クラリネット基礎練習メニュー|毎日続けたい上達の順番を解説

クラリネット基礎練習メニューと毎日続けたい上達の順番を示した、クラリネットと楽譜のアイキャッチ画像。 クラリネット
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クラリネット基礎練習の基本の順番

クラリネットの基礎練習では、ただ長時間吹くことよりも「何を改善するために練習しているのか」を明確にすることが大切です。音色、息、音程、運指、タンギング、読譜、音楽表現はそれぞれ別の課題に見えますが、実際の演奏では互いに関係しています。

毎日の練習は、基本的にロングトーン→スケール・運指→タンギング→エチュード→曲という流れで組み立てると、音作りから実践へ段階的に移りやすくなります。

最初にロングトーンで息と音を整え、次にスケールや運指練習で指と音のつながりを確認します。その後にタンギングで発音を整え、エチュードで複数の基礎技術を音楽の中に組み込み、最後に現在練習している曲へ応用するという考え方です。

ただし、この順番は絶対的な規則ではありません。その日に解決したい課題がタンギングならタンギングに時間を多く使い、運指に問題があるならスケールや技巧練習を重点的に行うなど、目的に応じて配分を変えて構いません。

練習を始める前に「今日は何を改善するのか」を1~数個に絞っておくと、ただ最初から最後まで吹いて終わる練習を防ぎやすくなります。たとえば「高音域でも音色をそろえる」「特定の調のスケールを安定させる」「曲の難しい2小節を整える」のように、具体的な目標にします。自分だけでは課題の原因を切り分けにくい場合は、EYS音楽教室のレッスンで演奏を見てもらい、練習すべきポイントを具体化する方法もあります。

短い練習時間でも、具体的で達成可能な目標を設定して取り組む方法は有効です。International Clarinet Associationでも、限られた時間でロングトーンやスケール、エチュードなどを目的別に練習し、週単位の目標を毎日の小さな課題へ分ける考え方が紹介されています。詳しくはInternational Clarinet Associationの練習法に関する資料も参考になります。

また、練習を始めても急に特定の音だけ出しにくい、いつもより極端に息が入りにくいと感じる場合は、奏法だけを原因と考えないことも大切です。リードが極端に劣化していないか、取り付け位置に問題がないか、楽器が正しく組み立てられているか、キーやタンポに明らかな不具合がないかも確認しましょう。

ロングトーンで音色と息を整える

ロングトーンは、単に一つの音をできるだけ長く伸ばすための練習ではありません。安定した息の流れを作り、音の立ち上がりから終わりまで音色をそろえ、アンブシュアや音程の変化を確認するための基礎練習です。

まず、無理なく安定して出せる音を使って、一定の強さで音を伸ばしてみます。このとき重要なのは秒数ではなく、音の出だし、途中、終わりまでを自分の耳で確認することです。

音の出だしが荒れていないか、途中で音が揺れていないか、息の量やスピードが急に変化していないかを聴きます。さらに、音の最後まで息で支えられているか、肩や喉、顎などに必要以上の力が入っていないかも確認します。

長く伸ばそうとするあまり、最後に音色が大きく崩れたり、苦しくなって体に余計な力が入ったりするなら、その状態を長く続けること自体が目的になっています。「良い音を保てる時間」を優先することがロングトーンのポイントです。

一定の強さで安定して吹けるようになったら、クレッシェンドとデクレッシェンドを加えてみましょう。弱い音から徐々に強くし、そこから再び弱くします。強弱が変化しても音色が極端に変わらないか、音程が大きく動いていないかを確認します。

音域を変えて同じように練習する方法もあります。クラリネットでは音域によって響き方や抵抗感が変化するため、特定の音域だけきれいに鳴ればよいわけではありません。低音域、中音域、高音域へ広げながら、できるだけ共通した音質を目指します。

レジスターをまたぐ音のつながりも、ロングトーンを発展させて確認できます。音域が変わった瞬間に息が止まったり、音色が極端に変化したりしないよう、息の流れを保ちながら音をつなげます。

音程を確認するときにはチューナーやドローンを参考にできます。ただし、チューナーの針や表示を合わせることだけが目的ではありません。どの音域や強弱で音程が変化しやすいのかを耳でも把握し、自分の音の傾向を知るために利用します。

録音も有効です。演奏中は息や指、楽譜など複数のことへ注意を向けるため、音の細かな揺れや音色の変化を見落とすことがあります。短いロングトーンを録音して聴くだけでも、吹いている最中とは違った角度から確認できます。

