「サックス 須川展也」と検索している方の中には、名前は聞いたことがあっても、「どんな経歴を持つ奏者なの?」「なぜ日本を代表するサックス奏者といわれるの?」「代表的な演奏は何を聴けばいい?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
須川展也さんは、日本のクラシック・サクソフォン界を語るうえで欠かせない奏者の一人です。ソリストとして国内外で演奏してきただけでなく、東京佼成ウインドオーケストラ、トルヴェール・クヮルテット、新作の委嘱・初演、大学教育、地域の吹奏楽活動など、長年にわたって幅広い分野に関わっています。
さらに、NHK連続テレビ小説「さくら」のテーマ音楽のように、クラシックや吹奏楽に詳しくない人の耳にも届く演奏を残してきました。
須川さんの経歴を追っていくと、単に「サックスがものすごく上手な人」というだけでは説明しきれないことがわかります。既存の作品を演奏するだけではなく、作曲家へ新作を委嘱し、その作品を初演・録音・出版へつなげることで、クラシック・サクソフォンのレパートリーそのものを広げてきたからです。
この記事では、須川展也さんの経歴から代表的な作品、演奏の魅力、使用楽器、教育活動、2026年時点の活動まで、初めて調べる方にもわかりやすく整理します。
- 須川展也の基本プロフィールとサックスを始めた経緯
- 東京佼成ウインドオーケストラやトルヴェール・クヮルテットでの活動
- 代表的な委嘱作品、CD、NHK「さくら」での演奏
- 「歌う」だけではないサックス演奏の魅力
- 使用楽器や楽器開発への関わり
- 大学教育やクリニックなど後進育成への取り組み
- 2026年現在も続いている演奏活動
先に結論をまとめると、須川展也さんは、クラシック・サクソフォンの高度な演奏、親しみやすい音楽、新しい作品の開拓、教育活動を同時に続けてきた奏者です。「代表曲を演奏する名手」という枠を超え、サックスで演奏できる音楽そのものを広げてきた点が大きな特徴ですよ。
須川展也はどんなサックス奏者?
須川展也さんは、クラシック・サクソフォンを中心に活動する日本人奏者です。
主にアルトサクソフォンとソプラノサクソフォンを演奏し、ソロではアルトサクソフォンを用いる代表的な作品が多くあります。一方、トルヴェール・クヮルテットではソプラノサクソフォンを担当しています。
クラシックを軸にしているとはいえ、演奏してきた音楽はかなり多彩です。現代クラシック、バッハ、フランス作品、日本人作曲家の作品、タンゴ、映画音楽、ポピュラーな旋律などに取り組み、世界的なジャズ演奏家とも共演してきました。
そのため、録音や共演歴だけを見ると「ジャズのサックス奏者なのかな?」と思う方もいるかもしれません。
ただし、須川さんの活動の中心はあくまでクラシック・サクソフォンです。クラシックという土台を持ちながら、ジャンルの境界を越えてサックスの表現を広げてきた奏者と考えるとわかりやすいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 須川 展也(すがわ のぶや/Nobuya SUGAWA) |
| 生年月日 | 1961年7月25日 |
| 出生・育ち | 佐賀県生まれ、静岡県浜松市育ち |
| 主な活動分野 | クラシック・サクソフォン、室内楽、吹奏楽、教育、指揮、新作委嘱 |
| 主な使用楽器 | アルトサクソフォン、ソプラノサクソフォン |
| 主なグループ | トルヴェール・クヮルテット |
| 大学での活動 | 東京藝術大学招聘教授、京都市立芸術大学客員教授 |
もう一つ、須川展也さんを理解するときに欠かせないのが「新しいサクソフォン作品を生み出すきっかけを作ってきた奏者」という側面です。
クラシックのヴァイオリンやピアノには、何百年も前から膨大な作品があります。一方、サクソフォンは19世紀に登場した比較的新しい楽器なので、バロックや古典派の時代にはサックスのための作品自体が存在していません。
そこで重要になるのが、新しい作品を作曲家に書いてもらい、それを演奏し、次の世代へ残していく活動です。
須川さんは吉松隆さん、ファジル・サイさん、チック・コリアさん、坂本龍一さん、西村朗さん、本多俊之さん、長生淳さんなど、個性の異なる作曲家と関わり、多くの作品を世に送り出してきました。
須川展也さんの大きな特徴は、「演奏する奏者」であるだけでなく、新しいサクソフォン作品が生まれ、後の奏者へ受け継がれる流れを作ってきたことです。
佐賀県生まれ浜松育ちの経歴
須川展也さんは1961年7月25日生まれ。出生地は佐賀県で、その後、静岡県浜松市で育ちました。
プロフィールによっては「浜松出身」と紹介される場合もありますが、出生地と育った場所を分けて整理するなら、「佐賀県生まれ、浜松育ち」とするのが正確です。
浜松市立南陽中学校、静岡県立浜松北高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部へ進学しました。
2026年8月27日時点では65歳です。1984年前後を本格的な演奏活動の起点として考えると、40年以上にわたって第一線で活動していることになります。
長いキャリアを持つ演奏家の場合、「今は指導が中心なのかな」と思うこともありますよね。しかし須川さんは、2026年時点でもコンサート、四重奏、講習会、大学教育、地域の音楽活動などを並行して続けています。
活動地域も日本国内だけではありません。
公式プロフィールでは、これまで30か国以上で演奏やマスタークラスを行ってきたとされ、海外のオーケストラや音楽家とも共演してきました。
