ギターチューニングがすぐ狂う原因|直し方と確認ポイントを解説

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ギターチューニングがすぐ狂う原因|直し方と確認ポイントを解説

ギターをチューナーで合わせたはずなのに、少し弾いただけで音程がずれる。6弦だけ表示が安定しない。3弦だけ何度合わせても狂う。開放弦は合っているのに、コードを押さえたり高いポジションへ移動したりすると音痴に聞こえる。こうした症状が続くと、「ペグが壊れているのでは」「ギターそのものに問題があるのでは」と不安になりやすいものです。

しかし、ギターのチューニングが狂う原因はペグだけではありません。弦の状態、弦の巻き方、ナット、ブリッジ、トレモロ、チューナーの設定、温度や湿度の変化、弦高、押弦方法など、複数の要因が関係します。

大切なのは、最初から部品交換へ進むのではなく、症状を切り分けることです。特に、演奏中に開放弦そのものがずれていく「チューニングの安定性」と、開放弦は合っているのに12フレット付近やコードで音程がずれる「オクターブチューニング」は別の問題として考える必要があります。

さらに、「そもそもチューナーの表示が安定せず、正しく合わせられない」というケースもあります。この場合はギター側の故障ではなく、チューナーのモードや基準ピッチ、周囲の音、倍音、ピッキングの強さ、電池残量などが原因になっていることがあります。

この記事では、初心者でも確認しやすい順番で、ギターのチューニングが狂う原因と対処法を整理します。6弦や3弦だけ合わない場合、オクターブチューニングが必要な場合、自分で対処できる範囲と修理を相談したほうがよい範囲まで、ひとつずつ確認していきましょう。

  • ギターのチューニングがすぐ狂う主な原因
  • 新品弦や古い弦でチューニングが安定しない理由
  • 6弦だけチューナーに合わないときの確認方法
  • 3弦だけ頻繁に狂うときの確認方法
  • オクターブチューニングの意味と確認方法
  • 自分で直せる範囲とリペア店へ相談したい症状

ギターチューニングが狂う原因

ギターのチューニングが狂うときは、いきなりペグやブリッジを交換するより、まずどのように狂っているのかを整理することが大切です。

症状は大きく分けると、次の3つです。

  1. 合わせた直後は合っているが、演奏すると音程が変わる
  2. 開放弦は合っているが、12フレット付近やコードでずれる
  3. チューナー表示が安定せず、そもそも正しく合わせられない

1つ目は、弦の伸び、弦の巻き方、ナット、ペグ、ブリッジ、トレモロなどに関係する「チューニングの安定性」の問題です。

2つ目は、オクターブチューニング、弦高、ナット高、押弦方法、フレットやセットアップの状態などを確認する必要があります。

3つ目は、チューナー側の設定や測定方法を先に確認したほうが効率的です。

最初に「開放弦そのものが変わるのか」「フレット上だけずれるのか」「測定自体が不安定なのか」を切り分けると、原因を探しやすくなります。

新品弦と古い弦を確認する

最初に確認したいのが弦の状態です。チューニングの問題では、部品交換を考える前に弦を見るだけで原因を絞り込めることがあります。

弦を張り替えた直後なら、チューニングが下がるからといって、すぐに故障を疑う必要はありません。新品の弦はペグやブリッジ周辺になじむまで張力が変化しやすく、張った直後は音程が下がることがあります。

新品弦に交換した場合は、いったんチューニングしたあと、弦を傷めない程度に軽くなじませ、再びチューニングします。この作業を何度か繰り返し、音程が落ち着くか確認します。

特に交換直後は、6本すべて合わせても、最初に合わせた弦へ戻ると少し下がっていることがあります。これは弦そのものの伸びだけではなく、ペグやブリッジ付近で弦がなじんでいく過程も関係します。

弦を強く引っ張れば早く安定するというものではありません。必要以上に強く引くと弦を切ったり、ギターへ不要な負担をかけたりする可能性があるため、無理は禁物です。

また、ナイロン弦はスチール弦よりも落ち着くまで時間がかかりやすい傾向があります。そのため、張り替え直後に何度か音程が下がること自体を、すぐ異常と判断する必要はありません。

反対に、長期間使った弦もチューニングやイントネーションが不安定になる原因になります。

弦は演奏による摩耗、汗や汚れ、腐食、フレットとの接触による変形などが少しずつ進みます。見た目では大きな異常がなくても、フレットに当たる部分が平らにつぶれていたり、巻弦の表面に傷みが出ていたりすると、正しい音程へ戻りにくくなることがあります。

