オカリナを始めると、最初につまずきやすいのが「どの穴を、どの指で押さえればドレミになるの?」という運指の問題です。
運指表を見つけても、黒丸と白丸の意味が分からなかったり、低いラ・シだけ押さえ方が違ったり、半音になると穴の開け方が急に複雑になったりして、戸惑うこともあるでしょう。
12穴オカリナは、基本的なドレミファソラシドなら、低い音から高い音へ進むにつれて穴を順番に開けていく考え方で理解しやすい楽器です。
ただし、ここで最初に知っておきたいのが、12穴でもすべてのオカリナが同じ運指ではないということです。
とくに最低音のラ・シを出すための小さな追加穴、一部の半音、高いミ・ファ付近では、メーカーやモデルによる違いがあります。
そのため、この記事では日本で初心者が使うことの多い横持ちの12穴シングルオカリナ、なかでもアルトC管を中心に、運指の基本的な考え方を整理します。
具体的な穴の配置については、最終的にあなたが使っているオカリナの付属運指表やメーカーの公式運指表を確認してください。一般的な運指表は「仕組みを理解するための地図」として使うと分かりやすいですよ。
- 12穴オカリナの運指表をどう読むのか
- ドレミファソラシドをどんな流れで覚えるのか
- 低いラ・シ、高いレ・ミ・ファはどう考えるのか
- ド♯やファ♯などの半音はどう覚えるのか
- 12穴でもメーカーによって運指が違う理由
- 運指が合っているのに音程がずれるときの確認方法
- 初心者が効率よく指使いを覚える練習手順
一気に全部暗記しようとせず、まずドから上のドまで。そのあと低音、高音、半音へ進めば、運指はかなり整理しやすくなります。
オカリナ運指表の基本と読み方
オカリナの「運指」とは、音を変えるためにどの指孔を開け、どの指孔を閉じるかという指の組み合わせです。その組み合わせを音ごとに図で示したものが運指表です。
鍵盤楽器なら押す鍵盤が目で見えますが、オカリナは複数の穴を同時に開閉して音程を変えます。背面には親指で押さえる穴もあるため、最初は少し立体的に考える必要があります。
とはいえ、基本的な読み方はそれほど難しくありません。
運指表を見るときの基本
最初に「閉じる穴」と「開ける穴」の記号を確認し、次に表面と背面のどちらを示しているかを見ます。そのうえで、自分の楽器と同じ穴数・メーカー・モデルを対象とした表か確認しましょう。
オカリナの指孔は「トーンホール」と呼ばれることもあります。大きな穴だけでなく、12穴モデルでは低音域を広げるための小さな追加穴が設けられていることがあります。
この追加穴こそ、12穴オカリナを理解するときの重要なポイントです。
一般的な自然音の運指はメーカー間で共通する部分が多い一方、追加穴の位置や扱いは統一されていません。そのため、ドレミは吹けるのに低いラだけ出ないという場合、指使いそのものではなく「別方式の運指表を見ている」ことも考えられます。
黒丸・白丸と12穴の見方
一般的なオカリナの運指表では、黒丸と白丸を使って穴の状態を示します。
- ●=穴を閉じる
- ○=穴を開ける
この形式がよく使われますが、資料によって表現方法が異なる場合もあるため、必ず最初に凡例を見てください。
運指表の図を見たときに、「黒いから穴が空いている」「白いから押さえている」と感覚的に逆に読んでしまう初心者もいます。最初に凡例を一度確認しておくだけで、この混乱は防ぎやすくなります。
また、前面の穴だけでなく背面の親指穴も重要です。運指図によっては、前面の指孔とは少し離れた位置に小さく親指穴が描かれています。
「穴の数を数えたら図と合わない」と感じた場合は、背面穴が別位置に表示されていないか確認してみてください。
12穴シングルオカリナでは、通常の音階演奏に使う主要な穴に加えて、低いラ・シのための小さな追加穴があります。ただし、その位置は全メーカー共通ではありません。
最低音ラ用の追加穴についても、左手側で操作する方式、右手側で操作する方式など複数の配置があります。そのため、ネットで見つけた12穴用運指表を見て「自分の楽器にこの小穴がない」と思っても、必ずしも楽器側がおかしいわけではありません。
「12穴用」と書いてあるだけでは十分ではありません
