テナーサックスの重さは?3.5kgの負担を減らす対策と選び方

サックス
スポンサーリンク
EYS音楽教室
本記事はプロモーションを含みます。画像はイメージです。

【30秒でわかる!この記事の結論】

  • テナーサックスの平均重量は約3.4kg。アルトより約1kg重く、首への負担対策が必須。
  • 「重くて辛い」は道具で解決可能。分散型ストラップ軽量セミハードケースへの投資が最重要。
  • 女性や小柄な方でも、Yanagisawa T-WO1(約3.15kg)などの軽量モデルを選べば無理なく演奏できる。
  • 正しい姿勢と道具選びで、テナー特有の太いサウンドは誰でも楽しめる。

これから憧れのテナーサックスを始めようと考えている方や、吹奏楽部などでアルトサックスからテナーへの転向(コンバート)を打診された方にとって、楽器の「重さ」は単なるスペック上の数字以上に、切実かつ深刻な懸念事項ではないでしょうか。実際、私のバンド仲間であるサックス奏者たちを見ていても、日々のスタジオ練習やライブ会場への移動、そして長時間の演奏において、この「金属の塊」の重量と格闘している姿をよく目にします。「アルトより大きいから重いのは当たり前」と頭では分かっていても、「腰痛持ちの自分に扱えるだろうか」「小柄な女性でも持ち運びできる重さなのだろうか」「練習のたびに首が痛くなるのは避けたい」といった具体的な不安の声は、私の周りでも本当によく耳にします。

インターネットで「テナーサックス 重さ」について検索すると、多くのサイトで「約3.5kg」という数値はすぐに出てきます。しかし、これから楽器と長く付き合っていこうとする人が本当に知りたいのは、その「3.5kg」が実際の生活や演奏にどのような影響を与えるのか、そしてそれをどうすれば快適にコントロールできるのか、という現場レベルの解決策でしょう。腱鞘炎のリスクやストラップの選び方、ケースによる負担の違いなど、プレイヤーならではの悩みは尽きません。

この記事では、音高卒のベーシストとして、また多くの管楽器奏者と共に活動してきたバンドマンとしての視点から、主要メーカーごとの詳細な重量比較や、実際に現場の奏者たちが実践している「重さを感じさせないための道具選び・身体の使い方」について、周囲のサックス奏者のリアルな声や失敗談を交えながら、どこめよりも詳しく、深く解説していきます。

テナーサックスの重さはどれくらい?平均重量と身体への影響

まずは、テナーサックスという楽器が物理的にどれくらいの質量を持っているのか、客観的な数値をもとに徹底的に分析していきましょう。私の本職であるエレクトリック・ベースも4kg〜4.5kgほどある重い楽器ですが、幅広のストラップで肩全体と背中で支えるベースとは異なり、サックスは(特に伝統的なスタイルの場合)「首(頚椎)」と「右手の親指」という、人体の中でも比較的弱い部分で重量を支える構造になっています。そのため、サックスの「重さ」は、数値以上に独特の過酷さやリスクを伴うものです。アルトサックスとの比較や、モデルごとの重心の違いなどを細かく知ることで、自分がテナーサックスとどう向き合うべきかの具体的なイメージが湧いてくるはずです。

平均は約3.4キロでアルトサックスと比較すると1キロ重い

テナーサックスの本体重量は、製造された年代やメーカー、使用されている金属(真鍮、ブロンズ、銀など)の素材によって多少の前後がありますが、現代の標準的なモデルで平均して約3.4kg前後と言われています。数字だけ聞くと「3キロちょっとか、それなら片手でも持てるな」と思われるかもしれませんが、この「3.4kg」という数字を甘く見てはいけません。

日常生活にあるもので例えてみましょう。スーパーで売られている「5kgのお米」の袋を想像してみてください。あれの約7割の重さです。あるいは、1リットルの牛乳パック3本と、500mlのペットボトル1本を合わせた重さです。これを頑丈なリュックに入れて背負うなら問題ありませんが、サックスの場合、細い紐(ネックストラップ)一本で首からぶら下げ、さらに不安定な状態で前方に構え、複雑なキー操作を行うために指を動かし続けなければなりません。

比較対象として最もよく挙げられるアルトサックスですが、こちらの平均重量は約2.3kg〜2.4kg前後です。つまり、アルトとテナーの間には、約1kg(1,000g)という明確かつ巨大な物理的差が存在します。

私の友人で、中学・高校と6年間アルトサックスを吹いていた女性が、大学のジャズ研でテナーに転向した際の話です。彼女は「たった1kgの違いだと思っていたけれど、実際に首から下げて構えてみると、倍くらいの重さに感じる」と漏らしていました。これは、単に重量が1kg増えるだけでなく、テナーサックスの方が管体が長く(全長約85cm程度)、ベルの位置が低いなど、楽器全体のサイズが大きいために起こる現象です。

