ピアノ初心者向け練習曲|基礎が身につくおすすめ曲を紹介

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ピアノを始めたばかりのときは、「最初にどんな曲を練習すればいいの?」「有名な曲から始めても大丈夫?」「バイエルやハノンって必要?」と迷いやすいですよね。

検索してみると「初心者向け」「初級」「かんたん」と書かれた楽譜がたくさん見つかります。ただ、ここで注意したいのが、初心者向けと完全な初日向けは同じではないということです。

ピアノを始めたその日で、まだ鍵盤の位置や指番号を確認している人と、右手なら楽譜を追いながら弾ける人、簡単な両手奏までできる人では、適した練習曲が違います。

そのため、ピアノ初心者の練習曲選びでは、単に「有名だから」「簡単と書いてあるから」で決めるのではなく、今の手・目・耳で無理なく処理できるかを見ることが大切です。

難しい原曲にいきなり挑戦するより、片手から両手へ少しずつ進める曲を選んだほうが、読譜、リズム、指使いといった基礎を身につけながら「1曲弾けた」という達成感も得やすくなりますよ。

この記事では、ピアノ入門者が取り組みやすい定番曲から、バイエル、バーナム、ハノン、ブルクミュラーなどの教材の位置づけ、独学で挫折しにくい練習の進め方まで順番に紹介します。

この記事で分かること

  • ピアノ初心者が最初に選びやすい練習曲の条件
  • 片手から両手へ進みやすい定番曲
  • バイエルやバーナム、ハノン、ブルクミュラーの使い分け
  • 子どもと大人での曲・教材の選び分け
  • 有名曲を初心者が無理なく楽しむ方法
  • 独学で挫折しにくい練習と楽譜選びの考え方

ピアノ初心者の練習曲は段階で選ぶ

ピアノ初心者にとって大切なのは、「初心者向け」と書かれている曲を片っ端から弾くことではありません。

初心者といっても段階があります。鍵盤に初めて触れる人、まんなかのドを覚えた人、片手なら簡単なメロディを弾ける人、左右を少しずつ合わせられる人では、ちょうどよい難しさが違います。

最初の練習曲としておすすめしやすいのは、今できることより少しだけ先にある曲です。

簡単すぎる曲ばかりでは新しい技術を身につけにくくなりますが、難しすぎる曲では譜読みだけで疲れてしまいます。「少し練習すれば最後まで到達できそう」という距離感を意識すると、練習を続けやすくなりますよ。

段階 目安 向く曲・教材 身につけたい基礎
まったく初めて 鍵盤位置・指番号を覚える段階 かえるの合唱、チューリップ、メリーさんのひつじ、ぶんぶんぶんなど 指番号、まんなかのド、4分音符、片手練習
片手に慣れた頃 右手メロディを読める段階 きらきら星、喜びの歌の簡単版、ロンドン橋など 音の上下、フレーズ、一定の拍
両手入門 左手が単音・長い音で入る段階 きらきら星の両手簡単版、ジングルベル入門版など 両手のタイミング、左手の支え、拍感
初級前半 右手メロディ+左手伴奏へ進む段階 バイエル、バーナム、簡単な小品など レガート、スタッカート、簡単な伴奏
初級後半 1曲として仕上げる段階 ブルクミュラーの一部、はじめてのギロックなど 表現、曲想、左右の役割
基礎固め 指の独立も意識する段階 ハノンの一部、バーナムなど 指の独立、均一なタッチ

このように、曲の知名度よりも「自分が今どの段階にいるか」で選ぶと、練習曲を選びやすくなります。

最初の1曲に向く練習曲の条件

まったく初めての段階では、音数が少なく、手の移動も少ない曲から始めると取り組みやすいです。

最初から広い鍵盤を使う必要はありません。まずはまんなかのド周辺や、5本の指を大きく動かさずに弾ける範囲から始めると、楽譜と鍵盤の関係を整理しやすくなります。

最初の練習曲で確認したいポイント

  • まんなかのド周辺や5指の範囲で弾ける
  • 4分音符、2分音符、全音符など単純なリズムが中心
  • 手の位置を頻繁に動かさなくてよい
  • 片手ずつ練習できる
  • ゆっくり弾いても曲として成り立つ
  • 最初は8〜16小節程度など、短く区切りやすい
  • 指番号や練習ポイントが分かりやすい

