クラリネットマウスピースおすすめ|初心者向け選び方を解説

クラリネットのマウスピースとリード、リガチャーを大きく配置し、「クラリネットマウスピースおすすめ|初心者向け選び方を解説」を表現したアイキャッチ画像。 クラリネット
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クラリネットのマウスピース(マッピ)を交換したいと思っても、「5RVと5RVライヤーは何が違う?」「B40は初心者でも使える?」「リードは今のままでいい?」など、選ぶときに迷うポイントは多いですよね。

クラリネットのマウスピースは、有名なモデルや値段の高いモデルを選べば必ず吹きやすくなるわけではありません。大切なのは、ティップオープニングやフェイシングだけでなく、リードやリガチャーまで含めて考えることです。

この記事では、一般的な吹奏楽やクラシックで使われるB♭クラリネット用を中心に、初心者が知っておきたいマウスピースの違いと選び方を解説します。特にバンドーレンの5RV、5RV Lyre(5RVライヤー)、B40、B40 Lyre(B40ライヤー)を中心に、リードとの組み合わせや値段、試奏するときのポイントまで整理します。

  • クラリネットのマウスピースを替えると何が変わるのか
  • 5RV・5RVライヤー・B40・B40ライヤーの違い
  • 5RVライヤーに合わせるリードとリガチャーの考え方
  • 初心者がマウスピースを選ぶときの基準
  • 値段や仕様を確認するときの注意点
  • 購入前に試奏で確認したいポイント

最初に結論をいえば、マウスピースはモデル名だけでなくリードとの組み合わせまで含めて選ぶことが大切です。「初心者だから必ず5RV」「高いマウスピースだから必ず良い」と決めるのではなく、現在使っているマウスピースを基準に、自分が変えたい部分を明確にして比較していきましょう。

クラリネットマウスピースで変わること

クラリネットでは、マウスピースに取り付けたリードが息によって振動し、その振動が音につながります。マウスピースは音を出す仕組みの入り口にあたる重要な部分です。クラリネットと同じシングルリード方式を含む木管楽器の発音方法については、木管楽器の発音方式を比較した記事でも詳しく整理しています。

そのため、同じクラリネット本体を使っていても、マウスピースを交換すると息を入れたときの抵抗感、音の立ち上がり、音色、音量、タンギングの反応などに違いが生まれます。

「楽器本体は同じなのだから、マウスピースを替えてもそれほど変わらないのでは?」と思うかもしれません。しかし、リードが実際に振動する場所に関わる部品なので、マウスピースの設計が変われば吹奏感にも影響します。

一方で、マウスピースだけですべてが決まるわけでもありません。

同じマウスピースでも、取り付けるリードの硬さや種類が変われば抵抗感は変わります。リガチャーもリードを固定する部品なので、組み合わせによってレスポンスなどの印象が変わります。そして最終的には、奏者の息やアンブシュアとの相性があります。

マウスピース交換は、単純な「高級品へのグレードアップ」ではありません。今より自分に合う吹奏感や音色を探すための調整として考えると、選ぶ目的が明確になります。

たとえば、今のマウスピースで「息を入れても詰まる感じがする」と感じている人と、「抵抗が少なすぎて音をまとめにくい」と感じている人では、探す方向が違います。

「もっと大きな音がほしい」「弱音をコントロールしやすくしたい」「タンギングの反応を変えたい」など、マウスピースを交換したい理由を先に整理しておくことが大切です。

目的が曖昧なまま「有名だから」「先輩が使っているから」「おすすめランキングで上位だから」という理由だけで交換すると、自分にとっては以前より吹きにくくなる可能性もあります。

マウスピース選びで重要な3要素

初心者がマウスピースを比較するときは、まずティップオープニング、フェイシング、リードとの組み合わせを確認しましょう。

ティップオープニングとは

ティップオープニングとは、マウスピース先端とリード先端の間にできる開きのことです。

数値が小さいものは「狭い」「クローズ」、数値が大きいものは「広い」「オープン」などと表現されます。

一般的には、開きの狭いマウスピースには比較的硬めのリード、開きの広いマウスピースには比較的柔らかめのリードを組み合わせる傾向があります。

ただし、「ティップオープニングが何mmならリードは必ず何番」という単純な対応ではありません。フェイシングやリードの設計、奏者の息やアンブシュアによっても適した組み合わせが変わるからです。