12穴という穴数が同じでも、低音用追加穴の位置、一部の半音、高音域の運指が異なる場合があります。とくに最低音ラ・シを練習するときは、自分のオカリナ用の運指表か確認しましょう。
運指表に同じ音名で複数の図が掲載されていることもあります。この場合は、基本運指とは別に「替え指」が示されている可能性があります。
初心者の段階では、いきなりすべての図を暗記しなくて大丈夫です。まず大きく掲載された基本運指や、メーカーが基本として示している指使いを一つ覚えましょう。
音名の部分に「ド♯/レ♭」のように2つの名前が並んでいたら、これは異名同音を示しています。呼び方が2つあるだけで、同じ高さの音として一つの運指が示されることがあります。
左右の指と穴の押さえ方
横持ちの12穴オカリナでは、前面の指孔を左右の人差し指・中指・薬指・小指を中心に押さえ、背面の穴を左右の親指で押さえます。
左右の手には、それぞれ担当する穴があります。
| 手 | 主に使う指 | 意識したいこと |
|---|---|---|
| 左手 | 人差し指・中指・薬指・小指・親指 | 高い音になるほど開ける穴が増える |
| 右手 | 人差し指・中指・薬指・小指・親指 | ドからソ付近までの変化で動きが多い |
穴を押さえるときに大切なのは、力ではありません。
指の腹で穴全体をすき間なく密閉することが最も重要です。
強く押し付ければ音が安定するわけではなく、空気が漏れない程度に軽くふさげていれば十分です。
逆に、指の先端だけで押さえていると、穴の端に小さなすき間ができやすくなります。爪が穴にかかっていたり、指の中心と穴の中心がずれていたりしても、発音に影響します。
とくに右手の薬指や小指は、普段の生活では独立して細かく動かす機会が少ないため、最初は穴の中心からずれやすいかもしれません。
背面の親指穴も目で確認しにくいため要注意です。「指使いは図どおりなのに低音が鳴らない」ときは、前面だけでなく親指穴も確認してください。
低音用の小穴は、通常の大きな指孔と同じように指の腹全体でふさぐとは限りません。モデルによって指先や指の一部を使って操作する場合があります。
ここで一般的な形へ無理に手を合わせるより、自分の楽器の穴配置に合わせて自然な手の位置を探すことが大切です。
もう一つ意識したいのが、開けた指の位置です。
音を高くするとき、穴から指を大きく跳ね上げる必要はありません。穴を確実に開けられる範囲で、できるだけ近くに指を待機させておくと、次の音へ戻りやすくなります。
たとえばレとドを交互に吹くとき、レで開けた指を大きく楽器から離してしまうと、ドへ戻るたびに指を探すことになります。穴のすぐ近くで待機させれば、動きはかなり小さくできます。
運指は「指をたくさん動かす技術」というより、「必要な穴だけ確実に開閉する技術」と考えると分かりやすいですよ。
ドレミファソラシドの基本運指
運指表の読み方が分かったら、次は実際にドレミファソラシドを覚えていきます。
初心者は、最低音のラから最高音のファまで一度に覚えようとしなくて大丈夫です。まず基準のドから上のドまで、ハ長調の1オクターブを先に覚える方法が整理しやすいです。
多くの12穴オカリナでは、基準のドからレ、ミ、ファ、ソへ進むにつれ、主に右手側の穴を順に開けていきます。さらにラ、シ、上のドへ進むと、左手側の穴も開いていきます。
この「低い音では穴を多く閉じ、高い音になるほど穴を開ける」という大きな流れを理解しておくと、運指表が単なる記号の羅列ではなくなります。
ドから上のドまでの指使い
基準のドは、主要な指孔を閉じた状態が基本になります。
そこからレでは右手側の穴を一つ開け、ミではさらに開ける、というように進んでいきます。
ファ、ソへ上がるにつれて右手側の開放穴が増え、ラ、シになると左手側の指も動きます。上のドではさらに穴が開きます。
| 音 | 運指を覚えるときの考え方 | 練習時の注意 |
|---|---|---|
| ド | 主要な指孔を閉じた状態を基準にする | 穴の密閉を確認する |
| レ | ドから右手側の穴を1つ開ける感覚 | 開けた指を上げすぎない |
| ミ | レからさらに右手側を開ける | 隣の穴を半分ふさがない |
| ファ | 右手側を順に開いていく途中の音 | ファ♯と混同しない |
| ソ | 右手側の主要な穴がかなり開いた状態 | 楽器の保持を意識する |
