「ドラムのリムショットって、リムだけを叩くこと?」「普通のスネアショットと何が違うの?」「強く叩かないと鳴らないの?」と疑問に感じる人は少なくありません。
リムショットは、名前だけを見ると「リムを叩く奏法」に思えます。しかし、一般的なドラムセットで代表的なリムショットは、スネアドラムのヘッドとリムを1回のストロークでほぼ同時に叩く奏法です。
通常のヘッドショットでは、主にスティックのチップでヘッドを叩きます。一方、オープンリムショットでは、チップをヘッドへ当てるのとほぼ同時に、スティックのショルダーからシャフト付近をリムへ当てます。
この2か所への接触によって、通常のヘッドショットとは違う硬質なアタックや輪郭を作りやすくなります。
大切なのは、強く振り下ろすことではなく、ヘッドとリムへ安定して同時に当てられる位置関係を作ることです。
リムショットはロックやポップスの力強いバックビートだけに使う奏法ではありません。浅めの当て方で音色を変えたり、通常のヘッドショットやゴーストノートとの対比を作ったり、クローズドリムショットやリムクリック系の奏法へ発展させたりできます。
ただし、「リムショット」という言葉の使われ方は、メーカー、教材、電子ドラム、マーチングなどによって少し異なります。そのため、初心者は最初から名称だけを細かく覚えるよりも、実際にどこをどう叩いているのかを理解するほうが混乱しにくいでしょう。
この記事では、ドラムのリムショットの意味、通常ショットとの違い、基本の叩き方、音が安定しない原因、主な種類、練習方法、曲中での使い分け、電子ドラムでの注意点まで順番に解説します。
- リムショットと普通のスネアショットの違いを知りたい
- ヘッドとリムをどうやって同時に叩くのかわからない
- 毎回違う音になってしまう
- クローズドリムショットやリムクリックとの違いを整理したい
- 電子ドラムでも練習できるのか知りたい
このような疑問がある人は、まず「正確に当てること」を軸に読み進めてみてください。
ドラムのリムショットとは
リムショットを理解するには、最初にスネアドラムのどこを使う奏法なのかを整理しておくとわかりやすくなります。
スネアドラムの上面に張られている膜がヘッドです。ヘッドの外周を固定している輪状の部品がリムまたはフープです。スティックの先端部分はチップと呼ばれ、その少し手元側にある部分がショルダーやシャフトです。
一般的なヘッドショットではチップでヘッドを叩きますが、代表的なリムショットでは、チップでヘッドを叩くのとほぼ同時に、シャフト部分をリムへ当てます。
そのため、リムショットは「リムだけを叩く奏法」と考えると少しずれてしまいます。
一般的なドラムセットで「リムショット」と言う場合、初心者がまず覚えるべきなのは、ヘッドとリムを同時に叩くオープンリムショットです。ヤマハの公式解説でも、オープンリムショットはリムとヘッドを同時に叩く奏法として紹介されています。
基本の考え方
通常ショットは主に「チップ+ヘッド」、オープンリムショットは「チップ+ヘッド」と「シャフト+リム」を1回のストロークでほぼ同時に行います。
一方で、リムを利用する奏法には、クローズドリムショット、リムクリック、オンリムなどもあります。教材によっては、これらを広い意味でリムショット関連の奏法として説明することがあります。
さらに、クロススティックという言葉も資料によって意味が異なる場合があります。電子ドラムでは木質的なクロススティック音色を鳴らす奏法を指すことがありますが、別の分野ではスティック同士を打つ動作を指す場合もあります。
そのため、名称だけで「これは必ず同じ奏法」と決めつけないことが大切です。
初心者はまず、オープンリムショット=ヘッドとリムの同時打ちを基準にし、そのあと関連奏法を分けて覚えると整理しやすくなります。
通常のヘッドショットとの違い
通常のヘッドショットとリムショットの違いは、単に「音が大きいか小さいか」ではありません。
最も大きな違いは、スティックが接触する場所です。
通常のヘッドショットでは、主にチップをヘッドへ当てます。リムへシャフトを当てる必要はありません。スネアドラムの基本になる奏法で、弱い音から強い音まで幅広くコントロールできます。