協演した楽団としては、NHK交響楽団や東京都交響楽団などの国内オーケストラに加え、BBCフィルハーモニック、フィルハーモニア管弦楽団、イーストマン・ウインド・アンサンブル、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団などが挙げられています。
また、ウィーン楽友協会をはじめ海外の会場でもリサイタルを開催しており、「日本国内の吹奏楽界で有名なサックス奏者」という範囲には収まりません。
日本のクラシック・サクソフォンを海外へ届ける一方、海外の音楽家や作品を日本のサックス界へ持ち込む役割も果たしてきたと見ることができます。
中学でサックスを始めたきっかけ
須川展也さんがサックスに出会ったのは、中学1年生で吹奏楽部に入ったときです。
興味深いのは、最初からサックスを担当していたわけではないこと。当初はフルートを担当していました。
しかし、以前からサックスに憧れを持っていたことから担当楽器を変更します。
当初惹かれていたのは、いわゆるムード音楽などで耳にするサックスの音色でした。その後、学校の音楽の授業でビゼーの「アルルの女」に登場するサクソフォンを知ったことが、クラシック・サクソフォンへの関心につながります。
今では現代クラシックの難曲を世界各地で演奏する奏者として知られていますが、スタート地点は中学校の吹奏楽部です。吹奏楽部で初めて楽器に触れた人にとっては、少し身近に感じられる話かもしれません。
須川さんが語るサックスの魅力も印象的です。
サックスは、美しい歌声のような音だけではなく、荒々しい音、怒りや悲しみを感じさせる音、不気味な音まで出せる楽器だと捉えています。
つまり、「きれいな音を出せればいい」という考え方ではありません。
優しい音と激しい音、透明感のある音と荒々しい音など、対照的な表情があるからこそ、美しい音もより強く感じられる。その幅の広さを音楽表現に生かしているわけです。
初心者は「サックスはきれいな音を出す楽器」と考えがちですが、須川さんの考え方を見ると、音色の幅そのものが表現の一部だとわかります。代表作品を聴くときも、単純な音の美しさだけでなく、曲の中で音色がどう変化していくかに注目するとおもしろいですよ。
後に「歌うような音色」が須川さんの魅力として語られるようになりますが、その「歌う」という言葉も、常に柔らかくきれいに吹くという意味だけではありません。
人の声が喜び、悲しみ、怒り、緊張などを表せるように、サックスでも幅広い感情を表現する。その考えが、須川さんの演奏や選ぶ作品の幅につながっていると考えられます。
東京藝術大学からプロ奏者へ
クラシック・サクソフォンへの関心を深めた須川展也さんは、東京藝術大学音楽学部へ進学します。
大学ではサクソフォンを大室勇一さんに師事し、1984年に卒業しました。
東京藝術大学在学中からコンクールで実績を残しており、学生時代から演奏家として頭角を現していたことがわかります。
1984年は大学卒業だけでなく、第1回日本管打楽器コンクールのサクソフォン部門で第1位を獲得した年でもあります。
その後の活動を見ると、この1984年前後が須川さんのプロ奏者としての本格的なスタートと考えられます。
実際、2014年には「演奏活動30周年」の記念公演が東京文化会館大ホールで行われています。
そこから40年以上。ソロ、室内楽、吹奏楽、オーケストラとの協演、録音、新作初演、教育と活動を広げてきました。
コンクール受賞と活動の始まり
須川展也さんの初期経歴を確認するときは、2つのコンクールを混同しないようにしたいところです。
1982年には第51回日本音楽コンクールの管楽器部門で第2位に入賞しています。演奏楽器はアルトサクソフォンでした。
この年は第1位該当者なしです。そのため、「日本音楽コンクールで1位」と書いてしまうと正確ではありません。
一方、1984年には第1回日本管打楽器コンクールのサクソフォン部門で第1位を獲得しました。
| 年・年度 | コンクール・賞 | 内容 |
|---|---|---|
| 1982年 | 第51回日本音楽コンクール | 管楽器部門第2位。第1位該当者なし |
| 1984年 | 第1回日本管打楽器コンクール | サクソフォン部門第1位 |
| 1993年度 | 第4回出光音楽賞 | 受賞 |
| 1994年 | 村松賞 | 受賞 |
| 1996年 | 文化庁芸術作品賞 | 「サイバーバード─須川展也サクソフォン協奏曲集」 |
| 2001年 | 第56回文化庁芸術祭 | トルヴェール・クヮルテット「マルセル・ミュールに捧ぐ」がレコード部門大賞 |
| 2016年 | 静岡県文化奨励賞 | 受賞 |
| 2020年 | 第75回文化庁芸術祭 | 「バッハ・シークェンス」がレコード部門優秀賞 |
出光音楽賞についても少し注意が必要です。
須川さんのプロフィールによっては1994年と表記される場合がありますが、賞の公式記録では「第4回・1993年度」の受賞者として整理されています。年度と授賞時期の表記が違う可能性があるため、記事などで確認するときは「第4回出光音楽賞(1993年度)」とするとわかりやすいでしょう。
こうした受賞歴だけを見ると、コンクールで結果を残して人気奏者になったように見えるかもしれません。
ただ、須川さんの後の活動で重要なのは、コンクールの順位そのものよりも、その実績を土台にどのような活動を広げたかです。
1987年にはトルヴェール・クヮルテットを結成。1989年には東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターに就任し、同じ年にはソロアルバム「ワンス・アポン・ア・タイム─須川展也サクソフォン小品集」を発売しています。