弦を見たときに錆がある、触るとザラつく、変色が目立つ、フレットに当たる部分が平らになっている、といった状態なら交換を検討しましょう。

「全部の弦ではなく、6弦だけ」「3弦だけ」といった症状なら、その1本だけ状態の良い弦へ交換して変化を見る方法もあります。交換後に症状が消えれば、弦そのものが原因だった可能性を絞り込めます。

「新品なのに狂う」と「古くなって狂う」は、どちらも起こり得ます。交換直後なら弦がまだなじんでいない可能性を確認し、長期間使っているなら劣化を疑う、という順番で考えるとわかりやすいです。

弦の巻き方と固定を確認する

弦そのものに大きな問題がなければ、次にペグへの巻き方とブリッジ側の固定を確認します。

一般的なペグでは、弦がポスト部分で滑ると演奏中に張力が変化し、音程が下がることがあります。弦交換のあとから特定の弦だけ不安定になった場合は、弦の巻き方が適切かを確認する価値があります。

巻きが不規則に重なっている、巻き数が極端、弦がポスト上で滑っている、といった状態では安定しにくくなる場合があります。

ただし、必要な巻き数はペグの構造や弦の太さによって異なります。「多く巻けば巻くほど安定する」という考え方は避けましょう。

一般的なペグでは、弦がポストへ適切に巻かれ、巻きが極端に重ならず収まっていることを確認します。ロック式ペグでは一般的なペグほど多く巻く必要がない製品もあるため、使用しているペグの指定方法を優先してください。

また、ペグ側だけでなくブリッジ側の固定も重要です。

アコースティックギターでは、ブリッジピン式の場合に弦のボールエンドが適切な位置へ収まっていないと、弦に張力をかける途中で位置が変わり、急に音程が下がることがあります。

弦交換後に「最初は合っていたのに、突然大きく下がった」という場合は、ボールエンドがブリッジプレート側へ正しく座っているか確認したいところです。

アコースティックギターを始めたばかりで、弦高やネック、ボディサイズなど楽器そのものの選び方も確認したい場合は、アコギ初心者向けの1本目の選び方も参考にしてください。

エレキギターでも、ブリッジやテールピース部分で弦が正しく収まっているかを確認します。弦が溝や固定部分から不自然に外れていないか、弦を通す方向がそのギターの構造に合っているかを見てください。

弦交換後だけ症状が出たなら、ギター本体の故障より先に「弦の固定」を確認すると、余計な調整を避けやすくなります。

ナットとペグの状態を確認する

弦と巻き方を確認してもチューニングが安定しない場合は、ナットとペグを見ていきます。

ナットは、ヘッド側で弦を支え、各弦の位置を決めている部品です。ナット溝が弦に対して狭すぎる、形状が適切でない、摩擦が大きい、といった状態では、ペグを回しても弦がスムーズに移動できません。

代表的な症状が、チューニング中に聞こえる「ピキッ」「カキッ」といった音です。

ペグを少し回しても音程がなかなか動かず、ある瞬間に急に大きく変化する場合は、ナット部分で弦が引っ掛かっている可能性があります。

また、ベンドをしたあとに音程が戻らない、トレモロアームを使ったあとに特定の弦だけずれる、といった症状でも、ナットの摩擦が関係している場合があります。

特に、弦のゲージを太く変更した直後からチューニングが不安定になった場合は注意が必要です。以前の細い弦に合わせたナット溝へ太い弦を入れると、溝が狭くなり、弦が引っ掛かることがあります。

適切なナット用潤滑剤で摩擦を減らせる場合もありますが、ナット溝を削る作業は別です。

ナットは削りすぎると元へ戻しにくい部品です。溝を広げたり深くしたりする加工が必要そうな場合は、不慣れな状態で無理に削らず、リペア店などの専門家へ相談するほうが安全です。

ペグについては、取り付け部の明らかな緩み、ガタ、空回り、異常な引っ掛かりなどがないかを確認します。

長期間使用したペグでは内部ギアが摩耗したり、部品が傷んだりする可能性はあります。ただし、「チューニングが狂う=ペグが故障している」とすぐ判断するのはおすすめできません。

まず弦、巻き方、ナットを確認し、それでも改善しない場合にペグ本体の状態を見ると効率的です。

ペグの取り付けナットやネジが緩んでいる場合もありますが、過度に締め付けると部品や木部を傷める可能性があります。構造が分からない場合は、無理に強く締めないようにしてください。

ロック式ペグへ交換すれば必ず解決するわけでもありません。ロック式ペグは弦を固定しやすく、ポストへの巻き数を減らせるため、弦の取り付けに関係する不安定さを減らしやすいという特徴があります。

