クラリネットのアンブシュア|口の形と息の入れ方を詳しく解説

「クラリネットのアンブシュア|口の形と息の入れ方を詳しく解説」の文字と、クラリネットを吹く口元や楽器を大きく写したアイキャッチ画像。 クラリネット
本記事はプロモーションを含みます。画像はイメージを含みます。

クラリネットのアンブシュアとは

クラリネットを始めたばかりのとき、「息を入れているのに音が出ない」「息の音ばかりになる」「突然キーキーと高い音が鳴る」「少し吹いただけで苦しくなる」と悩むことがあります。こうしたときにまず確認したいのが、アンブシュアと息の使い方です。

アンブシュアとは、管楽器を演奏するときの口の形や、口の周辺の使い方を指します。クラリネットでは、マウスピースとリードを口で適切に保持しながら、リードが振動できる状態を作ることが基本です。

ただし、アンブシュアは単にマウスピースを強くくわえることではありません。息が横から漏れないように支えつつ、リードを必要以上に押さえ込まないことが大切です。

リードを支えながら振動を妨げないというバランスが、クラリネットのアンブシュアを考えるうえで重要になります。

アンブシュアは音の出しやすさだけでなく、音色、音程、音の安定性、発音にも関係します。一方で、歯並びや唇の厚さ、あごの形、口腔内の形には個人差があります。そのため、写真などを見て外見を完全に一つの形へ合わせるより、基本原則を守りながら無理なく安定して鳴る位置を探すことが大切です。

音が出る仕組みと口の役割

クラリネットは、1枚のリードを使って音を出すシングルリード楽器です。マウスピースに取り付けたリードへ息を送り、そのリードが振動することで音のもとが生まれます。クラリネットと同じシングルリード方式を使う楽器との違いを知りたい場合は、サックスとクラリネットを含む木管楽器の発音方式の違いも参考になります。

つまり、クラリネットを鳴らすには「十分な息を入れること」と「リードが振動できる状態を口で作ること」の両方が必要です。どちらか一方だけを意識してもうまくいかないことがあります。

たとえば、息をしっかり入れていても、強く噛んでリードをマウスピース側へ押し付けてしまえば、リードが振動するための隙間が狭くなります。その状態でさらに強く息を吹き込んでも、音が詰まったようになったり、思うように鳴らなかったりします。

反対に、リードを振動させようとして口を緩めすぎれば、口角から空気が漏れたり、音や音程が不安定になったりします。

そのため、「強く締めれば正解」「力を抜けば正解」という二択ではありません。マウスピースを安定して保持でき、息が大きく漏れず、それでいてリードの振動を妨げない程度のバランスを探します。

初心者が音を出せないときは、肺活量や才能だけを原因と考えないことも重要です。リードの状態、セッティング、マウスピースをくわえる位置、噛む力、息の使い方などが組み合わさっている可能性があります。

下唇・上の歯・口角の使い方

一般的なシングルリップのアンブシュアでは、下唇を下の歯の上へ軽くかぶせ、その上にリード側を置きます。下唇は、下の歯とリードの間でクッションのような役割をします。ヤマハのクラリネット演奏法でも、下唇を下の歯へ軽くかぶせ、リードを置き、上の歯をマウスピースにつける基本手順が案内されています。

ここで注意したいのは、下唇を大量に口の中へ巻き込む必要はないということです。巻き込みすぎると下唇へ強い圧力がかかりやすくなり、痛みにつながる場合があります。

また、下の歯を使ってリードを強く押し上げるようにすると、リードの振動を妨げる原因にもなります。「リードを支える」ことと「リードを強く押しつぶす」ことを区別しましょう。

上の歯はマウスピースの上面に置き、楽器を安定させる支点になります。上の歯を浮かせ、上下の唇だけでマウスピースを挟もうとすると、口周辺に余計な力が入りやすく、アンブシュアも安定しにくくなります。

上の歯がマウスピースへ当たる振動が気になる場合や、歯が滑る感じが気になる場合には、マウスピースパッチを利用する方法があります。マウスピースパッチには、上の歯の位置を安定させる補助や、歯によるマウスピースの摩耗を防ぐ役割があります。

口角は、左右からマウスピースを包んで息漏れを防ぎます。ただし、「笑った顔」のように口角を強く横方向へ引っ張る必要はありません。横へ引きすぎると、下唇や口周辺へ余計な緊張が生じやすくなります。