フェイシングとは

フェイシングは、リードとマウスピースが離れ始める位置から先端までのカーブに関係する設計です。

フェイシングの長さやカーブが異なると、抵抗感、レスポンス、音色、コントロール性なども変化します。

ここはマウスピースを比較するときに見落としやすいポイントです。

たとえばティップオープニングが近い2本があったとしても、フェイシングが違えば吹いたときの感覚まで同じとは限りません。

「開きの数値が近い=吹奏感も同じ」ではありません。ティップオープニングだけでなく、フェイシングもセットで確認しましょう。

リードとの組み合わせ

マウスピースを交換するときに忘れやすいのが、リードの見直しです。

それまで使っていたマウスピースと新しいマウスピースでは、ティップオープニングやフェイシングが異なる場合があります。その状態で同じリードをそのまま取り付けると、新しいマウスピースに対してリードが硬すぎたり、反対に柔らかすぎたりする可能性があります。

その結果、本来は自分に合う可能性のあるマウスピースなのに、「息が入らない」「音がつぶれる」と判断してしまうことも考えられます。

マウスピースを比較するときは、メーカーが示している推奨リード強度をひとつの基準にしながら、自分が無理なく息を入れられる組み合わせを探すことが重要です。

初心者は定番モデルから比べよう

初めて付属マウスピースから交換する場合、極端な設計のモデルをいきなり選ぶよりも、比較しやすい定番モデルから候補を絞る方法があります。

たとえばバンドーレンなら5RVや5RVライヤー、ヤマハなら4Cなどが候補になります。

ただし、ここで注意したいのは「初心者なら必ずこの1本」という絶対的な正解はないことです。

まず、今使っているマウスピースで何を変えたいのか考えてみましょう。

  • 息を入れたときに詰まる感じがする
  • 抵抗が少なすぎると感じる
  • 音をまとめやすくしたい
  • もう少し息を使えるマウスピースにしたい
  • 弱音から強音までコントロールしやすくしたい
  • タンギングの反応を見直したい

このように「現在の不満」を具体的にすると、何を比較すればよいのかが見えてきます。自分だけでは息の使い方や抵抗感との関係を判断しにくい場合は、クラリネットをレッスンで学べるEYS音楽教室のように、実際に演奏しながら相談できる環境を利用する方法もあります。

逆に、「クラリネットが上手くなってきたから高いマウスピースへ替える」という考え方だけでは、交換する目的が曖昧です。

価格の高いモデルでも、自分の息やリードとの相性が合わなければ吹きにくく感じることがあります。初心者ほど価格や知名度だけでなく、実際の吹きやすさを重視して比較しましょう。

バンドレン主要モデルの違い

クラリネットのマウスピースを探していると、バンドーレンの5RV、5RVライヤー、B40、B40ライヤーといったモデルを目にすることがあります。

名前だけを見ると、「5RVライヤーは5RVの上位版?」「B40ライヤーはB40より開いている?」と考えてしまうかもしれません。しかし、単純な上下関係ではなく、それぞれティップオープニングやフェイシングが異なるモデルです。

モデル ティップオープニング フェイシング
5RV 1.065mm Medium Short
5RV Lyre 1.091mm Medium
B40 Lyre 1.175mm Long
B40 1.195mm Medium Long

ティップオープニングの数値だけを小さい順に並べると、5RV、5RVライヤー、B40ライヤー、B40となります。

しかし、表を見るとフェイシングもそれぞれ異なっていることがわかります。そのため、この順番をそのまま「吹きやすい順」「初心者向けの順」と考えることはできません。

5RVと5RVライヤーを比較

5RVはティップオープニング1.065mm、フェイシングはMedium Shortです。

比較的狭いティップオープニングを持ち、長年使われている定番モデルです。レスポンスやコントロール性を考えながら、バンドーレンのマウスピースを選びたい人にとって比較候補になります。

