング、音を止める位置、曲の進行に関わる記号から優先して覚えましょう。
優先順位を付けるなら、音符、休符、タイ、拍子、反復記号、基本的な奏法記号の順がおすすめです。強弱記号や細かな表情記号は、その後から少しずつ増やしても問題ありません。
音符と休符の長さ
音符は、音の高さだけでなく、音をどのくらいの時間鳴らすかを表しています。4分の4拍子では、一般的に4分音符を1拍として数えます。
| 音符 | 4分の4拍子での長さ | 数え方の例 |
|---|---|---|
| 全音符 | 4拍 | 1から4まで伸ばす |
| 2分音符 | 2拍 | 1から2まで伸ばす |
| 4分音符 | 1拍 | 各拍で1回 |
| 8分音符 | 2分の1拍 | 1拍に2回 |
| 16分音符 | 4分の1拍 | 1拍に4回 |
例えば、4分音符が4つ並んでいる場合は、「1、2、3、4」と各拍で音を鳴らします。8分音符が8つ並んでいる場合は、「1と2と3と4と」と1小節を8つへ分けます。
音符を正確に演奏するときは、次の音を弾く瞬間だけでなく、前の音をどこまで伸ばすかも確認します。4分音符を短く切りすぎると、本来の音価よりスタッカートに近い演奏になってしまいます。
反対に、休符へ入っているのに音が残っていると、音符の長さが伸びたことになります。ベースでは弦の振動が自然に消えるまで待つのではなく、左右の手を使って必要な位置で止めます。
音符の右側に点が付く付点音符は、元の長さに半分を加えます。
| 付点音符 | 長さ | 内訳 |
|---|---|---|
| 付点2分音符 | 3拍 | 2拍+1拍 |
| 付点4分音符 | 1拍半 | 1拍+半拍 |
| 付点8分音符 | 4分の3拍 | 半拍+4分の1拍 |
付点4分音符の後に8分音符が続くリズムは、初心者がつまずきやすい形です。「1と2と」と細かく数え、付点4分音符を「1と2」まで伸ばし、次の8分音符を「と」で弾くように整理するとわかりやすくなります。
同じ高さの音符が曲線で結ばれている場合は、タイです。タイで結ばれた後ろの音は弾き直さず、前の音から長さをつなげます。
例えば、4分音符と2分音符がタイで結ばれていれば、合計3拍伸ばします。小節線をまたいでタイが使われることもあるため、小節が変わったからといって自動的に弾き直さないようにしてください。
一方、異なる高さの音を曲線で結ぶスラーは、音を滑らかにつなぐ表現を示します。タイと形が似ていますが、同じ高さの音ならタイ、違う高さの音ならスラーと考えると見分けやすくなります。
休符は、音を鳴らさない時間を表します。
| 休符 | 長さ | ベースでの意識 |
|---|---|---|
| 全休符 | 4拍、またはその小節全体 | 次の入りまで拍を数え続ける |
| 2分休符 | 2拍 | 音を止めたまま2拍待つ |
| 4分休符 | 1拍 | 1拍分を明確に空ける |
| 8分休符 | 2分の1拍 | 裏拍の入りを見失わない |
| 16分休符 | 4分の1拍 | 細かな空白を正確に作る |
ベースの休符は、右手の動きを止めるだけでは不十分です。直前まで鳴っていた弦へ右手や左手で触れ、指定された位置で音を止めます。
休符は「何もしない時間」ではなく、音を切るタイミングを演奏する記号です。音の出だしが合っていても、止める位置がずれるとドラムとの一体感が崩れてしまいます。
例えば、4分音符を弾いた後に4分休符がある場合、2拍目まで音を伸ばすのではありません。1拍目の終わりで音を止め、2拍目を無音にします。そのうえで、3拍目の次の音へ備えます。
休符を練習するときのチェック
- 音を止めた瞬間が拍と合っているか
- 不要な開放弦が共鳴していないか
- 休符中も心の中で拍を数えているか
- 次の音を早く弾いていないか
- 右手と左手のどちらで止めるか決めているか
拍子記号も最初に確認する
拍子記号は、1小節の中にどの音符を基準とした拍がいくつ入るかを表します。分母が基準となる音符、分子が1小節に入る拍の数です。