口角から空気が漏れる場合は、単純に噛む力を強くするのではなく、左右からマウスピースを包めているかを確認します。頬を必要以上に膨らませず、口角周辺が安定しているかを見るとよいでしょう。

あごについても、必要以上に力ませる必要はありません。あご周辺が強く縮んでいたり、口元に過度な力が入っていたりする場合は、アンブシュアを作ろうとして力みすぎていないか確認します。

自分の口元は演奏中に見えないため、鏡を使うと確認しやすくなります。口角が極端に横へ引かれていないか、頬が大きく膨らんでいないか、あごへ過度な力が入っていないかを客観的に見てみましょう。

マウスピースをくわえる深さ

マウスピースをどこまでくわえるかも、クラリネットの音の出しやすさに関係します。

浅すぎると、リードの振動する部分が十分に口へ入らず、息苦しく感じたり、音が細くなったり、反応しにくくなったりすることがあります。音が出ないためにさらに強く噛むと、いっそうリードが振動しにくくなる場合があります。

反対に深くくわえすぎると、音のコントロールが難しくなったり、音が荒れたり、「キーキー」という意図しない高い音、いわゆるリードミスが起こりやすくなったりすることがあります。

初心者向けの資料ではマウスピース先端から約1cm弱の位置に上の歯を当てる方法が一つの目安として示されることがありますが、すべての奏者に共通する絶対的な位置ではありません。

マウスピースの設計、歯並び、唇やあごの形などによって適切な位置は変わります。そのため「必ず何mm」と固定して考えるのではなく、目安を出発点に少しずつ調整します。

くわえる深さには個人差があるため、外見だけを他の人と完全に同じにしようとしないことも大切です。

位置を調整するときは、一度に大きく変えるのではなく、少しずつ変えて音の出方を比べます。息を入れたときに無理なく音が立ち上がり、リードが詰まった感じが少なく、口角から大きく息が漏れない位置を探していきます。

クラリネットの息の入れ方

アンブシュアを整えても、息が十分に流れていなければクラリネットは安定して鳴りません。初心者の場合、「きれいな音を出したいから、そっと弱く吹こう」と考えてしまうことがあります。

しかし、息が不足するとリードを十分に振動させられません。リコーダーを吹くような感覚で少ない息だけを入れると、息の音ばかりになったり、音の立ち上がりが不安定になったりする場合があります。

一方で、単純に力任せに大量の空気を押し込めばよいわけでもありません。アンブシュアでリードを閉じてしまっている状態では、息だけを強くしても鳴りにくくなります。

クラリネットでは、「リードの振動を妨げないアンブシュア」と「安定して流れ続ける息」をセットで考えることが重要です。

息の吸い方と安定した流し方

まず、吹き始める前に十分な量の息を吸います。フレーズの直前に慌てて少量だけ吸う習慣があると、途中で息が足りなくなりやすくなります。

肩だけを大きく持ち上げるような浅い呼吸より、胸郭や腹部の周辺が自然に広がるように吸うと、安定した呼吸につなげやすくなります。息を吸うために身体全体を硬くしないことも大切です。

吸った息は、マウスピースの中へ安定して送り続けます。吹き始めた直後だけ息を入れて、その後に流れが弱くなると、音も不安定になりやすくなります。

ロングトーンをするときは、音を出した瞬間だけではなく、音の終わりまで息の流れが続いているかを確認します。息が少なくなったときに、口を強く締めることで音を維持しようとしないこともポイントです。

小さな音を出す場合も同様です。「小さい音=息を止める」と考えるのではなく、安定した流れを保ちながらコントロールします。

また、息の圧力を口や喉だけで無理に作ろうとすると、身体が硬くなりやすくなります。首、肩、喉に余計な力が入っていないかも確認しましょう。

噛みすぎずリードを振動させる

クラリネットは、強く噛んで音を出す楽器ではありません。必要なのは、マウスピースを安定させて息漏れを防ぎながら、リードが振動できる状態を維持することです。

噛みすぎると、リードとマウスピースの間の開きが狭くなります。その結果、「息を入れているのに音が出にくい」「音が詰まる」「音程が上ずる」「下唇が痛い」「すぐに口が疲れる」といった問題につながることがあります。

