ドラムロールと聞くと、「左右の手をとにかく速く動かせばできる」と思うかもしれません。
ですが、実際のロールでは速さだけでなく、左右の音の間隔、音量、スティックの跳ね返りをそろえることが大切です。
ドラムロールには、左右を1打ずつ交互に叩くシングルストローク、同じ手で2打ずつ叩くダブルストローク、1回の動きで複数回バウンドさせるバズロールなどがあります。
それぞれ音の作り方が違うため、最初から「ザーッ」という音だけを目指すより、仕組みを理解して一つずつ練習したほうが上達の方向をつかみやすくなります。
特に初心者の場合、「速くすればロールになる」「力を抜けば勝手にできる」「ダブルストロークはスティックを2回跳ねさせればよい」といった理解だけで練習を進めると、音量差やタイミングの乱れが残りやすくなります。
最初に知っておきたいのは、ロールは単なる高速連打ではないということです。目的は、短い打音を一定の密度で並べ、必要に応じて連続した一つの音のように聞かせることにあります。
- ドラムロールとは何か、音がつながる仕組み
- シングル・ダブル・バズロールの違い
- 初心者が取り組みやすいドラムロールのやり方
- リバウンドを使う意味
- 音が途切れる、2打目が弱いときの直し方
- 練習パッドやメトロノームの使い方
一つずつ確認しながら、無理のない速度で練習していきましょう。
ドラムロールとは
ドラムロールとは、短い打音を連続させることで、本来はすぐに減衰する打楽器の音を持続しているように聞かせる奏法です。
スネアドラムを1回叩くと「タン」と音が出ますが、その音がずっと同じ音量で伸び続けるわけではありません。そこで次の打音を短い間隔で重ね、さらにその次の打音へつないでいくことで、耳には連続した長い音として聞こえる状態を作ります。
ただし、「ドラムロール」という名前の一つの固定された叩き方があるわけではありません。
スティックを左右交互に1打ずつ叩く方法もあれば、同じ手で2打ずつ叩く方法、細かな複数回のバウンドを重ねる方法もあります。
このため、初心者が「ロールを練習したい」と思ったときは、まずどの種類のロールを練習しているのかを区別すると理解しやすくなります。
特に混同しやすいのが、シングルストロークロール、ダブルストロークロール、バズロールです。
シングルは基本的に左右1打ずつ、ダブルは同じ手で2打ずつ、バズは1回のストロークから複数の細かなバウンドを作ります。
見た目はどれも連打に見えますが、手の使い方や音の密度、リバウンドの使い方は同じではありません。
ロールで音がつながる仕組み
ロールで音がつながって聞こえるためには、単に打数を増やすだけでは足りません。
重要なのは、次の打音までの隙間を一定に近づけ、音量差を小さくし、不要なアクセントを減らすことです。
たとえば、左右を交互に叩くシングルストロークなら「R L R L」と続けます。同じ手で2打ずつ叩くダブルストロークなら「R R L L」と続けます。
ここで、右手だけ大きな音になったり、右から左へ切り替わる瞬間だけ間が空いたりすると、連続音の中に周期的な凸凹が生まれます。
手は速く動いていても、耳には「ダダ、ダダ」「タカ、タカ」とまとまりが強く聞こえ、滑らかなロールになりにくい状態です。
ロールで重要なのは、単純な最高速度ではありません。
音と音の隙間、音量、左右のつながりをできるだけ均等にすることが、滑らかに聞かせる基本です。
逆に、極端に速くなくても、音の間隔と音量が安定していれば、テンポを上げたときに自然な連続音へ発展させやすくなります。
この考え方はダブルストロークでも同じです。
R R L Lという手順自体が合っていても、各手の1打目だけが強く、2打目が弱いと「強・弱・強・弱」という周期が生まれます。
また、RRの中は均等でも、2打目のRから最初のLへ移る部分だけ間が空いていると、その隙間も聞こえてしまいます。
そのため、ロールは「手順を間違えないこと」だけでなく、「音として均等に聞こえること」を基準に練習する必要があります。
自分の手元だけを見るのではなく、出ている音を聞くことが重要なのはこのためです。
ルーディメンツとの関係
ドラムの基礎練習では「ルーディメンツ」という言葉がよく使われます。
ルーディメンツとは、スティッキングなどの基本的な打楽器奏法パターンです。ロールもその重要な要素に含まれています。