スケールと運指で指の動きを整える

スケール練習では、長音階、短音階、半音階、アルペジオなどを使って、調性と運指を身につけます。慣れてきたら三度進行などのパターンを加えることもできます。

スケールは「速く吹くためだけの練習」ではありません。指を均等に動かす、音域をまたいでも滑らかにつなげる、調号を見たときに必要な運指を自然に選べるようにするといった複数の目的があります。

曲中の速いパッセージには、音階や分散和音に近い音の並びが現れることがあります。普段からスケールを練習しておけば、曲に出てきた音を一つずつ初めて覚えるのではなく、すでに身につけた運指パターンとして処理しやすくなります。

最初から速く吹こうとせず、音と指が正確にそろうテンポから始めます。メトロノームを使い、一定のテンポで吹けるか確認してから少しずつ速度を上げます。

このとき、テンポの数字だけを上達の基準にしないようにします。テンポが上がっていても、音の粒がそろわない、指が遅れる、音色が荒れる、タンギングが不明瞭になるのであれば、一度速度を戻して確認したほうが問題を見つけやすくなります。

運指では、複数の指が同時に動いているかにも注意します。クラリネットでは複数のキーや指を同時に切り替える場面があり、タイミングがずれると本来存在しない中間音が聞こえることがあります。

難しい運指に出会ったら、その前後を含めて何小節も繰り返すのではなく、問題となっている2~数音だけを抜き出します。その音だけをゆっくり往復し、どの指が遅れているのか、どこで余計な動きが発生しているのかを確認します。

また、指をキーから必要以上に高く離すと、次の音へ移動するまでの距離が長くなります。指を無理にキーへ押し付ける必要はありませんが、自然な位置を保ち、必要以上に大きな動きをしないことを意識します。

全調を毎日一度に長時間練習する方法だけが正解ではありません。曜日ごとに調を分ける方法や、現在練習している曲で使われる調を重点的に取り上げる方法もあります。ただし、得意な調ばかり選び、苦手な調を避け続けないようにします。

スケールをスラーだけで練習した後、タンギングを加える方法もあります。同じ音列でアーティキュレーションを変えると、運指とタンギングのタイミングを合わせる練習にもなります。

タンギングで発音を安定させる

タンギング練習では、発音を明確にし、各音の長さをそろえ、速いアーティキュレーションにも対応できる基礎を作ります。

タンギングは舌だけの問題ではありません。「息・舌の位置・舌の動作」を組み合わせて考える必要があります。舌を強くリードへ打ち付けることが目的ではなく、息の流れを保ちながら、舌とリードの接触によって振動をコントロールします。

クラリネットは、サックスと同じく1枚のリードを振動させて発音するシングルリード式の木管楽器です。タンギングでは、このリードの振動と息の流れを意識しながら発音を整えていきます。

まずは同じ音を連続して発音し、音の頭がそろっているか確認します。そのとき、発音の瞬間だけでなく、それぞれの音の長さが均一かにも耳を向けます。

ゆっくりしたテンポで発音が安定したら、少しずつテンポを上げます。速くするにつれて舌に余計な力が入ったり、息の流れが途切れたりした場合は、正確に発音できるテンポまで戻します。

同じ音で安定したら、スケールなどへ応用します。指と舌が同時に切り替わるため、運指だけ、タンギングだけでは気づかなかったタイミングのずれを確認できます。

タンギング練習でも「速くできた」だけを成功と考えず、音色、音の長さ、発音の明瞭さが保たれているかを確認しましょう。

練習時間別の基礎練習メニュー

クラリネットの練習時間は日によって変わります。毎日すべての基礎練習を長時間行わなければ上達できないわけではありません。

短時間の日は課題を絞り、時間を確保できる日はエチュードや楽曲まで含めて総合的に練習すると、基礎から実践までをつなげやすくなります。

重要なのは「決められたメニューを全部終わらせたか」ではなく、その日の時間の中で何を改善できたかです。

10~15分で優先したい練習

10~15分程度しか練習できない日は、すべてを完璧にこなそうとするより、基礎に少しずつ触れながら、その日の重点課題を一つ決める方法が現実的です。

  • ロングトーン:2~3分
  • スケール・運指:3~4分
  • タンギング:2~3分
  • 曲またはエチュードの苦手箇所:3~5分

たとえば「今日は特定のスケールを正確に吹く」「エチュードの難しい数小節を整える」「ロングトーンで強弱を変えても音色を保つ」といった小さな目標を設定します。

時間が短いからといって、焦ってすべてを速く終わらせる必要はありません。ロングトーンを2分行うなら、その2分の中で何を聴くのかを決めます。スケールを3分行うなら、特定の調を丁寧に確認するほうが目的を明確にできます。

