チェロの標準調弦はC・G・D・A
一般的な4弦チェロの標準調弦は、低い音からC・G・D・Aです。国際式音名ではC2・G2・D3・A3となります。
演奏者から見て音の高い順に並べるとA・D・G・Cです。弦番号では一般に、1弦がA、2弦がD、3弦がG、4弦がCとなります。初心者のうちは「低い方からC・G・D・A」と覚えておくと、チューナーの表示を確認するときにも迷いにくいでしょう。
チェロのチューニングで最初に大切なのは、「何Hzにするのか」という数字だけを覚えることではありません。まず4本の開放弦それぞれの正しい音名とオクターブを理解し、そのうえで440Hzや442Hzという基準音高の意味を理解する必要があります。
特に「A=440Hz」という表記は初心者が誤解しやすいポイントです。これはチェロのA線を440Hzまで上げるという意味ではありません。チェロの開放A線はA3であり、A4=440Hzを基準にした場合は220Hzです。この違いを知らずにA線を必要以上に張ると危険なので、調弦を始める前に確認しておきましょう。
開放弦の音と5度調弦の仕組み
チェロは、隣り合う開放弦がすべて完全5度になるように調弦されています。CからG、GからD、DからAはいずれも完全5度です。そのため、チェロの標準調弦は「5度調弦」と呼ばれます。
平均律では完全5度は7半音です。ギターのように4度を中心として弦を並べる楽器とは異なり、チェロでは完全5度を積み重ねる形で4本の開放弦が配置されています。
低い方から確認すると、C2からG2、G2からD3、D3からA3という順番です。反対に高い方から見れば、A3からD3、D3からG2、G2からC2へ完全5度ずつ下がっていきます。
バイオリンやビオラとの調弦・音域の違いも含めて確認したい場合は、バイオリン・ビオラ・チェロの違いも参考にしてください。チェロが弦楽器の中でどの音域を担当しているのかを整理できます。
この仕組みを理解すると、アンサンブルで提示されたAを基準としてA線を合わせ、その後D線、G線、C線へと順番に調弦する理由も分かりやすくなります。A→D→G→Cと下がっていけば、隣接する弦どうしの完全5度を確認しながら調弦できるためです。
ただし、初心者が最初から5度の響きを耳だけで正確に判断する必要はありません。電子チューナーやチューナーアプリを使い、それぞれの開放弦をC・G・D・Aへ個別に合わせれば、標準的な調弦ができます。
慣れてきたら、チューナーで合わせたあとに隣接する2本の開放弦を鳴らし、完全5度の響きを耳でも確認してみるとよいでしょう。電子チューナーによる確認と耳による確認を組み合わせることで、5度調弦の仕組みを実際の響きと結び付けて理解しやすくなります。
なお、上級者の調弦では、アンサンブル全体の響きや純正5度と平均律上の5度の微小な違いまで考慮する場合があります。しかし、初心者の基本としては、まず指定された基準ピッチを設定し、C2・G2・D3・A3へ正確に合わせることを優先すれば問題ありません。
4弦の音と周波数を一覧で確認
A4=440Hzを基準にした場合、チェロの各開放弦の周波数は次のようになります。
| 弦 | 音名 | 国際式音名 | A4=440Hz時の周波数(約) |
|---|---|---|---|
| 4弦・最低音 | C(ド) | C2 | 65.41Hz |
| 3弦 | G(ソ) | G2 | 98.00Hz |
| 2弦 | D(レ) | D3 | 146.83Hz |
| 1弦・最高音 | A(ラ) | A3 | 220.00Hz |
表を見ると分かるように、440Hzという数字は4本の開放弦のどれにも直接当てはまりません。440Hzは基準となるA4の周波数であり、そこから各音の周波数が決まります。
特に注意したいのがA線です。「A=440Hz」という表示を見て、チェロのA線を440Hzに合わせるわけではありません。チェロの開放A線はA3なので、A4=440Hzを基準にした場合は、その1オクターブ下にあたる220Hzになります。