調については、最初はハ長調のように調号が少ない曲が理解しやすいです。慣れてきたらト長調やヘ長調などへ広げていくと、黒鍵を使う感覚や調性にも少しずつ慣れていけます。

リズムも同じです。最初から複雑なリズムに挑戦するより、4分音符、2分音符、全音符など、音の長さが分かりやすい曲から始めます。その後で8分音符などを含む曲へ進むと、混乱しにくいですよ。

独学の場合は、指番号や運指が記載されている楽譜も助けになります。どの指を使えばよいか迷いにくいため、鍵盤を探すことと指使いを同時に整理しやすいからです。

ドレミのふりがなが付いた楽譜も、最初の補助としては便利です。ただし、ずっとドレミの文字だけを追っていると、五線譜のどの位置がどの音なのかを覚えにくくなります。

そのため、ふりがな付きの楽譜を使う場合でも、「これはドだから弾く」というだけでなく、「この位置にある音符がドなんだ」と少しずつ結びつけていくのがおすすめです。

また、最初の曲は長さも重要です。1曲が長いと、前半を練習しているうちに後半へ進めず、いつまでも完成しない感覚になりやすいものです。

短い曲を最後まで仕上げる経験を何度か積むことで、譜読みから仕上げまでの流れが見えやすくなります。「1曲終わった」という達成感も、次の練習を続ける力になりますよ。

初心者が避けたい難しい要素

有名で耳になじみのある曲でも、原曲の譜面が初心者向けとは限りません。

聞いていると簡単そうに感じても、実際に弾こうとすると難しいケースは珍しくありません。ピアノ曲では、メロディの親しみやすさと演奏難易度が必ずしも一致しないからです。

特に、次のような要素が一度に多く出てくる曲は、ピアノ入門直後には負担が大きくなります。

  • 速いテンポ
  • 広い音域への跳躍
  • 連続する和音
  • 黒鍵が多い調
  • 左右で異なる細かいリズム
  • 半音階や装飾音
  • 複雑なペダル操作
  • 左右の手が頻繁に違う位置へ動く

たとえば右手のメロディが簡単でも、左手が大きく跳躍する伴奏になっていれば、両手にした瞬間に難易度が上がります。

初心者のうちは、右手だけを見て「弾けそう」と判断せず、左手の動きも確認してください。

「有名だから簡単」とは限りません。初心者向けとして知られる曲でも、原曲と入門アレンジでは難易度が大きく違うことがあります。

また、「初級」と書かれている楽譜にも注意が必要です。初級は、必ずしもピアノを始めた初日を意味しません。

簡単な両手奏ができること、8分音符を読めること、基本的な和音を押さえられることなどを前提としている場合があります。

難易度表記だけで判断せず、実際の楽譜を見て、音数、手の移動、左手伴奏、リズムなどを確認しましょう。

最初から完成形にこだわるより、簡単な編曲で曲全体を弾き切り、読譜や両手奏に慣れてから難しい版へ進むほうが現実的です。

「簡単なアレンジでは物足りないかな」と感じることもあるかもしれませんが、簡単な版を仕上げることにも意味があります。曲のメロディや構成を先に覚えられるので、後から難しい版へ進むときの助けにもなりますよ。

最初に取り組みやすい定番曲

ピアノの最初の練習では、すでにメロディを知っている曲が役立ちます。

知っている曲なら、音を間違えたときに耳で気づきやすく、譜読みだけに意識を取られにくいからです。

童謡やよく知られたメロディでも、片手版、両手入門版、簡単な伴奏付きなど、複数の難易度があります。最初は簡単な形から始めるのがおすすめです。

大切なのは「子どもの曲だから簡単」「童謡だから簡単」と決めつけないこと。編曲によって難しさは変わります。

片手から始めやすい曲

完全な初心者なら、まず右手だけでメロディを弾き、鍵盤位置と指番号に慣れていく方法が取り組みやすいです。

最初から左右を同時に動かそうとすると、「右手は分かるけれど左手を見たら止まる」「左手を考えていたら右手が分からなくなる」ということが起こりやすくなります。

これは珍しいことではありません。左右それぞれの動きを別々に理解してから合わせるほうが、頭の中を整理しやすいですよ。

曲名 取り組みやすい理由 注意点
かえるの合唱 順番に隣の音へ進む動きが多く、音の上下を理解しやすい 輪唱のイメージで速くしすぎず、一定の拍を保つ
チューリップ メロディが短く、歌いながら音を確認しやすい 伴奏を付けるなら、最初は左手単音など簡単な形から始める
メリーさんのひつじ 音域が狭く、鍵盤位置を覚えやすい 同じ音が続く場所を雑に弾かない
ぶんぶんぶん リズムが分かりやすく、短い単位で練習しやすい 速度を優先せず、拍を安定させる
きらきら星 有名なメロディで、片手から両手へ段階を作りやすい モーツァルトの変奏曲原曲とは難易度がまったく異なる