4分の4拍子なら4分音符を1拍として1小節に4拍、4分の3拍子なら4分音符を1拍として1小節に3拍です。
| 拍子 | 基本的な数え方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 4分の4拍子 | 1・2・3・4 | ポップスやロックでよく使われる |
| 4分の3拍子 | 1・2・3 | ワルツのような3拍子 |
| 2分の2拍子 | 1・2 | 2分音符を基準に大きく感じる |
| 8分の6拍子 | 1・2・3・4・5・6、または大きく2拍 | 3つずつのまとまりを2回感じる |
8分の6拍子は、8分音符が1小節に6個入ります。細かく6つに数えることもできますが、曲によっては「1・2」と大きな2拍で感じます。
8分音符を「1・2・3、4・5・6」と数える場合、1と4へ重心を置くと、大きな2拍の流れを感じやすくなります。すべての音を同じ強さで数えると、6拍子のように平坦に感じることがあるので注意してください。
拍子が変わる曲では、楽譜の途中に新しい拍子記号が書かれます。最初の拍子だけを見て最後まで同じだと思い込まないようにしましょう。
変拍子の曲では、4分の5拍子、8分の7拍子などが使われることもあります。この場合も、まず1小節をどのようなまとまりで感じるのかを確認します。例えば8分の7拍子なら、2+2+3や3+2+2のように分けて数える方法があります。
拍子を理解するときは、分数の計算として覚えるより、実際に足や手で拍を取りながら音源を聴く方が身に付きやすいです。ベースを持つ前に、強く感じる拍がどこにあるか探してみましょう。
強弱と音の切り方
楽譜には、音量や表情を示す強弱記号も書かれています。「p」は弱く、「f」は強く、「cresc.」は次第に強く、「dim.」や「decresc.」は次第に弱くする指示です。
| 記号 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| pp | ピアニッシモ | とても弱く |
| p | ピアノ | 弱く |
| mp | メゾピアノ | やや弱く |
| mf | メゾフォルテ | やや強く |
| f | フォルテ | 強く |
| ff | フォルティッシモ | とても強く |
| cresc. | クレッシェンド | 次第に強く |
| dim.・decresc. | ディミヌエンド・デクレッシェンド | 次第に弱く |
エレキベースの強弱は、アンプの音量だけで表すものではありません。弦を弾く強さ、右手を当てる位置、音の長さ、ミュートの量などを使い分けます。
ピックアップに近い位置を弾くと、比較的丸く太い音になりやすく、ブリッジに近い位置では硬く輪郭のある音になりやすいです。ただし、楽器や弦、アンプ設定でも変わるため、実際の音を聴きながら調整してください。
音符の上や下に点が付くスタッカートは、音を短く切る指示です。短くするといっても、音価を機械的に半分へするとは限りません。曲調やテンポに合う長さを考えます。
横線が付くテヌートは、音価を十分に保つ、またはその音を少し大切に演奏する指示です。「>」のアクセントは、その音を周囲よりはっきり強調します。
「sfz」や「sf」は、その音を急に強く目立たせる指示として使われます。ベースで強調するときは、単に力任せに弾くのではなく、タイミングを正確に合わせ、音の立ち上がりを明確にすることが大切です。
強く弾くほどよい演奏になるわけではありません。必要以上に力を入れると、弦がフレットへ強く当たり、音程や音色が不安定になる場合があります。楽譜の強弱は、周囲の音との相対的な差として考えましょう。
奏法記号と反復記号
TAB譜には、ベース特有の奏法を示すアルファベットや記号が使われます。ただし、表記方法は譜面によって違うため、次の表は一般的な目安として確認してください。