代表的なロール系の基礎には、左右交互に叩くシングルストロークロール、複数回のバウンドを利用するマルチプルバウンスロール、2打ずつ叩くダブルストロークオープンロールなどがあります。
そのため、ロールの練習は「ザーッという効果音を出すためだけの練習」ではありません。
左右のバランス、リズムの安定、リバウンドの扱い、指や手首によるスティックコントロールなど、ほかのドラム演奏にもつながる基礎になります。
たとえば、シングルストロークをタムへ移動させればフィルインへ発展できます。ダブルストロークで得られる2打のコントロールは、ルーディメンツを展開するうえでも重要です。
初心者がロールを練習する場合も、いきなり高速ロールだけを狙うより、まず左右の単打をそろえ、その次にダブルへ進んだほうが、崩れた原因を見つけやすくなります。
ロールの種類を覚えること自体よりも、それぞれの奏法で何をコントロールしているのかを理解することが大切です。
ドラムロールの主な種類
ドラムロールを理解するときは、まず「シングル」「ダブル」「バズ」の3つを分けて考えると整理しやすくなります。
見た目はどれも連続して叩いていますが、1回の手の動きから何音を作るのかが異なります。
初心者が混乱しやすいのは、「ロール」という言葉だけでどれか一つの奏法を表していると思ってしまうことです。
実際には、求める音や楽器、演奏場面によって使われるロールは変わります。
シングルストロークロール
シングルストロークロールの基本は、R L R L R L R L……です。
右手で1打、左手で1打というように、左右を交互に叩き続けます。
構造そのものは非常にシンプルですが、きれいに続けるには左右の差を小さくする必要があります。
確認したいのは、主に「タイミング」「音量」「音色」「動作」の4つです。
- タイミング:右と左の間隔が均等か
- 音量:片方だけ強く鳴っていないか
- 音色:左右で打点や角度が大きく違っていないか
- 動作:片手だけ極端に大きく振っていないか
たとえば右利きの場合、右手側のほうが自然に強く動き、左手が追い付かないことがあります。左利きなら逆のことも起こり得ます。
この左右差が残った状態でテンポだけ上げると、速くはなっても音の粒がそろいません。
そこで、最初は余裕のある速度で、左右を一音ずつ均等に並べていきます。
右手始まりだけでなく、L R L R……と左手から始める練習も有効です。
苦手な手から始めたときに急にリズムが不安定になるなら、左右差に気づく材料になります。
シングルストロークは、スネアだけに使うものではありません。タムへ移動させればフィルインにもつながり、左右の基本的なバランスを整える練習にもなります。
また、シングルストロークは速度を上げると連続音の密度が高くなりますが、速さだけでは良いロールにはなりません。
左右の音量差が大きければ、速くしてもその差が残ります。タイミングが不均等なら、音の並びも不安定になります。
「どれだけ速く叩けるか」より、「どこまで均等なままテンポを上げられるか」を見てください。
ダブルストロークロール
ダブルストロークロールの基本は、R R L L R R L L……です。
右手で2打、左手で2打を交互に繰り返します。
シングルとの大きな違いは、1回の手の流れの中から2音を作ることです。
初心者のうちは、最初から1回の振りだけで高速の2打を出そうとする必要はありません。
低い速度では、まず「右・右、左・左」と2音をはっきり意識して叩き、手順と音の並びを覚えます。
ここでよく起こるのが、1打目は大きいのに2打目が小さいという状態です。
「タン・ッ、タン・ッ」のように2打目が消えてしまうと、テンポを上げたときに滑らかなロールへつながりにくくなります。
2打目も1打目に近い音量で聞こえることを意識してください。
速度が上がるにつれて、スティックが打面から戻ってくるリバウンドを利用すると、2打を効率よく作りやすくなります。
ここで大切なのは、「リバウンドを使う」と「スティックを完全に自由に跳ねさせる」は同じではないという点です。
自然な跳ね返りを生かしながら、必要に応じて指でスティックをコントロールし、2打目のタイミングと音量を整えます。
2打目を完全にバウンド任せにすると、音量が小さすぎたり、打音の間隔が不安定になったりすることがあります。
一方、スティックを強く握り込むと、1打目のあとに生じる反発を止めてしまい、2打目が出しにくくなります。
