サックスの有名でかっこいい曲|ジャズ・邦楽・洋楽の定番曲

サックスと楽譜を配置したジャズクラブ風の背景に、「サックスの有名でかっこいい曲|ジャズ・邦楽・洋楽の定番曲」と示したアイキャッチ画像 サックス
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「サックスの有名な曲を聴いてみたいけれど、何から聴けばいいんだろう」「せっかくなら、自分でも吹いてみたくなるような、かっこいい曲を知りたい」と思っていませんか?

サックスには、ジャズの歴史に残る名演から、洋楽の印象的なリフ、日本のフュージョンや歌謡曲、ポップスのサックスアレンジまで、本当に幅広い名曲があります。

しかもサックスは、同じメロディでもアルト、テナー、ソプラノで雰囲気がかなり変わる楽器です。明るく輪郭のあるアルト、太く渋いテナー、高く伸びるソプラノ。それぞれの魅力を知ると、「次はこの曲を吹いてみたい」という候補も見つけやすくなりますよ。

ただし、「サックスの有名な曲」を探すときに最初に知っておきたいポイントがあります。

それは、「原曲そのものに有名なサックスパートがある曲」と、「原曲ではサックスが主役ではないものの、サックス用アレンジとして定番になっている曲」は別だということです。

たとえば「Careless Whisper」の冒頭を吹きたい人と、「Lemon」の歌メロをアルトサックスで吹きたい人では、選ぶべき楽譜がまったく違います。この違いを知らずに曲名だけで楽譜を買うと、「吹きたかったパートが載っていない」ということもあり得ます。

この記事では、ジャズ・邦楽・洋楽を中心に、かっこいい曲、ノリノリの曲、バラード、ポップスまで目的別に整理しました。さらに、アルト・テナー・ソプラノの代表曲、初心者が練習曲を選ぶときの考え方、市販楽譜を探すときの注意点までまとめています。

  • 原曲でサックスが印象的な曲とサックスアレンジの定番曲の違い
  • ジャズ・邦楽・洋楽で有名なサックス名曲
  • かっこいい曲、ノリノリの曲、バラードのおすすめ候補
  • アルト・テナー・ソプラノ別に聴きたい代表曲
  • 初心者が無理なく挑戦できる練習曲の選び方
  • 自分の楽器に合う市販楽譜を見つけるポイント

サックスの有名な曲は2種類ある

「サックス 有名な曲」と検索すると、いかにもサックスらしいジャズの名演もあれば、J-POPや映画音楽をサックス向けに編曲した楽譜も見つかります。

どちらもサックスで楽しめるという点では同じですが、曲を探している目的によって選び方は変わります。

「テレビやラジオで聴いた、あの有名なサックスフレーズを吹きたい」という人は原曲のサックスパートが重要です。一方で、「好きな歌をサックスで吹いてみたい」という人なら、歌メロをサックス用にアレンジした楽譜も十分候補になります。

この2種類を先に分けておくだけで、曲探しも楽譜探しもかなり楽になります。

原曲でサックスが印象的な名曲

まずは、原曲の録音そのものにサックスが入っていて、その演奏が曲の印象を大きく決めている作品です。

代表的なのが、The Dave Brubeck Quartetの「Take Five」、George Michaelの「Careless Whisper」、Gerry Raffertyの「Baker Street」、John Coltraneの「Blue Train」などです。

「Careless Whisper」は、Steve Gregoryによるテナーサックスの冒頭リフが非常に有名です。ボーカルが始まる前から、サックスだけで曲の世界観がほぼ完成していると言ってもいいくらいですね。

「Baker Street」も同じタイプ。Raphael Ravenscroftによるアルトサックスの力強いフレーズが、曲間で強烈な存在感を放ちます。音数がものすごく多いわけではありませんが、一音一音の押し出しや高音の伸びが印象を決めています。

ジャズなら「Take Five」が代表格です。The Dave Brubeck Quartetの曲として知られていますが、作曲したのはアルトサックス奏者Paul Desmond。柔らかくクールなアルトのテーマと、5/4拍子のリズムが大きな特徴です。

John Coltraneの「Blue Train」なら、太く力強いテナーサックスを楽しめます。こちらは短い有名リフだけを楽しむタイプというより、テーマから即興演奏まで含めてジャズサックスの魅力を味わう曲です。

