オカリナを始めると、「普通のオカリナは何オクターブ出るの?」「ドレミだけではなく半音も吹ける?」「2オクターブや3オクターブ必要な曲はどうする?」と気になりますよね。
結論からいうと、一般的な12穴シングルの音域は約1オクターブ半です。日本で初心者用として広く流通しているアルトC管を基準にすると、代表的な実音域はA4(低いラ)〜F6(高いファ)です。
ただし、オカリナはすべて同じ音域ではありません。穴数、調、ソプラノ・アルト・バスといった音高区分、メーカー、シングル管か複数管かによって、最低音や最高音は変わります。
そのため、「オカリナは1オクターブ半しか出ない」「トリプルなら必ず3オクターブ出る」と一律に考えるのではなく、まず一般的な12穴アルトCを基準として理解し、そのうえで個別の製品仕様を確認することが大切です。
この記事では、オカリナで出せる音を具体的な音名で確認しながら、シングル、ダブル、トリプルの違い、2オクターブ・3オクターブ必要な場合の考え方、吹きたい曲に合うオカリナを判断する方法まで整理します。
- 一般的な12穴オカリナで出せる音の範囲
- 「約1オクターブ半」の具体的な意味
- シングル・ダブル・トリプルの音域の違い
- 2オクターブ・3オクターブ必要な場合の選択肢
- 音域が足りない曲への対応方法
- 楽譜とオカリナの音域を照合する方法
オカリナの音域は約1オクターブ半
まず基準として知っておきたいのが、一般的な12穴シングルオカリナの音域です。「約1オクターブ半」と説明されることが多いですが、この言い方だけでは最低音と最高音が分かりにくいですよね。
実際には、初心者向けとして一般的な12穴アルトC管なら、低いラから高いファまでが代表的な範囲です。NIGHT OCARINAの公式FAQでも、12穴を基本として低音のラから高音のファまで、♯・♭を含む音が出せ、音域は大体1オクターブ半と説明されています。
12穴アルトCはA4〜F6
一般的な12穴アルトC管の代表的な実音域は、A4〜F6です。音名でいえば、A4が低いラ、F6が高いファにあたります。
12穴アルトC管の代表的な音域
A4(低いラ)〜F6(高いファ)
白鍵相当の音だけを順番に並べると、次のようになります。
ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ
この並びを見ると、最低音のラから次のラまでで1オクターブ、その先の高音ファまでさらに音域が続いていることが分かります。
「約1.5オクターブ」は分かりやすくした表現
A4〜F6の音程幅は20半音で、厳密には1オクターブ+短6度です。最低音と最高音を含め、半音階上の異なる音高を数えると21音になります。
アケタオカリーナの公式製品情報でも、多くの12穴モデルについて「1オクターヴ+短6度(半音を含め21音)」と案内されています。一方で、同じ12穴でも異なる音域設定のモデルがあることも示されています。
したがって「1.5オクターブ」という表現は、厳密な音程名を示したものではなく、一般向けに分かりやすく丸めた表現と考えるとよいでしょう。
完全な1オクターブは12半音なので、A4〜F6の20半音は、単純に「12半音の1.5倍」と一致するわけではありません。オカリナの記事や商品説明で「約1オクターブ半」と書かれている場合は、おおよその音域を表していると理解すると混乱しにくくなります。
C管でも最低音はCではない
初心者が混同しやすいのが、「C管なら最低音はCなのでは?」という点です。
一般的な12穴アルトCでは、主音であるCより下にBとAがあり、代表的な最低音はA4です。
つまり、C管の「C」は最低音を意味しているわけではありません。その楽器の基準となる調を表す名称です。
同じ考え方で、F管、G管でも最低音が必ずFやGになるとは限りません。基準となる主音より下の音を含む設計があります。
12穴でも音域は完全に共通ではない
ここで注意したいのは、「12穴ならすべてA4〜F6」とは限らないことです。
現在一般的に使われている12穴式では低音ラまで出せる設計が多いものの、一部のモデルでは同じ12穴でも音域設定が異なる場合があります。
また、11穴では最低音シまでとなる製品もあり、13穴など標準的な12穴とは異なる設計もあります。
穴数が増えれば、その数に比例して必ず音域が広がるわけでもありません。指孔の配置、内部設計、調律の考え方によって、実際の最低音・最高音は変わります。