同様に、D線はD3で約146.83Hz、G線はG2で約98.00Hz、C線はC2で約65.41Hzです。チューナーが周波数を表示するタイプの場合は、この数値を知っていると、表示されている音が大きく外れていないかを確認する手掛かりになります。
ただし、通常の調弦では周波数を暗記して毎回数値を合わせる必要はありません。クロマチックチューナーなら、鳴らした音をC、G、D、Aなどの音名とセント表示で確認できます。初心者にとっては、目標となる音名を間違えないことの方が重要です。
チェロの440Hzと442Hzの違い
チューナーやチューナーアプリには「440Hz」「442Hz」といった設定があります。この数字はチェロだけに使われる周波数ではなく、楽器全体で共有する基準音高(コンサートピッチ)を示しています。
A4=440Hzは、中央Cより上にあるA4という音を440Hzとする基準です。ISO 16の標準調律周波数ではA=440Hzが規定されています。そのため、特別な指定がない個人練習では440Hzを基準として利用できます。
一方、オーケストラなどでは440Hz以外の基準音が採用されることもあり、442Hzも実際に使われています。そのため、「440Hzが標準だから442Hzは間違い」という理解も適切ではありません。
| 項目 | A4=440Hz | A4=442Hz |
|---|---|---|
| 基準となるA4 | 440Hz | 442Hz |
| チェロA3 | 220.00Hz | 221.00Hz |
| チェロD3 | 約146.83Hz | 約147.50Hz |
| チェロG2 | 約98.00Hz | 約98.44Hz |
| チェロC2 | 約65.41Hz | 約65.70Hz |
442Hzは440HzよりA4で2Hz高く、音程差では約7.85セントです。ただし、442Hzに変更するときにチェロのすべての弦へ2Hzずつ加えるわけではありません。
基準音高を変更すると、C・G・D・Aすべての目標周波数が同じ比率で変化します。そのため、A3は220Hzから221Hzへ1Hz上がりますが、D3やG2、C2の変化量はそれぞれ異なります。
「440と442は2Hz違う」という説明だけを見て、各開放弦に2Hzを加えるのは誤りです。チューナーやアプリを利用するときは、各弦の周波数を手作業で計算するのではなく、A4の基準ピッチを440Hzまたは442Hzへ設定してからC・G・D・Aを合わせます。
A線を440Hzにするわけではない
チェロのチューニングで特に誤解しやすいのが、「チェロを440Hzで調弦する」という表現です。
正確には「A4=440Hzを基準として、チェロの開放弦をC2・G2・D3・A3に合わせる」という意味です。チェロのA線A3は440Hz基準なら220Hzになります。
A3とA4は同じAという音名ですが、オクターブが異なります。A4はA3より1オクターブ高いため、周波数は2倍です。したがって、A3が220Hzなら、その1オクターブ上のA4が440Hzとなります。
同じように、A4=442Hzを基準にする場合も、チェロのA線そのものを442Hzにするわけではありません。チェロのA3はその1オクターブ下なので221Hzです。
この違いは、チューニング音源を使う場合にも重要です。インターネット上で「A 440Hz」などの音源を見つけても、それがA4の基準音を再生するものなのか、チェロのA3を再生するものなのかを確認する必要があります。
チェロのA線をA4の440Hzまで張ろうとすると、本来のA3より1オクターブ高い音を目指すことになります。弦に過大な張力がかかる危険があるため、「A」という音名だけではなくオクターブまで確認することが重要です。
チューナーアプリを使う場合は、通常、A4の基準周波数を設定したうえで、実際に鳴っている音を自動的に判定します。そのため、A4を440Hzに設定した状態でチェロのA線を鳴らし、A3として中央付近へ合わせればよいということになります。
440Hzと442Hzはどう選ぶ?
