ドラムのタムとは?役割と基本
ドラムの「タム」とは、ドラムセットを構成する太鼓の一種で、一般に「タムタム(Tom Tom)」とも呼ばれます。スネアドラムやバスドラムとは異なる音域と響きを持ち、フィルイン、曲の区切り、盛り上がり、リズムパターンの変化などに使われます。
初めてドラムセットを見ると、スネアやバスドラム、シンバルに比べて「タムは何のためにあるのか」「何個必要なのか」が分かりにくいかもしれません。実際には、タムは必ず決まった個数を使うものではなく、1個、2個、3個以上と、演奏する曲やセッティングによって変えられます。
日本でよく使われる「1タム」「2タム」という言葉は、主にバスドラム上やタムスタンドなどに取り付けるラックタムの個数を表す呼び方です。フロアタムは別に数える場合が一般的なので、「1タム」といってもタム類が合計1個しかないという意味ではありません。
たとえば、ラックタム1個とフロアタム1個を使う構成は、一般には1タムと呼ばれます。ラックタム2個とフロアタム1個を使う構成なら、2タムと呼ばれることが多くなります。
ただし、「1タム」「2タム」という呼称そのものに世界共通の厳密な規格があるわけではありません。日本のドラマーや楽器関係者の間で使われる慣用的な表現として理解しておくとよいでしょう。
タムがドラムセットで担う役割
タムの代表的な役割は、フィルインに音色と音程感の変化を加えることです。8ビートなどの基本パターンを叩いている途中で、スネアからタムへ移動すると、同じリズムでも音の流れを大きく変えられます。
複数のタムを高い音から低い音へ並べると、ハイタムからロータム、さらにフロアタムへと下降していくフレーズを作れます。反対に、低い音から高い音へ移動して緊張感を作ることもできます。
タムはフィルインだけに使うものではありません。イントロでタムを連打したり、Aメロやサビでタムをリズムパターンの一部に組み込んだり、ブレイクやエンディングで印象的な音色を加えたりすることもできます。
主な役割を整理すると、次のようになります。
- フィルインに変化を付ける
- 高音から低音、低音から高音への流れを作る
- 曲の区切りを強調する
- サビ前やブレイクなどで盛り上がりを作る
- タムを含んだリズムパターンを作る
- スネアやシンバルとは異なる胴鳴りの音色を加える
タムは、メロディ楽器のように必ず特定の音名へ合わせる必要はありません。ドラマーや楽曲に合わせてチューニングを変えられ、複数のタムを使う場合は、それぞれの高さに差を付けて音の流れを作ります。
つまり、タムは「何個あれば正解」という楽器ではなく、必要な音域と演奏したいフレーズに応じて使う数を決める楽器です。
ハイタム・ロータム・フロアタムの違い
タムは、位置や音域によって「ハイタム」「ロータム」「フロアタム」などと呼び分けられます。
ハイタムは、複数のラックタムの中で比較的高い音を担当するタムです。2タム構成では、小さい口径のタムがハイタムになることが一般的です。
ロータムは、ハイタムより低い音を担当するラックタムです。右利き用の一般的な2タムセッティングでは、演奏者から見てハイタムの右側へ置かれます。
フロアタムは、ラックタムより大口径で、床へ脚を立てて設置するタイプが代表的です。右利きの一般的なセッティングでは、スネアの右側付近に置かれます。
| 種類 | 主な特徴 | 代表的な位置 |
|---|---|---|
| ハイタム | 比較的高い音を担当するラックタム | 正面~やや左側 |
| ロータム | ハイタムより低い音を担当するラックタム | ハイタムの右側 |
| フロアタム | より低い音を担当する大口径タム | 演奏者の右側 |
注意したいのは、「ハイタム=必ず10インチ」「ロータム=必ず12インチ」という固定規格ではないことです。8インチをハイタムとして使う場合もあれば、12インチをハイタムとして使う構成もあります。
同様に、ロータムも12インチに限らず、13インチなどを使う構成があります。名称は絶対的なサイズではなく、セット内での音域や位置関係を表していると考えると分かりやすいでしょう。
また、「ロータム」と「フロアタム」は同じ意味ではありません。ロータムはラックタムのうち低い側を指すことが多く、フロアタムは床付近へ設置する大口径タムとして区別されます。
タムのサイズと音域の違い
タムは一般に、口径が小さいほど高い音域を作りやすく、口径が大きいほど低い音域を作りやすくなります。
代表的なサイズには、8インチ、10インチ、12インチ、13インチ、14インチ、16インチ、18インチなどがあります。