| 表記例 | 奏法 | 意味 | 演奏のポイント |
|---|---|---|---|
| h、H | ハンマリング・オン | 右手で弾き直さず、左手で高い音を鳴らす | 指を素早くフレットへ打ち下ろす |
| p、P | プリング・オフ | 左手で弦を引っかけ、低い音へ移る | 指を真上へ離さず、軽く弦をはじく |
| / | スライドアップ | 高いフレット方向へ指を滑らせる | 押さえる力を保ったまま移動する |
| \ | スライドダウン | 低いフレット方向へ指を滑らせる | 終了音まで途切れないようにする |
| x、× | デッドノート | 音程を消し、打楽器のように鳴らす | 複数の指で軽く触れると安定しやすい |
| 〜 | ビブラート | 音程を細かく揺らす | 曲調に合う速さと幅で揺らす |
| S、T、Thumb | スラップ | 親指で弦を叩く | 表記の凡例を確認する |
| P、Pop | プル | 指で弦を引っ張って鳴らす | 弦を強く引き上げすぎない |
| P.M. | パームミュート | 右手の手のひらで弦を抑える | ブリッジ付近へ軽く触れる |
| let ring | 音を伸ばす | 次の音まで止めずに響かせる | 不要な弦だけはミュートする |
例えば「3h5」と書かれていたら、3フレットを弾いた後、右手で弾き直さずに5フレットを左手で押さえます。5フレットへ置く指が弱いと、2音目の音量が小さくなるため、フレットの近くへ素早く指を打ち下ろします。
「5p3」なら、5フレットから3フレットへプリング・オフします。5フレットの指を単に上へ離すだけでは音が鳴りにくいため、弦をわずかに引っかけるように離します。
ハンマリングとプリングを連続して行うと、右手で毎回弾かなくても滑らかなフレーズを作れます。ただし、左右の音量差が大きいとフレーズが不自然になるため、ゆっくりしたテンポで均一な音量を目指してください。
「3/5」は、3フレットを鳴らした状態から5フレットまで指を滑らせるスライドです。開始音と終了音の両方を確認し、途中で音が途切れないように演奏します。
開始位置や終了位置が指定されていないスライド記号もあります。低い位置から目的音へ入る、目的音から低い方向へ抜けるなど、装飾的な効果として使われます。
ビブラートは、押さえた音を細かく揺らす奏法です。ギターのように大きくチョーキングするのではなく、ベースでは指板上で指を前後へ動かして揺らす方法も使われます。
スラップ奏法では、親指で弦を叩くサムピングと、人差し指や中指で弦を引き上げるプルを組み合わせます。譜面によって「T」「S」「P」などの表記が異なるため、凡例の確認が欠かせません。
「P」はプリング・オフを表すこともあれば、スラップ奏法のプルを表すこともあります。「T」も親指のスラップ、タッピング、右手の指番号など、譜面によって意味が異なります。周囲の音や譜面の凡例を見て判断してください。
ナチュラルハーモニクスは、弦をフレットへ押し付けず、特定の位置へ軽く触れて倍音を鳴らす奏法です。ひし形の音符や「Harm.」などで示される場合があります。
タッピングは、右手の指で指板上の弦を押さえるようにして音を出す奏法です。「T」や「Tap」などで示されますが、スラップの表記と重なる場合があるため、やはり譜面ごとの確認が必要です。
曲の進行を示す記号
楽譜には、音符だけでなく、どこを繰り返し、どこへ戻り、どこで終わるかを示す記号があります。これらを反復記号や演奏順序記号と呼びます。
リピート記号は、囲まれた範囲を繰り返す指示です。終止線の内側に点が2つ付いた記号まで進んだら、対応する開始位置へ戻ります。
開始側のリピート記号が省略されている場合は、曲の先頭から繰り返すことがあります。どこへ戻るかわからないときは、譜面の最初やセクションの区切りを確認してください。
1番括弧と2番括弧がある場合、1回目は1番括弧へ進み、繰り返した後は1番括弧を飛ばして2番括弧へ進みます。