個人練習で教師や教材などから特別な指定がなければ、A4=440Hzを基準として調弦できます。一般的な電子チューナーやチューナーアプリでも、440Hzが初期設定になっていることがあります。
一方、レッスンでは教師の指定、ピアノとの演奏ではピアノの調律基準、オーケストラや室内楽ではアンサンブル側から指定された基準音を優先します。
つまり、「チェロだから440Hz」「チェロだから442Hz」という決まりがあるわけではありません。どちらか一方が絶対的に正しいという関係でもなく、一緒に演奏する相手と基準音高をそろえることが重要です。
たとえば、合奏側が442Hzを指定しているのに、自分だけチューナーを440Hzに設定して調弦すると、約7.85セント低い基準で合わせることになります。個人では正しくチューニングしたつもりでも、合奏全体の基準とは一致しません。
オーケストラや室内楽では、提示されたAに合わせることを優先します。指揮者やオーボエ、ピアノなどを基準として音高が指定される場合には、自分のチューナーの初期設定よりも、その場で指定された基準音高を優先してください。
ピアノと合わせる場合も同じです。チェロ側だけを理論上の440Hzへ合わせても、実際に共演するピアノの基準音高が異なっていれば、両者の音程は一致しません。
そのため、初心者が覚えておきたい選択基準はシンプルです。指定がなければ440Hz、指定がある場合はその指定に従う、と考えると分かりやすいでしょう。
442Hzを利用するときは、チューナーやアプリの「Calibration」「Concert Pitch」「A4」などと表示される項目を確認し、基準値を442Hzへ変更します。弦の音名をAから別の音へ変更するわけではありません。目標となる開放弦は、442Hz基準でもC・G・D・Aのままです。
チェロのチューニングのやり方
初心者がチェロを調弦するときは、電子チューナーまたはスマートフォンのチューナーアプリを利用すると、現在の音が目標より高いのか低いのかを確認しやすくなります。実際の楽器で調弦や基本的な扱い方を身につけたい場合は、EYS音楽教室のチェロレッスンも選択肢になります。
基本は、開放弦を1本ずつ鳴らし、チューナーに表示される音名と音程のずれを確認しながら調整することです。いきなりペグを大きく回すのではなく、現在の音を把握してから必要な量だけ調整します。
アプリやチューナーで合わせる手順
- 電子チューナーまたはチューナーアプリを用意します。
- 指定がなければ基準ピッチをA4=440Hzに設定します。
- チェロを通常の演奏姿勢で安定させます。
- 開放弦を1本ずつ鳴らして、表示される音名を確認します。
- 目標より低ければ少し弦を張り、高ければ少し緩めます。
- 目標音に近ければアジャスターで微調整します。
- 大幅にずれていてアジャスターだけで調整できない場合はペグを慎重に使用します。
- C・G・D・Aの4本を確認します。
- 最後にもう一度すべての弦を確認します。
- 調弦後に駒の状態も確認します。
チューナーでは、現在検出している音がA、D、G、Cなどの音名で表示されます。一般的には、中央より左側やマイナス、♭側なら目標より低く、右側やプラス、♯側なら高いことを示します。中央または0セント付近になれば目標音に近づいています。
ただし、画面のデザインはアプリやチューナーによって異なります。使用前に、どの表示が低い状態で、どの表示が高い状態なのかを確認しておきましょう。
さらに、針やメーターだけを見るのではなく、表示されている音名も確認してください。たとえばA線を合わせたいのにGやG♯などと表示されている場合は、まだAの近くまで達していない可能性があります。目標音名を確認しないままペグを回し続けるのは避けましょう。
調弦する順番については、必ずC線から、あるいは必ずA線からでなければならないわけではありません。
アンサンブルでは提示されたAを基準としてA線を合わせ、そこからA→D→G→Cと完全5度で下がりながら合わせる方法があります。一方、初心者が電子チューナーで各開放弦を直接測定するなら、低いC線からC→G→D→Aと順番に確認する方法でも調弦できます。
初心者にとって大切なのは、順番そのものよりも4本を正しい音名へ合わせることです。そして、4本を一度合わせたら、それで終了せず、もう一度すべての弦を確認してください。
1本の弦の張力を変えると、楽器全体の張力バランスにも影響します。そのため、最初に合わせた弦が、残りの弦を調整している間にわずかに変化することがあります。4本を一巡したあとにもう一巡確認すると、より確実です。