一方、オープンリムショットでは、チップがヘッドへ当たる瞬間に、シャフト部分もリムへ当たります。
ヘッドの振動にリムへの打撃音が重なるため、通常ショットと比べて硬いアタックや明瞭な輪郭を感じやすくなります。
| 比較項目 | 通常のヘッドショット | オープンリムショット |
|---|---|---|
| 主な接触部分 | チップとヘッド | チップとヘッド、シャフトとリム |
| ストローク | 1回 | 1回 |
| 音の傾向 | 基本的なスネア音 | 硬質でアタックが明瞭になりやすい |
| 使い方 | 基本ショット全般 | バックビート、アクセント、音色変化など |
ここで注意したいのは、リムショットも1回のストロークであることです。
「先にリムを叩いて、その直後にヘッドを叩く」という2回の動作ではありません。1回スティックを動かした結果、チップとシャフトがそれぞれヘッドとリムへ接触します。
この違いがわかると、リムショットが安定しないときに何を見直せばよいかも明確になります。
ヘッドしか鳴らなければ、シャフトがリムへ届いていない可能性があります。逆にリムの硬い音だけが目立つなら、チップがヘッドへ適切に当たっていない可能性があります。
つまり、リムショットの練習では「もっと強く叩く」よりも先に、2つの接触点を確認することが重要です。
音色にも違いがあります。
通常のヘッドショットでも打点や強さによって音色は変化しますが、リムショットではさらにリムの成分が加わるため、輪郭を強調しやすくなります。
ロックやポップスでは、2拍目・4拍目のバックビートを目立たせるために使われることがあります。また、Aメロでは通常ショット、サビではリムショットというように、曲の展開に合わせて音色を変える使い方もできます。
ファンクなどでは、小さなゴーストノートとリムショットを組み合わせることで、音量と音色の差を強く感じさせることもできます。
このように、リムショットは「大きい音を出す技」ではなく、スネアの音色を変える選択肢のひとつです。
リムショットは強打ではない
リムショットについて初心者がとくに誤解しやすいのが、「強く叩かないとリムショットにならない」という考え方です。
確かに、リムショットは硬質なアタックが加わるため、通常ショットより大きく感じることがあります。しかし、音量が大きいこととリムショットであることは同じではありません。
リムショットになる条件は、ヘッドとリムへ適切に接触することです。
逆にいえば、どれだけ力を入れてもスティックのシャフトがリムへ当たっていなければ、基本的には通常のヘッドショットのままです。
「鳴らない=力不足」と考えないようにしましょう。
リムショットがうまく鳴らないときは、まずスティックの角度、チップの打点、シャフトとリムの接触位置を確認します。
また、強く叩きすぎると、別の問題が起こりやすくなります。
スティックを必要以上に握り込めば手や腕が疲れやすくなります。大きく振りかぶって毎回強打すると、狙った打点へ正確に戻すのも難しくなります。
さらに、リムショットではシャフトがフープへ直接当たるため、通常のヘッドショットよりスティックに傷が入りやすくなります。
リムショットの練習で最初に目指したいのは最大音量ではありません。
同じ角度、同じ打点、同じシャフト位置で、似た音を連続して出せる状態を作ることです。
弱めのストロークでも接点を確認する練習はできます。まず小さな動きで位置関係を理解し、その後必要な音量へ広げていくほうが、フォームを崩しにくくなります。
また、「アクセント」と「リムショット」も分けて考えましょう。
アクセントは、周囲の音より特定の音を強調する演奏上の考え方です。リムショットは、ヘッドとリムを利用して音色を変える奏法です。
リムショットをアクセントとして使うことはできますが、普通のヘッドショットを強くしてアクセントを付けることもできます。
反対に、リムショットを常に最大音量で使う必要もありません。
「リムショット=強打」ではなく、「ヘッドとリムを利用して音色を変える奏法」と理解しておくことが重要です。