一方で、ナットで弦が引っ掛かっている場合や、トレモロのバランスに原因がある場合は、ペグだけ交換しても根本的な原因は残ります。

また、ストラトキャスター系などのフローティング式トレモロでは、1本の弦をチューニングすると全体の張力バランスが変わり、ほかの弦の音程も少し動くことがあります。

このタイプでは、6弦から1弦まで一度合わせただけでは終わらず、再び6弦へ戻って全弦を何度か確認する必要がある場合があります。

エレキギターはブリッジ構造によって弦交換やチューニングのしやすさも変わります。これから1本目を選ぶ段階なら、エレキギター初心者向けの選び方でブリッジや弾きやすさの違いも確認できます。

弦のゲージを変更したり、通常とは違うチューニングへ変えたりすると、トレモロとスプリングの張力バランスも変化します。その結果、以前は安定していたギターでも調整が必要になることがあります。

温度や湿度の変化も無視できません。寒い場所から暖かい室内へ移動した直後や、ライブ会場へ到着した直後などは、弦や楽器本体の状態が変化し、最初に合わせた音程から動くことがあります。

演奏場所へ移動したときは、到着直後だけでなく、楽器が室温になじんだあとにも再チューニングすると安心です。

正しいチューニング方法

ギター本体に問題があるように感じても、実際にはチューナーの設定や測り方が原因ということがあります。

特に6弦のような低音弦では、鳴らし方、倍音、ほかの弦の共振などによって表示が落ち着かない場合があります。部品を疑う前に、基本的なチューニング方法も確認しておきましょう。

チューナー設定と音名を確認する

一般的な6弦ギターのレギュラーチューニングは、太い6弦から順番にE-A-D-G-B-Eです。

弦 音名 A4=440Hz・12平均律を基準にした代表的な周波数
6弦 E2 約82.41Hz
5弦 A2 110.00Hz
4弦 D3 約146.83Hz
3弦 G3 196.00Hz
2弦 B3 約246.94Hz
1弦 E4 約329.63Hz

これらの周波数はA4=440Hz、12平均律を基準にした代表値です。チューニングするときは数字だけを見るのではなく、まずチューナーが正しい音名を認識しているか確認してください。

6弦ならE、5弦ならA、4弦ならD、3弦ならG、2弦ならB、1弦ならEです。

チューナーによっては、ギター用モード、クロマチックモード、ベースモード、ウクレレモードなどを切り替えられます。意図しないモードになっていると、表示の意味を取り違える可能性があります。

キャリブレーション機能があるチューナーでは、A4の基準値が意図せず440Hz以外へ変更されていないかも確認します。また、半音下げなどに使うフラット機能がオンになっていないかも見てください。

基本的な手順は、6弦から1弦へ1本ずつ鳴らし、目標の音へ合わせていく方法です。

  1. 周囲の騒音をできるだけ減らす
  2. チューナーのモードを確認する
  3. A4の基準ピッチを確認する
  4. フラット設定が意図せず入っていないか確認する
  5. 6弦Eから1弦Eまで1本ずつ合わせる
  6. 測る弦以外は必要に応じてミュートする
  7. 全弦を合わせたあと、もう一度6弦から確認する

弦を鳴らすときは、強く叩きつけるように弾かず、普段に近い安定した強さで単音を鳴らします。音の立ち上がりだけではなく、少し音が持続したところの表示を見ると判断しやすくなります。

一般的なペグでは、目標音より低い側から音程を上げながら合わせる方法があります。高くしすぎた場合は、いったん少し低いところまで戻し、再び上げながら目標へ合わせます。

これは、ペグや弦周辺に残る遊びを減らしながら合わせるためです。

6本すべてを合わせ終えたら、それで終了せず、もう一度6弦へ戻って全弦を確認してください。

特にフローティング式トレモロを搭載したギターでは、1本の弦の張力を変えるとブリッジ位置が変わり、ほかの弦にも影響します。そのため、6弦から1弦へ1周しただけでは完全に合わず、何周か繰り返す必要がある場合があります。

表示が安定しないときの対処法

チューナーの針や表示が左右へ動き続ける場合は、ギターの故障と決めつけず、測定条件を整えてみましょう。

まず確認したいのは、チューナーの電池です。電池が弱っていると正常に動作しない可能性があるため、表示が不自然なときは確認しておくと安心です。

次に、モード、基準ピッチ、フラット設定を確認します。

そのうえで、測りたい弦以外を軽くミュートしてください。ギターでは弾いていない弦も共振することがあり、その振動や倍音をチューナーが拾うと表示が落ち着かない場合があります。

ピッキングの強さも大切です。強く弾きすぎると音の立ち上がりでピッチが変化し、表示が揺れやすくなることがあります。適度な強さで鳴らし、少し音が落ち着いたところを確認しましょう。

クリップ式チューナーなら、ヘッドなど振動を拾いやすい場所へ確実に取り付けます。取り付け位置によって反応が変わる場合は、ヘッドの別の場所へ付け直して反応を比べます。