スマートフォンを使う場合は、マイクから音を取り込めるクロマチックチューナーを利用できます。クロマチックチューナーは特定の弦だけでなく、入力された音の高さを判定できるため、チェロのC・G・D・Aも確認できます。
チェロ専用モードを備えたアプリなら、4本の弦を分かりやすく表示できるものもあります。一方、専用モードがなくても、チェロの音域を認識できるクロマチックチューナーなら利用できます。
アプリを使用するときは、スマートフォンをチェロの近くに置き、できるだけ静かな環境にします。周囲で会話や音楽が流れていると、スマートフォンのマイクが別の音を拾い、表示が安定しない場合があります。
開放弦は1本だけ鳴らし、表示が落ち着くまで待ちます。弓を使う場合は必要以上に強く押し付けず、なるべく一定の音を出すようにします。ピチカートでも検出できるアプリはありますが、低い弦では音の持続時間が短く、表示が安定しにくい場合があります。
無料で利用できるチューナーアプリも複数あります。ただし、アプリの料金体系、広告の有無、無料で利用できる機能、対応OSなどは更新によって変更される可能性があります。そのため、特定のアプリが現在も完全無料で同じ機能を提供しているとは限りません。
アプリを選ぶ際には、チェロの音域を認識できることに加えて、440Hz以外を使う可能性があるなら、A4の基準周波数を変更できるかも確認しておくとよいでしょう。
低いC線を認識しないときの対処法
チェロのC2は、A4=440Hz基準では約65.41Hzという低い音です。そのため、スマートフォンのマイクやチューナーのアルゴリズムによっては、C線の表示が安定しない場合があります。
まず確認したいのは周囲の環境です。テレビや会話、ほかの楽器などの音を止め、できるだけ静かな場所で試してください。スマートフォンのマイクはチェロだけの音を拾うとは限らないため、周囲の音が少ないほど判定しやすくなります。
次に、C線をある程度持続させて鳴らします。ピチカートでは音がすぐ減衰するため、アプリによっては表示が安定する前に入力音が小さくなることがあります。弓で一定の長さの音を出し、表示が落ち着くまで待つと確認しやすくなる場合があります。
ただし、強く弾けば必ず認識しやすくなるわけではありません。強すぎるボウイングによって倍音やノイズが増えると、アプリが基音ではなく別の成分を拾う場合があります。
チューナーが意図しない音を表示しているときは、メーターの中央だけを見ないようにしてください。C線を鳴らしているのに別の音名が表示されている場合は、倍音などを検出している可能性があります。針だけでなく表示された音名も確認することが大切です。
スマートフォンの内蔵マイクだけでは安定しない場合には、楽器の振動を利用するクリップ式チューナーや、接触型ピックアップ、クリップマイクなどを利用する方法もあります。空気中の音だけに依存しないため、周囲の音の影響を抑えやすくなります。
また、C線だけではなく複数の弦で認識が不安定な場合は、アプリ側の基準設定やマイクへのアクセス許可なども確認してください。アプリの表示方法が分からない場合は、そのアプリの説明に従って設定を確認します。
音源を使って耳で調弦する方法
チューナーには、鳴っている音を測定する方式だけでなく、基準となる音を再生できるものもあります。基準音を聞きながら、自分のチェロの開放弦を同じ高さへ合わせる方法です。
伝統的な方法では、まず基準となるAを聞いてA線を合わせます。A線が合ったら、A-D、D-G、G-Cという完全5度を聞きながら、順番に残りの弦を合わせていくことができます。
ただし、初心者が完全5度を耳だけで正確に判断するのは簡単ではありません。わずかな音程差を聞き分けるには慣れが必要です。そのため、最初は電子チューナーで数値やメーターを確認しながら合わせる方法が分かりやすいでしょう。
耳を使った調弦を練習したい場合は、最初からチューナーを使わずに合わせる必要はありません。まずチューナーでC・G・D・Aを正しく合わせ、そのあと隣り合う2本の開放弦を鳴らして5度の響きを聞く方法があります。
正しく調弦された状態の響きを繰り返し聞くことで、「合っている5度」がどのように聞こえるのかを確認できます。電子チューナーは正解を確認する道具として使いながら、耳による確認も少しずつ取り入れるとよいでしょう。