短時間ほど「今日直すこと」を具体的に絞ることがポイントです。

曲についても、最初から最後まで通して時間切れになるより、昨日できなかった2小節だけを直すという選択肢があります。限られた時間だからこそ、練習対象を小さくすると集中しやすくなります。

30分・60分の練習の組み立て方

30分程度の時間が取れる場合は、ロングトーンを5分、スケールや運指を5~8分、タンギングを5分、エチュードを5~7分、曲の課題箇所を5~10分程度に分ける方法があります。

60分程度なら、ロングトーンや音色・音程の確認に10分前後、スケール・アルペジオ・半音階に10~15分、タンギング・運指に10分前後、エチュードに10~15分、楽曲に15~20分程度という組み立ても考えられます。

ただし、これらの時間は固定された規則ではありません。音色を重点的に改善したい日と、難しい運指を解決したい日では、必要な配分が異なります。

たとえば、現在練習している曲で特定の音階が何度も出てくるなら、その日のスケール練習を曲と関連づけることができます。速いタンギングが課題になっているなら、タンギング練習の割合を増やし、その後に曲の該当部分へ移ります。

基礎練習と曲の練習を完全に別のものとして扱わず、「今日の基礎練習で確認したことを曲のどこで使うか」を考えると、練習内容がつながります。

60分練習できる日でも、疲れてフォームやアンブシュアが大きく崩れた状態で吹き続ける必要はありません。必要に応じて休憩を入れ、再開したときに正しい動作を確認します。

苦手を効率よく直す練習のコツ

クラリネットが上手くなる方法を考えるとき、練習時間の長さだけでなく、失敗した場所をどのように修正するかが重要になります。

曲を最初から最後まで何度も通す練習には、全体の流れを確認するという役割があります。しかし、毎回同じ場所で失敗している場合、その箇所を含めて何度も通すだけでは問題を十分に解決できないことがあります。

まず「どこで失敗したか」を特定します。次に、その部分を1~2小節程度に区切ります。それでも原因が分からなければ、2~4音程度まで小さくします。

そのうえで、確実に演奏できるテンポまで下げます。速いテンポのまま何度も失敗するより、ゆっくりした状態で正しい運指、息、タンギングを確認します。

できるようになったら前後の音を追加します。2音でできたら4音、1拍でできたら1小節というように範囲を広げ、最後に元のフレーズへ戻します。

難所は小さく分け、正確にできる速度まで下げることが、失敗をそのまま繰り返さないための基本です。

部分練習で成功しても、曲の流れに戻した途端に失敗する場合があります。その場合は、難所そのものだけでなく、難所へ入る直前の音や、難所から出た後の音まで含めて練習します。

「難しい1小節だけなら吹ける」という状態から、「前のフレーズから続けても吹ける」状態へ広げていくことが必要です。

メトロノームと部分練習の使い方

メトロノームは、速く吹けるようにするためだけの道具ではありません。自分では一定に演奏しているつもりでも、難しい部分だけ遅くなったり、簡単な部分で速くなったりすることがあります。

最初は、確実に演奏できるテンポを設定します。そのテンポで音、リズム、運指、アーティキュレーションが安定していることを確認します。

連続して正確に演奏できるようになったら、少しずつテンポを上げます。どの程度ずつ上げるかを固定する必要はありません。テンポを上げたことで失敗が増えたら、一段階戻します。

ここで注意したいのは「昨日よりメトロノームの数字が大きくなったから上達した」と単純に考えないことです。速度が上がっても音色やリズム、発音が崩れていれば、別の問題が生じています。

練習開始時のテンポと、その日に安定して演奏できたテンポを記録しておくと、次回の開始地点を決めやすくなります。

目標テンポで何度も失敗するより、遅いテンポで正しい動作を定着させ、そこから段階的に速度を上げるほうが、どこで動作が崩れるのかを確認できます。

リズム変奏で運指のずれを見つける

均等な連続音で指がそろわない場合は、同じ音列を付点リズムなどに変えて練習する方法があります。

たとえば均等に並んでいる音を「長・短」「短・長」のように変えて吹きます。同じ音列でも指へかかるタイミングが変わるため、特定の指だけが遅れている箇所や、指を切り替える瞬間の問題を発見しやすくなります。