「原曲と同じサックスを吹きたい」という場合は、曲名だけではなく譜面の内容まで確認しましょう。

市販楽譜には、原曲のサックスパートではなく、ボーカルメロディをサックス用に置き換えたものもあります。「サックスソロ」「原曲再現」などの記載があるかを見ると判断しやすくなります。

サックスアレンジで人気の定番曲

もう一つは、原曲でサックスが主役ではなくても、メロディをサックスで吹くとよく映えるため、市販楽譜や発表会、練習曲として定番になっている作品です。

たとえば「Fly Me to the Moon」や「枯葉」は、特定の一人のサックス奏者による原曲だけを再現するための曲ではありません。長い歴史の中でさまざまな歌手、楽器奏者が演奏してきたスタンダードで、サックスでも非常によく演奏されています。

邦楽では、「ルパン三世のテーマ」「プラスティック・ラブ」「RIDE ON TIME」「ルビーの指環」などもサックス曲集で見かけやすい曲です。

さらにJ-POPでは、「Lemon」「恋」「ひまわりの約束」「栄光の架橋」「空も飛べるはず」といった歌のメロディをアルトサックス向けに編曲した楽譜もあります。

こうした曲は「原曲の有名なサックスソロをコピーする」という楽しみ方とは違いますが、知っているメロディを自分の楽器で奏でられるのが大きな魅力です。

「あのサックスのフレーズを吹きたい」のか、「知っている曲をサックスで吹きたい」のか。ここを最初に決めると、曲選びで迷いにくくなります。

歌メロ用の譜面と原曲のサックスパート用の譜面は別物です。

同じ「Careless Whisper」というタイトルでも、ボーカル部分を吹く編曲と、有名なサックスリフを中心にした編曲では内容が変わります。購入前に収録内容を確認してください。

まず聴きたい有名なサックス名曲

サックスの名曲は数え切れないほどあります。ジャズだけでも膨大ですし、ロック、R&B、ファンク、フュージョン、歌謡曲まで広げると、どこから聴けばいいのか分からなくなるかもしれません。

そんなときは、まず知名度が高く、なおかつ「サックスの音色や役割の違いが分かりやすい曲」を聴いてみるのがおすすめです。

アルト、テナー、ソプラノを意識して聴き比べると、単に曲を知るだけでなく、自分が好きなサックスの音も見つけやすくなります。

ジャズで有名なサックス曲

ジャズで最初に挙げたいのは、The Dave Brubeck Quartetの「Take Five」です。

1959年のアルバム「Time Out」に収録された曲で、Paul Desmondが作曲し、アルトサックスを演奏しています。

最大の特徴は5/4拍子。一般的なポップスで多い4拍子とは違い、5つの拍をひとまとまりとして進んでいきます。それでも不自然に聞こえにくいのは、演奏全体のグルーヴがしっかり作られているからです。

Paul Desmondのアルトサックスは、鋭く攻めるというより、軽く柔らかい音で旋律を浮かび上がらせるタイプ。ジャズサックスというと激しいアドリブを想像する人にも、違った魅力を感じやすい曲かなと思います。

太く力強いテナーサックスなら、John Coltraneの「Blue Train」

ブルース色の濃いテーマから始まり、そこから本格的な即興演奏へ進んでいきます。「短いサックスリフを覚えて楽しむ」というより、テナーサックスでどのようにフレーズを展開していくのかをじっくり味わいたい曲です。

テーマだけを練習する場合と、Coltraneのソロを細かくコピーする場合では難易度がまったく違います。初心者が聴いて楽しむのはもちろん問題ありませんが、演奏課題として考えるなら段階を分けるのが現実的です。

ソプラノサックスの代表曲として有名なのが、Coltraneによる「My Favorite Things」です。

もともとはミュージカル「The Sound of Music」の楽曲ですが、Coltraneの演奏では反復的な伴奏の上でテーマと即興が展開され、原曲とはかなり異なるジャズの世界が作られています。