「12穴だからA4〜F6」と断定せず、A4〜F6は一般的な12穴アルトCの代表値として考え、個別の楽器ではメーカーの運指表・音域表を確認してください。
シャープやフラットも出せる
「オカリナはドレミファソラシドしか出せない楽器」と思われることがありますが、一般的な12穴オカリナでは、♯(シャープ)や♭(フラット)を含む半音階を演奏できます。
A4〜F6の範囲を半音ごとに並べると、代表的には次のようになります。
| 音域 | 出せる音の例 |
|---|---|
| A4〜B4 | A4、B♭4、B4 |
| C5〜B5 | C5、C♯5/D♭5、D5、D♯5/E♭5、E5、F5、F♯5/G♭5、G5、G♯5/A♭5、A5、B♭5、B5 |
| C6〜F6 | C6、C♯6/D♭6、D6、D♯6/E♭6、E6、F6 |
つまり、一般的な12穴式はCメジャーの白鍵相当の音だけを演奏する楽器ではありません。
半音は、複数の指孔の開閉を組み合わせるクロスフィンガリングや、一部の穴を使った運指によって出します。
ただし、半音の運指はメーカーやモデルによって異なる場合があります。特に同じ音でも、メーカーによって推奨される指使いが違うことがあります。
半音を含めた運指は付属・公式の運指表を優先するのが確実です。
「音階」と「音域」は意味が違う
検索すると「オカリナの音階は何オクターブ?」という表現も見かけますが、「音階」と「音域」は意味が異なります。
音階は、ドレミファソラシドのように一定の規則で並んだ音の集合を指します。
一方、音域は、その楽器で出せる最低音から最高音までの範囲です。
したがって、一般的な12穴オカリナについて説明する場合は、「音階が1オクターブ半」ではなく「音域が約1オクターブ半」という表現の方が正確です。
低音ラ・シは息を強くしすぎない
一般的な12穴式で音域の下端となる低音ラ・シは、中音域とは少し違った息の使い方が必要になる場合があります。
低音部では弱めの息を要求される設計が多く、強く吹きすぎると音程が上がったり、発音が不安定になったりすることがあります。
また、低音ラ・シは中音域と比べて音量が小さくなりやすい傾向があります。
「運指は合っているのに低い音が安定しない」というときは、指孔のふさぎ方だけでなく、息の強さも確認する必要があります。
高音ミ・ファも息の使い方が重要
反対に、一般的な12穴シングルで最高音域にあたる高音ミ・ファは、低音よりも息のスピードや量を増やす設計が多くなります。
高音がかすれる場合、必ずしも楽器の故障とは限りません。息の量、息のスピード、アンブシュア、姿勢、楽器の角度などによっても発音や音程は変わります。
オカリナは、指孔を正しく押さえるだけで常に同じ音程になる楽器ではありません。その楽器に合った息の強さを身につけるためにレッスンで確認する方法も、音域全体を安定して使ううえで選択肢になります。
2オクターブ出せるオカリナ
吹きたい曲の最低音と最高音を確認したとき、一般的な12穴シングルのA4〜F6では収まらないことがあります。
特に2オクターブ以上に広がる旋律を原曲に近い音域で吹きたい場合、代表的な選択肢になるのがダブルオカリナです。
ダブルは2オクターブ以上
ダブルオカリナは、2つの独立した共鳴室を1本の楽器にまとめた複数管オカリナです。
一般的には低音側を第1管、高音側を第2管として使い、音域の境界で口を横に動かして別の吹き口へ移動します。
代表的なアルトCダブルでは、A4〜C7程度の音域を持つものがあります。
A4〜C7の音程幅は27半音で、厳密には2オクターブ+短3度です。
代表的なアルトCダブル
A4〜C7程度
27半音=2オクターブ+短3度
完全な2オクターブは24半音ですから、A4〜C7なら2オクターブより3半音広いことになります。
そのため、「ダブルは約2オクターブ」「2オクターブ以上」と説明される場合がありますが、代表例ではちょうど2オクターブではなく、それを少し上回ります。
シングルより最高音が広がる
一般的なシングルA4〜F6と、代表的なダブルA4〜C7を比べると、最低音は同じA4でも最高音側が広がります。
この差によって、シングルでは高音が足りずに原曲どおり演奏できない旋律にも対応しやすくなります。
特に、最低音から2オクターブ上の音まで使うような曲では、一般的な12穴シングルよりダブルの方が音域上の余裕があります。
第1管と第2管の切り替えが必要
ダブルは音域が広い一方で、シングルと同じ感覚のまま高音まで吹けるわけではありません。
