二胡の音階を練習していると、「ドはどこを押さえるの?」「D調とF調では何が違うの?」「数字譜の1は人差し指のこと?」と迷うことがありますよね。
二胡はピアノやギターとは違い、押さえる位置に目印となるフレットがありません。そのうえ、D調・F調・A調など、調によってドレミの位置や左手の指の間隔が変わります。
楽譜に書かれた数字は読めても、指をどこに置けばよいか分からない。そんな悩みを持つ初心者の方もいるのではないでしょうか。
でも、最初からすべての運指を丸暗記する必要はありません。
大切なのは、内弦D・外弦Aと数字譜の「1=ド」の関係を理解することです。
この基本が分かれば、D調からF調へ変わったときも、どの音をどこで押さえればよいのか、順序立てて考えられるようになります。
この記事では、二胡のドレミファソラシドの仕組みから、D調・G調・F調・A調・C調・B♭調の音階、さらにE調・B調の注意点まで、初心者にも分かりやすく整理します。
音楽理論が初めての方も、久しぶりに楽器を始める方も、まずは基本の音階から確認していきましょう。
この記事で分かること
- 二胡のドレミの位置と数字譜の読み方
- D調・F調・A調などの音階と基本運指
- B調・B♭調・E調の違いと注意点
- 調によって変わる開放弦の役割
- 音程を安定させる練習方法と調の覚え方
なお、この記事では基本的に内弦D4・外弦A4の標準調弦と、長音階(メジャースケール)を前提に説明します。
短調や中国音楽の伝統的な旋法では、音の構成が異なる場合があります。また、紹介する指使いは代表的な例であり、実際の曲では音域やポジションによって変わります。
二胡の音階は「ド」の位置から理解しよう
二胡の音階を理解するうえで、最初につまずきやすいのが「ドの位置」です。
ピアノではドに対応する鍵盤が決まっていますが、二胡の数字譜では調が変わると「ド」と呼ぶ音も変わります。
この違いを知らずに運指表だけを見ると、同じ弦なのに数字が変わってしまい、混乱することがあります。
例えば、D調では内弦の開放音がドですが、F調では同じ開放音が低いラになります。実際に鳴っている音は同じDなのに、数字譜では異なる数字で表されるわけです。
この仕組みを理解しておくと、調が変わるたびに弦の音が変化するわけではないことも分かります。
まずは、二胡の2本の弦が何の音なのか、そしてドレミと数字譜がどのようにつながるのかを整理しましょう。
内弦D・外弦Aとドレミの関係
二胡には2本の弦があります。
演奏者から見て内側にある弦を内弦、外側にある弦を外弦と呼びます。
一般的な二胡の調弦は、次のようになっています。
| 弦 | 開放弦の音 | 音名 | 固定ドでの呼び方 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | D4 | D | レ |
| 外弦 | A4 | A | ラ |
開放弦とは、左手の指で弦を押さえずに鳴らす音のことです。
内弦のD4はピアノの中央ド(C4)より全音高いレ、外弦のA4は中央ドより長6度高いラに相当します。
この2音は、音楽理論では完全5度という関係になっています。
つまり、二胡の弦は基本的に内弦がD、外弦がAという組み合わせです。
ここで「二胡は内弦がド、外弦がソではないの?」と思うかもしれません。
それも、ある意味では正しい説明です。ただし、D調の数字譜で見た場合に限ります。
D調では内弦Dがド、外弦Aがソになります。一方、F調では内弦Dが低いラ、外弦Aがミになります。
さらにA調では、外弦Aがドになります。
弦の実際の音高は変わっていません。変わるのは、調の中での役割です。
まず覚えたい基本
二胡の標準調弦は内弦D・外弦Aです。D調ではドとソになりますが、ほかの調では数字譜上の呼び方が変わります。
また、二胡では左手の指を弦に触れさせる位置によって音の高さを変えます。
弦に沿って指の位置を変えると、弦の振動する部分の長さが変化し、音高も変化します。ギターのようなフレットがないため、必要な音程を自分で作る必要があります。
ここが二胡の難しいところであり、音程を学ぶ面白さにもつながる部分です。独学で指の位置や音程を判断しにくい場合は、二胡を学べるEYS音楽教室で実際の演奏を見てもらう方法もあります。
練習前には、まず2本の開放弦が正しく調弦されているか確認しましょう。