「かえるの合唱」は、音が隣へ順番に動く部分が多いため、鍵盤上で音が上がる・下がる感覚をつかみやすい曲です。

「チューリップ」や「メリーさんのひつじ」も、メロディを知っている人が多く、耳で確認しながら練習しやすいですね。

「ぶんぶんぶん」は速く弾きたくなるかもしれませんが、初心者の練習では速さよりも一定のテンポを守ることを優先しましょう。

「きらきら星」は片手練習から両手の簡単なアレンジまで段階を作りやすい曲です。ただし、童謡として弾く「きらきら星」と、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」の原曲は同じ難易度ではありません。

最初の段階では、曲数を増やすことよりも、音符を見る→鍵盤を探す→指を動かす→音を聞くという流れに慣れることが大切です。

片手で1曲弾けるようになったら、すぐ次の難曲へ進む必要はありません。同じくらいの難易度の短い曲をいくつか弾いて、読譜や指使いを安定させる方法もあります。

短い曲を複数仕上げると、同じ音やリズムが別の曲にも出てくることに気づけるようになります。こうした積み重ねが、譜読みのスピードにもつながっていきます。

童謡以外から選びたい場合は、サイト内の初心者でも取り組みやすいピアノ曲の選び方も参考になります。曲名だけでなく、初心者向けアレンジがあるかどうかまで確認して選ぶとよいでしょう。

両手練習へ進みやすい曲

右手のメロディに慣れてきたら、左手に長い音や単音を加えた簡単な両手アレンジへ進みます。

いきなり左手で複雑な和音伴奏を弾く必要はありません。最初は1小節に1音だけ、あるいは長く伸ばす音だけでも十分です。

「きらきら星」の簡単な両手版、「ジングルベル」の入門版、「ロンドン橋」などは、編曲次第で片手から両手へ段階を作りやすい曲です。

「喜びの歌」や「聖者の行進」も、音数の少ない簡単な編曲なら初歩の練習に使いやすいでしょう。

「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」は実用的で、人前で弾く目標にもなりやすい曲ですが、3拍子や付点を含むリズムが難しく感じる場合があります。最初から無理に選ばなくても大丈夫です。

両手練習では、いきなり最初から最後まで合わせる必要はありません。右手だけ、左手だけを確認したあと、1〜2小節ずつ合わせていくと整理しやすくなります。

たとえば4小節のフレーズなら、まず1小節目だけを両手で合わせます。できたら2小節目、次に1〜2小節を続けて弾く、という進め方です。

一部分だけなら弾けるのに、最初から通すと途中で止まる場合は、つなぎ目を練習します。1小節目から2小節目へ移る瞬間、2小節目から3小節目へ移る瞬間など、境目を意識して練習すると効果的です。

左手を入れた途端に止まるのは珍しいことではありません。左右で別の動きをすること自体が新しい課題だからです。

「両手ができない=才能がない」と考える必要はありません。片手ずつ分解し、動きを理解してから少しずつ組み合わせていきましょう。自分では左右の合わせ方や指使いの原因を判断しにくい場合は、ピアノレッスンで実際の弾き方を見てもらう方法もあります。

なお、両手奏に入ると「右手はメロディ、左手は伴奏」という役割も意識し始めます。最初は左右を合わせるだけで精いっぱいでも構いません。慣れてきたら、右手のメロディが聞こえるように音量のバランスも少し意識してみてください。

初心者向け教本と曲集の選び方

ピアノの練習では、好きな曲だけを弾く方法もありますが、読譜、リズム、指使いなどを順番に学ぶには、教本や練習曲集も便利です。

ただし、教材ごとに目的は違います。

曲を楽しむ教材と、指の動きを鍛える教材を同じものとして考えないことがポイントです。

教材 主な目的 曲としての楽しさ 技術練習 最初の1冊としての考え方
バイエル 読譜・基礎を順序立てて学ぶ 導入教材として使いやすい
バーナム 指や体の動きを短い課題で練習 簡単な読譜を覚えた後に使いやすい
ハノン 指の独立・均一性 単独の最初の1冊にはしにくい
ブルクミュラー25 曲の中で表現と技術を学ぶ 中〜高 初級後半の目標にしやすい
はじめてのギロック 短い小品で表現を学ぶ 導入後の併用曲集として使いやすい
ぴあのどりーむ 子どもの導入・読譜 中〜高 子どもの導入教材として候補になる