ソプラノサックスはアルトやテナーより高い音域が特徴で、「My Favorite Things」を聴くと、その独特の明るさと鋭さを感じやすいでしょう。

穏やかなテナーサックスなら、Stan Getz & João Gilbertoの「The Girl from Ipanema」

Stan Getzの演奏は、息を含んだような柔らかな音色が特徴的です。激しいジャズより、落ち着いた雰囲気やボサノヴァが好きな人なら入りやすい一曲です。

一方、技巧的なサックスを聴きたいなら「Giant Steps」があります。

高速なテンポと複雑なコード進行で知られ、ジャズサックスの高度な演奏例としてよく名前が挙がる曲です。ただし、初心者が「次の一曲」として原曲テンポのソロコピーを目指すにはかなり難しいため、まずは鑑賞曲として楽しむのも十分ですよ。

「Moanin’」「枯葉」「Fly Me to the Moon」「A列車で行こう」などもジャズサックスではよく演奏されます。

ただし、これらは必ずしも「特定のサックス奏者による原曲サックスが有名」という種類の曲ではありません。ジャズセッションやサックス用アレンジでも定番になっている曲として捉えると、より正確です。

代表的なサックス 雰囲気 練習で意識したい点
Take Five アルト クール、軽快 5拍子、フレーズの流れ
Blue Train テナー 太い、ブルージー テーマとアドリブを分けて考える
My Favorite Things ソプラノ 明るい、浮遊感 テーマと長い即興の難易度差
The Girl from Ipanema テナー 柔らかい、落ち着く 息の流れ、滑らかな音のつながり
Giant Steps テナー 高速、技巧的 原曲テンポでは上級者向けになりやすい

アルト・テナー・ソプラノの違いを知りたいなら、「Take Five」「Blue Train」「My Favorite Things」を続けて聴いてみると分かりやすいです。同じサックスという名前でも、音の高さや厚み、曲の中での存在感がかなり違います。

洋楽で有名なサックス曲

洋楽で「有名なサックス曲」と言えば、George Michaelの「Careless Whisper」は外せません。

冒頭から聞こえるサックスリフは、ボーカルが始まる前に曲の雰囲気を決定づけています。原録音で演奏したのはSteve Gregoryで、楽器はテナーサックスです。

このフレーズは、音数だけを見ると「意外と吹けそう」と感じる人もいるかもしれません。しかし実際に原曲のような雰囲気を出そうとすると、音程、ビブラート、音の入り方、滑らかな接続など、細かな表現が大切になります。

初心者なら、いきなり完全再現を狙わず、まず音程と指使いを安定させ、その後にビブラートなどを加えていく方が練習しやすいでしょう。

Gerry Raffertyの「Baker Street」も、洋楽サックスを代表する曲です。

Raphael Ravenscroftがアルトサックスで演奏した有名リフは、太く力強い印象があります。そのためテナーだと思われることもありますが、原録音の有名なフレーズはアルトです。

「Baker Street」は、ただ大きな音を出せばそれらしくなるわけではありません。アタックの強さ、ロングトーンの安定感、音の変化を付けるベンド感などが雰囲気に影響します。

R&Bやスムースなサックスが好きなら、Grover Washington Jr. feat. Bill Withersの「Just the Two of Us」も聴いておきたい曲です。

歌とサックスが自然に溶け合い、都会的で滑らかなサウンドになっています。ジャズを普段あまり聴かない人でも、ポップスやR&Bが好きなら入りやすいでしょう。

Sadeの「Smooth Operator」は、大人っぽく落ち着いたサックスを聴きたい人向けです。楽曲全体に余裕があり、サックスだけが前に飛び出すのではなく、ボーカルや伴奏と一体になって雰囲気を作っています。

ノリのよい洋楽なら、Men at Workの「Who Can It Be Now?」があります。

曲の冒頭から分かりやすいサックスフックが登場するため、「ロックの中でサックスが印象に残る曲」を探している人にも合います。

さらにファンク系ならAverage White Bandの「Pick Up the Pieces」。ホーンリフとグルーヴが中心の曲で、サックスを含む管楽器の勢いを楽しめます。

Bruce Springsteenの「Jungleland」も、ロックにおけるサックスの名演として知られています。

こちらは「短い有名フレーズを覚える」タイプではなく、Clarence Clemonsによる長く劇的なソロをじっくり味わう曲。ロックの中でサックスが感情表現を担う例として聴き応えがあります。

邦楽で有名なサックス曲

日本の曲で「かっこいいサックス」「ノリノリのサックス」を探すなら、T-SQUAREの「TRUTH」は非常に有力な候補です。

公式ディスコグラフィでも、THE SQUARE名義のアルバム「TRUTH」が1987年4月1日に発表されたことを確認できます。F1中継テーマとして広く知られ、スピード感のあるメロディは今でも強い印象を残します。