| 口径 | 使われ方の例 |
|---|---|
| 8インチ | 高音域の小口径タムとして使われる |
| 10インチ | ハイタムとして使われることが多い |
| 12インチ | ハイタムまたはロータムとして幅広く使われる |
| 13インチ | ロータムとして使われることがある |
| 14インチ | 大きめのタム、またはフロアタムとして使われる |
| 16インチ | 代表的なフロアタムサイズ |
| 18インチ | 大型フロアタムとして使われる |
市販ドラムセットでは、10インチと12インチのラックタムに16インチのフロアタムを組み合わせる構成もあります。実際にメーカーのセットでも、10インチと12インチのタムを組み合わせた構成が確認できます。TAMA公式のドラムキット構成例を見ると、サイズ構成の一例を確認できます。
ただし、すべてのセットが同じサイズではありません。また、実際の音程、余韻、アタック感は口径だけで決まるわけではなく、胴の深さ、シェル材、ヘッド、チューニング、ミュートの有無なども音へ影響します。
そのため、「10インチだから必ずこの音」「16インチだから必ずこの低さ」と一律に決めることはできません。タム数を考えるときは、サイズだけでなく、最終的にどのような音域差を作りたいかを見ることが重要です。
1タムとは?特徴とメリット
1タムとは、主にバスドラム上やタムスタンドに配置するラックタムを1個にしたセッティングです。「ワンタム」と呼ばれることもあります。
代表的な形は、ラックタム1個とフロアタム1個の組み合わせです。一般的な2タムセットから片方のラックタムを外して、1タムとして使用することもできます。
1タムは構成がシンプルなので、「初心者向けの簡易セット」と思われることがありますが、タムの個数と演奏技術のレベルには直接的な関係はありません。
1タムでも、基本的なビート、フィルイン、ロック、ポップス、ジャズなど、幅広い演奏ができます。重要なのは、使用する太鼓の数ではなく、必要なフレーズと音色をその構成で表現できるかどうかです。
1タムの基本的なセッティング
1タムへ変更する場合は、2個あるラックタムのうち使用しない方を外し、残した1個を自分が叩きやすい位置へ調整します。
残すタムには固定の決まりがありません。10インチ、12インチ、13インチなど、求める音域や持っているセットに応じて選べます。
たとえば、10インチと12インチの2タムセットなら、10インチだけを残すことも、12インチだけを残すこともできます。どちらが正解かは、コピーしたい曲、フロアタムとの音程差、好みの音域などによって変わります。
一般的な2タムセットから1タムへ変更するときは、次の手順で調整できます。
- 使用しないラックタムを外す
- 残すタムを自然に叩ける位置へ動かす
- 高さと角度を調整する
- フロアタムまで自然に移動できるか確認する
- 空いたスペースへライドシンバルを寄せるか検討する
- タムとバスドラムが接触していないか確認する
ダブルタムホルダーを使っている場合でも、左右を独立して調整できる構造なら、残したタムを中央寄りへ移動できる場合があります。
また、シングルタムホルダーや独立したタムスタンドを使えば、バスドラム上の固定位置に縛られず、より自由な位置へタムを配置できる場合があります。
1タムにするとライドを近づけやすい
1タムを選ぶ理由としてよく挙げられるのが、ライドシンバルを近くへ置きやすいことです。
右利きの一般的な2タム配置では、2個目のラックタムがバスドラム右上付近を占めます。そのため、ライドシンバルを置ける位置がやや外側になりやすくなります。
右側のラックタムを外すと、その場所へライドシンバルを寄せやすくなり、右腕を大きく伸ばさなくても演奏できる配置を作りやすくなります。
もちろん、1タムにすれば必ず理想的なライド位置になるわけではありません。シンバルスタンドの形状、バスドラムのサイズ、身体の大きさなどによって調整範囲は変わります。
1タムのメリットとデメリット
1タムのメリットは、セッティングと演奏動線をシンプルにしやすいことです。
ラックタムが1個減ることで、フィルインの際に「どのタムへ移動するか」という選択肢が減ります。これは表現の幅が狭くなる面もありますが、反対に、限られた太鼓をどう組み合わせるか考える練習にもなります。
1タムの主なメリットは次のとおりです。
- タム間の移動距離を減らしやすい
- セッティングをシンプルにしやすい
- ライドシンバルを身体の近くへ置きやすい
