有名チェロ奏者まとめ|日本人・海外の名手と代表演奏を紹介

有名チェロ奏者を紹介する記事のアイキャッチとして、落ち着いた音楽室にチェロと楽譜を配置した画像。 チェロ
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有名なチェロ奏者を知る前に

チェロの世界には、歴史に大きな足跡を残した巨匠から、現在の国際舞台で活躍する奏者、日本から世界へ羽ばたく若手まで、多くの名手がいます。名前を知るだけでなく、どのような実績を持ち、どんな作品を得意としているのかを知ると、チェロを聴く楽しみはさらに広がります。

有名なチェロ奏者を探しているなら、日本人と海外の奏者を分けて知ったうえで、同じ作品を複数の奏者で聴き比べる方法がおすすめです。音色やテンポ、フレージング、作品への向き合い方など、それぞれの個性が見えてきます。

ただし、「有名」という言葉にはいくつもの意味があります。国際コンクールで高い評価を受けた奏者、世界のオーケストラと共演する奏者、多くの録音を残している奏者、後世のチェリストへ大きな影響を与えた歴史的な奏者など、有名になる理由は一人ひとり異なります。

そのため、単純な順位を付けるよりも、「どのような活動で知られているのか」「どの作品から聴くと特徴をつかみやすいのか」という視点で見ていくほうが、それぞれの奏者を理解しやすくなります。

有名な奏者を選ぶ基準

「有名なチェロ奏者」といっても、誰が最も優れているかを決める客観的なランキングがあるわけではありません。国際コンクールでの受賞歴、主要オーケストラとの共演、録音実績、チェロ演奏史への影響など、さまざまな観点があります。

「有名」と「演奏の優劣」は分けて考えることが大切です。コンクールの結果や録音数は確認できる実績ですが、「世界一」「史上最高」「最も美しい音色」といった評価には、すべての奏者に共通する客観的な基準がありません。

また、クラシックの演奏だけを基準にする必要もありません。HAUSERのように、クラシックの専門教育を受けながらポップスやロック、映画音楽へ活動領域を広げた奏者もいます。クラシックの協奏曲を中心に活動する奏者とクロスオーバー分野で広く知られる奏者では、活動の方向そのものが違います。

この記事では、歴史的な重要性や国際コンクールでの実績、録音や演奏活動など、確認できる情報をもとに代表的なチェロ奏者を紹介します。

初めてチェリストを探す人は、すべての奏者を一度に覚える必要はありません。まず日本人奏者と海外奏者から気になる人を一人ずつ選び、代表的な作品を聴いてみるだけでも十分です。その後、同じ曲を別の奏者で聴けば、それぞれの違いも少しずつ分かるようになります。

日本人の有名チェロ奏者

日本には、国際コンクールで大きな実績を残したチェロ奏者が数多くいます。宮田大をはじめ、上野通明、佐藤晴真、水野優也など、国際舞台で評価される奏者も登場しています。

一方で、日本人チェリストの活動はソロだけではありません。オーケストラの首席奏者、ピアノ三重奏や弦楽四重奏などの室内楽、特定の作曲家を研究しながら演奏する活動など、それぞれに特徴があります。チェロがオーケストラや室内楽でどのような位置を担う楽器なのかは、バイオリン・ビオラ・チェロの違いを知っておくと理解しやすくなります。

「日本人の有名なチェロ奏者を知りたい」という場合は、名前だけを一覧で見るより、ソロ、協奏曲、室内楽、オーケストラなど、どの分野で活動しているのかにも注目してみましょう。

宮田大

宮田大は、日本を代表する現役チェリストの一人です。2009年にはロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初めて優勝しました。宮田大公式サイトのプロフィールでも、この受賞歴やジュネーヴ音楽院卒業、クロンベルク・アカデミー修了などの経歴を確認できます。

ジュネーヴ音楽院を卒業し、クロンベルク・アカデミーを修了。倉田澄子、フランス・ヘルメルソンらに師事し、国内主要オーケストラに加え、海外のオーケストラとも共演しています。