どれか1冊が絶対に正解というわけではありません。

基礎を順番に進めたい人、短い課題をたくさんこなしたい人、曲らしい曲を弾きながら学びたい人では、向く教材が違います。

また、1冊だけで全てを補おうとしなくても大丈夫です。基礎教材と好きな曲を並行したり、指の練習と短い小品を組み合わせたりすると、練習に変化を付けられます。

バイエルとバーナムの特徴

バイエルは、ピアノ導入の教本として長く使われてきた教材です。

読譜、拍、左右の使い方などを段階的に学んでいきやすく、基礎を順番に整理したい人の候補になります。

「何から勉強すればいいか分からない」という初心者にとって、進む順番がある教材は助けになります。

一方で、練習課題を進めること自体が目的になると、「曲を弾いている感じがしない」「好きな音楽と違う」と感じる人もいるかもしれません。

その場合は、童謡や好きな曲の入門アレンジなどを併用すると変化を付けやすくなります。

つまり、バイエルだけを毎日進めなければいけないという考え方ではなく、基礎を整理するための軸として使いながら、楽しめる曲も組み合わせる方法があります。

バーナムのピアノテクニックは、短い課題を通して指や体の動きを練習する教材です。

「歩こう」「走ろう」「スキップ」といった身体感覚に近いイメージを利用した題材があり、短い単位で取り組みやすいのが特徴です。

長い曲を最初から最後まで仕上げるのとは違い、ひとつの動きに集中しやすいため、「今日はこれだけ」と区切って練習したい人にも使いやすいでしょう。

ただし、完全な初日から必ず必要というわけではありません。まんなかのド周辺、指番号、基本的なリズムなどを少し覚えてから取り入れるほうが理解しやすい場合があります。

使い分けの考え方

読譜や基礎を順序立てて進めたいならバイエル、短い単位で指や体の動きを練習したいならバーナム、と目的を分けると選びやすくなります。

両方を使う場合も、毎回すべてを長時間やる必要はありません。たとえば短いテクニック練習をした後に、教本や好きな曲へ進む流れでも構いません。

初心者にとって一番避けたいのは、教材を増やしすぎて、どれも中途半端になることです。

メインにする教材をひとつ決め、必要に応じて補助教材や好きな曲を加えるくらいが分かりやすいですよ。

ハノンとブルクミュラーの位置づけ

ハノンとブルクミュラーはどちらもピアノ学習でよく知られていますが、役割はかなり違います。

全音楽譜出版社の「全訳ハノンピアノ教本」は、バイエル後半頃から併用する教材として案内されており、指の独立性や均一性を磨く目的が示されています。

「曲を1曲仕上げる」というより、同じような音型を繰り返しながら、指をそれぞれ動かす感覚や、音の粒をそろえることを意識する基礎トレーニングに近い位置づけです。

そのため、まったく初めての人がハノンだけを長時間続ける必要はありません。

鍵盤位置や指番号に慣れ、片手や簡単な両手奏ができるようになってから、短時間の基礎練習として取り入れる方法があります。

速く弾くことを目的にすると、手首や腕に力が入りやすくなります。無理のないテンポで、粒をそろえることを優先してください。

ハノンを使うときは、速さだけを追わないようにしましょう。手や腕に痛みが出る弾き方は避け、力みを感じるならテンポや練習量を下げてください。

一方、全音楽譜出版社の「ブルクミュラー:25の練習曲」は、バイエルを終えた学習者向けの練習曲として紹介されています。

「すなおな心」「アラベスク」「牧歌」など、曲名があり、音楽としてのイメージを持ちながら取り組めます。

ただし、導入直後の最初の教材というより、両手奏や基礎的な読譜に慣れてからの目標と考えたほうが安全です。

特に「アラベスク」はよく知られていますが、テンポや左右のタイミングなどで難しく感じることがあります。

ブルクミュラーは初心者向け」と紹介されることがあっても、それは「ピアノ初日の人向け」という意味ではありません。

簡単な両手奏、基本的なリズム、ある程度の読譜ができるようになってから取り組むことで、曲想やアーティキュレーションにも意識を向けやすくなります。

ハノンとブルクミュラーの違い

  • ハノン:指を動かす基礎トレーニングとして使う
  • ブルクミュラー:曲の中で技術と表現を学ぶ