| 表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| D.C. | ダ・カーポ | 曲の先頭へ戻る |
| D.S. | ダル・セーニョ | セーニョ記号へ戻る |
| Fine | フィーネ | 指定された演奏順でここへ来たら終了する |
| To Coda | トゥ・コーダ | 指定された演奏順でコーダへ移動する |
| D.C. al Fine | ダ・カーポ・アル・フィーネ | 先頭へ戻り、Fineで終了する |
| D.S. al Coda | ダル・セーニョ・アル・コーダ | セーニョへ戻り、To Codaからコーダへ進む |
D.C.は曲の先頭へ戻る指示です。D.S.は、楽譜内にあるセーニョ記号へ戻ります。セーニョは、斜線や点が付いた独特の記号です。
Fineは終了地点です。ただし、最初にFineを通過したときには終わらず、D.C.やD.S.で戻った後にFineで終了する場合があります。
コーダは、曲の終盤へ移動するための特別な区間です。D.S.やD.C.で戻った後、To Codaの場所からコーダ記号の位置へ移ります。
演奏順を迷わないための準備
- リピートの開始位置と終了位置を線で結ぶ
- D.S.から戻るセーニョへ印を付ける
- To Codaとコーダを同じ色で囲む
- 1番括弧と2番括弧の進み方を確認する
- 最終的にFineで終わるのか、コーダで終わるのか確認する
音符を正確に読めていても、リピート記号やD.S.を見落とすと曲全体の演奏順がずれます。練習を始める前に、どこからどこへ移動するのかを鉛筆などで整理しておくと安心です。
バンド練習では、「Aメロを2回」「サビから戻る」「最後はコーダ」といった会話がよくあります。楽譜上の記号と曲のセクション名を結び付けておくと、メンバーとの確認もスムーズになります。
楽譜を練習に生かすコツ
エレキベース楽譜は、眺めて暗記するだけではなかなか読めるようになりません。短い範囲を実際に弾き、リズム、音の位置、音の長さを一つずつ分けて確認することが上達への近道です。
初心者がつまずきやすいのは、楽譜を読めないことそのものより、複数の作業を同時に行おうとすることです。音符を読み、TAB譜を見て、左手を動かし、右手で弾き、音源も聴く。これだけの作業を一度に行えば、混乱するのは自然なことですよ。
そこで、練習では「読む」「数える」「押さえる」「鳴らす」を分けます。各作業を単独でできるようにしてから組み合わせると、間違いの原因を見つけやすくなります。
独学で練習する場合は、楽譜の読み方と基礎フレーズを順番に学べる教材を使うと、何から始めるか迷いにくくなります。初心者向けのベースレッスン教材を選ぶポイントも確認してみてください。
無料楽譜と著作権の注意
インターネット上には、無料で閲覧できるエレキベース楽譜やTAB譜があります。ただし、無料だからといって、すべてが正確で正規に公開されているとは限りません。
無料TAB譜は、耳で音を取った利用者が作成している場合があります。採譜者によって音程、リズム、使用する弦、チューニングなどが異なり、原曲とは違う演奏位置が書かれていることもあります。
簡単に演奏できるよう、一部の音を省略した初心者向けアレンジもあります。これは必ずしも間違いではありませんが、原曲を忠実に再現したい場合は、楽譜の種類や説明を確認する必要があります。
楽譜を入手するときは、次の点を確認してください。
| 確認項目 | 見るポイント | 合わない場合に起きること |
|---|---|---|
| 楽器編成 | エレキベース用のパートがあるか | ギター用TAB譜を誤って使う可能性がある |
| 弦数 | 4弦用か5弦用か | 出せない低音が含まれる場合がある |
| 譜面形式 | 五線譜、TAB譜、リズム表記があるか | 演奏位置やリズムを判断できない |