力を入れて無理に高速化すると、スティックの跳ね返りを止めやすくなります。音が崩れ始めたら、さらに力を入れるのではなく、一度テンポを下げてください。
ダブルストロークでは2打目が弱くなりやすい点については、ヤマハのマーチングスネアドラム解説でも注意点として説明されています。
ダブルストロークの練習では、RRLLの手順だけを目で追うのではなく、4音の間隔を耳で聞くことが重要です。
「右右・左左」というまとまりが強く聞こえすぎる場合は、各手の1打目にアクセントが付いている可能性があります。
滑らかさを求める段階では、4音をできるだけ同じ強さ、同じ間隔へ近づけます。
また、オープンロールという言葉がダブルストローク系のロールを指して使われることがあります。
用語だけで判断すると混乱することがあるため、R R L Lという具体的なスティッキングと一緒に覚えると理解しやすくなります。
バズロールとクローズドロール
バズロールでは、1回のストロークから細かな複数回のバウンドを作ります。
ダブルストロークが「右手2打、左手2打」を基本にしているのに対し、バズロールでは必ず2打と決めず、1ストロークから複数の細かな打音を作るのが特徴です。
右手で細かなバウンドを作り、次に左手でも同じようにバウンドさせ、それを交互につないでいきます。
うまくつながると、個々の打音よりも「ザーッ」という密度の高い連続音として聞こえやすくなります。
クローズドロール、プレスロール、バズロール、マルチプルバウンスロールといった言葉が使われる場合があります。
ただし、教材や演奏分野によって用語の使われ方には差があるため、名称だけで完全に同じ奏法だと決めつけないほうが安全です。
「何回バウンドさせるのか」「個々の打音を明確に聞かせるのか」「密度の高い連続音を作るのか」といった実際の動作で整理してください。
練習するときは、いきなり左右を連続させる必要はありません。
まず右手だけでバズを作り、次に左手だけでも同じように行います。
左右それぞれのバズの長さ、密度、音量差を確認し、それが近づいてきたらRからL、LからRへつないでみましょう。
手が切り替わる場所だけ急に音が薄くなる場合は、片方のバズが短すぎるか、次の手を出すタイミングが遅れている可能性があります。
バズロールでは、手を最大速度で動かすことそのものが目的ではありません。Vic FirthのMultiple Bounce Roll教材でも、良いバズロールを作るうえで単純な速さだけが決定要因ではなく、楽器やヘッド、音量、スティックなどによって適した手の速度が変わると説明されています。
楽器やヘッドの状態、音量、スティックなどによって適切なバウンドの密度は変わるため、必要な連続性になるよう調整します。
強く押し付けすぎればバウンドが抑えられ、反対に自由に跳ねさせるだけでは必要な密度にまとまらないことがあります。
その中間で、バウンドを利用しながら必要な長さと密度へ整えることが大切です。
初心者向けドラムロールのやり方
初心者がロールを練習するなら、いきなり最高速度を目指す必要はありません。
片手のリバウンド、左右交互のシングル、片手2打、RRLLという順に進めると、どこで音が崩れているのかを確認しやすくなります。
基本的な順序としては、次のように考えるとわかりやすいです。
- 片手ずつリバウンドを確認する
- R L R Lのシングルをそろえる
- 片手でR R、L Lを練習する
- R R L Lへつなげる
- 安定した範囲で少しずつ速度を上げる
- 必要に応じて長く続けるロールへ発展させる
ロールらしい音を急いで作ろうとせず、各段階で左右差や2打目の弱さを確認してください。
まず左右のシングルを揃える
最初は、R L R L……をゆっくり続けます。
ここで意識したいのは速度ではなく、左右を同じように聞かせることです。
右手と左手の音量差が大きい場合、速くしてもその差がそのまま残りやすくなります。
まずは余裕のあるテンポで、1音ずつ均等に並べる感覚を作りましょう。
スティックを上げる高さも確認します。
右だけ高く上げ、左だけ低い状態では、音量差が出やすくなります。また、左右で打つ位置が大きく異なると音色も変わります。
シングル練習で確認したいポイント
「左右の間隔」「左右の音量」「打点」「ストロークの高さ」の4つを耳と目で確認してみてください。