どちらも役割が違うため、「どちらが優れているか」で選ぶものではありません。

曲を楽しみながら表現を学びたいのか、指の基礎運動を補いたいのかで使い分けましょう。

基礎練習の組み立て方をさらに整理したい人は、サイト内のピアノ初心者向けの練習法も参考にしてください。片手練習や小節ごとの分割など、本記事の練習曲を進めるときにも使える考え方があります。

子どもと大人で教材を選び分ける

同じピアノ初心者でも、子どもと大人では続けやすい教材が違うことがあります。

子どもの場合は、歌える曲、知っている曲、短い曲、イラストや歌詞がある教材などが取り組みやすいです。

学研の「ぴあのどりーむ テキスト1」は、初めてピアノを習う子ども向けの導入教材として案内されています。童謡の簡単なアレンジや短いバーナムの課題などと合わせて候補を考えるとよいでしょう。

最初から難しい姿勢や技術の説明ばかりにするより、まず鍵盤から音が出る楽しさや、拍に合わせて弾く感覚を持てることが大切な段階もあります。

ただし、手首や腕に強い力が入り、痛みにつながるような弾き方はそのままにしないほうがよいでしょう。

一方、大人の初心者は、弾きたい音楽の好みがはっきりしている場合が多いです。

そのため、童謡だけでは「自分がやりたかったピアノと違う」と感じることもあります。

基礎確認には童謡や教本を使いながら、クラシックの短い小品、映画音楽、J-POPなどの入門アレンジを並行すると、練習を続ける目的を持ちやすくなります。

大人の場合、「早く原曲を弾きたい」と感じることもあるでしょう。

ただ、最初から原曲にこだわると、譜読みだけで時間がかかり、曲として仕上がる前に疲れてしまうことがあります。

一度入門アレンジを完成させてから、初級版、より原曲に近い版へ進む流れでも問題ありません。

大人が練習を続けたときの進み方を考えたい場合は、サイト内の大人のピアノは一年でどのくらい上達するのかを扱った記事も参考になります。ただし、上達の速さには個人差があるため、自分のペースで進めることが大切です。

はじめてのギロック」のような短い小品集も、簡単な読譜や両手奏に慣れ始めた段階から選択肢になります。

短い曲の中で、メロディの雰囲気や曲想、タッチの変化などを感じやすく、基礎練習だけでは飽きやすい人にも使いやすいでしょう。

教材には相性があります。子ども向け教材を大人が使ってはいけないわけではありませんし、大人が好む曲を子どもが選んでも問題ありません。年齢だけではなく、譜面の難しさ、本人の好み、今の段階で選びましょう。

また、「子どもだから簡単な曲」「大人だから有名曲」と機械的に分ける必要もありません。

子どもでもクラシックが好きな場合がありますし、大人でも童謡のシンプルなメロディで基礎を確認したほうが理解しやすいことがあります。

続けやすさと学びやすさの両方を考えて選ぶのがおすすめです。

有名曲は初心者用アレンジから始める

「せっかくピアノを始めるなら、憧れの曲を弾きたい」という気持ちは、練習を続ける大きな動機になります。

好きな曲があるからピアノを始めた、という人も多いでしょう。

ただし、原曲にこだわる必要はありません。同じ曲でも、入門、初級、初中級など複数のアレンジが用意されていることがあります。

まず簡単なアレンジを1曲完成させ、それから原曲に近い譜面へ進む方法でも、十分に目標へ近づけます。

入門アレンジでは、原曲より音数が少なくなっていたり、左手伴奏が簡単になっていたり、手の移動を減らしている場合があります。

原曲とまったく同じ響きにならないこともありますが、初心者が曲全体をつかみ、両手奏に慣れるためには大きな助けになります。

初心者での考え方 注意点
エリーゼのために 入門・初級アレンジから始める 原曲は半音階、細かい音型、跳躍などがある
きらきら星 童謡版は入門向き モーツァルトの変奏曲原曲とは難易度が大きく違う
カノン 簡単アレンジなら取り組みやすい 原曲風の分散和音は手の移動が増えやすい
Summer 入門〜初級アレンジから始める 原曲風の響きを保つ編曲では和音やペダルが難しくなる場合がある
戦場のメリークリスマス 初級アレンジから段階的に進める 音域移動やペダルなどが難しくなる場合がある
J-POPなど速い曲 超初級・初級アレンジから始める 原曲テンポや細かなリズムを再現すると難易度が上がる