録音活動にも取り組んでおり、協奏曲からチェロ・ソナタ、現代の作品、ギターとのデュオまで異なる編成を聴くことができます。

初めて宮田大の演奏を聴くなら、エルガーの「チェロ協奏曲 ホ短調 作品85」が候補になります。トーマス・ダウスゴー指揮、BBCスコティッシュ交響楽団との録音があり、協奏曲での演奏を知ることができます。

エルガーのチェロ協奏曲は、海外の著名チェリストも数多く演奏している作品です。そのため、宮田大の演奏を聴いたあとにジャクリーヌ・デュ・プレやヨーヨー・マなどへ広げれば、同じ作品を通して奏者の違いを比較できます。

そのほか、ラフマニノフのチェロ・ソナタや吉松隆のチェロ協奏曲《ケンタウルス・ユニット》などの録音があります。ギタリスト大萩康司とのデュオによる「Travelogue」「atelier」もあり、オーケストラを伴う協奏曲とは異なる編成でチェロを楽しめます。

最初から録音を数多く追う必要はありません。まず協奏曲を聴き、次にチェロ・ソナタや小編成の作品へ進むと、一人のチェリストが編成によってどのような演奏を聴かせるのかを比較しやすくなります。

上野通明・佐藤晴真・水野優也

日本人の若手チェリストを国際コンクールの実績から知りたい場合、上野通明、佐藤晴真、水野優也は押さえておきたい奏者です。3人とも国際コンクールで優勝実績があり、現在の日本人チェリストを知る入口になります。

上野通明は、2021年ジュネーヴ国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝し、3つの特別賞も受賞しました。さらに、13歳で若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールに日本人として初優勝しています。こうした経歴はアルゲリッチ芸術振興財団の奏者プロフィールでも確認できます。

桐朋学園大学を経て渡独し、ピーター・ウィスペルウェイのもとで研鑽を積み、エリザベート王妃音楽院ではゲーリー・ホフマンに師事しました。スイス・ロマンド管弦楽団や国内のオーケストラとの共演歴もあります。

録音では「ORIGIN ~チェロ独奏のための邦人作品集」などがあり、日本人作曲家によるチェロ独奏作品にも触れられます。海外の有名な協奏曲だけでなく、日本人作曲家による作品を聴いてみたい場合にも注目できる奏者です。

佐藤晴真は、2019年ARDミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝しました。2018年にはルトスワフスキ国際チェロ・コンクールでも第1位および特別賞を獲得しています。公式アーティストプロフィールでは、これらの受賞歴や2020年のドイツ・グラモフォンからのCDデビューなどが掲載されています。

国内では日本音楽コンクールのチェロ部門第1位をはじめ、複数の受賞歴があります。2020年にはドイツ・グラモフォンからCDデビューしており、国際コンクールでの演奏だけでなく録音からも活動を追うことができます。

水野優也は、2025年第76回プラハの春国際音楽コンクールのチェロ部門でアジア人として初優勝し、4つの特別賞も受賞しました。第89回日本音楽コンクールでは第1位に加え、聴衆賞など複数の賞を受賞しています。東京音楽コンクールでも第1位および聴衆賞を獲得しました。これらの実績は水野優也公式サイトのプロフィールでも確認できます。

水野優也を知る入口としては、プラハの春国際音楽コンクールでの演奏やショスタコーヴィチのチェロ協奏曲などが候補になります。

若手には統一された年齢基準がありません。そのため、「日本人の若手チェリスト」を探す場合は、年齢だけで機械的に区切るのではなく、近年の国際コンクール実績や現在のキャリア段階を合わせて見ると誤解が少なくなります。

上野通明、佐藤晴真、水野優也の3人を知る場合も、単純にコンクールの順位だけを比較するのではなく、それぞれがどの作品を演奏し、どのような活動へ展開しているのかを追っていくと、より深く楽しめます。

伊東裕・伊藤悠貴・笹沼樹

ソロだけでなく、室内楽やオーケストラでの活動にも注目すると、日本人チェリストの多彩な活躍が見えてきます。その代表例として挙げられるのが、伊東裕、伊藤悠貴、笹沼樹です。

伊東裕は第77回日本音楽コンクールのチェロ部門で第1位、徳永賞を受賞しました。東京藝術大学音楽学部を首席で卒業し、同大学院修士課程を修了した後、海外でも研鑽を積んでいます。