特に注意したいのは、音が出にくいときほど、さらに噛んで解決しようとしないことです。

音が出ないときほど噛む力だけを増やさないことを覚えておきましょう。

もちろん、完全に口の力を抜けばよいわけでもありません。アンブシュアが緩すぎれば口角から息が漏れたり、音程や音色が安定しなかったりします。

判断するときは、「強いか弱いか」だけではなく、息を入れたときにリードが無理なく振動しているかを基準にします。必要以上に噛まなくても音が立ち上がり、長く伸ばしたときに大きくふらつかない状態を目指します。

高い音を出そうとするときにも、噛む力だけを増やす方法に頼らないようにします。高音域では息の支えや口腔内の使い方、運指なども関係するためです。

舌の位置と姿勢も確認する

クラリネットの音には、外から見える唇の形だけではなく、口の中の状態も関係します。口腔内の形や舌の位置は、音色や高音域の安定性にも関係する要素です。

クラリネットでは、舌を比較的高い位置に保ち、まとまりのある息の流れを作る考え方があります。一方で、初心者の段階から口の中を細かく操作しようとすると、かえってアンブシュアや息が不安定になる場合があります。

まずは、口の外側の基本的なアンブシュアと、安定した息の流れを優先します。そのうえで必要に応じて舌や口腔内の使い方を確認すると整理しやすくなります。

タンギングをするときも、発音のたびにアンブシュアそのものを大きく動かさないことが基本です。口の形を安定させ、舌と息を使って発音します。

姿勢も見落とせません。座奏でも立奏でも、背中や首を過度に曲げず、呼吸しやすい姿勢を保ちます。顔を楽器へ無理に近づけるのではなく、楽器を自然な位置へ持ってきます。

楽器の重量を口だけで支えると、下唇やあごへ余計な負担がかかります。右手親指などで適切に楽器を支え、首、肩、喉へ余計な力を入れないようにしましょう。

楽器の角度についても、すべての人がまったく同じである必要はありません。体格、歯並び、マウスピースの形状などによって自然な位置は変わります。無理な角度へ身体を合わせるのではなく、呼吸とアンブシュアを安定させやすい位置を確認します。

リードとセッティングの基本

正しいアンブシュアを作ろうとしても、リードやマウスピースのセッティングに問題があれば吹きにくくなります。

初心者が音を出せないときは、「自分の口の形が悪い」と考えてアンブシュアだけを何度も変えてしまうことがあります。しかし、原因がリードの状態や取り付け方にあれば、口の形だけを変えても解決しません。

一般的なケーンリードは、演奏前に適切に湿らせて使用します。乾いたままのリード、欠けたリード、割れたリード、反ったリードなどでは、正常に鳴らしにくい場合があります。

リードをマウスピースへ取り付けるときは、中央へまっすぐセットします。左右にずれていたり、斜めになっていたりしないか確認しましょう。

リードの先端とマウスピース先端の位置も確認します。リガチャーは正しい位置へ取り付け、ネジを適度に締めます。必要以上に強く締め付ける必要はありません。

音が出ないときはセッティングも確認することが、原因を切り分けるうえで重要です。

アンブシュア、息、リード、マウスピース、楽器の状態は別々の問題ではなく、互いに影響します。一項目ずつ確認すると、何を変えたときに吹きやすくなったのか判断しやすくなります。

リードの硬さと選び方

リードには強度がありますが、数字が大きければ上級者向けで、必ず良い音になるという単純な関係ではありません。

同じ番号でもメーカーやシリーズによって実際の吹奏感は異なります。さらに、天然素材であるケーンリードには個体差があり、同じ箱に入っている同じ強度のリードでも、吹いたときの感覚がまったく同一とは限りません。ヤマハのリード選びの解説でも、リードを湿らせて吹き比べ、息が入りやすく無理なく吹けるものを選ぶ方法が案内されています。

初心者にとって重要なのは、「硬いリードを使えること」ではなく、無理なく音を出し、安定した息を流せることです。

初心者向けとして2 1/2程度が一つの出発点として紹介されることがありますが、すべての初心者に共通する正解ではありません。使用するマウスピースやリードのメーカー、シリーズなどによって適切な強度は変わります。

硬すぎるリードでは、息を入れても音が出にくく、吹奏抵抗を強く感じる場合があります。その状態を「自分の肺活量が足りない」と判断してしまうと、原因を見誤る可能性があります。