| ラ | 左手側の穴も開け始める | 指を大きく離しすぎない |
| シ | さらに左手側を開く | 残った接点で楽器を支える |
| 上のド | 開放する穴が増える | 保持と息のバランスを確認する |
ここで大事なのは、表の説明だけを覚えるのではなく、実際の運指図とセットで確認することです。
「レは右手側を一つ開ける」と言っても、どの穴をどの指で操作するのかは、あなたが使っている運指表を見ながら指へ覚え込ませる必要があります。
おすすめの練習順はシンプルです。
- ド→レ→ミ→ファ→ソ→ラ→シ→上のド
- 上のド→シ→ラ→ソ→ファ→ミ→レ→ド
上昇だけでなく、必ず下降も練習しましょう。
上りは順番に穴を開ければよいため覚えやすいのですが、下りでは「次にどの指を戻すか」が必要になります。曲では上昇と下降の両方が出てくるので、最初からセットで練習しておく方が実用的です。
いきなり1オクターブを止まらず吹けなくても問題ありません。
まずはド・レ・ミの3音だけで、「ドレミ」「ミレド」を繰り返します。
安定したらファとソを加えて「ドレミファソ」「ソファミレド」。さらにラ・シ・上のドを追加します。
3音、5音、8音と段階的に広げれば、間違えたときも原因となる指を見つけやすくなります。
指だけを見続けないことも大切
最初は穴の位置を確認するために手元を見ることがありますが、少し慣れたら運指表を見ながら指を動かし、最終的には手元を見なくても押さえられる状態を目指しましょう。
また、音を切り替えるときは指だけでなくタンギングも合わせます。
「トゥ」と発音するような舌の動きと指の切り替えがずれると、正しい運指でも音と音の間が濁って聞こえることがあります。
まずドとレの2音をゆっくり往復し、指と舌を同時に動かします。できたらレとミ、ミとファというように隣り合う音へ広げてみてください。
低いラ・シと高いレ・ミ・ファ
ドから上のドまで安定したら、12穴オカリナならではの低音と高音へ進みます。
NIGHT公式の案内では、12穴を基本として低いラから高いファまで、♯・♭を含む音域が示されています。一般的な12穴シングルオカリナを理解するときは、この低いラから高いファまでを一つの目安として考えると分かりやすいです。
基準のドより下には低いシと低いラがあります。
この2音では、低音域を拡張するための小さな追加穴を使います。
問題は、この追加穴の位置や操作方法がメーカー間で完全に統一されていないことです。
最低音ラを出す穴を左手側で操作するタイプもあれば、右手側で操作するタイプもあります。そのため、一般的な運指の文章だけを読んで具体的な指配置まで決めることはできません。
低いラ・シが出ないときは、次の順番で確認すると整理しやすいです。
- 自分のオカリナが12穴モデルか確認する
- 付属運指表で低いラ・シの図を見る
- 小さな追加穴をどの指で操作するか確認する
- 大きな指孔と親指穴もすべて密閉できているか確認する
- 必要以上に強く吹いていないか確認する
最低音では穴の密閉がとくに重要です。
大きな指孔が全部ふさがっていても、小さな追加穴が少し開いているだけで、狙った音がうまく鳴らない場合があります。
低音が鳴りにくいと「もっと息を入れれば鳴るかな」と強く吹きたくなりますが、その前に穴のすき間を確認しましょう。
反対に、上のドより高いレ・ミ・ファでは開いている穴が多くなります。
高音域では親指穴の開閉を含む運指になるモデルが一般的で、高いミ・ファ付近はメーカーによる差や替え指も出やすい部分です。
高い音ほど「指を全部離せばいい」というわけではありません。穴は開けても、楽器そのものは安定して保持する必要があります。
開けた指を楽器から遠くへ離すのではなく、穴をふさがない場所へ少し移動させながら本体を支える方法もあります。
このとき、強く握り直すと次の運指へ移りにくくなります。
低いラ・シ、高いミ・ファは汎用表だけで判断しない
メーカー差が出やすい音域は付属運指表を優先してください。ネット上の別メーカー用の図と形が違っていても、自分の楽器の公式な運指が間違っているとは限りません。
ドから上のドまでを「基本の幹」、低音と高音を「あとから伸ばす枝」と考えると覚えやすいでしょう。
オカリナの半音を出す運指