物理学的に言うと、首(支点)から楽器の重心までの距離が遠くなるため、テナーサックスの方が構えたときに楽器が身体から離れようとする「モーメント(回転力)」が強く働きます。このモーメントを打ち消して楽器を口元に固定するために、右手親指や口輪筋(アンブシュア)に余計な力が入りやすく、結果として「数値以上に重く感じる」のです。

私が担当しているベース(約4kg〜4.5kg)と比較すると数値上は軽いですが、サックスは首の頚椎という非常に小さな一点で支える必要があります。頚椎は本来、約5kg程度の頭部を支えるための器官であり、そこにさらに3.5kgの重量物をぶら下げることは、構造的にも大きな負担となります。そのため、数値上の1kgの差以上に、体感的な重量負担は大きく、疲労の蓄積スピードも早いと言えるでしょう。これからテナーを選ぶ方は、この「+1kgの現実」を直視し、気合いや根性論ではなく、物理的に負担を減らす対策(後述するストラップや姿勢)を準備しておくことが、挫折しないための第一歩となります。

知っておきたいポイント:試奏時の罠 楽器店で試奏する際、多くの人は店員さんに楽器を手渡され、数分間だけ音を出して「うん、いい音だ」と判断しがちです。しかし、重さによる負担は、15分〜20分と時間が経過してから急激に襲ってきます。可能であれば、自分のストラップを持参し、店内で立って構えた状態で10分以上過ごしてみてください。特に、普段アルトに慣れている方は、テナーを持った瞬間の「ズシリ」とくる感覚と、時間が経つにつれて首や腰に来る鈍い痛みを擬似体験し、自分がそれに耐えられるか(あるいは対策が必要か)を冷静に判断することをおすすめします。

ヤマハやヤナギサワなどメーカーやモデルによる重量の違い

一口にテナーサックスと言っても、実はメーカーやモデル(設計思想)によって重さはかなり異なります。これは車に例えるなら、同じ排気量の車でも、カーボンを多用した軽量なスポーツカーと、防音材や装備を満載した重厚な高級セダンがあるようなものです。私の周りのサックス奏者の間でも、「あのメーカーの楽器は軽いから長時間のリハでも楽だ」「このモデルはずっしりくるけど、その分音が太くて遠くまで飛ぶ」といった話題は、機材選びの際によく出ます。

ここでは、日本国内で特によく使われている主要メーカーの代表的なモデルについて、その重量の目安と特徴、そしてなぜその重さになっているのかを整理してみました。

メーカー モデル 特徴・素材・構造 重量目安
Yanagisawa T-WO1 ライトタイプ / 真鍮製 / ポスト直付け 約3.15kg
Selmer Paris Series II (Jubilee) 世界標準モデル / 真鍮製 / リブ(座)あり 約3.37kg
Yamaha YTS-62 定番プロモデル / 真鍮製 / 一体座 約3.41kg
Yanagisawa T-WO20 ヘヴィータイプ / ブロンズ製 / ダブルアーム 約3.50kg
Cannonball Big Bell Stone ビックベル / 準宝石装飾 / 管体厚め 約3.60kg〜

この表を見ていただくと分かる通り、同じテナーサックスという楽器であっても、最も軽いモデルと重いモデルの間には、約450g〜500gもの重量差があります。

たかが500gと思うなかれ。これはちょうど500mlのペットボトル1本分です。首から下げる荷物がペットボトル1本分増えるか減るかというのは、2時間のスタジオ練習やライブ本番においては、疲労度に天と地ほどの差を生みます。マラソンランナーがシューズの数グラムにこだわるのと同様に、身体を使って演奏するサックス奏者にとっても、この数百グラムはパフォーマンスを左右する重要な要素なのです。

特に注目すべきは、日本のメーカーであるYanagisawa(ヤナギサワ)のラインナップです。彼らは明確に「ライトタイプ(WO1, WO2)」と「ヘヴィータイプ(WO10, WO20等)」というコンセプトを分けて楽器を製造しています。ライトタイプである「T-WO1」は、キイポスト(バネやキイを支える柱)を管体に直接溶接する、あるいは小さな座を使って取り付けることで、金属の総量を減らしています。さらに管体の厚みも絶妙に調整されており、プロ仕様の正確な音程と操作性を保ちながら、約3.15kgという驚異的な軽さを実現しています。

一方で、アメリカのジャズシーンで人気のあるCannonball(キャノンボール)などは、「ビックベル」と呼ばれる通常より大きなベルや、キイボタンに準宝石(ストーン)を使用するなどして、意図的に重量を増しています。これは「重さ=音のパワー、トルク」という考え方に基づくもので、アメ車のようなパワフルな鳴りを好む体力のあるプレイヤーには絶大な支持を得ていますが、小柄な方や初心者の方には「重すぎて息が入らない」「構えているだけで疲れる」というハードルになることも事実です。

また、「YAMAHAは軽い」という漠然としたイメージを持っている方が多いですが、テナーサックスの定番モデル「YTS-62」に関しては、実はYanagisawaのライトモデルよりも約250gほど重いという事実は意外と知られていません。これはYAMAHAが「一体座」という、複数のポストを一枚の長いプレートに乗せてから管体に溶接する頑丈な構造を採用しているためです。この構造は音にまとまりを与え、芯のあるサウンドを作るのに貢献していますが、重量面ではプラスに働きます。