ピアノの秋元孝介、ヴァイオリンの小川響子と結成した葵トリオでは、2018年第67回ARDミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で第1位となりました。また、東京都交響楽団首席チェロ奏者、紀尾井ホール室内管弦楽団メンバーとしての活動もあります。

伊東裕を聴く場合、ソロだけでなく葵トリオの演奏にも注目すると、ピアノ三重奏においてチェロがどのような役割を担うのかを楽しめます。オーケストラでの演奏、室内楽、ソロという異なる場面を比べるのも一つの聴き方です。

伊藤悠貴はブラームス国際コンクール、ウィンザー祝祭国際弦楽コンクールで第1位を獲得しています。英国王立音楽大学在学中にはフィルハーモニア管弦楽団との共演でデビューし、英国のホールでもリサイタルを行っています。

活動の重要な柱となっているのがラフマニノフ研究です。「ラフマニノフ:チェロ作品全集」の録音があり、著書「ラフマニノフ考―チェロ奏者から見たその音楽像―」もあります。特定の作曲家と奏者との関係に興味がある人は、ラフマニノフのチェロ・ソナタなどから聴いてみるとよいでしょう。

「伊東裕」と「伊藤悠貴」は別のチェリストです。名字の読みや漢字が近いため検索時に混同しやすいものの、経歴や活動分野は異なります。

笹沼樹はソロと室内楽の双方で活動し、カルテット・アマービレのメンバーでもあります。ソロでは東京音楽コンクール第2位、日本音楽コンクール入選の実績があります。

カルテット・アマービレとしては、ARDミュンヘン国際コンクール弦楽四重奏部門で第3位となりました。ソロだけでなく、弦楽四重奏におけるチェロの役割を知りたい人にも注目しやすい奏者です。

ここで注意したいのが、国際コンクールの部門です。伊東裕のARDミュンヘン国際音楽コンクール第1位は、葵トリオとして参加したピアノ三重奏部門での実績です。笹沼樹の同コンクール第3位は、カルテット・アマービレとしての弦楽四重奏部門です。ソロのチェロ部門での受賞と混同しないようにしましょう。

海外の有名チェロ奏者

海外に目を向けると、チェロ演奏史そのものに影響を与えた巨匠から、現在も国際的に活動する奏者まで、多彩な名手がいます。まずはヨーヨー・マやパブロ・カザルスなど、代表的な奏者から聴いてみるとチェロの魅力をつかみやすいでしょう。

歴史的な録音を聴くときには、現在の録音と音質が異なることにも注意が必要です。録音年代が大きく違えば、使用された録音技術も異なります。音質だけで判断するのではなく、その時代にどのような演奏が残され、後世へどのような影響を与えたのかという視点を持つと楽しみ方が広がります。

ヨーヨー・マとパブロ・カザルス

ヨーヨー・マは1955年パリ生まれの世界的チェリストです。中国系の両親を持ち、幼少期からチェロを学びました。ジュリアード音楽院で学んだ後、ハーバード大学でも学んでいます。

ヨーヨー・マの特徴を知るうえで重要なのは、活動がクラシックだけに限定されていないことです。世界各地の音楽文化とのコラボレーションを続け、Silkroadの創設者としても活動してきました。

代表的なレパートリーの一つがJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」です。キャリアを通じて複数回録音しているため、一人の奏者が同じ作品と長期間向き合うことで解釈がどのように変化するのかを聴き比べることもできます。

最初に聴くなら、バッハの無伴奏チェロ組曲のほか、ドヴォルザークやエルガーのチェロ協奏曲も候補です。クラシック以外では、ボビー・マクファリンとの「Hush」や「The Goat Rodeo Sessions」などもあり、ジャンルを横断したチェロの可能性に触れられます。

クラシックを普段あまり聴かない人の場合、最初から大規模な協奏曲を聴く方法だけでなく、ジャンル横断的な作品からヨーヨー・マを知り、そこからバッハや協奏曲へ進む方法もあります。

パブロ・カザルスは1876年生まれ、1973年没のカタルーニャ出身のチェリスト、指揮者、作曲家、教育者です。20世紀のチェロ演奏史を知るうえで重要な人物で、とりわけJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」と深く結び付いています。