1990年代にはソロ録音も続き、「ファジィバード・ソナタ」「Cafe1930─ピアソラに捧ぐ」「サイバーバード─須川展也サクソフォン協奏曲集」など、須川さんの活動の広さを示す作品が次々と登場しました。
初期の経歴を見ると、コンクール、プロ吹奏楽団、サックス四重奏、ソロ録音という複数の活動が並行して進んでいることがわかります。これが後の幅広いキャリアにつながっていきます。
東京佼成ウインドオーケストラ時代
須川展也さんの経歴の中でも、吹奏楽を経験している方にとって特に印象が強いのが東京佼成ウインドオーケストラでの活動でしょう。
須川さんは1989年から2010年まで東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを務めました。
約22年間にわたり、日本を代表するプロ吹奏楽団の中心的な奏者の一人として活動したことになります。
「サックス奏者なのにコンサートマスター?」と少し不思議に感じる方もいるかもしれません。
一般的なオーケストラでは第1ヴァイオリンの首席奏者がコンサートマスターを務めますが、吹奏楽団では編成や団体によって事情が異なります。東京佼成ウインドオーケストラで須川さんが長年コンサートマスターを務めたことは、吹奏楽界での存在感を示す重要な経歴です。
須川さんというと、アルトサックスを持って協奏曲を演奏するソリストの姿を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、吹奏楽という大きなアンサンブルの中で長く演奏してきた経験もキャリアの重要な柱です。
吹奏楽では、サクソフォンは木管楽器と金管楽器の中間のような音色を持ち、曲によって旋律、内声、伴奏、ソロなどさまざまな役割を担います。
その世界でプロ奏者として活動しながら、一方ではソロ奏者として協奏曲やリサイタルへ取り組む。さらにサクソフォン四重奏も続けるという、多面的な活動をしていました。
古いプロフィールでは、現在も東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを務めているように読める場合がありますが、在任期間は1989年から2010年までです。現在の役職ではありません。
また、吹奏楽との関わりは東京佼成ウインドオーケストラだけではありません。
2007年から2020年まではヤマハ吹奏楽団の常任指揮者を務めています。
ここでは奏者ではなく指揮者という立場です。自分がサックスを演奏するだけでなく、楽団全体の音楽をまとめる役割へ活動を広げていたことがわかります。
2026年時点でも、飯塚吹奏楽フェスティバルの音楽監督や、市民参加型吹奏楽プロジェクト「マリナート・ウインズ」の音楽監督などを務めています。
つまり、須川さんと吹奏楽の関係は「昔、東京佼成ウインドオーケストラに所属していた」という過去の話だけではありません。
プロ吹奏楽団の奏者、指揮者、音楽監督、クリニックの講師など、立場を変えながら現在まで関わりが続いているんですね。
トルヴェール・クヮルテットでの活動
須川展也さんのもう一つの大きな活動の柱が、1987年に結成されたトルヴェール・クヮルテットです。
サクソフォン四重奏では、一般的にソプラノ、アルト、テナー、バリトンという音域の異なる4種類のサクソフォンを組み合わせます。
須川さんは、この中で最も高い音域を担当するソプラノサクソフォンを演奏しています。
ソロではアルトサクソフォンの印象が強い須川さんなので、初めてトルヴェール・クヮルテットを見ると「ここではソプラノなんだ」と感じるかもしれません。
結成当初のメンバーは、ソプラノの須川展也さん、アルトの彦坂眞一郎さん、テナーの新井靖志さん、バリトンの田中靖人さんでした。
現在確認できるメンバーは、須川展也さん、彦坂眞一郎さん、神保佳祐さん、田中靖人さんです。神保佳祐さんは結成30周年にあたる2017年に加入しました。
| パート | 現在確認できるメンバー | 補足 |
|---|---|---|
| ソプラノサクソフォン | 須川展也 | 結成時から担当 |
| アルトサクソフォン | 彦坂眞一郎 | 結成時から担当 |
| テナーサクソフォン | 神保佳祐 | 2017年加入。結成時は新井靖志 |
| バリトンサクソフォン | 田中靖人 | 結成時から担当 |
トルヴェール・クヮルテットの特徴は、4種類のサクソフォンの個性と、四人が一体になった響きの両方を生かしていることです。
同じ「サックス」という名前が付く楽器でも、ソプラノとバリトンでは音域も音色も大きく違います。
ソプラノが高い旋律を歌い、アルトやテナーが中間を埋め、バリトンが低音を支えるだけではありません。曲の中で主役が入れ替わり、四本が一つの大きな楽器のように響くこともあります。
演奏するのはサクソフォン四重奏のためのオリジナル作品だけではなく、クラシック作品の編曲なども含まれています。
そのため、サックス四重奏を初めて聴く人でも、知っている旋律から楽しめるプログラムがあります。
1998年にはテレビ朝日「徹子の部屋」に出演。2000年には日蘭交流400周年関連の演奏会に招待されました。
2001年にはCD「マルセル・ミュールに捧ぐ」が第56回文化庁芸術祭レコード部門大賞を受賞しています。
さらに2023年11月22日にはアルバム「FESTA」を発売。結成から30年以上がたった後も新しい録音を発表しています。
2026年にも公演が予定されており、長期活動を続けるサクソフォン四重奏団です。
須川展也さんをアルトサックスのソリストとしてしか知らない方は、トルヴェール・クヮルテットも聴いてみると印象が変わるかもしれません。ソプラノサックス奏者としてアンサンブルの中で音楽を作る須川さんを知ることができます。