周囲が騒がしい場所では、楽器本体の振動を直接検出するクリップ式は、内蔵マイクで周囲の音まで拾う方式より影響を受けにくい場合があります。

アコースティックギターをチューナー内蔵マイクで測っている場合は、テレビ、会話、ほかの楽器などの音を拾って表示が安定しないことがあります。静かな環境へ移動してから確認してみてください。

エレキギターなら、ケーブル接続式のチューナーやチューナーペダルを使うことで、周囲の音の影響を受けにくくできます。

チューナーを買い替えれば必ず直るわけではありません。表示だけが不安定ならチューナー側を確認する価値がありますが、弦が滑る、ナットで引っ掛かる、ブリッジが動くといった物理的な問題は、チューナーを替えても解決しません。

別の正常なチューナーを使えるなら、同じ弦を測って表示を比較するのも原因切り分けに役立ちます。

6弦のチューニングが合わない原因

「ほかの弦は合うのに6弦だけチューニングできない」「6弦だけチューナーの表示がふらつく」という場合は、まず低音弦ならではの測定条件から確認します。

標準チューニングの6弦はLow E、つまりE2です。A4=440Hzを基準にすると代表的な周波数は約82.41Hzになります。

6弦だけ合わないときの確認順

6弦は低い音で、鳴らしたときにさまざまな倍音も含まれます。そのため、チューナーによっては表示がふらつくことがあります。

最初に、ほかの5本の弦を軽くミュートし、6弦だけを単音で鳴らしてください。

強く弾きすぎると表示が不安定になる場合があるため、普段に近い適度な強さで弾きます。音を鳴らした瞬間だけではなく、少し音が落ち着いたところでチューナーを確認してください。

チューナーの表示が「E」になっているかも必ず確認しましょう。

ここで注意したいのは、Eという音名だけを頼りに弦をどんどん締め上げないことです。Eという音は異なる高さにも存在します。現在の弦の張り具合や音域が分からないまま「Eが出るまで締める」という操作をすると、必要以上に張力をかける危険があります。

通常の6弦Eから大きく低い状態に感じる場合は、いきなり強く巻き上げず、現在の音名と弦の張り具合を確認しながら慎重に合わせてください。

測り方を変えても6弦だけ不安定なら、次に弦の状態を確認します。

弦交換直後であれば、新品弦がまだなじんでいない可能性があります。軽くなじませながらチューニングを繰り返し、改善するか確認してください。

反対に、長期間使った6弦だけ不安定なら、巻線の劣化、腐食、汚れ、フレットとの接触による変形などを確認します。

状態が判断しにくければ、6弦だけ新しい弦へ交換して症状が続くかを見る方法もあります。

弦に問題がなければ、ペグポストで滑っていないか、巻き方が不自然になっていないかを確認します。

さらに、弦ゲージを太く変更してから6弦の調子がおかしくなった場合は、ナット溝との適合も重要です。ナット溝が6弦に対して狭いと、弦がスムーズに動かず、チューニング中に音程が急に飛ぶことがあります。

ペグを回したときに「ピキッ」という音がするなら、ナットでの引っ掛かりを疑う材料になります。

そして、開放6弦はEに合っているのに、12フレット付近だけ音程がずれるなら、通常のチューニング安定性ではなくオクターブチューニングを確認します。

6弦だけ合わない場合は、「チューナーが低音を正しく拾えているか」→「Eを認識しているか」→「弦の状態」→「巻き方」→「ナット」→「12フレットの音程」の順番で見ると、原因を整理しやすくなります。

また、フローティングトレモロを搭載したギターでは、6弦を合わせることでほかの弦の張力バランスが変わり、結果として6弦も再び少し動く場合があります。

6弦だけを何度も追い込むのではなく、6本全体を何周か確認しながら合わせることも必要です。

3弦のチューニングが狂う原因

「3弦だけすぐ狂う」「3弦だけ合わせにくい」という場合も、いきなりギターの構造上仕方がないと考える必要はありません。

標準チューニングの3弦はG3です。A4=440Hzを基準にした代表値では196Hzになります。

3弦のナットと巻き方を確認する

エレキギター用の弦セットでは3弦がプレーン弦になっているものが多くありますが、セットによっては巻弦も存在します。

プレーンG弦では、ペグを少し動かしたときのピッチ変化を大きく感じ、微調整しづらい場合があります。

ただし、「3弦はギターなら必ず狂いやすいから仕方がない」という考え方は適切ではありません。大きく頻繁に狂う場合は、原因をひとつずつ確認する必要があります。

3弦だけ頻繁に狂うなら、まず弦そのものの状態を確認します。

古い弦であれば交換を検討し、新品へ交換した直後ならまだ十分になじんでいない可能性を見ます。状態が分からない場合は、3弦を交換して同じ症状が出るかを確認すると切り分けやすくなります。