| チューニング | 標準、ドロップD、半音下げなど | 同じフレットでも音が合わない |
| 曲の版 | スタジオ版、ライブ版、初心者向け版 | 小節数やフレーズが一致しない |
| 曲構成 | イントロからアウトロまで収録されているか | 一部分しか練習できない |
| 奏法記号 | 記号の凡例や注釈があるか | 奏法を誤って解釈する可能性がある |
| 出版元 | 出版社や権利者が明示されているか | 正確性や利用条件を確認しにくい |
同じ曲名でも、原曲版、ライブ版、短縮版、初心者向けアレンジでは、ベースラインや小節数が違うことがあります。「譜面と音源が合わない」と感じたら、まず同じバージョンを見ているか確認しましょう。
無料の楽譜を使う場合は、原曲を聴きながら音程やリズムを確認することも大切です。明らかに音がぶつかる、フレーズの入りが合わない、チューニングを合わせても音が違う場合は、譜面側に誤りがある可能性もあります。
著作権のある楽曲の楽譜を、権利者の許可なく複製したり、不特定多数へ公開したりすることには注意が必要です。個人的な練習のための利用と、ウェブ上での公開や再配布では扱いが異なります。
JASRACの公式解説では、個人的または家庭内など限られた範囲で本人が行う私的使用のための複製には例外規定がある一方、違法に公開されたものと知りながらダウンロードする場合などは、私的使用でも違法となる場合があると説明されています。
安心して練習するためにも、出版社、楽譜配信サービス、アーティスト、権利者が案内している正規の楽譜を選ぶ方が確実です。正規の譜面には、リズム、奏法記号、曲構成などが整理されているものも多く、結果として練習時間を短縮できる場合があります。
無料楽譜を利用するときは、掲載元の利用条件や権利表示を確認してください。著作権や利用範囲について判断できない場合は、無断で再配布や公開をせず、権利者や公式窓口へ確認しましょう。個別のケースに関する法的判断が必要な場合は、著作権に詳しい専門家へ相談してください。
楽譜の一部分を撮影してSNSへ載せる、楽譜データを友人へ送る、共有フォルダへアップロードするといった行為も、単なる自分用の練習とは異なります。購入した楽譜であっても、自由に再配布できるわけではありません。
一方で、著作権の保護期間が終了している作品や、権利者が明確な条件で公開している楽譜もあります。その場合でも、編曲された楽譜、浄書、編集、レイアウトなどに別の権利が関わる可能性があるため、配布元の条件を確認してください。
楽譜を効率よく練習する手順
最初に、チューニング、拍子、テンポ、調号、曲構成、リピート記号を確認します。その後、楽器を持たずにリズムだけを手拍子や声で読みます。
いきなり原曲のテンポで弾く必要はありません。最初は、音符と休符を正確に数えられる速度まで落とします。テンポを半分程度にしても難しい場合は、メトロノームを使わず、声だけでゆっくり数えて構いません。
1~2小節を仕上げる基本手順
- 小節内の拍数を確認する
- 音符と休符を声に出して数える
- TAB譜の弦とフレット番号を確認する
- 左手だけで押さえる順番を練習する
- 開放弦で右手のリズムを練習する
- 左右の手を組み合わせる
- 音を止める場所を確認する
- メトロノームに合わせる
- 音源と一緒に弾く
リズムが確認できたら、TAB譜の弦とフレット番号を見て、1〜2小節ずつ弾きます。いきなり曲の最初から最後まで通そうとせず、短い範囲を正確につなげていきましょう。
難しいフレーズでは、1小節より短く区切っても構いません。2拍ずつ、1拍ずつ、場合によっては2音ずつまで分解します。小さなまとまりを弾けるようにしてから、前後をつなぎます。
音程とタイミングが合った後は、休符、スタッカート、タイ、let ringなどを確認します。音を出す瞬間だけでなく、音を終える瞬間まで含めて一つの演奏です。