反対に、リードの番号だけを下げればすべて解決するわけでもありません。重要なのは、現在使っているマウスピースとの組み合わせを含めて考えることです。

音が極端に出しにくい場合は、アンブシュアだけを何度も変えるのではなく、別の正常なリードへ交換して吹き比べる方法があります。リードを変えると問題が改善するなら、リードの状態や強度が原因の一つだった可能性を考えられます。

マウスピースとの組み合わせ

適切なリード強度は、使用しているマウスピースによっても変わります。

マウスピースには、先端部分でリードとの間にできる開きであるティップオープニングや、フェイシングなどの違いがあります。こうした設計の違いによって、適するリード強度や吹奏感も変化します。

そのため、同じ「3番」のリードを使っても、すべてのマウスピースで同じように感じるわけではありません。あるマウスピースでは吹きやすい組み合わせでも、別のマウスピースでは吹きにくく感じる可能性があります。実際にVandorenのB45 B♭クラリネット用マウスピースでは、リードのシリーズごとに推奨強度の範囲が示されています。

「初心者なら必ずこの番号」「このマウスピースなら必ず吹きやすい」と一律に決めるのではなく、組み合わせとして考える必要があります。

現在の組み合わせで極端に息苦しい、十分に息を入れても音が出にくい、すぐに口が疲れるという場合は、技術だけでなくリードとマウスピースの適合も確認しましょう。

マウスピースを高価なものへ交換するだけでアンブシュアの問題が解決するわけではありません。一方で、現在のマウスピースとリードの組み合わせが本人に合わず、必要以上に吹きにくくなっている可能性はあります。

初心者の場合は、有名なモデルかどうかだけで判断するのではなく、無理なく息を入れられ、安定して鳴らせる組み合わせを優先することが大切です。

音が出ないときの確認ポイント

クラリネットで音が出ない原因は、アンブシュアだけとは限りません。「正しい口の形にしているつもりなのに鳴らない」という場合は、原因を一つずつ確認していきます。

最初に確認したいのはリードです。リードが割れたり欠けたりしていないか、マウスピース中央へ正しく取り付けられているか、位置が大きくずれていないかを見ます。

次に、マウスピースを浅くくわえすぎていないか、反対に深くくわえすぎていないかを確認します。

そのうえで、強く噛んでリードを閉じていないか、十分な息を吸えているか、息が途中で止まっていないかを見直します。

別の正常なリードへ交換して比較する方法もあります。リードを替えることで急に鳴りやすくなるなら、口の形だけではなくリード側に原因があった可能性があります。

それでも改善しない場合は、マウスピースとリードの組み合わせや、楽器自体の組み立て、調整状態なども確認する必要があります。

大切なのは、音が出ないたびにアンブシュアを大きく変更しないことです。複数の要素を同時に変えてしまうと、何が原因だったのか分かりにくくなります。

キーキー鳴る・音が詰まる原因

吹いた瞬間に「キーキー」と高い音が出る現象は、一般にリードミスやスクイークなどと呼ばれます。

リードミスが起こると、「もっと強くくわえなければ」と考えがちですが、原因は一つではありません。

まず、マウスピースを深くくわえすぎていないか確認します。深すぎる位置ではリードのコントロールが難しくなり、意図しない高い音が出やすくなる場合があります。

アンブシュアそのものが不安定になっていないか、リードが左右へずれていないか、リードに欠けや損傷がないかも確認しましょう。

さらに、クラリネット本体では指でトーンホールを完全に塞げていない場合や、キーを正しく押さえられていない場合にも意図しない音が出ることがあります。

特に初心者は、アンブシュアばかりを疑ってしまいがちですが、指の位置も同時に確認する必要があります。

反対に、「音が詰まる」「息は入れているのに音が前へ出ない」と感じる場合は、噛みすぎを確認します。強く噛むことでリードとマウスピースの開きが狭くなると、リードが十分に振動できません。

硬すぎるリード、浅すぎるくわえ方、息の不足、リードの位置不良、マウスピースとリードの組み合わせなども確認します。

息の音ばかりで音が細い場合は、息が弱すぎないか、口角から空気が漏れていないか、マウスピースを浅くくわえすぎていないかを見てみましょう。

「キーキー鳴る」「詰まる」「息の音ばかりになる」は、それぞれ異なる現象ですが、リード、くわえる深さ、アンブシュア、息という共通する確認項目があります。一つずつ順番に見直すことが近道です。