このように、メーカーごとの設計思想によって重さは大きく変わります。「体力に自信がないけれどテナーを吹きたい」という方は、あえて「ライトタイプ」を指名買いするというのも、非常に賢い戦略の一つです。

楽器本体だけでなくケースを含めた総重量は移動時の負担になる

楽器選びの際、多くの人が「楽器本体の重さ」ばかりに気を取られがちですが、実際に運用を開始してから直面する最大の問題は、楽器本体にケースや小物を加えた「総重量」の問題です。自宅で吹くだけなら本体の重さだけを気にすれば良いのですが、バンド活動やレッスンに通うとなれば、当然ながら楽器を安全にケースに入れて運ばなければなりません。

サックス奏者にとって、この「移動時の重さ」こそが最大の敵であると言っても過言ではありません。新品の楽器を購入した際に付属している、メーカーロゴが入った立派な「純正ハードケース」。これは木枠で作られており、外装も合皮などで覆われているため、楽器を保護する性能は最強クラスです。しかし、その頑丈さと引き換えに非常に重く、ケース単体だけで4kg〜5kg近くあるものも珍しくありません。

具体的なシミュレーションをしてみましょう。 楽器本体(約3.5kg)+純正ハードケース(約4.5kg)+マウスピース、リードケース、ストラップ、スワブ(掃除用布)、チューナー、そして分厚い楽譜ファイル(これらを合わせて約1.0kg〜1.5kg)。 これらを合計すると、総重量は約9.0kg〜10.0kg近くにも達します。

約10kgの直方体の箱を、片手(取っ手)だけで持って移動することを想像してみてください。駅の階段の上り下り、改札の通過、そして満員電車での立ち時間。これはもはや、音楽活動というよりは過酷な筋力トレーニングです。私のバンドのテナーサックス担当も、以前は「純正ケースの方がカッコいいから」と意地を張って使っていましたが、スタジオに着く頃には右腕の前腕がパンパンに張り、「握力がなくなって指が回らない」「キーを押す力が残っていない」と嘆いていました。特に雨の日などは、片手で傘をさし、もう片方の手で10kgのケースを持つことになり、悲惨な状況になります。

移動時の注意点とリスク:身体の歪み 重いケースを片手で持ち続けることは、単に疲れるだけでなく、身体のバランスを崩す原因になります。常に片側の肩が下がった状態で歩くことになるため、脊椎が歪み、慢性的な腰痛や肩こりを誘発します。これが演奏時のフォームにも悪影響を及ぼし、結果として楽器の上達を妨げることさえあるのです。

多くのプレイヤーが、楽器を購入した直後に、さらに3万円〜5万円程度の追加出費をしてでも、別売りの「軽量セミハードケース」を買い求めるのは、決して贅沢ではなく、自身の演奏パフォーマンスと健康を維持するための「必要経費」なのです。最近では、純正ケース自体もバックパックストラップが付いた軽量タイプ(YAMAHAやSelmerの最新モデルなど)に切り替わってきていますが、やはりケース専門メーカー(BAMなど)が作るリュックタイプケースの「背負い心地」や「重心設計」の利便性には敵いません。テナーサックスを始める際は、楽器本体の予算だけでなく、「移動用の軽量ケース」を買う予算もしっかりと確保しておくことを、経験者として強くおすすめします。

女性や小柄な人が演奏する際に気になる重さへの不安と現実

インターネット上のQ&AサイトやSNSを見ていると、「身長150cm台の女性ですが、テナーサックスは大きすぎて無理でしょうか?」「重くて持てないのではないかと不安です」「肺活量も体力もないのですが…」といった質問が非常に多く寄せられています。確かに、ジャズの巨人たちが大柄な身体で豪快にテナーを吹くイメージや、ロックバンドで男性が叫ぶように吹くイメージが強いため、小柄な方や女性が尻込みしてしまう気持ちはよく分かります。

しかし、結論から申し上げますと、女性や小柄な方でも全く問題なくテナーサックスを演奏することは可能です。そして、プロ・アマ問わず、素晴らしい音色で活躍している女性テナー奏者は星の数ほどいます。

実際に、世界的に活躍するスムースジャズのスター、キャンディ・ダルファー氏はアルトの印象が強いですが、テナーサックスも見事に、そしてパワフルに吹きこなします。また、日本国内のアマチュアビッグバンドや吹奏楽団を見渡しても、身長150cm前後の小柄な女子学生や社会人が、自分と同じくらいのサイズ感に見えるテナーサックスを抱えて、バリバリとソロを吹いている光景はごく日常的なものです。

私の知人の女性奏者(身長155cm、体重40kg台)に話を聞いた際、彼女はこう語っていました。「最初は楽器に振り回されている感じで、持ち歩くだけで筋肉痛になったし、楽器が歩いているみたいと笑われたこともあった。でも、構え方とストラップを変えたら、楽器が身体の一部のようにフィットするようになった。力でねじ伏せるのではなく、楽器の重さを利用して安定させる感覚を掴めば大丈夫」と。

