フルートを始めたばかりの頃は、ロングトーンや運指の練習だけでなく、「そろそろ知っている曲を吹いてみたい」と感じる人も多いのではないでしょうか。
せっかく音が出るようになってきたなら、好きなメロディーをフルートで鳴らしてみたくなりますよね。一方で、楽譜を開いた瞬間に知らない指使いが続いたり、高い音ばかり出てきたりすると、「初心者向けと書いてあったのに難しい」と戸惑うことがあります。
フルート初心者の曲選びでは、単純に有名な曲やテンポの遅い曲を選べばよいわけではありません。今使える音域、テンポ、リズム、調号、息継ぎのしやすさなどを見ながら、自分が無理なく取り組める編曲を選ぶことが大切です。
同じ「きらきら星」や「アメイジング・グレース」でも、楽譜によって使う音、調、リズム、伴奏の有無は異なります。そのため、「この曲なら初心者向き」と曲名だけで決めるより、「この楽譜なら今の自分でも吹けそう」と判断する方が失敗を減らしやすいですよ。
この記事では、フルートを始めた直後から基本運指に少しずつ慣れてきた段階まで、初心者が選びやすい簡単な曲を紹介します。クラシックを吹きたい人、1曲全部ではなくワンフレーズから楽しみたい人、初心者向けの楽譜集を探している人も参考にしてください。
- フルート初心者でも吹きやすい曲の条件
- 練習段階に合わせて選びやすい定番曲
- 初心者が挑戦しやすいクラシック曲
- ワンフレーズから曲を楽しむ方法
- 自分に合った初心者向け楽譜の見分け方
最初から難しい曲を仕上げる必要はありません。今出せる音を使って短いメロディーを吹くだけでも、立派な曲の練習です。基礎練習と曲をうまく組み合わせながら、自分のペースでレパートリーを増やしていきましょう。
初心者が吹きやすい曲の選び方
「初心者向け」と書かれている曲でも、実際に吹いてみると難しく感じる場合があります。
これは不思議なことではありません。フルートでは、息を適切な位置へ当てて音を出しながら、指を動かし、楽譜を読み、リズムを取り、必要な場所ではタンギングも行います。ひとつひとつは簡単でも、同時に行うことが増えるほど負担も大きくなります。
特にフルートを始めた直後は、まず安定して音を出すこと自体が練習になります。息の当たる位置や唇の形が少し変わるだけでも、音がかすれたり出にくく感じたりすることがあります。
その段階で難しい運指、高音、速いリズムまで同時に処理しようとすると、曲を楽しむ前にいくつもの課題を抱えることになります。自分だけでは音の出し方や運指、息の使い方を整理しにくい場合は、フルートをレッスンで実際に確認しながら練習する方法も選択肢です。
最初の曲は「頑張れば何とか吹ける曲」より、「今覚えていることを使えば少しずつ完成させられる曲」を選ぶ方が練習を続けやすくなります。
音域・テンポ・調号を確認する
初心者が楽譜を見るときに、最初に確認したいのが音域、テンポ、調号、リズムです。
まずは音域です。覚えたばかりの音を中心に演奏できる曲なら、「この音はこの指」という対応を確認しながら吹き進められます。一方、低音から高音まで大きく行き来する曲では、運指に加えて息の使い方まで変えなくてはいけません。
ヤマハのフルート演奏法の解説でも、音の高さは息の速さによって変わり、高い音では息を速くすること、タンギングでは「トゥートゥー」と舌を動かす方法が紹介されています。まだ基本的な音を安定させている途中で第3オクターブの音が頻繁に現れる楽譜を選ぶと、急に難しく感じやすくなります。
最初の曲で第3オクターブをたくさん使う必要はありません。まずは今無理なく出せる範囲の音で旋律をつなぎ、音を変えても響きが極端に崩れない状態を目指す方が取り組みやすいでしょう。
初心者が楽譜を見るときの基本チェック
- 知らない高音が何度も出てこないか
- 音域が大きく上下していないか
- テンポが速すぎないか
- 16分音符など細かい音符が連続していないか
- シャープやフラットが多すぎないか
- 途中で臨時記号が頻繁に変わらないか
- 大きな音程の跳躍が連続していないか
- 自然に息を吸えそうな区切りがあるか
次にテンポです。「ゆっくりした曲なら簡単」と考えやすいのですが、テンポだけでは難易度を判断できません。
速い曲では指をすばやく動かす必要がありますが、遅い曲ではひとつの音を長く安定させたり、長いフレーズをひと息でまとめたりする力が必要になる場合があります。
したがって、楽譜に遅いテンポが指定されているからといって、自動的に初心者向きになるわけではありません。
初心者にとって扱いやすいのは、極端に速くなく、ひとつひとつの音を確認できるテンポの曲です。原曲が速い曲でも、練習中はゆっくり吹いて構いません。
リズムも確認しておきたいポイントです。4分音符や8分音符を中心に進む旋律なら、指と息を合わせる時間を取りやすくなります。一方、16分音符が何個も連続したり、シンコペーションが多かったりすると、音域が狭くても難易度は上がります。
さらに、シャープやフラットの数にも注目してください。