リムショットの基本の叩き方
リムショットを安定させるためには、いきなり速いビートの中で練習するより、スネアだけで1打ずつ確認するほうが効率的です。
必要になるのは、特殊な力ではありません。
通常のヘッドショットを基準にしながら、チップとシャフトがそれぞれヘッドとリムへ当たる角度を探します。
ここで大切なのが、スネアの高さや角度です。
スネアが極端に低ければ、普段の自然なストロークではシャフトをリムへ当てにくくなる場合があります。反対に高すぎても、腕や手首の動きが窮屈になることがあります。
ただし、リムショットに絶対的な高さがあるわけではありません。
奏者の体格、椅子の高さ、スティックの長さ、グリップ、スネアの角度によって適した位置は変わります。
「何cmにすれば正解」と考えるより、自然なフォームのままヘッドとリムへ同時に当てやすい位置を探すことが重要です。
ヘッドとリムを同時に叩く
まず通常のヘッドショットをゆっくり叩いてみてください。
このとき、スティックを必要以上に強く握らず、チップが毎回ほぼ同じ場所へ当たるようにします。
次に、そのストロークを大きく変えないまま、スティックを少し寝かせる方向へ調整します。
チップがヘッドに当たったとき、シャフトのどこかが手前側のリムへ同時に触れる位置を探します。
最初は叩かず、スティックを静かにヘッドへ置いて確認しても構いません。
チップをヘッドへ置いた状態で、シャフトがリムへ自然に接触する場所を見つけると、リムショットの位置関係を視覚的に理解できます。
最初の確認方法
- チップをヘッド上へ置く
- シャフトがリムに触れる位置を確認する
- その位置からスティックを少し持ち上げる
- 同じ位置へ1打だけ戻す
- ヘッド音とリム音の両方が含まれているか聞く
うまく当たると、通常のヘッドショットより硬質なアタックが加わります。
ただし、特定の「カン」「パン」といった音だけを正解と考える必要はありません。
スネア本体、ヘッド、フープ、チューニング、スティック、打点によって実際の音は変わります。
重要なのは、通常ショットと違うリム成分が加わっていることと、その音を自分で再現できることです。
このとき、リムを先に叩いてからヘッドを叩こうとしないでください。
リムショットは「2か所を順番に叩く」のではなく、「1回のストロークの結果として2か所へ当たる」奏法です。
動作を2つに分けようとすると、タイミングがずれやすくなり、狙っている音色から離れてしまいます。
安定する打点と角度を探す
リムショットを練習すると、「スティックは何度くらいにすればいいのか」「ヘッドの中心から何cmを叩けばいいのか」と数値で知りたくなるかもしれません。
しかし、すべての人に共通する固定値を決めることはできません。
必要な角度は、スネアの高さ、スティックの長さ、握る位置、奏者の腕の長さ、求める音色などによって変わります。
そのため、初心者は数字よりも再現性を基準にしてください。
まずチップの打点を決めます。
毎回ヘッド上の位置が大きく変わると、シャフトがリムへ当たる位置も変わります。その結果、ある打撃では太い部分が当たり、別の打撃ではチップに近い細い部分が当たるというばらつきが生まれます。
次に、リムへ当たるシャフト位置を確認します。
比較的深くスティックを入れると、シャフトの太い部分がリムへ当たりやすくなり、太く力強い方向の音を作りやすくなります。
一方、浅めに当てると、高く硬質で歯切れのよい方向の音色を作りやすくなります。
ただし、「深い=良い」「浅い=悪い」ということではありません。
使いたい音によって選択肢が変わります。
初心者の段階では、音色を細かく作り分ける前に、まず1種類のリムショットを安定して再現できるようにすることを優先しましょう。
グリップ位置も重要です。
叩くたびに手の中でスティックが前後へ大きく移動すると、チップからリムまでの距離関係も変化します。
そのため、良い音が出たときは、チップの打点だけではなく、どの位置を握っているかも確認すると安定しやすくなります。
スネアの位置と椅子の高さもなるべく一定にします。