基準音としてはA4=440Hzが一般的な選択肢の一つですが、441Hzや442Hzなどが指定される場合もあります。合奏やレッスンでは、指定された基準に合わせてください。
なお、D調からF調へ変えるために、通常は弦を調弦し直す必要はありません。
「調が変わる」と「チューニングを変える」は、必ずしも同じ意味ではないのです。
数字譜の1=D・1=Fの意味
二胡の楽譜では、五線譜の代わりに数字譜が使われることがあります。
数字譜は、音階の音を1から7までの数字で表す記譜法です。
| 数字譜 | 階名 | 音階内での位置 |
|---|---|---|
| 1 | ド | 第1音 |
| 2 | レ | 第2音 |
| 3 | ミ | 第3音 |
| 4 | ファ | 第4音 |
| 5 | ソ | 第5音 |
| 6 | ラ | 第6音 |
| 7 | シ | 第7音 |
例えば、楽譜の先頭に「1=D」と書かれていたら、数字譜の1をDの音として演奏するという意味です。
同じように「1=F」なら、Fの音が数字譜の1になります。
これを音楽理論では移動ドの考え方と呼びます。
移動ドでは、その調の主音をドとして考えるため、調が変わればドの実際の音も変わります。
| 調の指定 | 数字譜の1 | 実際の音 |
|---|---|---|
| 1=C | ド | C |
| 1=D | ド | D |
| 1=E | ド | E |
| 1=F | ド | F |
| 1=G | ド | G |
| 1=A | ド | A |
| 1=B | ド | B |
| 1=B♭ | ド | B♭ |
一方、Cをド、Dをレと固定して考える方法は固定ドと呼ばれます。
この2つの考え方は、使っている音楽の仕組みが違うわけではありません。音をどのような基準で呼ぶかが違うのです。
例えば、Dという音はD調でもF調でも同じ高さの音名です。しかし、D調では数字譜の1、F調では数字譜の6になります。
二胡の数字譜を読むときは、この固定ドと移動ドを混同しないことが重要です。
具体的に比較してみましょう。
| 数字譜 | D調の実音 | F調の実音 |
|---|---|---|
| 1 | D | F |
| 2 | E | G |
| 3 | F♯ | A |
| 4 | G | B♭ |
| 5 | A | C |
| 6 | B | D |
| 7 | C♯ | E |
同じ「3」という数字でも、D調ではF♯、F調ではAです。
ですから、初めての曲を練習するときは、数字譜を読み始める前に「1=何の音か」を確認する習慣を付けるとよいでしょう。
数字譜には、音の高さ以外にもさまざまな記号があります。
- 0:休符
- 数字の上の点:高いオクターブ
- 数字の下の点:低いオクターブ
- 数字の下の横線:短い音価を表す記号
- ♯:指定された音を半音上げる
- ♭:指定された音を半音下げる
- ♮:臨時記号による変化を打ち消す
数字の下に引かれた横線と、オクターブを表す点は役割が違います。見た目が似た記号でも意味を区別してください。
さらに、初心者がよく混同するのが数字譜と指番号です。
数字譜の1はドですが、左手の指番号の1は人差し指です。
数字譜と指番号は別のものです
数字譜の1〜7は音階の音を表します。一方、運指番号は一般に0が開放弦、1が人差し指、2が中指、3が薬指、4が小指です。
例えばD調の数字譜1は、内弦開放で演奏できます。A調の数字譜1も、外弦開放で演奏できます。
数字譜の1を必ず人差し指で押さえるわけではありません。
この区別ができると、教本に書かれている数字や運指表の読み方も、ぐっと理解しやすくなりますよ。
全音・半音と左手の指使い
二胡の音階を正確に弾くには、ドレミの順番だけでなく、音と音の間隔を知っておく必要があります。
一般的な長音階の音の並びは、次のとおりです。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド
この8音は、すべて同じ間隔で並んでいるわけではありません。
| 音の移動 | 間隔 |
|---|---|
| ド → レ | 全音 |
| レ → ミ | 全音 |
| ミ → ファ | 半音 |
| ファ → ソ | 全音 |
| ソ → ラ | 全音 |
| ラ → シ | 全音 |
| シ → 高いド | 半音 |
全音は半音2つ分の間隔です。