5RV Lyre(5RVライヤー)はティップオープニングが約1.091mmで、フェイシングはMediumです。

5RVと比べるとティップオープニングが大きく、フェイシングも長い設計です。

つまり、「5RV」という名前が共通していても、同じ設計ではありません。

5RVは1.065mm/Medium Short、5RVライヤーは約1.091mm/Mediumです。モデル名だけでなく、この設計の違いを確認して比較しましょう。

5RVは比較的コンパクトな設計から考えたい場合の候補になります。5RVライヤーは、5RVより少し開きがあり、フェイシングも長いモデルを探している場合の比較候補です。

5RVライヤーについて「初心者には難しいのでは?」と心配する人もいるでしょう。

確かに、同じリードを付けて5RVから5RVライヤーへ替えれば、設計の違いによって抵抗感の印象が変わる可能性があります。しかし、5RVライヤー自体も学生や初心者が検討するモデルとして扱われています。

したがって、「初心者だから5RVライヤーは使えない」と決める必要はありません。

重要なのは、リードの強度も含めて比較することです。

5RVで吹きやすかったリードをそのまま5RVライヤーへ取り付けた結果、少し重く感じたとしても、それだけでマウスピースが合わないとは限りません。リードを含めて条件を調整しながら判断しましょう。

B40とB40ライヤーの特徴

B40はティップオープニング1.195mm、フェイシングはMedium Longです。

5RVや5RVライヤーと比較すると、ティップオープニングは広くなっています。また、B45と同じフェイシングを採用しながら、ティップレールを広くした設計で、メーカーではコンパクトで芯のある音という方向性が示されています。

B40を見ると「開きが大きいから上級者向けなのでは?」と思うかもしれません。

しかし、ティップオープニングの数値だけで演奏レベルを決めることはできません。B40では5RV系より柔らかい方向のリードが推奨されているため、マウスピースとリードをセットで考える必要があります。

B40ライヤーはティップオープニング1.175mm、フェイシングはLongです。

メーカーでは、丸い音と豊かな音色、高音域での吹きやすさといった方向性が示されています。

数値だけを見ると、B40ライヤーの1.175mmはB40の1.195mmより狭くなっています。

しかし、B40ライヤーのフェイシングはLong、B40はMedium Longです。そのため「B40ライヤーのほうが数字が小さいから簡単」とは断定できません。

「開きが広い=上級者用」とは限りません。開きに合ったリードを選び、フェイシングも含めて判断することが重要です。

特に5RV系からB40へ比較対象を広げる場合、同じ硬さのリードだけで判断しないようにしましょう。

5RVとB40ではメーカー推奨のリード強度にも違いがあります。マウスピースの違いを確認したいのに、リードが硬すぎることで必要以上に抵抗を感じてしまえば、公平な比較が難しくなります。

試奏するときは、モデルごとの推奨範囲を確認しながら複数のリードを用意すると判断しやすくなります。

5RVライヤーに合う組み合わせ

5RVライヤーを検討している人が特に迷いやすいのが、リードとリガチャーです。

マウスピースを交換したのに、リードやリガチャーについては以前とまったく同じ条件で比較すると、「思っていたより吹きにくい」と感じることがあります。

特にリードはマウスピースとの関係が深いため、5RVライヤーを選ぶときは一緒に考えておきたいポイントです。

5RVライヤーに合うリード

5RVライヤーについて、バンドーレンが示している推奨リード強度は次のとおりです。

リード メーカー推奨強度
Vandoren Traditional 3~4
Vandoren V12 3½~4
Vandoren 56 rue Lepic 3.5~4
Vandoren V21 3.5~4

ここで注意したいのは、メーカー推奨範囲を「この数字以外は使用できない」という意味で受け取らないことです。

同じ「3」という表示でも、リードのメーカーやシリーズが違えば吹奏感まで完全に同じではありません。また、同じ5RVライヤーでも、奏者の息やアンブシュアによって適した硬さは変わります。

