バリトンサックスの重さは何kg?気になる本体重量を解説

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「バリトンサックスを始めてみたいけれど、あの大きさだから相当重いんじゃないかしら?」そんな風に思って、なかなか一歩を踏み出せずにいる方は多いのではないでしょうか。実は私も、最初は同じ不安を抱えていました。アルトやテナーに比べると圧倒的な存在感がありますから、体力的に持ち運べるのか、練習中に疲れてしまわないか、心配になるのは当然のことです。

そこで今回は、バリトンサックスの実際の重さや、楽に扱うための工夫について、私の経験も交えながら詳しくお話しします。意外と知られていないケース選びのコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • バリトンサックス本体の具体的な重量目安が分かります
  • モデルによる重さの違いやその理由を理解できます
  • ケースを含めた総重量と持ち運びの現実を知ることができます
  • 体への負担を減らすための運搬や演奏の工夫が学べます

バリトンサックスの重さは何kg?気になる本体重量を解説

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まずは、皆さんが一番気になっているであろう「本体の重さ」について見ていきましょう。見た目の迫力通り、確かに他のサックスとは比べ物にならない重量感がありますが、具体的な数字を知ることで、自分が扱えるかどうか判断しやすくなるはずです。実際に手に取ってみると、「これなら何とか持てるかも」と思えるか、それとも「やっぱり無理かも」と感じるか、その目安をお伝えします。

本体重量の最新目安は5.0kg〜7.5kg

バリトンサックスの本体重量は、モデルや年代によって幅がありますが、一般的に約5.0kgから7.5kgの範囲に収まります。数字だけ聞くとピンと来ないかもしれませんが、スーパーで売っている「お米5kg袋」に、さらに1〜2リットルのペットボトルを追加した状態を想像してみてください。

「それくらいなら持てるかも?」と思われるかもしれませんが、実際の感覚はもう少し手強いものです。お米の袋と違ってサックスは金属の塊であり、かつ形状が複雑で全長が1メートル近くあります。重心が分散しているため、実際に持ち上げようとすると、手元にずっしりとした重力がかかり、体感的には数値以上の重さを感じることがほとんどです。

特に私たちシニア世代にとっては、この「5kgの鉄アレイ」を首からぶら下げるわけですから、決して軽いとは言えません。しかし、この圧倒的な重量と金属の質量こそが、バリトンサックス特有の、床を震わせるような深みのある低音を生み出す源泉でもあります。「重さは音の重厚さ」と捉えれば、この重みさえも愛おしく感じられる日が来るかもしれません。

現在の市場で主流となっているモデルの多くは6.0kg〜6.5kg付近に集中しています。7kgを超えるのは一部のヴィンテージや特殊な重量級モデルに限られますので、まずは「約6kg」を目安に覚悟しておくと良いでしょう。

Low A仕様などモデルによる重さの違い

バリトンサックスの重さを大きく左右する最大の要因は、「最低音がどこまで出るか」という設計の違いです。これには大きく分けて2つのタイプがあります。

  • Low Bb(ロー・ビーフラット)モデル:最低音が「シのフラット」まで。昔の標準仕様。
  • Low A(ロー・エー)モデル:最低音が「ラ」まで。現在の標準仕様。

現在、新品で販売されているバリトンサックスのほとんどは、音域の広いLow A仕様です。このタイプは、「ラ」の音を出すためにベル(朝顔)の部分が長く伸びており、管体全体の長さも長くなっています。さらに、その音を塞ぐための大きなキイや連動メカニズムも追加されているため、Low Bbモデルに比べて数百グラムから1kg近く重くなる傾向があります。

「重いならLow Bbの方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、現代の吹奏楽やビッグバンドの楽譜は、この「低いラ」の音が出てくることが非常に多いのです。楽団に参加して演奏することを目指すなら、少し重くてもLow Aモデルを選ぶのが無難な選択と言えます。逆に、一人でジャズを楽しむ場合や、体力面を最優先したい場合は、中古市場で軽量なLow Bbモデルを探すのも賢い選択肢の一つです。