(出典:T-SQUARE公式サイト「DISCOGRAPHY」

ただし、T-SQUAREの楽曲については少し注意が必要です。

伊東たけしはサックスだけでなく、LyriconやEWIなどの電子管楽器も使用してきました。録音、ライブ、再録音などによって使用楽器が変わる場合もあるため、「聞こえる旋律はすべて通常のアルトサックス」と一律に断定しない方が正確です。

T-SQUAREなら「宝島」も人気曲です。

吹奏楽アレンジで演奏される機会が多いため、最初から吹奏楽曲として作られたと思われることがありますが、もともとはT-SQUAREの楽曲です。明るく爽快なメロディで、サックス用の市販曲集にも収録例があります。

「OMENS OF LOVE」も爽快なフュージョンの代表候補。原曲に近いテンポやニュアンスを求めると難易度は上がりますが、「日本の明るくノリのいいインストを聴きたい」という人には合います。

歌ものでは、チェッカーズの「ジュリアに傷心」が印象的です。

藤井尚之によるサックスが楽曲のイメージを強く作っており、邦楽の中でも「原曲でサックスが目立つ曲」を探すときに挙げやすい作品です。

アニメ系では「ルパン三世のテーマ」も定番。

ジャズやファンクの要素があり、サックスで演奏するとステージ映えしやすい曲です。ただしアレンジが非常に多いため、楽譜によって難易度はかなり変わります。

「カウボーイビバップ」の「Tank!」も、疾走感のあるビッグバンドサウンドが魅力です。高速でホーンセクションのキレも重要になるため、原曲に近い演奏を目指す場合は初心者向けとは言いにくい曲です。

シティポップなら、「プラスティック・ラブ」「真夜中のドア~Stay With Me」「RIDE ON TIME」「ルビーの指環」などもサックス用楽譜で見つけやすい候補です。

これらはすべて「原曲のサックスパートそのものが主役」という意味ではありません。歌のメロディや都会的なコード進行をサックスで演奏すると映える曲として分けて考えましょう。

かっこいいノリノリのサックス曲

「せっかくサックスを聴くなら、ステージで映えるようなかっこいい曲がいい」「テンションが上がるノリノリの曲を知りたい」という人もいるでしょう。

サックスのかっこよさには、いくつか種類があります。

  • Careless Whisperのような哀愁と色気
  • Baker Streetのような力強い高音
  • Blue Trainのような太くブルージーな音
  • TRUTHやTank!のような疾走感
  • Pick Up the Piecesのようなファンクのグルーヴ

つまり、速い曲だけが「かっこいいサックス曲」ではありません。音色、リズム、フレーズ、曲の空気感のどこに魅力を感じるかで選び方が変わります。

アップテンポを優先するなら、「TRUTH」「Pick Up the Pieces」「In the Mood」「Tank!」「ルパン三世のテーマ」「OMENS OF LOVE」「宝島」などが候補です。

特に「Pick Up the Pieces」はファンクのリズムに乗る楽しさが分かりやすく、「In the Mood」はスウィングのノリを感じやすい曲です。

一方、「Baker Street」や「Blue Train」は、速さだけではなく音そのものの存在感でかっこよさを感じやすい曲です。

バラードで映えるサックス曲

サックスの魅力は、速いフレーズだけではありません。

むしろ、ゆっくりした曲で一音を長く伸ばしたときに、サックス特有の息づかいや音色がよく伝わります。

代表的なのが「Careless Whisper」です。

哀愁のあるテナーサックスとゆったりした曲調が合わさり、「サックスのバラード」と聞いて最初に思い浮かべる人も多い曲でしょう。

練習するときは、音を当てるだけではなく、ロングトーンの途中で音程が揺れすぎていないか、ビブラートをかけすぎていないか、次の音へ滑らかにつながっているかも確認したいところです。

「The Girl from Ipanema」は、もっと軽く穏やかな雰囲気。

ボサノヴァなので重たいスローバラードではありませんが、Stan Getzの柔らかなテナーサックスが曲全体を包み込みます。「静かなサックスを聴きたいけれど、暗すぎる曲は避けたい」という人にも向きます。