音域の境目に来たら、第1管の吹き口から第2管の吹き口へ口を移動します。
そのため、指使いだけでなく口の横移動も演奏技術に加わります。管をまたぐ旋律では、切り替えによってフレーズが途切れないように練習する必要があります。
また、メーカーによって第2管の運指や切り替え位置が異なる場合があります。海外メーカー本来の運指と、日本向けの運指が異なる製品も存在します。
ダブルを選ぶときは、最高音だけでなく、第1管と第2管がどの音で切り替わるのかも確認したいポイントです。
シングルでは2オクターブに届かない
一般的な12穴シングルの標準音域はA4〜F6程度なので、通常の運指による安定した音域では2オクターブに届きません。
「強く吹けば、そのまま2オクターブ目まで上がれるのでは?」と考えるかもしれませんが、オカリナはフルートなどのように、息を強くして倍音へ切り替え、通常音域を丸ごと1オクターブ上へ広げる使い方を基本とする楽器ではありません。
むしろオカリナでは、息の強さが音程に大きく影響します。
基本的には息を強くすると音程が上がり、弱くすると下がる傾向があるため、必要以上に強く吹くと音程が上ずったり、音色が崩れたりすることがあります。
特殊構造、多穴式、特殊運指、倍音奏法などによって標準音域外の音を出せる場合はありますが、一般的な12穴シングルの標準音域とは分けて考える必要があります。
特殊な方法で一時的に音を出せることと、通常の曲中で音程・音量・音色を安定させながら実用的に使えることは同じではありません。
2オクターブ以上が必要なら複数管を基準に考えると、楽器選びで迷いにくくなります。
音域不足なら必ず買い替える必要はない
ただし、楽譜の音域がシングルから少しだけはみ出す場合、すぐにダブルへ替えなければならないわけではありません。
曲全体を演奏可能な調へ移調したり、はみ出した音を1オクターブ上下へ置き換えたり、近い音へ編曲したりする方法もあります。
原曲の高さを保つことが重要なのか、まず曲を楽しんで演奏できればよいのかによって、必要な音域も変わります。
3オクターブ出せるオカリナ
さらに広い音域を必要とする曲では、トリプルオカリナが代表的な選択肢になります。
クラシック、ポップス、映画音楽、ゲーム音楽などには、一般的な12穴シングルでは最高音または最低音が収まらない旋律があります。
原曲に近い高さを保ったまま演奏したい場合、広い音域を持つトリプルが役立つことがあります。
トリプルは約3オクターブ
トリプルオカリナは、3つの独立した共鳴室を1本にまとめた複数管です。
一般的には、第1管が低音〜中音、第2管が中高音、第3管が高音を担当し、高音へ進むにつれて吹き口を第1管、第2管、第3管へ移動します。
代表的なアルトCトリプルでは、A4〜G7程度の音域を持つものがあります。
代表的なアルトCトリプル
A4〜G7程度
34半音=2オクターブ+短7度
半音階上の異なる音高を両端を含めて数えると35音になります。
シングルのA4〜F6と比べると高音側が大きく広がるため、1本で対応できる曲の選択肢が増えます。
3つの吹き口を使い分ける
トリプルは音域が広い反面、操作はシングルやダブルより複雑になります。
高音へ進むたびに第1管→第2管→第3管と吹き口を移動するため、指使いだけでなく口の横移動も演奏に加わります。
特に管をまたぐ速いフレーズでは、吹き口の切り替えが遅れると音が途切れやすくなります。
また、各管では共鳴室の大きさが異なるため、息圧や音色の感覚が変わる場合があります。管ごとの違いをなるべく自然につなげる練習も必要です。
製品によっては、管の境界に同音または近い音を重複させ、フレーズによって使う管を選べる設計もあります。
完全な3オクターブとは限らない
トリプルオカリナについて「3オクターブ出る」と説明されることがありますが、代表例であるA4〜G7を厳密に数えると34半音です。
完全な3オクターブは36半音なので、A4を起点に完全な3オクターブ上へ行くならA7まで必要です。
つまりA4〜G7は、厳密には2オクターブ+短7度です。完全な3オクターブより全音、つまり2半音狭い範囲になります。
そのため、「トリプル=必ずちょうど3オクターブ」と断定しないことが重要です。
販売や一般向けの説明では「約3オクターブ」「3オクターブの音域」と表現されることがありますが、実際の最低音と最高音を確認するとより正確に判断できます。