プロ仕様モデルの重さの傾向と理由

一般的に家電製品などは「高級なものほど軽くて高性能」というイメージがありますが、サックスの世界では少し事情が異なります。プロ仕様の上位モデルほど、むしろ重量が増す傾向にあるのです。これには明確な音響的な理由があります。

プロモデルは、より遠くまで響く芯のある音(遠達性)や、重厚な音色を実現するために、あえて管体の金属(真鍮)を厚くしたり、パーツを増やしたりしています。

【重さの秘密:リブ構造(座)】
上位モデルでは、たくさんのキイポスト(柱)を直接管体にハンダ付けするのではなく、一度「リブ」と呼ばれる長い金属プレートに取り付けてから、そのプレートごと管体に接着する手法が取られます。これにより楽器の剛性が高まり、音の安定感が増しますが、金属の量が増えるため必然的に重くなります。(参考:v)

軽い楽器は、少ない息でも明るく軽快に鳴ってくれますが、強く吹き込むと音が割れやすくなることもあります。対して重い楽器は、吹き込むパワーが必要ですが、その分だけ豊かな倍音を含んだ太い音を奏でてくれます。プロが重い楽器を選ぶのは、この「表現の幅」を求めているからなんですね。

付属品を含めた持ち運び時の総重量

楽器選びで盲点になりがちなのが、「移動時の総重量」です。私たちは楽器を裸で持ち歩くわけではなく、必ずケースに入れて運搬します。実際に肩や腰にかかる負担は、「本体(約6kg) + ケース + 小物類」の合計値となります。

この「小物類」も意外と侮れません。マウスピース、リガチャー、リードケース、ストラップ、スワブ(掃除布)、そして楽譜や折りたたみ譜面台などを合わせると、これだけで1kg近くになることもあります。

もし、本体6kgに頑丈なハードケース(7kg)を組み合わせると、総重量は優に13kg〜14kgに達します。これは灯油が入ったポリタンク(18リットル満タンで約15kg)を持ち歩くのに近い感覚です。車移動なら問題ありませんが、電車やバスで移動することを考えているなら、この「総重量」をいかに減らすかが、長く趣味を続けるための生命線になります。

軽量ソフトケースやハードケースの重さ

総重量を減らすための唯一にして最大の解決策は、「ケース選び」です。楽器本体の重さは変えられませんが、ケースは選ぶことができます。種類によって重さと保護性能が大きく異なるため、自分の移動スタイルに合わせて慎重に選ぶ必要があります。

ケースの種類別:重さと特徴の比較

ケースの種類 重量(目安) 総重量(本体込) メリット・デメリット
軽量ソフトケース
(布製など)
約2.0kg〜 約8kg〜 最も軽いが保護力は低い。満員電車での圧迫や、何かにぶつけた時の衝撃が楽器に直接伝わるリスクがある。
セミハードケース
(樹脂+布)
約3.5kg〜 約9.5kg〜 おすすめ。軽さと丈夫さのバランスが良い。リュックのように背負えるタイプが多く、移動が楽になる。
純正ハードケース
(木製・ABS)
約6.0kg〜 約12kg〜 楽器購入時に付属。非常に頑丈で安心だが、重くて持ちにくいため、手持ち移動は修行に近い。
フライトケース
(強化素材)
約10kg〜 約16kg〜 飛行機輸送用。コンクリートのような硬さだが、日常的な運搬には不向き。

購入時に付属している純正ハードケースは、保管用としては優秀ですが、持ち運びには重すぎることが多いです。私たちシニア世代には、軽さと強さを兼ね備えた「セミハードケース(BAMやPROTECなど)」への買い替えを強くおすすめします。これにするだけで、体感の負担は半分くらいに減りますよ。

車輪付きケースで運搬の負担を軽減

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「背負うのもやっぱり辛い…」という方には、背負うのではなく「転がす」という発想の転換をおすすめします。そう、キャスター(車輪)付きのケースです。

海外旅行用のスーツケースのように、地面をコロコロと転がして運べるタイプのケースがあります。これなら、腕や肩にかかる負担はほぼゼロ。駅のホームや舗装された道路なら、驚くほど快適に移動できます。最近のバリトンサックス用ケース(BAMのハイテックシリーズなど)には、最初からキャスターが内蔵されている高級モデルもあります。

また、今持っているケースをそのまま活用したい場合は、楽器ケースを載せて運べる「キャリーカート(マグナカートなど)」を別途購入するのも賢い方法です。数千円で手に入り、使わない時は畳んでしまっておけるので便利です。ただし、階段や砂利道では持ち上げる必要があるので、移動ルートにエレベーターがあるかどうかは事前にチェックしておきましょう。

バリトンサックスの重さを徹底比較!運搬や演奏への影響は?