次に、ペグポストへの巻き方を確認します。巻きが不規則に重なっていないか、ポスト部分で滑っていないかを見ます。

そして3弦で重点的に確認したいのが、ナット部分での引っ掛かりです。

チューニング中、ペグを回しているのに音程がほとんど動かず、突然「ピキッ」という音と一緒に大きく変化する場合は、ナット溝の摩擦を疑う材料になります。

ベンドしたあとに3弦だけシャープしたまま、あるいはフラットしたままになる場合も、ナットやペグ周辺で弦が滑らかに移動できているか確認してください。

ギターによってヘッド形状や、ナットからペグまで弦が進む角度は異なります。そのため、すべてのギターで3弦に同じ問題が起きるとは限りません。

特定のギターで3弦だけ問題が続くなら、「3弦だから仕方ない」と決めつけず、そのギターの弦、ナット、巻き方を確認するほうが適切です。

また、開放Gは正確に合うのに12フレットのGだけずれる場合は、ナットやペグによる「演奏中の狂い」とは分けて考えます。その場合は次に説明するオクターブチューニングを確認しましょう。

オクターブチューニングの確認方法

チューナーで開放弦をきれいに合わせたのに、コードを弾くと濁る。高いポジションへ行くほど音程がおかしく感じる。12フレット付近でチューナーを見ると、開放弦とは違うずれ方をする。このような場合に確認したいのがオクターブチューニングです。

オクターブチューニングは「イントネーション」とも呼ばれ、開放弦を正しく合わせたとき、フレット上の音程も適切になるよう実際の弦長を補正する調整です。

弦には太さや材質があり、実際に押弦するとわずかに伸ばされます。弦高や押弦の強さも音程へ影響します。そのため、理論上のスケール長だけで全弦のフレット上の音程が自動的に完全一致するわけではありません。

一般的なエレキギターでは、ブリッジサドルを前後させて弦ごとの実効弦長を調整します。

ここは非常に大切ですが、オクターブチューニングが狂っていることと、演奏中に開放弦そのものがどんどん狂うことは別問題です。

弦が滑る、弦が伸びる、ナットで引っ掛かる、といった症状をオクターブ調整だけで解決することはできません。

12フレットで音程を比較する

オクターブチューニングを確認するときは、まず状態の良い弦を使用し、普段演奏するときに近い状態でギターをセットアップします。

古く傷んだ弦では正確に合わせにくくなるため、弦の状態に不安があるなら、調整前に交換を検討してください。

最初に開放弦を正確にチューニングします。

次に、12フレットのハーモニクスと、12フレットを普通に押さえて出した音をチューナーで比較します。

12フレットのハーモニクスは、開放弦の1オクターブ上の基準として利用できます。そのハーモニクスと実際の12フレット押弦音との差を見ることで、フレット上の音程がずれていないか確認できます。

ここで「12フレットのハーモニクスと開放弦が別の音になっている」と考える必要はありません。理想的には12フレットのハーモニクスは開放弦の1オクターブ上です。比較の中心は、12フレットのハーモニクスと12フレット押弦音の差です。

両者がほぼ同じなら、その弦のイントネーションはおおむね適切と考えられます。

比較するときは、押弦の力にも注意してください。

必要以上に強く押さえると弦が引き伸ばされ、音程がシャープすることがあります。特に高さのあるフレットでは、強い押弦の影響を感じる場合があります。

普段演奏するときと同じ程度の力で押さえ、弦を横方向へ押し曲げないようにしましょう。

また、弦高が高い場合も、押弦時に弦を大きく動かすためシャープしやすくなることがあります。

ローポジションだけ音程が高く感じるなら、ナット側の弦高が高い可能性も考えられます。つまり、「開放弦は合うのにコードが濁る」という症状が、必ずしもオクターブ調整だけで直るとは限りません。

オクターブチューニングだけですべての音程問題が直るとは限りません。ネックの反り、弦高、ナット高、フレットの状態、押弦方法などもフレット上の音程へ影響します。

ギターは固定されたフレットを使う平均律の楽器です。そのため、すべてのコード、すべてのポジションで各音の周波数比が完全に純正になる構造ではありません。ごくわずかな響きの違いまで、必ず故障と判断する必要はありません。