須川展也を代表する演奏と作品
須川展也さんについて調べると、「代表曲は何?」という疑問が出てきます。
ここで少し注意したいのが、「代表曲」という言葉です。
須川さんは主にサクソフォン奏者として活動しており、自分で多数の曲を作曲する作曲家として知られているわけではありません。
そのため、「須川展也の代表曲」という場合は、須川さんが演奏してきた代表的なレパートリーや、須川さんが委嘱・初演した作品と考えるのが正確です。
代表的な作品としては、吉松隆さんの「サイバーバード協奏曲」「ファジィバード・ソナタ」、ファジル・サイさんの「組曲 Op.55」、チック・コリアさんの「Florida to Tokyo」、坂本龍一さんの「Fantasia for Alto Sax and Piano」などがあります。
そして一般層まで含めて広く知られる活動として、NHK連続テレビ小説「さくら」のテーマ音楽も外せません。
| 作品・活動 | 須川展也との関係 | 特徴 |
|---|---|---|
| サイバーバード協奏曲 Op.59 | 吉松隆への委嘱作品 | 須川を象徴する現代サクソフォン協奏曲の一つ |
| ファジィバード・ソナタ | 吉松隆への委嘱作品 | クラシック、ジャズ、民族音楽的要素を含む |
| Florida to Tokyo | チック・コリアへの委嘱作品 | アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ |
| Fantasia for Alto Sax and Piano | 坂本龍一への委嘱作品 | 2017年世界初演、2025年に楽譜出版 |
| NHK連続テレビ小説「さくら」 | テーマ音楽のサックスを担当 | 一般層にも音色が広く届いた活動 |
| バッハ・シークェンス | バッハ作品をサクソフォンで録音 | 第75回文化庁芸術祭レコード部門優秀賞 |
サイバーバード協奏曲と委嘱活動
須川展也さんを代表するレパートリーとして、まず挙げたいのが吉松隆さん作曲の「サイバーバード協奏曲 Op.59」です。
1993年から1994年にかけて作曲された、アルトサクソフォンとオーケストラのための協奏曲で、須川さんの委嘱によって生まれました。
作品は全3楽章です。
- 第1楽章「彩の鳥」
- 第2楽章「悲の鳥」
- 第3楽章「風の鳥」
アルトサクソフォンだけでなく、ピアノや打楽器にも重要な役割が与えられています。
スピード感のある激しい部分、歌うような旋律、リズムの鋭さ、静かな部分などが現れ、須川さんが大切にしているサックスの幅広い表情を感じ取りやすい作品です。
須川さん自身が世界各地で演奏してきただけでなく、現在では他のサクソフォン奏者も取り組む現代作品として知られています。
2027年の千葉交響楽団定期演奏会でも、須川さんによる演奏が予定されています。
もう一つ、吉松隆さんの「ファジィバード・ソナタ」も須川さんと強く結び付いた作品です。
クラシックだけに閉じない作品で、ジャズや民族音楽的な要素も含まれています。第3楽章には即興性を感じさせる要素もあり、サックスという楽器の多面性を感じやすい作品です。
その後も須川さんは新しい作品の委嘱を続けました。
2014年には、ファジル・サイさんの「組曲~アルト・サクソフォンとピアノのための Op.55」を東京オペラシティで世界初演しています。
この作品は全6楽章で、特殊奏法を含む部分について、作曲者と須川さんが確認を行いながら制作が進められたことも紹介されています。
2016年にはジャズ・ピアニスト、作曲家として世界的に知られるチック・コリアさんが、須川さんの委嘱によって「Sonata for Alto Saxophone and Piano “Florida to Tokyo”」を作曲しました。
チック・コリアさんと聞くと「ジャズの曲なのかな」と思うかもしれませんが、基本的には楽譜として書かれたアルトサクソフォンとピアノのためのソナタです。
同じ2016年前後には、坂本龍一さんへ委嘱した「Fantasia for Alto Sax and Piano」も作曲されました。
2017年6月11日、ヤマハホールで須川さんとピアニストの小柳美奈子さんが世界初演。2025年には正式に楽譜として出版されています。
委嘱活動の価値は、須川さん本人のための曲が増えることだけではありません。初演された作品が録音され、さらに楽譜として出版されれば、世界の別の奏者や次の世代の学生も演奏できます。
サクソフォンはヴァイオリンやピアノと比べれば歴史の新しい楽器です。
だからこそ、演奏家自身が作曲家と協力し、新しいレパートリーを生み出していくことには大きな意味があります。
須川さんは「すでにある名曲を上手に演奏する人」であると同時に、「これからサックスの名曲になっていく作品を生み出すきっかけを作る人」でもあるわけです。
この視点を持って経歴を見ると、須川展也さんがクラシック・サクソフォン界で高く評価されている理由がかなり見えやすくなります。
NHK朝ドラ「さくら」での演奏
クラシックや吹奏楽を普段あまり聴かない人にも須川展也さんの音が届いた代表例が、2002年に放送されたNHK連続テレビ小説「さくら」です。
音楽を担当したのは小六禮次郎さんで、須川さんはテーマ音楽のサクソフォンを担当しました。
朝の連続テレビ小説は、コンサートホールへクラシックを聴きに行く人だけではなく、非常に幅広い人が日常の中で耳にする番組です。
そのため、「須川展也という名前は後から知ったけれど、あのサックスの旋律は覚えている」という人がいても不思議ではありません。
同じ2002年には、小六禮次郎さんの音楽によるアルバム「SAKURA」も発売されています。
