フルート教本おすすめ|初心者が基礎から学べる練習本の選び方

フルート教本と銀色のフルートを配置し、初心者が基礎から学べる練習本の選び方を表したアイキャッチ画像。 フルート
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フルートを始めようと思って教本を探すと、「初心者向け」「エチュード」「ソノリテ」「ウォームアップ」など、似ているようで役割の違う本がたくさん出てきます。

しかも、名前が有名な本だからといって、初めてフルートを持つ人の最初の1冊に向いているとは限りません。楽器の組み立て方から学ぶ入門教本もあれば、すでに基本運指を覚えた人が音色や指の動きを磨くための本もあります。

ここを区別せずに選ぶと、「初心者向けだと思ったのに難しい」「有名な本を買ったのに運指の説明がほとんどない」といったことが起こりやすくなります。

初心者のフルート教本選びで大切なのは、曲数の多さよりも、音の出し方・運指・リズムを無理なく段階的に覚えられるかどうかです。

最初は入門教本で土台を作り、吹ける音が増えてきたらエチュード、音色を磨きたくなったらソノリテ、毎日の基礎練習を総合的に整えたくなったら28日間ウォームアップというように、目的ごとに教材を使い分けると迷いにくくなります。

この記事では、完全初心者向けのフルート教本から、ケーラーなどのエチュード、モイーズの「ソノリテについて」、「28日間ウォームアップ」まで、それぞれの役割と始める段階を整理します。

  • 完全初心者が最初の1冊を選ぶ基準
  • 代表的なフルート教本の特徴と違い
  • エチュード・ソノリテ・28日間ウォームアップを始める段階
  • 旧版・新版を間違えずに本を選ぶ方法

初心者向けフルート教本の選び方

「フルートの本」とひとまとめにされていても、実際には入門教本、基礎練習本、エチュード、曲集、奏法解説書などがあります。

初めてフルートを持つ人が最初に探したいのは、基本的にはゼロから順番に奏法を学べる入門教本です。

入門教本には、楽器の組み立て方、持ち方、頭部管を使った音出し、左右の手の位置、基本運指、タンギング、呼吸、簡単な楽譜の読み方などが順番に収録されています。

一方、基礎練習本は音色、指、タンギング、音階、跳躍など、特定の能力を強化する目的が中心です。エチュードは短い練習曲を使って、複数の技術を音楽の中で身につけていきます。

曲集は「好きな曲を吹く楽しさ」を得やすい反面、奏法をゼロから体系的に説明することが目的ではないものもあります。曲集だけで独学しようとすると、音が出ない原因や運指の覚え方がわからないまま進んでしまうこともあるでしょう。

最初の1冊で確認したいポイント

楽器の組み立て方、頭部管での音出し、構え方、姿勢、運指、呼吸、タンギング、簡単な読譜までが段階的につながっているかを確認してください。

さらに、一度に多くの音を覚えさせるのではなく、少ない音から練習曲を吹き、少しずつ音域を広げていく構成だと初心者でも取り組みやすくなります。

初心者の段階では、「たくさん内容が入っている本ほどお得」とは限りません。いきなり高度な基礎練習本を選んでしまうと、書いてある内容が悪いわけではなくても、「この音はどう押さえるの?」「この練習は何のため?」となりやすいからです。

教本の難易度を見るときは、最初の数ページを確認できるなら、どの段階から説明が始まっているかを見ると判断しやすくなります。頭部管での音出しから始まるのか、すでに多くの音を吹ける前提になっているのかでは、想定している読者がかなり違います。

独学は動画・音源付きを選ぶ

独学で始める場合は、文章の詳しさだけではなく、写真・図・動画・模範演奏などで正しい状態を確認できるかが重要です。

フルートは、キーを正しく押せば自動的に安定した音が出る楽器ではありません。下唇と歌口の位置、息を当てる方向、口の形、楽器の角度などによって音の響きが変わります。

そのため、文章で「息をこの方向に出します」と読んでも、自分の姿勢や口の形が実際に同じ状態になっているかは判断しにくいものです。

特に最初は、フルートを全部組み立てず、頭部管だけを使って音を出す練習から始める教本だと流れを理解しやすくなります。左右すべての指を覚えながら音まで安定させようとすると、一度に確認することが多くなるからです。

動画で確認したいのは指だけではない

動画教材というと運指を見るためのものと思いがちですが、初心者にとっては姿勢や楽器の持ち方を確認できることも大きな利点です。

肩が上がっていないか、肘を必要以上に張っていないか、楽器を強く握っていないか、左手と右手が無理な形になっていないかなど、文章だけでは想像しにくい部分を視覚的に確認できます。