少年時代にバッハの無伴奏チェロ組曲の楽譜と出会い、生涯を通じて研究・演奏しました。全6曲を1936~1939年に録音しており、現在も歴史的録音として知られています。

現代の録音と比べれば録音環境は大きく異なります。しかし、カザルスの録音はチェロ演奏史を知るうえで重要な資料でもあります。まず第1番ト長調のプレリュードを聴き、その後に現代のチェリストによる同じ楽章を聴くと比較しやすいでしょう。

なお、「Pablo Casals」と「Pau Casals」は言語による表記の違いで、パブロ・カザルスとパウ・カザルスは同一人物です。異なる人物だと思って別々に探さないよう注意してください。

デュ・プレとマイスキー

ジャクリーヌ・デュ・プレは、20世紀を代表する女性チェリストの一人です。1945年に英国オックスフォードで生まれ、幼少期からチェロを学びました。

特に強く結び付けられている作品が、エルガーの「チェロ協奏曲 ホ短調」です。この作品の録音は現在も広く知られており、デュ・プレを初めて知る場合の代表的な入口になります。

演奏家としてのキャリアは長くありませんでしたが、その演奏は現在も聴き継がれています。エルガーだけでなく、ドヴォルザークのチェロ協奏曲、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ、室内楽の録音などへ広げることもできます。

エルガーのチェロ協奏曲をデュ・プレで聴いた後は、宮田大、ヨーヨー・マ、シェク・カネー=メイソン、ソル・ガベッタなどの演奏へ進むと、同じ曲でも奏者によって表現が異なることを確認しやすくなります。

ミッシャ・マイスキーは1948年、ラトビアのリガ生まれ。レニングラード音楽院で学んだ後、モスクワ音楽院でムスティスラフ・ロストロポーヴィチに師事しました。さらにグレゴール・ピアティゴルスキーにも学んでいます。

1966年チャイコフスキー国際コンクール入賞、1973年カサド国際チェロ・コンクール優勝の実績があり、その後も多数の録音を残しています。

バッハの無伴奏チェロ組曲、ドヴォルザークやシューマンのチェロ協奏曲など、チェロの主要レパートリーを数多く録音しています。マルタ・アルゲリッチやギドン・クレーメルなど著名奏者との共演もあります。

マイスキーを初めて聴く場合は、バッハの無伴奏チェロ組曲から入る方法と、ドヴォルザークなどの協奏曲から入る方法があります。ピアノとの組み合わせに興味があれば、チェロ・ソナタの録音を選ぶのもよいでしょう。

ロストロポーヴィチと現役の名手

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチは、1927年生まれ、2007年没。20世紀のチェロ史を代表する巨匠の一人です。チェリストだけでなく、指揮者や教育者としても活動しました。

ロストロポーヴィチを理解するうえでは、単に有名な作品を演奏したチェリストとして見るだけでは十分ではありません。ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、ブリテン、ルトスワフスキなど多数の作曲家と深く関わり、多くのチェロ作品の誕生や初演に関わりました。

そのため、20世紀以降のチェロ・レパートリーがどのように広がったのかを知るうえでも重要な存在です。最初に聴く作品としては、ドヴォルザークのチェロ協奏曲、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲、プロコフィエフの交響的協奏曲、ブリテンのチェロ作品などが候補になります。

また、ミッシャ・マイスキーなど後世のチェリストを指導したことでも知られています。日本の宮田大が2009年に優勝したロストロポーヴィチ国際チェロコンクールにも、その名が残されています。

現役奏者では、英国のシェク・カネー=メイソンも注目されています。2016年BBC Young Musicianで優勝し、2018年には英国王室のロイヤル・ウェディングで演奏しました。

録音ではショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第1番」などを収録した「Inspiration」、エルガーを取り上げたアルバムなどがあります。クラシックの協奏曲やソナタだけでなく、編曲作品にも取り組んでいます。

ソル・ガベッタは国際的に活動する女性チェリストで、主要オーケストラや音楽祭に出演してきました。シューマン、エルガー、マルティヌーなどの協奏曲録音があります。女性の現役チェリストを探している場合にも押さえておきたい奏者です。

米国のアリサ・ワイラースタインは、ソロ、室内楽、協奏曲の各分野で国際的に活動しています。古典的な主要レパートリーだけでなく、新作委嘱や現代作品にも積極的に取り組んでいる点も特徴です。