須川さんの活動を紹介するとき、この「さくら」はかなり象徴的です。
一方では「サイバーバード協奏曲」のような高度な現代クラシック作品を演奏する。
その一方で、テレビドラマを通じて、クラシックやサックスに詳しくない人にも音色を届ける。
この両方が同じ演奏家の活動として成立しているんですね。
須川さんは初期の録音でも、サクソフォンのオリジナル作品だけにこだわらず、ヴァイオリン小品や親しみやすい旋律などを演奏レパートリーに取り入れていました。
難しい作品だけを演奏して専門家へアピールするのではなく、幅広い聴衆にサクソフォンを楽しんでもらう姿勢は、長いキャリアを通して見られます。
サックスを演奏している方なら、「聴いた曲を自分でも吹いてみたい」と思うこともありますよね。
須川さんに関係する作品には、演奏後に楽譜として出版され、他の奏者が取り組めるようになっているものも多くあります。聴くだけで終わらず、次の奏者へレパートリーが受け継がれていくのも、須川さんの活動のおもしろいところです。
須川展也さんの「さくら」の演奏を自分でも吹いてみたい方は、楽譜の取扱状況を各通販サイトで確認してみてください。
バッハ・シークェンスへの挑戦
須川展也さんの演奏の幅を知るうえで、2020年発売の「バッハ・シークェンス」も外せません。
この録音では、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ全3曲にサクソフォンで取り組んでいます。
ここで重要なのは、バッハの時代にはサクソフォンがまだ存在していなかったことです。
サクソフォンが生まれたのは19世紀。バッハが活躍したバロック時代よりずっと後です。
つまり、無伴奏ヴァイオリン・パルティータは当然ながらサックスのために作られた作品ではありません。
それをサクソフォンで演奏するということは、単に音符を置き換えれば済む話ではなく、ヴァイオリンとは異なる呼吸、音色、フレージングなどを使いながら、作品の音楽を成立させる必要があります。
この「バッハ・シークェンス」は、第75回文化庁芸術祭のレコード部門優秀賞を受賞しました。
文化庁の贈賞理由でも、サクソフォンという比較的新しい楽器でバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ3曲に取り組み、楽器の新しい可能性を示した点が評価されています(出典:文化庁「令和2年度(第75回)文化庁芸術祭賞贈賞理由」)。
「サックスのために書かれた曲を演奏する」だけではなく、「サックスでは本来演奏されてこなかった重要作品へ踏み込む」という姿勢も、須川展也さんのレパートリー開拓を象徴しています。
ここまで見てくると、須川さんの活動には共通した方向性があることがわかります。
吉松隆さんや坂本龍一さんなどへ新しい曲を書いてもらうことも、バッハの作品へ取り組むことも、方法は違いますが、どちらも「サックスで演奏できる音楽の世界を広げる」という点では同じです。
新しい曲を生み出す方向と、過去の名曲へさかのぼる方向。
その両方からレパートリーを広げていることが、須川さんの特徴なんですね。
須川展也のサックス演奏の魅力
須川展也さんの演奏の魅力を一言で決めるのは難しいですが、中心にあるのは「歌うような音色」と、それだけに収まらない表現の広さです。
本人の著書には「サクソフォーンは歌う!」というタイトルがあります。
サックスを人間の声や感情を表現できる楽器として捉えていることが伝わってくる言葉です。
ただ、「歌うような音」と聞いて、いつも柔らかく甘い音を出す奏者だと思うと少し違います。
須川さん自身は、荒々しい音、怒り、悲しみ、不気味さなどもサックスで表現できると説明しています。
人間の声も、うれしいときと悲しいときではまったく同じ声になりませんよね。
サックスも同じように、曲に応じて音の表情を変えられる。その幅を積極的に音楽へ生かしているところが特徴です。
| 魅力 | 具体的に見られる活動 |
|---|---|
| 歌うような音色 | 旋律を生かすソロ作品、歌曲・アリア系のレパートリー |
| 激しさや陰影を含む表現 | 「サイバーバード協奏曲」など現代作品 |
| ジャンルの広さ | クラシック、タンゴ、ジャズ系共演、映画音楽など |
| 高度な作品への対応 | 吉松隆、ファジル・サイ、チック・コリアなどの作品 |
| 親しみやすさ | 「アメイジング・グレイス」「グラナダ」なども演奏 |
| レパートリー開拓 | 新作委嘱、バッハ作品への挑戦 |
演奏してきたジャンルの広さも大きな魅力です。
グラズノフのサクソフォン協奏曲のようなクラシックの定番、フランス近代作品、吉松隆さんをはじめとする現代作品、バッハ、ピアソラ、映画音楽、親しみやすい旋律まで扱っています。
さらに、2000年には世界的ジャズ・ベーシストのロン・カーターさんと「air─SUGAWA meets RON CARTER」を発表。
2001年にはギタリストのマーティン・テイラーさんと「jenna」を制作しています。
チック・コリアさんへ作品を委嘱したことも含め、ジャズの世界との接点も少なくありません。
こうした経歴から須川展也さんをジャズサックス奏者だと思う場合がありますが、活動の中心はクラシック・サクソフォンです。クラシックを土台にしながら他ジャンルへ橋を架けている、と考えるとわかりやすいですよ。
また、難しい現代作品だけで聴衆を限定しない点にも注目したいところです。
2026年8月の公演ではグラズノフの「アルトサクソフォン協奏曲」に加え、「アメイジング・グレイス」「グラナダ」など一般にも親しまれている曲を演奏しています。
専門性の高い協奏曲と、多くの人が旋律を楽しめる曲を同じ演奏会に置く。須川さんの活動には、そうした「入り口の広さ」があります。