慣れてきたら、右手始まりだけでなく左手始まりも練習します。
R L R LだけでなくL R L Rでも同じように続けられるか確認すると、苦手な手が見えやすくなります。
片方の手だけが遅れる場合、無理に速くして追い付かせるより、その手単独のストロークを確認したほうが修正しやすくなります。
また、シングルの練習でも力みは確認してください。
肩が上がる、前腕が固まる、スティックを握り締める、テンポを上げた瞬間にストロークが極端に小さくなるといった変化がある場合は、現在の速度に余裕がない可能性があります。
少しテンポを下げ、フォームと音量が安定する速度で続けてください。
RRLLのダブルを練習する
シングルが安定してきたら、R R L L……へ進みます。
最初は「ロールらしく聞こえない」と感じても問題ありません。
ゆっくりしたテンポでは、一音一音が分離して聞こえます。
それよりも、RRLLの4音をできるだけ均等に並べることを優先してください。
いきなりRRLLを続けるのが難しい場合は、片手ずつ分解します。
右手で「R R」と2打して休む。もう一度「R R」と叩く。同じことを左手の「L L」でも行います。
片手だけなら、1打目と2打目の差に集中しやすくなります。
このとき、1打目だけが強く、2打目がほとんど聞こえないなら、その状態のまま速度を上げないようにしてください。
まず2音とも聞こえる速度に戻します。
左右それぞれで2打が安定してきたら、R R L Lへつなげます。
ここで注意したいのが、右手から左手、左手から右手へ移る瞬間です。
「R R……L L」のように手の切り替えで隙間ができると、ロールにしたときも周期的な切れ目として聞こえます。
RRの中だけでなく、RRからLLへ移る間隔まで均等にすることを意識してください。
最初は4音全部を均等に聞かせることを優先し、安定してきたら少しずつ音と音の間隔を狭めます。
一度に大きくテンポを上げる必要はありません。
音が崩れたら、少し前に安定していた速度まで戻します。
この「戻す」ことは後退ではなく、崩れた動きを繰り返さないための調整です。
リバウンドで2打目を安定させる
リバウンドとは、スティックが打面に当たったあと、反発によって跳ね返ってくる動きです。
ダブルストロークを効率よく続けるには、この跳ね返りをうまく利用します。
まず片手で1打して、スティックが自然に戻ってくる動きを観察してみてください。
強く握り込んでいると、打面に当たった直後の跳ね返りが小さくなります。
逆に、スティックを保持できないほど緩めればよいわけでもありません。
大切なのは、スティックを保持しながら、必要な反発まで止めないことです。
ダブルストロークでは、1打目の反発を利用してスティックを戻し、その流れから2打目へつなげます。
低い速度では2打を意識的に叩く感覚が強くても構いません。
速度が上がるにつれて、毎回大きな手首の動きだけで2回叩くより、リバウンドと指のコントロールを組み合わせたほうが動きを効率化しやすくなります。
ただし、2打目をバウンドだけに任せると、小さすぎる音になることがあります。
1打目と2打目を耳で比べながら、必要に応じて指で補助します。
特に苦手な手では、2打目が遅れたり消えたりしやすいため、右手だけ、左手だけの2打練習を分けて行うと原因を見つけやすくなります。
肩、前腕、手首に強い力が入り続けたり、痛みやしびれが出たりする場合は練習を続けないでください。痛みを我慢して速さを追いかける練習は避けましょう。フォームに不安がある場合は、必要に応じてドラム講師などに実際の動作を確認してもらう方法もあります。
リバウンド量は、打面の材質や張り具合などでも変わります。
練習パッドではよく跳ねても、実際のスネアでは感触が違うことがあります。逆に、反発の少ない面では同じやり方で2打が出にくいこともあります。
そのため、特定の打面でできた感覚をそのまま固定せず、実際の反発に合わせて調整することも必要です。
音を滑らかにつなぐコツ
ロールが「できたかどうか」を判断するとき、手の速さだけを見ないことが大切です。
実際に出ている音を聞き、音量、タイミング、左右の切り替えが自然につながっているかを確認していきましょう。
滑らかさを作るうえで特に重要なのは、次の点です。
- 左右の音量差を減らす
- 音と音の間隔をそろえる
- ダブルでは1打目と2打目を近い音量にする