- 自前セットではホルダーやタムを減らせる場合がある
- 限られた太鼓でフィルを組み立てる練習になる
- 基本位置を再現しやすくなる場合がある
一方で、2タムより使える音域の段階が1つ少なくなります。原曲でハイタム、ロータム、フロアタムを順番に使うフレーズがある場合、そのまま同じ音の並びを再現することはできません。
主なデメリットは次のとおりです。
- 2タムより音域の段階が少ない
- 原曲どおりのタム回しを再現できない場合がある
- 多くのタムを使うメロディックなフィルでは選択肢が少ない
- 2個のラックタム間を移動する練習はできない
ただし、タムが少ないから演奏そのものが成立しないわけではありません。1個のラックタムとフロアタムを使い分けたり、一部の音をスネアへ置き換えたりすることで、多くのフレーズへ対応できます。
そのため、「1タムにすると曲が叩けなくなる」と考える必要はありません。完全なコピーを目的とするのか、曲として成立する演奏を目的とするのかによって必要なタム数は変わります。
2タムとは?特徴とメリット
2タムとは、主にラックタムを2個使うセッティングです。「ツータム」と呼ばれることもあります。
代表的な構成は、ハイタム、ロータム、フロアタムの組み合わせです。市販のドラムセットや音楽スタジオでも見られる一般的な構成で、複数の音域を使ったフィルを作りやすい特徴があります。
たとえば、小口径のハイタムから少し大きいロータム、さらに大口径のフロアタムへ移動すれば、高い音から低い音へ段階的に下降していくフレーズを作れます。
1タムに比べて使える音域が増えるため、コピー曲で原曲のフレーズをそのまま再現したい場合にも対応しやすくなります。
2タムの基本的なセッティング
右利きの一般的な2タムセッティングでは、演奏者から見て左側に小口径のハイタム、その右側に大きめのロータムを置きます。
さらに右側へフロアタムを配置すると、ハイタム、ロータム、フロアタムの順に音域が低くなる並びを作りやすくなります。
ただし、2個のタムを見た目だけで同じ高さ、同じ角度へそろえる必要はありません。優先するべきなのは、自分の身体から無理なく届き、打面中央を自然に叩ける位置です。
2タムでは、タム同士のサイズや胴の深さが異なる場合があります。特に大きく深いタムは、バスドラム上へ低く設置しようとすると、シェルやフープがバスドラムへ接触しやすくなります。
そのため、2タムを低い位置にそろえたい場合は、まず深い側、大きい側のタムがどこまで下げられるか確認し、そこへもう一方のタムを合わせると調整しやすくなります。
2タムではタム同士の間隔も重要
2タムでは、高さと角度だけでなく、タム同士の間隔も確認する必要があります。
タム同士が離れすぎると、フィルインのたびに腕を大きく動かすことになります。反対に、近づけすぎるとフープ同士がぶつかったり、スティックがリムへ当たりやすくなったりします。
実際にフィルを叩き、ハイタムからロータムへ移動したときに、身体を大きくひねらず自然に打面中央を狙える距離を探すことが重要です。
2タムのメリットとデメリット
2タムのメリットは、1タムよりも音域とフレーズの選択肢を増やせることです。
ハイタム、ロータム、フロアタムの3段階を使えると、音の高さを変化させながらフィルを組み立てやすくなります。
- 1タムより音域が広い
- 複数のタムを使ったフィルを作りやすい
- 高音から低音へ段階的に移動できる
- 2個のラックタムを使う原曲を再現しやすい
- 一般的なスタジオセットへ対応しやすい
- 不要な曲では片方を使わないという選択もできる
一方、タムが1個増えることでセッティングの調整箇所も増えます。
- 2個分の高さと角度を調整する必要がある
- タム同士の間隔を調整する必要がある
- バスドラムとの接触を避ける必要がある
- ライドシンバルの位置と干渉する場合がある
- フィルでの移動距離や選択肢が増える
- 自前セットでは機材量や重量が増える場合がある
2タムは、音域を増やせることが強みですが、必ず1タムより優れているわけではありません。演奏する曲やセッティングの優先順位によっては、1タムの方が扱いやすい場合もあります。
1タムと2タムの違い
1タムと2タムの違いは、ラックタムの個数だけではありません。フィルインの作り方、タム間の移動距離、ライドシンバルの位置、セッティングの調整量、自前機材の量などにも影響します。
| 項目 | 1タム | 2タム |
|---|---|---|
| ラックタム数 | 1個 | 2個 |
| 代表的な構成 | 1タム+1フロア | 2タム+1フロア |