さて、ここからは少し視点を広げて、楽器の重さが実際の演奏生活にどう関わってくるのかを深掘りしていきましょう。「重い」という事実は変わりませんが、他の楽器と比べたり、体への影響を正しく知ることで、上手な付き合い方が見えてきます。無理なく長く楽しむための「転ばぬ先の杖」として読んでいただければと思います。

他のサックス(アルト・テナー)との重さ比較

サックス仲間が持っているアルトやテナーと並べてみると、バリトンサックスの巨大さは一目瞭然ですが、重さの差はどれくらいあるのでしょうか。具体的な数値で比較してみると、その「別格ぶり」がよく分かります。

楽器の種類 本体重量(目安) 体感イメージ
アルトサックス 約2.5kg 片手でひょいと持ち上げられる。大きめのノートPCくらい。
テナーサックス 約3.5kg 両手で扱いたくなる重さ。新生児の赤ちゃんと同程度。
バリトンサックス 約6.0kg 「よいしょ」と気合が必要。テナーの約1.7倍〜2倍近い。

こうして見ると、バリトンサックスはテナーサックスの倍近い重さがあることが分かります。「サックス」という同じ名前の楽器ですが、もはや別の種目と言ってもいいかもしれません。アルトサックスなら首から下げてステージを走り回ることもできますが、バリトンサックスでそれをやると首を痛めます。

しかし、この圧倒的な質量差こそが、あの腹の底に響くような豪快な低音を生み出しているのです。アンサンブル全体を支える「土台」としての重みが、そのまま楽器の重さになっていると思えば、この重厚感もバリトン吹きの誇りと言えるかもしれませんね。

バリトンサックスの重さが体にかける負担

これだけの重量物を体一つで支えて演奏するわけですから、当然ながら体への負担は無視できません。特に私たちシニア世代が気をつけなければならないのは、首(頚椎)・腰・右手の親指の3点です。

通常のストラップで演奏する場合、約6kgの荷重がすべて首の一点にかかります。無理をして長時間吹き続けると、首の神経を圧迫して頭痛の原因になったり、手のしびれに繋がったりすることもあります。また、楽器を構える際にバランスを取ろうとして前傾姿勢になりがちで、これが腰痛を引き起こす原因にもなります。

さらに意外と盲点なのが、楽器を支える「右手の親指」です。バリトンサックスは構造上、重心が前に倒れようとする力が強いため、それを押し返す右親指にはかなりの負荷がかかります。熱中しすぎて「サックスダコ」ができることもありますが、痛みを我慢して続けるのは禁物です。

【無理は禁物です】
練習中は30分に1回は楽器をスタンドに置き、ストレッチをする習慣をつけましょう。ずっと首から下げっぱなしにするのは、体にとって「6kgの重りを使った筋トレ」をしているのと同じ状態です。

重さ対策:ストラップやハーネスの活用法

重いバリトンサックスを快適に、そして健康的に演奏し続けるための最強のパートナー、それが高機能な「ストラップ」や「ハーネス」です。これの選び方一つで、演奏の楽さが天と地ほど変わります。ここはケチらずに投資すべきポイントです。

付属品のような細い紐のストラップは、バリトンには不向きです。首が絞まるような苦しさを感じるだけでなく、血流も悪くなります。私が強くおすすめするのは、以下の2つのタイプです。

  • ハーネスタイプ
    両肩と背中で楽器を背負うような形状。首への負担がほぼゼロになり、驚くほど楽になります。見た目は少し登山用具のようですが、腰痛持ちの方には特におすすめです。
  • 分散型ストラップ(ブレステイキング等)
    肩のラインに沿うような革製のパッドが付いており、重さを首だけでなく肩全体に逃がす構造になっています。胸が開くので呼吸も楽になり、音色も良くなると評判です。