「Just the Two of Us」は、R&Bのグルーヴを保ちながら滑らかなサックスを楽しめる曲です。

完全にテンポを落としたバラードではないため、リズムに乗りながら大人っぽい音を出したい人にも合います。

「Smooth Operator」「My Foolish Heart」も、しっとりしたサックスの候補です。

また、「We’re All Alone」「Open Arms」のような洋楽バラードは、原曲でサックスが主役でなくても、歌メロをサックスで演奏するアレンジと相性があります。

遅い曲=初心者向け、とは限りません。

テンポが遅いと一音一音が長く聞こえるため、音程、息の安定、音の終わり方、ビブラートなどが目立ちやすくなります。指が速く動かなくても演奏できる一方で、音色を整える難しさは残ります。

ポップスで吹きたい人気曲

「ジャズは難しそう」「まずは知っている歌を吹いてみたい」という人には、ポップスのサックスアレンジが入りやすい選択肢です。

邦楽なら、「Lemon」「恋」「ひまわりの約束」「栄光の架橋」「空も飛べるはず」「涙そうそう」「I LOVE YOU」など、知名度の高い曲がサックス向けに編曲されています。

シティポップでは「プラスティック・ラブ」「RIDE ON TIME」「真夜中のドア~Stay With Me」「ルビーの指環」なども人気曲集で見つけやすい候補です。

洋楽やスタンダードでは、「September」「Stand by Me」「Fly Me to the Moon」「Moon River」などもサックスで演奏されます。

このタイプの曲を選ぶメリットは、すでに知っているメロディなら、音の間違いに気づきやすいことです。

譜読みがまだ得意でなくても、「この音は何か違う」と耳で気づけることがあります。初心者が最初のレパートリーを作るとき、知っている曲から選ぶのはかなり合理的です。

ただし、市販楽譜では初心者向けに音域やリズムが簡略化されることがあります。原曲と少し違って聞こえても、必ずしも譜面の間違いではありません。

「原曲どおりに吹きたい」のか、「まず最後まで一曲吹けるようになりたい」のかで、楽譜選びの基準を変えましょう。

サックスの種類別に選ぶ有名曲

サックスには、アルト、テナー、ソプラノ、バリトンなど複数の種類があります。

初心者向けとして特によく見かけるのはアルトですが、だからといって「サックスの有名曲はアルトばかり」というわけではありません。

ジャズやロックではテナーが強い存在感を持つ曲も多く、ソプラノにはソプラノならではの高く明るい音があります。

好きな曲から楽器を選ぶ場合も、すでに楽器を持っていてレパートリーを探す場合も、原曲で何のサックスが使われているかを知っておくと楽しみ方が広がります。

アルト・テナー・ソプラノの代表曲

アルトサックスの代表候補として分かりやすいのは、「Take Five」と「Baker Street」です。

「Take Five」ではPaul Desmondの柔らかく軽い音、「Baker Street」ではRaphael Ravenscroftの力強い高音を聴けます。

同じアルトサックスでも、曲や吹き方によってここまで印象が変わるのかと感じやすい組み合わせです。

アルトは市販楽譜も豊富で、J-POP、ジャズ、アニメ、映画音楽など幅広いジャンルから選べます。初心者向けアレンジも比較的見つけやすいのが利点です。

テナーサックスなら、「Careless Whisper」「Blue Train」「The Girl from Ipanema」が代表候補。

「Careless Whisper」は哀愁、「Blue Train」は太さと力強さ、「The Girl from Ipanema」は柔らかさと、同じテナーでもかなり違う表情を聴けます。

テナーはアルトより低く太い音が特徴で、ジャズ、ロック、R&Bなどの渋いサウンドとよく合います。

ソプラノサックスでは「My Favorite Things」が代表的です。

ソプラノは高く明るい音で、外見が直管型になっているモデルもよく見られます。音程を安定させるのが難しいと感じる初心者もいますが、アルトやテナーとは違う独特の音色があります。

Grover Washington Jr.の「Just the Two of Us」の録音クレジットでは、アルト、ソプラノ、テナーと複数種類のサックスが記載されています。サックス奏者が一種類だけを使うとは限らない点も覚えておくと、音源を聴く楽しみが増えます。