これから須川展也さんを初めて聴くなら、性格の違う作品をいくつか聴き比べてみるのがおすすめです。
- 現代クラシックの迫力を知りたいなら「サイバーバード協奏曲」
- クラシックと他ジャンルが混ざる感覚を楽しみたいなら「ファジィバード・ソナタ」
- 一般にも届いた音色を知りたいならNHK「さくら」のテーマ
- サックスの可能性を違う角度から知りたいなら「バッハ・シークェンス」
- クロスオーバー活動を知りたいならロン・カーターとの「air」
同じ奏者でも、作品によってかなり違う音の表情が現れます。
一つの録音だけを聴いて「須川展也の音はこういう音」と決めるより、複数の時代やジャンルを聴くほうが魅力をつかみやすいでしょう。
使用しているサックスと楽器開発
須川展也さんが現在の公式プロフィールで使用楽器として挙げているのは、ヤマハのサクソフォンです。
ソプラノサクソフォンはYamaha YSS-875EXG、アルトサクソフォンはYamaha YAS-875EXGとされています。
| 種類 | 公式プロフィールに記載された使用楽器 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| ソプラノサクソフォン | Yamaha YSS-875EXG | トルヴェール・クヮルテットなど |
| アルトサクソフォン | Yamaha YAS-875EXG | ソロ、協奏曲など |
末尾の「G」は金メッキ仕上げを示すモデル表記です。
ただし、須川さんとヤマハとの関係を「有名奏者がヤマハ製のサックスを使っている」とだけ理解すると少し足りません。
ヤマハのYAS-875EXは、須川さんを含む世界的なサクソフォン奏者の意見を取り入れながら開発されてきたモデルです。
つまり須川さんは、完成した楽器を演奏するユーザーであるだけでなく、演奏家として感じることをメーカーへフィードバックし、楽器開発にも関わってきた奏者の一人です。
サックスは見た目が同じようでも、キーの操作感、息を入れたときの抵抗感、音程、響き、高音域のコントロールなど、演奏者が感じるポイントは多くあります。
特にプロ奏者の場合、ソロ、室内楽、吹奏楽、オーケストラとの協演など、さまざまな環境で楽器を使います。
そうした演奏家から得られる意見が楽器の設計へ反映されることは、メーカーにとっても重要です。
須川展也さんのサックス界への影響は、演奏や教育だけではありません。演奏家の立場から楽器そのものの開発へ意見を提供してきたことも、長い活動の一部です。
一方、マウスピース、リード、リガチャーなどについては注意が必要です。
イベントや時期によって異なる情報が紹介されることがあり、すべての公演で使う仕様を固定した最新公式情報として確認できないものがあります。
「須川展也と同じセッティングにしたい」と考える場合でも、古い記事やイベント時の仕様だけを見て、現在も常に同じマウスピース、リード、リガチャーを使っていると断定しないようにしましょう。楽器についても公演によって特別仕様などの表記が出ることがあります。
使用楽器の情報は参考になりますが、同じモデルを使えば同じ音が出るわけではありません。
須川さんの演奏を知るという意味では、機材だけを見るより、息の使い方、音色の変化、フレージング、作品の選び方まで含めて聴くほうが本質に近づけるでしょう。
教育活動とサックス界への貢献
須川展也さんは演奏家としてだけでなく、後進を育てる教育者としても長く活動しています。
2026年時点では、東京藝術大学音楽学部の招聘教授、京都市立芸術大学の客員教授を務めています。
東京藝術大学では1989年から2008年頃まで非常勤講師として活動した経歴があり、2011年にも非常勤講師、2012年に客員教授、2013年以降は招聘教授として紹介されています。
京都市立芸術大学では2014年から客員教授としてサクソフォン分野に関わっています。
大学での指導だけでも長い経歴ですが、須川さんの教育活動は大学生やプロを目指す奏者だけを対象にしているわけではありません。
30か国以上でマスタークラスを行い、日本国内でも中高生の吹奏楽部員、一般のサックス愛好家などを対象にクリニックを開催しています。
公式動画では「須川展也のSAXTIPS」シリーズとして演奏のポイントを発信するなど、直接レッスンを受けられない人へ向けた活動も行っています。
著書・教則本も複数あります。
| 刊行年 | 書籍 | 内容 |
|---|---|---|
| 2014年 | 「サクソフォーンは歌う!」 | 演奏家としての歩みやサックスへの考え方を知る自伝 |
| 2021年 | 「絶対!うまくなる サクソフォーン100のコツ」 | サクソフォン上達のポイントをまとめた実用書 |
| 2023年 | 「新版 サクソフォーンのためのトレーニング・ブック」 | 演奏技術を学ぶためのトレーニング教材 |
| 2025年 | 「うまくなろう!サクソフォーン 新装・改訂版」 | サックスを学ぶ奏者向けの実用的な内容 |
こうした出版物を見ると、トップクラスのプロ奏者だけに知識を伝えるのではなく、学生や一般のサックス愛好家まで視野に入れていることがわかります。
地域の音楽活動も重要です。
静岡市清水文化会館マリナートを拠点とする市民参加型の吹奏楽プロジェクト「マリナート・ウインズ」では、須川さんが音楽監督を務めています。
2015年から続く活動で、参加者が須川さんから指導を受けられる機会も設けられています。
2026年にも活動が継続しており、プロの演奏家が地域のアマチュア奏者と接点を持つ場になっています。
また、飯塚吹奏楽フェスティバルにも音楽監督として関わり、中学生、高校生、大学生、一般の吹奏楽団など幅広い世代の音楽活動に接しています。