息が苦しい・下唇が痛い原因

少し吹いただけですぐに息が苦しくなる場合、単純に肺活量だけが原因とは限りません。

リードが硬すぎる、マウスピースとの組み合わせが適切でない、噛みすぎてリードの開きを狭くしている、十分な量の息を吸えていないなど、複数の原因が考えられます。

息を「流す」のではなく、閉じたリードへ無理に空気を押し込もうとしている場合も、強い抵抗を感じやすくなります。

首や喉、肩へ力が入りすぎていないかも確認します。身体が硬くなると、十分な息を吸いにくくなり、吹いている途中にも余計な力を使いやすくなります。

下唇が強く痛む場合は、噛みすぎや下唇の巻き込みすぎを疑います。下の歯をリード側へ強く押し上げていないか、楽器の重量を口だけで支えていないかも確認してください。

長時間演奏したときに口周辺が疲れることと、強い痛みや傷が続くことは分けて考える必要があります。

強い痛みを我慢して吹き続けないようにしましょう。痛みが強い場合はいったん演奏をやめ、噛む力、下唇の巻き込み方、楽器の支え方などを見直します。

上の歯が気になる場合は、上の歯をマウスピースへ置くこと自体が間違いというわけではありません。一般的なシングルリップのアンブシュアでは、上の歯はマウスピースを安定させる支点になります。

歯へ伝わる振動や滑りが気になる場合は、マウスピースパッチを利用する方法があります。

音程が高くなりやすい場合も、噛みすぎていないかを確認します。音程を口の締め付けだけで合わせる癖がつくと、アンブシュアへ余計な負担がかかります。

反対に音程が低い、音が広がると感じる場合は、アンブシュアが緩すぎないか、息の支えが不足していないかなどを確認します。楽器やマウスピースの温度、セッティングなども音程に関係するため、口の力だけで解決しようとしないことが重要です。

初心者におすすめの基礎練習

アンブシュアと息を安定させるには、一度に多くのことを直そうとするより、基本的な状態を一つずつ確認しながら繰り返すことが大切です。

まず、リードを適切に湿らせます。リードをマウスピース中央へまっすぐセットし、先端の位置を確認してからリガチャーを取り付けます。

次に、背中、肩、首に過度な力が入らない姿勢を作ります。下唇を下の歯へ軽くかぶせ、リード側を下唇へ置き、上の歯をマウスピース上面へ置きます。

口角から空気が大きく漏れないようにマウスピースを包み、リードを押しつぶさない程度の力でアンブシュアを保持します。

ここまで準備できたら十分に息を吸い、息を途中で止めず、安定してマウスピースへ送り込みます。

音が出なかった場合は、その場ですぐに強く噛むのではなく、確認する順番を決めておくと原因を探しやすくなります。

最初にリードの損傷と取り付け位置を確認し、次にマウスピースをくわえる深さ、噛む力、息の量と流れを見ます。必要であれば別の正常なリードでも比較します。

初心者が覚えておきたい優先順位としては、まずリードとマウスピースを正しくセッティングし、次に無理のない姿勢でマウスピースをくわえます。そのうえで息漏れを防ぎながらリードを押しつぶさないアンブシュアを作り、十分な息を安定して流します。

最後にロングトーンなどで、音が安定しているかを確認します。

この順番で確認すれば、「口の形」「息」「リード」「マウスピース」「楽器の状態」のすべてを一度に変えずに済みます。

ロングトーンと鏡で確認する

初心者の基礎練習として取り組みやすいのがロングトーンです。ロングトーンとは、一つの音を長く伸ばす練習です。

十分に息を吸ってから吹き始め、最初から最後まで音量、音色、音程をなるべく安定させます。

単に長時間音を伸ばせばよいわけではありません。途中で音がふらついたり、息が減るにつれて音程が変わったり、口を強く締めなければ維持できなくなったりしていないかを観察します。

息が少なくなってきたときに口を強く締めて補おうとすると、リードの振動を妨げることがあります。音の最後まで、アンブシュアを大きく変えずに息の流れを維持できるか確認しましょう。

鏡を使った練習も役立ちます。鏡の前で吹くと、自分では気づきにくい口元の変化を確認できます。

口角から息が漏れていないか、口を横方向へ強く引きすぎていないか、あごや頬へ過度な力が入っていないかを見ます。

さらに、吹き始めと吹き終わりで口の形が大きく変わっていないかも確認しましょう。音を維持するために徐々に噛む力を増やしている場合、演奏の後半ほど口元へ力が入りやすくなります。