調号が増えると、普段とは違う運指を意識する音も増えます。また、途中に臨時記号が何度も現れる楽譜では、そのたびに指使いを切り替えなければなりません。調号そのものの見方に慣れていない場合は、調号の数から長調を見分ける考え方も参考にすると、シャープやフラットが付いた楽譜を整理しやすくなります。
もちろん、将来的にはさまざまな調の曲を吹けるようになることが目標のひとつですが、最初からすべてを同時に覚える必要はありません。
原曲と同じ調で演奏することにこだわらず、初心者向けに吹きやすい調へ移調された楽譜を使う方法もあります。最初の段階では「原曲に忠実か」より、「今の自分が正しい音と運指で練習できるか」を優先してもよいでしょう。
大きな音程の跳躍も確認する
音符の数が少なくても、音が大きく飛ぶ旋律は初心者には難しくなることがあります。
たとえば隣の音へ少しずつ進む旋律では、指を一つずつ変えながら音をつなぎやすくなります。一方、離れた音へ急に移る場合は、複数の指を同時に動かしたり、息の状態を素早く変えたりする必要が出てきます。
楽譜を見たときに、音符がなだらかに上下している部分が多いか、それとも上下へ大きく飛び続けているかを見るだけでも、ある程度の判断材料になります。
知っている短い旋律を選ぶ
初心者ほど、すでにメロディーを知っている曲を選ぶメリットがあります。
知らない曲を楽譜だけで吹く場合、間違った音を出していても「こういうメロディーなのかな」と気づかず進んでしまうことがあります。
一方、「きらきら星」「ちょうちょう」「ロンドン橋」「故郷」のように頭の中で旋律を思い浮かべられる曲なら、違う音を吹いたときに「あれ?」と気づきやすくなります。
楽譜を読む力がまだ十分でない時期には、この「耳で間違いに気づける」という点が大きな助けになります。
知っている曲なら、実際に吹く前に一度口ずさんでみるのもおすすめです。どこで旋律が区切れるのか、どの音を少し長く伸ばすのか、どこで息を吸えそうなのかをイメージしやすくなります。
そして、曲の長さも大切です。
最初から何十小節もある曲を通そうとすると、前半でうまくいかなかった部分を残したまま先へ進みやすくなります。まだ音を出すことと指を動かすことに慣れていないなら、まずは数小節程度の短いフレーズをひとつ整えるだけでも十分です。
初心者の最初の目標
「1曲を止まらず最後まで吹く」だけを目標にする必要はありません。4小節程度でも、音、指、息、タンギングがそろって吹ければ大きな前進です。短い区間を完成させ、それを少しずつつなげていく方法でも曲は仕上げられます。
同じ音や似たリズムが繰り返される曲も向いています。一度覚えた指やリズムを何度も使えるため、毎小節まったく違う動きが出てくる曲よりも余裕を持って練習できます。
反対に、短い曲でも毎小節のように新しい音、臨時記号、細かなリズムが出てくる場合は簡単とは限りません。
「子どもの歌だから簡単そう」「短い曲だから簡単そう」と曲名や長さだけで判断せず、実際の楽譜を確認することが重要です。
段階別|初心者向けの簡単な曲
ここからは、フルート初心者が取り組みやすい曲を、練習の進み具合に合わせて紹介します。
大きく分けると、音を出し始めた直後、1オクターブ前後の基本運指に慣れてきた頃、少し長い旋律に挑戦できる頃の3段階です。
ただし、「何日練習したら次へ進む」といった一律の期間は決められません。最初の音が安定するまでの時間、練習頻度、過去の音楽経験などによって進み方は変わります。
ここでは日数ではなく、今できることを基準に選ぶと考えてください。
| 段階 | 状態の目安 | 曲の選び方 |
|---|---|---|
| 音を出し始めた直後 | 数種類の音を練習している | 短く、知っている旋律を優先 |
| 基本運指に慣れた頃 | 1オクターブ前後を少しずつ使える | ゆっくりした定番曲へ広げる |
| 少し長い旋律に挑戦 | 短い曲ならある程度つなげられる | 歌唱的な曲や長めの曲へ進む |
なお、同じ曲でも楽譜によって調、音域、リズム、装飾音は異なります。ここで紹介する曲が、どの楽譜でも同じ難易度になるわけではありません。
初心者向けに編曲された譜面を選ぶことを前提として考えてください。
音を出し始めた直後の4曲
まだ数種類の音を覚えている途中なら、長い曲を1曲完成させるより、短い旋律をきれいに吹くことから始めると取り組みやすいです。
候補は、きらきら星、ちょうちょう、月の光に、ぶんぶんぶんです。
きらきら星
「きらきら星」は、初心者向けの教材でも初期段階の練習曲として扱われることがある定番の旋律です。
多くの人がメロディーを知っているため、違う音を吹いたときに耳で気づきやすいのが大きな利点です。また、同じようなリズムや音型が繰り返されるため、フレーズごとに区切って練習しやすい曲でもあります。
最初はすべてを一度に通そうとせず、最初の数小節だけをゆっくり吹き、指を間違えずに音をつなげることを目標にしてもよいでしょう。
なお、「きらきら星」はモーツァルトの作曲だと説明されることがありますが、旋律そのものをモーツァルトが作曲したわけではありません。