次に、運指を決めます。毎回違う指で弾いていると、成功するときと失敗するときの違いがわかりにくくなります。楽譜へ指番号を書き込み、できるだけ同じ運指で繰り返してください。
ポジション移動がある場合は、移動する瞬間だけを抜き出して練習します。移動前の音、移動後の音、その2音だけを往復すると、手が移動距離を覚えやすくなります。
最後に、遅いテンポから少しずつ原曲の速さへ近づけます。速く弾いたときだけ間違える場合は、まだ指が覚えていない場所や、リズムを曖昧にしている場所が残っている可能性があります。
| 練習中の症状 | 考えられる原因 | 見直すポイント |
|---|---|---|
| 原曲と音が合わない | チューニングや音源の版が違う | 譜面冒頭と使用音源を確認する |
| 速くすると間違える | 運指やリズムが定着していない | 短い範囲へ戻り、テンポを下げる |
| 音が途切れる | 左手の移動が早すぎる | 前の音の長さを確認する |
| 休符で音が残る | ミュートができていない | 左右どちらの手で止めるか決める |
| 拍からずれる | 弾くことだけに集中している | 手拍子と声でリズムを確認する |
| 不要な弦が鳴る | 使わない弦へ触れていない | 右手の親指や左手でミュートする |
メトロノームを使う場合は、最初から速いテンポへ設定しないようにしましょう。連続して数回成功できるテンポから始め、2~5BPMずつ上げる方法が使いやすいです。
一度だけ偶然弾けた状態ではなく、同じ場所を数回続けて弾けたらテンポを上げます。テンポを上げて崩れた場合は、すぐに元へ戻します。速さを競うより、正しい動きを繰り返す方が結果的に近道です。
録音も効果的です。演奏中は指の動きに集中しているため、音の長さ、リズムのずれ、不要な弦の共鳴に気付きにくいことがあります。スマートフォンなどで短く録音し、楽譜を見ながら聴き直してみてください。
楽譜へ書き込みをするのもおすすめです。難しい小節を囲む、ポジション移動へ矢印を付ける、休符へ「止」と書くなど、自分が演奏しやすい目印を加えます。
ただし、書き込みが多すぎると譜面が見づらくなります。最初からすべてへ指番号を書くのではなく、間違えやすい場所や移動が必要な場所へ絞るとよいでしょう。
◆音高卒バンドマンのワンポイント
練習でつまずいたら、音程とリズムを同時に直そうとしないのがコツです。私はまず手拍子だけ、次に左手の位置だけ、最後に音の長さを整えるようにしています。作業を分けると、どこで間違えているのか見つけやすいですよ。
エレキベース楽譜のよくある質問
Q1. エレキベースはTAB譜だけでも弾けますか?
A. 簡単な曲であれば、TAB譜だけでも弾けます。TAB譜を見れば、使用する弦とフレット番号を確認できるため、五線譜の音名がまだわからなくても演奏を始められます。
ただし、数字だけのTAB譜ではリズム、音の長さ、休符、強弱が省略されていることがあります。長期的には、4分音符、8分音符、休符、タイなども並行して覚えると、対応できる曲が増えます。
Q2. 五線譜とTAB譜はどちらから覚えるべきですか?
A. 最初はTAB譜で弦とフレット位置を覚えながら、五線譜に書かれた音符と休符の長さを並行して読む方法がおすすめです。
その後、E・A・D・Gの開放弦を基準に、ヘ音記号の音名を少しずつ覚えていきましょう。TAB譜と五線譜を対立するものとして考えるのではなく、互いの不足を補うものとして使うと理解しやすくなります。
Q3. TAB譜の数字はどの指で押さえればよいですか?
A. TAB譜の数字はフレット番号であり、指番号ではありません。前後の音、手の大きさ、ポジション移動に合わせて、人差し指から小指までを使い分けます。
運指が指定されている場合は、TAB譜の数字とは別の小さな数字や注釈で示されます。特に指定がない場合は、無理に1フレット1フィンガーへこだわらず、手首や指へ負担が少ない運指を選びましょう。
Q4. 楽譜どおりに弾いても原曲と音が合わないのはなぜですか?