インターネット上の音源を利用するときは、440Hz用なのか442Hz用なのかを確認します。また、Aという音名だけではなく、チェロ用の正しいオクターブなのかも重要です。
チェロの開放弦として必要なのはC2・G2・D3・A3です。A4=440Hz基準なら、それぞれ約65.41Hz、98.00Hz、146.83Hz、220.00Hzになります。442Hz基準ならA3は221Hzです。
「A=440Hz」と書かれた基準音源がA4を再生している場合、それはチェロのA線そのものと同じ高さではありません。A4を基準として、その1オクターブ下のA3へチェロのA線を合わせるという関係を理解して利用してください。
ペグとアジャスターの使い分け
チェロには、音程を調整するためのペグとアジャスター(ファインチューナー)があります。どちらも弦の張力を変えるためのものですが、適している調整幅が異なります。
| 状況 | 主に使うもの | ポイント |
|---|---|---|
| 音程が少し低い・高い | アジャスター | 細かな調整に向く |
| 音程が大きくずれている | ペグ | 少しずつ操作する |
| アジャスターを締め切っている | ペグ+アジャスター | アジャスターの調整余地を戻す |
| ペグが滑る・極端に固い | 専門家へ相談 | 無理に回さない |
| 初心者で目標音を判断しにくい | チューナー+アジャスター中心 | ペグの大幅操作を避ける |
アジャスターはテールピース付近にある小さなネジ状の調整機構で、ペグよりも細かく音程を調整できます。音程がすでに目標付近にある場合は、アジャスターを使うと調整しやすいでしょう。
一般的な構造では、アジャスターを締めて弦の張力を増やすと音程が上がり、緩めると音程が下がります。ただし、実際の機種や構造を確認したうえで操作してください。
初心者向けのチェロでは4本すべての弦にアジャスターが付いているものもあります。現在の音が目標音の近くにあるなら、ペグを動かす前にアジャスターで調整できるか確認するとよいでしょう。
一方で、アジャスターには調整できる範囲があります。限界まで締め込んだり緩め切ったりすると、それ以上の微調整ができません。その場合は、ペグ側で大まかな音程を調整するとともに、アジャスターを再び調整できる位置へ戻す必要があります。
アジャスターで何とかしようとして限界まで締め続けるのではなく、大きな音程差はペグ、小さな音程差はアジャスターという役割の違いを理解しておくことが大切です。
ペグを動かすときの注意点
ペグは弦の張力を大きく変えるために使用します。一般的な木製の摩擦ペグは、ギターなどに見られるギヤ式ペグとは操作感が異なります。回転させながらペグボックス側へ適度に押し込み、摩擦によって位置を保持する仕組みです。
そのため、単純に回転させるだけでは、手を離したときにペグが戻ることがあります。反対に、極端に固いペグを無理に回そうとすると、操作が難しいだけでなく楽器へ負担をかける可能性があります。
ペグは少し動かしただけでも音程が大きく変わることがあります。特に現在の音が何なのか分からない状態で、むやみに弦を張ってはいけません。
現在の音が分からないままペグで音程を上げ続けないことは、安全に調弦するための重要なポイントです。チューナーで音名を確認し、目標より低いことが分かってから少しずつ張ります。
音程を上げすぎると弦切れや楽器への負担につながる可能性があります。特に細いA線を調整するときは、チューナーに表示される音名を確認しながら少しずつ操作することが大切です。
ペグを演奏者から見て単純に「右へ回せば上がる」「左へ回せば下がる」と覚えると、左右のペグや見る方向によって混乱することがあります。基本は、弦を巻き取って張力を増やせば音程が上がり、弦を緩めれば音程が下がる、と理解します。
初めて手にしたチェロの音程が大幅にずれていて、現在どの音になっているか判断できない場合は、無理にペグで音程を上げ続けないようにしてください。経験者やチェロを習える音楽教室の教師、弦楽器専門店など、状態を確認できる人へ相談する方が安全です。
ペグが何度も滑って戻る場合は、摩擦式ペグが十分に固定されていない可能性があります。また、ペグそのものの状態や温度・湿度などが影響する場合もあります。頻繁に滑る、極端に固い、操作しても安定しないといった状態なら、力任せに操作するのは避けましょう。
弦を調整するときは、顔を弦へ近づけすぎないことも大切です。万一弦が切れた場合に備え、弦の正面へ顔を近づけた状態で強く張ることは避けます。