- 手の切り替え部分に不要な隙間を作らない
- 強く握りすぎてリバウンドを止めない
- 音が崩れる速度まで無理に上げない
力まず音量と間隔を揃える
ロールがうまくいかないと、もっと強く握ったり、もっと速く腕を動かしたりしたくなるかもしれません。
ですが、必要以上に力むとスティックのリバウンドを止め、かえって連続した動きを作りにくくなります。
まず確認したいのは、音量と間隔です。
シングルならRとLが同じくらいの音量になっているか。
ダブルなら1打目と2打目が大きく違っていないか。
RRからLLへ移るところだけ隙間が空いていないか。
この3点を耳で確認すると、問題の場所を見つけやすくなります。
たとえば、ダブルストロークが「ダダ・ダダ・ダダ」と聞こえるなら、RRとLLのまとまりが強調されている可能性があります。
1打目ばかりにアクセントが付き、「強・弱・強・弱」となっていないか聞いてみてください。
滑らかにしたい場合は、4音それぞれの音量と間隔をできるだけ近づけます。
また、ロールは大きな音だけで行う奏法ではありません。
小さな音量でも大きな音量でも連続性を保つ必要があります。
音量が変われば、適切なストロークの高さやバウンドの使い方も変わるため、常に同じ力加減で押し付ければよいわけではありません。
大きな音ではストロークが大きくなりやすく、小さな音では動きもコンパクトになりますが、どちらの場合も音の間隔が崩れないことが重要です。
自分で叩いている最中は、手を動かすことに意識が向き、音のばらつきに気づきにくい場合があります。スマートフォンなどで録音し、あとから音だけを聞いてみると左右差を確認しやすくなります。
動画を使う場合は、左右のストロークの高さ、片手だけ大きく振っていないか、テンポを上げた瞬間に肩が上がっていないかも確認できます。
音と動きの両方を見ることで、「聞こえている問題」と「フォーム上の原因」を結び付けやすくなります。
メトロノームで速さを整える
メトロノームは、単に「高速練習をするための道具」ではありません。
一定のテンポを保てているか確認するために使います。
自分だけで練習していると、苦手な部分で少し遅くなったり、得意な部分だけ速くなったりすることがあります。
メトロノームに合わせると、その揺れに気づきやすくなります。
始めるテンポは、人によって違って構いません。
初心者全員に共通する「必ずこのBPMから始めればよい」という固定値はありません。
経験、左右差、使用する打面、現在のコントロール力などによって、無理なく均等に叩ける速度は異なります。
まずは余裕を持って均等に叩けるテンポを選びます。
そこでシングルを一定時間行い、次にRRLLを行います。
きれいに続けられるようになったら少し速度を上げます。
音が乱れたら、直前に安定していたテンポへ戻します。
「一瞬出せた最高BPM」ではなく、「音を崩さず一定時間続けられるBPM」を見るのがポイントです。
メトロノーム練習では、速くすることだけを目標にしないようにしてください。
遅いテンポでも正確に叩く練習を行うと、自分で勝手に間を詰めたり、得意な手だけ先走ったりする癖を確認できます。
また、最高速度だけを毎回試すより、安定しているテンポで繰り返す時間を作ったほうが、音の均一性を確認しやすくなります。
速くしたときにフォームが崩れたら、一度戻し、再び安定した状態を作ってください。
ロールがうまくいかない原因
ロールの練習でつまずく原因は、単純な「手の速さ不足」とは限りません。
2打目の弱さ、左右差、握り込み、手の切り替え部分の隙間など、いくつかの問題が重なっていることもあります。
うまくいかないときは、「もっと速くする」という一つの対処だけで解決しようとせず、どの音から崩れているのかを確認してください。
2打目が弱いときの直し方
ダブルストロークで非常に多いのが、1打目はしっかり鳴るのに2打目がほとんど聞こえない状態です。
原因として考えられるのは、次のようなものです。
- スティックを強く握りすぎている
- 1打目を腕力だけで強く叩いている
- 2打目を完全にバウンド任せにしている
- 左右のストロークの高さが違う
- 苦手な手の指によるコントロールが不足している
- 必要以上に速いテンポで練習している
- RRLLの手順だけを追い、実際の音を聞いていない
直すときは、いったんRRLLをやめて片手2打へ戻ります。