一つのリズムだけでなく、反対のパターンでも確認します。片方では演奏できても、リズムを反対にすると崩れる場合、特定の音の組み合わせに問題が隠れている可能性があります。

ただし、リズム変奏そのものが最終目標ではありません。問題を発見し修正するための途中段階として利用し、練習後は必ず元の楽譜のリズムへ戻します。

元のリズムに戻したとき、音の並びが均等になったか、指の動きが滑らかになったかを確認して初めて、リズム変奏の効果を判断できます。

クラリネットのエチュードの役割

エチュード(étude)は、特定の技術や音楽表現を身につけるための練習曲です。単純な運指練習とは異なり、フレーズ、強弱、アーティキュレーション、リズム、音色などを音楽としてまとめて練習できます。

ロングトーンでは音色や息、スケールでは調性や運指、タンギングでは発音というように、基礎練習では課題を分解して練習します。エチュードでは、それらを一つの音楽の中で同時に使います。

そのため、エチュードは基礎練習と実際の楽曲をつなぐ橋渡しとして考えると役割が分かりやすくなります。

エチュードを練習するときは、まず調号、拍子、テンポ、反復記号、強弱、アーティキュレーションを確認します。音符だけを追い始める前に、どのような曲なのかを楽譜から読み取ります。

次に、難しい部分を先に見つけます。必要であれば楽器を吹く前にリズムを手拍子したり、音名を読んだりして確認します。読譜上の問題なのか、運指上の問題なのかを切り分けることも大切です。

難所は細分化し、正確に演奏できる速度まで落として練習します。技術的に演奏できるようになった後は、フレーズ、強弱、音楽の方向を整えます。

最後に全体を通し、部分練習した場所が音楽の流れの中でも演奏できるか確認します。エチュードを「音符を間違えずに並べるだけの課題」にしないことが大切です。

クローゼ68の技巧練習で鍛えること

「68の技巧練習」は、イアサント・クローゼ(Hyacinthe Klosé)のクラリネット教本に収録されている「68 Exercises of Mechanism」を指します。「68のメカニズム練習」などと呼ばれることもあります。クローゼの教則本については、全音楽譜出版社の「クローゼ:クラリネット教則本」公式情報で確認できます。

これは、旋律を中心とした一般的なエチュードというより、短いパターンを反復しながら指の動きを整える技巧練習としての性格が強いものです。

目的としては、各指を独立して動かすこと、複数の指を同時に正確に動かすこと、運指の均一性を高めること、音と音の間に不要な中間音が入るのを防ぐことなどが挙げられます。

曲中で難しい運指に遭遇してから初めてその動きを練習するのではなく、基本的な運指パターンをあらかじめ繰り返すことで、指の動きを準備するという使い方ができます。

練習するときは、最初から速く吹く必要はありません。十分に遅いテンポから始め、指が同時に動いているか、音の間に不要な音が入っていないか、音の粒がそろっているかを確認します。

音の粒がそろわなくなったらテンポを下げます。特定の箇所だけ崩れる場合は、問題のある2~4音程度を抜き出して反復します。

安定して演奏できたら少しテンポを上げ、再び確認します。速度を上げたことで指や音が乱れた状態をそのまま反復しないことが大切です。

また、「68」と書かれているからといって、毎日の基礎練習で68種類をすべて行わなければならないわけではありません。現在苦手としている動きや、その日の練習目的に合うパターンを選ぶ方法があります。

クローゼ:クラリネット教則本を使う場合も、68の技巧練習をエチュードと完全に同じものとして考えると、練習目的が曖昧になります。指の独立や均一性を整える技巧練習として位置付けると、その後のエチュードや楽曲との役割分担が分かりやすくなります。

ローズ26の難易度と始める目安

シリル・ローズ(Cyrille Rose)は、19世紀フランスのクラリネット奏者・教育者です。ローズの名が付いたクラリネット教材には、「26のエチュード」「32のエチュード」「40のエチュード」「20のグランド・エチュード」などがあります。

そのため、「ローズを練習する」というだけでは、どの教材を指しているのか分からないことがあります。教材を選ぶときには数字まで確認しましょう。

「26のエチュード」は、ローズのエチュード系列の中では早い段階に位置します。しかし、シリーズの最初だからといって「クラリネットを始めた直後の完全初心者向け」と考えるのは適切ではありません。