サックス 代表候補 音の特徴 向きやすいジャンル
アルト Take Five、Baker Street 明るく輪郭がある ジャズ、ポップス、吹奏楽など幅広い
テナー Careless Whisper、Blue Train、The Girl from Ipanema 低く太く、落ち着きがある ジャズ、ロック、R&B
ソプラノ My Favorite Things 高く明るく、独特の存在感 ジャズ、フュージョンなど

なお、原曲がテナーだからといって、アルトで演奏してはいけないわけではありません。

市販楽譜にはアルト用、テナー用にそれぞれ移調されたアレンジがあります。原曲の楽器を知ることと、自分の持っている楽器で楽しむことは分けて考えて大丈夫です。

初心者が吹きやすい曲の選び方

有名な曲を見つけると、「これを次の練習曲にしよう」と思いますよね。

ただ、有名だから吹きやすいとは限りません。

たとえば「Giant Steps」は非常に有名ですが、原曲テンポで即興演奏まで再現するなら初心者向きとは言いにくい曲です。一方、「Careless Whisper」の冒頭フレーズのように、有名曲の一部分からなら挑戦しやすい場合もあります。

初心者は「曲全体が簡単か難しいか」だけで判断せず、どこまで演奏するのか、どのアレンジを使うのかまで考えると選択肢が増えます。

難易度を決めるテンポや音域

初心者が曲を選ぶときは、次のポイントを確認してみてください。

  • 最高音と最低音が、自分の今の音域に収まっているか
  • テンポが速すぎないか
  • 16分音符など細かいリズムが多すぎないか
  • 大きく跳躍する音程が続かないか
  • 長いフレーズでブレスが苦しくならないか
  • ビブラートやベンドなどの表現が多く必要か
  • ジャズ特有のアーティキュレーションが必要か
  • アドリブまで演奏するのか
  • 原曲再現譜か初心者向けアレンジか

比較的取り組みやすい候補としては、「Careless Whisper」の有名な冒頭フレーズ、「Fly Me to the Moon」「枯葉」「Stand by Me」のメロディ、初心者向けに編曲されたJ-POPなどがあります。

「Take Five」はテーマ自体は覚えやすいものの、5拍子を自然に感じる必要があります。音だけ覚えても、拍の位置が分からなくなると演奏が崩れやすいので、リズムを先に体に入れる練習が大切です。

「TRUTH」や「Tank!」はテンポが速く、原曲に近い勢いを出すには指の動きだけでなく、タンギングや息のスピードも必要になります。

「Blue Train」は、テーマだけなら取り組み方を工夫できますが、John Coltraneのソロまで本格的にコピーするとなると話は別です。

「Giant Steps」の原曲テンポでのアドリブや、Coltraneの長い即興ソロの完全コピーは、上級者向けになりやすい課題です。

同じ曲でも、編曲によって難易度は大きく変わります。

「この曲は難しい」と曲名だけで諦める必要はありません。音域を狭くした初心者向けアレンジや、リズムを簡単にした楽譜が見つかることもあります。

吹きたい曲が決まったら、最初から原曲と同じテンポで通そうとしない方が確認しやすいです。

まずはテンポを落とし、指使いと音の並びを確認します。難しい小節だけを取り出し、数回連続で安定して吹けたら少しずつテンポを上げる方法なら、どこで崩れているのかも分かりやすくなります。

テンポ確認にはメトロノーム、音程確認にはチューナーが役立ちます。

チューナーとメトロノームが一体になった機器なら、一台でテンポと音程の両方を確認できます。特にロングトーンを含むフレーズでは、音を伸ばしている途中で音程が上がったり下がったりしていないかを見る用途にも使えます。

ただし、チューナーの針を中央に合わせることだけが音楽ではありません。実際の演奏では周囲の音との関係もあります。初心者の基礎練習では、まず自分の音が大きく不安定になっていないか確認する道具として使うと分かりやすいでしょう。

また、ビブラート、ベンド、ブレス、アーティキュレーション、ジャズのアドリブなどは、譜面の音符だけ見ても感覚をつかみにくい部分です。

自分では「原曲に近づいてきた」と思っていても、音の入り方やリズムのズレには気づきにくいことがあります。独学で改善点が分からなくなった場合は、演奏を録音して聴き返したり、必要に応じて経験のある指導者に演奏を見てもらったりする方法もあります。