サドル調整の方向を判断する

一般的な可動式サドルを持つエレキギターでは、12フレットの押弦音とハーモニクスを比較しながら、サドルを前後させて実際の弦長を調整します。

12フレットの押弦音がハーモニクスより高い、つまりシャープしている場合は、一般的には弦長を長くする方向へサドルを動かします。

反対に、12フレットの押弦音が低い、つまりフラットしている場合は、弦長を短くする方向へ調整します。

12フレット押弦音 一般的な可動式サドルでの考え方
ハーモニクスより高い(シャープ) 弦長を長くする方向へ調整
ハーモニクスより低い(フラット) 弦長を短くする方向へ調整
ほぼ同じ 大きな調整は不要

ただし、サドルを動かすと開放弦の音程も変わります。そのため、一度動かして終わりではありません。

「サドル調整→開放弦を再チューニング→12フレットを再確認」という流れを繰り返し、少しずつ合わせていきます。

調整前には、弦の状態、ネックの反り、弦高なども確認しておく必要があります。セットアップ全体が大きく崩れている場合、オクターブだけを合わせても、あとから弦高やネックを調整したことで再びずれる可能性があります。

弦のゲージや種類を変えたあとも、再確認する価値があります。弦の太さや材質が変わると、同じギターでも適切な補正量が変わる場合があるためです。

ブリッジの構造はギターによって異なります。6本の弦をそれぞれ独立して調整できるタイプもあれば、ヴィンテージタイプの3サドル式のように、2本の弦で1つのサドルを共有する構造もあります。

2本の弦でひとつのサドルを共有するタイプでは、6サドル式と同じように各弦を完全に独立して動かすことはできません。

アコースティックギターでは、さらに事情が異なります。多くのモデルはエレキギターのように各弦のサドルをネジで前後させる構造ではありません。

一体型サドルの場合、イントネーションを修正するためにサドルの加工や交換が必要になるケースがあります。

ナットやサドルを削る作業は元に戻しにくいため、方法に自信がない場合は無理に加工しないでください。正確な調整方法は使用しているギターやブリッジの仕様に従い、判断できない場合は専門家へ相談するのが安全です。

自分で直せる範囲と修理の目安

ギターのチューニングが狂う原因には、自宅で比較的簡単に確認できるものと、専門的な調整が必要なものがあります。

初心者が最初からナットを削ったりトラスロッドを回したりする必要はありません。まずは元に戻しやすく、原因を切り分けやすい項目から確認していきましょう。

症状 最初に確認したいこと
全弦が少しずつ下がる 新品弦の伸び、温度変化、フローティングブリッジ
特定の1本だけ下がる 弦の状態、巻き方、固定、ペグ
ベンド後だけ狂う ナット、ストリングツリー、トレモロ周辺
ペグを回すと音程が急に飛ぶ ナットでの弦の引っ掛かり
6弦だけ表示がふらつく ミュート、ピッキングの強さ、チューナー設定
3弦だけ頻繁に狂う 弦、巻き方、ナットの摩擦
開放弦は合うが12フレットでずれる オクターブチューニング
ローポジションのコードだけ高く聞こえる ナット高、弦高、押弦の強さ
アームを使うと全体が狂う ナット、トレモロ、スプリングバランス
カポを付けると高くなる カポの位置と圧力

自分で確認しやすい項目は次のとおりです。

  • チューナーのモードを確認する
  • A4基準ピッチを確認する
  • フラット設定を確認する
  • 電池残量を確認する
  • 正しい音名を確認する
  • 古い弦を交換する
  • 新品弦を適切になじませる
  • 弦の巻き方を確認する
  • 弦がブリッジ側で正しく固定されているか確認する
  • 測る弦以外をミュートする
  • 全弦を複数回チューニングする
  • カポの位置と圧力を確認する
  • 押弦の力が強すぎないか確認する

これらは、比較的原因を切り分けやすく、確認しても大きな加工を伴わない項目です。

クリップ式チューナーを使っているなら、取り付け位置を変える、ほかの弦をミュートする、少し弱めに単音を鳴らす、といった方法も試せます。

カポを使ったときだけ音程が高くなるなら、フレットから離れすぎた位置に装着していないか、必要以上に強い圧力で弦を押し込んでいないかを確認してください。

カポを取り付けるときに弦を横方向へ引っ張ってしまうと、その時点でチューニングが変わることもあります。装着後に必要に応じて再チューニングしてください。

演奏方法も無関係ではありません。必要以上に強く押弦すると音程が高くなることがあります。

特に、開放弦は合っているのに、自分でコードを押さえたときだけ音が高く感じるなら、フレットのすぐ後ろを必要最小限の力で押さえられているか確認してみましょう。

弦を横方向へ押し曲げながらコードを押さえている場合も、意図せず音程が変わることがあります。

押弦の強さやフォームを自分だけで判断しづらい場合は、講師や日時を選びながらマンツーマンで演奏を見てもらえるEYS音楽教室のレッスン内容を確認してみる方法もあります。