| 音域の段階 | 少なめ | 多め |
| フィルの選択肢 | シンプル | 多彩 |
| タム間の移動 | 少ない | 多い |
| ライドの配置 | 近くへ置きやすい | ロータムと干渉する場合がある |
| セッティング調整 | 比較的少ない | 2個分の調整が必要 |
| 原曲コピー | 置き換えが必要な場合がある | 2タム曲へ対応しやすい |
| 自前機材量 | 減らしやすい | 多くなりやすい |
1タムと2タムは、初心者用と上級者用という関係ではありません。タムの個数によって演奏技術のレベルが決まるわけではなく、必要な音域とセッティングの考え方が異なるだけです。
「初心者だから必ず2タム」「上級者なら1タム」といった決まりもありません。
自分に合った構成を選ぶときは、次のような点を見ると判断しやすくなります。
- コピーしたい曲では何個のラックタムを使っているか
- ライドシンバルをどの位置へ置きたいか
- 長いタム回しを使いたいか
- シンプルな動線を優先したいか
- 自宅の設置スペースに余裕があるか
- 自前機材を運搬する必要があるか
- スタジオの一般的な配置へ慣れたいか
初心者は1タムと2タムどちらを選ぶ?
初心者でも1タムで十分に練習できます。
ドラムの基礎となるスティックコントロール、8ビート、16ビート、スネアとバスドラムのコンビネーション、ハイハットとの連携、基本的なフィルインなどは、1タムでも練習可能です。ヤマハの初心者向け解説でも、基本ビートに必要な中心的な楽器としてバスドラム、スネア、ハイハットが挙げられており、最初から多数のタムが必要という前提にはなっていません。ヤマハの初心者向けドラム練習解説も参考になります。
むしろ初心者の場合、タムの個数よりも、椅子、スネア、ペダル、タム、シンバルを無理なく演奏できる位置へ調整することの方が重要です。
1タムを選びやすいのは、次のような場合です。
- まず基本的なビートとフィルを身につけたい
- セッティングをシンプルにしたい
- ライドシンバルを近くへ置きたい
- 自宅スペースを抑えたい
- 自前セットの運搬量を減らしたい
- 演奏予定曲が1タムで対応できる
- 必要になってからタムを追加したい
一方、2タムを選びやすいのは次のような場合です。
- スタジオにある一般的な2タム配置へ慣れたい
- コピーしたい曲に2個のラックタムを使うフィルが多い
- 複数音域を順番に移動する練習をしたい
- 購入予定のセットに2タムが標準で付いている
- 幅広い曲のフレーズを再現したい
初心者が最初から多数のタムをそろえる必要はありません。必要な音域やフレーズが増えた段階で拡張する方法もあります。
また、スタジオに2タムのセットしかなくても、片方のラックタムを叩かずに練習すれば、1タムに近い感覚を試せます。実際に演奏してみて、どちらが身体に合うかを確認するのも一つの方法です。独学ではセッティングやタム移動が合っているか判断しにくい場合は、ドラムレッスンを受けられるEYS音楽教室で実際に演奏しながら確認する方法もあります。
自宅で練習するために設置スペースや音の問題も含めて考えている場合は、タム数とは別に練習環境も確認しておきたいところです。生ドラム以外の選択肢も含めて考える場合は、音の出にくい楽器や電子ドラムを使った練習環境についても確認できます。
2タムの曲を1タムで演奏する方法
原曲が2タムを使っていても、1タムで演奏できないとは限りません。
たとえば、原曲でハイタムとロータムを使っている部分を、1個のラックタムとフロアタムへ振り分ける方法があります。
ほかにも、次のような置き換え方が考えられます。
- 同じラックタムを強弱やアクセントを変えて複数回使う
- ロータム相当の音をフロアタムへ置き換える
- 一部をスネアへ置き換える
- 音数を整理してリズムだけを残す
- フレーズの役割を残しながら移動量を減らす
大切なのは、原曲でそのタムフレーズが何をしているかを考えることです。
高音から低音への流れを作っているのか、単に小節終わりを強調しているのか、リズムそのものが重要なのかによって、置き換え方は変わります。
完全に同じ音程の並びを再現したい場合には、原曲と同じ数のタムが必要になることがあります。しかし、演奏として成立させることが目的なら、1タム向けにフレーズを整理しても問題ありません。
「タムの数が少ないから演奏できない」と考えるのではなく、限られた楽器へどう振り分けるかを考えると、1タムでも多くの曲へ対応できます。
3タムに増やす必要はある?