つまり、長音階は全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音という決まった構造を持っています。
これはD調でもF調でもA調でも同じです。
変わるのは音階を始める実際の音と、それぞれの音を出すための指の位置になります。
例えばD調では、数字譜の3に当たるF♯から4のGまでが半音です。F調では3のAから4のB♭までが半音になります。
数字譜上では、どちらも3から4の間です。しかし、実際に指を置く弦や位置は違います。
ここを理解せずに、すべての指を等間隔に置いてしまうと、正しい音程からずれてしまいます。
特に注意したいのが、指の間隔を単純な距離で覚えないことです。
「半音だから何ミリ」「全音だから何センチ」と固定するのではなく、押さえる音域と実際の響きに合わせて調整します。
高音域では、低音域よりも音と音の物理的な間隔が狭くなります。
第一ポジションで覚えた指の広さを、高いポジションでもそのまま使えるわけではありません。
半音の位置を確認するコツ
長音階では、数字譜の3と4、7と高い1が半音です。まずこの2か所を意識して、指の間隔と音程を確認すると分かりやすくなります。
また、二胡の左手では、弦を必要以上に強く押さえる必要はありません。
手首や指の関節を不自然に固定せず、指先が安定した位置に触れるようにしましょう。
弦を横方向に強く押し曲げると音程が変化することもあるため、力のかけ方にも注意が必要です。
最初はチューナーで正しい音を確認し、そのあと自分の耳でも音の高さを確かめるとよいでしょう。
目で位置を覚えるだけでなく、耳で音程を判断する練習も少しずつ取り入れてください。
二胡のD調・G調・F調の音階と押さえ方
二胡の音階をこれから覚えるなら、D調・G調・F調から順番に理解していくと、開放弦と左手の関係をつかみやすくなります。
D調は内弦の開放音が主音になるため、音階の始まりが分かりやすい調です。
G調では主音の位置が変わり、F調では半音の押さえ方にも違いが出てきます。
実際、二胡の段階別教材には、D調・G調の後にF調を学ぶ構成があります。
ただし、どの調から学ぶかは教材や指導方法によって異なります。ここで紹介する順番も、一つの学習例として考えてください。
ここでは一般的なD-A調弦を前提として、第一ポジションで扱う代表的な音の配置を見ていきましょう。
D調のドレミファソラシドと基本運指
D調は正式にはニ長調と呼ばれます。
二胡では「1=D」と書かれ、内弦の開放Dを数字譜の1として扱います。
外弦の開放Aは数字譜の5です。
そのため、D調の開放弦の関係は1-5弦とも呼ばれます。
D調の長音階は、次の8音です。
D・E・F♯・G・A・B・C♯・D
FとCに♯が付くのが特徴です。
| 弦 | 指 | 音名 | 数字譜 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | 開放 | D | 1 |
| 内弦 | 人差し指 | E | 2 |
| 内弦 | 中指 | F♯ | 3 |
| 内弦 | 薬指 | G | 4 |
| 外弦 | 開放 | A | 5 |
| 外弦 | 人差し指 | B | 6 |
| 外弦 | 中指 | C♯ | 7 |
| 外弦 | 薬指 | D | 高い1 |
この配置は、初心者がD調の1オクターブを練習するときの代表的な形です。
内弦で1・2・3・4を弾き、外弦で5・6・7・高い1へ進みます。
具体的な練習方法としては、まず内弦だけでD・E・F♯・Gをゆっくり弾きます。
そのあと外弦に移り、A・B・C♯・Dを確認してください。
いきなり8音すべてを連続して弾くよりも、弦ごとに音程を確認すると、どこでずれているのかを判断しやすくなります。
内弦ではF♯とG、外弦ではC♯と高いDが半音になります。
代表的な指使いでは、どちらも中指と薬指の間が半音です。
この部分を広く取りすぎると、Gや高いDの音程が上がりすぎてしまいます。
逆に狭すぎると、目的の音より低くなります。
まずは開放弦のDとAをよく聴き、そこから一音ずつ指を置いていきましょう。
D調では、内弦の開放Dと外弦の開放Aがそれぞれ主音と第5音なので、開放弦を音程の基準として利用しやすいのも特徴です。
初心者の段階では、音階を上がる練習だけでなく、反対に高いDから低いDまで下がる練習も取り入れましょう。
G調の音階と指の間隔
G調はト長調とも呼ばれ、数字譜では「1=G」と表します。