右手でR R、左手でL Lをそれぞれゆっくり行い、2音がはっきり聞こえる速さにしてください。
そこで1打目と2打目の音量差を耳で確認します。
2打目が極端に小さければ、スティックの反発が途中で止まっていないかも確認します。
反対に、2打目を完全に跳ね返り任せにしている場合は、必要に応じて指でスティックの動きを補助します。
右手だけできて左手が難しいなら、左手だけのLLを意識して練習するのも一つの方法です。
左手始まりのL L R Rを行えば、苦手な手を最初に動かす練習にもなります。
ダブルストロークは、速くした結果として2打目が出るのではありません。ゆっくりでも2音をコントロールできる状態を作り、そこから少しずつ間隔を狭めていくと考えるとわかりやすくなります。
「2打目が弱いからもっと強く振る」と考えると、1打目までさらに強くなり、差が広がることがあります。
まず1打目を必要以上に大きくしすぎていないかを確認し、2音をそろえる方向で調整してください。
音量だけでなく、2音の間隔にも注意します。
1打目と2打目の間だけ極端に狭かったり広かったりすると、RRLL全体のリズムも不均等になります。
音が途切れるときの直し方
ロールが途中でガタガタしたり、一定間隔で隙間ができたりするときは、まずどこで途切れているかを確認します。
シングルなら、RからL、またはLからRへ移る間隔が不均等になっていないかを見ます。
ダブルなら、RRの2音、LLの2音だけでなく、2打目から次の手の1打目へ移る部分が重要です。
たとえばR R L Lを叩いたとき、「R R」と「L L」はそろっていても、2番目のRから最初のLまでだけ間が空いていることがあります。
この場合は、速度を下げて4音を均等な間隔で並べ直します。
また、速くした瞬間に手や肩が固まるなら、その速度が現在コントロールできる範囲を超えている可能性があります。
一度テンポを戻し、リバウンドを感じられる力加減で練習してください。
「速いけれど数秒しか続かない」状態より、少し遅くてもフォームと音が崩れず続けられるほうが、次の段階へ進みやすくなります。
ロールが「ダダ・ダダ」と周期的に聞こえる場合は、各手の1打目にアクセントが付いていないかも確認します。
録音すると、演奏中には気づきにくい周期的な強弱を見つけやすくなります。
バズロールで音が途切れる場合は、右手のバズと左手のバズの長さが違わないかを確認します。
片方が短いと、次の手へ移る前に音が切れてしまいます。
まず片手ずつ同じようなバズを作り、それからR→L、L→Rの切り替え部分だけを練習すると原因を分けやすくなります。
ロールがうまくいかないときほど、全体を何度も繰り返すより、問題箇所を小さく分けて練習してください。
練習パッドでロールを練習する
ドラムロールの基礎練習には、練習パッドを使えます。
自宅で実際のスネアドラムを何度も叩くより音量を抑えやすく、シングルストローク、ダブルストローク、リバウンド、ルーディメンツなどを繰り返し確認しやすいのが特徴です。
特に、左右の音の間隔やスティックの動きに集中したいときに使いやすい練習道具です。
練習パッドでは、次のような内容を確認できます。
- R L R Lの左右交互打ち
- R R、L Lの片手ダブル
- R R L Lの連続
- リバウンドの確認
- バズの片手練習
- メトロノームに合わせた一定テンポの反復
ただし、練習パッドと実際のスネアドラムは完全に同じ感触ではありません。
製品によって打面の硬さや跳ね返り方が異なりますし、スネアのヘッドも張り具合などによってリバウンドが変わります。
そのため、パッドでダブルストロークが安定したら、可能であれば実際のスネアでも感触や音を確認するとよいでしょう。
自宅で実楽器を鳴らしにくい場合は、自宅以外の楽器練習場所を利用して、パッドで覚えた動きがスネアでも再現できるか確認する方法もあります。
パッドではきれいにできても、スネアへ移った瞬間に2打目が出にくくなることがあります。
これは練習が無駄だったという意味ではなく、打面の反発量に合わせてコントロールを調整する必要があるということです。
机やクッションでも、R L R LやR R L Lという手順を覚える練習はできます。
ただし、ダブルストロークやバズロールでは打面からのリバウンドそのものが重要です。
反発が非常に少ない面だけで練習していると、実際のスネアや反発のあるパッドへ移ったときに同じ感覚にならないことがあります。