温度変化もチューニングへ影響します。寒い場所から暖かい部屋へ楽器を移動した直後などは、弦やギター本体の状態が変化するため、最初に合わせても再び音程が変わることがあります。

スタジオや演奏場所へ移動したときは、到着直後だけでなく、楽器が周囲の環境になじんだあとにも再確認すると安心です。

季節による環境変化でネック状態が変われば、弦高やイントネーションにも影響する場合があります。

一方、次のような症状はリペア店へ相談したほうがよい目安です。

  • ナット溝を削る必要がありそう
  • ペグのギアに明らかな異常がある
  • ナットやサドルの交換が必要そう
  • ネックに大きな反りやねじれが見られる
  • フレット摩耗が大きい
  • 複数の弦で特定ポジションだけ極端に音程がずれる
  • トレモロが正しい位置へ戻らない
  • ブリッジやナットに破損が見える
  • 状態の良い弦と正常なチューナーを使っても改善しない
  • アコースティックギターのサドル加工が必要そう

トレモロを使ったときだけ大きく狂う場合は、通常演奏時のチューニング不良とは分けて考えます。

ナットやストリングツリーで弦が引っ掛かっている、トレモロ支点に問題がある、ブリッジとスプリングのバランスが適切でない、弦の張り方が合っていない、といった複数の原因が考えられます。

フロイドローズなどのロッキングトレモロでは、通常のペグだけで合わせ続けるのではなく、その構造に合った手順で調整する必要があります。

また、エレキギターではピックアップが弦へ極端に近い場合、構造によっては弦振動へ影響する可能性があります。メーカー推奨状態から大きく外れている場合は、セットアップ全体を確認する必要があります。

アコースティックギターでは、ブリッジピン式の弦固定や一体型サドルの状態を確認します。オクターブ調整が必要でも、エレキギターのようにネジ1本で各弦を独立して前後できないケースが多いため、サドル加工や交換が必要なら専門作業になりやすいです。

チューニングが狂うという理由だけで、いきなりトラスロッドを回したりナットを削ったりするのは避けましょう。トラスロッドは主にネックの反りを調整する部品です。ナット加工、ネック調整、フレット修正、サドル加工など元へ戻しにくい作業は、必要性を判断してから行うことが重要です。

ペグ交換についても順番が大切です。

ロック式ペグには、弦を確実に固定しやすく、ポスト部分の巻き数を減らしやすいという特徴があります。そのため、弦の取り付けに起因する不安定要因を減らせる場合があります。

しかし、ナットの引っ掛かり、トレモロのバランス、弦自体の問題、温度変化などまで解決する部品ではありません。

「弦→巻き方→ナット→ペグの取り付け→ブリッジ」の順で確認していくと、不要な部品交換を避けながら原因を探しやすくなります。

チューニングが安定しているかを判断するときは、単に一瞬チューナーの中央へ合ったかだけを見るのではありません。

新品弦を十分になじませたあと、通常の演奏ですぐ大きくずれない、ベンド後に大きな音程差が残らない、ペグを回したとき滑らかに音程が変わる、ナットから「ピキッ」という音が頻発しない、といった状態も確認材料になります。

ギターのチューニングに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 張り替えたばかりの弦なのにチューニングがすぐ下がるのは故障ですか?

A. 必ずしも故障ではありません。新品弦は張った直後、ペグやブリッジ周辺になじむ過程で張力が変化し、音程が下がることがあります。チューニングと軽いストレッチを何度か繰り返し、十分になじんだあとも特定の弦だけ大きく狂う場合は、弦、巻き方、ナットなどを確認してください。

Q2. 6弦だけチューナーに合わないときはどうすればいいですか?

A. まずほかの弦をミュートし、6弦だけを強く弾きすぎないように鳴らします。標準チューニングなら6弦はEです。チューナーのモード、基準ピッチ、フラット設定も確認してください。それでも不安定なら、6弦の劣化、ペグへの巻き方、ナットでの引っ掛かりなどを順番に確認します。

Q3. 3弦だけすぐ狂うのはギターの故障ですか?

A. 3弦だけ狂うからといって、すぐ故障とは判断できません。まず弦の状態、ペグへの巻き方、ナット溝での引っ掛かりを確認してください。チューニング中に「ピキッ」と音がして急に音程が動く場合や、ベンド後に3弦だけ戻らない場合は、ナット周辺の摩擦を確認する価値があります。

Q4. オクターブチューニングをすれば、演奏中のチューニングも狂わなくなりますか?

A. いいえ、この2つは別の問題です。オクターブチューニングは、開放弦を合わせたときにフレット上の音程も適切になるよう調整するものです。弦が伸びる、ペグ部分で滑る、ナットに引っ掛かるといった原因で開放弦そのものがずれる症状は、オクターブ調整だけでは解決しません。

Q5. ロック式ペグに交換すればチューニングは絶対に狂わなくなりますか?