音階の構成音はG・A・B・C・D・E・F♯・Gです。
G調の開放弦では、内弦Dが低い5、外弦Aが2になります。この関係から、G調は5-2弦とも呼ばれます。
| 弦 | 指の例 | 実際の音 | 数字譜 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | 開放 | D | 低い5 |
| 内弦 | 人差し指 | E | 低い6 |
| 内弦 | 中指 | F♯ | 低い7 |
| 内弦 | 薬指 | G | 1 |
| 外弦 | 開放 | A | 2 |
| 外弦 | 人差し指 | B | 3 |
| 外弦 | 中指 | C | 4 |
| 外弦 | 薬指 | D | 5 |
G調のドは内弦の開放音ではなく、左手でGを押さえた位置にあります。
内弦ではF♯とG、外弦ではBとCが半音です。D調とは半音になる指の組み合わせが変わるため、D調の指の形をそのまま使わないようにしましょう。
F調の音階と第一ポジションの運指
F調はヘ長調と呼ばれ、数字譜では「1=F」と表します。
F調のドレミファソラシドは、F・G・A・B♭・C・D・E・Fです。
F調の開放弦は、内弦Dが低い6、外弦Aが3に相当します。このため、F調は6-3弦と呼ばれます。
| 弦 | 指の例 | 音名 | 数字譜 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | 開放 | D | 低い6 |
| 内弦 | 人差し指 | E | 低い7 |
| 内弦 | 中指 | F | 1 |
| 内弦 | 薬指 | G | 2 |
| 内弦 | 小指 | A | 3 |
| 外弦 | 開放 | A | 3 |
| 外弦 | 人差し指 | B♭ | 4 |
| 外弦 | 中指 | C | 5 |
| 外弦 | 薬指 | D | 6 |
| 外弦 | 小指 | E | 7 |
特に気を付けたいのが、内弦のEとF、外弦のAとB♭の間隔です。どちらも半音になります。
F調ではAとB♭の半音を正確に取ることが、とても重要です。
外弦の開放Aを鳴らしたあと、人差し指でB♭を押さえてみましょう。この2音が半音の関係であることを、耳とチューナーの両方で確認してください。
さらに、F調の1オクターブを弾くときは音域にも注意が必要です。
| 数字譜 | 音名 | 弦の例 |
|---|---|---|
| 1 ド | F | 内弦 |
| 2 レ | G | 内弦 |
| 3 ミ | A | 外弦開放 |
| 4 ファ | B♭ | 外弦 |
| 5 ソ | C | 外弦 |
| 6 ラ | D | 外弦 |
| 7 シ | E | 外弦 |
| 高い1 ド | F | 外弦の高音位置 |
最後の高いFは、ここで示した第一ポジションの基本的な指の配置より高い音になります。
二胡で左手の位置を移動することを換把(かんぱ)と呼びます。
換把では、指だけを無理に伸ばすのではなく、左手全体の位置を必要な音域に合わせて移動させます。
F調で間違えやすいこと
- BではなくB♭を使う
- 内弦Dはドではなく低いラ
- 外弦Aはソではなくミ
- 外弦AからB♭までは半音
- 高いFではポジション移動が必要になる場合がある
二胡のA調・C調・B♭調の音階
A調・C調の音の配置と押さえ方
A調はイ長調とも呼ばれ、数字譜では「1=A」です。
A調の音階はA・B・C♯・D・E・F♯・G♯・Aです。
開放弦では、内弦Dが低い4、外弦Aが1に相当します。このためA調は4-1弦と呼ばれます。
| 弦 | 指の例 | 音名 | 数字譜 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | 開放 | D | 低い4 |
| 内弦 | 人差し指 | E | 低い5 |
| 内弦 | 中指 | F♯ | 低い6 |
| 内弦 | 薬指 | G♯ | 低い7 |
| 内弦 | 小指 | A | 1 |
| 外弦 | 開放 | A | 1 |
| 外弦 | 人差し指 | B | 2 |
| 外弦 | 中指 | C♯ | 3 |
| 外弦 | 薬指 | D | 4 |
| 外弦 | 小指 | E | 5 |
C調はハ長調です。数字譜では「1=C」と表し、音階はC・D・E・F・G・A・B・Cです。
C調の開放弦は、内弦Dが2、外弦Aが6です。そのため、C調は2-6弦と呼ばれます。