反対に、跳ね返りの強いパッドだけに慣れていると、反発の弱い打面では同じように2打を出しにくい場合があります。
そのため、「どの面でもまったく同じ手の使い方をする」と考えるより、打面に応じて反発を感じ取り、必要な動作へ調整することが大切です。
練習パッドを選ぶ場合は、次のような点を確認すると整理しやすくなります。
- 打面のリバウンド感
- 消音性
- 打音を確認しやすいか
- サイズ
- 持ち運びやすさ
- 机置きかスタンド使用か
- 滑りにくさ
- 実際のスネアに近い感触を求めるか
どの要素を優先するかは、練習環境によって変わります。
自宅で音を抑えることを最優先する場合と、リバウンドや音の粒を確認したい場合では、重視するポイントが同じとは限りません。
練習パッドでも打撃音や床への振動は発生します。集合住宅などでは、時間帯や設置場所、床への振動にも配慮してください。自宅で楽器を練習するときの音や振動については、静かに楽器を練習する方法も参考になります。
スティックについても、特定のサイズでなければロールができないわけではありません。
標準的なサイズを基準にしつつ、手の大きさや演奏しやすさに合わせて選ぶことが大切です。
左右で大きく重さが違うスティックを使うと、音量やリバウンドの感覚をそろえにくくなる場合があるため、その点も確認しておきましょう。
初心者の練習メニューとしては、次のような流れで行うと整理しやすくなります。
- 片手ずつゆっくり叩き、リバウンドと力みを確認する
- R L R Lのシングルで左右差を確認する
- 右手だけR R、左手だけL Lを練習する
- R R L Lを一定テンポで続ける
- 安定していれば少しだけテンポを上げる
- 一定時間ロングロールを続けて音量とフォームを確認する
- 必要に応じて片手のバズと左右のつなぎを練習する
具体的な開始BPMを全員同じにする必要はありません。
正確に叩けるテンポから始め、音量やタイミングが崩れない範囲で少しずつ進めることを優先してください。
録音や動画を使うのも有効です。
録音では音量差やタイミングの凸凹を確認しやすく、動画では左右のストローク高、握り込み、肩や腕の力みなどを見つけやすくなります。
また、練習量だけでなく、途中で力みが出ていないかを確認することも重要です。
短期間で最高速度だけを上げようとせず、音が崩れたら戻し、無理な状態を長時間繰り返さないようにしてください。
まとめ
ドラムロールは、単にスティックを最高速度で動かす奏法ではありません。
短い打音を連続させ、音量や間隔をそろえることで、持続しているような音を作る奏法です。
- シングルストロークはR L R Lと左右交互に1打ずつ叩く
- ダブルストロークはR R L Lと同じ手で2打ずつ叩く
- バズロールは1ストロークから複数のバウンドを作って左右でつなぐ
- 初心者は速さより左右の音量と間隔をそろえることを優先する
- ダブルでは1打目のリバウンドを生かしながら2打目をコントロールする
- 2打目が弱いときは片手のR R、L Lへ戻って確認する
- 音が途切れるときは手の切り替え部分の間隔も確認する
- メトロノームでは最高速度より安定して続けられる速度を基準にする
- 練習パッドで基礎練習はできるが、実際のスネアとは感触が異なることもある
- 痛みやしびれを我慢して練習を続けない
最初は「ロールらしいザーッという音にならない」と感じるかもしれません。
しかし、ゆっくりしたR L R LやR R L Lがきれいに並ぶことも、ロールを作るための大切な練習です。
特にダブルストロークでは、速さを上げる前に2打目が聞こえているか、左右の4音が均等かを確認してください。
バズロールでは、片手ごとのバウンドを整え、それから左右の切り替え部分をつなぎます。
どのロールでも共通しているのは、手を速く動かすことより、実際に鳴っている音を聞きながらコントロールすることです。
音が崩れたらテンポを下げ、シングルや片手ダブルへ戻って問題を分けて確認しましょう。
速さより先に、音をそろえること。そこから少しずつテンポを上げていけば、無理に力を入れなくても連続した音へ近づいていきます。
痛みやしびれを感じる場合は練習を中止し、フォームに不安がある場合はドラム講師などに実際の動きを確認してもらう方法もあります。