元になった旋律は18世紀フランスで知られていた作者不詳の「ああ、お母さん、あなたに申しましょう(Ah! vous dirai-je, maman)」です。モーツァルトは、この旋律を題材とした「12の変奏曲 K.265/300e」を作曲しています。
そのため、「きらきら星の旋律」と、一般に「きらきら星変奏曲」と呼ばれるモーツァルトの変奏曲は分けて理解すると正確です。
ちょうちょう
「ちょうちょう」も、初心者向けフルート教材で比較的早い段階に登場することがある曲です。
旋律が短く覚えやすいため、「楽譜を見る」「指を確認する」「実際に音を出す」という一連の作業に慣れる練習として使いやすいでしょう。
特に初期段階では、音符を見るたびに指使いを考えていると演奏が途切れがちです。短い曲なら何度か繰り返すうちに、楽譜と指の動きを結び付けやすくなります。
ただし、「ちょうちょう」も楽譜によって開始音や調が異なることがあります。曲名だけを見て「知っている音だけで吹ける」と判断せず、実際に使う楽譜を確認してください。
月の光に
「月の光に」は、フランスで古くから親しまれてきた「Au Clair de la Lune」です。
初心者向けのフルート教材で練習曲として採用されることがあり、比較的穏やかな旋律なので、急いで指を回すよりも一音ずつつなげることへ意識を向けやすい曲です。
音を変えた瞬間に息が途切れてしまう人は、ゆっくりした旋律の中で「指を変えても息は流し続ける」感覚を確認してみるとよいでしょう。
注意したいのは、ドビュッシーのピアノ曲として有名な「月の光」とは別の曲であることです。楽譜を探すときは、曲名だけでなく原題なども確認すると混同を防げます。
ぶんぶんぶん
「ぶんぶんぶん」は、ボヘミア民謡として知られる親しみやすい旋律です。初心者向けの実践教材で練習曲として扱われる例もあります。
短い単位で繰り返しやすいため、音の切り替えを確認する練習に向いています。
さらに、少し余裕が出てきたらタンギングをそろえる練習にも使えます。フルートでは、音の始まりをはっきりさせるために舌を使い、「トゥー」と発音するときのような動きを利用します。
最初から強いタンギングを意識しすぎる必要はありませんが、指が変わる瞬間と舌の動きが大きくずれないよう、ゆっくり確認していきましょう。
この4曲に取り組む段階で大切なこと
何曲吹けたかを増やすより、「狙った音が出る」「指を間違えずに変えられる」「短いフレーズを息を止めずにつなげられる」といった基礎を優先してみてください。1曲を全部通すのは、その後でも大丈夫ですよ。
基本運指に慣れた頃の7曲
1オクターブ前後の基本的な運指に慣れ、短いフレーズならある程度つなげられるようになったら、曲の選択肢を少し広げられます。
候補になるのは、春の小川、ロンドン橋、こげよマイケル、アメイジング・グレース、故郷、聖者の行進、ウェルナーの野ばらです。
春の小川
「春の小川」は岡野貞一作曲の親しみやすい曲です。初心者向けのフルート曲集でも初級レベルの例として扱われています。
日本語の歌として旋律を知っている人なら、楽譜だけを追うより音楽の流れをイメージしやすいでしょう。
速い指回しを追いかけるタイプの曲ではないため、音をぶつ切りにせずつなげることや、ひとまとまりのフレーズとして吹くことへ意識を向ける練習にも使えます。
ロンドン橋
「ロンドン橋」は、よく知られたイギリスの伝承曲です。超初心者向けのフルート曲集に収載されている例があります。
旋律が短く覚えやすいため、「最初から最後まで1曲吹けた」という経験を作りやすい候補です。
また、曲全部を通す前に、最初のワンフレーズだけ取り出して練習する方法にも向いています。
音を間違えたら最初へ戻るのではなく、間違えた2音や3音だけを抜き出して練習すると効率よく進めやすくなります。
こげよマイケル
「こげよマイケル」は、英語圏で「Michael, Row the Boat Ashore」として知られる伝承曲です。
初心者向けフルート曲集で初級レベルの例として扱われ、超初心者向けの曲集にも収録されています。
繰り返しのある親しみやすい旋律なので、一度覚えたリズムや音型を使いながら進みやすいのが特徴です。
新しい指使いが次々に登場する曲より、すでに覚えた動きを何度も確認できる曲の方が、基礎を固めている段階では取り組みやすいですよ。
アメイジング・グレース
「アメイジング・グレース」は、英語圏で広く知られている賛美歌です。初心者向けのフルート曲集でも初級レベルの候補として扱われています。
速さを競う曲ではないため、指を急いで動かすことより、ひとつひとつの音をきれいに出し、フレーズをつなげることに集中しやすいでしょう。
ただし、ゆっくりした曲では息を長く使う場面も出てきます。
最初から楽譜に書かれた長いまとまりをすべてひと息で吹こうとせず、自分が無理なく吸える場所を確認しながら練習してください。
また、編曲によって音域が広くなることがあります。「アメイジング・グレースだから初心者向き」と判断するのではなく、入門・初級向けとして編曲された譜面を選ぶ方が確実です。
故郷
「故郷」は岡野貞一作曲の曲で、日本でよく知られた旋律のひとつです。超初心者向けのフルート曲集にも収載される例があります。