また、すべてのトリプルがA4〜G7というわけではありません。メーカーやモデルによって最高音、最低音、各管の担当範囲、重複音、切り替え位置は異なります。
「ダブル」「トリプル」という名称だけで音域を決めないことが大切です。
シングルと複数管の音域比較
ここまでの内容を整理すると、シングル、ダブル、トリプルでは音域だけでなく、構造と演奏方法にも違いがあります。
| 種類 | 代表的なアルトCの音域 | 音域の目安 | 構造 |
|---|---|---|---|
| 12穴シングル | A4〜F6 | 約1オクターブ半 | 1つの共鳴室・1つの吹き口 |
| ダブル | A4〜C7程度 | 2オクターブ+短3度前後 | 2つの共鳴室・吹き口を切り替える |
| トリプル | A4〜G7程度 | 約3オクターブ | 3つの共鳴室・吹き口を切り替える |
上記は代表的なアルトCの目安です。すべてのメーカー、すべての製品に共通する固定規格ではありません。
ダブルとトリプルの違い
ダブルとトリプルの大きな違いは、共鳴室の数とカバーできる音域です。
ダブルなら代表例でA4〜C7程度となり、2オクターブを超える音域を持ちます。
トリプルなら代表例でA4〜G7程度まで広がり、3オクターブ近い範囲に対応できます。
必要な曲の音域で選ぶ
「ダブルとトリプルのどちらがよいか」は、音域が広い方を自動的に選べばよいわけではありません。
2オクターブ程度までの曲が中心なら、ダブルで対応できる可能性があります。さらに高い音まで頻繁に必要になるなら、トリプルが候補になります。
逆に、演奏したい曲が一般的な12穴シングルのA4〜F6に収まるのであれば、音域だけを理由に複数管を選ぶ必要性は高くありません。
まず曲の最低音と最高音を確認し、その範囲を無理なく含める楽器を考える方が合理的です。
複数管は持ち替えを減らせる
複数管のメリットは、広い音域を1本でカバーできることです。
シングルだけでは音域不足になる旋律でも、ダブルやトリプルなら別のオカリナへ持ち替えずに演奏できる可能性があります。
アンサンブルでは異なる管へパートを分ける方法もありますが、ソロで原曲に近い旋律を1本で演奏したい場合、複数管の広い音域が有利になります。
複数管には操作上の負担もある
一方で、複数管にはデメリットや注意点もあります。
- シングルより大きく重くなりやすい
- 吹き口の切り替えが必要
- 管ごとに息圧や音色が変わる場合がある
- 管をまたぐフレーズでは口の移動技術が必要
- メーカーごとに運指体系が異なる場合がある
そのため、「音域が広い=初心者にも扱いやすい」という関係ではありません。
音域と演奏しやすさは別
オカリナを選ぶうえで重要なのが、仕様上の音域と、その音域を安定して使えるかどうかは別問題だということです。
カタログ上ではA4〜F6まで出せる12穴オカリナでも、最低音ラと最高音ファが、中音域とまったく同じ息、音量、難易度で吹けるとは限りません。
低音と高音では必要な息が違う
一般的なオカリナでは、低音では弱め、高音では強めという息のカーブを持つ製品が多くあります。
低音ラ・シを強く吹きすぎれば音程が上がりやすく、高音では息の量やスピードが足りないと発音がかすれる場合があります。
NIGHT OCARINAの公式FAQでも、アルトCシングルを例に、低音側では息を弱め、高音側では息を強めながらチューナーで音程を確認する方法が紹介されています。
つまり、指使いが正しいだけでは、必ず正しいピッチで鳴るわけではありません。
チューナーを使い、各音がどの程度の息で安定するのか確認する練習も有効です。
仕様上の音域と実用音域を分けて考える
最低音や最高音が一度出せることと、曲の中で良い音程・音色を保って使えることは違います。
特に初心者の場合、音域の端では息の調整が難しく感じることがあります。
そのため、「出せる音域」と「安定して使える音域」は分けて考えると、楽器の性能や自分の演奏状態を判断しやすくなります。
サイズと音の高さにも注意
同じC管でも、ソプラノC、アルトC、バスCでは鳴る高さが異なります。
基本的に、小型のオカリナほど高く、大型のオカリナほど低い音になります。
共鳴室が小さいほど高い音が出やすく、共鳴室が大きいほど低い音になります。
ただし、「大きいオカリナほど音域の幅が広い」という意味ではありません。サイズが変わることで、楽器全体の音域が低い方向または高い方向へ移動すると考える方が分かりやすいでしょう。
曲に合うオカリナの選び方