3タムとは、ラックタムなどを3個使うセッティングを指します。
たとえば、8インチ、10インチ、12インチの3タムに、14インチや16インチのフロアタムを組み合わせる構成があります。
3タム以上にすると、1タムや2タムよりも音域を細かく分けやすくなります。長いタム回しや、段階的に音程を変化させるフレーズを演奏したい場合には便利です。
一方で、タムが増えるほど設置スペースも必要になります。ホルダー、スタンド、場合によってはドラムラックなども必要になり、セッティングや運搬の負担は増えます。
3タム以上の主な利点は次のとおりです。
- 音域をさらに細かく分けられる
- 長いタム回しを作りやすい
- 複雑なフィルを組み立てやすい
- 楽曲に合わせてタムごとの役割を分けやすい
一方で、次のような点には注意が必要です。
- 設置スペースが広く必要になる
- ホルダーやスタンドが増える
- セッティング時間が長くなる
- 運搬する機材が増える
- 身体から遠い位置にタムを置くと移動量が増える
初心者の基礎練習に3タムが必須という根拠はありません。まず1タムや2タムで演奏し、不足する音域やフレーズが明確になってから追加しても遅くありません。
1タム、2タム、3タムは、技術レベルの順番ではありません。少ないタムを選ぶドラマーもいれば、多数のタムを使うドラマーもいます。
必要なタム数は、演奏する曲、ジャンル、体格、ライドシンバルの位置、機材の運搬性などによって変わります。
「タムが多いほど上級者」「タムが少ないほど初心者」という考え方ではなく、自分の演奏目的に必要な数を選ぶことが重要です。
タムの高さ・角度・位置の決め方
タムのセッティングでは、見た目よりも自然な姿勢で打面中央を叩けることを優先します。
タムだけを最初に決めるのではなく、まず身体の基準となる場所から調整することが大切です。
基本的には、次のような順番で全体の配置を決めると整理しやすくなります。
- 椅子の高さと位置を決める
- バスドラムペダルとハイハットペダルを無理なく踏める位置へ置く
- スネアの高さと角度を決める
- ラックタムの高さと角度を調整する
- フロアタムを自然に届く位置へ置く
- ライドやクラッシュなどのシンバルを配置する
- 楽器同士が接触していないか確認する
- 実際にフィルを叩き、移動しやすさを確認する
タムについては、打面の中心を自然に叩ける位置にすること、角度を付けすぎないこと、バスドラムへ接触させないことが重要です。ヤマハのセッティング解説でも、身体に無理のない配置を基準として、タムやフロアタムの位置が説明されています。ヤマハ公式のドラムセッティング解説も確認しておくと、全体の位置関係を考えやすくなります。
実際にフィルを叩いたときの腕の動きやセッティングまで見てもらいたい場合は、EYS音楽教室のドラムレッスンで確認しながら練習する選択肢もあります。
タムの高さ
タムの高さは、スティックを自然に構えた状態から、肩や肘を大きく持ち上げなくても打面中央へ届く位置を目安にします。
高すぎると腕を余計に持ち上げる必要があり、低すぎると太ももやスネア周辺と干渉することがあります。
また、バスドラム上へ取り付ける場合は、タムのシェルやフープがバスドラムへ接触しない高さを確保する必要があります。
タムの最適な高さは、演奏者の体格、椅子の高さ、バスドラムの大きさ、タムの胴の深さなどによって変わるため、一律の数値で指定することはできません。
タムの角度
タムの角度は、打面中央を自然な手首の角度で叩ける程度に調整します。
初心者の場合、「自分側へ大きく傾ければ叩きやすい」と考えやすいですが、角度を付けすぎると手首の動きが不自然になったり、打点が偏ったりすることがあります。
逆に、完全に水平でなければならないわけでもありません。大切なのは、スティックの軌道と打面の関係が自然であることです。
タム同士の間隔
2タム以上では、タム同士の間隔も重要です。
間隔が広すぎると、フィルのたびに腕を大きく移動させる必要があります。反対に狭すぎると、リムへスティックが当たりやすくなったり、タム同士が接触したりすることがあります。