ただし、ここで重要なのは「男性と同じように力任せに扱わない」ということです。筋力のある男性であれば、多少無理な姿勢(猫背や手首のねじれ)でも腕力でカバーできてしまうことがありますが、女性や小柄な方がそれをやると、すぐに関節や筋を痛めてしまいます。そのため、彼女たちは「いかに楽に楽器を支えるか」「いかに効率よく身体を使うか」という工夫を徹底しています。

具体的には、以下のような対策が有効です。

  • 高機能ストラップへの投資(必須):首だけで支える従来のストラップではなく、肩や背中に重さを逃がす「ブレステイキング」などの分散型ストラップを必ず使用する。これにより体感重量は半減します。
  • ヒールのない靴を選ぶ:演奏時は重心を低く安定させることが重要です。踏ん張りのきくスニーカーやフラットシューズを選び、骨盤を立てて立つことで、楽器の重さを足の裏に逃がします。
  • 座奏(座って吹く)の活用:練習時は無理に立たず、椅子に座って楽器を太ももの外側、または内側に置くようなスタイルで吹くことで、重さを椅子に預けることができます。
  • 軽量モデルの選択:見栄を張って重厚なモデルを選ばず、前述したYanagisawaのWO1のような、吹き心地も重量も軽い楽器をパートナーに選ぶ。

「重いから無理」と諦める前に、これらの「道具と知恵」を使えば、体格のハンデは十分に埋めることができます。むしろ、力に頼れない分、脱力が上手くなり、結果として力みのない、響きのある柔らかい音色を奏でる女性奏者が多いと、ベテランの管楽器リペアマンの方から聞いたことさえあります。重さは物理的な事実ですが、それは決して乗り越えられない壁ではありません。

重い楽器を長時間支えることで起きる首の痛みや腱鞘炎のリスク

「テナーサックス 重さ」というキーワードで検索している方が最も懸念している、そして避けて通りたい現実は、やはり健康面への影響でしょう。楽しいはずの音楽活動が原因で、日常生活に支障をきたすような怪我をしてしまっては元も子もありません。

テナーサックス奏者を悩ませる職業病(趣味であっても)の筆頭は、間違いなく「首の痛み(頚椎症)」です。少し専門的な話になりますが、人間の頭部はそれだけで約5kg〜6kgほどの重さ(ボウリングの玉くらい)があります。細い首の骨(頚椎)と筋肉は、常にその頭を支えているわけですが、サックスを吹くときは、そこにさらに3.5kgの鉄の塊をぶら下げるわけです。しかも、演奏中は楽譜を見るために少し前傾姿勢になったり、アンブシュアを安定させるために顎を引いたりするため、テコの原理で頚椎にかかる負荷は数倍に跳ね上がります。

私のバンド仲間でも、安い付属のストラップを使い続けていたせいで、慢性的なストレートネックになったり、酷い場合は頸椎椎間板ヘルニアと診断されてしまい、指先に痺れが出たために演奏活動を休止せざるを得なくなった友人がいます。彼は「最初はただの肩こりだと思っていたが、ある日突然、首が回らなくなり、腕に電気が走るような痛みが走った」と話していました。

次に多いのが「右手親指の腱鞘炎」です。サックスには、右手の親指を引っ掛けて楽器を支える「サムフック」というパーツがあります。構造上、楽器を前に押し出してマウスピースを口に押し付けるような力が働きがちなのですが、3.5kgの重量を親指一本の付け根でコントロールしようとすると、親指のCM関節や腱に強烈な負荷がかかります。「バネ指」になってしまい、日常生活でペンを持つのも辛いという状況になることもあります。

予防のためのドクター・アドバイス(伝聞) 整形外科の先生の話として聞いたところによると、痛みが出たら「休む」のが鉄則ですが、そもそも「痛くならないフォーム」を身につけることが最重要だそうです。特にサックスの場合、「楽器を親指で持ち上げる」という動作は解剖学的にも御法度です。あくまでストラップで高さを決め、親指は「添えるだけ」「楽器が左右に揺れないようにガイドするだけ」という感覚を徹底する必要があります。

これらのリスクは、決して脅しではありませんが、適切な知識と道具があれば大幅に低減できることも事実です。「痛いのは練習熱心な証拠だ」とか「マメができて一人前」などという古い根性論は、現代の楽器演奏においては百害あって一利なしです。痛みは身体からのSOSサインです。少しでも違和感を感じたらすぐに休憩し、ストラップを見直し、構え方を鏡でチェックする勇気を持つことが、長く楽しくテナーサックスと付き合うための最大の秘訣です。

軽いモデルとヘヴィーウェイトモデルでは音色や吹奏感が異なる

ここまで「重さは敵だ」「軽さこそ正義」のような論調で書いてきましたが、ここで少し音楽的な視点から、あえて「重い楽器」が存在する理由、そしてプロが重い楽器を選ぶ理由についても触れておきましょう。なぜ、メーカーはわざわざ銅の含有量を増やしたり、パーツを分厚くしたりしてまで重くした「ヘヴィーウェイトモデル」を作るのでしょうか。