A. 絶対に狂わなくなるわけではありません。ロック式ペグは弦を固定しやすく、巻き方に起因する不安定さを減らしやすい一方で、ナット、ブリッジ、トレモロ、弦の状態、温度変化など別の原因は残ります。交換前に弦、巻き方、ナット、ペグ取り付け、ブリッジの順で確認すると無駄な交換を避けやすくなります。

Q6. ギターは演奏するたびにチューニングしたほうがいいですか?

A. 演奏前に毎回確認するのが基本です。弾いていない間でも、温度や湿度、弦の状態などによって音程が変わることがあります。前回合わせたままだから大丈夫と考えず、演奏前に全弦を確認すると安心です。

Q7. 12フレットの押弦音が高い場合はどう調整しますか?

A. 一般的な可動式サドルを持つエレキギターでは、12フレットの押弦音がハーモニクスより高い場合、弦長を長くする方向へ調整します。サドルを動かしたあとは開放弦を再チューニングし、もう一度12フレットを比較してください。

Q8. 12フレットの押弦音が低い場合はどう調整しますか?

A. 一般的な可動式サドルでは、押弦音がハーモニクスより低い場合、弦長を短くする方向へ調整します。こちらも調整後は必ず開放弦を合わせ直し、再び12フレットを比較します。

Q9. アコースティックギターでもオクターブチューニングはできますか?

A. 調整は可能ですが、一体型サドルではエレキギターのように各弦をネジで前後できないことが多く、サドル加工や交換が必要になる場合があります。元へ戻しにくい作業になるため、必要性を判断できない場合は専門家へ相談するほうが安全です。

Q10. チューニングが狂うのでトラスロッドを回してもいいですか?

A. チューニングが狂うという理由だけで安易に回すのは避けましょう。トラスロッドは主にネックの反りを調整する部品です。まず弦、巻き方、ナット、ペグ、ブリッジ、チューナー設定などを切り分け、ネック調整が必要か判断してから対応します。

まとめ

ギターのチューニングがすぐ狂うからといって、最初から「ギターが壊れた」「ペグ交換が必要」と判断する必要はありません。

まず確認したいのは、チューナーの設定、正しい音名、弦の状態、弦の巻き方です。

新品弦なら、まだペグやブリッジ周辺になじんでおらず、何度かチューニングを繰り返す間に音程が下がることがあります。反対に、長期間使った弦では、摩耗や汚れ、腐食などによって音程が安定しにくくなる場合があります。

弦そのものに問題がなければ、次にペグへの巻き方、ブリッジ側の固定、ナットでの引っ掛かりを確認しましょう。

ペグを回したときに「ピキッ」と音がして突然音程が動く、ベンド後に音程が戻らない、といった症状があるなら、ナット周辺の摩擦を確認する価値があります。

6弦だけ合わない場合は、ほかの弦をミュートしてLow Eを適度な強さで鳴らし、チューナーが正しくEを認識しているか確認します。

そのうえで、6弦の状態、巻き方、ナットを順番に確認してください。

3弦だけ頻繁に狂う場合も、すぐ「3弦だから仕方がない」と決めつけず、弦そのもの、ペグへの巻き方、ナット部分での引っ掛かりを重点的に見ていきます。

そして、開放弦は正しく合っているのに12フレット付近やコードで音程がずれるなら、通常のチューニング安定性とは分けてオクターブチューニングを確認します。

一般的な可動式サドルでは、12フレットの押弦音がハーモニクスより高ければ弦長を長くする方向、低ければ弦長を短くする方向へ調整します。ただし、ブリッジ構造によって方法は異なるため、そのギターに合った調整手順が必要です。

また、コードだけ音程が高く感じる場合は、オクターブチューニングだけでなく、弦高、ナット高、押弦の強さ、カポの圧力なども確認してください。

原因を一度に全部触るのではなく、簡単に元へ戻せる項目からひとつずつ切り分けることが大切です。

チューナー設定や弦交換、巻き方、測定方法の確認までは自宅でも取り組みやすい一方、ナット加工、ネックの大幅な調整、フレット修正、アコースティックギターのサドル加工などは専門的な作業になります。

元へ戻しにくい加工が必要そうな場合は無理をせず、リペア店などの専門家へ相談してください。

「弦→巻き方→ナット→ペグ→ブリッジ→演奏条件→12フレットの音程」という順番でひとつずつ確認していけば、「なぜ何度合わせても狂うのか」が見えやすくなります。

まずはチューナーの設定と弦の状態から確認し、症状がどこで起きているのかを落ち着いて切り分けていきましょう。