クラシック・サクソフォンのトップ奏者と聞くと、大きなコンサートホールや国際的な演奏活動ばかりを想像するかもしれません。
しかし須川さんの場合、大学教育、海外マスタークラス、中高生向けクリニック、市民吹奏楽など、レベルや年齢の異なる奏者と接する活動が続いています。
さらに、教育とは別の形で後世へ残るものが、委嘱作品です。
吉松隆さん、ファジル・サイさん、チック・コリアさん、坂本龍一さん、西村朗さん、本多俊之さん、長生淳さんなどへ新しい作品を委嘱し、自ら初演・録音してきました。
楽譜として出版された作品は、須川さん本人だけのものではなくなります。
音楽大学の学生が学んだり、海外の奏者がリサイタルで取り上げたり、コンクールのレパートリーになったりする可能性があります。
これも非常に大きな「教育」の形といえるでしょう。
演奏を見せる、直接教える、教則本を書く、新しい曲を残す。須川展也さんは複数の方法で、次にサックスを演奏する世代へ音楽を渡してきました。
京都市立芸術大学では現在もサクソフォン分野の客員教授として掲載されており、演奏家としての活動と並行して教育への関わりが続いています。
2026年も続く現役の演奏活動
「須川展也さんは現在も演奏しているの?」と気になって検索している方もいるでしょう。
結論から言えば、2026年時点でも現役で活動しています。
しかも、過去の名演奏を振り返るだけではなく、ソロ、カルテット、クリニック、大学教育、地域の音楽活動、新しい作品の普及を並行して続けています。
2026年8月21日には静岡県で静岡交響楽団との「Yamaha Presents Famous Classics」に出演し、グラズノフの「アルトサクソフォン協奏曲」のほか、「アメイジング・グレイス」「グラナダ」を演奏しています。
このプログラムを見るだけでも、須川さんの活動の特徴がよく表れています。
本格的なクラシックのサクソフォン協奏曲と、一般にも親しまれている旋律を同じ舞台で演奏する構成だからです。
9月5日には静岡県掛川市でサクソフォン・クリニック、翌9月6日にはトルヴェール・クヮルテットの公演が予定されています。
9月13日には奈良県の大和高田さざんかホール開館30周年記念公演「三響の祝祭」へ出演予定。
9月21日には大阪で「須川展也 SAXOPHONE SPECIAL DAY」が予定され、演奏技術に関する講座、アンサンブルレッスン、ミニコンサートなどが組まれています。
10月3日には青森県三沢市で須川展也リサイタル「クロスオーバー」が予定されています。
| 時期 | 主な活動 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年8月21日 | 静岡交響楽団との公演 | グラズノフ協奏曲などを演奏 |
| 2026年9月5日 | サクソフォン・クリニック | 静岡県掛川市で指導 |
| 2026年9月6日 | トルヴェール・クヮルテット公演 | 四重奏奏者として出演 |
| 2026年9月21日 | SAXOPHONE SPECIAL DAY | 講座、アンサンブルレッスン、ミニコンサート |
| 2026年10月3日 | リサイタル「クロスオーバー」 | 青森県三沢市で開催予定 |
| 2027年2月21日 | 千葉交響楽団第124回定期演奏会 | 吉松隆「サイバーバード協奏曲 Op.59」を演奏予定 |
さらに2027年2月21日には、千葉交響楽団第124回定期演奏会への出演予定が発表されています。
演奏するのは、若い時期から須川さんと強く結び付いてきた吉松隆さんの「サイバーバード協奏曲 Op.59」。ピアノは小柳美奈子さん、打楽器は山口多嘉子さん、指揮は山下一史さんという予定です。
また、「フィリア サクソフォン・フェスティバル 2027」への出演も発表されています。
演奏予定を見ても、過去の代表作だけを繰り返しているわけではありません。
2026年8月には須川展也サクソフォン=コレクションから松浦真沙さんの「ル・シネマ」が刊行されるなど、新しいレパートリーを世に出す活動も続いています。
最新の出演状況は公演ごとに変更される可能性がありますが、須川展也オフィシャルサイトでも演奏会や関連イベントが継続して掲載されています(出典:Nobuya SUGAWA Official Website「スケジュール」)。
2026年現在の須川展也さんは、過去の実績だけで紹介される奏者ではありません。ソロ演奏、サクソフォン四重奏、教育、クリニック、地域活動、新しい作品の普及を同時に続けている現役奏者です。
ここまでの経歴を振り返ると、活動の形は少しずつ変化しています。
東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターは2010年まで、ヤマハ吹奏楽団の常任指揮者は2020年までです。
一方、トルヴェール・クヮルテット、大学教育、地域活動、ソロ演奏、新しい作品の開拓は現在も続いています。
そのため、古いプロフィールだけを見ると現在の役職を誤解することがあります。
「東京佼成ウインドオーケストラの現役コンサートマスターなのか」「現在もヤマハ吹奏楽団の常任指揮者なのか」という疑問については、どちらも現在は違います。
しかし、それは活動が縮小したという意味ではありません。
40年以上のキャリアの中で、奏者、四重奏メンバー、指揮者、教師、音楽監督など、その時々で役割を広げてきたと見るほうが実態に近いでしょう。
須川展也のサックスに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 須川展也はジャズサックス奏者ですか?