| 弦 | 指の例 | 音名 | 数字譜 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | 開放 | D | 2 |
| 内弦 | 人差し指 | E | 3 |
| 内弦 | 中指 | F | 4 |
| 内弦 | 薬指 | G | 5 |
| 外弦 | 開放 | A | 6 |
| 外弦 | 人差し指 | B | 7 |
| 外弦 | 中指 | C | 高い1 |
| 外弦 | 薬指 | D | 高い2 |
C調ではEとF、BとCが半音になります。
標準調弦の内弦D4より低いC4は通常のD-A調弦では演奏できないため、C調の音階では外弦上のC5など、演奏可能な音域の主音を使います。
B♭調とB調の違い
B♭調は変ロ長調、B調はロ長調を意味し、主音の高さは半音違います。
B♭調の音階はB♭・C・D・E♭・F・G・A・B♭です。
B♭調では、内弦Dが低い3、外弦Aが7に相当するため、一般的な二胡の運指では3-7弦と呼ばれます。
| 弦 | 指の例 | 音名 | 数字譜 |
|---|---|---|---|
| 内弦 | 開放 | D | 低い3 |
| 内弦 | 人差し指 | E♭ | 低い4 |
| 内弦 | 中指 | F | 低い5 |
| 内弦 | 薬指 | G | 低い6 |
| 内弦 | 小指 | A | 低い7 |
| 外弦 | 開放 | A | 7 |
| 外弦 | 人差し指 | B♭ | 高い1 |
| 外弦 | 中指 | C | 高い2 |
| 外弦 | 薬指 | D | 高い3 |
| 外弦 | 小指 | E♭ | 高い4 |
一方、B調の音階はB・C♯・D♯・E・F♯・G♯・A♯・Bです。
B調では、内弦の開放Dも、外弦の開放Aも、B長調の構成音には含まれません。
| 比較項目 | B♭調 | B調 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 変ロ長調 | ロ長調 |
| 主音 | B♭ | B |
| 調号 | ♭2個 | ♯5個 |
| 第3音 | D | D♯ |
| 第5音 | F | F♯ |
| 第7音 | A | A♯ |
| 内弦開放D | 第3音 | 音階外 |
| 外弦開放A | 第7音 | 音階外 |
B♭調は二胡の代表的な基本六調に含まれますが、B調は通常その分類には入りません。
ただし、B調が演奏できないという意味ではありません。必要な音を左手で正確に押さえ、適切なポジションを選べば演奏できます。
B調とB♭調は半音違う別の調だと覚えておきましょう。
二胡のE調・B調の音階と注意点
E調とB調は、D調やG調などに比べると、開放弦をそのまま長音階の構成音として利用しにくい特徴があります。
E調・B調の構成音と開放弦
E調はホ長調と呼ばれ、数字譜では「1=E」です。
構成音はE・F♯・G♯・A・B・C♯・D♯・Eです。
E調の開放弦を見ると、内弦Dは音階外、外弦Aは第4音に相当します。
E長調の第7音はD♯ですが、内弦の開放音はDの自然音なので、開放Dをそのまま数字譜の7として使うことはできません。
| 弦 | 音名 | E調での役割 |
|---|---|---|
| 内弦開放 | D | 音階外の低い♭7 |
| 内弦上 | D♯ | 低い7 |
| 内弦上 | E | 1 |
| 内弦上 | F♯ | 2 |
| 内弦上 | G♯ | 3 |
| 外弦開放 | A | 4 |
| 外弦上 | B | 5 |
| 外弦上 | C♯ | 6 |
| 外弦上 | D♯ | 7 |
| 外弦上 | E | 高い1 |
B調はロ長調で、数字譜では「1=B」です。
音階はB・C♯・D♯・E・F♯・G♯・A♯・Bです。
標準調弦の開放音DとAは、どちらもB長調の構成音には含まれません。
| 弦 | 開放音 | B調で必要な音 |
|---|---|---|
| 内弦 | D | D♯ |
| 外弦 | A | A♯ |
E調とB調での注意点
E調では内弦開放DをD♯と混同しないこと、B調では開放DとAを長音階の構成音として扱わないことが重要です。必要な音は左手で押さえ、音域に応じた運指を選びます。
調別音階一覧と効果的な練習方法
| 調 | ドレミファソラシドの実音 |
|---|---|
| C調 | C D E F G A B C |