それは、楽器の重さ(質量)が「音色の重厚さ」と「入力許容量(キャパシティ)」に直結しているからです。

物理の法則として、質量の大きい物体ほど、振動させるために大きなエネルギーが必要になりますが、一度振動し始めると簡単には止まらず、安定した強いエネルギー(音圧)を生み出します。これをサックスの演奏に置き換えると、以下のようになります。

  • 軽量なモデル(ライトウェイト)
    • メリット:管体が薄く軽いため、少ない息でも素早く振動してくれます。音の立ち上がり(レスポンス)が非常に速く、軽やかで明るい音色が特徴です。初心者でも楽に音が出せ、細かいフレーズも吹きやすい傾向にあります。
    • デメリット:あまりに強く息を吹き込みすぎると、楽器の振動が飽和してしまい、音が割れたり、音が散ってしまったりすることがあります(これを「音が暴れる」と表現したりします)。大音量のロックバンドなどでは、音が埋もれてしまう可能性があります。
  • 重いモデル(ヘヴィーウェイト)
    • メリット:管体が厚く重いため、思い切り息を吹き込んでも音が割れず、そのエネルギーを全て豊かな響きに変換してくれます。太く、ダークで、芯のある音色が得られ、遠くまで音が届く「遠達性」に優れています。ダイナミクスレンジ(音の強弱の幅)が広く、フォルテシモでも音が痩せません。
    • デメリット:楽器を鳴らし切るためには、しっかりとした呼吸法(腹式呼吸)と、強い息の圧力(腹筋・背筋)が必要です。初心者や体力のない方が吹くと、「抵抗感が強くて息が入らない」「音が詰まる」「重くて苦しい」と感じることがあります。

ジャズの巨匠たちが愛用したヴィンテージの「Selmer Mark VI(マーク・シックス)」などは、個体差はありますが現代の楽器に比べると比較的軽量なものが多いと言われています。しかし、現代のフュージョンやポップス、ロックなど、電気楽器が大音量で鳴り響く環境の中で、サックスの生音を際立たせたい場合は、キャノンボールやヤナギサワのWO20のような、ヘヴィーでパワーのある楽器が好まれる傾向にあります。

初心者のうちは「扱いやすさ」を優先して標準〜軽量なモデルを選ぶのが無難というのが、多くの指導者や経験者の共通認識です。最初から「プロと同じ重い楽器がいい」と背伸びをして選んでしまい、「重くて首が痛いし、息も苦しくて音が出ない」となってしまっては、練習自体が嫌になってしまうからです。まずは軽量な楽器でサックスの楽しさを知り、自分の演奏スタイルが固まってきて「もっと太い音が欲しい」「もっと抵抗感が欲しい」と感じるようになったら、その時に初めてヘヴィーモデルへの買い替えを検討する、というステップアップが理想的ではないでしょうか。

テナーサックスの重さ対策に関する道具選びと負担を減らすコツ

ここまでは、テナーサックスがいかに「物理的に重いか」という冷酷な事実と、それに向き合うための心構えについて、少し脅かすような形でお話ししてきました。「そんなに大変なら、やっぱりアルトにしておこうかな…」と、少し弱気になってしまった方もいるかもしれません。しかし、どうか安心してください。現代には、その重さを劇的に軽減し、まるで楽器が軽くなったかのように錯覚させる魔法のような道具と、先人たちが編み出した知恵が存在します。

私自身、ベーシストとして4kg以上の重い楽器を長時間背負う苦労を知っていますが、近年のサックス界隈における「負担軽減アイテム」の進化は、目を見張るものがあります。人間工学に基づいたストラップや、航空宇宙工学の素材を使ったケースなど、10年前には考えられなかったような快適な環境が整っています。ここからは、実際に多くのプロやアマチュア奏者が実践している、重さの悩みを解消するための具体的な対策と、絶対に損をしないアイテム選びについて、徹底的に解説します。これを知っているだけで、あなたのテナーサックスライフの快適さは天と地ほど変わります。

首への負担を劇的に減らす高機能なストラップを活用する

テナーサックス奏者にとって、最も投資対効果が高く、そして一番最初に手をつけるべき改革。それは間違いなく「高機能ストラップ」への変更です。もしあなたが、楽器を買ったときに箱の底に入っていた「細い紐に申し訳程度の薄いパッドがついただけのストラップ」をまだ使っているのであれば、今すぐにでも楽器店へ走り、新しいストラップを試着することをおすすめします。

従来のシンプルなストラップは、首の後ろ(頚椎の棘突起あたり)の一点に全重量が集中する構造になっていました。これでは、3.5kgの重さが頚椎を直撃し、さらに首の横を通る重要な血管(頸動脈など)や神経を圧迫してしまいます。長時間吹いていると頭がぼーっとしたり、偏頭痛がしたり、ひどい肩こりに襲われたりするのは、単なる疲れではなく血流障害に近い状態だからです。