ドレミファソラシドを覚えたら、次にド♯、レ♯、ファ♯、ソ♯、ラ♯などの半音へ進みます。
半音とは、音と音の最小の間隔として扱われるものです。ピアノなら隣り合う鍵盤への移動をイメージすると分かりやすいでしょう。
オカリナでは、自然音のように「穴を順番に一つずつ開ける」だけで、すべての半音を作れるわけではありません。
途中の穴を閉じたまま別の穴を開ける「クロスフィンガリング」と呼ばれる方法が使われることがあります。
そのため、半音へ進んだところで「ドレミまでは簡単だったのに急に運指が飛び飛びになった」と感じても不自然ではありません。
シャープとフラットの指使い
まずは音名の関係を整理しましょう。
- ド♯=レ♭
- レ♯=ミ♭
- ファ♯=ソ♭
- ソ♯=ラ♭
- ラ♯=シ♭
これらは異名同音と呼ばれ、一般的な平均律では同じ高さの音として扱います。
そのため運指表では「ド♯/レ♭」のように2つの音名を並べ、一つの指使いを示していることがあります。
「♯と♭で別々の運指を全部覚えなければならない」と考える必要はありません。
ただし、同じ高さを狙う音でも、楽器によって替え指が掲載されている場合があります。
また、ミからファ、シからドは、もともと半音の間隔です。
初心者向けの基本的な半音階では、次の順番を覚えると分かりやすいです。
半音階の基本的な並び
ド → ド♯/レ♭ → レ → レ♯/ミ♭ → ミ → ファ → ファ♯/ソ♭ → ソ → ソ♯/ラ♭ → ラ → ラ♯/シ♭ → シ → ド
半音は一気に全部覚えるより、自然音と自然音の間に一つずつ追加する方法がおすすめです。
たとえば、ドとレをすでに吹けるなら「ド→ド♯→レ」を練習します。
次は「レ→レ♯→ミ」です。
そのあとに「ファ→ファ♯→ソ」「ソ→ソ♯→ラ」「ラ→ラ♯→シ」と広げます。
この方法なら、半音が「どの自然音とどの自然音の間にあるか」も同時に覚えられます。
半音を練習するときは、指の形だけでなく音程も確認してください。
オカリナは同じ運指でも息の量や速さで音程が変わります。運指表どおりに指を置いたからといって、自動的に狙った高さへ完全に固定される楽器ではありません。
各半音を数秒ずつ伸ばし、チューナーで確認すると、自分の息と音程の関係を把握しやすくなります。
ただし、チューナーの針だけを合わせようとして極端に弱い息や強い息にするのは避けたいところです。
自然に鳴らせる範囲で音程が合うかを確認し、どうしても極端な息になってしまう場合は、運指の取り違えや穴の密閉も見直してみましょう。
「半音だから穴を半分だけ開ける」と考えるのも注意が必要です。
一般的な12穴オカリナでは、決められたクロスフィンガリングを使う半音があります。自己流で穴を半分開けて音程を探すより、まずメーカーの基本運指を覚えた方が安定しやすいです。
替え指はいつ覚えるべきか
オカリナの運指表を見ると、同じ音に2種類以上の指使いが掲載されていることがあります。
これが「替え指」です。
替え指は、単なる予備の運指ではありません。
前後の音とのつながりを滑らかにしたり、速いフレーズで指を動かしやすくしたり、音程や音色を調整したりするために使われることがあります。
たとえば、基本運指では複数の指を同時に大きく動かす必要がある場所でも、替え指を使うことで動きを小さくできる場合があります。
ただ、初心者が最初から基本運指と替え指を同時に大量に覚えると、かえって混乱しやすくなります。
最初は基本運指を一つに固定して覚えるのがおすすめです。
「この音なら迷わずこの指」と身体が反応するようになってから、必要なところだけ替え指を追加すれば十分です。
替え指を追加するタイミングとしては、たとえば次のような場面があります。
- 基本運指では速いフレーズに指が追いつきにくい
- 特定の2音の行き来が難しい
- メーカーの運指表に音程調整用の別運指が示されている
- 曲の流れに合わせて別の指使いを使う方が自然
逆に、まだドレミファソラシドで指を迷う段階なら、替え指を増やすより基本運指を安定させる方が優先です。
運指表に小さな図が併記されている場合は、それが替え指として示されていないか説明を確認してください。
基本運指と替え指の区別が付かないまま、毎回違う指で同じ音を吹くと、運指が定着しにくくなります。
12穴でも運指が違う理由