「えっ、こんなに軽くなるの?」と、初めて着けた時は感動するはずです。まるで楽器が少し浮いているかのような感覚になります。長くサックスライフを楽しむための「健康器具」だと思って、ぜひご自身の体に合ったものを選んでみてください。

重さに影響を与える設計・素材のポイント

少しマニアックな話になりますが、楽器の「仕上げ(メッキ)」や「設計」も重さに微妙に影響します。

サックスは主に真鍮(ブラス)で作られていますが、その表面にどのような処理を施すかで重量が変わります。最も一般的な「ラッカー仕上げ」に比べて、銀メッキ(シルバープレート)や金メッキ(ゴールドプレート)は、メッキの金属分だけ重量が増します。

「たかがメッキの厚さでしょ?」と思われるかもしれませんが、楽器全体に施されるため、持った時の抵抗感や吹奏感(息を入れた時の重さ)には明確な違いが出ます。一般的に、銀メッキモデルは音が太く柔らかくなる反面、少し抵抗感が強くなり、パワーが必要になります。

また、楽器の構造自体も、支柱(リブ)を多く使って頑丈に作れば作るほど重くなります。逆に、あえて支柱を減らして軽量化し、軽快なレスポンスを狙ったモデルもあります。「重い=悪い」ではなく、「重い=重厚な音」「軽い=明るい音」という個性の違いとして捉えると、楽器選びがより楽しくなりますよ。

主要メーカー(ヤマハ・ヤナギサワ)のモデル重量

日本が世界に誇る二大メーカー、ヤマハとヤナギサワも、それぞれ重さに対するアプローチが異なります。代表的なモデルを例に見てみましょう。

■ヤマハ(YAMAHA)
スタンダードモデルのYBS-480や、プロモデルのYBS-62は、非常にバランス良く設計されています。特にYBS-62は、プロ仕様でありながら「重すぎて吹けない」ということがないよう、キイの配置や重量バランスが絶妙に計算されています。多くの学校備品や楽団で採用されているのも、この「扱いやすさ」が理由の一つでしょう。(出典:ヤマハ株式会社『サクソフォン製品一覧』

■ヤナギサワ(Yanagisawa)
サックス専門メーカーのヤナギサワには、明確にコンセプトを分けた2つのシリーズがあります。

  • ライトタイプ(WO1, WO2など)
    軽い吹奏感と軽量化を実現したモデル。初心者や、体力に自信のない方でも鳴らしやすい設計です。
  • ヘヴィータイプ(WO10, WO20など)
    金属の質量を増やし、響きを重視したモデル。ずっしりと重いですが、プロ好みの重厚な音がします。

楽器店で試奏する際は、単に重量計の数値を見るのではなく、ストラップにつけて構えてみてください。不思議なもので、設計が良い楽器は、実重量よりも軽く感じることがあります。これを「重量バランスが良い」と言います。ぜひ、ご自身の体でそのバランスを感じ取ってみてください。

バリトンサックスの重さに関する疑問を総まとめ

ここまで、バリトンサックスの「重さ」について、様々な角度から詳しく見てきました。最後に要点を振り返っておきましょう。

  • 本体の重さは約5.0kg〜7.5kg(現在は6kg前後が主流)。
  • ケースを含めると総重量は10kg以上になることを覚悟する。
  • 移動は「キャスター付きケース」、演奏は「分散型ストラップ・ハーネス」で負担を劇的に減らせる。
  • 重さは「音の重厚さ」の裏返し。対策次第でシニアでも十分に楽しめる。

確かにバリトンサックスは重い楽器です。「私に持てるかしら…」と不安になる気持ち、痛いほど分かります。でも、その重さを乗り越えるための便利な道具はたくさんありますし、何より、その重さがあるからこそ出せる「魂を揺さぶるような低音」は、他の楽器にはない唯一無二の魅力です。

重さだけで諦めてしまうのは、あまりにももったいない! ぜひ一度、楽器店で実物を構えて、その「愛すべき重み」を体感してみてください。きっと、「これなら付き合っていけるかも」と思える瞬間が来るはずですよ。あなたのサックスライフが、低音のように太く豊かなものになりますように。


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