オカリナの音域を知る最も実用的な目的は、「自分が吹きたい曲を演奏できるか」を判断することです。
そのため、楽器の音域だけを見て選ぶのではなく、演奏したい曲の最低音・最高音と照らし合わせて考えましょう。
楽譜の最低音と最高音を確認
最初に確認したいのは、楽譜の中で最も低い音と最も高い音です。
一般的な12穴アルトCを使うなら、基本的には実音A4〜F6の中に曲の音が収まっているかを確認します。
すべて収まるならシングルで対応できる
最低音から最高音までA4〜F6の中に収まっていれば、音域という点では一般的な12穴シングルで対応できます。
ただし、実際には音域の端の吹きやすさや半音運指の難しさなどもあるため、「範囲内=必ず簡単に演奏できる」という意味ではありません。
1〜2音だけ外れる場合は編曲も考える
最低音や最高音が1〜2音だけ音域外になる場合は、必ずしも複数管が必要とは限りません。
曲全体を演奏可能な調へ移調したり、一部の音だけ1オクターブ上下へ置き換えたり、近い音へ変更したりする方法があります。
原曲の音域を完全に保つ必要がなければ、シングルでも演奏可能になる場合があります。
頻繁に音域外へ出るなら複数管を検討する
一方、曲の途中で何度もA4〜F6の外へ出る場合、毎回オクターブ変更をすると旋律の形が大きく変わってしまうことがあります。
原曲の音域をなるべく保ちたいなら、ダブルやトリプルの方が自然に演奏しやすくなります。
2オクターブ以上が必要ならダブル、さらに高音側まで広く必要ならトリプルという考え方がひとつの目安です。
実音表記か移調表記か確認する
F管やG管などを使う場合は、楽譜の表記にも注意してください。
オカリナ教材では、実際に鳴る高さで記譜する方法と、管が変わっても同じ指使いを「ドレミ」として読む移調方式が混在することがあります。
そのため、「楽譜上では範囲に入っている」と思っても、実際に鳴る音との関係が違う場合があります。
特にC管以外を使用するときは、その楽譜が実音表記か移調表記か確認してください。
初心者はシングルから始める
これからオカリナを始めるのであれば、一般的な12穴アルトCのシングル管は、基本的な奏法を学ぶ基準にしやすいタイプです。
シングルは共鳴室と吹き口が1つなので、まずは指孔を正確にふさぐこと、息をコントロールすること、低音から高音まで音程を整えることに集中できます。独学で難しさを感じる場合は、オカリナのレッスンで基礎を学ぶ方法もあります。
複数管から始めてはいけないわけではない
初心者がダブルやトリプルを使ってはいけないわけではありません。
ただし、シングルで必要になる運指や息のコントロールに加えて、吹き口の切り替え操作も覚える必要があります。
そのため、基礎的な息遣いや運指を身につける用途では、まずシングルを使用する方法が一般的です。
複数管へ移る目安
シングルから複数管へ移るか迷ったら、次のような状態が目安になります。
- シングル管で基本運指が安定している
- 低音から高音まで息のコントロールができるようになってきた
- 吹きたい曲が現在の楽器の音域を明確に超えている
- 移調やオクターブ変更をせず、原曲に近い高さで演奏したい
- 2オクターブ以上必要な曲が増えてきた
こうした目的がはっきりしていれば、ダブルやトリプルへ移る意味も明確になります。
音域以外も購入前に確認する
オカリナを選ぶときは、最低音・最高音だけでなく、演奏性に関係する要素も確認してください。
- 弱い息向けか、強い息向けか
- 高音がどのような息で鳴る設計か
- 最低音ラ・シの扱い
- 本体の重量
- 本体サイズと指孔の間隔
- ダブル・トリプルの場合は管の切り替え位置
- メーカー独自の運指があるか
- 自分が吹きたい曲の最低音と最高音に合うか
単に「音域が広い楽器ほど高性能」と考えるのではなく、曲、用途、持ちやすさ、息との相性などを含めて判断することが大切です。
音域から選ぶときの目安
一般的な12穴シングル:A4〜F6程度
代表的なダブル:A4〜C7程度
代表的なトリプル:A4〜G7程度
オカリナの音域に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 普通のオカリナは何オクターブ出ますか?
A. 一般的な12穴シングル管なら約1オクターブ半が目安です。アルトCの代表例はA4〜F6で、厳密な音程幅は20半音、1オクターブ+短6度です。
Q2. オカリナは2オクターブ出せますか?