初心者の場合、硬いリードを付けたときに息が詰まる、音が出にくいと感じるなら、柔らかい方向も比較する価値があります。

反対に、音が開きすぎる、強く息を入れると音がつぶれる、ピッチや音色を安定させにくいと感じる場合には、少し硬い方向を試して違いを確認する方法もあります。

つまり、推奨表はスタート地点として便利ですが、最後は実際に吹いて調整します。

リードの硬さは演奏技術のランクではありません。硬いリードを使えることを目標にするのではなく、マウスピースと自分に合った硬さを選びましょう。

5RVライヤーにTraditionalを組み合わせる場合でも、「3でなければ初心者」「3½を使えれば上級者」という考え方は適切ではありません。

リードの目的は、自分の息を適切に振動へ変えて、必要な音をコントロールできる状態を作ることです。

無理に硬いリードを使い続けて息が入らなかったり、口に余計な力が入ったりするのであれば、数字にこだわる意味はありません。

逆に柔らかすぎて強く吹いたときにコントロールしにくいのであれば、別の強度を比較します。

また、新しいマウスピースを試奏するときは、リードの状態にも注意しましょう。使い込んだリードは状態が変化しています。複数のマウスピースを比較するなら、できるだけリードの条件もそろえたほうが違いを把握しやすくなります。

5RVライヤーに合うリガチャー

リガチャーは、リードをマウスピースへ固定する部品です。

まず重要なのは、マウスピースに物理的に適合し、リードを適切に固定できることです。そのうえで、レスポンスや抵抗感、アーティキュレーションなどの違いを比較します。

5RVライヤーで使用される組み合わせとしては、Vandoren OPTIMUMやM|Oなどが挙げられます。そのほかにもB♭クラリネット用として適合する各社のリガチャーがあります。

ただし、「5RVライヤーなら必ずこのリガチャー」という唯一の正解がメーカーによって決められているわけではありません。

リガチャーは素材や構造、仕上げによっても感触が変わるため、最終的にはマウスピースと使用予定のリードを組み合わせて確認する必要があります。

リガチャーを比較するときは、できるだけマウスピースとリードを固定して、リガチャーだけを替えてみましょう。マウスピース、リード、リガチャーを一度に全部変更すると、何によって吹奏感が変わったのか判断しにくくなります。