実際にハイタムからロータム、フロアタムへ移動し、自然な腕の動きで打面中央を狙えるか確認してください。
バスドラムとの接触
バスドラム上へタムをマウントする場合は、タムのシェルやフープがバスドラムへ直接接触しないようにします。
見た目を低くしたいからといって無理にタムを下げると、楽器同士が当たる可能性があります。
特に2タムでは、大きく深い側のタムほどバスドラムへ接近しやすいため、先に最低位置を確認しておくと調整しやすくなります。
フロアタムの高さ
右利きの一般的なセットでは、フロアタムをスネアの右側付近へ置きます。
高さはスネアとほぼ同じか、少し低い位置から調整すると、スネアからフロアタムへ自然に腕を移動しやすくなります。
フロアタムもラックタムと同様、見た目より叩きやすさを優先します。身体を大きくひねらないと届かない場合は、位置を少し手前へ動かすなどして調整します。
最終的には、タム単体ではなく、スネア、フロアタム、ライドシンバルなどを含めた全体の移動のしやすさを見ることが重要です。
タムを増減するときの注意点
タムを1個から2個へ増やしたり、2個から1個へ減らしたりするときは、タム本体だけでなく取り付け方法も確認する必要があります。
タムを取り付ける主な方法には、次のようなものがあります。
- バスドラムのタムホルダー
- 独立したタムスタンド
- シンバルスタンドへ取り付けるクランプやアダプター
- ドラムラック
バスドラムのタムホルダー
バスドラムに設けられたホルダーベースへ、タムホルダーを差し込んで固定する方法です。
1本用のシングルホルダーと、2本用のダブルホルダーがあります。
現在2タムを使用していて1タムへ変更するだけなら、ダブルホルダーの片側を使わない方法で対応できる場合があります。ホルダーの構造によっては、一方を取り外してシングルのように使えるタイプもあります。
独立したタムスタンド
バスドラムとは別に床へタムスタンドを立て、タムを固定する方法です。
バスドラム上の位置に縛られないため、タムの位置を自由に調整しやすい利点があります。
ダブルタムスタンドであれば、2個のタムを1台へ取り付けられる製品もあります。
シンバルスタンド+クランプやアダプター
既存のシンバルスタンドへクランプやタムアダプターを取り付ける方法です。
床へ置くスタンド数を減らしながら、比較的自由な位置へタムを設置できる場合があります。
ただし、スタンドの安定性、対応するパイプ径、タムの重量などを確認する必要があります。
ドラムラック
多数のタムやシンバルを使う大規模なセットでは、ドラムラックへ各パーツを固定する方法もあります。
位置を再現しやすい利点がありますが、一般的な1タムや2タム構成に必須というわけではありません。
ホルダーやスタンドには互換性の確認が必要
タムを追加するときに特に注意したいのが、メーカーやシリーズによる取り付け規格の違いです。
パイプ径、Lロッド径、タムブラケットの形状、ホルダーの固定方式などは製品によって異なります。
そのため、「タムホルダー」と書かれていれば何でも使えるわけではありません。
追加購入するときは、現在使っているタムやバスドラムに適合するかを確認する必要があります。
確認したい項目は次のとおりです。
- 現在のタムの口径と深さ
- 追加したいタムの音域
- タムブラケットの規格
- ホルダーのパイプ径
- Lロッドなど取付部のサイズ
- シングル/ダブルホルダーへの対応
- バスドラムマウントか独立スタンドか
- 設置スペース
- ライドシンバルとの干渉
- フロアタムとの音程差
- 使用中のシリーズに追加タムが用意されているか
1タムから2タムへ増やすタイミング
1タムから2タムへ増やす時期に決まりはありません。
たとえば、次のような状況なら2個目のラックタムを追加する意味がはっきりしてきます。
- コピーしたい曲で2個のラックタムを頻繁に使う
- 1タム+フロアタムでは欲しい音程差を作れない
- より長いタム回しを演奏したい
- メロディックなフィルを作りたい
- 自分のプレイスタイルで2個目のタムを使う目的が明確になった
- 使用中のセットへ対応するタムやホルダーを追加できる