楽器全体を組み立てた状態では確認する要素が多すぎる場合は、マウスピースとバレルだけで音を出す練習もできます。運指を考えず、アンブシュアと息に集中できるため、音の出し方を確認しやすくなります。

B♭クラリネットの一般的なセッティングでは、マウスピースとバレルで吹いたときの音程としてF♯付近が一つの目安とされます。ただし、マウスピース、バレル、奏者、温度などによって音程は変化します。

そのため、特定の音程へ合わせることだけを目的に強く噛まないようにします。音程だけでなく、無理なく発音できるか、音が安定しているか、リードが詰まっていないかも確認しましょう。

練習しているのに音がほとんど出ない場合は、「自分はクラリネットに向いていない」とすぐに判断する必要はありません。初心者自身では確認しにくい要素が多いためです。

たとえば、息不足だと思っていた原因が硬すぎるリードだったり、肺活量の問題だと思っていたものが噛みすぎによるリードの閉じすぎだったりする可能性があります。

数回試しても音がほとんど出ない、毎回リードミスになる、強い痛みがあるという場合は、クラリネット講師に実際の状態を確認してもらうと原因を切り分けやすくなります。

また、楽器そのものの調整不良が原因になる場合もあります。アンブシュア、息、リード、セッティングを確認しても改善しない場合は、楽器の状態についても点検を検討します。

最終的に目指したいのは、見た目だけが「正しいアンブシュア」に見える状態ではありません。息を入れれば無理なく音が立ち上がり、口角から大きく空気が漏れず、リードが詰まった感じがなく、必要以上に噛まなくても音を安定させられる状態です。

低い音から高い音へ移るたびにアンブシュアを大きく作り直さなくても演奏できることも、一つの目安になります。

歯並び、あごの形、唇の厚さ、口腔内の形などは人によって異なるため、外から見た口の形を完全に同じにする必要はありません。マウスピースをくわえる深さや楽器の角度にも個人差があります。

基本となるのは、息が大きく漏れず、リードの振動を妨げず、無理なく安定した音を出せることです。この基準を忘れず、少しずつ自分に合った位置を探していきましょう。

まとめ

クラリネットのアンブシュアで大切なのは、マウスピースを強く噛むことではありません。一般的なシングルリップでは、下唇を下の歯へ軽くかぶせてリードを支え、上の歯をマウスピースへ置いて安定させ、口角から大きく息が漏れない状態を作ります。

そのうえで重要になるのが、リードを押しつぶさないことです。リードは息によって振動して音を生み出すため、強く噛みすぎると、十分に息を入れていても鳴りにくくなることがあります。

息については、弱くそっと吹くことだけを意識するのではなく、十分に吸ってから安定した流れを維持します。力任せに大量の息を押し込むのではなく、アンブシュアと息のバランスを取ることが大切です。

音が出ない場合は、「もっと強く噛む」と考える前に、リードの損傷や位置、リガチャー、マウスピースをくわえる深さ、噛む力、息の量と流れを順番に確認しましょう。

キーキーという音が出る場合や、音が詰まる場合にも、アンブシュアだけが原因とは限りません。リードの状態、指でトーンホールを正しく塞げているか、マウスピースとリードの組み合わせ、楽器の状態なども確認する必要があります。

リードについても、「数字が大きいほど良い」「硬いほど上級者向けだから使うべき」と考える必要はありません。適切な強度はメーカーやシリーズだけでなく、マウスピースとの組み合わせによっても変わります。初心者は、無理なく音を出せることを優先しましょう。

そして、アンブシュアには個人差があります。歯並びや唇、あごの形が違うため、特定の写真とまったく同じ口元を作ることが唯一の正解ではありません。

口・息・リード・セッティングを順番に確認することが、初心者が原因を見つけるための基本です。

ロングトーンや鏡を使った確認を続けながら、必要以上に力まず、安定した息でリードを振動させられる状態を探していきましょう。何度試しても改善しない場合や強い痛みが続く場合は、自分だけで原因を決めつけず、クラリネットのレッスンで講師に確認してもらうことや、必要に応じて楽器の点検によって原因を切り分けることも大切です。