すでに手持ちのリガチャーがある場合は、新しいマウスピースへ物理的に適合するかを最初に確認してください。

取り付けられるように見えても、締め付ける位置やリードの固定状態に無理があるなら、適切な組み合わせとはいえません。

リガチャーについても「高価なものほど良い」と考えるのではなく、必要な固定ができること、自分が求めるレスポンスを得られることを基準にしましょう。

初心者向けマウスピースの選び方

クラリネットのマウスピース選びでは、「おすすめ」という言葉だけで決めるより、自分が何を求めているのかを順番に確認することが大切です。

まず確認するのは対象楽器です。

B♭クラリネット、E♭クラリネット、アルトクラリネット、バスクラリネットなどでは、使用するマウスピースが異なります。

「5RV」「B40」といったモデル名だけを見て購入せず、必ずB♭クラリネット用など対象楽器を確認してください。

そのうえで、現在使用しているマウスピースを基準に考えます。

現在のマウスピースで特に不満がないのであれば、単に高価なものへ交換する必要があるとは限りません。

一方、「息をもっと入れたい」「反応を変えたい」「抵抗感を見直したい」など明確な目的があるなら、その違いを基準に候補を探せます。

初心者が比較候補にしやすいモデルとしては、バンドーレンの5RV、5RVライヤーのほか、ヤマハ4Cなどがあります。

ヤマハ4CはB♭/Aクラリネット用で、ティップオープニング1.05mm、フェイシング19mmのスタンダードシリーズです。

同じヤマハにはカスタムシリーズの4CMもあり、B♭/Aクラリネット用4CMはティップオープニング1.05mm、フェイシング21mmです。

この例からもわかるように、ティップオープニングが同じ1.05mmでも、フェイシングが異なるモデルがあります。

「数字が同じだから同じ」と判断せず、設計全体を見ることが重要です。

値段と仕様を確認して選ぶ

クラリネット用マウスピースの値段は、ブランド、シリーズ、素材、仕様、販売店、時期などによって変わります。

ヤマハのB♭/Aクラリネット用スタンダード4Cは、希望小売価格5,500円(税込)。カスタムシリーズの4CM・5CM・6CMは、各12,650円(税込)です。

バンドーレンの5RV、5RVライヤー、B40、B40ライヤーなどについては、2026年の国内楽器店で19,580円(税込)で掲載されている例があります。

ただし、これは固定価格ではありません。販売店や購入時期によって価格が変わる可能性があるため、実際に購入するときはその時点の価格を確認してください。

さらに、同じモデル名でも仕様違いがあります。

Traditional BeakとProfile 88

バンドーレンにはTraditional BeakとProfile 88があります。

両者の主な違いは、ビークと呼ばれる口を当てる外側部分の角度です。

Profile 88という名称を見て、「通常モデルとはティップオープニングも違う」と思わないようにしましょう。

モデルを選んだあと、ビークの仕様まで確認する必要があります。

13 Series

13 Seriesは、A=440Hzを使用する奏者向けに開発されたシリーズです。

5RV、5RVライヤー、B40などにも13 Series Profile 88仕様があります。

通販では商品名にモデル名だけが目立って表示されている場合も考えられるため、「5RVだから同じ」「B40だから同じ」と判断せず、型番やシリーズ表記まで確認すると間違いを防ぎやすくなります。

High Density仕様

2026年時点では、B40やB40ライヤーなどにHigh Density Ebonite仕様もあります。

High Densityは高密度エボナイトを使用した仕様で、通常モデルとは素材や型番、価格が異なる別製品として考える必要があります。

たとえばB40 High Densityには、ティップオープニング1.195mm、Medium Longの仕様があります。B40ライヤーHigh Densityには1.175mm、Longの仕様があります。

通常モデルと開きの数値が同じであっても、同一商品という意味ではありません。

通販ではモデル名だけでなく型番と仕様まで確認してください。Traditional Beak、Profile 88、13 Series、High Densityなどを取り違えないことが重要です。

中古品を検討する場合も、価格だけで判断しないようにしましょう。

マウスピースではティップ、レール、テーブルなどが重要です。落下などによって先端部分が傷ついている場合、演奏に影響する可能性があります。

衛生面も含め、新品とは違った確認が必要です。

本格的なクラリネット用マウスピースではエボナイト(硬質ゴム)が広く使われています。一方、入門用では樹脂製マウスピースも一般的です。

素材の価格だけで優劣を決めるのではなく、マウスピースそのものの設計と自分との相性を重視しましょう。

試奏で確認したいポイント

可能であれば、マウスピースは購入前に試奏して比較したいところです。

スペック表を見ればティップオープニングやフェイシングはわかりますが、自分の息やアンブシュアとの相性までは数値だけでは判断できません。

試奏するときに大切なのは、条件をできるだけそろえることです。

同じクラリネット、同じ種類のリード、同じリガチャーなどを使い、マウスピースだけを変更すれば、違いを把握しやすくなります。

ただし、ティップオープニングが大きく異なるモデルを比較する場合には、同じリード強度が必ずしも適切とは限りません。その場合はメーカー推奨の範囲も参考にしながらリードを調整します。

試奏では、次のようなポイントを確認してみましょう。

  • 低音から高音まで無理なく発音できるか
  • 弱音で音が途切れたり息だけになったりしないか
  • 強く吹いたときに音がつぶれないか
  • 高音域で必要以上に力まなくても発音できるか
  • タンギングの反応が自分に合っているか
  • ロングトーンで音程を維持しやすいか
  • 長く吹いたときに口や息への負担が大きすぎないか
  • 自分が求める音色を作りやすいか

マウスピースを吹いた瞬間に「よく鳴る」と感じても、それだけで決めないほうがよいでしょう。

曲の中では弱音も強音も使います。低音だけでなく高音も使い、タンギングも行います。

そのため、ppからffまでの変化、低音から高音までの発音、タンギング、音程など、実際の演奏に近い条件で確認することが大切です。こうした違いを自分だけで判断しづらい場合は、EYS音楽教室のクラリネットレッスンで演奏を見てもらいながら整理する方法もあります。