単に「一般的なセットは2タムだから」という理由だけで増やす必要はありません。
逆に、2タムセットを持っていても、片方をほとんど使わない場合や、ライドシンバルをもっと近くへ置きたい場合は、1タムへ変更する選択肢があります。
タムの数でよくある誤解
タムについては、個数やサイズに関するいくつかの誤解があります。
まず、「1タムでは初心者の練習にならない」という考え方は適切ではありません。基礎的なリズム、スティックコントロール、フィル、四肢の独立などは1タムでも練習できます。
次に、「2タムなら必ず10インチ+12インチ」という決まりもありません。10インチと12インチはよく見られる構成ですが、ほかのサイズの組み合わせもあります。
「1タムなら必ず12インチ」という決まりもありません。10インチ、12インチ、13インチなど、求める音に応じて選べます。
また、「タムが多いほど上級者向けで優れている」という考え方も適切ではありません。タムの数は演奏目的の違いであり、技術レベルの序列ではありません。
さらに、「1タム」と「2タム」が別種類の太鼓を指すわけでもありません。どちらも、主に使用するラックタムの個数を表すセッティング上の呼び方です。
「3点セット」「4piece」という表記にも注意
ドラムセットを探していると、「3点セット」「4piece」などの表記を見ることがあります。
ここで注意したいのは、セットの点数の数え方が販売者や地域によって異なる場合があることです。
同じような1タム構成でも、スネアを数えるかどうか、シンバルやハードウェアを含めるかどうかによって表記が変わる場合があります。
そのため、購入時は「3点」「4piece」という数字だけで判断せず、実際に何が含まれているのかを確認してください。
タムを増やす場合も、セット名だけで判断するのではなく、タム本体、フロアタム、スネア、バスドラム、ホルダー、スタンドなど、構成内容を一つずつ確認することが大切です。
また、自宅へドラムセットを置く場合は、タムの数だけでなく振動や設置条件も別問題として考える必要があります。特にペダルを使う練習では床へ振動が伝わる場合があるため、住環境まで含めて検討するなら楽器の防音・防振を考えるときの基本も確認しておくと整理しやすくなります。
最終的に、タムの数は多ければよいものではありません。
演奏する曲、自分の身体、セッティングのしやすさ、ライドシンバルの位置、必要な音域、運搬性などを総合して決めることが重要です。
まとめ
ドラムのタムは、フィルインや曲の盛り上がり、音域の変化を作るために使われる太鼓です。一般的には、ラックタムとフロアタムを組み合わせて使用します。
1タムは、主にラックタムを1個にした構成で、ワンタムとも呼ばれます。ラックタムが1個減ることでセッティングをシンプルにしやすく、ライドシンバルを身体の近くへ置きやすくなる点が特徴です。
2タムはラックタムを2個使う構成で、ハイタムからロータム、さらにフロアタムへと、段階的な音域変化を作りやすくなります。複数のタムを使う原曲のフィルも再現しやすくなります。
3タム以上へ増やせば、さらに細かな音域変化を作れますが、設置スペース、ホルダー、スタンド、運搬量なども増えます。初心者の基礎練習に3タムが必須というわけではありません。
初心者でも1タムで基本的なビートやフィルを十分に練習できます。一般的な2タム配置へ慣れたい場合や、コピーしたい曲に2個のラックタムを使うフレーズが多い場合は、2タムが扱いやすくなります。
タムの高さや角度についても、一律の正解はありません。自然な姿勢で打面中央を叩けること、バスドラムやほかの楽器へ接触しないこと、フィルで無理なく移動できることを優先してください。
タムを増減するときは、本体だけでなくホルダーやスタンドの規格も確認する必要があります。メーカーやシリーズによって取り付け方式が異なるため、互換性を確認してから追加することが大切です。
1タム、2タム、3タムのどれが優れているかではなく、自分の演奏したい曲、必要な音域、身体に合う配置、ライドシンバルの位置、設置スペースなどを基準に選ぶことが重要です。