「穴が12個なら、どのオカリナでも同じ指使いで吹けそう」と思うかもしれません。
実際、基本的な自然音には共通する部分が多くあります。
しかし「穴が12個ある」という情報だけでは、すべての指孔の位置、役割、高音域の設計まで同じとは判断できません。
とくに低音域を広げる追加穴は、メーカーやモデルによって配置方法が異なります。
半音も、楽器の設計によって基本運指や替え指が違う場合があります。
さらに高いミ・ファ付近では親指穴を含む操作が関係し、違いが表れやすくなります。
メーカーごとの違いと確認方法
日本で見かける12穴オカリナには、NIGHT、アケタ、ティアーモ、オオサワなど、さまざまなメーカーやブランドがあります。
これらはすべて「オカリナ」という同じ種類の楽器ですが、細かな穴配置や指定運指まで完全に共通しているわけではありません。
NIGHT系と共通性のある配置を持つ楽器がある一方で、アケタのように追加穴の位置が異なるモデルもあります。
同じメーカーでもシリーズや特別なモデルによって違いが生じる場合があるため、「このメーカーなら必ずこの運指」とブランド名だけで決めるのも避けた方が安全です。
運指表を探すときは、次の優先順位を意識してください。
| 優先順位 | 確認する資料 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 使用中の楽器に付属した運指表 | そのモデルに直接対応している |
| 2 | メーカーが現在公開している公式運指表 | メーカー仕様を確認できる |
| 3 | メーカー別に整理された専門資料 | 違いを比較するときの補助になる |
| 4 | メーカー不明の一般的な運指表 | 基本構造の理解には使えるが完全互換とは限らない |
ネット上にある一般的な運指表を使ってはいけない、という意味ではありません。
ドから上のドまでの考え方や、運指図の読み方を理解するには便利です。
ただし「この図が自分の楽器にもそのまま当てはまる」と決めつけず、対象モデルを確認することが重要です。
とくに次の部分ではモデル差を意識してください。
- 最低音ラ用の追加穴の位置
- 低いシの追加穴操作
- ド♯やファ♯など一部の半音
- 高いミ・ファ付近の運指
- 替え指
自分の楽器のメーカー名やモデル名が分かるなら、運指表と照合しやすくなります。
中古品や譲り受けた楽器などで詳細が分からない場合も、少なくとも穴数や調を確認してから運指を探す方が混乱を減らせます。
10穴・11穴との違いに注意
オカリナは12穴だけではありません。
11穴、10穴、さらにダブルやトリプルなど複数の管を持つタイプもあります。
これらは見た目が似ていても、音域や運指の考え方が異なります。
12穴オカリナでは、低音用の追加穴によって低いラ・シまで音域を広げたモデルが一般的です。
11穴では最低音がシまでの製品などがあり、12穴用運指表にある最低音ラの指使いをそのまま使えない場合があります。
10穴オカリナには伝統的なイタリア式などがあり、日本で一般的な12穴タイプとは音域や高音運指などが異なる製品があります。
複数管のダブル、トリプルでは、一つの管だけで全音域を出すのではなく、複数の管を切り替えながら音域を拡張します。そのため、シングル12穴用の運指表だけでは対応できません。
| 種類 | 特徴として確認したい点 | 12穴用運指表との関係 |
|---|---|---|
| 12穴 | 低いラ・シまで拡張したモデルが多い | モデル差を確認して使用 |
| 11穴 | 最低音がシまでの製品などがある | 最低音ラなどはそのまま使えない場合がある |
| 10穴 | 指孔構成・音域・高音運指が異なる製品がある | 専用運指表を確認 |
| ダブル・トリプル | 複数の管を切り替えて音域を拡張する | 各管に対応した専用運指が必要 |
初心者向けの記事や動画を参考にするときは、「オカリナ用」という言葉だけでなく「12穴シングル」「アルトC」など、対象となる楽器を確認すると分かりやすくなります。
また、C管・F管・G管など調の違いにも注意してください。
同系統の楽器では、同じ形の運指を使っても実際に鳴る音の高さが異なることがあります。
アルトCでは、C管として扱う場合、基準となるドの運指でCの音が鳴ります。