A. 一般的な12穴シングルでは、標準音域として2オクターブには届きません。代表的なアルトCダブルではA4〜C7程度と、2オクターブを超える音域を持つものがあります。
Q3. オカリナは3オクターブ出せますか?
A. 一般的なシングル管では出せません。代表的なトリプルではA4〜G7程度と約3オクターブ近い音域を持つものがあります。ただしA4〜G7は厳密には34半音で、完全な3オクターブより2半音狭い範囲です。
Q4. 12穴オカリナで出せる最低音は何ですか?
A. 一般的なアルトCならA4、低いラが代表的な最低音です。ただし、同じ12穴でも製品によって音域設定が異なる場合があります。
Q5. 12穴オカリナで出せる最高音は何ですか?
A. 一般的な12穴アルトCならF6、高いファが代表的な最高音です。個別の製品ではメーカーの音域表を確認してください。
Q6. C管なら最低音はCですか?
A. いいえ。一般的な12穴アルトCは主音Cより下のBとAも出せるため、代表的な最低音はA4です。C管の「C」は最低音ではなく、楽器の調を示します。
Q7. シャープやフラットは吹けますか?
A. 一般的な12穴式なら可能です。半音用の運指を使うことで、A4〜F6など楽器の音域内で♯・♭を含む半音階を演奏できます。運指はメーカーによって異なる場合があります。
Q8. シングル管を強く吹けば2オクターブ目まで出ますか?
A. 一般的な12穴オカリナは、強く吹いて通常音域を丸ごと1オクターブ上へ切り替える使い方を基本とする楽器ではありません。強く吹きすぎると音程が上がったり、音色が崩れたりする場合があります。
Q9. 高い音が出ないのは楽器の故障ですか?
A. 必ずしも故障とは限りません。高音の鳴り方には息の量・スピード、アンブシュア、姿勢、楽器の角度なども影響します。楽器ごとに必要な息の使い方が異なるため、運指だけでなく息の調整も確認してください。
Q10. ダブルとトリプルのどちらがよいですか?
A. 必要な曲の音域で判断します。2オクターブ程度までならダブルで対応できる曲が多く、さらに高音まで必要ならトリプルが候補になります。ただし、トリプルは吹き口が増えるため操作も複雑になります。
Q11. 初心者からトリプルを使ってはいけませんか?
A. 使用すること自体は可能です。ただし、シングルより運指、息、吹き口移動の操作が増えます。基本的な奏法を覚える目的では、一般的なシングルアルトCが使われることが多いです。
Q12. オカリナの音域はメーカーによって変わりますか?
A. 変わります。最低音・最高音だけでなく、複数管では管の切り替え位置や運指体系が異なる場合があります。同じ「アルトC」「12穴」「ダブル」「トリプル」という名称でも、個別の仕様確認が必要です。
Q13. 11穴と12穴では何が違いますか?
A. 一般的には12穴の方が低音ラまで拡張した設計が多く、11穴では最低音シまでの製品が見られます。ただしメーカー独自の設計があるため、穴数だけから最低音・最高音を断定することはできません。
まとめ
一般的な12穴シングルオカリナの音域は約1オクターブ半で、初心者用として広く使われるアルトCなら、代表的な実音域はA4〜F6です。
A4〜F6は20半音、厳密には1オクターブ+短6度です。半音用の運指を使えば、この範囲内で♯・♭を含む半音階も演奏できます。
一般的な12穴シングルでは、通常の運指による安定した音域として2オクターブには届きません。2オクターブ以上が必要ならダブル、さらに高音側まで含めて約3オクターブ近い音域が必要ならトリプルが代表的な選択肢になります。
代表例では、ダブルがA4〜C7程度で2オクターブ+短3度、トリプルがA4〜G7程度で2オクターブ+短7度です。トリプルについて「3オクターブ」と表現されることがありますが、A4〜G7は完全な3オクターブより2半音狭いことも覚えておきましょう。
また、同じ12穴、アルトC、ダブル、トリプルでも、すべての製品が同じ音域とは限りません。
オカリナを選ぶときに最も大切なのは、単純に音域の広い楽器を選ぶことではなく、吹きたい曲の最低音と最高音に合わせて選ぶことです。
一般的な12穴シングルの範囲に収まるなら、まずはシングルで基本運指や息のコントロールを身につけられます。音域を明確に超える曲を原曲に近い形で演奏したくなった段階で、ダブルやトリプルを検討すると目的に合った選択をしやすくなります。
購入前には穴数や名称だけで判断せず、個別の楽器についてメーカーが示す最新の音域表・運指表を確認してください。