毎回セッティングが大きく変わると、前日に覚えた角度が使えなくなることがあります。
練習では、「良い音を偶然出す」ことより「良い音が出た条件を覚える」ことが大切です。
音が揃わない原因と直し方
リムショットを練習していると、よくある失敗がいくつかあります。
まず、ヘッドの音しか鳴らないケースです。
この場合は、スティックが立ちすぎていて、シャフトがリムへ届いていない可能性があります。
力を増やすのではなく、チップをヘッド上へ置き、シャフトがリムに触れるところまで少し角度を寝かせてみてください。
また、チップの打点が自分から遠すぎると、シャフトがリムへ届きにくくなる場合もあります。
反対に、リムの硬い音ばかりが目立ち、ヘッドの響きがほとんど感じられない場合は、スティックを寝かせすぎている可能性があります。
チップがヘッドへ十分に届いているか確認してください。
毎回違う音になる場合は、複数の原因が考えられます。
- チップの打点が毎回変わっている
- シャフトの接触位置が変わっている
- グリップ位置がずれている
- 姿勢やスネアの位置が安定していない
- 力んでストロークの軌道が変わっている
この場合は、テンポを落として1打ずつ確認します。
良い音が出た瞬間を観察することが上達の近道です。
チップがどこへ当たり、シャフトのどこがリムへ接触したかを確認してから、同じ位置へもう一度叩いてみましょう。
速く何度も叩き続けていると、「なぜ今の音が良かったのか」がわからないまま通り過ぎてしまいます。
最初は1打ごとに止まっても構いません。
強く叩かないと鳴らないと感じる場合も、まず接点を確認します。
リムショットの音色は接点によって生まれます。過剰な強打によって解決しようとすると、フォームが崩れたり、疲れやすくなったりする可能性があります。
自分ではチップの打点やシャフトの接触位置を判断しにくい場合は、ドラムレッスンで実際のフォームを見てもらう方法もあります。
腕や手が疲れる場合は、スティックを握り込み続けていないか、大きな振りかぶりを繰り返していないか確認してください。
痛みが出る場合は無理に続けないことも大切です。
また、リムショットではシャフトをリムへ直接当てるため、ドラムスティックに削れや傷ができやすくなります。
表面に深い傷が増えている場合は状態を確認してください。
一般的なドラム演奏で必ずスティックへテープを巻かなければならないわけではありませんが、通常のヘッドショットより消耗しやすい奏法であることは理解しておきましょう。
リムショットの主な種類
リムショット関連の言葉は多く、初心者が混乱しやすい部分です。
とくに、オープンリムショット、クローズドリムショット、リムクリック、クロススティックといった名称は、一見すると似ています。
ここでは名称よりも「どのような動きで音を出すか」を基準に整理していきます。
オープンリムショット
オープンリムショットは、一般的なドラムセットで「リムショット」と言ったときに想定されることが多い代表的な奏法です。
チップでヘッドを叩きながら、シャフト部分をリムへほぼ同時に当てます。
通常のヘッドショットよりアタックを明瞭にしやすく、ロック、ポップス、ファンクなど幅広いジャンルで使われます。
代表的な使い方のひとつが、2拍目と4拍目のバックビートです。
たとえば8ビートで、ハイハットとバスドラムの中にスネアを入れるとき、2拍目・4拍目をオープンリムショットにすると、通常ショットとは違う輪郭を作れます。
また、曲のセクションによって音色を変えることもできます。
Aメロを通常ショットで演奏し、サビに入ったときだけリムショットへ切り替えると、演奏全体の密度を上げなくてもスネアの印象を変えられます。
このような使い分けでは、「大きく叩く」だけでは作りにくい音色差を利用できます。
オープンリムショットの中でも、接触の深さによって音は変化します。
比較的深く当てる場合は、スティックの太い部分がリムに当たりやすく、太く強いアタックを作りやすくなります。
浅めに当てると、より高く硬質な方向の音を作りやすくなります。
ここでも重要なのは、深いリムショットが「力任せ」という意味ではないことです。