初心者のうちは、「一曲を完璧に仕上げてから次へ進まなければ」と考えすぎなくても大丈夫です。短い有名フレーズ、一曲のテーマ、初心者向けアレンジと、段階を分けながらレパートリーを増やしていく方が続けやすいですよ。

サックスの市販楽譜を選ぶポイント

吹きたい曲が決まったら、次は自分のサックスに合った楽譜を探します。

市販のサックス楽譜ではアルト向けの商品が特に豊富ですが、テナー向けにもJ-POP、ジャズ、洋楽、アニメ曲などの曲集があります。

ここで一番大切なのは、タイトルに好きな曲が入っているかだけで決めないことです。

同じ曲でも、初心者向け、中上級者向け、歌メロ中心、原曲サックスソロ中心、伴奏音源付きなど内容が違います。

シンコーミュージック・エンタテイメントの公式情報では、「アルト・サックス超定番曲ベスト50」は2016年6月16日発売、対象レベルは中~上級とされています。人気J-POP、洋楽、ジャズ、クラシック、アニメ曲など幅広いジャンルを収録した曲集です。

「テナー・サックス超定番曲ベスト50」は2017年5月15日発売で、こちらも対象レベルは中~上級。テナーで吹きたい定番曲を50曲掲載した曲集として案内されています。

初心者向けでは、同社の「調号なしでラクラク譜読み♪ アルト・サックス定番曲&J-POP」があります。

公式ページでは2022年4月28日発売、対象レベルは初級で、全曲を調号なしにした楽譜集として案内されています。楽器の基礎知識と運指表も付いており、「Lemon」「恋」「ひまわりの約束」「RIDE ON TIME」「September」「枯葉」などの掲載が確認できます。

(出典:シンコーミュージック・エンタテイメント「調号なしでラクラク譜読み♪ アルト・サックス定番曲&J-POP」

市販楽譜を見るときは、次の点をチェックしましょう。

確認項目 確認する理由
対応楽器 アルト用とテナー用では移調が異なるため
対象レベル 同じ曲でも初心者向けと中上級向けでは内容が違うため
原曲再現か歌メロか 吹きたいパートが収録されているとは限らないため
伴奏音源の有無 一人で練習するときの使い方が変わるため
原曲キーか 原曲と一緒に演奏したい場合に影響するため
イントロ・間奏の扱い 初心者向けアレンジでは省略される場合があるため

特に注意したいのが移調です。

アルトサックスはE♭管、テナーサックスとソプラノサックスはB♭管です。そのため、基本的にはアルト用の譜面とテナー用の譜面をそのまま共用するわけではありません。

一人でメロディだけ吹くなら音の高さが違っても演奏自体はできますが、伴奏音源や原曲と合わせるとキーが合わなくなる可能性があります。

伴奏音源付き楽譜を買う場合は、必ず自分の楽器用の譜面か確認してください。

「アルト用」「テナー用」の表記に加え、楽譜と伴奏音源が正しい組み合わせになっているかを見ると安心です。

また、出版社の公式ページでも、掲載曲によって原曲キーと異なる場合や、イントロ・間奏などが一部カットされる場合、部分的に原曲とは違うアレンジになる場合があると案内されています。

「原曲と違うからダメ」というわけではなく、初心者向けに吹きやすくするために変更されているケースもあります。

大切なのは、自分の目的に合っているかどうかです。

たとえば「Careless Whisperの有名なサックスリフを原曲に近い形で吹きたい」なら、歌メロだけの初心者曲集では物足りない可能性があります。

逆に、「サックスを始めたばかりなので、まずCareless Whisperという知っている曲を一曲通して吹きたい」という場合は、初心者向けアレンジの方が楽しみやすいこともあります。

商品説明に「サックスソロ」「原曲再現」「原曲キー」「初心者向け」「調号なし」などの記載があるかを確認し、自分が何を吹きたいのかと照らし合わせてみてください。

なお、市販楽譜の価格、在庫、販売状況は変わります。発売年が古い曲集は新品で見つかりにくくなることもあるため、購入するときは出版社や販売ページで最新情報を確認しましょう。

最初から難しい原曲完全再現を選ばなくても大丈夫です。

知っているメロディを一曲最後まで吹けるだけでも、「自分のサックスで曲になった」という実感は得やすいものです。そこから原曲のサックスソロ、ビブラート、アドリブと少しずつ挑戦範囲を広げていくと、練習の目的も見つけやすくなります。

サックスの有名な曲に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 誰でも聞いたことがあるような有名なサックス曲は何ですか?