好きな曲を選ぶこと自体は悪くありません。重要なのは「その曲のどの難易度を選ぶか」です。

エリーゼのためには原曲を急がない

ベートーヴェンの「エリーゼのために」は、ピアノ初心者が弾いてみたい曲として名前が挙がりやすい作品です。

冒頭のメロディはよく知られていて、最初の部分だけを見ると「意外と弾けそう」と感じるかもしれません。

しかし、原曲全体では半音階的な動き、細かな音型、手の移動などが出てきます。

最初の数小節が弾けたからといって、最後まで同じ難易度とは限りません。

初心者なら、音数を減らした入門版や初級版から始めるほうが取り組みやすいでしょう。

原曲への挑戦を考えている人は、サイト内の「エリーゼのために」のピアノ難易度と練習ポイントも合わせて確認すると、入門アレンジから原曲へ進むタイミングを考えやすくなります。

入門版なら、まず曲のメロディや全体の流れを知ることができます。その後、読譜や両手奏が上達した段階で原曲を目標にすれば、最初からすべてを処理する必要がありません。

これは「きらきら星」でも同じです。

童謡としての簡単な「きらきら星」は入門向きですが、モーツァルトの変奏曲を原曲で弾くとなれば、求められる技術は大きく変わります。

曲名が同じ、または同じメロディだからといって、難易度まで同じではありません。

「カノン」「Summer」「戦場のメリークリスマス」、J-POPやジブリ作品なども、楽譜によって難易度が大きく変わります。

左手が単音だけの楽譜もあれば、原曲の雰囲気を出すために分散和音を使い、広い範囲を動く楽譜もあります。

楽譜表記 おおまかな考え方
入門 鍵盤位置や指番号を覚え始めた段階。ドレミふりがなや指番号、少ない音数の編曲が多い
入門〜初級 片手から両手へ移り始めた人、ゆっくりなら両手で弾ける人向け
初級 簡単な両手奏、8分音符、簡単な和音などに取り組める段階
初中級 左手伴奏、和音、転調、ペダル、細かなリズムなどが増える場合がある
中級以上 初心者の最初の練習曲としては負担が大きくなりやすい

ただし、難易度表記の基準は楽譜によって完全に同じとは限りません。

「初心者向け」「かんたん」と書かれていても、実際の譜面を見ると左手に和音が続いていたり、広い音域を動いたりすることがあります。

可能ならサンプル譜などで、音数、手の移動、左手伴奏、リズムなどを確認してください。

独学なら、指番号や模範音源があるかどうかも確認材料になります。

ドレミふりがな付きの楽譜も便利ですが、最終的には五線譜そのものを読む力も育てたいところです。最初は補助として利用し、慣れた音から少しずつふりがなに頼らないようにするとよいでしょう。

「簡単アレンジ」は、原曲をそのまま簡単にしたというより、初心者が弾けるように音を省いたり伴奏を変えたりしている場合があります。原曲らしさを求めるほど難易度が上がることも覚えておきましょう。

挫折しにくい練習の進め方

自分に合う曲を選んでも、練習方法が難しすぎると途中で止まりやすくなります。

初心者の練習で大切なのは、最初から通して弾けることではありません。

できない部分を小さく分け、ひとつずつ処理していくことです。

まず右手だけで音と指番号を確認し、次に左手だけを練習します。

両手に入る前に、リズムを声に出して数えておくのも役立ちます。音を弾く前にリズムだけ理解しておくと、両手にしたときの負担を減らせます。

両手では1小節、または2小節程度の短い単位から始めましょう。

止まりながら完成テンポで弾くより、遅くても正しい音とリズムで進むことを優先します。

練習の基本的な順番

  1. 右手だけで音と指番号を確認する
  2. 左手だけで音や伴奏を確認する
  3. リズムを声に出して数える
  4. 1〜2小節ずつ両手で合わせる
  5. 弾けない場所だけ短く反復する
  6. 前後の小節とつないで確認する
  7. 最後に強弱やフレーズを付ける