基本的な運指、音階、アーティキュレーション、読譜などをある程度身につけ、基礎練習で習得した技術を音楽的なフレーズの中で使う段階で検討する教材です。

ローズ26の難易度について「クラリネット歴○年なら必ず吹ける」「○級なら始められる」といった統一された公式基準で判断することはできません。

同じ期間クラリネットを練習していても、練習頻度、読譜、音域、スケール、運指、タンギングなどの習得状況は人によって異なります。さらに、26曲すべてで必要となる課題が同じとは限りません。

そのため、開始時期を経験年数だけで決めるより、楽譜を見たときに調号やリズムを読み取れるか、必要な音域に対応できるか、基礎的な運指やアーティキュレーションを扱えるかなど、現在の技術から判断するほうが適切です。自分で判断しにくい場合は、EYS音楽教室でクラリネットのレッスンを受けるなど、現在の演奏を見てもらったうえで教材の進め方を相談する方法もあります。

難しく感じる場合でも、教材そのものが「自分には早すぎる」と即断する必要はありません。特定の曲のどの要素が難しいのかを確認し、スケール、運指、タンギングなどの基礎練習へ戻って課題を分解できます。

ローズのエチュードを進める順番

ローズには複数のエチュード教材があるため、「26と32はどちらを先に練習するのか」「数字の大きい32のほうが難しいのか」と迷うことがあります。

全音楽譜出版社が示しているローズの学習順は「26→32→40→20」です。その順番に従う場合、26のエチュードを32のエチュードより先に学習します。これは全音楽譜出版社の「ローズ:26のエチュード」公式ページでも明記されています。

  1. 26のエチュード
  2. 32のエチュード
  3. 40のエチュード
  4. 20のグランド・エチュード

ローズの学習順は「26→32→40→20」であり、単純に数字の小さい順や大きい順ではありません。

32のエチュードは、運指だけではなく、旋律の中でフレーズやアーティキュレーション、音楽表現を総合的に扱う教材です。全音が示す順番では26の次に位置します。

その後に40のエチュード、さらに20のグランド・エチュードと続きます。20のグランド・エチュードは、この系列の後半に位置する教材です。

ただし、この順番はすべてのクラリネット学習者が例外なく守らなければならない規則ではありません。教師の指導方針や演奏者の技術、現在解決したい課題によって、取り上げる教材や曲が変わる場合があります。

また、エチュードの番号そのものが完全な難易度順になっているとは限りません。教材全体の位置付けと、個々の曲で必要になる技術は分けて考える必要があります。

クローゼの68の技巧練習とローズのエチュードは、どちらか一方だけを選ぶものとも限りません。

68の技巧練習では、指の独立、複数の指の同時運動、均一性といった機械的・技術的な動作を重点的に整えます。一方、ローズのエチュードでは、運指に加えてフレーズ、アーティキュレーション、リズム、強弱、音楽表現をまとめて練習します。

そのため、「技巧練習で指の動作を整える→エチュードで音楽の中に応用する」という使い分けができます。さらにエチュードで身につけた内容を現在練習している楽曲へ結びつけると、基礎練習から実際の演奏まで一連の流れになります。

基礎練習を上達につなげる習慣

基礎練習を効率よく上達につなげるには、「何分練習したか」だけではなく、「何が改善したか」を確認する習慣が役立ちます。

練習前に、その日の目標を1~数個に絞ります。たとえば「ロングトーンで弱音の音色を安定させる」「特定の調のスケールを一定のテンポで吹く」「エチュードの難所を4音単位で直す」といった具体的な内容です。

練習後には、できたことと次回確認したいことを記録します。詳細な日記を書く必要はありません。次回の練習開始時に見返して、すぐ課題を思い出せる程度でも役立ちます。

  • 日付
  • 練習時間
  • ロングトーンで気づいたこと
  • 練習したスケールや調
  • 技巧練習の番号
  • エチュードの番号
  • 練習開始時のテンポ
  • 安定して演奏できたテンポ
  • できなかった箇所
  • 次回最初に確認する箇所

このような記録があれば、次の練習で毎回ゼロから課題を探す必要がありません。「前回どこまでできたか」「どのテンポから再開するか」が分かるため、限られた練習時間を使いやすくなります。