アンブシュアとは、管楽器を吹くときの口の形や唇の使い方のことです。フルートでは歌口に直接口を付けるのではなく、歌口の縁に向かって息を当てます。この感覚も、写真や動画があるとイメージしやすくなります。

また、模範演奏が付いていれば、音程だけではなく、音の長さ、タンギングの位置、フレーズのまとまりなども耳で確認できます。

楽譜を正しく読めているつもりでも、リズムを取り違えていることがあります。模範演奏と自分の演奏を比べられる環境は、独学では特に役立ちます。

独学で特に確認しにくいポイント

唇と歌口の位置、息の角度、肩や腕の力み、左手人差し指や親指を含む楽器の支え方、キーから指を上げる高さなどは、自分では間違いに気づきにくい部分です。

高音を息の力だけで押し出していないか、タンギングのたびに顎や喉まで大きく動いていないかも確認したいところです。

教本と一緒に鏡・録音も使う

動画付き教本を選んでも、動画を見るだけでは自分の状態との差を確認できません。鏡を使って姿勢や楽器の角度を見る、自分の演奏を録音して聞き返すといった方法を組み合わせると、自分で気づけることが増えます。

録音すると、吹いている最中には気づかなかった息の音、音の揺れ、リズムのずれなどが聞こえることがあります。

ただし、録音や鏡でも判断しにくい部分はあります。何日も練習しているのに音が極端に安定しない、構えると腕や首に強い負担を感じるといった場合は、教本を次々と買い替えるより、可能であれば一度フルートのレッスンで客観的に見てもらう方が原因を見つけやすい場合があります。

「独学だから絶対に一人で解決しなければならない」と考える必要はありません。教本を軸に進めつつ、確認しにくいところだけ人に見てもらう方法もあります。

レッスン・吹奏楽部での選び方

先生と一緒に進める場合は、独学ほど「動画が付いていること」を最優先にする必要はありません。

先生がその場で姿勢、アンブシュア、息の方向、タンギングなどを確認できるため、教本には課題が順番に整理されていて、レッスンごとの進度を作りやすいことが求められます。

トレヴァー・ワイの初級用教本やアルテス系の教本は、基礎を一つずつ積み上げながら先生と進めたい場合に検討しやすい教材です。

二重奏が入っている教本なら、先生と生徒、あるいは同じパートの仲間で合わせる練習にも使えます。自分一人で正しい音符を並べるだけでなく、相手の音を聞きながら拍を合わせる経験につながります。

吹奏楽部では合奏へのつながりも考える

吹奏楽部からフルートを始める場合は、個人練習だけでなく、パート練習や合奏につなげやすいかも大切です。

「最新フルート教本 Book1&2」は、中学校・高等学校などで初めて管楽器を学ぶ人を想定し、個人だけでなく仲間と学ぶ用途にも対応しています。

学校では、短期間で合奏曲の練習に加わる必要が出てくることもあります。そのため、基本的な音を覚えつつ、拍を数える、休符を理解する、周囲とタイミングを合わせるといった要素も重要になります。

ただし、部活動で曲を吹く必要があるからといって、基礎練習を飛ばしてよいわけではありません。出しにくい音を無理に吹き続けるより、頭部管の音出しや簡単なロングトーンに戻った方が、結果的に曲の練習が進みやすくなることもあります。