また、短時間では吹きやすく感じても、長く吹いたときに口や息へ負担がかかりすぎる場合があります。

一瞬の印象だけではなく、複数の要素を確認して総合的に判断しましょう。

同じモデルを複数本比較できる場合には、実物同士を吹き比べる方法もあります。

特に初めて本格的なマウスピースへ交換する場合、ネット上の「おすすめ1位」だけで決めるより、実際に吹いたときの感覚を確認できると選びやすくなります。

購入前に知りたい注意点

クラリネットのマウスピース選びでは、スペックを覚えることと同じくらい「どんな選び方を避けるか」を知っておくことが大切です。

初心者が避けたい選び方として、次のようなものがあります。

  • 「プロが使っているから」という理由だけで選ぶ
  • 値段が高いほど良いと考える
  • ティップオープニングだけで判断する
  • 以前のリードをそのまま使い、マウスピースだけを評価する
  • 5RVと5RVライヤーを同じ設計だと思う
  • B40とB40ライヤーを同じ開きだと思う
  • Traditional Beak、Profile 88、13 Seriesを確認しない
  • B♭用、E♭用、アルト用、バス用をモデル名だけで判断する
  • ネット上のおすすめ順位だけで購入を決める

マウスピースは「有名モデルを買えば終わり」という部品ではありません。

同じモデルでも、組み合わせるリードや楽器、奏者によって感じ方が変わります。

購入前には、少なくとも次の項目を確認しておくとよいでしょう。

  • B♭クラリネット用か
  • 正確なモデル名は何か
  • Traditional BeakかProfile 88か
  • 13 Seriesか通常仕様か
  • High Density仕様ではないか
  • ティップオープニングはいくつか
  • フェイシングは何か
  • メーカー推奨リード強度は何か
  • 現在のリードを変更する必要があるか
  • 手持ちのリガチャーが適合するか
  • 試奏できるか
  • 新品か中古か
  • 通販なら販売者と型番が明記されているか

通販でもクラリネット用マウスピースは購入できますが、初めて交換する人ほど仕様確認が重要になります。

特にバンドーレンは、同じモデル名でもビークやシリーズの違いがあります。商品写真だけで判断せず、型番や仕様欄まで確認しましょう。

また、マウスピースと一緒に必要になる可能性がある用品も確認しておきます。

  • B♭クラリネット用リード
  • マウスピースに適合するリガチャー
  • マウスピースキャップ
  • マウスピースパッチ
  • 持ち運び用のマウスピースケース
  • クリーニング用品
  • リードケース

マウスピースだけを購入したあとで手持ちのリガチャーが適合しないことに気づくと、すぐに使用できない場合があります。交換時には周辺用品も含めて確認しておきましょう。

購入後の取り扱いにも注意が必要です。

演奏後は内部の水分を除去し、ティップやレールへ硬い物を当てないようにします。ティップやレールは非常に繊細な部分なので、落下させたりぶつけたりしないよう注意してください。

保管や移動の際は、キャップや専用ケースなどで保護します。

エボナイト製のマウスピースは高温や直射日光を避け、清掃するときも強い薬剤を自己判断で使わず、メーカーが案内している方法を確認するのが安全です。

よくある質問と選び方の疑問

開きが広いほど良い音が出る?

ティップオープニングが広ければ必ず良い音になる、という関係ではありません。

ティップオープニングは吹奏感や音色に関係する要素のひとつですが、フェイシングや内部形状、リード、奏者との組み合わせも関係します。

「1.195mmだから1.065mmより上」というような数値上の優劣ではありません。

自分が求める抵抗感や音色、コントロール性に合っているかを考えましょう。

初心者は必ず5RV?

5RVは初心者が比較するときの定番候補ですが、必ず5RVを選ばなければならないわけではありません。

5RVライヤーやヤマハ4Cなども選択肢になります。

現在使用しているマウスピース、リード、楽器、自分の息との相性を確認したうえで選びましょう。

5RVライヤーは5RVの上位モデル?