A. ドロップDや半音下げなどのチューニング、原曲とライブ版の違い、初心者向けアレンジ、移調、採譜ミスなどが考えられます。
まず譜面のチューニング表記と、参考にしている音源のバージョンを確認してください。動画サイトの再生速度や音源のピッチが変更されている場合もあるため、別の公式音源でも確認すると原因を絞り込みやすくなります。
Q5. 楽譜が読めなくてもエレキベースは演奏できますか?
A. 耳で覚える、演奏動画を見る、TAB譜を使うといった方法でも演奏できます。実際に、音源を繰り返し聴きながらフレーズを覚える人もいます。
ただし、楽譜を少しずつ読めるようになると、曲の構成、休符、音の長さ、コード進行を共有しやすくなり、バンド練習でも意思疎通がしやすくなります。すべてを完璧に読める必要はないので、現在の練習に必要な範囲から覚えてください。
Q6. TAB譜の上下をすぐ間違えてしまいます。覚え方はありますか?
A. TAB譜の一番下が最も低いE弦、一番上が最も高いG弦と覚えましょう。低い音が譜面の下、高い音が譜面の上にあると考えると、五線譜の感覚とも結び付きます。
慣れるまでは、TAB譜の左側へ「G・D・A・E」と書き込んでも構いません。毎回確認しているうちに、自然に見分けられるようになります。
Q7. 音符の長さと休符の位置を同時に読むのが難しいです。
A. 最初からベースを弾きながら読もうとせず、手拍子と声だけで練習してください。音符の場所で手をたたき、休符では手を止めます。
リズムだけを正確にできたら、開放弦で同じリズムを弾きます。最後にTAB譜のフレット番号を加えると、処理する情報を減らせます。
Q8. 無料のTAB譜は使わない方がよいですか?
A. 無料だから必ず問題があるとは限りませんが、正確性、公開元、利用条件、著作権表示を確認する必要があります。
練習に使う場合は原曲と照らし合わせ、音程やリズムが合っているか確認してください。再配布やウェブ上での公開は、自分用の閲覧とは別の行為になるため、掲載元や権利者の条件に従いましょう。
エレキベース楽譜のまとめ
エレキベース楽譜は、最初からすべての音名や記号を暗記しなくても演奏へ生かせます。まずはTAB譜で弦とフレット位置を確認し、音符と休符でタイミングや長さを読むところから始めましょう。
TAB譜の数字だけを追えば、押さえる場所はわかります。しかし、ベースラインを音楽として成立させるためには、拍子、リズム、休符、音を切る位置、曲の演奏順も欠かせません。
- TAB譜の一番上はG弦、一番下はE弦
- TAB譜の数字は指番号ではなくフレット番号
- 数字の横幅だけでリズムを判断しない
- 音符と休符の長さを声に出して数える
- 演奏前に標準、ドロップD、半音下げなどのチューニングを見る
- 五線譜はE・A・D・Gの開放弦を基準に覚える
- 同じ高さの音を複数の弦で出せる場合がある
- タイ、リピート記号、奏法記号を少しずつ増やす
- 休符では弦をミュートし、音を止める位置まで演奏する
- 楽譜は1〜2小節単位で、遅いテンポから練習する
- 無料楽譜は正確性、掲載元、利用条件を確認する
- 公開や再配布をするときは著作権へ注意する
楽譜が完璧に読めなくても、リズムと音の位置を理解するだけで練習効率は上がります。最初は読めない記号が多くても、実際の曲で一つずつ確認していけば大丈夫です。
今日はTAB譜の上下だけ、次は4分音符と8分音符、その次は休符というように、覚える内容を小さく区切ってみてください。知らない記号が出てきたときに調べる習慣を付ければ、演奏できる曲と読める楽譜が少しずつ増えていきます。
あなたが今練習している曲では、フレット番号だけでなく、音を止める位置まで読めているでしょうか。次に楽譜を開くときは、まず拍子、チューニング、休符の3つから確認してみてください。