また、ペグを一度に大きく回さず、音を確認しながら少しずつ動かしてください。弦交換直後は弦が伸びて音程が下がりやすく、合わせても再び低くなる場合があります。この場合は、何度か再調弦を行いながら安定するのを待ちます。
調弦後は駒の傾きも確認する
チェロを調弦すると、弦と駒の摩擦によって駒の上部が引っ張られ、徐々に傾く場合があります。そのため、音程を合わせるだけでなく、調弦後には駒の状態も確認することが大切です。
一般的なチェロでは、駒のテールピース側の面が表板に対しておおむね直角になっているか、駒の足が表板へ適切に接しているかを確認します。ヤマハのビオラ・チェロ取扱説明書でも、調弦や弦交換の際に駒の位置と角度を確認するよう案内されています。
特にペグを使って弦の張力を大きく変えたときや、弦交換をしたときには、駒が弦に引っ張られる可能性があります。チューニングが完了したからといって、音程だけを見て作業を終えないようにしましょう。
調弦後は4本の音程と駒の状態を確認することを一連の作業として覚えておくと安心です。
駒が傾いた状態を放置すると、音響への影響だけでなく、駒の変形や転倒、楽器損傷の原因になる可能性があります。
ただし、大きく傾いている駒を、弦を強く張った状態で初心者が無理に動かすのは避けた方が安全です。駒の状態や修正方法は楽器によっても状況が異なるため、不安がある場合は教師や弦楽器専門店へ相談してください。
チェロの調弦は一度合わせれば終わりというものでもありません。新品の弦がまだ伸びている場合、温度や湿度が変化した場合、楽器を移動した場合などには音程が変化します。
木製ペグが滑っている場合や、ペグが十分に固定されていない場合にも音程は下がります。また、弦交換を行った直後は新しい弦が伸びるため、何度か調弦し直す必要が生じます。
季節や環境の変化による影響を完全に避けることは難しいため、「昨日合わせたから今日は大丈夫」と考えるのではなく、演奏を始める前に毎回チューニングを確認する習慣をつけることが大切です。
チェロ調弦のよくある質問
チェロのチューニングは何の音ですか?
標準的な4弦チェロは、低い方からC2・G2・D3・A3に合わせます。日本語の音名ではド・ソ・レ・ラです。高い方から見ればA・D・G・Cとなります。
弦番号では一般に、1弦がA、2弦がD、3弦がG、4弦がCです。チューナーを使うときは、各開放弦を鳴らして対応する音名が表示されているか確認します。
チェロは5度調弦ですか?
はい。標準的な4弦チェロでは、C-G、G-D、D-Aの各開放弦が完全5度の関係になっています。そのため、チェロは5度調弦の楽器です。
初心者は各開放弦をチューナーで個別に合わせれば調弦できます。慣れてきたら、隣接する弦を鳴らして完全5度の響きも確認するとよいでしょう。
440Hzと442Hzのどちらにすればよいですか?
個人練習で特別な指定がなければA4=440Hzを基準にできます。レッスンや合奏では、教師や演奏団体、合わせるピアノなどの基準音高を優先します。
チェロそのものに「必ず440Hz」「必ず442Hz」という決まりがあるわけではありません。重要なのは、一緒に演奏する楽器どうしで基準音高を統一することです。
442Hzの方が正しいのですか?
一律に442Hzの方が正しいわけではありません。440Hzは国際的な標準として用いられていますが、実際のオーケストラや演奏環境では442Hzなど別の基準音高が採用される場合があります。
そのため、個人練習では指定がなければ440Hzを基本とし、合奏ではその場の指定に合わせると考えると分かりやすいでしょう。
チェロのA線は440Hzですか?
いいえ。チェロの開放A線はA3です。A4=440Hzを基準にした場合、A3は1オクターブ下なので220Hzになります。
「A=440Hz」という表記は、基準となるA4が440Hzという意味です。チェロのA線を440Hzへ合わせるという意味ではありません。
442Hzの場合、チェロのA線は何Hzですか?
A4=442Hzを基準にした場合、1オクターブ下のA3は221Hzです。ほかの弦も442Hz基準に応じて周波数が変わり、D3は約147.50Hz、G2は約98.44Hz、C2は約65.70Hzとなります。
各弦へ一律に2Hzを加えるわけではない点に注意してください。チューナーではA4の基準値を442Hzへ変更したうえで、それぞれC・G・D・Aへ合わせます。
無料アプリでもチェロをチューニングできますか?