メロディーをよく知っていれば、音が違ったときに自分の耳で気づきやすいというメリットがあります。
歌詞を知っている人なら、歌うときの言葉のまとまりもフレーズを考える参考になります。
ただし、歌とフルートでは必要な息の使い方がまったく同じというわけではありません。無理に歌と同じ位置だけで息継ぎをしようとせず、自分の演奏状態も見ながら調整してください。
聖者の行進
「聖者の行進」は、「When the Saints Go Marching In」として知られる伝承曲です。初心者向け曲集にも収載されています。
同じリズムや似た音型を覚えやすい曲ですが、テンポを上げるほど指とタンギングを素早く合わせる必要が出てきます。
知っている曲だと、つい頭の中にある速さで吹きたくなるかもしれません。しかし、最初は遅くても構いません。
指を間違えたまま速く何度も通すより、正しい音を確認できる速さまで落として吹く方が練習になります。
ウェルナーの野ばら
「ウェルナーの野ばら」はハインリヒ・ウェルナー作曲の曲で、初心者向けフルート曲集に収録される例があります。
基本的な音階や運指を覚えた後に、実際の楽譜を吹く曲として扱われることもあり、クラシック系の旋律へ進みたい人にも候補になります。
注意したいのは、「野ばら」という題名の曲がひとつだけではないことです。
シューベルトにも「野ばら」と呼ばれる別の作品があります。楽譜を探すときは、「ウェルナーの野ばら」なのか「シューベルトの野ばら」なのか、作曲者まで確認してください。
初心者向け曲集に入っている曲でも、すべてが同じ難易度とは限りません。1冊の中で徐々に難しくなる構成もあります。収載されているという理由だけで判断せず、自分が演奏するページの音域、調号、リズムを確認しましょう。
少し長い旋律に挑戦する6曲
基本運指が安定し、短い曲であればある程度止まらずに進めるようになったら、もう少し長い旋律にも挑戦できます。
候補としては、家路、シューベルトの子守歌、ブラームスの子守歌、グリーン・スリーブス、スカボロー・フェア、菩提樹などがあります。
この段階では、単純に正しい音を並べるだけでなく、「どこまでをひとまとまりにするか」「どこで息を吸うか」「長い音をどう保つか」といったことも少しずつ意識できるようになります。
家路
「家路」は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」第2楽章の旋律をもとにした楽曲として広く知られています。
初心者向けのフルート曲集にも収載例があり、ゆったりした有名な旋律を楽しめます。
ここでいう初心者向けの「家路」は、オーケストラの原曲をそのままフルート1本で演奏するという意味ではありません。初心者向けに演奏しやすく整えられたフルート譜を選ぶことが前提です。
長い音を吹くときは、最初に息を大量に使いすぎると後半で苦しくなります。音の最初から最後まで極端に息の状態が崩れないよう、自分が保ちやすい吹き方を探してみましょう。
シューベルトの子守歌
シューベルトの子守歌は、ゆっくりした歌唱的な旋律を持つ曲で、やさしいフルート曲集や超初心者向け曲集で採用される例があります。
速い連続音を追いかける練習というより、一音ずつ丁寧につなげる練習へ意識を向けやすい曲です。
ただし、ゆっくりした曲ほど音の立ち上がりや長い音の揺れが目立ちやすい面もあります。
音を間違えずに吹けるようになったら、次はフレーズの途中で音が細くなりすぎないか、息継ぎの前後で大きく流れが途切れていないかなどを確認すると、次の練習につながります。
ブラームスの子守歌
ブラームスの子守歌は、一般に「Wiegenlied Op.49 No.4」として知られる曲です。初心者向けのフルート曲集にも収載されています。
有名なクラシック系のメロディーを、初心者向け編曲で楽しみたい場合の候補になります。
メロディーを知っている場合は、音の高さだけを追いかけるのではなく、歌うようなまとまりをイメージしながら練習してみてください。
グリーン・スリーブス
「グリーン・スリーブス」はイングランドの伝承曲で、初心者向け曲集にも収録されます。
旋律を歌うように吹く楽しさがありますが、編曲によっては付点リズムなどが含まれ、最初の童謡より少し複雑になります。
付点リズムがまだ安定しない場合は、まず音の長さを声や手拍子で確認し、その後にフルートで吹く方法もあります。
「指は合っているのに曲らしく聞こえない」という場合、原因が音程ではなくリズムにあることも少なくありません。
スカボロー・フェアと菩提樹
「スカボロー・フェア」や「菩提樹」も、超初心者向けとして構成されたフルート曲集に収録される例があります。
ただし、このあたりまで進むと「初心者向け曲集に入っているから、何も準備せずすぐ吹ける」とは考えない方がよいでしょう。
楽譜の最初から順番に経験を積むことを想定して収録されている可能性もあります。
この段階では、1曲の中で難しい小節が1~2か所だけ出てくることもあります。その場合、曲全部を「自分にはまだ無理」と判断する前に、難しい小節だけを取り出して確認してみましょう。前後は問題なく吹けるなら、その部分だけを重点的に練習できます。