用途によって選び方を変える

完全初心者の独学なら、動画や音源があり、音の出し方から順番に進む本が使いやすいでしょう。

先生と進めるなら、体系的に課題が並んだ教本も選択肢になります。吹奏楽部なら、基本奏法だけでなく、パート練習や合奏へつなげやすい内容かも確認してみてください。

どの環境でも共通しているのは、現在の自分に必要な段階と教本の目的を合わせることです。

完全初心者なのに、指の均一性を高めるための高度な日課練習から始める必要はありません。まず音を出す、少数の音を覚える、簡単なリズムを吹くという順番で大丈夫です。

初心者向けフルート教本を比較

初心者用として候補になるフルート教本にも、それぞれ得意な部分があります。

最初の1冊を決めるときは、「一番有名なのはどれか」と考えるより、自分がどこで、どのように練習するのかを先に考えると選びやすくなります。

独学中心なのか、先生と進めるのか、吹奏楽部で使うのか。さらに、最初の音出しだけを助けてほしいのか、ある程度長期間使える本がほしいのかでも選択肢は変わります。

教本 主な対象 特徴 補助教材
フルートをはじめよう 完全初心者 組み立て・持ち方・音出しから学ぶ 動画
トレヴァー・ワイ 初級用 上 初心者~初級 少ない音から段階的に進む CD
吉田雅夫 フルート教則本 初心者 日本語で詳しく奏法を学ぶ 版を確認
最新フルート教本 Book1&2 学校・吹奏楽部など 個人・グループで進めやすい 商品仕様を確認
アルテス系第1巻 初心者~ 伝統的な体系で幅広く学ぶ 版による
立花千春のフルート教本 初心者~上級 音・指・舌・唇の日課練習 CD

価格や付属品、流通状況は変更される可能性があります。購入するときは、出版社などが案内している最新の商品情報も確認してください。

動画で学べる入門教本

独学から始めたい場合にわかりやすい条件を備えているのが、久保順著「フルートをはじめよう」です。

2025年11月25日発売の現行版は、スマートフォンやパソコンで実演を確認できる仕様です。A4変型判112ページで、ISBNは9784636122541、商品コードはGTW01102625です。(出典:ヤマハ「フルートをはじめよう(スマホ・PC動画視聴対応)」商品情報)

この本の特徴は、単に練習曲が並んでいるのではなく、組み立て方、持ち方、音の出し方という本当の最初の段階から確認できることです。

楽器を買ったばかりの人にとって、「ケースから出したあとに何をすればいいのか」が説明されていることには大きな意味があります。初心者の場合、吹き方以前に、正しい組み立て方や持つ位置で迷うこともあるからです。

また、15分や30分といった時間を基準にした練習メニューや、楽器を吹けない状況でもできる練習方法が扱われています。

毎日長時間練習できる人ばかりではありません。仕事や家事の合間に始める場合、「今日は15分なら取れる」という日もあるでしょう。練習時間に応じた目安があると、何をするか決めるために時間を使いすぎずに済みます。

自宅で実際に音を出せる時間が限られる場合は、楽器の練習場所を自宅以外で確保する方法もあわせて確認しておくと、教本で覚えた内容を実際に吹いて試す時間を作りやすくなります。

練習曲・レパートリーは全16曲です。曲数そのものを競うタイプではなく、初めてフルートに触れる人が、必要な基礎を確認しながら進めることに重点があります。

動画付きでも順番に進めることが大切

動画があると、先の内容をどんどん見たくなるかもしれません。ただ、最初の段階では、動画を多く見ることより、一つの課題を実際にできるようにする方が大切です。

頭部管で音が安定しないまま多くの運指を覚えようとすると、「指は合っているのに音が出ない」という状態になりやすくなります。

まず音を作る、次に少数の音を覚える、その音だけで簡単なリズムを吹くという流れを意識すると、何が原因でうまくいかないのかを切り分けやすくなります。

旧商品にはDVD付きの「フルートをはじめよう わかりやすいDVD付」があり、現在の動画視聴対応版はその改訂版です。

中古で探す場合は、DVD版なのか現在の動画対応版なのかをタイトルだけで判断せず、ISBNや商品コードまで確認すると間違いを減らせます。

トレヴァー・ワイ2系列の違い

トレヴァー・ワイの本を探すときに、初心者が特に混乱しやすいのが「初級用フルート教本」と「フルート教本 第1~6巻」は別シリーズという点です。

どちらにも「トレヴァー・ワイ」「フルート教本」と入っているため、通販や中古商品を探していると同じシリーズの上下巻だと思ってしまう可能性があります。

「トレヴァー・ワイ 初級用フルート教本 上 改訂新版」は、楽器を持つ段階から始められます。

構え方、頭部管を吹く練習、左右の手、呼吸法から進み、最初はシ・ラ・ソなど少数の音を使いながら、段階的に音域を広げます。

その後、スタッカート、スラー、強弱、フレージング、長調・短調の音階などへ進む構成です。

64ページにCDが付き、ISBNは9784276606302。CDにはトレヴァー・ワイ自身の模範演奏とピアノ伴奏が収録されています。(出典:音楽之友社「初級用フルート教本 上 改訂新版」商品情報)