現在、サックス界で「常識」となりつつあるのが、以下の2つのタイプの高機能ストラップです。私の周りのバンド仲間たちも、ほぼ全員がどちらか、あるいは両方を所有して使い分けています。

① 分散型ストラップ(代表格:BIRD STRAP / Breathtaking)

このタイプの特徴は、独自のパーツによって「首を締め付けない」構造を実現している点です。

例えば、国内シェアNo.1と言われる「BIRD STRAP(バードストラップ)」は、首元にV字型の金属プレートが入っており、ストラップの紐が首の側面に密着するのを物理的に防いでくれます。これにより、首の血管が圧迫されず、気道も確保されるため、呼吸が驚くほど楽になります。パーツを組み合わせて自分好みの色にカスタマイズできる点も人気です。

また、「Breathtaking(ブレステイキング)」は、まるで着物や高級バッグのような幅広の革製ストラップで、首ではなく「肩のライン」と「背中」全体で楽器を包み込むように支える設計になっています。実際に使っている友人は「楽器を“吊るす”のではなく、身体で“着る”感覚に近い。重さが分散されて、体感重量が半分になった気がする」と絶賛していました。価格は2万円前後とストラップにしては高価ですが、整体に通う医療費や、長く演奏できる年数を考えれば、非常に安い投資だと言えるでしょう。

② ショルダー・ハーネス型(代表格:Jazzlab サックスホルダー / BG ハーネス)

「首が痛いのはもう嫌だ」「ヘルニアの既往症がある」「ストレートネックと診断された」という方にとっての最終兵器がこれです。

特に画期的なのが「Jazzlab(ジャズラブ) サックスホルダー」です。これは両肩にかけるフックと、お腹(腹部)で支えるパットの3点で楽器を保持する仕組みで、首には一切触れません。物理的に首への負担がゼロになるため、どれだけ重いテナーサックスでも、何時間でも吹き続けることができます。私の知人の60代の奏者は、これを使ってから「サックスを辞めようかと思っていたが、嘘のように楽になった」と語っていました。

見た目が少しメカニカルで大仰に見えるため、敬遠する人もいますが、一度使うとその圧倒的な快適さから抜け出せなくなる人が続出しています。立奏・座奏どちらでも使えますが、楽器の位置が固定されやすいため、身体を激しく動かして吹くパフォーマンスには不向きかもしれません。

ストラップは、単なる付属品ではなく「楽器の一部」であり、自分の身体を守るための「防具」でもあります。ネット通販で買うのも良いですが、人の首の太さや肩の形、なで肩か怒り肩かは千差万別です。できれば大きな楽器店に行き、自分の楽器を持参して、実際にこれらのストラップを試着させてもらうのがベストです。「こんなに違うのか!」という感動をぜひ味わってください。

移動を楽にするために軽量なセミハードケースを選ぶポイント

前述の通り、純正のハードケースでの移動は苦行そのものです。移動の負担を減らし、スタジオに着いた時点で体力を温存しておくためには、ケースの買い替えが必須事項となります。しかし、ここで注意していただきたいのが、「軽ければ何でも良い」というわけではないという点です。

安易にペラペラのケースを選んでしまうと、満員電車で押されたり、壁にぶつけたりした際のちょっとした衝撃で楽器のバランスが狂い、修理代が高くつくことになります。最悪の場合、管体が凹んでしまい、修理不能になるリスクさえあります。

そこでおすすめなのが、軽さと保護性能のバランスが絶妙に取れた「セミハードケース」です。これは、硬質の発泡ウレタンやABS樹脂などを芯材に使い、外側を丈夫なナイロン生地などで覆ったものです。ハードケース並みの保護力を持ちながら、重量は半分程度という夢のようなアイテムです。

特に人気が高く、私の周りでも使用率が高いのが、フランスのメーカー「BAM(バム)」の製品です。

  • BAM Softpack(ソフトパック): 流線型の近未来的なデザインで、重量は約3kg弱(テナー用)。表面がつるっとしていて雨にも強く、内部のクッション性が非常に高いため、楽器を優しくホールドしてくれます。背負った時のフィット感も抜群です。
  • BAM Cabine(キャビン): 非常にコンパクトで、一見するとテナーサックスが入っているとは思えないほどの小ささです。航空機内への持ち込み(要確認)や、混雑した場所での移動に有利です。ただし、見た目の割にシェルが肉厚で重量はそこそこあり(約3.5kg)、収納スペースがほとんどない(ネックはベルの中に収納する)ため、荷物を極限まで減らしたいミニマリスト向けの選択肢です。

また、もう少し手頃な価格帯では、アメリカの「PROTEC(プロテック)」のケースも定番です。こちらは少し四角い形状で重量もありますが(約3kg後半)、収納ポケットが非常に大きく、楽譜やメンテナンス用品、チューナー、なんなら着替えのTシャツくらいまで全てひとまとめにして運べるのが最大のメリットです。