初心者向けクラシック曲
フルートを始めた理由のひとつが「クラシックの有名曲を吹いてみたいから」という人もいるでしょう。
フルートにはクラシックの有名曲がたくさんありますが、フルートで有名な曲と、フルート初心者に簡単な曲は同じではありません。
プロや上級者が演奏する機会の多い曲でも、初心者には高い音、速い指回し、複雑なリズム、細かな音色表現などが難しくなることがあります。
一方で、クラシックの有名な旋律を初心者向けに簡略化した楽譜もあります。
「クラシックを吹くのはもっと上達してから」と最初から諦める必要はありません。大切なのは、原曲の難易度ではなく、自分が実際に使用するフルート譜の難易度を確認することです。
最初に選びやすいクラシック5曲
初心者が比較的選びやすい候補として、ウェルナーの野ばら、シューベルトの子守歌、ブラームスの子守歌、家路、初心者向けに簡略化された歓喜の歌があります。
これらは、初心者向けのフルート曲集や教材で扱われる例があり、有名な旋律を比較的取り入れやすい候補です。
ただし、ここでも「曲名が同じなら全部同じ難易度」という考え方は避けてください。
歓喜の歌は編曲を確認する
「歓喜の歌」は、ベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章で使われる有名な旋律です。
メロディーそのものは覚えやすく、限られた音を使った教材などで初歩の曲として扱われることがあります。
その一方で、フルート用のアンサンブル譜では初中級とされる版もあります。
つまり、「歓喜の歌は初心者向けだからどの楽譜でも簡単」と考えるのも、「クラシックだから初心者には無理」と考えるのも適切ではありません。
旋律は初心者でも親しみやすいものの、実際の難易度は編曲によって変わると考えるのがわかりやすいでしょう。
初心者向けの版であれば、使う音を減らしたり、吹きやすい音域へ移したり、リズムを扱いやすくしたりしている場合があります。
原曲とまったく同じ形を求めるより、まずは有名な旋律を自分で演奏できる形から始めるのもひとつの方法です。
クラシックでも確認するポイントは同じ
クラシックだから特別な基準で判断する必要はありません。
童謡や民謡を選ぶときと同じように、音域、テンポ、調号、リズム、跳躍、フレーズの長さを確認します。
| 確認すること | 初心者が注意したい状態 |
|---|---|
| 音域 | 第3オクターブなど高い音が頻繁に出る |
| リズム | 16分音符、細かな装飾音が連続する |
| 調 | シャープやフラットが多い |
| 音程 | 大きな跳躍や半音階が続く |
| 息 | 息継ぎしにくい長いフレーズが続く |
| 表現 | 細かな強弱や音色変化が求められる |
有名でも最初は難しい曲
フルートの有名曲を検索すると、魅力的な作品がたくさん見つかります。しかし、有名であることと初心者向けであることは別問題です。
たとえば、「G線上のアリア」はゆったりと聞こえる曲です。ところが、フルート向けの易しいアンサンブル編曲でも初中級とされる例があります。
「ゆっくりだからすぐ吹けそう」と思って選ぶと、長い音を安定させることやフレーズを維持することに難しさを感じる可能性があります。
「アルルの女よりメヌエット」も、フルートでよく知られた曲のひとつです。ただし、やさしいフルート曲集の中では、練習を進めた先の到達点となる中級レベルの曲として位置付けられる例があります。
フォーレの「シチリアーノ」についても、中級として扱われるフルート楽譜があります。
そして「熊蜂の飛行」は、速い連続音が特徴的な曲です。フルートの演奏動画などで目にする機会があっても、始めたばかりの人が最初の1曲として選ぶタイプの作品ではありません。
「有名な曲=簡単」「テンポが遅い=簡単」という判断はしないようにしましょう。高音域、速いタンギング、半音階、大きな跳躍、長い息、装飾音なども難易度を左右します。
また、「童謡なら全部簡単」というわけでもありません。
元の旋律が簡単でも、演奏会向けの華やかなアレンジになれば、高音、装飾音、細かなリズムなどが追加されることがあります。
反対に、本来は難しいクラシック曲でも、有名な旋律だけを初心者向けに抜き出し、音域やリズムを整えた版なら取り組みやすくなる場合があります。
ですから、曲名ではなく「その編曲を見る」。これがクラシック選びでも重要です。
ワンフレーズから楽しむ練習法
「まだ1曲全部を吹くのは難しいけれど、何か曲らしいものを演奏したい」というときは、ワンフレーズだけ練習しても構いません。
むしろ、フルートを始めた直後は短い部分へ集中した方が、音、運指、息、タンギングを整理しやすいことがあります。
たとえば「きらきら星」「ロンドン橋」「ぶんぶんぶん」「ちょうちょう」などから、最初の数小節だけを選んでみましょう。
数小節でも知っているメロディーが自分のフルートから聞こえてくると、「基礎練習だけではなく曲を吹けた」という感覚を得やすくなります。
一方で、ワンフレーズだから必ず簡単というわけではありません。