英国のスティーヴン・イッサーリスも、ソリスト、室内楽奏者、教育者、著述家、放送活動など幅広い分野で活躍するチェリストです。バロックから現代作品までレパートリーが広く、バッハの無伴奏チェロ組曲やベートーヴェンの作品など、多くの録音があります。

海外の有名チェリストを探すときは、歴史的巨匠と現役奏者を同じ条件で比べる必要はありません。歴史的な影響を知るならカザルスやロストロポーヴィチ、20世紀を代表する録音を聴くならデュ・プレ、現在まで続く幅広い活動を知るならヨーヨー・マなど、目的を分けると選びやすくなります。

HAUSERと2CELLOS

クラシック以外の音楽からチェロに興味を持った人には、HAUSERの名前もよく知られています。

HAUSERは、本名ステファン・ハウザー。1986年、クロアチアのプーラ生まれで、クラシックの専門教育を受けたチェリストです。クロアチアで基礎教育を受けた後、ロンドンのTrinity College of Music、マンチェスターのRoyal Northern College of Musicなどで学びました。

若い時期にはクラシック分野のコンクールでも実績を重ねています。そのため、ポップスをチェロで演奏する人物というだけでなく、クラシックを基礎に持つチェリストとして活動してきた経歴があります。

世界的な知名度を高める大きなきっかけになったのが、ルカ・スーリッチとのチェロ・デュオ「2CELLOS」です。マイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」をチェロで演奏した映像が広く注目され、2CELLOSのブレイクにつながりました。

その後も「Thunderstruck」をはじめ、ロックやポップスなどをチェロで演奏しています。チェロと聞くとクラシックだけを思い浮かべる人にとっては、楽器の違った魅力を知る入口になります。

HAUSERは個人名義、2CELLOSはデュオです。「HAUSER」はグループ名ではなく奏者本人のソロ名義で、「2CELLOS」はHAUSERとルカ・スーリッチによるチェロ・デュオです。

「チェロ奏者 ハウザー」と検索する場合、HAUSERのソロ活動と2CELLOS時代の演奏が混在して表示されることがあります。両方を聴きたい場合には問題ありませんが、活動時期や編成を区別したい場合は、この違いを覚えておくと探しやすくなります。

クラシックとクロスオーバーでは活動分野が大きく異なります。カザルスやロストロポーヴィチなどの歴史的クラシック録音とHAUSERのポップス・ロック系の演奏を、単純な優劣で比較する必要はありません。

むしろ、同じチェロという楽器が、バッハの無伴奏作品、オーケストラとの協奏曲、ロックやポップスのアレンジでどれほど異なる役割を持てるのかに注目すると、チェロの幅広さを楽しめます。

クラシックに慣れていない人なら、HAUSERや2CELLOSからチェロの音に親しみ、その後にバッハやエルガー、ドヴォルザークなどへ進む方法もあります。入口は一つに限定する必要はありません。

有名な女性チェロ奏者

有名な女性チェリストを探す場合、歴史的な代表格としてジャクリーヌ・デュ・プレが挙げられます。エルガーのチェロ協奏曲は、デュ・プレの演奏を知るうえで特に重要な作品です。

現役の国際的な奏者では、ソル・ガベッタやアリサ・ワイラースタインなどが活動しています。

ソル・ガベッタは主要オーケストラや音楽祭で活動し、シューマン、エルガー、マルティヌーなどのチェロ協奏曲を録音しています。アリサ・ワイラースタインはクラシックの主要レパートリーに加え、現代作品や新作委嘱にも取り組んでいます。

歴史的奏者と現役奏者では、録音された時代や活動環境が違います。そのため、「女性で最も優れたチェリストは誰か」と順位を決めるより、それぞれの時代、作品、活動分野を知るほうが演奏を楽しみやすいでしょう。

女性奏者だけをまとめて聴く方法もありますが、チェロの演奏そのものを楽しむなら、性別に限定せず同じ作品をさまざまな奏者で比較してみるのもおすすめです。

たとえばエルガーのチェロ協奏曲なら、デュ・プレ、ヨーヨー・マ、宮田大、シェク・カネー=メイソン、ソル・ガベッタなどを聴き比べることができます。同じ作品だからこそ、テンポや音色、フレーズの作り方などの違いに注目できます。