【危険】ソフトケース(ギグバッグ)のリスクについて 楽器店には、1kg台の「ソフトケース(布製で綿が入っただけの袋)」も売られています。その軽さは確かに魅力的ですが、サックスという楽器の構造上、外からの圧力には極めて脆弱です。満員電車で他の乗客の鞄の角が当たっただけで、キイポストが歪んで音が出なくなる「事故」が多発しています。数万円〜数十万円する大切な相棒を守るためにも、最低限の硬さを持ったセミハードケースを選ぶのが、賢い大人の選択です。

ケース選びの際は、「リュックタイプになるか(両肩で背負えるか)」を必ず確認してください。片方の肩にかけるショルダータイプよりも、リュックタイプの方が荷重が左右均等に分散され、骨盤が安定するため、腰への負担が圧倒的に少なくなります。

重さを感じさせない正しい姿勢とストラップの長さ調整について

どれだけ高級なストラップや軽量な楽器を揃えても、使い方が間違っていては効果が半減してしまいます。特にサックス初心者にありがちなのが、「ストラップが長すぎて、楽器を自分の腕力で持ち上げて口元に運んでいる」という状態です。

これは無意識のうちにやってしまっていることが多いのですが、ストラップが長いと、マウスピースが口の位置まで届きません。そのため、右手親指(サムフック)を下から突き上げるようにして楽器を持ち上げ、さらに首を前に突き出して(亀のように)マウスピースを迎えに行くような猫背の姿勢になってしまいます。これでは、右腕の筋肉は常に緊張し、首の後ろには強烈な負荷がかかり、ものの10分で身体が悲鳴を上げてしまいます。

正しい調整位置の鉄則は、「手放しで楽器をぶら下げたときに、マウスピースが自然と口の高さに来る位置」です。

具体的なセッティングの手順は以下の通りです。

  1. まず、楽器を持たずに背筋を伸ばしてまっすぐ立ちます(または座ります)。足は肩幅に開き、リラックスした状態を作ります。
  2. 楽器をストラップにかけ、両手を離してぶら下げます(万が一外れた時のために、手は添える程度にしておきます)。
  3. その状態で、マウスピースの先端が自分の下唇のあたりに「勝手に」来るように、ストラップのアジャスター(調整金具)を上げ下げして長さを微調整します。多くの初心者は、自分が思っているよりも「短め」にする必要があるはずです。
  4. 実際に構えたとき、右手親指は楽器を「持ち上げる」のではなく、「前へ軽く押す」だけ、あるいは「楽器が左右に揺れないように支えるだけ」の状態になっているか確認します。

このセッティングが決まると、楽器の重量(下向きの力)はほぼ全てストラップを経由して首や肩にかかり、腕や手首は楽器の重量から解放されて自由になります。これにより、指の力が抜け、速いパッセージもスムーズに吹けるようになります。「楽器が軽く感じる」というのは、物理的に重量が減るわけではなく、「無駄な筋力を使わずに、骨格で効率的に支えられている状態」のことを指すのです。

ぜひ一度、全身鏡の前で自分の演奏フォームをチェックしてみてください。演奏中にストラップが緩んで下がってきていませんか?肩が上がって力んでいませんか?正しい姿勢は、見た目も美しく、そして何より身体が楽なはずです。

軽さを重視するならヤナギサワのライトモデルなどがおすすめ

これから楽器を購入するのであれば、最初から「軽い設計のモデル」を狙い撃ちするのも非常に有効な戦略です。Step5でも少し触れましたが、ここではもう少し具体的に、なぜYanagisawa(ヤナギサワ)の「WO1」がこれほどまでに初心者や体力に自信のない方に推奨されるのか、その理由を技術的な側面から深掘りします。

日本の職人集団であるYanagisawaは、世界で唯一のサックス専門メーカーです。彼らの現行ラインナップである「WO(ダブルオー)シリーズ」には、「ライトタイプ」と「ヘヴィータイプ」という明確なコンセプトの区分けがあります。

ライトタイプ(T-WO1 / T-WO2)の凄さ:

  • 「ポスト直付け」構造による軽量化:通常、キイポスト(バネやキイを支える柱)は「座」と呼ばれる長いプレートに一度溶接され、そのプレートごと管体に溶接します(一体座)。これは頑丈で音がまとまりますが、金属の量が増えるため重くなります。WO1などのライトタイプでは、ポストを直接管体に溶接したり、部分的に小さな座を使ったりすることで、強度を保ちながら金属の総量を極限まで減らしています。
  • 反応速度(レスポンス)の向上:管体が軽いということは、振動しやすいということです。息を入れた瞬間に「パンッ」と音が立ち上がります。これは肺活量に自信がない方や、初心者にとって非常に大きなメリットです。無理に息を吹き込まなくても、楽に、明るく響く音が出せるからです。
  • 決して「安物(廉価版)」ではない:ここが最も重要なポイントです。他メーカーの場合、軽量モデル=コストダウンされた初心者用モデル(スチューデントモデル)として、機能や音質が妥協されていることがよくあります。しかしYanagisawaの場合、ライトタイプもヘヴィータイプも設計思想が違うだけで、使われているタンポやバネ、製造精度や音程の良さは全く同じ「プロフェッショナル仕様」です。