単に「この運指を覚えましょう」と進むのではなく、実際の音楽の中で音、リズム、運指を使いながら段階的に学ぶタイプです。

上巻を終えた後は「初級用フルート教本 下 改訂新版」へ進みます。下巻は56ページとCDで、ISBNは9784276606319です。

下巻では複合拍子、付点8分音符、3連符、装飾音、シンコペーション、トリルなど、より発展した内容が扱われます。高音域を含めて音域も広がるため、完全初心者がいきなり下巻を選ぶのではなく、原則として上巻から進む方が内容を追いやすくなります。

第1~6巻は技術テーマ別のシリーズ

一方、「トレヴァー・ワイ フルート教本 第1~6巻」は、第1巻が音、第2巻がテクニック、第3巻がアーティキュレーション、第4巻が音程とヴィブラート、第5巻が呼吸法と音階練習、第6巻が高度な練習課題というように、テーマごとに技術を深めるシリーズです。

第1巻「音」というタイトルを見ると、「第1巻なら初心者が最初に使う本」と思うかもしれません。しかし、ここでいう第1巻はシリーズのテーマ番号であり、基本運指をゼロから順番に覚える「初級用フルート教本 上」とは目的が異なります。

第1巻「音」改訂新版は、定価4,180円、A4判52ページとCD、ISBNは9784276606142です。

迷ったときの見分け方

完全初心者が最初から順番に学ぶなら「初級用フルート教本 上」。特定の技術を集中的に磨く目的なら「フルート教本 第1~6巻」と考えると整理しやすくなります。

購入前には、「初級用」という文字が入っているか、「第○巻 音」「第○巻 テクニック」といったテーマ別シリーズなのかを確認してください。

アルテス・吉田・立花の特徴

アルテス、吉田雅夫の教則本、立花千春の教本も、フルートの基礎を学ぶ本として候補になります。ただし、3つは同じ性格の教材ではありません。

どれを選ぶか迷ったら、「最初から順番に覚えたいのか」「伝統的な教則体系を深く学びたいのか」「日課練習として長く使いたいのか」を考えてみてください。

アルテスは版の違いを確認する

アルテスは、アンリ・アルテスによる伝統的なフルート教本です。長く使われてきた教本ですが、日本では複数の編集・翻訳版があるため、「アルテス第1巻」という名前だけでは商品を特定できないことがあります。

日本フルートクラブ系の「FLUTE METHOD 1 フルート教則本 第1巻」は、初級用フルート教本として使われ、巻末にはガリボルディ「ミニヨン・エチュード Op.131」などが収録されています。

一方、「アルテス フルート奏法 第1巻」は、アンリー・アルテス編著、植村泰一訳・解説で、ISBNは9784883955800です。

こちらでは、予備知識、楽典、調や音階、基本運指、楽器の選び方や扱い方、組み立て、持ち方、3点支持、姿勢、アンブシュア、タンギング、呼吸、運指など幅広い内容を扱います。

内容量が多く、体系的にクラシックの基礎を学びたい人にとっては選択肢になります。一方で、一人でページを追うだけでは理解しにくい部分も出やすいため、先生と進めるレッスン教材として考えると使い方をイメージしやすいでしょう。

吉田雅夫の教則本は日本語の定番

吉田雅夫著「フルート教則本」は、1956年9月25日発売の教則本で、96ページ、ISBNは9784115480100です。

独習者にも使えるよう奏法が詳しく解説され、クラシック作品を含む練習・演奏教材も収録されています。

動画を見ながら進める現代的な入門教材とは性格が異なりますが、日本語で基礎を確認したい人には候補になります。

長く出版されている本だけに、中古品では現在流通している商品と異なる版が見つかることもあります。購入時には表紙だけでなく、ISBNや出版情報まで確認する方が安心です。

立花千春の教本は上達後も使いやすい

「立花千春のフルート教本 模範演奏CD付」は、「音」「指」「舌」「唇」の4項目に分けた日課練習が中心です。

現行商品は2024年4月10日発売、菊倍判84ページとCDで、ISBNは9784636113150です。

収録内容を見ると、完全初心者が組み立て方や最初の運指だけを覚えるための本というより、初心者から上級者まで基礎課題に取り組むことを想定した総合練習本という性格が強くなっています。

「最初の1冊」と「その後も長く使う基礎練習本」は必ずしも同じものではありません。

最初は入門教本を中心にして、吹ける音が増えてきたら、日課練習用の教材を追加する方法があります。最初から何冊も同時に進めるより、それぞれの本の役割を分けた方が「今日は何を練習するか」が明確になります。