A. 活動の中心はクラシック・サクソフォンです。ロン・カーターさんなどジャズ奏者との共演や、ジャズの要素を持つ作品の演奏もありますが、基本的にはクラシックのサクソフォン奏者として位置付けられます。
Q2. 須川展也の代表曲は何ですか?
A. 須川さん自身が作曲した曲という意味ではなく、演奏と強く結び付いた代表的なレパートリーとして、吉松隆「サイバーバード協奏曲」「ファジィバード・ソナタ」、ファジル・サイ「組曲 Op.55」、チック・コリア「Florida to Tokyo」、坂本龍一「Fantasia for Alto Sax and Piano」などが挙げられます。
Q3. 須川展也は現在も東京佼成ウインドオーケストラに所属していますか?
A. 現在はコンサートマスターではありません。東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを務めたのは1989年から2010年までです。古いプロフィールでは現職のように見える場合があるため注意してください。
Q4. 須川展也が使っているサックスは何ですか?
A. 現在の公式プロフィールでは、ソプラノサクソフォンにYamaha YSS-875EXG、アルトサクソフォンにYamaha YAS-875EXGが記載されています。公演や時期によって特別仕様など別の表記が出る場合もあるため、最新の細かなセッティングは本人やメーカーの公式情報を確認するのが確実です。
Q5. 須川展也は何歳からサックスを始めましたか?
A. 中学1年生の吹奏楽部時代です。最初はフルートを担当していましたが、以前から憧れていたサックスへ転向しました。その後、ビゼー「アルルの女」をきっかけにクラシック・サクソフォンへの関心を深めています。
Q6. 須川展也はどこ出身ですか?
A. 佐賀県生まれ、静岡県浜松市育ちです。「浜松出身」と紹介される場合もありますが、出生地と育った場所を分けるとこの表現がわかりやすいです。
Q7. 須川展也は現在もヤマハ吹奏楽団の常任指揮者ですか?
A. 現在は違います。ヤマハ吹奏楽団の常任指揮者を務めた期間は2007年から2020年までです。
Q8. 須川展也は2026年現在も現役ですか?
A. 現役です。2026年もソロ公演、トルヴェール・クヮルテット、サックスクリニック、大学教育、地域の吹奏楽活動などを続けており、2027年の演奏予定も発表されています。
須川展也さんを理解するなら、華やかな演奏技術だけを見るのではなく、東京佼成ウインドオーケストラでの活動、トルヴェール・クヮルテット、新作の委嘱、ジャンルを越えた録音、教育活動まで一緒に見るのがおすすめです。
須川さんは、日本でクラシック・サクソフォンを広く知られる存在にした奏者の一人であり、国内外のオーケストラとの共演によってサックスを本格的な協奏楽器として提示してきました。
同時に、作曲家へ新しい作品を委嘱し、初演、録音、出版へつなげることで、自分以外の奏者も演奏できるレパートリーを増やしてきました。
トルヴェール・クヮルテットではサクソフォン四重奏の魅力を伝え、東京佼成ウインドオーケストラやヤマハ吹奏楽団では吹奏楽界と深く関わりました。
さらに大学教育、マスタークラス、サックスクリニック、教則本、地域吹奏楽活動を通じて、次の世代へ技術や音楽を伝える仕事も続けています。
そして演奏面では、歌うような美しい音色だけでなく、荒々しさ、悲しみ、緊張感など、人間の感情に近い幅広い音色を表現できる楽器としてサックスを捉えてきました。
クラシックだけに閉じず、タンゴ、ジャズとの共演、映画音楽、親しみやすい旋律まで扱いながら、軸にあるクラシック・サクソフォンの世界を広げています。
まず演奏を聴いてみたい方は、「サイバーバード協奏曲」「ファジィバード・ソナタ」、NHK連続テレビ小説「さくら」のテーマ、「バッハ・シークェンス」など、性格の異なる作品を聴き比べてみてください。
余裕があれば、トルヴェール・クヮルテットやロン・カーターさんとの共演作品なども聴いてみると、さらに活動の幅が見えてきます。
同じサックスでも、歌うような柔らかい音から、鋭く力強い表現、現代作品の複雑な音色までかなり違った表情を感じられるはずです。
「サックスで何ができるのか」を演奏、新作、教育のすべてから示し続けていること。そこが、須川展也さんが長年クラシック・サクソフォン界で大きな存在であり続けている理由の一つといえるでしょう。