| D調 | D E F♯ G A B C♯ D |
| E調 | E F♯ G♯ A B C♯ D♯ E |
| F調 | F G A B♭ C D E F |
| G調 | G A B C D E F♯ G |
| A調 | A B C♯ D E F♯ G♯ A |
| B♭調 | B♭ C D E♭ F G A B♭ |
| B調 | B C♯ D♯ E F♯ G♯ A♯ B |
| 調 | 内弦D | 外弦A | 通称 |
|---|---|---|---|
| D調 | 1 | 5 | 1-5弦 |
| G調 | 低い5 | 2 | 5-2弦 |
| F調 | 低い6 | 3 | 6-3弦 |
| C調 | 2 | 6 | 2-6弦 |
| A調 | 低い4 | 1 | 4-1弦 |
| B♭調 | 低い3 | 7 | 3-7弦 |
| E調 | 低い♭7(音階外) | 4 | 通常の基本六調外 |
| B調 | 低い♭3(音階外) | ♭7(音階外) | 通常の基本六調外 |
初心者が音階を覚える順番
まずはD調で内弦と外弦の基本的な使い方を覚え、次にG調でドの位置が変わることを理解するとよいでしょう。
その後、F調で半音の位置が変わる運指に慣れ、B♭調・C調・A調などへ進む方法があります。
音階練習の具体的な進め方
- 内弦Dと外弦Aの調弦を確認する
- 楽譜に書かれた「1=D」などの調指定を確認する
- その調の主音がどこにあるか調べる
- 音階の構成音を声に出して確認する
- 全音と半音の場所を意識してゆっくり上行する
- 同じ音階を下降して指の位置を確認する
- チューナーと耳の両方を使って音程を修正する
チューナーと耳を使った音程確認
二胡はフレットがないため、指先が少し動くだけでも音の高さが変わります。
二胡用チューナーを使うと、弾いている音が目的の音より高いのか低いのかを確認できます。
ただし、チューナーの表示だけを見て指を動かす練習では、耳で音程を判断する力につながりにくい場合があります。
まず基準となる音を聴き、その音をイメージしてから二胡で鳴らし、最後にチューナーで確かめるという順番がおすすめです。
例えばF調のAからB♭を練習するときは、外弦開放Aを鳴らしてからB♭を押さえます。
2音の違いを耳で確かめたあと、チューナーでB♭の音程を確認します。
必要なら指の位置を調整して、再び同じ2音を弾いてみましょう。
こうして音程と指の位置を結び付けていくことが、安定した演奏につながります。
速さよりも一音ずつ正しい音程を確認することを優先してください。
練習リズムと弓の使い方
音階を覚える段階では、最初は全音符や二分音符など、長めの音符でゆっくり練習するとよいでしょう。
音程が安定してきたら、四分音符や八分音符で音階をつなげたり、一弓一音から連弓の練習へ進んだりする方法があります。
メトロノームを使う場合も、無理に速いテンポへ進む必要はありません。音程と弓の動きが安定する速さを選びましょう。
音階と運指を確認できる教材の選び方
音階や運指を確認するときは、調別のポジション図や音階練習を掲載した教本も参考になります。
例えば、日本二胡学会の認定曲集として案内されている「二胡を極めよう」には、D調・G調・F調・B♭調・C調などを段階的に学ぶ構成があります。
第1集ではD調やG調、第2集ではF調、第3集ではB♭調やC調、ポジション移動などが扱われています。
また、「賈鵬芳の二胡教本〜入門から極意まで〜」や「二胡 100のコツ〜絶対!うまくなる〜」など、二胡の演奏技術やポジションを扱う教材もあります。
教材を確認するときは、練習したい調、第一ポジション以外の運指、小指やポジション移動、数字譜と実音の対応、音源や動画の有無などを確認すると判断しやすくなります。
特にE調やB調を調べたい場合は、一般的な基本六調の教材だけでは十分に掲載されていないことがあります。
また、動画で指の動きを確認する場合は、音階の調だけでなく、使用している調弦の基準音にも注意しましょう。
指の形やポジション移動に不安がある場合は、無理に独学で修正しようとせず、二胡のレッスンで指導者に確認することも大切です。
音階練習で意識したい3つのこと
- 数字譜の1がどの実音かを確認する
- 内弦と外弦の開放音の役割を理解する
- 半音になる場所と指の間隔を意識する
二胡の音階に関するよくある質問
Q1. 二胡のドはどこを押さえれば出せますか?