A. 候補として挙げやすいのは「Careless Whisper」「Baker Street」「Take Five」です。

「Careless Whisper」はテナーサックスの冒頭リフ、「Baker Street」はアルトサックスの力強いリフ、「Take Five」はPaul Desmondによるアルトサックスのテーマが印象的です。ジャンルもポップ、ロック、ジャズと異なるので、最初の聴き比べにも向いています。

Q2. 初心者でも吹きやすい有名曲はありますか?

A. 「Careless Whisper」の冒頭フレーズ、「Fly Me to the Moon」「枯葉」「Stand by Me」のメロディなどは候補にしやすいです。

ただし、曲名だけでは難易度を決められません。原曲再現譜では難しくても、初心者向けに音域やリズムを簡略化したアレンジなら取り組みやすくなる場合があります。自分の楽器用で、対象レベルが合っている楽譜を選んでください。

Q3. Careless Whisperはアルトサックスですか?

A. 有名な原録音では、Steve Gregoryがテナーサックスを演奏しています。

アルトサックス向けの市販アレンジもあるため混同しやすいのですが、「原曲で使われた楽器」と「自分が演奏するためのアレンジ」は分けて考えましょう。アルト用楽譜でCareless Whisperを楽しむこと自体はできます。

Q4. Baker Streetの有名なサックスはテナーですか?

A. 原録音の有名なリフは、Raphael Ravenscroftによるアルトサックスです。

音が太く力強いためテナーのように感じる人もいるかもしれませんが、有名な原録音ではアルトが使われています。アルトサックスの音色が必ずしも細く軽いわけではないと分かる例でもあります。

Q5. アルト用の楽譜をテナーサックスでもそのまま使えますか?

A. 基本的には、自分の楽器用に作られた楽譜を使う方が分かりやすいです。

アルトサックスはE♭管、テナーサックスはB♭管なので、同じ譜面をそのまま吹くと実際に鳴る音の高さが変わります。伴奏音源や原曲と合わせたい場合は特に、自分の楽器用に移調された譜面を選びましょう。

サックスの有名な曲を探すときは、まず「原曲のサックスそのものを聴きたいのか」「好きな曲をサックスで演奏したいのか」を整理すると選びやすくなります。

原曲のサックスパートを楽しみたいなら、「Take Five」「Careless Whisper」「Baker Street」「Blue Train」「My Favorite Things」「ジュリアに傷心」などが候補です。

ジャズらしいサックスを聴きたいなら、「Take Five」「Blue Train」「My Favorite Things」「The Girl from Ipanema」。日本のかっこいい曲なら、「TRUTH」「宝島」「OMENS OF LOVE」「ルパン三世のテーマ」「Tank!」などがあります。

ノリノリの曲なら「Pick Up the Pieces」「In the Mood」、バラード寄りなら「Careless Whisper」「Just the Two of Us」「Smooth Operator」など、目的ごとに選ぶと自分の好みも見つけやすいでしょう。

そして「自分でも吹いてみたい」と思う曲が見つかったら、いきなり難しい原曲完全再現だけを目指さず、自分のレベルに合うアレンジを探してみてください。

アルトなのかテナーなのか、原曲のサックスソロを吹く譜面なのか歌メロを吹く譜面なのか、初心者向けか中上級向けか。この3点を確認するだけでも、楽譜選びの失敗はかなり減らせます。

一曲すべてを吹くのが難しいなら、まず有名なリフだけでも構いません。短いフレーズを安定して吹けるようになったら、次にテーマ全体、伴奏付き、原曲テンポと少しずつ広げていけば十分です。

サックスの魅力は、ジャズだけでも、速い曲だけでもありません。柔らかい音、太い音、鋭い音、哀愁のある音。いろいろな名曲を聴き比べながら、「この音を自分でも出してみたい」と思える一曲を探してみてください。

難易度や演奏方法には個人差があり、市販楽譜の内容や販売状況も変わります。正確な商品情報は出版社や公式サイトで確認してください。自分だけでは音程や奏法の改善点を判断しにくい場合は、必要に応じて楽器の専門家や指導者へ相談する方法もあります。