フルートエチュードの始め方

エチュードは「練習曲」という意味で、旋律を演奏しながら運指、リズム、タンギング、息の使い方、アーティキュレーション、フレージングなどを総合的に練習する教材です。

機械的に指だけを動かす基礎練習とは違い、一つの曲として演奏しながら技術を使えることが特徴です。

ただし、「やさしい練習曲」と書いてあっても、フルートを初めて持ったその日から使えるとは限りません。

エチュードでは、基本的な運指や楽譜の読み方について一から説明されないことがあります。そのため、完全初心者の場合は、入門教本で最低限の音、運指、拍子、リズムを覚えてから取り入れる方が、何を練習しているのか理解しやすくなります。

ケーラーを始める段階

初心者から初級の段階で名前が挙がりやすいのが、エルネスト・ケーラーのエチュードです。

ケーラーには複数の練習曲集があり、「20のやさしい練習曲 Op.93」と「35の練習曲 Op.33」などがあります。

「20のやさしい練習曲 Op.93-I」は、初級段階の旋律的なエチュードとして使われます。日本フルートクラブ出版版では35ページで、アルテ1巻を練習している程度が難易度の一つの目安とされています。

その次の「Op.93-II」は、Iより一段階進んだ内容で、こちらも35ページです。

この「やさしい」という言葉は、フルート全体の教材の中では比較的取り組みやすいという意味で考えた方がよく、楽器を一度も吹いたことがない人に向けて運指から説明するという意味ではありません。

Op.33は段階的に難しくなる

「35の練習曲 Op.33」は、第1巻の15のやさしい練習曲、第2巻の12の中程度の練習曲、第3巻の8の難しい練習曲へと段階的に難度が上がる構成です。

第1巻にも「やさしい」とありますが、やはり楽器を初めて持った日のための本ではありません。

ある程度の音域を吹くことができ、基本運指を理解し、楽譜を見ながら簡単な曲を止まらずに進められるようになったあとで取り入れると、エチュード本来の目的に集中しやすくなります。

まだ音を出すたびにアンブシュアを作り直している段階では、練習曲のリズムやフレーズまで同時に意識するのは大変です。

反対に、入門教本の曲がある程度吹けるようになり、「指を動かすだけでなく、もう少し長い旋律の中で練習したい」と感じる頃にはエチュードが役立ちやすくなります。

入門教本は「フルートそのものの扱い方と基本奏法を覚える本」、エチュードは「覚えた奏法を曲の中で使えるようにする本」と考えると違いがわかりやすいですよ。

エチュードは速く吹くことだけが目的ではない

練習曲を見ると、つい「最後まで間違えずに速く吹く」ことを目標にしがちです。しかし、エチュードでは、音のつながり、リズム、タンギング、フレーズの方向など、その曲で求められている課題を意識することが重要です。

指が追いつかない場合は速度を落とし、音が途切れるところやリズムが崩れるところを確認します。

最初からテンポだけを上げるより、「どの部分で指が動きにくいのか」「どの音のつながりで息が乱れるのか」を見つける方が、基礎練習としての意味が明確になります。

アンデルセンへ進む目安

ヨアヒム・アンデルセンの「24のエチュード Op.21」も、フルートの代表的なエチュードの一つです。

全音楽譜出版社版のISBNは9784115487017です。

こちらも完全初心者のための導入教材ではありません。基本的な運指やリズムを学んだあと、さらに音楽性と技術を高めていく段階で考える教材です。

エチュードは「有名だから早く始める」必要はありません。

現在使っている入門教本の短い練習曲で、音を途中で止めずに吹けるようになったか、譜読みだけで練習時間の大半を使わなくなったか、基本的なタンギングやスラーを使い分けられるようになってきたか、といった点が進む時期を考える材料になります。

本を終えた冊数だけで判断しない

「この教本を終えたら必ず次はこのエチュード」という一本道で考える必要はありません。同じ教本を終えていても、得意なことと苦手なことは人によって違います。

指はよく動くけれど音が安定しない人もいれば、音は落ち着いているけれど細かいリズムになると止まってしまう人もいるでしょう。

その場合は、次の難しい練習曲へ進むことだけを目標にせず、現在の課題に合った練習を挟む方が理解しやすくなります。

ケーラーからアンデルセン、その先のエチュードへ進むときも、単に本を終えた冊数で決めるより、現在の技術と課題に合わせることが大切です。

「難しい本へ進む=上達」ではありません。

エチュードの目的は本を消化することではなく、曲の中で必要な技術を身につけることです。今の曲から学べることが残っているなら、テンポ、音色、アーティキュレーションなど視点を変えて練習する方法もあります。