F管やG管の動画を見ながら「同じ運指なのに高さが違う」と感じたら、運指ミスではなく楽器の調が違う可能性もあります。
運指の「形」と実際に鳴っている「実音」を分けて考えることが大切です。
運指どおりでも音が合わない原因
運指表と同じ指使いなのに、音が低い、高い、かすれる、別の音のように聞こえることがあります。
こんなとき、運指だけを何度も見直しても原因が見つからないことがあります。
オカリナは、指孔の開閉だけで音程が完全に固定される楽器ではないからです。
穴の密閉状態、息の量や速さ、姿勢、楽器の角度なども音程や音色へ影響します。
穴の密閉と息の強さを確認
まず確認したいのは、必要な穴が完全にふさがっているかです。
低い音ほど多くの穴を閉じるため、一つでもすき間があると影響を受けやすくなります。
次のような状態がないか確認してください。
- 指の腹ではなく指先だけで押さえている
- 爪が穴の端にかかっている
- 指孔の中心と指の中心がずれている
- 右手薬指や小指の穴にすき間がある
- 親指穴を完全にふさげていない
- 低音用の追加穴が少し開いている
とくに低いラやシが鳴らないときは、息を強くする前に追加穴の状態を確認してください。
次に確認するのが息です。
一般に、息が強すぎると音程が高くなりやすく、弱すぎると低くなりやすい傾向があります。
ただし、必要な息圧はメーカーやモデルによって異なります。
「このくらいの強さなら全オカリナ共通」という一つの数値や感覚へ決めることはできません。
正しい音程には運指だけでなく息のコントロールも必要です。
チューナーを使うときは、いきなり全部の音をチェックする必要はありません。
まずド、ソ、上のドなど、すでに押さえ方を覚えた自然音を数秒伸ばしてみましょう。
チューナーの表示が高い側へ大きく動く場合は、息が強すぎないか確認します。
低い側へ動く場合は、息不足だけでなく、指孔が完全に閉じているかも見直してください。
「低いから息を強くする」「高いから弱くする」と単純に調整するだけではなく、まず運指と密閉が正しいことを確認したうえで息を整えるのがポイントです。
指使いが合っているのに音が変なときの確認順
- 使っているメーカー・モデルと運指表が一致しているか
- 必要な穴をすべて完全にふさいでいるか
- 親指穴にすき間がないか
- 低音用の小穴を正しく操作しているか
- 息が強すぎたり弱すぎたりしないか
- 楽器の角度やくわえ方が極端になっていないか
- チューナーで実際の音程を確認する
- メーカー表に別の運指や替え指が掲載されていないか
高音がかすれる場合も、単純に「もっと強く吹けばよい」とは限りません。
高い音では開いている穴が多いため、別の指が穴へ触れていないか、親指穴の操作が合っているかを確認します。
楽器の角度が大きく変わっていないかも見てください。
息の量が必要な設計でも、適正範囲を超えて強く吹けば音が割れたり音程が上がりすぎたりすることがあります。
低音と高音では「必要な指の確認ポイント」が違うと考えると整理しやすいです。
| 症状 | 先に確認したいこと |
|---|---|
| 低いラ・シが出にくい | 追加穴、大きな指孔、親指穴の密閉 |
| 音程が全体的に高い | 息が強すぎないか |
| 音程が低い | 息不足と指孔のすき間 |
| 高音がかすれる | 高音運指、親指穴、息、楽器の角度 |
| 半音だけ不安定 | 半音運指と息のバランス |
運指・密閉・息・保持の4つを分けて確認すると、「何が原因なのか分からない」という状態から抜け出しやすくなります。
それでも自分では原因を切り分けにくい場合は、オカリナを習えるEYS音楽教室のような個人レッスンで、実際の運指や息の使い方を見てもらう方法もあります。
初心者向けの運指練習手順
運指を覚えるときに最も避けたいのは、一度に全音域と半音と替え指を全部暗記しようとすることです。
情報が多すぎると、一つの音で迷ったときに何を直せばよいのか分からなくなります。
初心者は段階を分けて練習しましょう。
| 段階 | 練習内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 第1段階 | ド・レ・ミ | 3音を迷わず切り替える |