初心者が挫折しやすい練習方法のひとつが、「毎回最初から最後まで通すだけ」です。

得意な部分は何度も弾くことになりますが、苦手な小節は毎回同じように間違えたまま残りやすくなります。

弾けない場所を見つけたら、その小節だけ、必要なら前後を含めた短い範囲だけを取り出して練習しましょう。

たとえば4小節目から5小節目への移動で止まるなら、曲の最初からではなく、3〜5小節目だけを繰り返します。

それが安定したら、少し前から弾いてつながりを確認します。

テンポについても、最初から完成速度で弾く必要はありません。

かなりゆっくりでも構いません。速さを落とすことで、どの指を使うか、次の音はどこか、左右がどこで同時になるかを考える余裕ができます。

メトロノームも便利ですが、最初から無理に使わなくても大丈夫です。

音と指がある程度安定してから、一定のテンポを確認する目的で利用すると分かりやすいでしょう。

また、「速く弾かなければ」と思って力が入ると、手や腕が固まりやすくなります。

痛みを我慢して練習するのは避けてください。痛みや強い違和感が出る場合は練習を止め、姿勢や手の使い方を見直す必要があります。

自分だけでは原因が分からない場合は、必要に応じてピアノの先生に姿勢や手の使い方を確認してもらう方法もあります。

もうひとつ大切なのが、1曲を長期間抱え込みすぎないことです。

難しい曲を何か月も同じ状態で練習するより、短い曲をいくつか完成させたほうが、譜読みやリズムの経験を増やせる場合があります。

もちろん、時間をかけて仕上げたい曲があっても構いません。ただ、練習曲すべてを大作にする必要はありません。

短い曲を終わらせながら、少し長い目標曲も並行する方法もあります。

独学で失敗しにくい楽譜の選び方

独学では、先生がその場で運指やリズムを修正してくれるわけではありません。

そのため、楽譜そのものに練習を助ける情報があるかどうかも重要です。

指番号、分かりやすい難易度表示、模範音源、練習ポイントなどが用意されている楽譜は、初めて取り組む人でも進めやすくなります。

楽譜だけでなく、何からどの順番で練習するかまで自宅で学びたい場合は、初心者向けのピアノ教材で練習手順を確認する方法もあります。

独学用の楽譜で確認したいポイント

  • 現在のレベルに合う難易度か
  • 指番号が分かりやすいか
  • 左手が複雑すぎないか
  • 手の移動が多すぎないか
  • 音符が細かすぎないか
  • 必要なら模範音源などで曲を確認できるか
  • 最初は短く区切って練習できるか

ドレミふりがなも最初の補助にはなりますが、文字だけを見る癖が付くと、五線譜との対応を覚えにくくなる場合があります。

慣れてきた音から少しずつ、ふりがなを見ずに読む練習も加えていきましょう。

指番号も便利ですが、すべてを機械的に守ればよいというものではありません。

ただ、初心者の段階では「何となく一番近い指で弾く」を繰り返すと、その後の音へつながりにくくなることがあります。

まず楽譜に指番号が示されているなら、その意図を確認しながら弾くとよいでしょう。

「初級」という表示を「ピアノを始めた初日から弾ける」という意味だと考えないことも大切です。両手奏や簡単な和音に慣れていることを前提とする楽譜もあります。

曲を選ぶときは、表紙の難易度だけでなく、実際の譜面を見て判断します。

音符が極端に細かくないか、左手が大きく飛んでいないか、和音が連続していないか、右手と左手で違う細かなリズムが続いていないかなどを確認すると、今の段階に合うか判断しやすくなります。

独学では「右手だけなら何となく弾けるのに、左手を入れた瞬間に全く進まない」という壁もよく起こります。

そんなときは、両手練習の時間を増やす前に、左手だけで止まらず弾けるかを確認してみてください。

左手だけで迷っている状態なら、両手にしたときにさらに難しくなるのは自然です。

また、ドレミふりがなを見ながら鍵盤を探し続けていると、曲が変わるたびに最初から覚え直すような感覚になりやすいです。

少しずつでよいので、五線譜の音の上下を見て鍵盤の移動方向を判断する練習も取り入れてみましょう。

基礎教本だけを続けて気持ちが乗らない場合は、好きな曲の簡単アレンジを並行しても構いません。

反対に、好きな曲だけでは基礎が抜けやすいと感じるなら、短い指の練習や読譜課題を少し組み合わせる方法があります。

「教本か好きな曲か」の二択にする必要はありません。

基礎練習、短い練習曲、好きな曲をそれぞれ少しずつ組み合わせれば、技術と楽しさのバランスを取りやすくなります。

よくある質問

Q1. ピアノ初心者が最初に弾くなら何がよいですか?