実際に私の知人のサックス講師も、「大人の趣味で始めるなら、まずはWO1を勧めることが多い。音が素直に出るし、何より軽いから練習が億劫にならない。上達しても十分にプロの現場で通用するポテンシャルがある」と語っていました。

もちろん、YAMAHAの「YTS-380」や「YTS-480」といったスタンダードモデルも軽量に作られており、コストパフォーマンスは抜群ですが、将来的に上達しても買い替えずに一生使い続けられるクオリティという点では、YanagisawaのWO1が頭一つ抜けている印象があります。「軽さ」と「本物の音」を両立したい場合、このモデルは間違いなく世界最強の選択肢の一つと言えるでしょう。

(出典:ヤナギサワ公式サイト T-WO1製品ページ

筋トレは必要?楽器を支えるために必要な基礎体力の考え方

最後に、身体作りの面についても触れておきましょう。「テナーサックスを吹くには、やはり筋トレが必要ですか?」「腹筋を割らなきゃいけませんか?」という質問をよく受けます。スポーツジムに通ってボディビルダーのようにムキムキになる必要があるかと言えば、答えはNOです。しかし、「楽器を支え、呼吸をコントロールするための最低限のインナーマッスル(体幹)」は、あった方が絶対に有利ですし、身体を守ることに繋がります。

テナーサックスは、身体の前に構えるとはいえ、どうしても右側にベルが来るため、重心が右前方に偏ります。これを支えるために、身体は無意識のうちに左側の腰の筋肉を緊張させてバランスを取ろうとします。体幹が弱いと、この長時間のアンバランスな負荷に耐えきれず、腰痛を引き起こしたり、姿勢が崩れて胸が圧迫され、呼吸が浅くなったりします。

私の知人のベテラン奏者(60代男性)は、長く演奏を続けるために、以下のような簡単なルーティンを実践しているそうです。

サックス奏者のためのプチ・コンディショニング

  • プランク(体幹トレーニング):床に肘をついて身体を一直線に保つ運動。お腹の奥の筋肉(腹横筋など)を鍛え、楽器を持った時の胴体の安定感を高めます。1日30秒〜1分程度でも継続すれば効果があるそうです。
  • 肩甲骨周りのストレッチ:演奏前後に、肩甲骨を寄せたり広げたり、大きく腕を回したりする動作を行います。首や肩への負担を分散させやすくし、呼吸に必要な胸郭の柔軟性を保ちます。
  • 深呼吸(ブレス・トレーニング):楽器を持たずに、時間をかけて限界まで息を吸って、限界まで吐き切る練習。横隔膜周りの筋肉が刺激され、重い楽器を内側から支える空気の柱(エア・コラム)を作れるようになります。

重要なのは、アウターマッスル(表面の筋肉)でガチガチに固めるのではなく、「腕力で持つ」意識を捨てて、「骨格と体幹で支える」感覚を養うことです。この意識を持つだけで、3.5kgの鉄の塊は驚くほど軽く感じられるようになります。楽器の練習だけでなく、自分の身体のメンテナンスにも少しだけ目を向けてみてください。それが、長く楽しく楽器を続けるための土台となります。

まとめ:テナーサックスの重さは対策次第で快適に克服できる

ここまで、テナーサックスの「重さ」について、物理的な数値から、身体への影響、そして具体的な対策アイテムまで、様々な角度から深掘りしてきました。 結論として私が最もお伝えしたいのは、「テナーサックスは約3.5kgあり、確かに重い。しかし、それは決して克服不可能な壁ではない」ということです。

テナーサックス特有の、あの腹の底に響くような太く色気のある低音(サブトーン)、そして歌うような高音域の甘い響き。これは、この金属の質量と管の長さがあるからこそ生まれるものです。アルトサックスでは絶対に出せないその魅力的なサウンドは、多少の重さを我慢してでも手に入れる価値があると、私は(ベーシストという他パートの立場から見ても)心から思います。あの音色に包まれる快感は、何物にも代えがたい体験です。

幸いなことに、現代には人間工学に基づいた素晴らしいストラップや、軽量で安全なケース、そしてYanagisawa WO1のように扱いやすく設計された楽器そのものがあります。これらを賢く組み合わせることで、女性でも、小柄な方でも、あるいは腰痛持ちの方でも、テナーサックスを一生の趣味として楽しむことは十分に可能です。

「重そうだから…」という理由だけで、憧れのテナーサックスを諦めてしまうのは、あまりにももったいない話です。ぜひ一度、楽器店に足を運び、しっかりとしたストラップをつけて、テナーサックスを構えてみてください。その「ズシリ」とくる重みは、これから始まる豊かな音楽ライフの「重み」として、きっと愛おしいものに変わっていくはずです。あなたのサックスライフが、快適で素晴らしいものになることを応援しています。

EYS音楽教室