深さは主にスティックとリムの接触位置の違いです。
力を増やすのではなく、打点を変えて音色を変えると考えましょう。
クローズドリムショット
クローズドリムショットは、オープンリムショットとは動作が大きく異なります。
一般的には、スティックをヘッド側へ接触させた状態でリムを叩き、木質的で短い音を作るタイプの奏法として説明されます。
ボサノバなどで使われる「カッ」という音をイメージすると理解しやすいでしょう。
オープンリムショットでは、スティックを通常のストロークのように振り下ろし、ヘッドとリムへ同時に当てます。
クローズドリムショット系の奏法では、スティックの一部をヘッド側へ接触させた状態でリムを利用します。
そのため、同じ「リム」という言葉が入っていても、フォームも音もかなり違います。
クローズドリムショットを理解するときに注意したいのが名称です。
教材やメーカーによっては、クローズドリムショット、クロススティック、サイドスティック、リムクリックなどの言葉が近い意味で使われることがあります。
一方で、分野によっては別の奏法をクロススティックと呼ぶこともあります。
名称だけで完全に同じ奏法だと断定しないことが大切です。
説明図や取扱説明書がある場合は、スティックをどこへ置き、どこを叩いているかを確認しましょう。
初心者は、まずオープンリムショットを安定させたあと、必要な曲でクローズドリムショット系の奏法を覚えると整理しやすくなります。
リムクリックとの違い
リムクリックは、スティックの一端をヘッド側へ置き、反対側付近をリムへ当てて、短く木質的なクリック音を作る奏法として説明されることがあります。
ボサノバ、バラード、ラテン系など、通常のスネアショットより短く控えめな音が必要な場面で利用されます。
オープンリムショットとの違いはわかりやすく、オープンリムショットではヘッドとリムへ同時に打撃を加えるのに対し、リムクリック系ではスティックをヘッド側へ接触させた状態でリムを利用します。
また、ヘッドを叩かずにリムだけを直接叩く奏法もあります。
リムだけを叩くと、比較的短く金属的な音になります。
しかし、一般的なドラムセットで狭い意味の「リムショット」と言う場合は、ヘッドとリムを同時に叩くオープンリムショットと区別したほうが理解しやすいです。
さらに、一方のスティックをヘッドやリム付近へ置き、もう一方のスティックでそのスティックを叩くような奏法もあります。
これも木同士が当たる鋭い音を作れますが、オープンリムショットとは別の動作です。
| 奏法 | 主な動作 | 音の傾向 |
|---|---|---|
| オープンリムショット | ヘッドとリムを同時に叩く | 硬質で明瞭、存在感を出しやすい |
| クローズドリムショット | スティックをヘッド側へ接触させてリムを叩く | 短く木質的 |
| リムクリック系 | ヘッド上に置いたスティックとリムを利用する | クリック感のある「カッ」という音 |
| リムのみ | ヘッドを使わずリムを直接叩く | 短く金属的 |
用語の違いに迷ったら、名称を暗記するより実際の叩き方へ戻ってください。
「ヘッドとリムを同時に叩くのか」「スティックをヘッド上へ置いてリムを鳴らすのか」「リムだけを叩くのか」を見れば、動作の違いを理解しやすくなります。
リムショットの練習方法
リムショットの練習では、速さよりも再現性を優先します。
一度だけ良い音が出ても、次の一打で大きく変わってしまうなら、まだ位置関係が安定していません。
逆に、強い音でなくても毎回よく似た音を出せるなら、フォームは安定し始めています。
初心者は「成功した音を覚える」ことから始めましょう。
初心者向けの練習手順
最初の練習では、ドラムセット全体を使う必要はありません。
まずスネアだけに集中してください。
練習1は、通常のヘッドショットとの聞き比べです。
通常のヘッドショットを4回程度、ゆっくり同じ打点へ叩きます。
次にリムショットを4回程度叩きます。
ここで比較するのは音量だけではありません。
アタックの硬さ、音の輪郭、リム成分の有無を聞き分けます。