スマートフォンのマイクを利用するクロマチックチューナーや、チェロに対応した無料アプリがあります。開放弦を鳴らし、音名と音程のずれを画面で確認できるタイプなら、チェロの調弦にも利用できます。
ただし、無料で利用できる範囲や料金体系、広告、対応OS、基準ピッチ変更などの機能はアップデートによって変わる可能性があります。導入時にはアプリストアの最新情報を確認してください。
440Hzだけでなく442Hzを使う可能性がある場合は、A4の基準ピッチを変更できるかもアプリ選びの確認ポイントになります。
ペグとアジャスターはどちらを使えばよいですか?
音程のずれが小さい場合はアジャスター、大きくずれている場合はペグを使うのが基本です。初心者は、目標音付近ではアジャスターを中心に微調整すると扱いやすいでしょう。
アジャスターが締め切られて調整できない場合には、ペグ側で大まかに調整し、アジャスターの可動範囲を戻します。ペグは音程を大きく変えるため、現在の音をチューナーで確認しながら少しずつ操作してください。
ペグを回しても元に戻るのはなぜですか?
一般的な木製ペグは摩擦によって固定されるため、十分に固定されていないと手を離したときに戻る場合があります。ペグの状態や温度、湿度などが影響している可能性もあります。
頻繁に滑る場合や、反対に極端に固くて動かない場合は、無理に力を加えず専門家に確認してもらう方法があります。力任せに操作して解決しようとしないことが大切です。
毎回チューニングする必要がありますか?
チェロは温度や湿度、弦の伸び、移動、ペグの状態などによって音程が変化するため、演奏前に確認するのが基本です。
特に弦を交換した直後は、新しい弦が伸びることで音程が下がりやすくなります。前回正しく合わせていても、次に演奏するときには再度確認しましょう。
チューニング後にもう一度確認するのはなぜですか?
1本の弦の張力を変えると楽器全体の張力バランスが変化し、すでに合わせた弦の音程がわずかに動くことがあるためです。
4本を合わせたあと、C・G・D・Aをもう一巡して確認すると、途中で変化した弦を修正できます。A線から合わせる場合もC線から合わせる場合も、最後の再確認を行うことが大切です。
調弦後はどこを確認すればよいですか?
C・G・D・Aの4本の音程に加えて、駒が大きく傾いていないか、適切な位置や角度を保っているかも確認します。
駒が明らかに傾いている場合は、初心者が弦を強く張った状態で無理に直すのは避けてください。状態に不安がある場合は、教師や弦楽器専門店などへ相談する方が安全です。
まとめ
一般的な4弦チェロは、低い音からC2・G2・D3・A3に調弦します。日本語の音名ではド・ソ・レ・ラです。隣り合う弦はすべて完全5度なので、チェロは5度調弦の楽器です。
A4=440Hzを基準にする場合、チェロのA線A3は220Hzです。「440Hz」という数字はチェロのA線そのものの周波数ではなく、基準となるA4の周波数を表しています。442Hzの場合も考え方は同じで、チェロのA3は221Hzになります。
440Hzと442Hzのどちらが常に正しいというものではありません。個人練習で特別な指定がなければ440Hzを基本にでき、レッスン、オーケストラ、室内楽、ピアノとの合奏などでは、その場で指定された基準音高を優先します。
チューナーアプリで442Hzを使う場合は、弦の音名を変えるのではなく、A4の基準ピッチを442Hzへ設定します。C・G・D・Aという4本の開放弦の音名は変わりません。
初心者が調弦するときは、チューナーやチューナーアプリで開放弦を1本ずつ確認し、目標音付近ではアジャスターを使って微調整する方法が分かりやすいでしょう。音程が大きくずれている場合にはペグを使用しますが、現在の音名を確認せず急激に弦を張ることは避けてください。
低いC線をアプリが認識しにくい場合は、静かな環境にして一定の音を鳴らし、針だけでなく表示される音名も確認します。それでも安定しない場合には、クリップ式チューナーなど楽器の振動を利用する方法も選択肢になります。
そして、4本を合わせたら必ずもう一度全弦を確認します。1本の弦を調整した影響で、先に合わせた弦の音程がわずかに変化することがあるためです。
最後に駒の傾きや状態も確認してください。正しい音名・基準音高・安全な調整方法をセットで覚えることで、チェロのチューニングを落ち着いて進めやすくなります。