ソノリテと28日間の違い

フルートの練習本を調べると、モイーズの「ソノリテについて」や「28日間ウォームアップ」という名前もよく見かけます。

どちらも基礎力を高めるための教材ですが、完全初心者の入門教本とは目的が異なります。

ソノリテは音の響きに重点を置き、28日間ウォームアップは音・指・タンギング・跳躍などを総合的に扱うと考えると違いをつかみやすくなります。

この2冊を「どちらが優れているか」で比べるより、「今の自分は何を練習したいのか」で選ぶ方が自然です。

教材 主な目的 扱う内容 開始の考え方
ソノリテについて 音色・響きを磨く 音の響き、音のつながりなど 基本的な音を出せるようになってから
28日間ウォームアップ 基礎力を総合的に整える 音、指、アーティキュレーション、音程・跳躍 基本運指と読譜がある程度できてから

音が細い、響きの違いをもっと意識したいという場合はソノリテの目的に近くなります。一方、音だけでなく指やタンギング、跳躍まで含めて毎日の基礎練習を整理したいなら、28日間ウォームアップの方向性に近くなります。

ソノリテは音色を磨く練習本

マルセル・モイーズの「ソノリテについて」は、原題を「De la Sonorité: Art et Technique」といい、フルートの音や響きを研究するための代表的な教材です。

2026年の現行日本語版は、吉田雅夫訳、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊で、菊倍判28ページ。ISBNは9784636124293、商品番号はGTW01102815です。(出典:ヤマハ「モイーズ:ソノリテについて」商品情報)

ここで大切なのは、「有名なフルート教本だから最初の1冊」という考え方をしないことです。

ソノリテは、楽器の組み立て、最初の運指、楽譜の読み方を一つずつ覚える一般的な入門教本ではありません。

基本的な音をある程度出せるようになったあと、ロングトーンや音と音のつながりを丁寧に聴きながら、より豊かで安定した響きを目指すための教材です。

初心者でも使えるが最初の1冊ではない

初心者だからソノリテを使ってはいけない、という意味ではありません。先生の指導を受けながら、一部の練習を早い段階から取り入れることは考えられます。

ただし、完全初心者がソノリテ1冊だけを買い、「これで運指や読譜まで全部覚えよう」とすると目的が合いません。

入門教本で基本運指や簡単な曲を覚えつつ、音そのものを丁寧に聞く課題としてソノリテを併用する、と考える方が役割を理解しやすくなります。

フルートでは、同じ運指で同じ高さの音を出していても、息の方向や支え方などによって響き方が変わります。

「正しい音程の音が出たから終わり」ではなく、その音がどのように響いているかへ意識を向ける段階で、ソノリテのような教材の意味が大きくなります。

2026年版と旧版の違いを確認する

2026年の現行版は、旧商品番号GTW01096381から商品番号とISBNが変更されています。旧版ISBNは9784636963816、現行版ISBNは9784636124293です。

出版社の案内では内容自体は旧商品と同じとされています。

そのため、すでに旧版を持っている場合は、「新しいISBNになったから内容も新しくなったはず」と考えて買い直すのではなく、現在持っている版で必要な練習ができるか確認してから判断するとよいでしょう。

反対に、これから購入する場合は、商品番号やISBNを確認しておくと、現行版と旧版を区別しやすくなります。

28日間は総合基礎練習

「28日間ウォームアップ ~すべてのフルート奏者のために!~」は、ポール・エドモンド=デイヴィスによる総合的なウォームアップ教材です。

原題は「The 28 Day Warm Up Book for All Flautists…Eventually!」で、日本語版は渡辺玲子訳、企画ヴィーヴォから2016年に初版が出ています。

著者のポール・エドモンド=デイヴィスはロンドン交響楽団で20年間首席フルート奏者を務め、フィルハーモニア管弦楽団でも5年間同職を務めました。原著は2007年に初版が刊行され、日本語を含む複数言語へ翻訳されています。(出典:Royal Academy of Music「Paul Edmund-Davies」)

28日間、つまり4週間の流れで練習する構成になっており、大きくSonority/音の響き、Fingers/フィンガリング、Articulation/タンギング・アーティキュレーション、Intervals/音程・跳躍の4分野を扱います。