「リムショットのほうが大きい」というだけで終わらず、音色自体の違いを聞いてください。
練習2は、1打ずつ接点を探す方法です。
テンポを付けずに1打だけ叩きます。
良い音が出たらすぐに次を叩かず、チップがヘッドのどこへ当たったか、シャフトのどこがリムへ当たったかを確認します。
その位置関係をもう一度作って叩きます。
これを繰り返し、偶然の成功を再現可能なフォームへ変えていきます。
1打ずつ確認しても接点やフォームが安定しないときは、初心者向けのドラムレッスンを利用するのも選択肢です。
練習3は、通常ショットとリムショットを交互に叩く方法です。
通常ショット、リムショット、通常ショット、リムショットと交互に続けます。
この練習では、フォームを大きく崩さず奏法だけを切り替えられるか確認します。
また、音色差を自分の意思で作れているかも聞きましょう。
練習4は、メトロノームに合わせる方法です。
無理のない低速で4分音符を叩きます。
テンポを上げる前に、1打ごとの音がそろっているか確認してください。
音色がばらつくなら、速くする必要はありません。
4分音符で安定したら、8分音符などへ発展させます。
練習5は、8ビートのバックビートへ入れる方法です。
基本的な8ビートを演奏し、2拍目と4拍目のスネアをリムショットにします。
ハイハットやバスドラムを加えると、スネアだけで練習していたときより打点がずれやすくなることがあります。
そこで、他の手足を動かしても同じ位置へ戻れるか確認します。
練習6は、曲の展開を想定した使い分けです。
同じフレーズを通常ショットだけで演奏したものと、リムショットだけで演奏したものを比べます。
次に、Aメロに相当する部分を通常ショット、サビに相当する部分をリムショットにするなど、音色の変化を意識します。
おすすめの練習順
- 通常ショットと聞き比べる
- 1打ずつ接点を確認する
- 通常ショットと交互に叩く
- 一定テンポで連続する
- 8ビートの2拍目・4拍目へ入れる
- 曲の場面ごとに使い分ける
録音して確認する方法も役立ちます。
演奏中は手の動きに意識が向きやすく、音のばらつきを見逃すことがあります。
録音して聞くと、1打だけ極端に大きい、硬さが毎回違う、通常ショットとの違いが曖昧といった点に気づきやすくなります。
また、練習パッドでリムショットを練習したい場合は、パッドの構造を確認してください。
一般的な平面型の練習パッドには実際のリムがないため、オープンリムショットの接点をそのまま再現できない製品が多くあります。
リム付きの練習パッドなら接点を確認できますが、リムの高さや打感が実際のスネアと同じとは限りません。
そのため、パッドでフォームを確認したあと、可能であれば実際のスネアでも最終的な位置関係を確かめると安心です。
曲中で通常ショットと使い分ける
リムショットを覚えたら、「どの曲でも常に使う」のではなく、「どこで使うと効果的か」を考える段階へ進みます。
ロックやポップスでは、強いバックビートが必要な場面でリムショットを使うことがあります。
2拍目と4拍目をはっきり聞かせたいとき、通常ショットより輪郭の強いリムショットを選ぶと、スネアの存在感を出しやすくなります。
一方、静かなAメロや柔らかい曲調では、通常ショットのほうが合う場合があります。
サビだけリムショットへ変える方法もあります。
これは単純に音量を上げるだけではなく、音色の硬さやアタックを変えることで、曲の展開を感じさせる使い方です。
ファンクなどでは、リムショットとゴーストノートを組み合わせることもあります。
ゴーストノートは非常に小さく演奏するスネア音で、リムショットとは目的が異なります。
小さなゴーストノートと輪郭のあるバックビートを組み合わせると、強弱だけでなく音色にも大きな対比を作れます。
ジャズなどでは、浅めのリムショットを音色として利用する場合もあります。
また、ボサノバなどではオープンリムショットではなく、クローズドリムショットやリムクリック系の木質的な音が必要になることがあります。
「どの奏法が一番良いか」ではなく、「その場面にどの音色が合うか」で選ぶことが重要です。
通常ショットにもメリットがあります。