| 第2段階 | ファ・ソを追加 | ドレミファソを上昇・下降する |
| 第3段階 | ラ・シ・上のドを追加 | 1オクターブを往復する |
| 第4段階 | 低いシ・低いラ | 追加穴の操作を覚える |
| 第5段階 | 高いレ・ミ・ファ | 保持しながら高音運指を行う |
| 第6段階 | ド♯・レ♯・ファ♯・ソ♯・ラ♯ | 半音を一音ずつ追加する |
| 第7段階 | 全音域の半音階 | ゆっくり上昇・下降する |
第1段階では、ド・レ・ミの3音だけを使います。
それぞれ4拍程度伸ばし、穴が完全に閉じているか、音が急に揺れていないかを確認します。
次に「ドレドレ」「レミレミ」のような2音往復を行います。
2音なら、間違えたときにどちらの運指で問題が起きているか分かりやすいですよ。
第2段階ではファとソを加えます。
「ドレミファソ」と「ソファミレド」を繰り返し、上昇と下降を同じくらい練習します。
第3段階ではラ・シ・上のドを追加して1オクターブを完成させます。
ここまで来たら、次のようなパターンも役立ちます。
- ドレミレド
- ドミソミド
- ドレミファソ
- ソファミレド
- ドレミファソラシド
- ドシラソファミレド
単に上から下まで吹くだけでなく、少し離れた音へ移動すると、指の位置をより確実に覚えられます。
第4段階で低いシ・ラへ進みます。
追加穴は通常のドレミとは操作感が違うことがあるので、低音だけを単独で練習する時間を作るとよいでしょう。
第5段階では高いレ・ミ・ファを加えます。
ここでは運指だけでなく、指が減っても楽器を安定させられるかがポイントです。
第6段階から半音です。
「ド→ド♯→レ」「レ→レ♯→ミ」「ファ→ファ♯→ソ」というように、自然音の間へ一つずつ入れます。
半音は各音を数秒伸ばし、必要ならチューナーで音程を確認します。
最後に全音域の半音階へ進みます。
この段階でも、速さを優先する必要はありません。指が正しく動き、音程を確認できる速さで上昇・下降します。
テンポを上げるのは、迷わなくなってからで十分です。
また、指とタンギングを同時に切り替えることも忘れないでください。
指だけ先に変わると、瞬間的に別の音が混ざることがあります。
ゆっくりした2音練習なら、どこでタイミングがずれているのか見つけやすくなります。
こうした練習を続けても同じ運指や音程で繰り返し迷う場合は、オカリナの個人レッスンについて確認すると、実際の音を聞いてもらいながら練習できます。
オカリナ運指のよくある質問
ここでは、12穴オカリナのドレミや指使いについて、初心者が疑問に感じやすいポイントをまとめます。
Q1. オカリナのドは全部の穴を閉じれば出ますか?
A. 一般的な12穴オカリナでは、基準となるドは主要な指孔を閉じた状態が基本です。ただし、低音拡張用の小穴を含めた具体的な状態はモデルによって確認が必要です。
「全部の穴」という言葉だけで判断せず、使っているオカリナの運指表でドの図を確認してください。ドが鳴りにくい場合は、右手の薬指・小指や親指穴にすき間がないかも確認しましょう。
Q2. ドレミは穴を1つずつ開けるだけですか?
A. 基本的な自然音では、低い音から高い音へ進むにつれて穴を順番に開けていく考え方が中心です。
ただし、最低音のラ・シ、半音、高いミ・ファなどは単純に一つずつ開けるだけでは表せません。最初はドから上のドまでの流れを覚え、その後に特殊な運指を追加すると整理しやすいです。
Q3. ♯と♭では別の指使いになりますか?
A. ド♯とレ♭、レ♯とミ♭などは異名同音で、一般的な平均律では同じ高さとして扱います。そのため、同じ運指として掲載されていることが多いです。
ただし、楽器によっては音程調整や前後の運指とのつながりを考えた替え指が用意されている場合があります。初心者はまずメーカーが示す基本運指を覚えましょう。
Q4. 12穴ならどのオカリナも同じ運指ですか?
A. 完全には同じではありません。
自然音には共通する部分が多い一方で、低音用追加穴の位置、一部の半音、高音のミ・ファなどでメーカーやモデルによる違いがあります。
そのため「12穴用」とだけ書かれた運指表より、使用している楽器に付属した表を優先してください。
Q5. 半音は穴を半分だけ開ければ出せますか?