ソノリテが音色を集中的に掘り下げるのに対して、28日間ウォームアップは毎日の基礎練習を幅広く整える性格があります。

「すべてのフルート奏者」でも導入教本とは違う

題名に「すべてのフルート奏者」とありますが、楽器を初めて持った人に組み立て方から説明する入門コースではありません。

基本運指をある程度覚え、簡単な楽譜を読んで吹けるようになり、「毎日の基礎練習をどう組み立てればいいかわからない」と感じ始めた段階で検討しやすい本です。

初めてフルートを持った日からこの本だけで進めようとすると、そもそも運指や楽譜を読む部分で止まってしまう可能性があります。

まず入門教本で音出し、運指、簡単なリズムを身につけ、その後に基礎練習を体系化する教材として考えると役割がはっきりします。

ソノリテとの使い分け

ソノリテと28日間ウォームアップは、どちらか一方が上位版という関係ではありません。

音色・響きを集中的に見直したいならソノリテ、フィンガリングやタンギング、跳躍まで含めて毎日の練習を総合的に整えたいなら28日間ウォームアップという違いがあります。

そのため、ある程度演奏できるようになってから両方を使う場合でも、同じ目的の本を二重に使っているわけではありません。

似た位置づけで名前が出やすいものとして、タファネル&ゴーベールの「フルートのための17のメカニズム日課大練習」もあります。

こちらは音階や運指、指の均一性など、メカニズムを整える日課練習を目的とする教材です。2026年のルデュック社ライセンス版の現行販売価格は5,500円(税込)とされていますが、こちらも最初の音の出し方を覚える入門書ではありません。

段階で整理すると迷いにくくなります

開始直後は入門教本、基本運指と簡単な曲が吹けるようになったらエチュード、音色を深く見直したくなったらソノリテ、基礎練習を総合的に組み立てたいなら28日間ウォームアップというように役割を分けて考えてください。

教材を増やすときは、「この本が有名だから」ではなく、「今の練習で何が足りないか」を先に考えることがポイントです。

旧版・新版を間違えない選び方

フルート教本では、同じタイトルに見えても旧版、新版、改訂版、日本語版、輸入版などが並んでいることがあります。

特に長く使われている教本では、中古品も多く流通するため注意が必要です。

購入するときはタイトルだけで決めず、著者、訳者、出版社、ISBN、商品コード、付属品を確認してください。

ISBNは本を特定するために役立つ番号です。似たタイトルの商品が複数あるときは、商品ページに記載されたISBNと探している版のISBNを比べると、別商品を選ぶ可能性を減らせます。

トレヴァー・ワイはシリーズ名まで確認する

「トレヴァー・ワイ 初級用フルート教本 上 改訂新版」はISBN 9784276606302、「下 改訂新版」は9784276606319です。

同じトレヴァー・ワイでも、「フルート教本 第1巻 音」は別シリーズです。

検索結果では「トレヴァー・ワイ フルート教本」という共通する文字が目立つため、商品画像だけで判断せず、「初級用 上」「初級用 下」「第1巻 音」といった部分まで確認しましょう。

アルテスは訳者・出版社も見る

アルテスはさらに注意が必要です。同じ「アルテス」の名前でも、編集・翻訳系統が異なる本が存在します。

「アルテスだから同じ本だろう」と考えず、訳者、出版社、ISBNまで確認した方が商品を特定しやすくなります。

先生から「このアルテスを用意してください」と指定されている場合は、書名だけでなく、出版社や版も確認しておくと間違いを防ぎやすいでしょう。

ソノリテは2026年に商品情報が変更

モイーズの「ソノリテについて」は、2026年に商品番号とISBNが変更されています。

旧版ISBNは9784636963816、旧商品コードはGTW01096381です。2026年の現行版ISBNは9784636124293、商品番号はGTW01102815です。

内容自体は旧商品と同じと案内されているため、旧版をすでに持っている人は、内容目的だけで買い直す必要があるのかを確認してから判断してください。

中古品では付属品の欠品にも注意

CD付き教材の中古品では、教本本体だけが販売され、付属CDが欠品していることがあります。

動画教材でも、旧版ではDVDだったり、現行版ではスマートフォンやパソコンで動画を確認する形式になっていたりすることがあります。

本体価格が安く見えても、自分が必要としていた音源や映像を利用できなければ、独学用として選んだ意味が薄れてしまいます。

価格だけで版を判断しないでください。

販売価格は店舗、在庫、輸入状況、中古商品の状態などによって変わります。通販価格は定価と一致しない場合もあります。

特に輸入版、旧版、中古版では価格差が生じやすいため、正確な価格、在庫、付属品などは購入時に出版社や販売店の商品情報を確認してください。

「安かったから」という理由だけで旧版を選び、必要だった動画やCDが付いていなかった、ということは避けたいところです。

反対に、内容が同じと公式に案内されている旧版をすでに持っているなら、新しいISBNになったという理由だけで買い直す必要があるとは限りません。

本そのものの新しさではなく、今の自分が必要としている内容を、その版で利用できるかを確認して選ぶことが大切です。

フルート教本に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 完全初心者でもソノリテから始められますか?