デュ・プレを聴いた後に現役奏者を聴く、あるいは現役奏者から歴史的録音へさかのぼるなど、順番にも決まりはありません。自分が気になった作品を軸に奏者を広げていく方法が分かりやすいでしょう。

代表曲でチェロ奏者を聴き比べる

有名なチェロ奏者を一人ずつ別の曲で聴くだけでは、演奏の違いが分かりにくいことがあります。初心者が奏者の個性を知るなら、同じ作品を複数の奏者で聴き比べる方法が分かりやすいでしょう。

同じ曲を複数の奏者で聴くことで、曲そのものの違いに左右されにくくなり、音色、テンポ、フレージングなどへ意識を向けやすくなります。

特にバッハの無伴奏チェロ組曲や、エルガー、ドヴォルザークのチェロ協奏曲には多くの録音があります。初めから細かな専門用語を理解する必要はありません。「こちらはゆっくり感じる」「音の雰囲気が違う」といった印象から始めても十分です。

また、曲の編成によって聴きどころも変わります。無伴奏作品ならチェロ一台の響き、協奏曲ならオーケストラとの対話、ソナタならピアノとの呼吸、室内楽ならほかの楽器とのバランスに注目できます。

バッハ無伴奏チェロ組曲

J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」は、チェロ一台だけで演奏されます。伴奏がないため、奏者ごとの音色、テンポ、フレージング、アーティキュレーションなどを比較しやすい作品です。

歴史的な演奏を知りたいならパブロ・カザルス、長いキャリアの中での変化まで聴きたいならヨーヨー・マが候補になります。さらにミッシャ・マイスキーやスティーヴン・イッサーリスなどを加えると、同じ作品でも演奏が異なることを感じやすくなります。

日本人奏者では、バッハの無伴奏チェロ組曲全曲演奏にも取り組む伊藤悠貴などに注目できます。

最初から全6曲を続けて聴く必要はありません。第1番ト長調のプレリュードなど、同じ楽章を何人かの奏者で順番に聴くだけでも比較できます。

たとえば、最初にカザルス、次にヨーヨー・マ、その後にマイスキーというように一つの楽章だけを続けて聴けば、演奏時間が長くなりすぎず、違いにも集中できます。

カザルスの1930年代の録音と現代奏者を比較するときは、録音技術の違いも考慮しましょう。古い録音の音質と演奏内容は別の問題です。現代録音のほうが音が鮮明だからといって、それだけで演奏の価値を比較することはできません。

ヨーヨー・マの場合は同じバッハの組曲を異なる時期に録音しているため、奏者同士の比較だけでなく、一人の奏者が長い時間を経て同じ作品をどのように演奏しているのかを追う楽しみ方もできます。

無伴奏作品はオーケストラの音がない分、チェロという楽器そのものの響きへ集中しやすいのも特徴です。「チェロの音をじっくり聴いてみたい」という人にとって、バッハの無伴奏チェロ組曲は取り組みやすい選択肢です。

エルガーなどのチェロ協奏曲

オーケストラとチェロの組み合わせを楽しみたいなら、チェロ協奏曲を聴き比べてみましょう。無伴奏作品とは異なり、チェロだけでなくオーケストラとの関係も聴きどころになります。

エルガーの「チェロ協奏曲 ホ短調 作品85」は1919年に初演された作品で、ジャクリーヌ・デュ・プレとの結び付きが特に強く知られています。宮田大、ヨーヨー・マ、シェク・カネー=メイソン、ソル・ガベッタなどの演奏も比較できます。

デュ・プレから聴き始めてもよいですし、日本人奏者を知りたいなら宮田大から始めても構いません。その後に別の奏者へ広げることで、同じ作品に対する表現の違いを見つけられます。

ドヴォルザークの「チェロ協奏曲 ロ短調」も代表的なレパートリーです。パブロ・カザルス、ロストロポーヴィチ、ヨーヨー・マ、ミッシャ・マイスキー、アリサ・ワイラースタインなど、多くの奏者の演奏があります。