数秒で終わるフレーズでも、高い音が連続する、半音階が入る、大きく音が跳ぶ、16分音符が連続する、といった要素があれば初心者には難しくなります。
まずは短さだけではなく、フレーズの中身も見て選びましょう。
ワンフレーズ練習の手順
最初に楽譜を見て、どの音が出てくるか確認します。
まだすぐに音符と指使いが結び付かない場合は、一音ずつ確認して構いません。わからない音を残したまま最初から最後まで吹こうとすると、その場所へ来るたびに止まってしまいます。
次に、必要であれば指の動きをゆっくり確認します。
ただし、指だけを速く動かすことが目的にならないよう注意してください。最終的には実際の音と息が伴って初めてフルートの演奏になります。
その後、音を出しながらゆっくり演奏します。
ワンフレーズ練習の基本
- 出てくる音を確認する
- わからない運指を確認する
- 吹ける速さまでテンポを落とす
- 2~4小節程度に区切る
- 難しい2音や3音だけを取り出す
- タンギングと指をゆっくり合わせる
- 短い区間が安定したら前後をつなぐ
タンギングが必要な場所では、「トゥー」と発音するときの舌の動きと、指が変わるタイミングを合わせていきます。
最初から強く舌を突こうとせず、音の出だしが必要以上に荒れないようにゆっくり確認しましょう。
うまくいかない小節があった場合、何度も曲の最初へ戻る必要はありません。
たとえば3小節目だけで毎回止まるなら、3小節目をさらに細かく分け、問題になっている2音だけを繰り返します。
その2音が安定したら前の音を足し、その後に次の音も加えます。短い単位から広げていくと、どこでつまずいているのかを整理しやすくなります。運指やタンギングが合っているか自分では判断しにくいときは、フルートのレッスンで実際の吹き方を確認する方法もあります。
知っている曲は一度歌ってみる
メロディーを知っている曲なら、フルートを構える前に一度歌ってみるのも方法のひとつです。
実際に声に出さなくても、頭の中で旋律を思い浮かべるだけでも構いません。
どこが長い音なのか、どこで曲が一区切りするのかを理解していると、楽譜の音符を一個ずつ機械的に追うより曲全体を捉えやすくなります。
好きなJ-POPをワンフレーズだけ吹く場合
好きなJ-POPを吹きたい人もいるでしょう。
初心者向けに簡単に編曲された正規の楽譜であれば、好きな曲から始めることもできます。
ただし、原曲のJ-POPには、シンコペーション、細かな16分音符、広い音域、転調などが含まれる場合があります。
「知っている曲だから簡単」とは限りません。楽譜に「入門」「初級」などの表示があるか、実際のサンプルで自分が吹けそうな音域になっているかを確認してください。
また、著作権が残っているJ-POPやCM曲などを演奏する場合、インターネット上の出所がはっきりしない非公式な採譜より、市販または正規配信された楽譜を利用する方が安心です。
短い有名フレーズを多数収録した市販のフルート曲集も存在します。ただし、ワンフレーズを扱う曲集だからといって、必ずしもフルートを始めて数日の人向けとは限りません。
初中級として設定されている曲集もあるため、「短い=超初心者向け」と思い込まず難易度表示を確認しましょう。
初心者向け楽譜集と選び方
同じ曲でも楽譜によって難しさが変わる以上、初心者にとっては「何の曲を吹くか」と同じくらい「どの楽譜を選ぶか」が重要です。
楽譜売り場やオンラインの楽譜販売ページを見ると、「入門」「初級」「超初心者」「初中級」といった表記が見つかります。
まずはこうした難易度表記を目安にできますが、すべての出版社がまったく同じ基準で「初級」を定義しているわけではありません。
そのため、難易度表示だけで購入を決めず、可能なら実際の譜面も確認することが大切です。
楽譜で確認したい項目
| 確認項目 | 初心者が見るポイント | 難しくなりやすい例 |
|---|---|---|
| 音域 | 覚えた音が中心か | 第3オクターブが頻繁に出る |
| 調号 | シャープ・フラットが少ないか | 複数の調号に加えて臨時記号が多い |
| リズム | 4分・8分音符中心か | 16分音符や複雑なリズムが連続 |
| テンポ | ゆっくり確認できるか | 速いテンポが前提 |
| 跳躍 | 隣り合う音が多いか | 大きな音程を頻繁に行き来する |
| フレーズ | 短く区切れるか | 息継ぎしにくい長い旋律が続く |
| 音名表示 | 必要ならドレミ表記があるか | 補助なしで読譜力が必要 |
| 音源 | 模範演奏や伴奏が必要か | 自分だけでは曲を把握しにくい |
| 編成 | ソロか伴奏付きか | 用途と違う編成を選んでしまう |
サンプルページを見ることができるなら、自分がすでに知っている運指だけで吹けそうな部分がどれくらいあるかを確認してみてください。
1ページの中に知らない音が数個ある程度なら、新しい運指を覚えながら挑戦できるかもしれません。
一方、見たことのない高音や臨時記号がほとんどの小節に出ているなら、もう少し基礎を進めてから使う楽譜として取っておく選択肢もあります。
音名フリガナが必要か考える