A. 一般的な12穴オカリナでは、半音に決められたクロスフィンガリングを使うことがあります。
自己流で穴を半分開けて音程を探すより、まずその楽器のメーカーが示している基本運指を確認してください。半音は息によっても音程が変化するため、指使いと息の両方を確認することが大切です。
Q6. 低いラが出ないときはどうすればいいですか?
A. まず使用中のオカリナが低いラまで出せる12穴モデルか確認しましょう。
次に、低音用追加穴を正しくふさいでいるか、主要な指孔や親指穴にもすき間がないかを確認します。最低音用の穴位置はメーカーによって違うため、別メーカーの運指表ではなく付属表を使うことが重要です。
穴が正しく閉じているのに安定しない場合は、必要以上に強く吹いていないかも確認してみてください。
Q7. 高い音がかすれる原因は何ですか?
A. 高音の運指、親指穴の開閉、別の指が穴へ触れていないかを確認しましょう。
高音は開いている穴が増えるため、楽器の保持が不安定になりやすくなります。指を全部遠くへ離してしまうと、本体の角度まで変わる場合があります。
息も重要ですが、「高音だから強く吹けばよい」と決めつけず、その楽器に合う息量を探してください。
Q8. 運指は合っているのに音程が高いのはなぜですか?
A. 息が強すぎる可能性があります。
オカリナは同じ運指でも息の量や速さによって音程が変わります。まず穴が完全に密閉されているかを確認し、そのあとチューナーを使って息と音程の関係を確認してみてください。
Q9. 初心者でも替え指を覚えるべきですか?
A. 最初は基本運指を優先する方が整理しやすいです。
基本運指でドレミや簡単な曲を迷わず吹けるようになり、特定の音のつながりが難しいと感じた段階で替え指を追加すると、使う目的も理解しやすくなります。
Q10. アルトC以外でも同じ運指表を使えますか?
A. 同シリーズの移調管では似た運指形を採用している場合がありますが、実際に鳴る音の高さは異なることがあります。
また、メーカーやモデルによる運指差もあるため、アルトC用の表をすべてのF管・G管などへ無条件に当てはめるのは避けましょう。その楽器専用の資料を確認してください。
Q11. 10穴オカリナに12穴用運指表を使えますか?
A. そのまま使うことはできません。
穴数、音域、追加穴の有無、高音部の運指などが異なるため、10穴オカリナにはその楽器に対応した運指表が必要です。
まとめ
オカリナの運指は、最初に見ると黒丸・白丸が並んでいて難しそうに感じるかもしれません。
しかし、12穴アルトC管の基本的な考え方はシンプルです。
まずドから上のドまでの1オクターブを覚え、低い音から高い音へ進むにつれて穴を開けていく流れを身体で覚えます。
そのあとで低いシ・ラ、高いレ・ミ・ファを追加し、最後にド♯やファ♯などの半音を一つずつ加えていけば、いきなり全運指を暗記するより整理しやすくなります。
- 運指表は●が閉じる、○が開けるという形式が一般的
- 前面だけでなく背面の親指穴も確認する
- 穴は指先ではなく指の腹で完全に密閉する
- まずドから上のドまでを覚える
- 低いラ・シ、高いミ・ファはメーカー差に注意する
- 半音はメーカー指定の運指を確認する
- 替え指は基本運指が定着してから必要に応じて追加する
- 運指が合っていても息によって音程が変わる
そして、運指を調べるときの一番大切な基準は、自分のオカリナに付属する運指表を最優先することです。
「12穴だから全部同じ」と考えず、低音用追加穴、半音、高音部についてはメーカーやモデルを確認してください。
運指どおりなのに音が変なら、指使いだけを疑う必要はありません。
穴の密閉、親指穴、追加穴、息の量や速さ、楽器の保持と角度を順番に確認すれば、原因を切り分けやすくなります。
最初は3音だけでも構いません。ド・レ・ミを迷わず切り替えられるようになったらファ・ソを追加し、少しずつ使える音を広げていきましょう。
基本運指が自然に動くようになるほど、楽譜を見ながら演奏するときに指使いへ取られる意識が減り、タンギングや音程にも注意を向けやすくなります。
焦って複数の運指表を覚えるより、一つの楽器、一つの基本運指から。そこから必要な音域や替え指へ広げていく方が、初心者には分かりやすいですよ。