一つの作品に歴史的巨匠から現役奏者まで多数の録音があるため、時代を越えた聴き比べにも向いています。最初に一人の演奏を通して聴いた後、気になった楽章だけ別の奏者と比較する方法なら、初心者でも無理なく楽しめます。

20世紀の作品まで広げるなら、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲も候補です。ロストロポーヴィチと作曲家ショスタコーヴィチとの関係を知ったうえで聴くと、作品の歴史的背景にも興味を広げられます。

現代の若手奏者の演奏も比較対象にできます。歴史的録音だけで完結させず、現在活動する奏者の演奏へ広げることで、同じ作品が現在どのように演奏されているのかを楽しめます。

聴き比べでは「どちらが上手いか」を決める必要はありません。テンポの違い、音色、フレーズの作り方、オーケストラとの関係など、自分が気になるポイントを一つ決めて聴くと違いを見つけやすくなります。

たとえば最初の比較では、「速く感じるか、ゆっくり感じるか」だけでも構いません。次に「チェロの音がどのように聞こえるか」、さらに慣れてきたら「一つのフレーズをどう歌わせているか」と少しずつ注目する要素を増やしていくと、聴き比べそのものが楽しみになります。

協奏曲だけでなく、ソナタや室内楽へ広げるのもおすすめです。チェロとピアノのソナタなら、チェロだけではなくピアノとの呼吸に注目できます。ピアノ三重奏や弦楽四重奏では、ほかの楽器の中でチェロがどのような役割を果たしているのかを聴けます。

日本人奏者なら、宮田大の協奏曲、伊藤悠貴のラフマニノフ、伊東裕の葵トリオ、笹沼樹のカルテット・アマービレなど、活動分野の違いを手がかりに聴き進める方法もあります。

海外奏者なら、バッハを軸にカザルス、ヨーヨー・マ、マイスキー、イッサーリスを比較し、エルガーを軸にデュ・プレ、ヨーヨー・マ、ガベッタ、シェク・カネー=メイソンなどへ広げられます。

親しみやすいポップスや映画音楽から入りたい場合は、HAUSERや2CELLOSを入口にする方法もあります。クラシックだけを正しい入口と考える必要はなく、まずチェロの音に興味を持てる演奏を見つけ、そこから別のジャンルへ広げていけばよいでしょう。

まとめ

有名なチェロ奏者には、パブロ・カザルスやムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ジャクリーヌ・デュ・プレといった歴史的な巨匠から、ヨーヨー・マ、ミッシャ・マイスキーなど長年国際的に活動してきた奏者、さらに現在活躍する多くのチェリストがいます。

日本人では宮田大をはじめ、上野通明、佐藤晴真、伊東裕、伊藤悠貴、笹沼樹、水野優也など、それぞれ異なる分野で実績を重ねています。国際コンクールの実績を見る場合は、チェロのソロ部門なのか、ピアノ三重奏や弦楽四重奏などの室内楽部門なのかも確認すると、経歴をより正確に理解できます。

クラシック以外からチェロに興味を持ったなら、HAUSERや2CELLOSから入るのも一つの方法です。クラシックとクロスオーバーを単純に優劣で比較するのではなく、チェロがさまざまなジャンルでどのような魅力を見せるのかに注目してみてください。

迷ったら代表曲を一つ決めて聴き比べるのが分かりやすい方法です。チェロそのものの響きを聴きたいならバッハの「無伴奏チェロ組曲」、オーケストラとの演奏を楽しみたいならエルガーやドヴォルザークのチェロ協奏曲が候補になります。

最初から奏者の違いを細かく説明できなくても問題ありません。同じ曲を何人かの演奏で聴いていると、テンポ、音色、フレージングなど、自分が気になる違いが少しずつ見つかります。

そこで気になったチェリストが見つかったら、その奏者の別の協奏曲、ソナタ、無伴奏作品、室内楽へと広げてみましょう。有名な奏者の名前を覚えることだけを目的にせず、実際の演奏を聴きながら自分がもっと聴いてみたいチェリストを見つけていくことが、チェロ音楽を楽しむ入口になります。

演奏を聴くうちに自分でもチェロを弾いてみたくなったら、初心者から学べるEYS音楽教室の特徴を確認して、実際にレッスンを受ける方法を知っておくのも一つの選択肢です。