まだ楽譜を読むことに慣れていない場合は、ドレミなどの音名フリガナが付いた初心者向け教材も選択肢になります。
音符を読むたびに時間がかかり、曲の流れが完全に途切れてしまう段階では、補助があることで演奏そのものに集中しやすくなる場合があります。
ただし、ずっと音名だけを追い続けるより、少しずつ音符の位置と指使いを直接結び付けていく方が、将来的に選べる楽譜は増えていきます。
最初は補助を使いながらでも構いません。練習を重ねる中で、よく出てくる音から少しずつ覚えていけばよいでしょう。
初心者向け曲集の具体例
初心者向け曲集の例として、デプロMPの「超・初心者のための フルート入門 新版」があります。
フルートを初めて始める人を対象とした入門曲集で、簡単で吹きやすい音域を使用しながら基礎的なテクニックを身につける構成です。音名のフリガナも付いています。
収載曲には、「アメイジング・グレース」「野ばら」「家路」「菩提樹」「聖者の行進」「シューベルトの子守歌」「ブラームスの子守歌」「こげよマイケル」「スカボロー・フェア」「グリーン・スリーブス」「ロンドン橋」「故郷」などがあります。
「知っている曲を使いながら基礎を進めたい」という人が、収録内容を確認する際の候補になります。
全音楽譜出版社の「[標準]やさしいフルート曲集 上 第2版」も、初級から段階的に進む曲集です。
日本や世界の唱歌、童謡、クラシックなどを収載し、フルートに適した調性を考えて編曲されています。「春の小川」「こげよマイケル」「アメージング・グレース」などが初心者レベルの例として示されています。
同シリーズの「[標準]やさしいフルート曲集 下 第2版」は、初級の上から中級へ進んでいく位置付けです。
「シューベルトのアヴェ・マリア」などから、さらに練習を進めて「アルルの女よりメヌエット」程度までレベルアップしていく構成なので、完全な初心者の最初の1冊というより、上巻などを経験した後のステップアップとして考えやすいでしょう。
曲集の商品情報、価格、在庫、版、収載内容などは変更される可能性があります。購入するときは、その時点の出版社や販売元の情報を確認してください。
初心者向けと原曲どおりのアレンジは別に考える
楽譜を選ぶときに迷いやすいのが、「せっかくなら原曲と同じ雰囲気で吹きたい」という希望です。
もちろん、最終的に原曲へ近いアレンジへ進むのも楽しみ方のひとつです。
ただし、原曲の音域やリズムをそのまま残そうとすると、初心者には難しくなる場合があります。
最初は音域を狭くしたり、複雑なリズムを整理したりした初心者向け編曲で旋律を楽しみ、運指や読譜に慣れてから別の版へ進む方法もあります。
「簡単な編曲を使うと上達できない」と考える必要はありません。今の段階で正しい音、運指、息、リズムを確認できる楽譜を使い、基礎が安定してから難しい版へ移る方が進めやすいこともあります。
模範演奏や伴奏音源も選択材料
楽譜によっては、模範演奏や伴奏音源が用意されているものがあります。
知らない曲へ挑戦する場合、音源があればリズムや旋律を確認しやすくなります。
一方で、音源に合わせようとして無理にテンポを上げる必要はありません。最初は伴奏なしでゆっくり練習し、自分の演奏が安定してから合わせる方法でも構いません。
また、ピアノ伴奏付きの楽譜なのか、フルートだけで完結するソロ譜なのかも確認しましょう。
自宅で一人で練習することが中心なのに、伴奏がなければ曲として成立しにくい版を選ぶと、イメージしていた使い方と違うことがあります。
「自分がどんな状況で吹きたいか」まで考えて楽譜を選ぶと、購入後のミスマッチを減らしやすくなります。
なお、自宅で練習する時間が増えて音漏れが気になる場合は、曲選びとは別に楽器練習の防音環境や簡易防音室の考え方も確認しておくと、練習を続けやすい環境づくりに役立ちます。
よくある質問
フルート初心者の曲選びでは、「最初は何を吹けばいい?」「クラシックでも大丈夫?」「全部吹けなくてもいい?」など、似た疑問が出てきます。
ここでは、初心者が迷いやすいポイントをまとめます。
フルート初心者の曲FAQ
Q1. フルート初心者が最初に吹くなら何の曲がよいですか?
A. 「きらきら星」「ちょうちょう」「月の光に」など、短く親しみやすく、初心者向け教材でも初期段階に使われる曲が候補です。
まだ数種類の音しか覚えていない場合は、1曲全部を吹けるかより、今知っている音で短いフレーズを吹けるかを基準にすると選びやすくなります。
基本運指に慣れてきたら、「春の小川」「こげよマイケル」「アメイジング・グレース」「ロンドン橋」「故郷」「聖者の行進」などへ広げられます。
Q2. フルート初心者でもクラシック曲は吹けますか?
A. 初心者向けに編曲された楽譜なら楽しめます。
「ウェルナーの野ばら」「家路」「シューベルトの子守歌」「ブラームスの子守歌」などは、初心者向けフルート曲集で採用される例があります。
大切なのは原曲名ではなく、自分が使う楽譜の音域、調、リズム、難易度表示を確認することです。原曲そのままでは難しくても、初心者向け編曲なら取り組める曲があります。
Q3. 「歓喜の歌」はフルート初心者向きですか?