A. どの調のドを指すかによって位置が変わります。
D調では内弦の開放Dがドです。F調では内弦上のF、A調では外弦の開放Aがドに相当します。
まずは楽譜の「1=D」「1=F」といった調指定を確認してください。
Q2. 二胡は調が変わるたびにチューニングする必要がありますか?
A. 通常は必要ありません。
標準的な二胡では、内弦D・外弦Aの調弦を維持したまま、D調・F調・A調などを演奏します。
ただし、特別な調弦を指定する楽曲では例外があります。
Q3. F調のドレミファソラシドは第一ポジションだけで弾けますか?
A. 第一ポジションで多くの構成音を扱えますが、1オクターブすべてを同じ基本の手の位置で弾けるとは限りません。
高いFではポジション移動などが必要になる場合があります。
Q4. 二胡のB調とB♭調は同じですか?
A. いいえ、別の調です。
B調はロ長調、B♭調は変ロ長調です。主音は半音異なります。
B♭調は一般的な二胡の基本六調に含まれ、3-7弦と呼ばれます。
Q5. 教本によって二胡の指番号が違うのはなぜですか?
A. 同じ音でも、使用する弦やポジション、旋律によって運指が変わるためです。
大切なのは、指番号だけで判断せず、必要な実音と音程が正しいかを確認することです。
Q6. 二胡のドレミはピアノと同じですか?
A. 音の高さを表す音名の体系は共通しています。
ただし、二胡の数字譜では移動ドが一般的なので、D調のDをド、F調のFをドと考えます。
Q7. 二胡はD調以外の曲も弾けますか?
A. はい。二胡はD調だけを演奏する楽器ではありません。
D調・G調・F調・B♭調・C調・A調などが一般的な学習対象で、E調やB調などにも対応できます。
まとめ
二胡の音階を理解するためには、まず開放弦の音と数字譜の関係を知ることが大切です。
標準的な二胡の調弦は、内弦D・外弦Aです。
この開放音そのものは、D調からF調へ変わっても通常は変わりません。
変わるのは、その調におけるドの位置と、数字譜の数字に対応する実際の音です。
- D調では内弦開放Dがド、外弦開放Aがソになる
- G調では内弦Dが低いソ、外弦Aがレになる
- F調では内弦Dが低いラ、外弦Aがミになる
- A調では外弦開放Aがドになる
- C調では内弦Dがレ、外弦Aがラになる
- B♭調とB調は別の調であり、構成音や開放弦との関係が異なる
- E調では内弦開放Dと第7音D♯を混同しない
- 運指は音域やポジションによって変わるため、一つの指使いだけが正解ではない
また、長音階ではミとファ、シとドの間が半音になるという仕組みが共通しています。
二胡はフレットのない楽器なので、この半音の位置を理解し、左手の指の間隔を調整することが重要です。
最初はD調から練習し、G調やF調へと少しずつ進めていくと、調による違いを理解しやすくなるでしょう。
すべての調を一度に覚えようとする必要はありません。
まずは今練習している曲の調を確認し、数字譜の1がどこにあるのかを探してみてください。
そして、開放弦と半音の位置を意識しながら、一音ずつゆっくり弾いていきましょう。
音階は単なる指の運動ではなく、二胡で好きな曲を楽しむための土台になります。