録音も役立ちます。演奏中は指や楽譜へ意識が向きやすく、音色、音程、リズム、発音などを同時に客観視するのは簡単ではありません。

曲全体を毎回録音する必要はなく、ロングトーン数音、スケール1種類、エチュードの数小節など、確認したい部分だけを録音する方法でも十分です。

録音を聴くときには「上手いか下手か」という漠然とした判断ではなく、「音の出だしはそろっているか」「テンポが揺れていないか」「強弱を変えたときに音色が崩れていないか」など、確認項目を絞ります。

また、基礎練習を続けているのに急に特定の音だけ出しにくくなった場合は、練習方法だけを原因と決めつけないことも重要です。

リードが極端に劣化していないか、リードの取り付け位置が適切か、楽器のジョイントが正しく組み立てられているか、キーやタンポに明らかな不具合がないかを確認します。

楽器側に問題がある状態で無理に奏法だけを変えようとすると、本来必要のない力の入れ方を覚えてしまう可能性があります。急な変化を感じたときには、奏法と楽器の両方から原因を考えます。

練習後は管内の水分をスワブで除去するなど、楽器の手入れも行います。ヤマハも、演奏後にクリーニングスワブを管体内へ通して水分を取る方法を案内しています。具体的な手順はヤマハのクラリネット演奏後のお手入れで確認できます。

長時間練習するときには適宜休憩し、口や手が疲れてフォームやアンブシュアが崩れた状態を繰り返さないようにします。

基礎練習だけで演奏に必要なすべてが身につくわけでもありません。ロングトーン、スケール、運指、タンギングで整えた技術をエチュードで使い、さらに実際の楽曲へ結びつけることが必要です。

反対に、曲だけを繰り返して問題をすべて曲の中で解決しようとすると、何が原因なのか分かりにくくなる場合があります。曲で見つかった問題を基礎練習へ戻して分解し、改善したら再び曲へ戻すという往復ができます。

たとえば曲の速いパッセージで指がそろわないなら、該当する数音を抜き出し、必要に応じてスケールや技巧練習へ戻ります。発音がそろわないなら、同じ音でのタンギングへ戻ります。息が続かずフレーズが不安定なら、ロングトーンや息の使い方を見直します。

こうして「曲で問題を発見する→基礎練習で分解する→エチュードや曲で再確認する」という流れを作ると、それぞれの練習に目的が生まれます。

短時間しか練習できない日でも、改善する内容を具体的に決めれば練習できます。長時間吹いたこと自体を上達の基準にせず、小さな課題を一つずつ解決していくことが、クラリネットの基礎を安定させるための考え方です。

毎回すべてを完璧にしようとする必要もありません。週単位で考え、今日は音色、別の日は運指というように重点を変える方法もあります。大切なのは、苦手なものを避け続けず、継続的に基礎へ触れられる仕組みを作ることです。

まとめ

クラリネットの基礎練習は、ロングトーン、スケール・運指、タンギング、エチュード、楽曲という順番で組み立てると、音作りから実践へつなげやすくなります。

ただし、この順番や時間配分は絶対的な規則ではありません。10~15分しか取れない日は課題を絞り、30分、60分と時間を確保できる日はエチュードや楽曲まで含めて練習するなど、その日の目的に合わせて調整できます。

ロングトーンでは長さだけを追わず、音色、息、音程、強弱を確認します。スケールと運指練習では、速度より先に音と指の正確さを整えます。タンギングでは舌だけに意識を集中させず、息の流れを保ちながら発音と音の長さをそろえます。

苦手な部分は小さく区切り、正確に演奏できるテンポまで落としてから段階的に元へ戻します。メトロノーム、リズム変奏、録音、練習記録を利用すると、失敗の原因や前回からの変化を確認しやすくなります。

クローゼの68の技巧練習は、指の独立や複数の指の同時運動、運指の均一性を整える技巧練習として活用できます。ローズのエチュードは、基礎技術をフレーズや強弱、アーティキュレーションなどと組み合わせ、音楽の中で使う練習につなげられます。

ローズについて全音楽譜出版社が示している学習順は「26→32→40→20」です。ただし、すべての人が同じ時期、同じ速度で進む必要はなく、現在の読譜、音域、運指、スケール、アーティキュレーションなどの状態に合わせて考える必要があります。

クラリネットの練習で大切なのは、単に長時間吹いたり、メトロノームの数字だけを上げたりすることではありません。「今日は何を改善するのか」を明確にし、できない部分を小さく分け、正確な状態を積み重ねていきます。

基礎練習で身につけた内容をエチュードで確認し、さらに楽曲へ結びつけるところまでを一つの練習として考えると、限られた時間でも目的のあるクラリネット練習を組み立てやすくなります。