A. ソノリテは音色や響きを磨くための教材で、組み立て方や基本運指を最初から学ぶ一般的な入門教本とは役割が違います。完全初心者は、まず入門教本で音の出し方や基本運指を覚え、その後に取り入れる方が内容を理解しやすいでしょう。先生の指導がある場合は、初心者段階から一部の練習を取り入れる方法もあります。

Q2. 28日間ウォームアップは初心者向けですか?

A. 初心者でも使える内容を含みますが、初めて楽器を持つ人向けの入門書ではありません。基本運指や簡単な読譜ができるようになり、日々の基礎練習を体系化したくなった段階で使いやすい教材です。最初は入門教本を中心にし、必要になった段階で追加すると役割を理解しやすくなります。

Q3. ケーラーの「やさしい練習曲」は最初の教本にできますか?

A. 「やさしい」と付いていても、フルートを初めて持った人のために組み立て方や運指から説明する本ではありません。基本的な音と運指、読譜を入門教本で学んでから、エチュードとして取り入れる方が進めやすいでしょう。「やさしい」はエチュードの中での難易度と考えるとわかりやすいです。

Q4. 独学なら動画付き教本だけで十分ですか?

A. 動画は姿勢や口元を確認する助けになりますが、自分の息の角度や力み、楽器の支え方が正しいかを完全に判断できるとは限りません。鏡や録音も組み合わせ、それでも音が安定しない場合やフォームに不安がある場合は、可能であれば先生などに客観的に確認してもらう方法もあります。

Q5. フルート教本は何冊も同時に使った方が上達しますか?

A. 冊数を増やせば自動的に上達するわけではありません。まず1冊の入門教本で基本を進め、必要になった段階でエチュード、音色練習、日課練習などを追加する方が、それぞれの教材の目的を理解しやすくなります。追加するときは「今の自分に不足している練習は何か」を基準にすると選びやすいですよ。

まとめ

初心者がフルート教本を選ぶときは、有名さや曲数だけではなく、今の自分の段階に合う内容かを確認することが大切です。

  • 完全初心者は、組み立て・音出し・運指・読譜を順番に学べる入門教本から始める
  • 独学では動画・写真・図・模範演奏など確認手段が多い本を選びやすい
  • トレヴァー・ワイの「初級用」と「第1~6巻」は別シリーズとして考える
  • ケーラーなどのエチュードは、基本運指と読譜を覚えた後に取り入れる
  • ソノリテは音色、28日間ウォームアップは総合基礎練習を目的とする
  • 購入時はタイトルだけでなくISBN・出版社・版・付属品まで確認する

最初から高度な教材を何冊もそろえる必要はありません。まずは、自分が無理なく理解できる入門教本で、一つずつ音を増やしていけば大丈夫です。

完全初心者なら、楽器の組み立て方や頭部管での音出しから始まり、少ない運指を使って簡単なリズムや曲へ進む本を選ぶと、つまずいた原因を見つけやすくなります。

独学の場合は、文章だけでなく動画や模範演奏があるかも確認してみてください。姿勢や口元のように文字だけでは判断しにくい部分を確認する手助けになります。

そして、ある程度吹けるようになると、「もっと響く音にしたい」「指を滑らかにしたい」「曲の中で技術を身につけたい」「毎日の基礎練習を整えたい」という新しい課題が見えてきます。

その段階で、エチュード、ソノリテ、28日間ウォームアップ、日課練習本などを追加していけば、それぞれの本が持つ意味もわかりやすくなります。

独学で行き詰まったときも、すぐに「この教本は自分に合わない」と決める必要はありません。姿勢、アンブシュア、息の方向、楽器の支え方など、本だけでは確認しにくい部分が原因になっていることもあります。

何冊も買い替えても同じところで止まってしまうなら、可能であれば一度フルートのレッスンで癖を確認してもらう方法も考えてみてください。

フルートは、一度にすべてを覚える必要のない楽器です。最初は一つの音が安定するだけでも立派な前進です。今の段階に合った教本を選び、一つずつできることを増やしながら、自分の音が変わっていく過程を楽しんでください。