5RVライヤーを5RVの「上位モデル」と考える必要はありません。

5RVはティップオープニング1.065mm、Medium Short。5RVライヤーは約1.091mm、Mediumです。

5RVライヤーのほうが開きが大きく、フェイシングも長い別設計になっています。

演奏経験が長くなったから5RVから5RVライヤーへ「ランクアップする」という関係ではなく、自分が求める吹奏感に応じて選ぶモデルです。

B40は上級者用?

B40を単純に上級者専用と考える必要はありません。

B40は5RVよりティップオープニングが大きく、推奨されるリードも柔らかい方向になります。

そのため、5RVで使っていた硬めのリードをそのまま付けて「重いから上級者用」と判断すると、適切な比較にならない可能性があります。

マウスピースに合ったリードとの組み合わせで判断してください。

硬いリードほど上級者?

硬いリードを使うこと自体が、演奏技術の高さを示すわけではありません。

リードの硬さは、マウスピースのティップオープニング、フェイシング、リード自体の設計、奏者の息などとの組み合わせで決めます。

硬すぎるリードを無理に使用して音が出にくくなるのであれば、適切な組み合わせとはいえません。

マウスピースを替えれば必ず音が良くなる?

交換すれば必ず音が良くなるとは限りません。

現在使用しているマウスピースとの相性がよければ、新しいマウスピースへ替えたことで、かえって吹きにくく感じる可能性もあります。

マウスピース交換を「高級化」と考えるのではなく、自分に合う吹奏感や音色を探すための選択と考えましょう。

「今のマウスピースの何を変えたいのか」を先に決めると、候補を比較しやすくなります。人気や値段ではなく、自分が改善したいポイントを基準にしてください。

たとえば「5RVから5RVライヤーへ替えたい」と考えているなら、単に別モデルが欲しいというだけでなく、「もう少し息を使える方向を試したい」など目的を具体化します。

B40を検討するなら、5RV系より広いティップオープニングと、それに合わせたリード強度まで含めて比較します。

こうして目的と設計を結びつけると、「初心者におすすめなのはどれ?」という漠然とした疑問から、「自分にはどのモデルが合いそうか」という具体的な比較へ進めます。

まとめ

クラリネットのマウスピースは、モデル名や値段だけで決めるものではありません。

ティップオープニング、フェイシング、リード、リガチャー、そして奏者の息やアンブシュアとの組み合わせによって吹奏感が変わります。

バンドーレンの主要モデルでは、5RVが1.065mm/Medium Short、5RVライヤーが約1.091mm/Medium、B40ライヤーが1.175mm/Long、B40が1.195mm/Medium Longです。

ティップオープニングだけを見ると5RV、5RVライヤー、B40ライヤー、B40の順に広くなりますが、フェイシングも異なるため、この順番をそのまま吹きやすさや演奏レベルの順番と考えることはできません。

5RVライヤーに合うリードを探す場合、メーカー推奨ではTraditionalが3~4、V12が3½~4、56 rue Lepicが3.5~4、V21が3.5~4です。ただし、これは絶対的な指定ではありません。奏者やリードの種類によって適した強度は変わります。

リガチャーについても、5RVライヤーに唯一の正解があるわけではありません。物理的に適合することを前提に、使用するリードとの組み合わせや自分が求めるレスポンスを確認しましょう。

初心者なら、5RV、5RVライヤー、ヤマハ4Cなど比較しやすいモデルから候補を考えられます。しかし、「初心者なら必ずこの1本」というモデルを決めるより、今使っているマウスピースで変えたい点を明確にすることが先です。

通販で購入する場合は、対象楽器だけでなく、Traditional Beak、Profile 88、13 Series、High Densityなどの仕様にも注意してください。同じモデル名でも仕様違いがあるため、型番まで確認すると取り違えを防ぎやすくなります。

そして可能であれば、複数のマウスピースを実際に試奏してみましょう。

低音から高音、弱音から強音、タンギング、音程、長時間吹いたときの負担まで確認すると、一瞬の吹きやすさだけではわからない違いが見えてきます。

自分に合うクラリネットのマウスピースは、価格や人気だけでは決まりません。スペックを理解し、リードとの組み合わせを調整しながら、自分が無理なく音をコントロールできるものを選んでください。