A. まったく初めてなら、「かえるの合唱」「チューリップ」「メリーさんのひつじ」「きらきら星」などの片手版が取り組みやすいです。音域が狭く、単純なリズムで、手の位置移動が少ない楽譜から始めるとよいでしょう。

Q2. 大人の初心者も童謡から始めるべきですか?

A. 童謡は鍵盤位置や読譜の基礎を確認するには便利ですが、必ず童謡だけを弾く必要はありません。好きなクラシックや映画音楽、J-POPなどの入門アレンジを併用すると、練習の目的を持ちやすくなります。

Q3. ブルクミュラーはピアノ初心者でも弾けますか?

A. 初級の練習曲集ですが、ピアノを始めた直後より、簡単な両手奏や読譜に慣れてから取り組むほうが進めやすいです。導入期の次の目標として考えるとよいでしょう。

Q4. ハノンは最初から練習したほうがよいですか?

A. ハノンは指の独立や均一な動きを練習する教材で、曲を楽しむための教材とは役割が違います。完全な初日から長時間取り組むより、鍵盤や指番号に慣れてから短時間の基礎練習として使う方法があります。

Q5. エリーゼのためには初心者でも弾けますか?

A. 原曲を最初の練習曲にするのは負担が大きい場合があります。まずは入門・初級アレンジで曲の流れや両手奏に慣れ、基礎が身についてから原曲を目標にすると取り組みやすいでしょう。

Q6. 独学でも練習曲を弾けるようになりますか?

A. 短い曲、指番号付き、難易度が明確な楽譜などを選ぶと進めやすくなります。一方で、姿勢、脱力、手の形、リズムの癖などは自分で気づきにくいことがあります。不安がある場合は必要に応じて指導者へ相談してください。

Q7. どのくらいで1曲弾けるようになりますか?

A. 曲の難易度や練習頻度によって変わります。短い入門曲は比較的区切って練習しやすい一方、両手伴奏付きの曲になると必要な練習量も増えます。期間を決めつけるより、今の段階に合う曲を選ぶことが大切です。

Q8. 紙の楽譜とダウンロード楽譜はどちらがよいですか?

A. 基礎教本のように長く使い、書き込みながら練習するなら紙が扱いやすいです。弾きたい曲を1曲だけ試したい場合は、ダウンロード楽譜を利用する方法も選択肢になります。

教材や楽譜の仕様、難易度表記などは改訂される場合があります。実際に選ぶ際は、出版社などが示している最新の情報や楽譜内容も確認してください。

また、姿勢や手の使い方に不安がある場合や、痛みが出る場合は、自己判断で無理を続けないようにしましょう。

まとめ

ピアノ初心者の練習曲は、知名度だけでなく、今の自分が無理なく処理できる難易度かどうかで選ぶことが大切です。

完全な初心者なら、「かえるの合唱」「チューリップ」「メリーさんのひつじ」「きらきら星」など、音域が狭く、片手から始められる曲が候補になります。

そこから簡単な両手アレンジへ進み、右手メロディと左手の単音や長い音を合わせる練習へ広げていきましょう。

両手に慣れてきたら、簡単な伴奏、8分音符、和音などを含む初級曲へ進めます。

バイエルやバーナムは基礎を整理する教材として使いやすく、ハノンは指の基礎トレーニング、ブルクミュラーは両手奏に慣れてから表現と技術を学ぶ次の段階として考えると整理しやすくなります。

子どもなら、短くて歌いやすい曲やイラストのある教材、大人なら基礎教材と好きな曲の入門アレンジを組み合わせるなど、続けやすさも考えて選んでください。

「エリーゼのために」のような憧れの曲も、最初から原曲にこだわる必要はありません。

入門アレンジで1曲を完成させる経験を積み重ねることも、原曲へ近づく立派なステップです。

練習するときは、毎回最初から最後まで通すだけではなく、右手、左手、短い小節、両手という順番で分解して進めると、苦手な部分を整理しやすくなります。

片手、簡単な両手、初級曲という順番で、「弾けた」を積み重ねながら進んでいきましょう。

焦らず一曲ずつ仕上げていけば、読譜、リズム、指使い、両手の動きといった基礎も少しずつ身についていきますよ。