柔らかいダイナミクスから強い音までコントロールしやすく、スネア本来の響きを自然に使えます。
オープンリムショットはアタックを強調しやすく、アクセントや力強いバックビートに向いています。
浅めのリムショットは、高く硬質な色付けをしたいときの選択肢になります。
クローズドリムショットやリムクリック系は、短く木質的な音が必要な場面に向きます。
このように、音量だけでなく音色を基準に使い分けると、スネアだけでも演奏表現の幅が広がります。
練習では、同じ8ビートを通常ショットだけで録音し、次にリムショットで録音して聞き比べると違いがわかりやすくなります。
さらに、前半は通常ショット、後半はリムショットにして、曲の展開がどのように聞こえるか比較してみるのもよいでしょう。
リムショットを使うとスティックのシャフトへ直接衝撃が加わるため、通常ショットより傷が増えやすい点にも注意してください。
表面が削れたり、深い傷が増えたりしていないか定期的に確認しましょう。
また、アコースティックスネアのリムショットは大きなピーク音を出しやすいため、練習場所への配慮も必要です。
自宅や集合住宅などでは、生のスネアを繰り返し叩くこと自体が難しい場合があります。自宅で楽器を練習するときの音や振動が気になる場合は、楽器防音の基本と対策方法も確認しておくと、遮音と防振を分けて考えやすくなります。
スタジオなどで練習するときも、必要以上の強打を続ける必要はありません。
長時間大きな音で練習する場合は、耳への負担にも注意してください。
電子ドラムでのリムショット
電子ドラムを使った自宅練習でも、対応しているスネアパッドと音源モジュールを組み合わせればリムショットを演奏できます。
ただし、電子ドラムならすべてのスネアパッドでリムショットができるわけではありません。
ここはアコースティックドラムとの大きな違いです。
アコースティックドラムでは、実際にヘッドとリムを叩いた振動が音になります。
電子ドラムでは、パッドに搭載されたセンサーが打撃を検知し、音源モジュールが対応する音色を鳴らします。
そのため、リムショットを再現するには、ヘッドとリムを区別して検知できるパッドや、対応する音源、接続方法が必要です。
対応パッドと設定を確認する
電子ドラムでリムショットを使いたい場合は、まず使用しているスネアパッドがリムショット対応か確認します。
Rolandの公式資料でも、対応パッドでのリムショットはヘッドとリムを同時に叩く奏法として説明され、使用できる奏法はドラム音源側の仕様にも左右されることが示されています。
一般的には、ヘッドとリムを別々に検知できるデュアルゾーン以上の構造が利用されます。
ただし、ゾーン数だけを見ればすべて判断できるわけではありません。
使用する音源モジュール、接続端子、パッドとの組み合わせ、設定によって使える奏法が異なる場合があります。
同じメーカーの製品でも、オープンリムショットには対応している一方、クロススティック系の奏法には対応しない組み合わせがあります。
また、クロススティック専用の感度設定や判定設定を持つ機種もあります。
電子ドラムでは「ブランド名」だけで判断しないようにしましょう。
実際に使用するパッドと音源の型番を確認し、取扱説明書やメーカーの仕様で対応奏法を確認することが重要です。
電子ドラムでリムショットがうまく鳴らない場合は、すぐに叩き方だけを疑う必要はありません。
まず、スネアパッドがリムショット対応か確認します。
次に、正しいスネア入力へ接続されているか確認します。
そのあと、ヘッドとリムの感度やトリガー設定を確認します。
クロススティック系の奏法を使いたい場合は、専用設定が必要な機種もあります。
さらに、パッドによってはリムを検出する範囲が限定されている場合があります。
どの場所を叩いても同じように反応するとは限らないため、メーカーが演奏位置を指定している場合は、その位置を基準にしましょう。
たとえばヤマハのDTX-PADには、オープンリムショットやクローズドリムショットに対応する3ゾーン仕様のパッドがあります。このように、電子ドラムではパッドごとに対応する奏法を確認する必要があります。