A. 有名な旋律は覚えやすく、簡略化された楽譜であれば初心者でも取り組めます。
一方で、フルート用の楽譜には初中級として扱われる編曲もあります。そのため、「歓喜の歌」という曲名だけで初心者向けと決めることはできません。
入門向けに音域やリズムを整理した版かどうかを確認して選びましょう。
Q4. J-POPを最初の曲にしてもよいですか?
A. 初心者向けに簡単に編曲された楽譜であれば選択肢になります。
好きな曲を練習できれば、何度も吹いてみたいという気持ちにつながりやすいでしょう。
ただし、原曲のJ-POPにはシンコペーション、16分音符、広い音域、転調などが含まれる場合があります。好きな曲だから簡単とは限らないので、「入門」「初級」などの表示や実際の譜面を確認してください。
Q5. 1曲全部ではなくワンフレーズだけ練習してもよいですか?
A. 問題ありません。
数小節に区切って、音、運指、タンギングを合わせてから少しずつつなげる方法は、初心者でも取り入れやすい練習です。
「きらきら星」「ちょうちょう」「ロンドン橋」「ぶんぶんぶん」など、短く覚えやすい旋律の一部分から始めると進めやすいでしょう。
ただし、短くても高速の音や高音、半音階、大きな跳躍が含まれるフレーズは難しいため、長さだけで判断しないことも大切です。
Q6. 音符が読めなくてもフルートの曲を始められますか?
A. 音名のフリガナが付いた初心者向け教材もあるため、最初から楽譜を完璧に読めなくても曲の練習を始められます。
ただし、長く続けていくなら、少しずつ音符と運指の対応を覚える方が選べる曲は増えていきます。
最初は補助を使いながら、よく使う音から覚えていけば大丈夫です。
Q7. 高い音がまだ出ない場合はどうすればよいですか?
A. 最初の曲で高音域を無理に多用する必要はありません。今出しやすい音域を中心にした初心者向け楽譜を選びましょう。
フルートでは音域によって必要な息の使い方が変わるため、高音が出ないことを単純に指使いだけの問題だと考えないことも大切です。
まずは基本的な音を安定させ、少しずつ使える音域を広げてください。
Q8. 「きらきら星」はモーツァルトの曲ですか?
A. 「きらきら星」の元になった旋律そのものをモーツァルトが作曲したわけではありません。
元の旋律は18世紀フランスで知られていた作者不詳の「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」です。モーツァルトは、この旋律を主題として「12の変奏曲 K.265/300e」を作曲しました。
そのため、原旋律とモーツァルトの変奏曲は区別して理解すると正確です。
Q9. 「野ばら」は1曲だけですか?
A. いいえ。「野ばら」という題名で知られる曲には複数の作品があります。
初心者向けフルート曲集などで見かける場合も、「ウェルナーの野ばら」と「シューベルトの野ばら」を区別する必要があります。
楽譜を探すときは、曲名だけでなく作曲者も確認しましょう。
まとめ
フルート初心者が最初の曲を選ぶときは、曲の有名さだけではなく、音域が狭い、テンポが速すぎない、同じリズムや音型の繰り返しがある、調号や臨時記号が少ない、大きな跳躍が少ない、短いフレーズに区切りやすいといった条件を見ることが大切です。
始めた直後なら、「きらきら星」「ちょうちょう」「月の光に」「ぶんぶんぶん」など、短く親しみやすい旋律から始めると取り組みやすいでしょう。
基本運指に慣れてきたら、「春の小川」「ロンドン橋」「こげよマイケル」「アメイジング・グレース」「故郷」「聖者の行進」「ウェルナーの野ばら」などへ選択肢を広げられます。
さらに少し長い曲へ進めるようになれば、「家路」「シューベルトの子守歌」「ブラームスの子守歌」「グリーン・スリーブス」なども候補になります。
クラシックを吹きたい場合も、最初から原曲どおりの難しい版を選ぶ必要はありません。有名な旋律を初心者向けに音域やリズムを整えた楽譜から始めれば、基礎を身につけながらクラシックを楽しめます。
大切なのは、曲名だけで「簡単」「難しい」を決めないことです。同じ曲でも、調、音域、リズム、装飾音、編成によって難易度は変わります。
楽譜を選ぶときは「入門」「初級」といった表示だけでなく、できれば実際の譜面を見て、自分が知っている運指で吹ける部分がどれくらいあるかを確認してみてください。
そして、最初から1曲を完璧に仕上げなくても大丈夫です。
好きなメロディーの数小節だけでも、正しい音と運指で吹ければ十分に曲の練習になっています。ワンフレーズが安定したら、次のフレーズを足し、少しずつつなげていきましょう。
基礎練習だけでは感じにくかった「フルートで曲を吹く楽しさ」が見えてくると、次に覚えたい音や運指も増えていきます。今の自分に合った簡単な曲から、無理のないペースでレパートリーを広げていけばいいかなと思います。