電子ドラムで「強く叩かないと鳴らない」と感じる場合も、まず設定を確認することが重要です。
パッドの感度やリム側のトリガー条件が適切でなければ、フォームを変えても狙った音が出ないことがあります。
具体的な設定値はメーカーや機種によって異なるため、一律の数値を当てはめるのではなく、使用機種の取扱説明書を優先してください。
アコースティックと電子ドラムでは、音色変化の仕組みも違います。
アコースティックでは、ヘッド上の打点、リムに当たる深さ、スティック、フープ、ヘッド、チューニングなどによって連続的に音が変わります。
電子ドラムでは、センサーが打撃を検知して音源を鳴らすため、どの程度細かな変化を再現できるかはパッドと音源の仕様に左右されます。
そのため、電子ドラムでの練習では、2つのことを分けて考えるとわかりやすくなります。
ひとつは、アコースティックドラムにもつながるフォームの練習です。
チップとシャフトをそれぞれヘッドとリムへ適切に当てる感覚、打点を一定にすること、通常ショットとリムショットを切り替えることなどです。
もうひとつは、電子ドラム固有の設定です。
パッドが正しく接続されているか、リム入力が認識されているか、必要な感度設定がされているかなどを確認します。
フォームが良くても設定が合っていなければ鳴り分けが難しいことがあり、反対に設定が合っていてもフォームが安定していなければ狙った奏法を再現しにくくなります。
電子ドラムを使う場合は、「叩き方」と「機材設定」の両方を見ることが大切です。
よくある疑問を整理しておきましょう。
Q. リムショットはリムだけを叩く奏法ですか?
A. 一般的なドラムセットで代表的なリムショットは、ヘッドとリムを同時に叩くオープンリムショットです。ただし、資料によってはリムを使う関連奏法を広く扱うことがあります。
Q. リムショットは強く叩かないと鳴りませんか?
A. 強打が条件ではありません。チップをヘッドへ、シャフトをリムへ適切に当てることが基本です。
Q. リムのどこを叩けばよいですか?
A. 演奏する手の正面側にあるリムへシャフトを当てる形が自然ですが、重要なのは絶対的な場所ではなく、チップの打点とシャフトの接触位置を再現できることです。
Q. スティックのどこをリムへ当てますか?
A. オープンリムショットでは、主にチップより手元側のシャフト部分を使います。接触する位置によって音色も変化します。
Q. スティックが傷むのは異常ですか?
A. リムショットではシャフトへ直接衝撃が加わるため、通常ショットより傷みやすくなります。極端に早く損傷する場合は、必要以上の強打になっていないかも確認しましょう。
Q. 練習パッドだけで覚えられますか?
A. リムのない平面型パッドでは、オープンリムショットの接点をそのまま再現できません。リム付きパッドや対応する電子ドラム、実際のスネアなどで確認する必要があります。
Q. サビだけリムショットにしてもよいですか?
A. 音色を変えて曲の展開を付ける方法のひとつです。実際に使うかどうかは楽曲のアレンジや必要な音色によって判断します。
Q. リムショットはロック専用ですか?
A. ロックだけの奏法ではありません。ポップス、ファンク、ジャズなどでも使われ、クローズドリムショットやリムクリック系の奏法はボサノバなどでも利用されます。
Q. 電子ドラムならどのモデルでもできますか?
A. すべてのモデルで可能とは限りません。パッド、音源、接続、設定によって対応状況が異なります。
まとめ
ドラムのリムショットで最初に覚えておきたいのは、リムだけを叩くことでも、力いっぱい強打することでもないという点です。
一般的なドラムセットで代表的なオープンリムショットは、スティックのチップでヘッドを叩きながら、シャフト部分をリムへほぼ同時に当てる奏法です。
通常のヘッドショットと比べて硬質で明瞭なアタックを作りやすく、バックビートを目立たせたり、曲のセクションごとにスネアの音色を変えたりするために使えます。
うまく鳴らないときは、強く叩く前に接点を確認しましょう。
ヘッドしか鳴らない場合は、シャフトがリムへ届いていない可能性があります。
リムばかりが目立つ場合は、チップがヘッドへ十分に当たっていない可能性があります。
毎回音が変わる場合は、チップの打点、リムへ当たるシャフト位置、グリップ位置、スネアの高さ、姿勢を確認してください。
初心者の練習では、最初から速いフレーズに入れないことも大切です。
通常ショットとの聞き比べ、1打ずつの接点確認、通常ショットとの交互打ち、低速での連続打ち、8ビートへの組み込みという順番で練習すると、どこで崩れているのか判断しやすくなります。
また、リムショットにはオープンリムショットだけでなく、クローズドリムショット、リムクリック、リムのみを叩く奏法など関連する奏法があります。
ただし、クローズドリムショット、クロススティック、サイドスティック、リムクリックなどの名称は、メーカーや教材によって使い方に差があります。
言葉だけで判断せず、実際にスティックをどこへ置き、どこを叩く動作なのかを確認しましょう。
電子ドラムの場合は、フォームだけでなく機材の対応状況も重要です。
リムショット対応のパッド、音源、接続、設定が必要になるため、使用機種の取扱説明書や仕様を確認してください。
オープンリムショットに対応していても、クロススティック系の奏法には対応しない場合があります。
さらに、リムショットはスティックのシャフトをフープへ直接当てるため、通常ショットよりスティックが傷みやすくなります。
必要以上の強打を避け、スティックの状態や練習時の音量にも配慮しましょう。
最初の目標は、大きな音を出すことではなく、自分が狙ったリムショットを同じ位置から何度でも再現できるようにすることです。
通常のヘッドショットとリムショットを意図的に切り替えられるようになると、同じスネアでも曲の場面に合わせて音色を変えられるようになります。
まずはスネアだけでゆっくり1打ずつ確認し、「ヘッドだけ」「リムだけ」「ヘッドとリムが同時に鳴った状態」の違いを聞き分けてみてください。
接点を理解し、同じフォームを再現できるようになることが、安定したリムショットへの第一歩です。

